(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240214BHJP
B65B 37/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310K
B65B37/02
(21)【出願番号】P 2020052903
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨士谷 伸
(72)【発明者】
【氏名】和田 弘史
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-224197(JP,A)
【文献】特開平08-119202(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076267(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部と、
複数の前記薬剤収容部の各々を支持する支持部と、
複数の前記薬剤収容部の各々から排出される前記薬剤を集合させる集合部と、
複数の前記薬剤収容部の各々からの薬剤供給履歴を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記薬剤供給履歴に基づいて、前記支持部における前記薬剤収容部の配置を決定する、決定部と、を備え、
前記決定部は、
ひとまとまりとして供給される複数種類の前記薬剤の組み合わせのうち、前記薬剤供給履歴で頻度がより高い前記組み合わせに含まれる前記薬剤を収容する前記薬剤収容部を、前記集合部により近く配置し、かつ、ひとまとまりとして供給される複数種類の前記薬剤の各々が前記薬剤収容部から前記集合部まで移動する時間を均一化するように、前記薬剤収容部の配置を決定する
、薬剤供給装置。
【請求項2】
各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部と、
複数の前記薬剤収容部の各々を支持する支持部と、
複数の前記薬剤収容部の各々から排出される前記薬剤を集合させる集合部と、
複数の前記薬剤収容部の各々からの薬剤供給履歴を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記薬剤供給履歴に基づいて、前記支持部における前記薬剤収容部の配置を決定する、決定部と、を備え、
前記決定部は、
ひとまとまりとして供給される複数種類の前記薬剤の組み合わせのうち、前記薬剤供給履歴で頻度がより高い前記組み合わせに含まれる前記薬剤を収容する前記薬剤収容部を、前記集合部により近く配置し、かつ、ひとまとまりとして供給される複数種類の前記薬剤のうち、前記薬剤供給履歴でひとまとまりとされる数量のより多い前記薬剤を収容する前記薬剤収容部を、前記集合部により近く配置する
ように、前記薬剤収容部の配置を決定する、薬剤供給装置。
【請求項3】
複数の前記薬剤収容部が上下方向に並べられて配置され、
前記集合部は、前記薬剤収容部の下方に配置される、請求項
1または請求項
2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記決定部は、落下して着地してから静止するまでの時間が長い前記薬剤を収容する前記薬剤収容部を、より低く配置する、請求項
3に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記薬剤供給装置を使用する使用者に、前記決定部によって決定された前記薬剤収容部の配置を案内する案内部をさらに備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記使用者が前記支持部に前記薬剤収容部を装着するときに、前記案内部が前記決定部によって決定された前記薬剤収容部の配置を案内する、請求項
5に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記決定部によって決定された前記薬剤収容部の配置に従って前記薬剤収容部の位置を変更する位置変更部をさらに備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項8】
前記位置変更部は、前記薬剤収容部から前記薬剤が排出されない間に、前記薬剤収容部の位置を変更する、請求項
7に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平6-278701号公報(特許文献1)には、落下した錠剤が着地してから静止するまでの時間が長く、かつ使用頻度が高い錠剤を、位置が低いフィーダに収納することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤供給装置においては、必要な薬剤を供給するために必要な時間を短縮することが望まれる。上記文献には、使用頻度が高い錠剤を速やかに包装できるので全体の処理時間が早くなると記載されているが、未だ改善の余地がある。
【0005】
本開示では、薬剤供給の所要時間を短縮できる、薬剤供給装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部と、複数の薬剤収容部の各々を支持する支持部と、複数の薬剤収容部の各々からの薬剤供給履歴を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された薬剤供給履歴に基づいて、支持部における薬剤収容部の配置を決定する、決定部と、を備える、薬剤供給装置が提案される。
【0007】
