IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエムアイ コリア カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7436052架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスが含まれている止血組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスが含まれている止血組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 24/08 20060101AFI20240214BHJP
   A61L 24/10 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61L24/08
A61L24/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021214924
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2019512806の分割
【原出願日】2017-09-06
(65)【公開番号】P2022046711
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2016-0114303
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514148258
【氏名又は名称】ビーエムアイ コリア カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】11 Cheomdan-ro 7-gil,Jeju-si,Jeju-do 63309,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンキョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ク
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミン,キョンウ
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-510713(JP,A)
【文献】特表2011-518780(JP,A)
【文献】特表2015-519152(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101313915(CN,A)
【文献】特開2010-077434(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0132878(KR,A)
【文献】特表2012-511548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L15/00-33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸またはその塩を1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether)により架橋してなる架橋化されたヒアルロン酸誘導体のマトリックスと、凝固誘導剤を含む希釈剤とを含み、
前記凝固誘導剤はトロンビンであり、
前記架橋化されたヒアルロン酸誘導体のマトリックスの膨潤度は200%乃至1500%であり、その複合粘度は、1Hz(25℃)で670~28460Pa.sであり、その粒度が10乃至2000μmである、止血用キット。
【請求項2】
傷、出血、損傷された組織、出血組織および/または骨欠損から構成された群より選択される傷害の治療に用いるためのものである、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
i)塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸とエポキシド架橋剤である1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether)とを反応させて架橋化ヒアルロン酸誘導体を製造する段階;および
ii)前記架橋化ヒアルロン酸誘導体を粉砕する段階
を含み、前記塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸の濃度は、20乃至200mg/mLであり、前記エポキシド架橋剤の投入量が0.01乃至50%であり、前記ii)段階の粉砕後の架橋化ヒアルロン酸誘導体の粒度が10乃至2000μmである、請求項1又は2に記載の止血用キットの製造方法。
【請求項4】
