(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240214BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240214BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240214BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240214BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61G12/00 E
A61G12/00 Z
B25J13/00 Z
H04M9/00 H
G08B25/04 K
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2020051790
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雄
(72)【発明者】
【氏名】岡部 雄介
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216820(JP,A)
【文献】特開2016-126519(JP,A)
【文献】特開2002-000574(JP,A)
【文献】特開2019-050493(JP,A)
【文献】特開2004-065471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0154265(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
B25J 13/00
H04M 9/00
G08B 25/04
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、当該ロボットからの呼び出しを受信するナースコール親機とを備えたナースコールシステムであって、
上記ロボットは、
患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況を検出する患者状況検出部と、
上記患者状況検出部により上記所定の状況が検出されたときに、上記患者に対して問いかけのメッセージを発話する発話部と、
上記発話部により行われた発話に対する患者の反応の内容を含む反応状況を検出する反応状況検出部と、
上記反応状況検出部により検出された上記反応状況が所定の条件を満たすか否かによって、上記ナースコール親機に対する呼び出しを行うか否かを判定する状況判定部と、
上記状況判定部により呼び出しを行うと判定された場合に、上記ナースコール親機に対する呼び出しを行う呼出部とを備えた
ことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記反応状況検出部は、上記発話部により行われた発話に対する患者の返答の有無および返答の内容を患者の反応状況として検出することを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
上記ロボットは、
上記状況判定部により呼び出しを行うと判定された場合に、上記患者状況検出部により検出された所定の状況から特定される患者の状態を報知するための音声データを取得する音声データ取得部と、
上記呼出部による呼び出しによって上記ナースコール親機との間に形成される通話路を介して、上記音声データ取得部により取得された音声データを上記ナースコール親機に送信する音声データ送信部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、離床センサから供給される離床検出信号に基づいて、患者が離床した状況を検出することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、環境センサから供給される環境情報に基づいて、患者の環境が所定の状態になった状況を検出することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、生体センサから供給される生体情報に基づいて、患者の生体情報が異常値を示している状況を検出することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項7】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、患者の状況を確認するために繰り返しのメッセージを発話する指定時間になったという状況を検出することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項8】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、環境センサから供給される環境情報に基づいて、患者の環境が所定の状態になった状況を検出し、
上記音声データ取得部は、上記患者の状態を報知するための音声データとして、上記環境センサから供給される環境情報の内容を付加した合成音声の音声データを取得する
ことを特徴とする請求項3に記載のナースコールシステム。
【請求項9】
上記患者状況検出部は、上記所定の状況として、生体センサから供給される生体情報に基づいて、患者の生体情報が異常値を示している状況を検出し、
上記音声データ取得部は、上記患者の状態を報知するための音声データとして、上記生体センサから供給される生体情報の内容を付加した合成音声の音声データを取得する