上記の薬剤供給装置は、複数の薬剤収容部の各々から排出される薬剤を集合させる集合部を備え、決定部は、薬剤が薬剤収容部から集合部まで移動する時間を考慮して、薬剤収容部の配置を決定してもよい。
【0008】
上記の薬剤供給装置において、決定部は、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤の各々が薬剤収容部から集合部まで移動する時間を均一化するように、薬剤収容部の配置を決定してもよい。
【0009】
上記の薬剤供給装置において、決定部は、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤のうち、薬剤供給履歴でひとまとまりとされる数量のより多い薬剤を収容する薬剤収容部を、集合部により近く配置してもよい。
【0010】
上記の薬剤供給装置において、決定部は、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤の組み合わせのうち、薬剤供給履歴で頻度がより高い組み合わせに含まれる薬剤を収容する薬剤収容部を、集合部により近く配置してもよい。
【0011】
上記の薬剤供給装置において、複数の薬剤収容部が上下方向に並べられて配置され、集合部は、薬剤収容部の下方に配置されてもよい。
【0012】
上記の薬剤供給装置において、決定部は、落下して着地してから静止するまでの時間が長い薬剤を収容する薬剤収容部を、より低く配置してもよい。
【0013】
上記の薬剤供給装置は、薬剤供給装置を使用する使用者に、決定部によって決定された薬剤収容部の配置を案内する案内部をさらに備えてもよい。
【0014】
上記の薬剤供給装置において、使用者が支持部に薬剤収容部を装着するときに、案内部が決定部によって決定された薬剤収容部の配置を案内してもよい。
【0015】
上記の薬剤供給装置は、決定部によって決定された薬剤収容部の配置に従って薬剤収容部の位置を変更する位置変更部をさらに備えてもよい。
【0016】
上記の薬剤供給装置において、位置変更部は、薬剤収容部から薬剤が排出されない間に、薬剤収容部の位置を変更してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る薬剤供給装置に従えば、薬剤供給の所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】薬剤供給装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】薬剤供給装置の一方の扉を開けた状態の斜視図である。
【
図3】薬剤供給装置の内部の構成を模式的に示す図である。
【
図5】ホッパ部材の近傍の動作中の様子を示す説明図である。
【
図8】薬剤供給装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図9】第一実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
【
図10】第一実施形態における薬剤収容部の配置を示す模式図である。
【
図11】第二実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
【
図12】第二実施形態における薬剤収容部の配置を示す模式図である。
【
図13】第三実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
【
図14】第三実施形態における薬剤収容部の配置を示す模式図である。
【
図15】第四実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
【
図16】第四実施形態における薬剤収容部の配置を示す模式図である。
【
図17】第五実施形態における薬剤収容部の配置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
[第一実施形態]
(薬剤供給装置101の全体構成)
図1は、薬剤供給装置101の全体構成を示す斜視図である。薬剤供給装置101は、処方箋に基づいて薬剤を供給する。処方箋は、医師が患者に交付する。処方箋には、処方情報が記載されている。処方情報は薬剤情報を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。薬剤供給装置101は、薬剤として、固形の薬剤を供給する。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤などが挙げられる。
【0021】
薬剤供給装置101は、包装ユニット81と、供給ユニット82とを備えている。薬剤供給装置101において、包装ユニット81が下側に、供給ユニット82が上側に配置されている。包装ユニット81は、扉7a,7b,7cを備えている。供給ユニット82は、扉6a,6bを備えている。扉6aは、取っ手8aを有している。扉6bは、取っ手8bを有している。薬剤供給装置101を使用する使用者は、取っ手8aを持って扉6aを開閉することができ、取っ手8bを持って扉6bを開閉することができる。
【0022】
薬剤供給装置101は、正面側の側面の中央部に操作部51を備えている。薬剤供給装置101を使用する使用者は、操作部51を操作することにより、薬剤供給装置101に対する各種指示を入力することができる。操作部51はタッチパネルにより実現されていてもよく、この場合は操作部51はディスプレイを兼ねており、使用者はディスプレイを見ることで薬剤供給装置101の各種状態を確認することができる。
【0023】