前記ii)段階で製造されたヒアルロン酸誘導体を滅菌する段階をさらに含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ii)段階の粉砕が、ブレード粉砕方法および/または圧縮粉砕方法である、請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記凝固誘導剤を含む希釈剤は、10乃至10000I.U./mlのトロンビンを含むものである、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記凝固誘導剤を含む希釈剤がNaCl、CaClおよびグリシンから構成された群より選択される物質をさらに含有するものである、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記凝固誘導剤を含む希釈剤が3.0乃至10.0のpHで緩衝液を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記マトリックスがプレフィルドシリンジ形態で含まれる、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
第1注射器に、ヒアルロン酸またはその塩を1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether)により架橋してなる架橋化されたヒアルロン酸誘導体であって、かつ、前記架橋化ヒアルロン酸誘導体が粉砕されているマトリックスを充填し、第2注射器に、凝固誘導剤を含む希釈剤を充填した後、第1および第2注射器を互いにコネクタにより連結する段階;
第2注射器の凝固誘導剤を含む希釈剤をコネクタにより第1注射器内に注入してヒアルロン酸誘導体と希釈剤を混合する段階;
第1注射器内の混合物を第2注射器に再注入する段階;および
前記再注入段階を5回乃至20回繰り返す段階を含み、
このとき、前記凝固誘導剤はトロンビンであり、
前記架橋化されたヒアルロン酸誘導体のマトリックスの膨潤度は200%乃至1500%であり、その複合粘度は、1Hz(25℃)で670~28460Pa.sであり、前記粉砕された後の架橋化ヒアルロン酸誘導体の粒度が10乃至2000μmである、止血用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止血用組成物およびその製造方法に関し、より詳しくは、止血に用いるに適した架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物およびこのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な領域の外科的手術時、結紮(ligature)または一般的な手順で効果的に調節されないか調節が不可能な出血が誘発されることがある。このような出血を抑制するために止血組成物を傷に適用することができ、このような止血組成物として、傷のような人体組職に適用する時、強い付着性および適切な膨潤力を有する物質を提供することが要求される。
【0003】
生体適合性の、生分解性の乾燥した安定な顆粒物質を含む止血組成物の例としては、フロシール(Floseal、登録商標)があり、これはトロンビン含有溶液中に膨潤されて流動性ペーストを形成する顆粒ゼラチンマトリックスから構成された多用途止血剤である。
【0004】
しかし、このような製品は、止血の効能と関連した付着および膨潤力はよいが、ウシに由来するゼラチンの架橋および乾燥させた物質を含むため、ヒトの手術適用時、安全性に対する虞がある。
【0005】
ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)は、人体構成要素の一つとして、飲料、美容、医薬品などの多様な用途で活用されている。特に、組織の再生に役立てると知られており、人体に無害であるため、癒着防止剤の成分として開発されて活用されている。最近の文献によれば、止血剤成分との組み合わせを通じて、止血組成物の可能性が提示されたが、発明者の試験結果、水和される過程で局部的にゲル化される性質により止血成分との混合が難しく、水和後の粘度と吸湿性が低く、傷部位に混合処理時に過度に高い付着性により傷部位に害を加えられることが明らかになり、自然状態のヒアルロン酸を止血剤の組成物として活用するには困難がある。
【0006】
このような背景下で、本発明者らは、前述した従来技術の問題点を克服するために研究を重ねた結果、適切な組織付着性と癒着防止能力があるヒアルロン酸の架橋化を通じたヒアルロン酸誘導体マトリックスをなすようにし、これを適正の大きさに粉砕して、止血剤成分と混合が容易であると共に、傷部位に混合処理時、適切な接着性を有するヒアルロン酸誘導体を開発して、このような誘導体が含まれている止血組成物に卓越な止血効果を示すことを確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような問題点を解決するための、本発明の基本的な目的は、架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物を提供することにある。
なお、本発明の他の目的は、前記架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物を製造する方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明による架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物は、高い水分吸収能力と活用に容易な接着力を有する。また、生体に適用した時、初期には血液流動に対する遮蔽物を形成することができる効率的な障壁を形成する。具体的に、止血組成物に含まれている架橋化ヒアルロン酸誘導体の膨潤性質は出血部位に対する組織付置力を高め、組織間癒着に対する効果的な機械的遮蔽物を作ることができる。
