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特許7436054シリコン前駆体化合物、製造方法、及びこれを利用するシリコン含有膜の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】シリコン前駆体化合物、製造方法、及びこれを利用するシリコン含有膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/10 20060101AFI20240214BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20240214BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C07F7/10 F CSP
C23C16/42
C23C16/455
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021526577
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2019015676
(87)【国際公開番号】W WO2020101437
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0140389
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514183215
【氏名又は名称】ユーピー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン シック
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン グァン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ソンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユン ギョン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0027714(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0118062(KR,A)
【文献】特開2012-248844(JP,A)
【文献】特開2007-051363(JP,A)
【文献】Journal of Organometallic Chemistry,1997年,Vol.547(2),p.227-233
【文献】Inorganic Chemistry,2003年,Vol.42(15),p.4579-4584
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/
C23C 16/42
C23C 16/455
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、シリコン前駆体化合物:
[化1]

記化学式1において、
は、水素又は-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではない、又はR 及びR が同時にトリメチルシリル基ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、但し、Rが水素の場合、Rは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではない
【請求項2】
前記化学式1において、
は、-NRであり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ジメチルシリル基、又はトリメチルシリル基であるか;あるいはRは、置換又は非置換のC-C10環状アミン基であり、
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、
-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基である、請求項1に記載のシリコン前駆体化合物。
【請求項3】
前記化学式1において、
は、水素であり、
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であり、
-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基である、請求項1に記載のシリコン前駆体化合物。
【請求項4】
前記シリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、又はSiN(secBu)(SiMe )である、請求項1に記載のシリコン前駆体化合物。
【請求項5】
M-N(R)-SiRをSi とハライドアミン置換反応させた後、順次にMRの金属アミン塩を添加し、ハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、
前記反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ること
を含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法:
[化1]

M-N(R)-SiR、Si 、MR、M’H、及び前記化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではない、又はR 及びR が同時にトリメチルシリル基ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【請求項6】
M-N(R)-SiRをSi とハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、前記反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ること
を含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法:
[化1]

M-N(R)-SiR、Si 、M’H、及び前記化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、水素であり、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のうち何れか一項によるシリコン前駆体化合物を含む、膜形成用前駆体組成物。
【請求項8】
前記シリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、及びSiN(secBu)(SiMe )から選択される1つ以上である、請求項に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項9】
前記膜は、シリコン含有酸化膜、シリコン含有窒化膜、及びシリコン含有炭化膜から選択される1つ以上である、請求項に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項10】
アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンから選択される1つ以上の窒素源をさらに含む、請求項に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項11】
水蒸気、酸素、及びオゾンから選択される1つ以上の酸素源をさらに含む、請求項に記載の膜形成用前駆体組成物。
【請求項12】
請求項1乃至請求項のうち何れか一項によるシリコン前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してシリコン含有膜を形成することを含む、シリコン含有膜の形成方法。
【請求項13】
前記膜形成用前駆体組成物に含まれるシリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、及びSiN(secBu)(SiMe )から選択される1つ以上である、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項14】
前記シリコン含有膜は、シリコン含有酸化膜、シリコン含有窒化膜、及びシリコン含有炭化膜から選択される1つ以上である、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項15】
前記シリコン含有膜は、化学気相蒸着法又は原子層蒸着法により蒸着される、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項16】
前記シリコン含有膜は、100℃~500℃の温度範囲で形成される、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項17】
前記シリコン含有膜は、1nm~500nmの厚さ範囲で形成される、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項18】
前記シリコン含有膜は、縦横比が1~50で、幅が10nm~1μmである凹凸を含む基材上に形成される、請求項12に記載のシリコン含有膜の形成方法。
【請求項19】
SiN( Pr)(SiMe )、又はH SiN( sec Bu)(SiMe )であるシリコン前駆体化合物。
【請求項20】
請求項19に記載のシリコン前駆体化合物を含む、膜形成用前駆体組成物。
【請求項21】
請求項19に記載のシリコン前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してシリコン含有膜を形成することを含む、シリコン含有膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、シリコン前駆体化合物、上記シリコン前駆体化合物の製造方法、上記シリコン前駆体化合物を含むシリコン含有膜形成用前駆体組成物、及び上記前駆体組成物を利用するシリコン含有膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン含有酸化薄膜及び窒化薄膜は、半導体(DRAM、Flash Memory、ReRAM、又はPCRAMなど)だけでなく、非半導体(Logic)のようなマイクロエレクトロニクス素子の駆動において必ず必要な薄膜の1つである。また、酸化薄膜トランジスタ(Oxide Thin Film Transistor、OTFT)を含む平板ディスプレイ(Flat Panel Display)分野、太陽熱(Solar Cell)分野、及び有機発光素子(Organic Light Emitting Diodes、OLED)などの最先端技術に使用されている。メモリ素子には、誘電膜、ゲート絶縁膜、トンネリング酸化膜、スペーサ酸化膜、ILD&IMD、及びパッシベーション(Passivation)酸化膜などにシリコン含有酸化薄膜が使用されており、拡散マスク、ゲートスペーサ、ゲート誘電膜、エッチングストッパ(Etch Stopper)、ストレッサ、及びパッシベーションなどにシリコン含有窒化薄膜が使用されている。ディスプレイ分野では、ゲート誘電膜、層間誘電膜、絶縁膜、及び水分浸透防止膜など様々な薄膜層にシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜などが利用されている。現在、メモリ分野のDRAM、Flash Memory、及び非メモリ分野のLogic Memoryは物理的限界に達しており、この限界を克服するために高い縦横比(High Aspect Ratio)及び3次元構造に製品を作っており、それに適したシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜が求められている。これにより、様々な応用分野別の工程温度に適したシリコン含有前駆体が求められており、且つ高い段差比を克服できるよう完璧に段差を克服することのできる原子層蒸着法に使用可能なシリコン含有前駆体が求められている。原子層蒸着方法を利用してシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜を形成する場合、薄膜の厚さの均一度及び物性を向上させ、工程温度を低くするので、半導体素子の特性を向上させることが期待される。また、高集積化及び素子の縮小(Scaling Down)により発生し得る低い工程温度と低い抵抗を確保するためにも、自己制御(self-limiting)の特性を有し、均一な薄膜を形成できる蒸着方法である原子層蒸着法を利用しなければならない。従って、原子層蒸着法で所望の特性の膜が得られるシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜形成用前駆体化合物の開発に多くの研究が進められている。
【0003】
一方、米国公開特許第2012/0085733号において、リソグラフィ工程の後、パターン密度を上げるために凹凸のある表面を所定厚さのスペーサ層で覆う際、スペーサ層の物質として窒化シリコンを使用しても良いと開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、シリコン前駆体化合物、上記シリコン前駆体化合物の製造方法、上記シリコン前駆体化合物を含むシリコン含有膜形成用前駆体組成物、及び上記前駆体組成物を利用するシリコン含有膜の形成方法を提供することを目的としている。
【0005】
本願は、上記のような問題点を解決するためのものであり、揮発性が高く、室温で液体状態で存在し、低温で蒸着が可能なシリコン前駆体化合物を利用し、原子層蒸着法によりシリコン含有酸化膜又は薄膜、あるいは窒化膜又は薄膜を蒸着することができるシリコン前駆体化合物を利用する膜形成方法を提供することにその目的がある。また、本願は、上記原子層蒸着法による膜又は薄膜の蒸着に適したシリコン前駆体化合物を提供し、安全に前駆体を合成できる技術を提供することにその目的がある。
【0006】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の側面は、下記化学式1又は下記化学式2で表される、シリコン前駆体化合物を提供する:
[化1]


