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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】調理車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/025 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B60P3/025 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021066740
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161714
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】520365377
【氏名又は名称】株式会社SPCコンシューママーケティング
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】古家 諭
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-240466(JP,A)
【文献】特開平9-105524(JP,A)
【文献】特開平9-299017(JP,A)
【文献】米国特許第4643167(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102014002098(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/025
A47J 37/00- 37/07
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理設備を設置する厨房空間を備えた調理車両であって、
前記厨房空間を構成する箱体と、
前記厨房空間内における前記箱体に固定されるスチームコンベクションオーブンと、
前記スチームコンベクションオーブンに所定圧力で水を供給するためのポンプと、
前記スチームコンベクションオーブンの蒸気排気口に接続され、前記スチームコンベクションオーブンから前記箱体の外側に向けて延在する排気パイプとを備え、
前記スチームコンベクションオーブンは、開閉扉を有する正面と、前記正面とは反対側の背面とを有し、前記背面が前記箱体の第1の側面と対向し、
前記第1の側面における前記スチームコンベクションオーブンの前記背面と対向する位置には排熱用開口部が設けられる、
調理車両。
【請求項2】
前記箱体の前記第1の側面とは反対側の第2の側面には、接客用開口部が設けられる、
請求項1記載の調理車両。
【請求項3】
前記ポンプは、前記スチームコンベクションオーブンへの前記水の供給開始によって稼働し続ける連続運転型の電動ポンプである、請求項1又は請求項2に記載の調理車両。
【請求項4】
前記スチームコンベクションオーブンを前記箱体に固定するためのラックをさらに備え、
前記ラックは、前記スチームコンベクションオーブンを所定高さに配置する棚板と、
前記棚板の四隅を支持する4本の支柱と、
を備え、
前記4本の支柱のそれぞれの下端は前記箱体の床面に締結固定され、
前記4本の支柱のうちの3本の支柱は前記箱体の壁面に締結固定され、
前記壁面に締結固定される前記3本の支柱のうちの1本の支柱は前記箱体の隅部に当接した状態で締結固定される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の調理車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理設備を備えた調理車両に関するもので、特に調理設備としてスチームコンベクションオーブンを備えた調理車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理設備を備えた調理車両は、移動先で調理を行うことで場所を問わずに料理を提供することができる。調理車両は移動式の店舗(いわゆるキッチンカー)としても利用可能であり、近年は益々需要が高まっている。
【0003】
特許文献1には、自動車または牽引車のトレーラに搭載して移動する車体内に気体または液体を燃料とする燃焼器を使用する調理器および調理具等を備えてなる調理車両が開示される。また、特許文献2には、自動車自身または牽引車のトレーラに搭載して移動する電気を主体または補助に使用する調理器を備え、搭載発電機による電気を使用してなる調理車両が開示される。また、特許文献3には、調理空間と区切られた空間で、調理空間内の状況を管理できる調理車両が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平06-305357号公報