【0009】
本発明の止血組成物は、従来のトロンビン液剤とは異なり、生体組織に対する付置力に優れ、一定期間後、完全な分解および生体内吸収が行われ得る。また自然ヒアルロン酸ナトリウム液に比べて適切な付着性を有する、人体に無害なヒアルロン酸誘導体を用いることによって、従来の問題点として挙げられていた外部由来物質を利用した止血組成物の副作用に対する危険性を除去した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の製造方法により製造されたヒアルロン酸誘導体を含有する止血組成物の様子を示した図面である。
図2】実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体と比較例1a、2aおよび比較例3aの流変学的特性を糾明するために0.1Hz乃至1Hzの振動数範囲で複合粘度(Complex Viscosity)およびtanδ結果値を測定した結果を示したものである。
図3】実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体の吸収能結果を示した図面である。
図4】実施例1b乃至3bで製造したヒアルロン酸誘導体含有止血組成物と比較例4bで製造した非架橋ヒアルロン酸含有止血組成物の液体吸水性を確認した結果を示した図面である。
図5a】実施例2bで製造されたヒアルロン酸誘導体含有止血組成物の粒度分析結果を示す図面である。
図5b】比較例5のヒアルロン酸誘導体含有止血組成物の粒度分析結果を示す図面である。
図6a】止血比較例1a、2aおよび4a、実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体の付着性を確認した図面である。
図6b】止血比較例1a、2aおよび4a、実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体の付着性を確認した図面である。
図7a】止血実施例2b、比較例2bおよび4bで製造した止血組成物の接着性比較試験結果を示す写真である。
図7b】止血実施例2b、比較例2bおよび4bで製造した止血組成物の接着性比較試験結果を試料の移動距離で示したグラフである。
図8】止血組成物の製造時に用いられた希釈剤と実施例1b乃至3bで製造した止血組成物のトロンビン活性を比較した結果を示した図面である。
図9】混合回数別にヒアルロン酸含有量とトロンビン力価の変化を確認した図面である。
図10】SDラット(SD rat)の肝病変で実施例3bの止血能を確認した結果を示した図面である。
図11a】実施例3bで製造した止血組成物のウサギ脾臓病変における止血効能を確認した試験結果写真である。
図11b】実施例3bで製造した止血組成物のウサギ脾臓病変における止血効能を出血度で示したグラフである。
図12】本発明による止血組成物と非架橋ヒアルロン酸ナトリウムの止血作用模式図を比較したものであり、本発明による止血組成物の実際の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記のような目的を達成するための一つの様態として、本発明は、架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物に関する。
【0012】
本発明の止血組成物は、止血のための成分として適切な吸湿性、粘度を有する架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む。具体的な一様態として、前記架橋化されたヒアルロン酸誘導体は、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid;HA)またはその塩を2個以上のエポキシド基を有するエポキシド架橋剤を用いて架橋化させたものであってもよい。架橋化されたヒアルロン酸は、ヒアルロン酸本来の吸湿性を維持しながらも、ヒアルロン酸間の架橋化を通じたマトリックスをなすようになり、追加的な溶液に対する吸水性と粘度が向上し、付着性は阻害されて止血成分を含む溶液との円滑な混合が可能になる。
【0013】
前記ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸(D-glucuronic acid)とN-アセチル-D-グリコースアミン(N-acetyl-D-glucosamine)の交互残基からなる天然のヘテロ多糖類(heteropolysaccharide)であり、エポキシド架橋剤によりヒアルロン酸誘導体マトリックスを形成するようになる。本発明ではヒアルロン酸以外にその塩が用いられてもよい。
【0014】