ことを特徴とする請求項3に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に、ロボットを活用してナースコールを行うように成されたナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などにおいては、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、患者と記載する)が呼出ボタンを押下することによって看護師や介護師(以下、医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、ベッド近傍やトイレ、浴室などに設置され呼出ボタンを有するナースコール子機と、ナースステーションに設置されるナースコール親機とを備えて構成されている。この種のナースコールシステムでは、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、ナースコール親機にて呼び出しの報知が行われる。
【0004】
ナースコール子機には、上述した呼出ボタンを備えたものだけではなく、荷重を検出するマットセンサによって構成されるものも存在する。このマットセンサをベッド近傍の床に設置し、患者が乗ったことを検出することにより、患者の離床やベッドからの転倒/転落の警報を行うナースコールシステムも知られている。マットセンサに加えてロボットを用いた見守りシステムも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の見守りシステムは、離床センサからの出力データに基づいて、患者の離床の予兆を検出する離床検出部と、患者の離床の予兆が検出された場合に、音声出力部を介して患者に向けての所定のメッセージをロボットに発話させる発話制御部と、患者の離床の予兆が検出された場合に、所定の通知先へその旨を通知する警報部とを備える。
【0006】
ロボットを用いた介護支援システムとして、指定時刻になったときにロボットが問いかけのメッセージを再生し、それに対して患者からの応答がない場合に通報を行うようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の介護支援システムは、ロボット内に、記憶情報を再生して患者に音声または画像で伝える再生手段と、再生手段による再生を指定された時刻に実行させる再生制御手段と、再生出力に対する患者からの応答が所定時間内に応答センサにより検知されたか否かを判別する応答判別手段とを備え、指定時刻での再生から所定時間内に患者からの所定の応答入力がない場合に、問いかけのメッセージを再度出力し、その再確認の再生出力から一定時間が経過しても所定の応答入力がない場合に、緊急通報を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-126519号公報
【文献】特開2002-574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、高齢者への侵襲性治療の進展に伴い、高齢の入院患者が増加している。医療従事者はこのような高齢の入院患者に対し、療養上の世話、医療行為等の実践のほか、患者への声かけや見守りを行うことが必要である。しかしながら、現状では医療従事者の人員増は見込めない状況にあり、常時の見守りはほぼ不可能な状況にある。そのため、現人員の中で、安全・安心のケアをいかに提供していくかが喫緊の課題となっている。そして、この課題を解決するための1つの手段として、ロボットを活用することが考えられている。
【0009】
上記特許文献1,2に記載のシステムでは、ロボットを活用した患者の見守りを行っている。しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、離床センサからの出力データに基づいて、患者の離床の予兆が検出された場合に所定の通知先へその旨を通知する従来のナースコール機能に加え、ロボットが所定のメッセージを患者に向けて発話する機能を備える程度のものである。医療従事者は、患者の離床の予兆が検出された場合に必ず行われるナースコールに対して対応業務を行う必要があり、医療従事者の負荷を減らすという観点において十分とは言えないという問題があった。
【0010】
これに対し、特許文献2に記載のシステムによれば、ロボットからの問いかけに対して患者からの応答がない場合にのみ緊急通報が行われるので、医療従事者は緊急時に行われる通報に対してのみ対応業務を行えばよく、この点で医療従事者の負荷を減らすことが可能といえる。しかしながら、特許文献2に記載のシステムでは、ロボットからの問いかけに対して患者が何ら応答しない場合という限定された状況においてのみ緊急通報が行われる仕組みのため、患者に対して様々な状況に応じて適切なケアを提供するという観点において十分とは言えないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ロボットを活用して、医療従事者の負荷を減らしつつ患者に対して適切なケアを提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、ロボットと、当該ロボットからの呼び出しを受信するナースコール親機とを備えたナースコールシステムにおいて、ロボットは、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況が検出されたときに、患者に対して問いかけのメッセージを発話した後、当該発話に対する患者の反応の内容を含む反応状況を検出する。そして、その検出した反応状況が所定の条件を満たすか否かによって呼び出しを行うか否かを判定し、呼び出しを行うと判定された場合に、ナースコール親機に対する呼び出しを行うようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、患者に関する所定の状況が検出されたときに直ちにナースコール親機に対する呼び出しは行われず、まずはロボットから患者に対して問いかけのメッセージが発話され、それに対する患者の反応状況が所定の条件を満たす場合にのみナースコール親機に対する呼び出しが行われる。