[化2]


当該化学式1及び当該化学式2において、
は、水素又は-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、但し、Rが水素の場合、Rは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではない。
【0008】
本願の第2の側面は、M-N(R)-SiRをSiXとハライドアミン置換反応させた後、順次にMRの金属アミン塩を添加し、ハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、当該反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化1]


M-N(R)-SiR、SiX、MR、M’H、及び当該化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【0009】
本願の第3の側面は、M-N(R)-SiRをSiXとハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、当該反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化1]


M-N(R)-SiR、SiX、M’H、及び当該化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、水素であり、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【0010】
本願の第4の側面は、M-N(R)-SiRをHSiX(4-y)とハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、当該反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式2によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式2によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化2]


M-N(R)-SiR、HSiX(4-y)、M’H、及び当該化学式2において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬であり、
yは、0~2の整数である。
【0011】
本願の第5の側面は、第1の側面によるシリコン前駆体化合物を含む、膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0012】
本願の第6の側面は、第1の側面によるシリコン前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してシリコン含有膜を形成することを含む、シリコン含有膜の形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願の具現例に係るシリコン前駆体化合物を利用するシリコン含有膜の形成方法によれば、工程温度を低くしながらも厚さ及び組成を正確に制御し、複雑な形状の基板でも優れた被覆性及び均一な組成物を形成することができ、これにより、半導体素子の特性を向上させることが期待される。特に、本発明のシリコン化合物を使用した原子層蒸着法の気体供給週期当たりの膜成長が大きいため、短時間で優れた段差被覆性を有する必要な厚さのシリコン含有膜を形成することができる。
【0014】
本願の具現例に係る上記化学式1又は上記化学式2による上記シリコン前駆体化合物は、Siに水素又は様々な形態のアミンが結合されており、反応性の良いアミンと表面吸着力に優れた水素の影響で表面での反応が起こり易く、反応性の大きい酸化剤又は窒化剤と反応してシリコン含有酸化薄膜(SiO)と窒化薄膜(SiNx)を形成するのに有利である。また、分子内のSiの含量が高いほど蒸着速度が高くなり、且つ膜の密度も増加してエッチング特性を良くする特性がある。本蒸着メカニズムにより、本願のシリコン含有膜は約100℃~約500℃の広範囲で応用可能であると判断され、特に、シリコン含有窒化膜又は窒化薄膜は約300℃以下の温度まで低くすることができる。また、直接的な炭素結合を有しないため、金属薄膜内における炭素含量を効果的に低くすることができ、低温でも高い揮発性を有し、室温で液体の状態で存在するので、原子層蒸着法によるシリコン含有酸化膜又は薄膜、あるいは窒化膜又は薄膜を蒸着するためのシリコン前駆体化合物として適合に使用されることができる。
【0015】
本願の具現例において、上記シリコン含有酸化膜又は薄膜、上記シリコン含有窒化膜又は薄膜、及び/又は、上記シリコン含有炭化膜又は薄膜は、誘電膜、ゲート絶縁膜、トンネリング酸化膜、スペーサ酸化膜、ILD&IMD、及び/又はパッシベーション(Passivation)酸化膜などにシリコン含有酸化薄膜が使用されており、拡散マスク、ゲートスペーサ、ゲート誘電膜、エッチングストッパ(Etch Stopper)、ストレッサ、及び/又はパッシベーションなどにシリコン含有窒化薄膜が使用されていて、その適用用途に応じて様々に応用されても良いが、これに限定されるものではない。
【0016】
本願の具現例において、上記膜形成用前駆体組成物に含まれる本願のシリコン前駆体化合物は、高い蒸気圧と、低い密度、及び高い熱安定性に起因し、原子層蒸着法又は化学気相蒸着法の前駆体として使用されてシリコン含有膜を形成することができ、特に、表面にパターン(溝)がある基材や多孔性基材、プラスチック基材上にも約100℃~約500℃の広い温度範囲で数nm~数μm、又は約1nm~約500nmの厚さのシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜を均一に形成できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願の実施例1、3、6、及び8により製造されたシリコン含有化合物のH-NMRスペクトルである。
図2】本願の実施例6により製造されたシリコン含有化合物のFT-IRスペクトルである。
図3】本願の実施例1、3、6、及び8により製造されたシリコン含有化合物のTGAグラフである。
図4】本願の実施例3及び6により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法によって150℃~300℃の範囲で成長させたシリコン含有酸化薄膜の温度に応じた蒸着速度を示すグラフである。
図5】本願の実施例3及び6により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して150℃~500℃の範囲で成長させたシリコン含有酸化薄膜の温度に応じた蒸着速度を示すグラフである。
図6】本願の実施例3、6、及び8により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して低温の300℃で反応ガスであるNHとNプラズマ条件において成長させたシリコン含有窒化薄膜の屈折率を示すグラフである。
図7】本願の実施例1により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して250℃~350℃の範囲で反応ガスであるNプラズマ条件において成長させたシリコン含有窒化薄膜の温度に応じた蒸着速度(Growth per cycle、GPC)と屈折率(Reflective index)を示すグラフである。
図8】本願の実施例3により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して低温の125℃で成長させたシリコン含有酸化薄膜の蒸着速度と均一度を示すグラフである。
図9】本願の実施例3により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して低温の125℃でパターン基板に成長させたシリコン含有酸化薄膜の段差被覆性(Step Coverage)特性を示すグラフである。
図10】本願の実施例3により製造されたシリコン化合物を原子層蒸着法を利用して高温の400℃でパターン基板に成長させたシリコン含有酸化薄膜の段差被覆性(Step Coverage)特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0019】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0020】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0021】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために正確あるいは絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0023】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0024】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、上記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0025】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0026】
本願の明細書全体において、「膜」又は「薄膜」という用語はそれぞれ、特に区別されない限り、「膜」及び「薄膜」の全てを意味する。
【0027】
本願の明細書全体において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基、及びこれらの全ての可能な異性質体を含む。例えば、上記アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(Pr)、iso-プロピル基(Pr)、n-ブチル基(Bu)、iso-ブチル基(Bu)、tert-ブチル基(tert-Bu、Bu)、sec-ブチル基(sec-Bu、secBu)、n-ペンチル基(Pe)、iso-ペンチル基(isoPe)、sec-ペンチル基(secPe)、tert-ペンチル基(Pe)、neo-ペンチル基(neoPe)、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性質体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0029】
本願の第1の側面は、下記化学式1又は下記化学式2で表される、シリコン前駆体化合物を提供する:
[化1]


[化2]