前記エポキシド架橋剤は、具体的に、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether、BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether、EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6-hexanediol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(poly(propylene glycol) diglycidyl ether)、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(poly(tetramethylene glycol) diglycidyl ether)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(neopentyl glycol diglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerolpolyglycidyl ether)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(trimethylpropane polyglycidyl ether)、1,2-(ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(1,2-(bis(2,3-epoxypropoxy)ethylene)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(pentaerythritol polyglycidyl ether)またはソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)であってもよく、より具体的に、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether、BDDE)であってもよい。
【0015】
本発明の架橋化されたヒアルロン酸誘導体マトリックスの複合粘度は、1Hz(25℃)で10乃至500,000Pa.sである(Rotational Rheometer(TA instrument Ltd., DHR-1)、Temperature:25℃)。
【0016】
また前記架橋化されたヒアルロン酸誘導体マトリックスは、自然状態のヒアルロン酸より水分吸収能力が高く(図3)、膨潤度が大きいという長所を有する。具体的に、ゲル状態の架橋ヒアルロン酸誘導体マトリックスの膨潤度が300%乃至1,500%であり、乾燥粉末(105℃、6時間)の場合には膨潤度が300%乃至75,000%である。
【0017】
なお、前記架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスは、本発明特有の合成条件により架橋化することによって、ヒアルロン酸間の分子結合が増えて粘弾性が大きくなり(図2)、生体組織に対する適切な付着性を有している。また架橋化された部分は、体内のヒアルロン酸分解酵素により切断されないため、体内で向上した安定性を有しながらも、毒性に対する危険度が殆どないという特徴を有する。また止血作用を完了した以降は、患部に一定時間の間に物理的な障壁を形成することができる。
【0018】
前述のような特徴により、本発明による組成物は、手術出血部位、外傷出血部位などを含む出血部位に止血効果を提供するために特に有用であり、医療用途、具体的には外科用手術時などのように多様な出血が発生する場合、これを止血する用途として容易かつ便利に用いられ得る。
【0019】
また他の一つの様態として、本発明は、前記架橋化ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物を製造する方法に関する。具体的に、前記製造方法は、i)塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸とエポキシド架橋剤を反応させて架橋化ヒアルロン酸誘導体を製造する段階;およびii)前記架橋化ヒアルロン酸誘導体を粉砕して適切な大きさに製造する段階を含むことができる。
【0020】
好ましくは、本発明による前記ヒアルロン酸誘導体製造方法において、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid;HA)に2個以上のエポキシ基を含むエポキシド架橋剤を反応させて得られた反応物を粉砕して製造されたヒアルロン酸誘導体を製造する。
【0021】
本発明の製造方法には、ヒアルロン酸(HA)またはその塩を用いることができ、前記塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルトおよびヒアルロン酸テトラブチルアンモニウムからなる群の中から選択される少なくとも一つ以上を含む。
【0022】
前記製造方法において、i)段階でヒアルロン酸の架橋反応のためのイオン化のために用いられる塩基性水溶液は、NaOH、KOH、アンモニア水溶液などが用いられてもよい。また、塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸の濃度は、50乃至200mg/mLが好ましく、このような塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸の濃度によりエポキシド架橋剤(例えばBDDE)の架橋比率が変わる。一例として、塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸の濃度が20mg/mLである場合、エポキシド架橋剤としてBDDE投入量は2%乃至50%(ヒアルロン酸が溶解された塩基性水溶液重量に対するエポキシド架橋剤の体積比率(v/w))であり、塩基性水溶液に溶解されたヒアルロン酸の濃度が200mg/mLである場合、BDDE投入量は0.01%乃至5%(ヒアルロン酸が溶解された塩基性水溶液重量に対するエポキシド架橋剤の体積比率(v/w))である。また、i)段階の反応温度は4乃至80、反応時間は12時間乃至48時間、そして反応圧力は0.5気圧乃至2気圧、好ましくは常圧である。