このため、従来は医療従事者が患者に対して行っていた声掛け業務の一部をロボットによる発話によってなくすことができる。また、本発明によれば、ロボットから患者への問いかけに対して患者が何ら反応しない場合だけでなく、反応の内容を含めた患者の反応状況が所定の条件を満たした場合に呼び出しが行われるので、患者の反応状況次第で医療従事者の呼び出しを行って適切なケアを行うようにすることができる。これにより、本発明によれば、ロボットを活用して、医療従事者の負荷を減らしつつ患者に対して適切なケアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態によるロボットの機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】第2の実施形態によるナースコール親機の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】第2の実施形態によるロボットの機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0016】
図1に示すように、第1の実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、分配器5、離床センサ7、環境センサ8、生体センサ9およびロボット10を備えて構成されている。ナースコール親機1は、ナースステーションに設置される固定型のものであってもよいし、個々の看護師が携行する携帯型のものであってもよい。壁埋込形子機4、分配器5、離床センサ7、環境センサ8、生体センサ9およびロボット10は、患者の病室内に設置される。
【0017】
ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、分配器5、離床センサ7およびロボット10は、有線の通信路により接続されている。離床センサ7とロボット10との間は、分配器5を介して有線で接続されている。一方、環境センサ8および生体センサ9とロボット10との間は無線で接続されている。なお、接続の仕方はこれに限定されない。例えば、分配器5とロボット10との間を無線で接続するようにしてもよい。また、環境センサ8および生体センサ9とロボット10との間を有線で接続するようにしてもよい。また、ロボット10が環境センサ8を備える構成としてもよい。
【0018】
ナースコール親機1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報処理端末により構成され、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4および分配器5を介してロボット10との間で双方向通信し、所定の処理を実行する。
【0019】
例えば、ナースコール親機1は、ロボット10からの呼び出しを受信し、所定の報知動作を行う。報知動作は、ナースコール親機1が備えるスピーカから呼出音を出力するとともに、ナースコール親機1が備えるディスプレイに対して呼び出しに係る患者の情報などを表示させることによって行われる。この報知動作の実行中に、看護師が所定の応答操作を行うと、ナースコール親機1は上述の報知動作を停止する。
【0020】
また、ナースコール親機1は、医療従事者による操作に従って、ロボット10に合成音声により発話させるメッセージ情報を生成し、ロボット10に送信する処理も実行する。メッセージ情報は、医療従事者が希望する任意の内容で即時に発話させるためのもの(以下、即時発話メッセージという)と、指定した時間に毎日繰り返し発話させるもの(以下、定時発話メッセージという)とがある。即時発話メッセージは主に、医療従事者から患者に対して行う情報伝達のためのメッセージである。定時発話メッセージは、例えば患者の服薬状況を確認するための問いかけのメッセージである。メッセージ情報は、即時発話メッセージまたは定時発話メッセージの何れであるかを示すフラグ情報、メッセージ本文を示すテキスト情報、定時発話メッセージの場合の指定時間情報を含んでいる。
【0021】
ここでは、ナースコール親機1が、ロボット10からの呼び出しを受けて報知動作を行う機能と、メッセージ情報を生成してロボット10に登録する機能とを備える構成について説明しているが、これに限定されない。例えば、ナースコール親機1は上記2つの機能のうち報知動作を行う機能のみを備え、メッセージ情報を生成して登録する機能は別の情報処理端末が備える構成としてもよい。
【0022】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、各種データの送受信に関する制御を行う。送受信されるデータには、ロボット10からナースコール親機1に送られる呼出信号、ナースコール親機1からロボット10に送られるメッセージ情報などが含まれる。
【0023】
廊下灯3は、制御機2と壁埋込形子機4との間に配置され、上述の各種データを中継する。この廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、ロボット10からの呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。なお、呼び出しが行われたことの表示は、LEDの点灯または点滅により行うようにしてよい。LEDは、所定の復旧操作が行われたときに消灯する。
【0024】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置され、廊下灯3に接続されて、上述の各種データを中継する。壁埋込形子機4は、分配器5を接続するための接続端子を備えている。
【0025】
分配器5は、壁埋込形子機4と、離床センサ7およびロボット10との間を接続する。分配器5は、ナースコール親機1から送られてきたメッセージ情報をロボット10に供給する。また、分配器5は、ロボット10から発行された呼出信号を壁埋込形子機4に供給する。また、分配器5は、離床センサ7により患者の離床が検出されたときに、離床検出信号をロボット10に供給する。