図2は、薬剤供給装置101の一方の扉6aを開けた状態の斜視図である。薬剤供給装置101、より詳細には供給ユニット82は、内部に円筒形のドラム20を備えている。
図2においては、扉6aを開けたことによって、開口部3を通じてドラム20が見えている。ドラム20には、各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部が着脱可能に設けられている。ドラム20の構成の詳細は後述する。
【0024】
(薬剤供給装置101の内部構成)
図3は、薬剤供給装置101の内部の構成を模式的に示す図である。供給ユニット82の内部には、一対のドラム20a,20bが配置されている。各ドラム20a,20bに設けられた複数の薬剤収容部の各々から、各薬剤収容部に収容された薬剤が排出される。排出された薬剤は、重力で落下する。
【0025】
ドラム20aの下方に、ホッパシュート11が配置されている。ホッパシュート11は、包装ユニット81の上部に配置されている。ホッパシュート11は、薬剤収容部から排出され重力で落下する薬剤を受ける。ホッパシュート11は、下端に出口11bを有している。ホッパシュート11によって受けられた薬剤は、出口11bを通って、ホッパシュート11から下方へ落下する。出口11bは、複数の薬剤収容部の各々から排出される薬剤を集合させる、実施形態の集合部に相当する。
【0026】
包装ユニット81の内部には、ホッパ部材12が配置されている。ホッパ部材12は、ホッパシュート11の下方に配置されている。ホッパシュート11を通過した薬剤は、ホッパ部材12へと落下する。
図3では、ホッパシュート11の下端がホッパ部材12の上部に挿入されているが、必ずしもこのように挿入されていなくてもよく、ホッパシュート11の出口11bから落下する薬剤がホッパ部材12に受けられるのであればどのような構成であってもよい。
【0027】
包装ユニット81の内部にはまた、包装シート10のロール13が回転可能な状態で設定されている。包装シート10は、矢印91で示されるようにロール13から引き出され、図示しないガイド部材などによって導かれて、矢印92に示されるようにシール機構14に送られる。包装シート10は、第1の側93に進行する。
【0028】
図4は、包装シート10の部分斜視図である。包装シート10は、いわゆる分包紙であってもよい。包装シート10は、加熱することで融着させることが可能な材料と、融着不可能な材料との2層構造を有している。包装シート10は、たとえばポリエチレンを主材料とする層とセロハンを主材料とする2層構造であってもよい。包装シート10は、融着可能な材料の層が内側になるように、2つ折りになっている。底部10cが折り目である。包装シート10の折り目は、包装シート10の長手方向と平行である。包装シート10の折り目は、包装シート10の進行方向と平行である。
【0029】
包装シート10は、第1の側93に向かって送られる。包装シート10は、第1の側93に向かうときに左側に位置する左側部10aと、右側に位置する右側部10bとを含んでいる。左側部10aと右側部10bとは、底部10cを介してつながっている。
図4では、説明の便宜のために、包装シート10を上部を大きくあけたV字形として示したが、実際には包装シート10の上部は、常にこれほど大きく開いていなくてもよい。
【0030】
図4では、一枚物のシートを2つ折りにした包装シート10が示されているが、これはあくまで一例であり、このような構造に限られるものではない。包装シート10は、たとえば2枚の別々のシートを重ね合わせて、底部10cに相当する辺を熱融着などの任意の方法で接合したことによってV字形としたものであってもよい。
【0031】
図5は、ホッパ部材12の近傍の動作中の様子を示す説明図である。ホッパ部材12は、上端に入口12aを有し、下端に出口12bを有している。入口12aは、ホッパ部材12の上端に開口している。出口12bは、ホッパ部材12の下端に開口している。ホッパ部材12は、大まかに見れば筒状であり、上方から下方に向けて断面積が小さくなる形状を有している。ホッパ部材12の出口12bを含む下端部は、包装シート10の内側に配置されており、左側部10aと右側部10bとによって挟まれている。
【0032】
入口12aは、ホッパシュート11によってホッパ部材12に導かれた薬剤1を受け入れるための開口部である。出口12bは下方を向いている。出口12bは、薬剤1を包装シート10の内側に向けて放出するための開口部である。ホッパ部材12は、上方から落下する薬剤1を受け入れて、包装シート10の左側部10aと右側部10bとの間に薬剤1を導く。
【0033】
送りロール16は、矢印92に示されるように包装シート10を進行させ、第1の側93に包装シート10を送る。包装シート10の搬送方向におけるホッパ部材12よりも下流側に、シール機構14が配置されている。シール機構14は、包装シート10を両側から挟み込む構造を有している。シール機構14は、包装シート10を加圧および加熱することによって、包装シート10の融着可能な材料を熱融着させ、薬剤1を収容する部分を密封する。
【0034】
図6は、ドラム20の模式的な斜視図である。
図6に示されるように、1つのドラム20は、4つの弧状の分割体30が組み合わされて中空円筒形を成している。ドラム20は、上下方向に延びる中心線CLを中心として両方向に回転可能に、供給ユニット82内に支持されている。
【0035】