【0023】
前記i)段階のエポキシド架橋剤は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether、BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether、EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6-hexanediol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(poly(propylene glycol) diglycidyl ether)、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(poly(tetramethylene glycol) diglycidyl ether)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(neopentyl glycol diglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerolpolyglycidyl ether)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(trimethylpropane polyglycidyl ether)、1,2-(ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(1,2-(bis(2,3-epoxypropoxy)ethylene)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(pentaerythritol polyglycidyl ether)またはソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitolpolyglycidyl ether)から選択されてもよく、より具体的には1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether、BDDE)を用いられてもよい。
【0024】
追加的な一様態として、前記i)段階で製造されたヒアルロン酸誘導体は、ii)段階に導入される前に生理食塩水などを用いて洗浄されてもよい。前記i)段階で製造されたヒアルロン酸誘導体は、洗浄方法以外にも、当業界における公知の方法、例えば蒸留(大気圧または減圧下)、再結晶、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、相分離、溶媒抽出または透析により分離および/または精製されてもよい。
【0025】
なお、前記ii)段階は、i)段階で製造された架橋されたヒアルロン酸誘導体を粉砕してゲル形態に製造する段階である。粉砕方法は、通常の粉砕法、例えばブレード粉砕または圧縮粉砕方法により粉砕されてもよく、均質な粒子のために最小3回以上行うが、これに限定されるのではない。
【0026】
特に、前記ヒアルロン酸誘導体の大きさおよび形態は特に制限されず、医学的に適用される範囲によりその大きさおよび形態を多様化することができ、前記ii)段階で粉砕されたヒドロゲルの大きさは、10乃至2000μm、より具体的には200μm乃至800μmが好ましいが、必要に応じて他の大きさに粉砕して用いることもできる。
【0027】
前記i)およびii)段階を経て製造されたヒアルロン酸誘導体は、高温高圧条件で滅菌して用いることができる。したがって、追加的な一様態として、本発明による前記製造方法は、ii)段階で製造されたヒアルロン酸誘導体を滅菌する段階をさらに含むことができる。
【0028】
本発明のヒアルロン酸誘導体製造方法により製造されたヒドロゲルの複合粘度は、1Hz(25℃)で10乃至500,000Pa.sであり、膨潤度は200%乃至1,500%である。また前記ヒアルロン酸誘導体が粉末状態である場合には膨潤度が75,000%に達する。
【0029】
また他の様態として、本発明は、前記本発明による止血用組成物および薬学的に許容される希釈剤を含む止血用キットに関する。
【0030】
具体的に、本発明による止血用キットは、前記ヒアルロン酸誘導体を含む止血用組成物と共に凝固誘導剤を含む希釈剤を含むことができる。好ましくは、前記止血用キットには前記ヒアルロン酸誘導体を含む止血用組成物:凝固誘導剤を含む希釈剤が2:8乃至9:1の重量比率で含まれてもよい。
【0031】
本発明によるキットに用いられる希釈剤に含まれる凝固誘導剤は、血液の凝固を誘導する物質であり、例えば、トロンビン、ヘビ毒、血小板活性化剤、トロンビン受容体活性化ペプチド、フィブリノゲン沈澱剤、アプロチニンおよび第VIII因子からなる群より選択される一つ以上のものであってもよいが、これに制限されるのではない。好ましくはトロンビンである。トロンビンは、ヒトに用いるに適した(つまり、製薬上許容される)任意のトロンビン製剤から誘導されてもよい。トロンビンの適した供給源は、ヒトおよびウシの血、血漿または血清(免疫拒否反応が予想されない場合、他の動物供給源のトロンビンが適用され得る)を含み、組換え起源のトロンビン(例えば、組換えヒトトロンビン)および自己組織由来のヒトトロンビンがいくつかの適用では好ましいこともあり、これは他の凝固誘導剤の場合にも同様に適用される。