【0026】
離床センサ7は、マットおよび重量センサを備えており、病室内の各ベッドのマットレスの上にマットを敷いて使用する。離床センサ7は、ベッドに寝ている患者が離床したことにより重量センサが荷重を検出しなくなったときに、離床検出信号を出力する。なお、離床センサ7のマットをベッド近傍の床に敷いて使用し、ベッドに寝ている患者が離床してマット上に乗ったことを重量センサで検出したときに、離床検出信号を出力するようにしてもよい。また、マットレス上の患者が寝た状態で上半身に該当する位置にマットを敷いて使用し、ベッドに寝ている患者が起き上がったことにより重量センサが荷重を検出しなくなったときに、離床検出信号を出力するようにしてもよい。
【0027】
環境センサ8は、病室内の環境に関する情報を検出するものであり、例えば温度センサ、湿度センサ、臭いセンサ、音センサなどにより構成される。環境センサ8は、病室内の温度、湿度、臭い、音などを常時検出しており、検出した環境情報(温度情報、湿度情報、臭い情報、音情報など)を一定間隔ごとに繰り返しロボット10に送信する。なお、温度センサ、湿度センサ、臭いセンサ、音センサなどを全て用いることを必須とするものではなく、何れか1つまたは2つを用いるようにしてもよい。
【0028】
生体センサ9は、患者の生体情報を検出するものである。生体センサ9により検出する生体情報は、例えば患者の発汗量、顔色、咳気状態、脱水状態、呼吸状態、自律神経状態などである。生体センサ9は、これら何れか1つまたは複数の生体情報を常時検出しており、その検出した生体情報を一定間隔ごとに繰り返しロボット10に送信する。
【0029】
ロボット10は、マイク、スピーカ、カメラ、タイマ、発光素子、身体の一部を動かすための動き機構、有線および無線の通信手段、記憶装置、各種処理および制御を実行する演算装置などを備えている。ロボット10は、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4および分配器5を介してナースコール親機1との間で双方向通信し、患者との間で対話に関する処理を実行するとともに、ナースコール親機1に対する呼び出しに関する処理を実行する。
【0030】
例えば、ロボット10は、ナースコール親機1からメッセージ情報を受信し、そのメッセージ情報に基づいて、即時発話メッセージまたは定時発話メッセージを発話する(メッセージを合成音声によりスピーカから出力する)。また、ロボット10は、離床センサ7、環境センサ8または生体センサ9により検出される患者に関する状況(患者自身の状況および患者の環境の状況を含む)に基づいて、患者に対する所定のメッセージ(以下、状況検出発話メッセージという)を発話する。この状況検出発話メッセージは、患者の安否を確認したり、患者の状況を確認したりするための問いかけのメッセージである。すなわち、本実施形態では、定時発話メッセージおよび状況検出発話メッセージが患者に対する問いかけのメッセージとなっている。
【0031】
また、ロボット10は、患者に対する問いかけのメッセージを発話した後、患者の反応状況を解析し、その解析結果が所定の条件を満たす場合に、呼出信号を発行し、分配器5を介してナースコール親機1に送信する。本実施形態では、患者の反応状況として、マイクより入力される患者の発話音声に基づく返答の有無および返答の内容を解析する。
【0032】
図2は、第1の実施形態によるロボット10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態によるロボット10は、機能構成として、メッセージ情報受信部11、メッセージ情報記録部12、患者状況検出部13、発話部14、反応状況検出部15、状況判定部16および呼出部17を備えている。また、ロボット10は、記憶媒体として、メッセージ情報記憶部100を備えている。また、ロボット10は、スピーカ101およびマイク102を備えている。
【0033】
上記各機能ブロック11~17は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~17は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0034】
メッセージ情報受信部11は、ナースコール親機1から送られてくるメッセージ情報を受信する。メッセージ情報記録部12は、メッセージ情報受信部11により受信されたメッセージ情報が即時発話メッセージまたは定時発話メッセージの何れであるかを判定し、定時発話メッセージであると判定した場合に、そのメッセージ情報をメッセージ情報記憶部100に記憶させる。一方、受信したものが即時発話メッセージであると判定した場合、メッセージ情報記録部12はそのメッセージ情報を発話部14に供給する。
【0035】
メッセージ情報記憶部100は、メッセージ情報記録部12により記憶された定時発話メッセージのメッセージ情報を記憶する。また、メッセージ情報記憶部100は、離床センサ7、環境センサ8または生体センサ9により検出される患者に関する状況が所定の条件を満たしたときに発話するための状況検出発話メッセージのメッセージ情報をあらかじめ記憶する。メッセージ情報記憶部100に記憶されるメッセージ情報は、患者に対する問いかけのメッセージに関するものである。
【0036】
患者状況検出部13は、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況を検出する。例えば、患者状況検出部13は、離床センサ7から分配器5を介して供給される離床検出信号に基づいて、医療従事者が患者のもとに駆け付けてベッドに待機させるという業務が発生する可能性のある状況として、患者が離床した状況を検出する。
【0037】