図6に示されるドラム20は90°ごとの合計4つの分割体30の組み合わせであるが、この例に限られず、ドラム20はn(nは2以上の整数)個の分割体の組み合わせであってもよい。分割体30の1個当たりの中心角は、nの値に従って変わる。分割体30の1個当たりの中心角は、たとえば360°をn等分した角度であってもよい。ドラム20はn個の分割体30を含み、さらに、これらの分割体30を互いにつなぎ止める機構、またはこれらの分割体30を保持する機構を備えていてもよい。
【0036】
図7は、分割体30の斜視図である。
図7に示される分割体30は、
図6に示されるドラム20を構成する1つの分割体30を取り出したものである。
図7に示される軸方向Zは、ドラム20の中心線CL(
図6)に平行に延びる方向である。
図7に示される周方向θは、ドラム20の中心線CLを中心とする周方向である。
【0037】
分割体30は、上部34と、下部35とを備えている。上部34と下部35との間に、薬剤収容部31が配列されている。薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤収容部31は、支持部32によって、それぞれ位置決めされて支持されている。分割体30は、複数の薬剤収容部31と、薬剤収容部31と同数の支持部32とを有している。
【0038】
複数の薬剤収容部31の各々には、薬剤1が複数個収容されている。薬剤1が錠剤である場合には、薬剤収容部31には複数個の錠剤が収容されている。複数の薬剤収容部31のうちいずれか1つの薬剤収容部31に注目した場合、1つの薬剤収容部31には基本的に同じ種類の薬剤1のみが収容されている。異なる薬剤収容部31には、基本的に異なる種類の薬剤1が収容されているが、使用頻度が高い薬剤1が複数個の薬剤収容部31に収容されていてもよい。
【0039】
複数の薬剤収容部31の各々は、それぞれの内部に収容している薬剤1を適宜排出することができる。実施形態の薬剤供給装置101は、薬剤収容部31から排出された一種類または複数種類の薬剤1を包装ユニット81で分包して供給する装置である。
【0040】
各々の支持部32は、板状に形成されている。支持部32は、軸方向Zおよび周方向θに、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤収容部31は、上下の支持部32間に、着脱可能に取り付けられている。各々の薬剤収容部31は、支持部32に装着および支持部32からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
【0041】
(薬剤供給装置101のシステム構成)
図8は、薬剤供給装置101のシステム構成を示すブロック図である。
図8に示されるブロック図は、薬剤供給装置101の構成のうち、以下に説明する薬剤収容部31の配置の決定に関連する一部構成の機能ブロックのみを図示したものであり、薬剤供給装置101の全ての構成の機能ブロックを図示するものではない点、留意すべきである。
【0042】
薬剤供給装置101は、コントローラ40を備えている。コントローラ40は、各種演算処理および制御を実行する。コントローラ40は、記憶部41を有している。記憶部41は、薬剤供給装置101の各種の動作を実行するためのプログラムを格納するとともに、必要な情報を記憶する領域として設けられている。コントローラ40は、記憶部41に格納されているプログラムおよび情報に基づいて、薬剤供給装置101の全体の動作を制御する。記憶部41は、調剤履歴を記憶する。調剤履歴は、実施形態の薬剤供給履歴に相当する。決定部42は、複数の薬剤収容部31の各々の配置を決定する。コントローラ40は、決定部42が決定した配置に従って、各薬剤収容部31の配置を変更するための制御を実行する。
【0043】
図1にも示される操作部51は、薬剤供給装置101を使用する使用者によって操作される。使用者が操作部51を操作することで、薬剤供給装置101の動作に必要な情報が、コントローラ40に入力される。コントローラ40に入力される情報は、たとえば処方箋に基づく処方データである。
【0044】
入出力インタフェース46は、たとえば、外部装置と接続するためのインタフェースであり、典型的にはUSB(Universal Serial Bus)ポートなどである。または入出力インタフェース46は、たとえば、通信ネットワークを介した通信を行なうためのインタフェースであり、典型的には有線LAN(Local Area Network)モジュールまたは無線LANモジュールなどである。処方データは、外部装置から入出力インタフェース46を経由してコントローラ40に入力されてもよい。
【0045】
情報読取部48は、情報を一次元コードまたは二次元コードで表したコード化情報を読み取り可能なコードリーダーである。コード化情報は、各々の薬剤収容部31に、たとえば印刷、貼付などされることにより取り付けられている。コード化情報は、バーコードであってもよく、情報を白色および黒色のセルで縦横モザイク状に表示したマトリクス型二次元コードであってもよい。コード化情報に含まれる情報は、各薬剤収容部31に収容されている薬剤の種類を含んでいる。情報読取部48によって読み取られた情報は、コントローラ40に入力される。
【0046】
情報読取部48は、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタであってもよい。この場合、各々の薬剤収容部31には、RFIDタグが取り付けられている。
【0047】
ディスプレイ52は、情報を表示可能な表示部である。コントローラ40からディスプレイ52に対して、ディスプレイ52に表示されるべき情報が出力される。ディスプレイ52に表示される情報は、薬剤収容部31の配置を含んでいる。薬剤供給装置101を使用する使用者は、ディスプレイ52を見ることで、各々の薬剤収容部31がどの支持部32に支持されるように配置されるのかを認識することができる。