【0032】
製薬上許容される希釈剤は、使用-準備された組成物で好ましい最終-濃度を成就できる量で用いられる。このような凝固誘導剤を含む希釈剤は、前述の凝固誘導剤以外にも、その他有用な成分、例えばイオン、緩衝液、賦形剤、安定化剤などを含有することができる。好ましい塩は、NaClおよび/またはCaClであり、好ましい安定化剤は、グリシンであり、全てトロンビンをはじめとする凝固誘導剤のために適用される一般的な量および濃度で用いられる(例えば、0.5乃至1.5%NaCl(例えば、0.9%)および/または20乃至80mMのCaCl(例えば、40mM))。追加の実施態様において、希釈剤はまた、再構成された乾燥組成物のpH、好ましくは3.0乃至10.0のpHで、より好ましくは6.5乃至8.5のpHで緩衝するように緩衝液または緩衝システムを含むことができる。例えば、前記希釈剤は、注射用水、および-互いに独立に-100乃至10,000IU/バイアルトロンビン(好ましくは1,000乃至5,000IU/バイアル)、50乃至200mMのNaCl(好ましくは100乃至200mM)、10乃至80mMのCaCl(好ましくは30乃至50mM)および5乃至100mg/mLグリシン(好ましくは5乃至20mg/mL)を含むことができる。具体的な一様態として、前記凝固誘導剤を含む希釈剤は、水溶液と凝固誘導剤、NaCl、CaCl、アルブミンおよびグリシンから構成された群より選択された物質が別途に分離されて(例えば凍結乾燥されてバイアルに含まれている形態)キットに含まれてもよく、使用時に水溶液で凝固誘導剤、NaCl、CaCl、アルブミンおよびグリシンから構成された群より選択された物質を溶解して用いてもよい。
【0033】
また他の実施態様において、凝固誘導剤を含む希釈剤は、酢酸ナトリウムを少量、具体的に1乃至50mM、好ましくは10乃至30mMを含有することができる。また前記凝固誘導剤を含む希釈剤は、100g/l未満のマンニトール、好ましくは50g/l未満を含有することができ、200g/l未満の乳糖、好ましくは100g/l未満を含有することができる。好ましくは、前記凝固誘導剤を含む希釈剤は、酢酸ナトリウム、マンニトールおよび乳糖を必須に含有しなくてもよい。具体的に、前述のような範囲のグリシンを含むことによって、グリシンだけでも、酢酸ナトリウム、マンニトールおよび乳糖を含むことなく、トロンビンをはじめとする凝固誘導剤が凍結乾燥ケーク形態を維持できると共に、凝固誘導剤の力価も安定化され得る。
【0034】
好ましい実施様態によれば、前記希釈剤が凝固誘導剤としてトロンビンを含む場合、好ましくは10乃至10,000I.U.トロンビン/ml、特に250乃至5,000I.U.トロンビン/mlを含む。好ましくは、このような使用準備された形態の止血用キットは、10乃至100,000国際単位(I.U.)のトロンビン、より好ましくは500乃至20,000I.U.、特に1,000乃至10,000I.U.を含有する。好ましい一様態において、本発明による止血用キットは、プレフィルドシリンジ形態であってもよい。前記用語「プレフィルドシリンジ」とは、注射用製剤をそのままシリンジ(注射器)に一定量充填して製造されたもので、使用準備、つまり、使用時に薬物の秤量および注射器内充填などが不要で、即時に使用可能なことを意味する。
【0035】
具体的な一実施様態において、本発明による止血用キットは、これに制限されるのではないが、本発明によるヒアルロン酸誘導体を含む止血組成物で充填されたプレフィルドシリンジをコネクタで連結し、凝固誘導剤が含まれている希釈剤が充填された注射器を前記コネクタの他の末端に連結してこれを注入することによって架橋ヒアルロン酸誘導体マトリックスを含む止血組成物を水和させて製造され得る。均質な生成物収得のためにヒアルロン酸誘導体-凝固誘導剤含有希釈剤注射器間に互いに往復注入を繰り返すことができ、好ましくは5回以上、より好ましくは10回程度往復して製造することができる。
【0036】
このような本発明による止血用キットは、前記ヒアルロン酸誘導体を含む止血組成物と凝固誘導剤としてトロンビンを含む希釈剤を共に組み合わせて含むことによって、トロンビンを単独で使用したり、従来膨潤性および付着性を付加するためにゼラチンマトリックスをトロンビン-含有溶液と共に用いたフロシールなどに比べて卓越な止血効果を示す(図10など参照)。
【発明の実施のための形態】
【0037】
以下、下記の実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。しかし、下記の実施例に対する説明は本発明の具体的な実施態様を特定して説明するものに過ぎず、本発明の権利範囲をこれらに記載された内容に限定したり制限解釈しようとする意図ではない。
【0038】
実施例1-3.止血組成物のためのヒアルロン酸誘導体の製造
【0039】
A.架橋ヒアルロン酸誘導体マトリックスの製造