また、患者状況検出部13は、環境センサ8から供給される環境情報に基づいて、医療従事者が患者の病室に駆け付けて環境を改善するという業務が発生する可能性のある状況として、患者がいる病室の環境が所定の状態になった状況を検出する。例えば、患者状況検出部13は、病室の温度が所定値より高いまたは低い状況、病室の湿度が所定値より高いまたは低い状況、数値化された臭気値が所定値より大きい状況、検出された音量が所定値より大きい状況などを検出する。
【0038】
また、患者状況検出部13は、生体センサ9から供給される生体情報に基づいて、医療従事者が患者のもとに駆け付けて何らかの処置をするという業務が発生する可能性のある状況として、患者の生体情報が異常値を示している状況を検出する。例えば、患者状況検出部13は、患者の発汗量が所定値より多い状況、平常時に検出しておいた顔色に比べて現在の顔色が悪い状況、咳気が頻繁に発生している状況、脱水状態の状況、呼吸速度が平常時より所定値以上速くなっている状況、自律神経が平常時より興奮している状況(例えば、心拍数が平常時より多い状況)などを検出する。
【0039】
また、患者状況検出部13は、患者が服薬をしていなかった場合に医療従事者が患者のもとに駆け付けて服薬の指導を行うという業務が発生する可能性のある状況として、メッセージ情報記憶部100に記憶されている定時発話メッセージを発話する時間になったという状況を検出する。
【0040】
発話部14は、患者状況検出部13により所定の状況が検出されたときに、メッセージ情報記憶部100に記憶されているメッセージ情報に基づいて、患者に対して問いかけのメッセージを発話する。すなわち、発話部14は、患者状況検出部13により検出された所定の状況に対応するメッセージ情報をメッセージ情報記憶部100から読み出し、そのメッセージ情報に含まれるメッセージ本文のテキスト情報から合成音声を生成し、スピーカ101から出力する。
【0041】
例えば、患者が離床した状況が患者状況検出部13により検出された場合、発話部14は、「どこにいくのですか?」という問いかけのメッセージを合成音声により発話する。また、病室の温度が所定値より高いまたは低い状況、臭気値が所定値より大きい状況、音量が所定値より大きい状況が患者状況検出部13により検出された場合、発話部14は、「環境は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージを合成音声により発話する。なお、個々の検出状況に合わせて、「暑くないですか?」「寒くないですか?」「臭くないですか?」「うるさくないですか?」などのメッセージを発話するようにしてもよい。
【0042】
また、患者の生体情報が異常値を示している状況が患者状況検出部13により検出された場合、発話部14は、「お体は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージを合成音声により発話する。なお、個々の検出状況に合わせて、「暑くないですか?」「苦しくないですか?」「咳は大丈夫ですか?」などのメッセージを発話するようにしてもよい。また、定時発話メッセージを発話する時間になったことが患者状況検出部13により検出された場合、発話部14は、「お薬飲みましたか?」という問いかけのメッセージを合成音声により発話する。
【0043】
反応状況検出部15は、発話部14により行われた発話に対する患者の反応状況を検出する。ここで、反応状況検出部15は、発話部14により行われた発話に対する患者の返答の有無および返答の内容を患者の反応状況として検出する。すなわち、反応状況検出部15は、発話部14が患者に対する問いかけのメッセージを発話した後、マイク102より入力される患者の発話音声を音声認識してテキスト情報に変換し、当該テキスト情報に基づいて返答内容を解析する。これにより、反応状況検出部15は、ロボット10からの発話に対して患者から返答があったか否かを検出するとともに、返答があった場合はその内容を検出する。
【0044】
状況判定部16は、反応状況検出部15により検出された反応状況(患者からの返答の有無および返答の内容)が、ロボット10の利用シーンに応じてあらかじめ定められた条件を満たすか否かによって、ナースコール親機1に対する呼び出しを行うか否かを判定する。ロボット10の利用シーンとは、患者の離床検出に応じて発話を行うシーン、患者がいる病室の環境情報の検出に応じて発話を行うシーン、患者の生体情報の検出に応じて発話を行うシーン、患者に服薬確認の定時発話メッセージを発話するシーンのことである。
【0045】
呼出部17は、状況判定部16により呼び出しを行うと判定された場合に、呼出信号を発行して送信することにより、ナースコール親機1に対する呼び出しを行う。例えば、呼出部17は、患者の離床検出に応じて発話を行うシーンにおいて、「どこにいくのですか?」という問いかけのメッセージに対して、病室外の場所に行くという内容の返答が検出された場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しを行う。また、「どこにいくのですか?」という問いかけのメッセージに対して、患者からの返答がない場合にも呼び出しを行うようにしてもよい。
【0046】
また、呼出部17は、患者がいる病室の環境情報の検出に応じて発話を行うシーンにおいて、「環境は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージに対して、暑い、寒い、臭い、うるさいといった趣旨を内容とする返答が検出された場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しを行う。一方、「環境は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージに対して、上記の趣旨とは異なる内容の返答が検出された場合や、患者からの返答がない場合には、ナースコール親機1に対する呼び出しは行わない。