【文献】特開平07-069122号公報
【文献】特開2006-240466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調理車両においては、限られた厨房空間に効率良く、かつ安全に調理器具などの設備を設置しておくことが重要である。特に、スチームコンベクションオーブンを調理車両に設置しようとした場合、水の供給、排熱の処理、車両検査への対応など、実際に使用可能な状態で設置するためには課題が多い。
【0006】
本発明の目的は、使用可能な状態でスチームコンベクションオーブンを設置することができる調理車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、調理設備を設置する厨房空間を備えた調理車両であって、厨房空間を構成する箱体と、厨房空間内における箱体に固定されるスチームコンベクションオーブンと、スチームコンベクションオーブンに所定圧力で水を供給するためのポンプと、スチームコンベクションオーブンの蒸気排気口に接続され、スチームコンベクションオーブンから箱体の外側に向けて延在する排気パイプと、を備えた調理車両である。
【0008】
このような構成によれば、調理車両であってもポンプからスチームコンベクションオーブンへ所定圧力の水を供給することができるとともに、スチームコンベクションオーブンが設置された厨房空間から箱体の外側に向けて排気パイプを介して高温の水蒸気を排出することができる。
【0009】
上記調理車両において、スチームコンベクションオーブンは、開閉扉を有する正面と、正面とは反対側の背面とを有し、背面が箱体の第1の側面と対向し、第1の側面におけるスチームコンベクションオーブンの背面と対向する位置には排熱用開口部が設けられることが好ましい。このように、スチームコンベクションオーブンの背面を箱体の第1の側面に対向させるように設置することで、スチームコンベクションオーブンの背面から放出される熱を第1の側面に設けられた排熱用開口部から箱体の外部へ効率良く排出できるようになる。
【0010】
上記調理車両において、箱体の第1の側面とは反対側の第2の側面には、接客用開口部が設けられることが好ましい。これにより、スチームコンベクションオーブンが設置される箱体の第1の側面とは反対側の第2の側面に設けられた接客用開口部から接客を行うことができ、スチームコンベクションオーブンの排熱を接客側とは反対側に放出しやすくなる。
【0011】
上記調理車両において、ポンプは、スチームコンベクションオーブンへの水の供給開始によって稼働し続ける連続運転型の電動ポンプであることが好ましい。これにより、調理車両であってもポンプからスチームコンベクションオーブンへ十分な水圧で水を供給することができる。
【0012】
上記調理車両において、スチームコンベクションオーブンを箱体に固定するためのラックをさらに備え、ラックは、スチームコンベクションオーブンを所定高さに配置する棚板と、棚板の四隅を支持する4本の支柱と、を備え、4本の支柱のそれぞれの下端は箱体の床面に締結固定され、4本の支柱のうちの3本の支柱は箱体の壁面に締結固定され、壁面に締結固定される3本の支柱のうちの1本の支柱は箱体の隅部に当接した状態で締結固定されることが好ましい。これにより、4本の支柱を備えたラックを箱体の隅部に合わせて強固に締結固定でき、このラックを介してスチームコンベクションオーブンを箱体に対して確実に固定しておくことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用可能な状態でスチームコンベクションオーブンを設置することができる調理車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る調理車両の構成を例示する模式側面図である。
図2図2は、本実施形態に係る調理車両の構成を例示する模式平面図である。
図3図3は、本実施形態に係る調理車両に適用されるスチームコンベクションオーブンを例示する斜視図である。
図4図4は、排気パイプを例示する斜視図である。
図5図5は、スチームコンベクションオーブンの蒸気排気口を説明する模式図である。
図6図6は、ラックを例示する斜視図である。
図7図7は、ラックの取り付け部分について例示する斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係る調理車両の他の実施形態を例示する模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0016】
(調理車両の構成)