上記化学式1及び上記化学式2において、
は、水素又は-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、但し、Rが水素の場合、Rは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではない。
【0030】
本願の一具現例において、上記化学式1において、Rは、-NRであり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ジメチルシリル基、又はトリメチルシリル基であるか;あるいはRは、置換又は非置換のC-C10環状アミン基であり、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0031】
本願の一具現例において、上記化学式1において、上記Rは、MeN-、EtMeN-、MePrN-、MePrN-、MeBuN-、EtN-、EtPrN-、EtPrN-、PrN-、PrN-、PrBuN-、BuN-、secBuN-、EtHN-、PrHN-、BuHN-、CN-、C10N-、C12N-、C14N-、C16N-、C18N-、C1020N-、(Me)(SiMe)N-、(Pr)(SiMe)N-、又は(MeSiH)N-であり、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記Rは、下記のような環状置換基であっても良いが、これに限定されるものではない:

【0032】
本願の一具現例において、上記化学式1において、上記Rは、水素であり、上記Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であり、上記-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0033】
本願の一具現例において、上記化学式1による上記シリコン前駆体化合物は、下記の化合物を含んでいても良いが、これに限定されるものではない:





【0034】
本願の一具現例において、上記化学式1による上記シリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、又はHSiN(secBu)(SiMe)であっても良い。
【0035】
本願の一具現例において、上記化学式2において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0036】
本願の一具現例において、上記化学式2による上記シリコン前駆体化合物は、下記の化合物を含んでいても良いが、これに限定されるものではない:

【0037】
本願の一具現例において、上記化学式2による上記シリコン前駆体化合物は、HSiN(Pr)(SiMe)又はHSiN(secBu)(SiMe)であっても良い。
【0038】
本願の具現例に係る上記化学式1又は上記化学式2による上記シリコン前駆体化合物は、Siに水素又は様々な形態のアミンが結合されており、反応性の良いアミンと表面吸着力に優れた水素の影響で表面での反応が起こり易く、反応性の大きい酸化剤又は窒化剤と反応してシリコン含有酸化薄膜(SiO)と窒化薄膜(SiNx)を形成するのに有利である。また、分子内にSiの含量が高いほど蒸着速度が高くなり、且つ膜の密度も増加してエッチング特性を良くする特性がある。本蒸着メカニズムにより、本願のシリコン含有膜は約100℃~約500℃の広範囲で応用可能であると判断され、特に、シリコン含有窒化膜又は窒化薄膜は約300℃以下の温度まで低くすることができる。また、直接的な炭素結合を有しないため、金属薄膜内における炭素含量を効果的に低くすることができ、低温でも高い揮発性を有し、室温で液体の状態で存在するので、原子層蒸着法によるシリコン含有酸化膜又は薄膜、あるいは窒化膜又は薄膜を蒸着するためのシリコン前駆体化合物として適合に使用されることができる。
【0039】
本願の第2の側面は、M-N(R)-SiRをSiXとハライドアミン置換反応させた後、順次にMRの金属アミン塩を添加し、ハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、上記反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化1]


M-N(R)-SiR、SiX、MR、M’H、及び上記化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【0040】
本願の第1の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面について説明した内容は、本願の第2の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0041】
本願の一具現例において、上記化学式1によるシリコン前駆体化合物は、様々な方法を利用して製造されても良く、好ましくは、下記反応式1により非極性溶媒下において選択的にアミンリガンドを置換させた後、極性及び非極性溶媒の混合溶媒を使用して水素化させてから精製することで得られても良いが、これに限定されるものではない:
[反応式1]
1段階:Si+M-N(R)-SiR→SiN(R)-SiR+MX
2段階:SiN(R)-SiR+MR→RSiN(R)-SiR+MX
3段階:RSiN(R)-SiR+4M’H→RSiN(R)+4M’X
ここで、Mは、アルカリ金属であり、Li又はNaであっても良く、M’Hは、水素化金属試薬であり、LiH、NaH、LiBH、LiAlH、NaAlH、又はNaBHであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0042】
本願の一具現例において、上記化学式1で表されるシリコン前駆体化合物は、上記反応式1で表されたように、ヘキサハライドダイシリコン化合物に1次反応として低温で約1当量内外の金属アミン塩[M-N(R)-SiR、M:Li又はNa]を添加し、常温を維持しながらハライドとアミンを置換反応させた後、反応副産物を金属ハライド塩の形態でフィルタを介して除去する。その後、2次反応として低温で約1当量内外の金属アミン塩(MR)を添加し、常温を維持しながらハライドとアミンを置換反応させた後、反応副産物を金属ハライド塩の形態でフィルタを介して除去する。最後に、3次反応でM’Hを利用して残っているハライドを水素に置換させることで容易に得ることができる。また、上記反応式1において、1次反応としては、低温で約1当量内外の金属アミン塩[M-N(R)-SiR、M:Li又はNa]を添加、約2当量内外のアミン(HN(R)-SiR)を添加するか、あるいは約1当量~約1.5当量のテトラエチルアミン(TEA、Tetraethylamine)とアミン[HN(R)]を添加する方法の中から選択されることが好ましい。また、上記反応式1において、2次反応としては、低温で約1当量内外の金属アミン塩(MNR)を添加、約2当量内外のアミン(HNR)を添加するか、あるいは約1当量~約1.5当量のTEA(Tetraethylamine)とアミン(HR、R=N(R))を添加する方法の中から選択されることが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0043】
本願の一具現例において、上記反応式1において、Xは、ハロゲン元素であって、Cl、Br、又はIであり、好ましくは、Xは、Clである。ところが、これに限定されるものではない。
【0044】
本願の一具現例において、上記反応式1において、M’Hは、Xを水素に還元させる還元剤であって、リチウムハイドライド(LiH)、ナトリウムハイドライド(NaH)、リチウムボロハイドライド(LiBH)、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)、又はナトリウムアルミニウムハイドライド(NaAlH)から選択される1つ以上であり、好ましくは、M’Hは、LiAlHである。ところが、これに限定されるものではない。
【0045】
本願の一具現例において、上記化学式1において、Rは、-NRであり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ジメチルシリル基、又はトリメチルシリル基であるか;あるいはRは、置換又は非置換のC-C10環状アミン基であり、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0046】
本願の一具現例において、上記化学式1において、上記Rは、MeN-、EtMeN-、MePrN-、MePrN-、MeBuN-、EtN-、EtPrN-、EtPrN-、PrN-、PrN-、PrBuN-、BuN-、secBuN-、EtHN-、PrHN-、BuHN-、CN-、C10N-、C12N-、C14N-(例えば、
)、C16N-、C18N-、C1020N-、(Me)(SiMe)N-、(Pr)(SiMe)N-、又は(MeSiH)N-であり、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0047】
本願の一具現例において、上記反応式1の1段階及び2段階で使用される溶媒としては、非極性溶媒が使用されても良く、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類、又は弱い極性を有するトルエンが使用されても良く、好ましくは、ヘキサンを使用しても良いが、これに限定されるものではない。また、上記反応式1の3段階で使用される溶媒としては、極性/非極性混合溶媒であって、所定の割合で混合されていることが好ましく、還元すべき物質の構造により、極性溶媒に対する非極性溶媒の割合は、約2:約1~約4の割合で選択されることが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで、上記極性溶媒としては、THF、エーテル、及びモノ-乃至テトラ-グリム類から選択されても良く、好ましくは、THF又はエーテルを使用しても良い。また、ここで、上記非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類から選択されても良く、好ましくは、ヘキサンを使用しても良い。ところが、これに限定されるものではない。
【0048】
本願の第3の側面は、M-N(R)-SiRをSiXとハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、上記反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式1によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式1によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化1]