【0047】
また、呼出部17は、患者の生体情報の検出に応じて発話を行うシーンにおいて、「お体は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージに対して、暑い、苦しい、寒気がする、眩暈がするといった体の不調を訴えることを内容とする返答が検出された場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しを行う。また、「お体は大丈夫ですか?」という問いかけのメッセージに対して、患者からの返答がない場合にも呼び出しを行うようにしてもよい。
【0048】
また、呼出部17は、患者に服薬確認の定時発話メッセージを発話するシーンにおいて、「お薬飲みましたか?」という問いかけのメッセージに対して、薬を飲んでいないことを内容とする返答が検出された場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しを行う。一方、「お薬飲みましたか?」という問いかけのメッセージに対して、薬を飲んだことを内容とする返答が検出された場合や、患者からの返答がない場合には、ナースコールに対する呼び出しは行わない。
【0049】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、ロボット10は、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況が検出されたときに、患者に対して問いかけのメッセージを発話した後、当該発話に対する患者の反応状況(返答の有無および返答の内容)を検出する。そして、その検出した反応状況が所定の条件を満たすか否かによって呼び出しを行うか否かを判定し、呼び出しを行うと判定された場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しを行うようにしている。
【0050】
このように構成した第1の実施形態によれば、患者に関する所定の状況が検出されたときに直ちにナースコール親機1に対する呼び出しは行われず、まずはロボット10から患者に対して問いかけのメッセージが発話され、それに対する患者の反応状況が所定の条件を満たす場合にのみナースコール親機1に対する呼び出しが行われる。このため、従来は医療従事者が患者に対して行っていた声掛け業務の一部をロボット10による発話によってなくすことができる。
【0051】
また、第1の実施形態によれば、ロボット10から患者への問いかけに対して患者が何ら反応しない場合だけでなく、患者の返答内容を含めた反応状況がロボット10の利用シーンに応じてあらかじめ定められた条件を満たした場合に、ナースコール親機1に対する呼び出しが行われるので、患者の返答内容次第で医療従事者の呼び出しを行って適切なケアを行うようにすることができる。これにより、第1の実施形態よれば、ロボット10を活用して、医療従事者の負荷を減らしつつ患者に対して適切なケアを提供することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態によるナースコールシステムの全体構成は、
図1と同様である。ただし、ナースコール親機1およびロボット10に代えて、これとは機能構成が異なるナースコール親機1’およびロボット10’を用いる。
【0053】
図3は、第2の実施形態によるナースコール親機1’の機能構成例を示すブロック図である。また、
図4は、第2の実施形態によるロボット10’の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図4において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0054】
図3に示すように、第2の実施形態によるナースコール親機1’は、機能構成として、呼出信号受信部31、報知処理部32、応答操作検出部33、通話路形成部34、音声データ受信部35および合成音声出力部36を備えている。また、ナースコール親機1’は、ハードウェア構成として、スピーカ37およびディスプレイ38を備えている。
【0055】
上記ナースコール親機1’が備える各機能ブロック31~36は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック31~36は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0056】
呼出信号受信部31は、ロボット10’の呼出部17から送信された呼出信号を受信する。報知処理部32は、呼出信号受信部31による呼出信号の受信に応じて所定の報知動作を行い、応答操作検出部33により検出される所定の応答操作に応じて報知動作を停止する。すなわち、報知処理部32は、呼出信号受信部31が呼出信号を受信した場合、スピーカ37から呼出音を出力するとともに、ディスプレイ38に対して呼び出しに係る患者の情報などを表示させるといった報知動作を実行する。その後、応答操作検出部33が所定の応答操作を検出すると、報知処理部32は上述の報知動作を停止する。
【0057】
通話路形成部34は、呼出信号の受信に応じて行われる報知動作に対する応答操作を応答操作検出部33が検出したときに、ロボット10’の通話路形成部41と協働して、ナースコール親機1’とロボット10’との間に通話路を形成する。
【0058】
音声データ受信部35は、通話路形成部34により形成された通話路を介してロボット10’から送られてくる音声データを受信する。この音声では、ロボット10’が患者に発話を行ったときにおける患者の状態を音声により示したものである。合成音声出力部36は、音声データ受信部35により受信された音声データに基づいて、合成音声をスピーカ37から出力する。医療従事者は、スピーカ37から出力される合成音声を聞くことにより、患者の状態を把握することができる。