図1を参照して説明した通り、操作部51がタッチパネルにより実現されている場合、操作部51がディスプレイ52を兼ねていてもよい。
【0048】
プリンタ53は、情報を印刷する。コントローラ40からプリンタ53に対して、プリンタ53から出力されるべき情報が出力される。プリンタ53により印刷される情報は、薬剤収容部31の配置を含んでいる。薬剤供給装置101を使用する使用者は、プリンタ53によって印刷された印刷物を見ることで、各々の薬剤収容部31がどの支持部32に支持されるように配置されるのかを認識することができる。
【0049】
点灯部33は、たとえばLED(Light Emitting Diode)により実現される。薬剤供給装置101は、複数の点灯部33を備えている。典型的には、薬剤供給装置101は支持部32と同数の点灯部33を備えており、各々の点灯部33が支持部32に取り付けられている。コントローラ40から点灯部33に対して、複数の点灯部33のうちどの点灯部33を点灯させるかを示す制御信号を出力される。薬剤供給装置101を使用する使用者は、点灯している点灯部33を見ることで、今から支持部32に装着する薬剤収容部31をどの支持部32に装着するのかを認識することができる。
【0050】
ディスプレイ52、プリンタ53、および点灯部33は、薬剤供給装置101を使用する使用者に薬剤収容部31の配置を案内する、実施形態の案内部に相当する。使用者が支持部32に薬剤収容部31を装着するときに、案内部が薬剤収容部31の配置を案内する。使用者は、ディスプレイ52を見る、プリンタ53によって印刷された印刷物を見る、または点灯している点灯部33を確認することで、複数の支持部32のうちどの支持部32に薬剤収容部31を装着すればよいかを認識することができる。
【0051】
位置変更部60は、コントローラ40により決定された薬剤収容部31の配置に従って、支持部32における薬剤収容部31の位置を変更する。コントローラ40から位置変更部60に対して、各薬剤収容部31の配置が出力される。さらに、コントローラ40から位置変更部60に対して、各薬剤収容部31の位置を変更して決定された配置にする制御信号が出力される。位置変更部60は、たとえば、薬剤収容部31を掴んで支持部32から取り外し可能および支持部32に装着可能な、ロボットアームである。
【0052】
(薬剤収容部31の配置の決定)
図9は、第一実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
図9に示される調剤履歴は、記憶部41に記憶されている。
図9には、分包の過去の履歴が示されている。
図9に示される調剤履歴は、過去にコントローラ40に入力された処方データに基づいて薬剤供給装置101が実行した分包の履歴であってもよい。または、他の薬剤供給装置が実行した分包の履歴を一括してコントローラ40に入力して、記憶部41に記憶させてもよい。処方データが新たにコントローラ40に入力されると、調剤履歴は更新される。
【0053】
図9に示される薬剤A~Fは、それぞれ異なる種類の薬剤を示す。薬剤A~Fは、それぞれ異なる薬剤収容部31に収容されている。
図9には、1包目から10包目までの包装袋に、薬剤A~Fのうちどの薬剤が分包されたのかの履歴が示されている。
【0054】
具体的に、1包目、4包目、5包目、7包目および10包目の包装袋には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが分包されている。2包目、6包目および9包目の包装袋には、1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Dとが分包されている。3包目および8包目の包装袋には、1錠の薬剤Eと1錠の薬剤Fとが分包されている。
【0055】
薬剤Aと薬剤B、薬剤Cと薬剤D、および、薬剤Eと薬剤Fは、それぞれ、ひとまとまりとして供給される。決定部42は、過去の履歴に基づいて、薬剤収容部31の配置を決定する。1包目から10包目の包装袋に分包された薬剤の組み合わせのうち、薬剤Aと薬剤Bが高頻度であり、薬剤Cと薬剤Dが中頻度であり、薬剤Eと薬剤Fが低頻度である。決定部42は、高頻度で供給される薬剤Aおよび薬剤Bの分包の所要時間を短くするように、薬剤収容部31の配置を決定する。
【0056】
図10は、第一実施形態における薬剤収容部31の配置を示す模式図である。
図10には、ドラム20の一部分が模式的に図示されている。
図7に示される分割体30が周方向θに4つの薬剤収容部31を有しており、4つの分割体30の組み合わせでドラム20が構成されているので、ドラム20は実際には同じ高さに4×4=16個の薬剤収容部31を含んでいる。
図10では、説明の簡略化のため、上下方向に8列の薬剤収容部31が並べられて配置され、同じ高さに4つの薬剤収容部31が並べられて配置されている。
【0057】
ホッパシュート11は、ドラム20の下方に配置されている。そのためホッパシュート11の出口11bは、薬剤収容部31の下方に配置されている。
【0058】
図10に示される薬剤収容部31Aは、薬剤Aを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Bは、薬剤Bを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Cは、薬剤Cを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Dは、薬剤Dを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Eは、薬剤Eを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Fは、薬剤Fを収容する薬剤収容部である。