M-N(R)-SiR、SiX、M’H、及び上記化学式1において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、水素であり、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬である。
【0049】
本願の第1の側面及び第2の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面及び第2の側面について説明した内容は、本願の第3の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0050】
本願の一具現例において、上記化学式1によるシリコン前駆体化合物は、様々な方法を利用して製造されても良く、好ましくは、下記反応式2により非極性溶媒下において選択的にアミンリガンドを置換させた後、極性及び非極性溶媒の混合溶媒を使用して水素化させてから精製することで得られても良いが、これに限定されるものではない:
[反応式2]
1段階:Si+M-N(R)→SiN(R)-SiR+MX
2段階:SiN(R)-SiR+5M’H→SiN(R)-SiR+5M’X
ここで、Mは、アルカリ金属であり、Li又はNaであっても良く、M’Hは、水素化金属試薬であり、LiH、NaH、LiBH、LiAlH、NaAlH、又はNaBHであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0051】
本願の一具現例において、上記化学式1で表されるシリコン前駆体化合物は、上記反応式2で表されたように、ヘキサハライドダイシリコン化合物に1次反応として低温で約1当量内外の金属アミン塩[M-N(R)、M:Li or Na]を添加し、常温を維持しながらハライドとアミンを置換反応させた後、反応副産物を金属ハライド塩の形態でフィルタを介して除去する。その後、2次反応でM’Hを利用して残っているハライドを水素に置換させることで容易に得ることができる。また、上記反応式2において、1次反応としては、低温で約1当量内外の金属アミン塩[M-N(R)、M:Li、Na]を添加、約2当量内外のアミン[HN(R)]を添加するか、あるいは約1当量~約1.5当量のテトラエチルアミン(TEA、Tetraethylamine)とアミン(HN(R))を添加する方法の中から選択されることが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0052】
本願の一具現例において、上記反応式2において、Xは、ハロゲン元素であって、Cl、Br、又はIであり、好ましくは、Xは、Clである。ところが、これに限定されるものではない。
【0053】
本願の一具現例において、上記反応式2において、M’Hは、Xを水素に還元させる還元剤であって、リチウムハイドライド(LiH)、ナトリウムハイドライド(NaH)、リチウムボロハイドライド(LiBH)、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)、又はナトリウムアルミニウムハイドライド(NaAlH)から選択される1つ以上であり、好ましくは、M’Hは、LiAlHである。ところが、これに限定されるものではない。
【0054】
本願の一具現例において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0055】
本願の一具現例において、上記反応式2の1段階で使用される溶媒としては、非極性溶媒が使用されても良く、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類、又は弱い極性を有するトルエンが使用されても良く、好ましくは、ヘキサンが使用されても良いが、これに限定されるものではない。また、上記反応式2の2段階で使用される溶媒としては、極性/非極性混合溶媒であって、所定の割合で混合されていることが好ましく、還元すべき物質の構造により、極性溶媒に対する非極性溶媒の割合は、約2:約1~約4の割合で選択されることが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで、上記極性溶媒としては、THF、エーテル、及びモノ-乃至テトラ-グリム類から選択されても良く、好ましくは、THF又はエーテルが使用されても良い。また、ここで、上記非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類から選択されても良く、好ましくは、ヘキサンが使用されても良い。ところが、これに限定されるものではない。
【0056】
本願の第4の側面は、M-N(R)-SiRをHSiX(4-y)とハライドアミン置換反応させて反応混合物を得た後、上記反応混合物にM’Hを添加し、ハライド水素置換反応させて下記化学式2によるシリコン前駆体化合物を得ることを含む、下記化学式2によるシリコン前駆体化合物の製造方法を提供する:
[化2]


M-N(R)-SiR、HSiX(4-y)、M’H、及び上記化学式2において、
Mは、アルカリ金属であり、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
Xは、ハロゲン元素であり、
M’Hは、水素化金属試薬であり、
yは、0~2の整数である。
【0057】
本願の第1の側面~第3の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面~第3の側面について説明した内容は、本願の第4の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0058】
本願の一具現例において、上記化学式2によるシリコン前駆体化合物は、様々な方法を利用して製造されても良く、好ましくは、下記反応式3により非極性溶媒下において選択的にアミンリガンドを置換させた後、極性及び非極性溶媒の混合溶媒を使用して水素化させてから精製することで得られても良いが、これに限定されるものではない:
[反応式3]
1段階:HSiX(4-y)+M-N(R)-SiR→SiH(3-y)N(R)-SiR+MX
2段階:SiH(3-y)N(R)-SiR+(3-y)M’H→SiHN(R)-SiR+(3-y)M’X
ここで、Mは、アルカリ金属であり、Li又はNaであっても良く、M’Hは、水素化金属試薬であり、LiH、NaH、LiBH、LiAlH、NaAlH、又はNaBHであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0059】
本願の一具現例において、上記化学式2で表されるシリコン前駆体化合物は、上記反応式3で表されたように、ダイ乃至テトラハライドシリコン化合物に1次反応として低温で約1当量内外の金属アミン塩(M-N(R)-SiR、M:Li or Na)を添加し、常温を維持しながらハライドとアミンを置換反応させた後、反応副産物を金属ハライド塩の形態でフィルタを介して除去する。その後、2次反応でM’Hを利用して残っているハライドを水素に置換させることで容易に得ることができる。また、上記反応式3において、1次反応としては、低温で約1当量内外の金属アミン塩[M-N(R)-SiR]を添加、約2当量内外のアミン[HN(R)-SiR]を添加するか、あるいは約1当量~約1.5当量のテトラエチルアミン(TEA、Tetraethylamine)とアミン[HN(R)-SiR]を添加する方法の中から選択されることが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0060】
本願の一具現例において、上記反応式3において、Xは、ハロゲン元素であって、Cl、Br、又はIであり、好ましくは、Xは、Clである。ところが、これに限定されるものではない。
【0061】
本願の一具現例において、上記反応式3において、M’Hは、Xを水素に還元させる還元剤であって、リチウムハイドライド(LiH)、ナトリウムハイドライド(NaH)、リチウムボロハイドライド(LiBH)、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)、又はナトリウムアルミニウムハイドライド(NaAlH)から選択される1つ以上であり、好ましくは、M’Hは、LiAlHである。ところが、これに限定されるものではない。
【0062】
本願の一具現例において、上記化学式2において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であり、-SiRは、ジメチルシリル基又はトリメチルシリル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0063】
本願の一具現例において、上記反応式3の1段階で使用される溶媒としては、非極性溶媒が使用されても良く、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類、又は弱い極性を有するトルエンが使用されても良く、好ましくは、ヘキサンが使用されても良いが、これに限定されるものではない。また、上記反応式3の2段階で使用される溶媒としては、極性/非極性混合溶媒であって、所定の割合で混合されていることが好ましく、還元すべき物質の構造により、極性溶媒に対する非極性溶媒の割合は、約2:約1~約4の割合で選択されることが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで、上記極性溶媒としては、THF、エーテル、及びモノ-乃至テトラ-グリム類から選択されても良く、好ましくは、THF又はエーテルが使用されても良い。また、ここで、上記非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど炭素数5~8のアルカン類から選択されても良く、好ましくは、ヘキサンを使用しても良い。ところが、これに限定されるものではない。
【0064】
本願の第5の側面は、第1の側面によるシリコン前駆体化合物を含む、膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0065】
本願の第1の側面~第4の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面~第4の側面について説明した内容は、本願の第5の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0066】
本願の一具現例において、上記膜形成用前駆体組成物は、下記化学式1又は下記化学式2で表される、シリコン前駆体化合物を含む:
[化1]