【0059】
図4に示すように、第2の実施形態によるロボット10’は、
図2に示した機能構成に加えて、機能構成として、通話路形成部41、音声データ取得部42および音声データ送信部43を更に備えている。また、第2の実施形態によるロボット10’は、記憶媒体として、音声データ記憶部40を更に備えている。
【0060】
音声データ記憶部40は、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある種々の状況に対応して、それらの状況から特定される患者の状態を報知するための音声データをあらかじめ記憶している。例えば、音声データ記憶部40は、患者の離床が検出された状況に対応付けて、患者が離床状態にあることを報知するための音声データ(例えば、「患者が離床しています」という音声内容のデータ)を記憶している。
【0061】
また、音声データ記憶部40は、病室の温度が所定値より高いまたは低い状況、病室の湿度が所定値より高いまたは低い状況、臭気値が所定値より大きい状況、音量が所定値より大きい状況に対応付けて、それらの状況を報知するための音声データ(例えば、「患者が病室の温度を高く感じています」「患者が病室の温度を低く感じています」「患者が病室の湿度を高く感じています」「患者が病室の湿度を低く感じています」「患者が病室の臭いを気にしています」「病室に異常音が発生しています」といった音声内容のデータ)を記憶している。
【0062】
また、音声データ記憶部40は、生体センサ9から供給される各種の生体情報が異常値を示している状況に対応付けて、その状況を報知するための音声データ(「患者の発汗量が多くなっています」「患者の顔色がよくないようです」「患者が多く咳をしています」「患者が脱水状態のようです」「患者の呼吸速度が速くなっています」「患者が興奮状態にあるようです」といった音声内容のデータ)を記憶している。
【0063】
また、音声データ記憶部40は、定時発話メッセージにより服薬の確認をする状況に対応付けて、「患者が服薬をしていないようです」といった音声内容のデータを記憶している。
【0064】
通話路形成部41は、ナースコール親機1’の通話路形成部34と協働して、ナースコール親機1’とロボット10’との間に通話路を形成する。音声データ取得部42は、状況判定部16により呼び出しを行うと判定された場合に、患者状況検出部13により検出された患者に関する所定の状況から特定される患者の状態を報知するための音声データを音声データ記憶部40から取得する。
【0065】
音声データ送信部43は、呼出部17による呼び出しによって通話路形成部41によりナースコール親機1’との間に形成される通話路を介して、音声データ取得部42により取得された音声データをナースコール親機1’に送信する。
【0066】
なお、音声データ取得部42は、音声データ記憶部40から取得した音声データを用いて、合成音声の音声データを生成するようにしてもよい。この場合、音声データ記憶部40から取得した音声データに対して、環境センサ8や生体センサ9により検出される情報の内容を付加した合成音声を生成するようにしてもよい。
【0067】
例えば、環境センサ8から供給される環境情報が所定値より大きいまたは小さいことを示している状況の場合、例えば「患者が病室の温度を高く感じています。検出された室内温度は〇〇℃です」といったように、環境情報の値を付加した合成音声を生成するようにしてもよい。また、生体センサ9から供給される各種の生体情報が異常値を示している状況の場合、例えば「患者の発汗量が多くなっています。検出された発汗量は〇〇ccです。」といったように、生体情報の値を付加した合成音声を生成するようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、第2の実施形態では、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況が患者状況検出部13により検出されている場合において、ロボット10’からの発話に対する患者の反応状況に基づいて医療従事者の呼び出しが必要と状況判定部16により判定されたときに、単にナースコール親機1’の呼び出しを行うだけでなく、そのときの患者の状態も音声によりナースコール親機1’に報知するようにしている。これにより、医療従事者は、呼び出しが行われたときの患者の状態を把握して、より適切なケアを迅速かつ効率的に行うことができるようになる。
【0069】
なお、上記第1および第2の実施形態では、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況が患者状況検出部13により検出されたときに、発話部14が患者に対して問いかけのメッセージを一度発話することについて説明したが、患者から返答があった後にロボット10,10’がどのように対応するかについては特に言及していない。ロボット10,10’は、反応状況検出部15により検出された患者の反応状況に基づいて、患者に対して追加の発話または所定の動作を行うようにしてもよい。
【0070】
例えば、患者の離床検出に応じて発話を行うシーンにおいて、「どこにいくのですか?」という問いかけのメッセージに対して、病室外の場所に行くという内容の返答が検出された場合に、「看護師さんを呼ぶのでちょっと待っていてくださいね」などのように、患者の行動を抑制するメッセージを発話するようにしてもよい。また、ロボット10,10’は、患者に対する問いかけのメッセージを発話した後、または行動制止を促す追加のメッセージを発話した後、カメラにより撮影される画像に基づいて患者の行動を解析し、患者がベッドに戻る動作をしたことを検出した場合に、「ありがとうございます」と発話したり、首を上下に動かして頷く動作をしたり、目を点滅させたりするようにしてもよい。このようにすれば、ロボット10,10’からの問いかけに対して患者がよい行動をすればロボット10,10’からよい反応が返ってくることを患者に意識付けることができる。