1gのヒアルロン酸ナトリウムをそれぞれ3個の反応器に準備した後、0.25NのNaOH溶液を利用して最終重量が10.0g(実施例1a)、8.3g(実施例2a)、7.1g(実施例3a)になるように投入した。完全に溶解された前記溶液に1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(butanediol diglycidyl ether、BDDE)を70uL(実施例1a)、60uL(実施例2a)、50uL(実施例3a)を投入した後、混合した。混合液を恒温水槽に入れて30℃で18時間反応させた後、緩衝溶液で洗浄して未反応物を除去した。製造されたゲルを圧縮方式で3回以上粉砕して粒子の大きさを調節した後、121℃で15分間滅菌した。製造されたヒアルロン酸誘導体3.0gを5ml注射器に無菌称量した後、127℃、2分間事後滅菌してヒアルロン酸誘導体プレフィルドシリンジを製造した(実施例1a、2a、3a)。
【0040】
B.希釈剤の製造
1バイアル当たりトロンビン5,000IU、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム原料を投入した後、適量の注射用水を入れて溶解した。溶かした溶液を無菌フィルターしてバイアルに充填した後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥粉末は出血部位に用いる直前に0.9%生理食塩注射液で完全に溶解して用いる。
【0041】
C.架橋ヒアルロン酸誘導体マトリックスが含まれている止血組成物の製造
ヒアルロン酸誘導体で充填されたプレフィルドシリンジ(実施例1a、2a、3a)をコネクタで連結し、トロンビンが含まれている希釈剤を利用してヒアルロン酸誘導体を水和させた。均質な生成物収得のためにヒアルロン酸誘導体-トロンビン含有希釈剤注射器間にシリンダーを往復しながら少なくとも往復10回混合を行って止血組成物を製造した(実施例1b、2b、3b)。調製されたヒアルロン酸誘導体を含有する止血組成物の様子を図1に示す。
【0042】
実施例4.ヒアルロン酸誘導体の流変学的特性
実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体と市販されているヒアルロン酸含有B社の癒着防止剤(比較例1a)、そしてG社の架橋ヒアルロン酸フィラー(比較例2a)およびL社の架橋ヒアルロン酸フィラー(比較例3a)の流変学的特性を糾明するために回転型レオメーター(Rotational rheometer)を実施した。0.1Hz乃至1Hzの振動数範囲で複合粘度(Complex Viscosity)およびtanδ結果値を図2に示した。
図2および表1を通じて、実施例1a乃至3aは比較例1a乃至3aに比べて高い複合粘度値を示す。これによって本発明のヒアルロン酸誘導体(実施例1a乃至3a)が比較例1a乃至3aより優れた粘度を有し、構造的に安定性の高い構造で形成されていることが分かる。
【表1】
【0043】
実施例5.ヒアルロン酸誘導体の膨潤度
実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体3.0mLに生理食塩水を100mlを添加した後、10分間攪拌した。37℃で1時間放置した後、吸収されない生理食塩水を除去した後、ヒアルロン酸誘導体に吸収された溶液の体積を確認した。
図3は、実施例1a乃至3aで製造したヒアルロン酸誘導体の膨潤度結果であり、実施例1aの膨潤度は706%、実施例2aの膨潤度は607%、実施例3aの膨潤度は409%である。本発明のヒアルロン酸誘導体(実施例1a乃至3a)は、自己の体積の4乃至7倍以上に達する水分を吸収する吸収能を示した。
【0044】
実施例6.ヒアルロン酸誘導体含有止血組成物と非架橋ヒアルロン酸含有止血組成物との吸収能比較
比較例4:1,000mgのヒアルロン酸ナトリウムを緩衝溶液に20重量%濃度に溶解した後、この液3.0gを5ml注射器に称量して127℃、2分間事後滅菌した(比較例4a)。希釈剤を利用した止血組成物の製造過程は実施例1b乃至3bと同一に実施して最終組成物を製造した(比較例4b)。
図4は、実施例1b乃至3bで製造したヒアルロン酸誘導体含有止血組成物と比較例4bで製造した組成物の液体吸水性を確認した結果である。吸水性を確認するために試験物品5.0gをdishに塗布した後、色素が添加された生理食塩水を試験物品の上に1.0mL撒いて液体が吸収される様子を観察した。
図4を通じて、ヒアルロン酸誘導体が含まれている止血組成物である実施例1b乃至3bは比較例4bに比べて液体が粒子の間に急速に吸収される現像が描写される。
【0045】
実施例7.ヒアルロン酸誘導体が含まれている止血組成物の粒度分析
実施例2bのヒアルロン酸誘導体が含まれている止血組成物の粒子の大きさと分布度を確認するために各試料3gを蒸溜水15mLで希釈してBeckman Coulter LS Particle Size Analyzerを利用して0.375umで2000um間の粒子を計数した。その結果を図5aに示した。図5bは、顆粒形態の止血剤であるフロシール(Floseal、登録商標)(比較例5)の粒度分析結果である。
図5aおよびbを通じて、実施例2bの平均粒子の大きさは638.5um、比較例5の平均粒子の大きさは462.8umであり、実施例2bの止血組成物は比較例5と比較した時、粒子分布度が均一に示されることを確認した。
【0046】
実施例8.ヒアルロン酸誘導体の付着性確認試験