[化2]


上記化学式1及び上記化学式2において、
は、水素又は-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、但し、Rが水素の場合、Rは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではない。
【0067】
本願の一具現例において、上記シリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、HSiN(secBu)(SiMe)、HSiN(Pr)(SiMe)、及びHSiN(secBu)(SiMe)から選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0068】
本願の一具現例において、上記膜は、シリコン含有酸化膜又は薄膜、シリコン含有窒化膜又は薄膜、及びシリコン含有炭化膜又は薄膜から選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0069】
本願の一具現例において、上記膜形成用前駆体組成物は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンから選択される1つ以上の窒素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0070】
本願の一具現例において、上記膜形成用前駆体組成物は、水蒸気、酸素、及びオゾンから選択される1つ以上の酸素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0071】
本願の第6の側面は、第1の側面によるシリコン前駆体化合物を含む膜形成用前駆体組成物を利用してシリコン含有膜を形成することを含む、シリコン含有膜の形成方法を提供する。
【0072】
本願の第1の側面~第5の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面~第5の側面について説明した内容は、本願の第6の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0073】
本願の一具現例において、上記膜形成用前駆体組成物は、下記化学式1又は下記化学式2で表される、シリコン前駆体化合物を含む:
[化1]


[化2]


上記化学式1及び上記化学式2において、
は、水素又は-NRであり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であるか、あるいはR及びRは、互いに連結された置換又は非置換のC-C10環状アルキル基であり、但し、R及びRが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基であり、但し、Rが水素の場合、Rは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではなく、
は、線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、
~Rは、それぞれ独立に、水素、あるいは線状又は分枝状のC-Cアルキル基であり、但し、R~Rが同時に水素ではない。
【0074】
本願の一具現例において、上記膜形成用前駆体組成物に含まれるシリコン前駆体化合物は、PrNSiN(SiHMesecBuNSiN(SiHMePrNSiN(Pr)(SiMe)、secBuNSiN(Pr)(SiMe)、(MeSiH)NSiN(SiHMe、HSiN(Pr)(SiMe)、HSiN(secBu)(SiMe)、HSiN(Pr)(SiMe)、及びHSiN(secBu)(SiMe)から選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0075】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、シリコン含有酸化膜又は薄膜、シリコン含有窒化膜又は薄膜、及びシリコン含有炭化膜又は薄膜から選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0076】
本願の具現例において、上記シリコン含有酸化膜又は薄膜、上記シリコン含有窒化膜又は薄膜、及び/又は、上記シリコン含有炭化膜又は薄膜は、誘電膜、ゲート絶縁膜、トンネリング酸化膜、スペーサ酸化膜、ILD&IMD、及び/又はパッシベーション(Passivation)酸化膜などにシリコン含有酸化薄膜が使用されており、拡散マスク、ゲートスペーサ、ゲート誘電膜、エッチングストッパ(Etch Stopper)、ストレッサ、及び/又はパッシベーションなどにシリコン含有窒化薄膜が使用されていて、その適用用途に応じて様々に応用されても良いが、これに限定されるものではない。
【0077】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、化学気相蒸着法(CVD)又は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。上記シリコン含有膜は、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)又は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。また、上記化学気相蒸着法又は原子層蒸着法は、本技術分野において公知の蒸着装置、蒸着条件、及び追加反応気体などを利用して行われても良いが、これに限定されるものではない。
【0078】
本願の一具現例において、上記膜を蒸着する際、シリコン含有酸化膜や複合金属シリコン含有酸化膜(HfSiOx、ZrSiOx、TiSiOx、HfAlOx、ZrAlSiOx、TiAlSiOx、ZrHfSiOx、ZrHfAlSiOx、SiC、SiCO、又はSiONなど)を形成するために、反応ガスとして水蒸気(HO)、酸素(O)、酸素プラズマ(O Plasma)、酸化窒素(NO、NO)、酸化窒素プラズマ(NO Plasma)、窒化酸素(N)、過酸化水素水(H)、及びオゾン(O)から1つ以上を使用することが好ましい。
【0079】
本願の一具現例において、上記膜を蒸着する際、シリコン含有窒化膜(SiN)や複合金属窒化膜(HfSiNx、ZrSiNx、TiSiNx、AlSiNx、HfAlSiNx、ZrAlSiNx、TiAlSiNx、HfZrAlSiNx、HfZrTiSiNx、TiAlSiNx、SiCN、SiOCN、又はSiBNなど)を蒸着するために、反応ガスとしてアンモニア(NH)、アンモニアプラズマ(NH Plasma)、ヒドラジン(N)、及び窒素プラズマ(N Plasma)から1つ以上を使用することが好ましい。
【0080】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、約100℃~約500℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記シリコン含有膜は、約100℃~約500℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約150℃~約500℃、約150℃~約450℃、約150℃~約400℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、約200℃~約500℃、約200℃~約450℃、約200℃~約400℃、約200℃~約350℃、約200℃~約300℃、約200℃~約250℃、約250℃~約500℃、約250℃~約450℃、約250℃~約400℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、約300℃~約500℃、約300℃~約450℃、約300℃~約400℃、約300℃~約350℃、約350℃~約500℃、約350℃~約450℃、約350℃~約400℃、約400℃~約500℃、約400℃~約450℃、又は約450℃~約500℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。
【0081】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、約1nm~約500nmの厚さ範囲で形成されても良いが、適用用途に応じて様々に応用されても良く、これに限定されるものではない。例えば、上記シリコン含有膜は、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約500nm、約40nm~約400nm、約40nm~約300nm、約40nm~約200nm、約40nm~約100nm、約40nm~約50nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200m~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、又は約400nm~約500nmの厚さ範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。
【0082】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、通常のシリコン半導体ウェハ、化合物半導体ウェハ、及びプラスチック基板(PI、PET、PES、及びPEN)から選択される1つ以上の基材上に形成されても良いが、これに限定されるものではない。また、孔や溝のある基材を使用しても良く、表面積の広い多孔質の基材を使用しても良いが、これに限定されるものではない。さらに、互いに異なる2種類以上の基材が接触又は連結されている基材に同時にあるいは順次に基材全体又は一部に対して上記シリコン含有膜が形成されても良いが、これに限定されるものではない。