【0059】
ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤の組み合わせのうち、過去の履歴において頻度の高かった薬剤Aおよび薬剤Bを収容する薬剤収容部31A,31Bが、最も低く配置されている。中頻度の薬剤Cおよび薬剤Dを収容する薬剤収容部31C,31Dは、薬剤収容部31A,31Bよりも高く配置されている。低頻度の薬剤Eおよび薬剤Fを収容する薬剤収容部31E,31Fが、高い位置に配置されている。
【0060】
ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤の組み合わせのうち、過去の履歴で頻度がより高い組み合わせに含まれる薬剤Aおよび薬剤Bを収容する薬剤収容部31A,31Bが、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されている。複数組の薬剤の組み合わせのうち、過去の履歴で頻度がより低い組み合わせに含まれる薬剤Eおよび薬剤Fを収容する薬剤収容部31E,31Fが、ホッパシュート11の出口11bからより遠く配置されている。このように、薬剤が薬剤収容部31からホッパシュート11の出口まで移動する時間を考慮して薬剤収容部31の配置を決定することで、頻度の高い薬剤Aおよび薬剤Bを供給するために要する時間を短くできる。したがって、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0061】
同じ包装袋に分包される薬剤Aおよび薬剤Bを収容する薬剤収容部31A,31Bが、
図10においては、互いに同じ高さ位置に配置されている。薬剤収容部31Aからホッパシュート11の出口11bまでの経路長と、薬剤収容部31Bからホッパシュート11の出口11bまでの経路長とを等しくするように、薬剤収容部31A,31Bが配置されている。同様に、薬剤収容部31C,31D、薬剤収容部31E,31Fもまた、互いに同じ高さ位置に配置されている。同じ組み合わせに含まれる複数種類の薬剤の各々が薬剤収容部31からホッパシュート11の出口11bまで移動する時間を均一化するように、薬剤収容部31の配置が決定されている。
【0062】
1つの包装袋に分包される薬剤のうち、薬剤の種類ごとに分包の所要時間が異なると、所要時間の長い薬剤に合わせて分包しなければならないため、全体としての分包の所要時間が長くなる。同じ組み合わせに含まれる複数種類の薬剤を収容する薬剤収容部31の配置を調整して、薬剤収容部31からホッパシュート11の出口11bまでの経路長を等しくし、薬剤がホッパシュート11の出口11bまで到達する時間を揃えることで、分包の所要時間の差が小さくなり、待ち時間を減らせる。したがって、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。
【0063】
このようにして決定された薬剤収容部31の配置の一覧が、ディスプレイ52に表示されるか、またはプリンタ53によって印刷される。薬剤供給装置101を使用する使用者は、薬剤収容部31への薬剤の補充または薬剤収容部31の差し替えなどの機会に薬剤収容部31を支持部32に装着するときに、ディスプレイ52または印刷物を見て、適切な位置に薬剤収容部31を装着することができる。
【0064】
今から装着しようとする薬剤収容部31に記録されている情報を情報読取部48によって読み取ることで、コントローラ40は、その薬剤収容部31をどの位置に装着すればよいかを判断できる。その薬剤収容部31を装着すべき位置にある支持部32の点灯部33を点灯させ、使用者がその点灯部33が点灯している支持部32に薬剤収容部31を装着することで、適切な位置に薬剤収容部31を装着することができる。
【0065】
薬剤収容部31の配置の変更は、上記の通り使用者が行なってもよく、または
図8に示される位置変更部60が行なってもよい。位置変更部60が薬剤収容部31の位置を変更する場合、薬剤収容部31から薬剤が排出されない間に、配置の変更が行なわれる。たとえば夜間など、コントローラ40に処方データが入力されていない期間中に、位置変更部60が薬剤収容部31の位置を変更してもよい。このようにすれば、薬剤の排出を実行中の薬剤収容部31が意図せずに取り外されることを確実に回避でき、適切に薬剤収容部31の配置の変更を行なうことができる。
【0066】
[第二実施形態]
図11は、第二実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
図11には、
図9と同様に、1包目から10包目までの包装袋に、薬剤A~Fのうちどの薬剤が分包されたのかの履歴が示されている。
【0067】
具体的に、1包目、4包目、5包目、7包目および10包目の包装袋には、1錠の薬剤Aと2錠の薬剤Bとが分包されている。2包目、6包目および9包目の包装袋には、1錠の薬剤Cと2錠の薬剤Dとが分包されている。3包目および8包目の包装袋には、1錠の薬剤Eと2錠の薬剤Fとが分包されている。
【0068】