タック(tack)値を測定するために比較例1a、比較例2a、比較例4a、実施例1a乃至3aの各試料をレオメーターのPlateにローディング(loading)した後、10秒間0.1の剪断速度(Shear rate)に回転をさせ、0.1mm/sの速度でGeometryが分離される時の垂直抗力(Normal Force)値を測定した。
図6aおよびbは、各試料別GAP(mm)による垂直抗力(N)値を示したものであり、この図面に示された最大垂直抗力(N)を比較すると、本発明の実施例1a乃至3aが比較例1a(B社の癒着防止剤)、比較例2a(G社の架橋ヒアルロン酸フィラー製品)および比較例4a(非架橋ヒアルロン酸液)より高い垂直抗力値を示した。つまり、本発明の実施例が比較例より高い付着性を示した。
【0047】
実施例9.ヒアルロン酸誘導体の接着性確認試験
止血組成物の接着性を確認するために比較例2の試料3gを実施例2bと同一に希釈剤を利用して調製した(比較例2b)。
平らなガラス板と30度傾斜のガラス板を準備した後、それぞれのガラス板上に比較例4b、比較例2bおよび実施例2bの試料約0.5mLを落として5分間放置した後、各試料の長さを測定した。各試料の移動距離は30度傾斜ガラス板上の試料長さと平らなガラス板上の試料長さとの差で求めた。
図7aおよびbは、比較例4b、比較例2bおよび実施例2b試料を平らなガラス板上にローディングした様子を描写し、実施例2bは比較例2bと比較例4bに比べて高い接着性を示した。
【0048】
実施例10.ヒアルロン酸誘導体がトロンビン活性に与える影響
トロンビン活性測定試験は、大韓民国薬典第11改正のトロンビン定量法により試験した。詳しい操作法は下記のとおりである。
トロンビン標準品を生理食塩注射液に溶かしてこの液1mL中の4.0、5.0、6.2および7.5単位を含有する4種の標準液を作った後、それぞれ0.10mLを試験管に入れる。予め同じ温度に維持したフィブリノゲン溶液0.90mLをピペットを用いて入れ、同時にタイマーを作動させて静かに振って混合しながら最初にフィブリンの凝固が起こる時までの時間を測定する。4種の標準液をもってそれぞれ5回ずつ測定し、その平均値を求めた。
試験物品に対する測定は、前記と同じ温度で同様な方法で行う。試験物品を生理食塩注射液に溶かして1mL中の5単位を含有する溶液を作ってその0.10mLを用いて以前の操作を5回繰り返して凝固時間を測定し、平均値を求める。両対数グラフの横軸に単位、縦軸に凝固時間にして4種の標準液による凝固時間の平均値をグラフ上に取って検量線を作成する。この検量線を用いて検液の凝固時間の平均値から単位数Uを読む。
図8は、止血組成物の製造時に用いられた希釈剤と実施例1b乃至3bで製造した止血組成物のトロンビン活性を比較した結果である。ヒアルロン酸誘導体が含まれていない希釈剤のトロンビン力価とヒアルロン酸誘導体が含まれている止血組成物のトロンビン力価が類似している。この結果から、ヒアルロン酸誘導体がトロンビンの活性には影響を与えないことを確認した。
【0049】
実施例11.ヒアルロン酸誘導体がトロンビン活性に与える影響
止血組成物を製造する過程で混合回数別のヒアルロン酸含有量とトロンビン力価変化を確認するために実施例2aで製造したヒアルロン酸誘導体をプレフィルドシリンジに3.0g充填した後、1,000IU/mLトロンビンが含まれている希釈剤を利用してヒアルロン酸誘導体を水和させた。水和過程をそれぞれ片道5回、7回、10回、20回行った試料のトロンビン力価とヒアルロン酸含有量試験結果は図9に示す。
図9を通じて、ヒアルロン酸誘導体と希釈剤の間の混合は少なくとも10回以上行われてこそ均質な止血組成物を収得することができることを確認した。
【0050】
実施例12.ラットにおける止血効力の確認
SDラット(SD rat)の肝病変での止血効能に対して実施例2bの製剤を試験した。動物モデルはラットの中心線開腹を行った後、露出された肝にメスを利用してほぼ横1cm、縦1cm、深さ0.2cmにコア組織を除去する。適用装置チップを利用して出血傷にほぼ1.0mLの割り当てられた試験物品が病変に局所的に適用される。試験物品を適用した後2分に塗布した試験物品を除去し、1、2、5および10分に出血程度を観察した。結果は図10に描写される。
図10は、SDラット肝病変で実施例2bの止血能を確認した結果である。実施例2bで製造した止血組成物が時間経過により血液を吸収することが観察される。2分経過後、止血剤を湿潤ガーゼで除去した時、傷組織で止血された様子が観察される。
【0051】
実施例13.ウサギにおける止血効力の確認
ウサギの脾臓病変における止血効能を確認するためにウサギの脾臓に4mm穿孔を行って出血を誘導する。傷にほぼ1.0mLの割り当てられた試験物品を病変に局所適用した後、試験物品が適用部位への近接を助けるために湿潤ガーゼで5秒間指圧迫を行う。湿潤ガーゼは2分後に除去し、試験物品は5分に生理食塩水を利用して洗浄した。出血程度は2、5および10分ごとに観察し、その結果は図11aおよびbに図示される。
図11aおよびbを通じて、実施例2bで製造した止血組成物の優れた組織付置力と血液吸収力を確認した。2分経過時に出血組織の血液で飽和された実施例2bが観察され、製品外部に出血なしに止血された。また生理食塩水を利用して止血剤を除去した後にも再出血がなかったし、血塊が形成された様子が観察される。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12