図1は、本実施形態に係る調理車両の構成を例示する模式側面図である。
図2は、本実施形態に係る調理車両の構成を例示する模式平面図である。
図3は、本実施形態に係る調理車両に適用されるスチームコンベクションオーブンを例示する斜視図である。
本実施形態に係る調理車両1は、調理設備を設置する厨房空間Sを備えた車両であり、例えばトラックの荷室部分を厨房空間Sとして利用した、いわゆるキッチンカーである。調理車両1は、厨房空間Sを構成する箱体10を有する。箱体10は運転席の後方に配置される略直方体型の構造物である。箱体10は、天井部分である上面101、床部分である下面102、前方部分である前面103、後方部分である後面104、調理車両1の進行方向の右手側の部分である右面105、および左手側の部分である左面106を有する。この箱体10の内部が厨房空間Sとなる。
【0017】
厨房空間Sには、各種の調理設備が設置される。調理設備としては、例えば、シンク51、冷凍冷蔵庫52、卓上フライヤ53、作業台54、LPガスボンベ55、給水タンク56、排水タンク57などである。冷凍冷蔵庫52の天板は作業台54と兼用になっていてもよい。箱体10内の厨房空間Sの略中央には作業者の動線が確保される。このため、各調理設備は箱体10内の壁面に寄せた位置に配置される。また、箱体10には、発電機などから供給された電力を受けて各調理設備へ振り分ける分電盤61、厨房空間Sへの給気を行う給気口62、厨房空間S内の空気を排出する換気扇63や換気窓64なども設けられる。
【0018】
本実施形態に係る調理車両1は、調理設備としてスチームコンベクションオーブン20を備える。スチームコンベクションオーブン20は、後述するラック80を介して厨房空間S内における箱体10に固定される。
【0019】
スチームコンベクションオーブン20は、オーブンにスチーム発生装置を備えた調理器具で、熱風や蒸気を利用して食材を焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるなど多機能の調理モードを有する。スチームコンベクションオーブン20は、筐体21の正面211に設けられる開閉扉22と、操作パネル23と、筐体21の上面212に設けられる蒸気排気口24とを有する。スチームコンベクションオーブン20の筐体21内(庫内)はもちろん、筐体21の蒸気排気口24からは高温の蒸気が排出される。
【0020】
ここで、一般の厨房(例えば、固定店舗の厨房)ではスチームコンベクションオーブン20の上にレンジフードを配置し、スチームコンベクションオーブン20から上方に排出される蒸気をレンジフードで受けて外部へ排出する。しかし、調理車両1では限られた厨房空間Sに大型のレンジフードを設けることは困難である。本実施形態では、スチームコンベクションオーブン20の蒸気排気口24に排気パイプ40を接続し、スチームコンベクションオーブン20から箱体10の外側に向けて排気パイプ40を延出させて高温の蒸気を外部へ排出する。
【0021】
また、蒸気を扱うスチームコンベクションオーブン20には、所定圧力で水を供給する必要がある。本実施形態では、スチームコンベクションオーブン20に所定圧力で水を供給するポンプ30を備える。ポンプ30は、スチームコンベクションオーブン20への水の供給開始によって稼働し続ける連続運転型の電動ポンプであることが好ましい。
【0022】
すなわち、一般の厨房では、水道管から安定した圧力で水が供給されることから、水道管からの水をスチームコンベクションオーブン20へ供給すればよい。しかし、調理車両1では水道管からの水の供給を受けられないため、給水タンク56からポンプ30によってスチームコンベクションオーブン20へ水を供給する必要がある。
【0023】
本実施形態に係る調理車両1では、ポンプ30として連続運転型を適用している。連続運転型のポンプ30は、水の供給を開始すると常に作動(水の送り出し動作)を続けるタイプである。つまり、本実施形態で適用されるポンプ30は、所定の水圧を基準にして作動と停止とを繰り返す制御を行うものではなく、水の供給開始によって水の送り出し動作を連続するものである。これにより、調理車両1であってもポンプ30からスチームコンベクションオーブン20へ十分な水圧で水を供給することができる。
【0024】
また、調理車両1では、あまり高圧の電源を用意することができず、一般的には発電機から供給される100V程度の電圧の電力が用いられる。このため、スチームコンベクションオーブン20およびポンプ30は100V程度の電圧で駆動するものが用いられる。連続運転型のポンプ30においても100V程度の電圧で連続運転可能な電動ポンプが適している。
【0025】
(排気パイプ)
図4は、排気パイプを例示する斜視図である。