【0083】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜は、縦横比が約1~約50で、幅が約10nm~約1μmである凹凸を含む基材上に形成されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記縦横比は、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約1~約10、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、約20~約50、約20~約40、約20~約30、約30~約50、約30~約40、又は約40~約50であっても良いが、これに限定されるものではない。また、例えば、上記幅は、約10nm~約1μm、約10nm~約900nm、約10nm~約800nm、約10nm~約700nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約90nm、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm、約10nm~約60nm、約10~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約1μm、約20nm~約900nm、約20nm~約800nm、約20nm~約700nm、約20nm~約600nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約90nm、約20nm~約80nm、約20nm~約70nm、約20nm~約60nm、約20~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約1μm、約30nm~約900nm、約30nm~約800nm、約30nm~約700nm、約30nm~約600nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約90nm、約30nm~約80nm、約30nm~約70nm、約30nm~約60nm、約30~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約1μm、約40nm~約900nm、約40nm~約800nm、約40nm~約700nm、約40nm~約600nm、約40nm~約500nm、約40nm~約400nm、約40nm~約300nm、約40nm~約200nm、約40nm~約100nm、約40nm~約90nm、約40nm~約80nm、約40nm~約70nm、約40nm~約60nm、約40~約50nm、約50nm~約1μm、約50nm~約900nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200nm~約1μm、約200nm~約900nm、約200nm~約800nm、約200nm~約700nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約1μm、約300nm~約900nm、約300nm~約800nm、約300nm~約700nm、約300nm~約600nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、約400nm~約1μm、約400nm~約900nm、約400nm~約800nm、約400nm~約700nm、約400nm~約600nm、約400nm~約500nm、約500nm~約1μm、約500nm~約900nm、約500nm~約800nm、約500nm~約700nm、約500nm~約600nm、約600nm~約1μm、約600nm~約900nm、約600nm~約800nm、約600nm~約700nm、約700nm~約1μm、約700nm~約900nm、約700nm~約800nm、約800nm~約1μm、約800nm~約900nm、又は約900nm~約1μmであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0084】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜の形成方法は、蒸着チャンバ内に位置した基材にシリコン含有酸化薄膜形成用又は窒化薄膜形成用前駆体組成物を気体の状態で供給し、シリコン含有酸化膜又は薄膜、あるいは窒化膜又は薄膜を形成することを含んでいるが、これに限定されるものではない。上記膜の蒸着方法は、本願の技術分野において公知の方法、装置などを利用しても良く、必要に応じて1つ以上の追加反応気体を共に利用して行われても良い。
【0085】
本願の具現例において、上記膜形成用前駆体組成物に含まれる本願のシリコン前駆体化合物は、高い蒸気圧、低い密度、及び高い熱安定性に起因し、原子層蒸着法又は化学気相蒸着法の前駆体として使用されてシリコン含有膜を形成することができ、特に、表面にパターン(溝)がある基材や多孔性基材、プラスチック基材上にも約100℃~約500℃の広い温度範囲で数nm~数十μm、又は約1nm~約500nmの厚さのシリコン含有酸化膜又は薄膜、あるいは窒化膜又は薄膜を均一に形成できるという優れた効果を有する。
【0086】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜の形成方法は、反応チャンバ内に基材を収容した後、搬送ガス又は希釈ガスを使用して上記シリコン前駆体化合物を上記基材上に移送し、約100℃~約500℃の広範囲の蒸着温度でシリコン含有酸化薄膜又は窒化薄膜を蒸着することが好ましい。ここで、上記広範囲の蒸着温度で上記シリコン含有膜を形成できることは、メモリ素子、ロジッグ素子、及びディスプレイ素子に適用可能な工程温度を広く確張し、様々な分野への適用可能性が高い。また、シリコン含有酸化膜、窒化膜、又は炭化膜のそれぞれのフィルム特性が異なっているため、広い温度範囲で使用可能なシリコン前駆体化合物が必要となり、約100℃~約500℃の広い蒸着温度範囲で蒸着が行われることが好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0087】
本願の一具現例において、上記シリコン含有膜の形成方法は、上記搬送ガス又は希釈ガスとしてアルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、及び水素(H)から選択される1つ以上の混合ガスを使用することが好ましい。また、上記シリコン前駆体化合物を基材上に伝達する方式としては、前駆体を搬送ガスを利用して強制的に気化させるバブリング(Bubbling)方式、常温で液状で供給し気化器を介して気化させる液状供給方式(Liquid Delivery System、LDS)、及び前駆体の蒸気圧を利用して直接供給する気体流量コントローラ(Vapor Flow Controller、VFC)方式を含む様々な供給方式が適用されても良く、最も好ましくは、上記シリコン前駆体化合物に対して蒸気圧を高めた場合は、VFC の方法を使用することができ、 上記シリコン前駆体化合物を液状に供給して気化器で、これを気化させチャンバ内に供給する場合は、LDS 方式、 上記シリコン前駆体の蒸気圧が低い場合は、容器を加熱して気化させるVFC方式が使用されることができる。最も好ましくは、上記シリコン前駆体化合物を、バブラー容器、LDS容器、又はVFC容器に入れて約0.1torr~約10torrの圧力範囲及び常温~約100℃の温度範囲で搬送ガスを利用するバブリング、LDS又はVFCなどにより高い蒸気圧を利用して搬送し、チャンバ内へ供給する方式が使用されても良い。ところが、これに限定されるものではない。
【0088】
本願の一具現例において、上記シリコン前駆体化合物を気化させるために、アルゴン(Ar)又は窒素(N)ガスで搬送したり、熱エネルギー又はプラズマを利用したり、基板上にバイアスを印加することがさらに好ましい。ところが、これに限定されるものではない。
【0089】
以下、本願について実施例を参照しながらより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するだけであり、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
[発明を実施するための形態]
【実施例
【0090】
<実施例1>化合物3[HSiN(Pr)(SiMe)]の製造
2Lの丸底フラスコにおいて、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi in n-hex.)121g(2.5M、0.446mol)を無水ヘキサン1,000mLと混合した。(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミン[HN(Pr)(SiMe)]58.6g(0.446mol)を-20℃付近で添加した後、室温まで徐々に上げてから4時間撹拌した。上記生成されたリチウム(イソプロピル)(トリメチルシリル)アミン塩溶液にヘキサクロロジシラン(hexachlorodisilane)100g(0.372mol)の無水ヘキサン500mL混合溶液を-50℃~-40℃で30分程添加した後、撹拌しながら徐々に温度を上げ、17時間撹拌した。反応の終了後、反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSi(N(Pr)(SiMe)]114g(収率:84%)が得られた。
【0091】
また、他の1Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)25.94g(0.626mol)、ジエチルエーテル350mL及び無水ヘキサン500mLを混合し、混合物を-20℃に冷却した。上記溶液に上記過程で回収した(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノペンタクロロジシラン114g(0.313mol)、ヘキサン200mL混合溶液を-20℃~-10℃で10分~20分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノジシラン[HSiN(Pr)(SiMe)]50.7g(収率:85%)が得られた。
【0092】
b.p:50℃及び10torr(167.4℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.109(N-Si-C 、s、9H)、δ1.076、1.060(N-CH-C 、d、6H)、δ3.354(Si-Si- 、t、3H)、δ4.872(Si-Si- 、q、2H)、δ3.132(N-C-CH、m、1H)
【0093】
<実施例2>化合物4[HSiN(secBu)(SiMe)]の製造
上記実施例1のような方法で製造した(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiN(secBu)(SiMe)]57.6g(収率:85%、(0.115mol))及び無水ヘキサン100mL混合溶液を、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)9.2g(0.242mol)、ジエチルエーテル250mL及び無水ヘキサン150mLを使用し、上記実施例1のような方法で無色の液体化合物である(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミノジシラン[HSiN(secBu)(SiMe)]23g(収率:75%)が得られた。