【0071】
また、上記第1および第2の実施形態では、ロボット10,10’は、患者に対する問いかけのメッセージを発話した後、マイク102より入力される患者の返答の有無および返答の内容を患者の反応状況として検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロボット10,10’は、患者に対する問いかけのメッセージを発話した後、カメラにより撮影される画像に基づいて患者の行動を解析し、その行動内容を患者の反応状況として検出するようにしてもよい。例えば、患者の離床検出に応じて発話を行うシーンにおいて、「どこにいくのですか?」という問いかけのメッセージに対して、患者が移動を止めようとしない行動が検出された場合に、呼出部17による呼び出しを行うようにしてもよい。
【0072】
また、上記第1および第2の実施形態では、ロボット10,10’を病室内で使用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、トイレや浴室などの共用場所で使用することも可能である。
【0073】
例えば、ロボット10,10’をトイレで使用する場合、医療従事者の介助を受けて患者がトイレに入ったときに、ロボット10,10’のタイマをスタートさせる。そして、患者状況検出部13は、所定時間(例えば、5分)が経過したときに、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況であることを検出する。これに応じて発話部14は、「大丈夫ですか?」という患者に対する問いかけのメッセージを発話する。さらに、状況判定部16は、反応状況検出部15により検出される発話に対する患者の反応状況が所定の条件を満たすか否かによって、ナースコール親機1,1’に対する呼び出しを行うか否かを判定する。例えば、呼出部17は、体の調子が悪そうな返答の声が検出された場合(平常時に比べて声量が小さい場合、声が震えている場合、うめき声が混じっている場合など)、大丈夫ではないことを内容とする返答が検出された場合、返答がなかった場合に、ナースコール親機1,1’に対する呼び出しを行う。
【0074】
また、ロボット10,10’を浴室で使用する場合、医療従事者の介助を受けて患者が浴室に入ったときに、ロボット10,10’のタイマをスタートさせる。そして、患者状況検出部13は、所定時間(例えば、10分)が経過したときに、患者に対する看護または介護が必要となる可能性のある所定の状況であることを検出する。これに応じて発話部14は、「大丈夫ですか?」という患者に対する問いかけのメッセージを発話する。さらに、状況判定部16は、反応状況検出部15により検出される発話に対する患者の反応状況が所定の条件を満たすか否かによって、ナースコール親機1,1’に対する呼び出しを行うか否かを判定する。例えば、呼出部17は、体の調子が悪そうな返答の声が検出された場合、大丈夫ではないことを内容とする返答が検出された場合、返答がなかった場合に、ナースコール親機1,1’に対する呼び出しを行う。
【0075】
また、上記第1および第2の実施形態では、定時発話メッセージとして、患者の服薬状況を確認するための問いかけのメッセージを用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、食事をとったかどうかを確認するための問いかけのメッセージ、その他患者が行うべき行動を行ったかどうかを確認するための問いかけのメッセージであってもよい。あるいは、患者の安否を定期的に確認するための問いかけのメッセージであってもよい。
【0076】
また、上記第1および第2の実施形態では、ロボット10,10’からの問いかけに患者が応答しなかった場合に、ロボット10,10’の利用シーンに応じて、ナースコールに対する呼び出しを行うか行わないかを上述した通り固定しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロボット10,10’からの問いかけに患者が応答しなかった場合に、ロボット10,10’の利用シーンに応じてナースコールに対する呼び出しを行うか行わないかを予め設定しておくようにしてもよいし、患者ごとにナースコールに対する呼び出しを行うか行わないかを予め設定しておくようにしてもよい。
【0077】
また、上記第1および第2の実施形態では、定時発話メッセージを医療従事者がナースコール親機1,1’で生成し、ロボット10,10’に送信して登録する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、定時発話メッセージのメッセージ情報をメッセージ情報記憶部100にあらかじめ記憶しておくようにしてもよい。
【0078】
また、上記第2の実施形態では、患者の状態を報知するための音声データをロボット10’からナースコール親機1’に送信する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、発話部14により発話をした後、マイク102より入力される患者の発話音声の音声データをロボット10’に録音し、この音声データを、患者の状態を報知するための音声データに代えてまたは加えてロボット10’からナースコール親機1’に送信するようにしてもよい。
【0079】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,1’ ナースコール親機
7 離床センサ
8 環境センサ
9 生体センサ
10,10’ ロボット
11 メッセージ情報受信部
12 メッセージ情報記録部
13 患者状況検出部
14 発話部
15 反応状況検出部
16 状況判定部
17 呼出部
40 音声データ記憶部
41 通話路形成部
42 音声データ取得部
43 音声データ送信部