図5は、スチームコンベクションオーブンの蒸気排気口を説明する模式図である。
排気パイプ40は、スチームコンベクションオーブン20の筐体21の上面212に設けられる蒸気排気口24に接続され、スチームコンベクションオーブン20から箱体10の外側に向けて延在する。スチームコンベクションオーブン20の蒸気排気口24からは高温(約100℃以上)の蒸気が排出される。そこで、排気パイプ40としては、高温の蒸気に耐えうる金属製(例えば、ステンレススチール)のパイプが用いられる。排気パイプ40はスチームコンベクションオーブン20の筐体21から上方に延出し、約90度曲げられて箱体10の側面(例えば、右面105)から外部へ延出するように設けられる。排気パイプ40の箱体10から外部へ延出する部分は着脱自在になっており、調理車両1を走行させる際には排気パイプ40を外しておき、移動先で設営する際に排気パイプ40を取り付けるようにする。
【0026】
スチームコンベクションオーブン20に複数の蒸気排気口24が設けられる場合には、各蒸気排気口24のそれぞれに排気パイプ40を取り付けるようにする。なお、複数の蒸気排気口24に対して排気パイプ40をまとめたマニホールド型にしてもよい。
【0027】
本実施形態では、調理車両1の厨房空間S内において箱体10の右面105を第1の側面として、スチームコンベクションオーブン20の筐体21の背面213(正面211とは反対側)を箱体10の右面105と対向させるように配置している。スチームコンベクションオーブン20の背面213と対向する箱体10の右面105の位置には、排熱用開口部105hが設けられる。この排熱用開口部105hから排気パイプ40が箱体10の外側に突出する。
【0028】
また、スチームコンベクションオーブン20の筐体21全体、特に筐体21の背面213からも熱が放出されるため、筐体21の背面213と箱体10の右面105の排熱用開口部105hとを対向させることで、背面213から放出される熱を排熱用開口部105hから箱体10の外部へ効率良く排出できるようになる。
【0029】
また、本実施形態に係る調理車両1では、箱体10の右面105は反対側の左面106を第2の側面として、左面106に接客用開口部106hが設けられる。箱体10の左面106の外側には、接客用開口部106hの位置に対応してカウンター90が設けられていてもよい。
【0030】
先に説明したように、スチームコンベクションオーブン20は箱体10の第1の側面である右面105に設置されており、箱体10の右面105側からは排熱のための排気パイプ40や排熱用開口部105hが設けられる。この箱体10の右面105とは反対側の左面106に接客用開口部106hやカウンター90を設けることで、箱体10の左面106側で接客を行うことができ、スチームコンベクションオーブン20の排熱を接客側とは反対側に放出して、客に排熱による不快感を与えないようにすることができる。
【0031】
スチームコンベクションオーブン20は調理器具として便利であり、調理車両1でも設置したいという要望は多い。しかし、調理車両1の厨房空間Sといった限られたスペースや資源の制約を受ける厨房にスチームコンベクションオーブン20を設置しようとした場合、スチームコンベクションオーブン20への水の供給の問題や、高温蒸気および筐体21からの排熱の問題が生じる。本実施形態では、これらの問題をクリアし、調理車両1の厨房空間Sであっても、実際に使用可能な状態でスチームコンベクションオーブン20を設置して調理を行うことが可能となる。
【0032】
調理車両1をいわゆるキッチンカーとして利用する場合、調理人は箱体10内の狭い厨房空間Sで効率良く調理をするとともに、接客を行う必要がある。本実施形態に係る調理車両1では、スチームコンベクションオーブン20を箱体10の厨房空間Sに設置する場合の特有の問題を解決することができる。これにより、調理車両1であってもスチームコンベクションオーブン20による調理の幅を拡げられ、キッチンカーとしての客への配慮が行き届くようになる。
【0033】
(ラック)
図6は、ラックを例示する斜視図である。
図7は、ラックの取り付け部分について例示する斜視図である。
本実施形態に係る調理車両1では、スチームコンベクションオーブン20を箱体10に固定するためのラック80が設けられる。ラック80は、スチームコンベクションオーブン20を所定高さに配置する棚板81と、棚板81の四隅を支持する4本の支柱82a、82b、82cおよび82dと、を備える。棚板81および4本の支柱82a、82b、82cおよび82dはスチールによって構成される。
【0034】
ラック80の棚板81の上にはスチームコンベクションオーブン20が配置され、棚板81の下には給水タンク56、ポンプ30およびLPガスボンベ55などが配置される。