薬剤Aと薬剤B、薬剤Cと薬剤D、および、薬剤Eと薬剤Eは、それぞれ、ひとまとまりとして供給される。このひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤のうち、過去の履歴でひとまとまりとされる数量のより多い薬剤を収容する薬剤収容部31が、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されるように、薬剤収容部31の配置が決定される。
【0069】
図12は、第二実施形態における薬剤収容部31の配置を示す模式図である。
図12には、
図10と同様に、ドラム20の一部分が模式的に図示されている。
図10と同様に、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤の組み合わせのうち、過去の履歴で頻度がより高い組み合わせに含まれる薬剤を収容する薬剤収容部31が、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されている。
【0070】
薬剤Aと薬剤Bとの組み合わせのうち、同じ包装袋に1錠分包される薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aよりも、2錠分包される薬剤Bを収容する薬剤収容部31Bが、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されている。薬剤Cと薬剤Dとの組み合わせのうち、同じ包装袋に1錠分包される薬剤Cを収容する薬剤収容部31Cよりも、2錠分包される薬剤Dを収容する薬剤収容部31Dが、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されている。薬剤Eと薬剤Fとの組み合わせのうち、同じ包装袋に1錠分包される薬剤Eを収容する薬剤収容部31Eよりも、2錠分包される薬剤Fを収容する薬剤収容部31Fが、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置されている。
【0071】
このように薬剤収容部31の配置を決定することにより、薬剤収容部31Aから排出された1錠の薬剤Aがホッパシュート11の出口11bまで移動する所要時間と、薬剤収容部31Bから排出された2錠の薬剤Bがホッパシュート11の出口11bまで移動する所要時間との差が小さくなる。同じ組み合わせに含まれる複数種類の薬剤Aおよび薬剤Bの各々が、薬剤収容部31A,31Bからホッパシュート11の出口11bまで移動する時間が均一化される。これにより待ち時間を減らすことができ、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。
【0072】
[第三実施形態]
図13は、第三実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
図13には、
図9と同様に、1包目から10包目までの包装袋に、薬剤A~Fのうちどの薬剤が分包されたのかの履歴が示されている。
【0073】
具体的に、1包目、4包目、7包目および10包目の包装袋には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが分包されている。2包目、5包目、6包目および9包目の包装袋には、1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Dとが分包されている。3包目および8包目の包装袋には、1錠の薬剤Eと1錠の薬剤Fとが分包されている。
【0074】
薬剤Aと薬剤B、薬剤Cと薬剤D、および、薬剤Eと薬剤Eは、それぞれ、ひとまとまりとして供給される。1包目から10包目の包装袋に分包された薬剤の組み合わせのうち、薬剤Eと薬剤Fが低頻度である。薬剤Aと薬剤B、および、薬剤Cと薬剤Dは、同じ頻度である。
【0075】
ここで、薬剤Cおよび薬剤Dは、薬剤Aおよび薬剤Bと比較して、薬剤の安定化時間、すなわち落下した薬剤が着地してから静止するまでの時間がより長いという性質を有しているものとする。
【0076】
図14は、第三実施形態における薬剤収容部31の配置を示す模式図である。
図14に示されるように、安定化時間の異なる薬剤が同じ頻度で薬剤収容部31から排出される場合には、安定化時間のより長い薬剤Cおよび薬剤Dを収容する薬剤収容部31C,31Dがより低く配置されるように、薬剤収容部31の配置が決定される。
【0077】
このように薬剤収容部31の配置を決定し、安定化時間の長い薬剤Cおよび薬剤Dが落下する距離を短くすることにより、ホッパシュート11に着地した薬剤Cおよび薬剤Dの跳ねを抑制できる。薬剤Cおよび薬剤Dを速やかにホッパシュート11の出口11bまで移動させることが可能になる。これにより薬剤Cおよび薬剤Dを供給するために要する時間を短くできるので、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。
【0078】
薬剤の性質として、着地したときの衝撃による割れやすさもまた、薬剤の種類毎に異なる。薬剤が薬剤収容部31から排出される頻度にかかわらず、割れやすい薬剤を収容する薬剤収容部31は、優先的に低い位置に配置される。割れやすい薬剤が落下する距離を短くして、割れやすい薬剤がホッパシュート11に着地したときの薬剤に作用する衝撃力を低減することで、薬剤の割れを抑制できる。割れた薬剤を不良品として除く頻度を減らすことにより、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができ、調剤を効率化することができる。
【0079】
[第四実施形態]
図15は、第四実施形態における調剤履歴を示すテーブルである。
図15には、
図9と同様に、1包目から10包目までの包装袋に、薬剤A~Fのうちどの薬剤が分包されたのかの履歴が示されている。