【0094】
b.p:80℃及び10torr(204.3℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.122(N-Si-C 、s、9H)、δ0.770(N-CH-CH-C 、t、3H)、δ1.077、1.061(N-CH-C 、d、3H)、δ1.338(N-CH-CH-CH、m、1H)、δ11.494(N-CH-CH-CH、m、1H)、δ2.763(N-CH-CH、m、1H)、δ3.365(Si-Si- 、t、3H)、δ4.854(Si-Si- 、q、2H)
【0095】
<実施例3>化合物9[PrNSiN(SiHMe]の製造
5Lの丸底フラスコにおいて、下記実施例5のような方法で製造した(テトラメチルジシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiN(SiHMe]328g(0.897mol)を無水ヘキサン3,000mLと混合して製造した混合物をドライアイスを使用して-30℃に冷却した。上記混合物にジイソプロピルアミン(diisopropylamine)272.23g(2.690mol)を無水ヘキサン1,000mLに混合した混合溶液を-30℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1-(ジ-iso-プロピル)アミノ-2-(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン[(Pr)NSiClN(SiHMe]308.84g(収率:80%)が得られた。
【0096】
3Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)39.673g(1.045mol)、テトラヒドロフラン1,000mL及び無水ヘキサン500mLを混合した。上記過程で回収した1-(ジ-iso-プロピル)アミノ-2-(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン300g(0.697mol)をヘキサン500mLに混合した混合溶液を-20℃~-10℃で30分~60分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、35℃~40℃に加熱して17時間反応させた。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1-ジ-iso-プロピルアミノ-2-(テトラメチルジシリル)アミノジシラン[(Pr)NSiN(SiHMe]173.3g(収率:85.4%)が得られた。
【0097】
b.p:60℃及び0.28torr(252.4℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.258、0.266(N-Si-C 、d、12H)、δ1.051、1.068(N-CH-C 、d、12H、δ2.993(N-C、m、2H)、δ4.804(N-Si-、m、2H)、δ4.937(Si-Si- 、t、2H)、δ4.947(Si-Si- 、t、2H)
【0098】
<実施例4>化合物10[secBuNSiN(SiHMe]の製造
3Lの丸底フラスコにおいて、下記実施例5のような方法で合成した(テトラメチルジシリル)アミノ-ペンタクロロジシラン[ClSiN(SiHMe]100g(0.273mol)を無水ヘキサン1,500mLと混合して製造した混合物をドライアイスを使用して-30℃に冷却した。上記混合物にジ-sec-ブチルアミン(di-sec-butylamine)106.01g(0.820mol)を無水ヘキサン300mLに混合した混合溶液を-30℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物であるジ-sec-ブチルアミノ(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン[(secBu)NSiClN(SiHMe]107.85g(収率:86%)が得られた。
【0099】
3Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)14.28g(0.376mol)、テトラヒドロフラン600mL及び無水ヘキサン400mLを混合した。上記過程で回収したジ-sec-ブチルアミノ(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン107.85g(0.235mol)をヘキサン200mLに混合した混合溶液を-20℃~-10℃で20分~30分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、35℃~40℃に加熱して17時間反応させた。上記反応によって生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物であるジ-sec-ブチルアミノ(テトラメチルジシリル)アミノジシラン[(secBu)NSiN(SiHMe]60.2g(収率:80%)が得られた。
【0100】
b.p:82℃及び0.3torr(282℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.258、0.266(N-Si-C 、d、12H)、δ0.853(N-CH-CH-C 、t、3H)、δ0.860(N-CH-CH-C 、t、3H)、δ1.052、1.069(N-CH-C 、d、3H)、δ1.069、1.086(N-CH-C 、d、3H)、δ1.328(N-CH-C 、m、2H)、δ1.485(N-CH-C 、m、2H)、δ2.644(N-C、m、2H)、δ4.796(N-Si-、m、2H)、δ4.934(Si-Si- 、t、2H)、δ4.944(Si-Si- 、t、2H)
【0101】
<実施例5>化合物11[(MeSiH)NSiN(SiHMe]の製造
3Lの丸底フラスコにおいて、ヘキサクロロジシラン(hexachlorodisilane)100g(0.372mol)を無水ヘキサン500mLと混合して製造した混合物をドライアイスを使用して-40℃に冷却した。上記混合物にテトラメチルジシラザン(1,1,3,3-tetramethyldisilazane)49.6g(0.372mol)とトリエチルアミン(TEA)41.40g(0.409mol)をヘキサン300mLに混合した混合溶液を-40℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(テトラメチルジシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiClSiN(SiHC]95.25g(収率:70%)が得られた。
【0102】
3Lの丸底フラスコにおいて、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi in n-hex.)79.77g(2.5M、0.286mol)を無水ヘキサン1,000mLと混合した。テトラメチルジシラザン(1,1,3,3-tetramethyldisilazane)38.13g(0.286mol)を-20℃付近で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、4時間撹拌した。形成されたリチウム(テトラメチルジシリル)アミン塩溶液に上記過程で回収した(テトラメチルジシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiClSiN(SiHC]95.25g(0.260mol)を-40℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。反応の終了後、反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1,2-ビス-(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン[(SiHMeNSiClN(SiHMe]85.28g(収率:71%)が得られた。
【0103】
1Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)11.19g(0.295mol)、テトラヒドロフラン350mL及び無水ヘキサン250mLを混合した。上記過程で回収した1,2-ビス-(テトラメチルジシリル)アミノテトラクロロジシラン[(SiHMeNSiClN(SiHMe]85.28g(0.184mol)をヘキサン100mLに混合した混合溶液を-20℃~-10℃で10分~20分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、40℃~50℃に加熱して4時間反応させてから12時間常温で反応させた。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1,2-ビス-(テトラメチルジシリル)アミノジシラン[(SiHMeNSiN(SiHMe]42g(収率:70%)が得られた。
【0104】
b.p:65℃及び0.38torr(254.1℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.235、0.244(N-Si-C 、d、12H)、δ4.791(N-Si-、m、2H)、δ4.947(Si-Si- 、s、4H)
【0105】
<実施例6>化合物13[PrNSiN(Pr)(SiMe)]の製造
1Lの丸底フラスコにおいて、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi in n-hex.)44.7g(2.5M、0.165mol)を無水ヘキサン500mLと混合した。ジイソプロピルアミン(diisopropylamine)16.7g(0.165mol)を-20℃付近で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、4時間撹拌した。生成されたリチウム(ジ-iso-プロピル)アミン塩溶液に上記実施例4のような方法で製造した(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiN(Pr)(SiMe)]50g(0.137mol)を-40℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1-(ジ-iso-プロピルアミノ)-2-(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノテトラクロロジシラン[(Pr)NSiClN(Pr)(SiMe)]52g(収率:88%)が得られた。