【0035】
ラック80において、4本の支柱82a、82b、82cおよび82dのそれぞれの下端は箱体10の床部分である下面102に締結固定(例えば、ボルトおよびナットによる締結固定)される。4本の支柱82a、82b、82cおよび82dのうちの3本の支柱82a、82bおよび82cは箱体10の壁面に締結固定される。また、壁面に締結固定される3本の支柱82a、82bおよび82cのうちの1本の支柱82bは箱体10の隅部に当接した状態で締結固定される。
【0036】
例えば、支柱82aは箱体10の前方部分である前面103に締結固定され、支柱82cは箱体10の右面105に締結固定される。支柱82bは箱体10の前面103と右面105との隅部に合わせて締結固定される。ラック80には、棚板81の裏面を支持する枠体83が設けられる。この枠体83の2辺が箱体10の前面103および右面105にそれぞれ締結固定される。
【0037】
スチームコンベクションオーブン20はラック80の棚板81にボルトなどによって締結固定される。このように、4本の支柱82a、82b、82cおよび82dを備えたラック80を箱体10の隅部に合わせて強固に締結固定することで、このラック80を介してスチームコンベクションオーブン20を箱体10に対して確実に固定しておくことができる。
【0038】
スチームコンベクションオーブン20は100kg程度の重量を有し、調理設備のなかでも最も重い設備の一つである。このような重量物が箱体10に設置されている場合、調理車両1の自動車検査登録制度(いわゆる車検)での最大安定傾斜角度への対応が問題となる。本実施形態では、ラック80が箱体10の隅部に合わせて確実に締結固定され、さらにこのラック80にスチームコンベクションオーブン20が確実に締結固定されるため、調理車両1を傾斜させた場合でもスチームコンベクションオーブン20の重心ズレ(箱体10内で相対的にスチームコンベクションオーブン20の重心が移動すること)が発生しにくい。したがって、スチームコンベクションオーブン20を搭載した本実施形態の調理車両1は、車両検査を十分にクリアすることができる。
【0039】
(他の実施形態)
図8は、本実施形態に係る調理車両の他の実施形態を例示する模式側面図である。
本実施形態に係る調理車両1は、スチームコンベクションオーブン20の蒸気排気口24に接続された排気パイプ40を有する。図8に示す他の実施形態では、排気パイプ40がスチームコンベクションオーブン20の筐体21の上面212に設けられる蒸気排気口24に接続され、そのまま上方に延出して箱体10の天井部分である上面101から外側へ突出している。箱体10の外側へ突出した排気パイプ40は、そのまま上方を向いていてもよいし、前方や後方、側方などに屈曲していてもよい。
【0040】
排気パイプ40を箱体10の上面101から外側へ延出させることで、排気パイプ40を箱体10の側面から延出させずに済む。これにより、排気パイプ40を取り付けたままでも調理車両1の車幅の増加が発生せず、箱体10を車両規定の車幅限度まで拡げつつ、排気パイプ40を取り付けたまま走行することが可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用可能な状態でスチームコンベクションオーブン20を搭載可能な調理車両1を提供することができる。
【0042】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、調理車両1はトラックの荷室を厨房空間Sとしたトラック型以外でも、ワンボックスタイプの車両の荷室を厨房空間Sとしたワンボックス型や、牽引されるトレーラ型であっても適用可能である。また、ポンプ30は電動ポンプに限定されず、エンジンポンプであってもよい。
【0043】
また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
1…調理車両、10…箱体、20…スチームコンベクションオーブン、21…筐体、22…開閉扉、23…操作パネル、24…蒸気排気口、30…ポンプ、40…排気パイプ、51…シンク、52…冷凍冷蔵庫、53…卓上フライヤ、54…作業台、55…LPガスボンベ、56…給水タンク、57…排水タンク、61…分電盤、62…給気口、63…換気扇、64…換気窓、80…ラック、81…棚板、82a,82b,82c,82d…支柱、83…枠体、90…カウンター、101…上面、102…下面、103…前面、104…後面、105…右面、105h…排熱用開口部、106…左面、106h…接客用開口部、211…正面、212…上面、213…背面、S…厨房空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8