【0080】
具体的に、1包目、2包目、5包目、7包目、8包目および10包目の包装袋には、1錠の薬剤Aが分包されている。4包目および9包目の包装袋には、3錠の薬剤Bが分包されている。6包目の包装袋には、1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Dとが分包されている。3包目の包装袋には、1錠の薬剤Eと1錠の薬剤Fとが分包されている。
【0081】
第四実施形態では、薬剤Aと薬剤Bとに着目して説明する。1包目から10包目までの包装袋に分包される数量は、薬剤Aが6錠、薬剤Bも6錠で同数である。薬剤Aは、1錠ずつ6つの包装袋に分包される。薬剤Bは、3錠ずつ2つの包装袋に分包される。
【0082】
図16は、第四実施形態における薬剤収容部31の配置を示す模式図である。薬剤Aと薬剤Bとのうち、分包される回数の多い薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aがより低く配置されるように、薬剤収容部31の配置が決定される。
【0083】
1つの包装袋に同じ種類の薬剤を複数個分包する場合には、薬剤収容部31から連続して薬剤を排出され、複数個の薬剤が薬剤収容部31からホッパシュート11の出口11bまで移動する時間が重なる。1個の薬剤が薬剤収容部31からホッパシュート11の出口11bまで移動する時間と薬剤の個数とを乗算した時間よりも、同じ種類の複数個の薬剤が薬剤収容部31からホッパシュート11の出口11bまで移動する所要時間は短くなる。そのため、
図16に示されるように、薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aをより低く配置し、薬剤Bを収容する薬剤収容部31Bをより高く配置することで、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。
【0084】
[第五実施形態]
図17は、第五実施形態における薬剤収容部31の配置を示す模式図である。これまでの説明では、薬剤収容部31は円筒形状のドラム20に装着されていたが、供給ユニット82は必ずしもドラム20を含まなくてもよい。第五実施形態では、供給ユニット82は、縦横に薬剤収容部31を並べて配置した棚20Xを有している。薬剤収容部31は、上下方向と左右方向とに、平面的に並べられて配置されている。ホッパシュート11の出口11bは、棚20Xの中心からずれた位置に配置されている。
【0085】
第五実施形態では、
図11を参照して説明した第二実施形態と同じ調剤履歴に基づいて薬剤収容部31の配置を決定する別の例について説明する。薬剤収容部31の配置を決定する思想は、第二実施形態と同様に、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤のうち、過去の履歴でひとまとまりとされる数量のより多い薬剤を収容する薬剤収容部31を、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置する、というものである。
【0086】
棚20Xが薬剤収容部31を縦横に並べて支持しており、ホッパシュート11の出口11bが棚20Xの中心からずれていることで、同じ高さに配置された2つの薬剤収容部31の各々からホッパシュート11の出口11bまでの経路長が異なる。
図17に示されるように、薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aと薬剤Bを収容する薬剤収容部31Bとを同じ高さに配置した上で、同じ包装袋に1錠分包される薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aよりも、2錠分包される薬剤Bを収容する薬剤収容部31Bを、ホッパシュート11の出口11bにより近く配置することができる。
【0087】
したがって、第二実施形態と同様に、薬剤収容部31Aから排出された1錠の薬剤Aがホッパシュート11の出口11bまで移動する所要時間と、薬剤収容部31Bから排出された2錠の薬剤Bがホッパシュート11の出口11bまで移動する所要時間との差を小さくできるので、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。
【0088】
なお、これまでの説明では、固形の薬剤を薬剤収容部31から重力で落下させて分包する例について説明した。薬剤供給装置101によって供給される薬剤は、固形の薬剤に限られない。液状の薬剤を収容するアンプルを集合させて薬剤供給装置101から払い出す構成においても、上記の実施形態の思想を適用して各種類のアンプルの配置を決定することで、薬剤を供給する全体の時間を短縮できる効果を同様に得ることができる。
【0089】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 薬剤、10 包装シート、11 ホッパシュート、11b,12b 出口、12 ホッパ部材、12a 入口、13 ロール、14 シール機構、16 送りロール、20,20a,20b ドラム、20X 棚、30 分割体、31,31A,31B,31C,31D,31E,31F 薬剤収容部、32 支持部、40 コントローラ、41 記憶部、42 決定部、46 入出力インタフェース、48 情報読取部、51 操作部、52 ディスプレイ、53 プリンタ、60 位置変更部、81 包装ユニット、82 供給ユニット、91,92 矢印、93 第1の側、101 薬剤包装装置、CL 中心線。