【0106】
1Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)6.91g(0.182mol)、テトラヒドロフラン250mL及び無水ヘキサン150mLを混合した。上記過程で回収した1-(ジ-iso-プロピルアミノ)-2-(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノテトラクロロジシラン[(Pr)NSiClN(Pr)(SiMe)]52g(0.121mol)をヘキサン100mLに混合した混合溶液を-20℃~-10℃で10分~20分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、40℃~50℃に加熱して4時間反応させてから12時間常温で反応させた。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノ(ジ-iso-プロピルアミノ)ジシラン[(Pr)NSiN(Pr)(SiMe)]21g(収率:64%)が得られた。
【0107】
b.p:58℃及び0.4torr(242.9℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.193(N-Si-C 、s、9H)、δ1.087、1.070(N-CH-C 、d、12H)、δ1.171、1.155(N-CH-C 、d、6H)、δ3.018(N-C-CH、m、2H)、δ3.181(N-C-CH、m,1H)、δ4.871(Si-Si- 、t、2H)、δ4.882(Si-Si- 、t、2H)
【0108】
<実施例7>化合物14[secBuNSiN(Pr)(SiMe)]の製造
1Lの丸底フラスコにおいて、ジ-sec-ブチルアミン((s-Bu)NH)26.65g(0.206mol)とトリエチルアミン(TEA)20.87g(0.206mol)をヘキサン500mLに混合した混合溶液に上記実施例4のような方法で製造した(イソプロピル)(トリメチルシリル)アミノペンタクロロジシラン[ClSiN(Pr)(SiMe)]50g(0.137mol)を-30℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1-(ジ-sec-ブチル)アミノ-2-(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノテトラクロロジシラン[(secBu)NSiClN(Pr)(SiMe)]40.9g(収率:65%)が得られた。
【0109】
1Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)5.1g(0.134mol)、テトラヒドロフラン250mL及び無水ヘキサン150mLを混合した。上記過程で回収した1-(ジ-sec-ブチル)アミノ-2-(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノテトラクロロジシラン40.9g(0.0809mol)をヘキサン100mLに混合した混合溶液を-20℃~-10℃で10分~20分間添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、40℃~50℃に加熱して4時間反応させてから12時間常温で反応させた。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である1-(ジ-sec-ブチル)アミノ-2-(イソプロピル)(トリメチルシリル)アミノジシラン[(secBu)NSiN(Pr)(SiMe)]22g(収率:77%)が得られた。
【0110】
b.p:63℃及び0.3torr(255.8℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.200(N-Si-C 、s、9H)、δ0.882(N-CH-CH-C 、t、6H)、δ1.072、1.090(sN-CH-C 、d、6H)、δ1.159、1.175(N-CH-C 、d、6H)、δ1.329(N-CH-CH-CH、m、2H)、δ1.508(N-CH-CH-CH、m、2H)、δ2.663(N-CH-CH、m、2H)、δ3.164(N-CH-CH、q、61H)、δ4.887(Si-Si- 、t、2H)、δ4.899(Si-Si- 、t、2H)
【0111】
<実施例8>化合物27[HSiN(Pr)(SiMe)]の製造
2Lの丸底フラスコにおいて、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi in n-hex.)303.3g(2.5M、1.089mol)を無水ヘキサン500mLと混合した。(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミン[(Pr)(SiMe)NH]143g(1.089mol)を-20℃付近で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、4時間撹拌した。上記溶液にトリクロロシラン(SiClH)122g(0.908mol)を-40℃~-20℃で添加した後、撹拌しながら室温まで徐々に上げ、17時間撹拌した。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノジクロロシラン[ClSiHN(Pr)(SiMe)]142g(収率:68%)が得られた。
【0112】
また、他の1Lの丸底フラスコにおいて、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)4.9g(0.130mol)、テトラヒドロフラン300mL及び無水ヘキサン300mLを混合した。上記混合溶液に上記過程で回収した(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノジクロロシラン[ClSiHN(Pr)(SiMe)]50g(0.217mol)を常温で発熱に注意しながら徐々に添加した後、40℃~50℃に加熱して17時間撹拌した。反応中に生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(iso-プロピル)(トリメチルシリル)アミノシラン[HSiN(Pr)(SiMe)]21g(収率:60%)が得られた。
【0113】
b.p:25℃及び10torr(136.6℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.105(N-Si-C 、s、9H)、δ1.083、1.100(N-CH-C 、d、6H)、δ3.097(N-C、m、1H)、δ4.517(Si-、s、3H)
【0114】
<実施例9>化合物28[HSiN(secBu)(SiMe)]の製造
上記実施例8のような方法でn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-BuLi in n-hex.)108.6g(2.5M、0.406mol)と(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミン[(secBu)(SiMe)NH]64.36g(0.443mol)とを反応させた溶液にトリクロロシラン(SiClH)50g(0.369mol)を添加して反応させた。上記反応の終了後、生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミノジクロロシラン[ClSiHN(secBu)(SiMe)]43g(収率:47.7%)が得られた。
【0115】
上記実施例8のような方法でリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)4.02g(0.105mol)と上記過程で回収した(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミノジクロロシラン[ClSiHN(secBu)(SiMe)]43g(0.176mol)とを反応させた。上記反応で生成された塩を濾過過程により除去し、溶媒及び揮発性副反応物は減圧蒸溜により除去することで、無色の液体化合物である(sec-ブチル)(トリメチルシリル)アミノシラン[HSiN(secBu)(SiMe)]18g(収率:58%)が得られた。
【0116】
b.p:34℃及び10torr(147.7℃及び760mmHg)
H-NMR(C):δ0.115(N-Si-C 、s、9H)、δ0.795(N-CH-CH-C 、t、3H)、δ1.068、1.084(N-CH-C 、d、3H)、δ1.340(N-CH-C 、m、1H)、δ1.507(N-CH-C 、m、1H)、δ2.762(N-C、m、1H)、δ4.490(Si-、s、3H)
【0117】
<実験例1>シリコン前駆体化合物の構造分析
上記実施例のうち、実施例1、3、6、及び8でそれぞれ製造したシリコン前駆体化合物の構造を分析するためにH-NMR分析を実施し(図1)、実施例6(化合物13)はさらにFT-IR分析を実施した(図2)。
【0118】
図1に示すように、実施例6で製造したシリコン前駆体化合物(化合物13)は、H-NMR分析結果、4.8ppmと4.92ppmでSi-Hピークが表れることが分かり、図2に示すように、FT-IR分析結果、分子内にあるSi-Hのピークが2155cm-1で強く表れることが分かる。上記したH-NMRとFT-IRの分析結果から化合物13であることが分かり、物質構造から、様々な温度範囲でシリコン含有酸化薄膜及び窒化薄膜が形成可能な優れた前駆体であることが分かる。
【0119】
<実験例2>シリコン前駆体化合物の熱的特性分析
上記実施例のうち、実施例1、3、6、及び8でそれぞれ製造したシリコン前駆体化合物の基礎熱特性を分析するためにTG分析を実施し、その結果を図3に示した。
【0120】
図3から、実施例1、3、6、及び8でそれぞれ製造したシリコン前駆体化合物は、何れも原子層蒸着法に適用するのに十分な揮発性を有することを示していることが分かる。また、本願のシリコン前駆体化合物は様々な揮発性を示しているので、約100℃~約500℃の広い温度範囲でシリコン含有酸化薄膜及び窒化薄膜を形成することができる優れた前駆体であることが分かる。
【0121】
<実施例10>シリコン前駆体化合物の低温蒸着
実施例1、3、6、及び8の方法により製造したシリコン前駆体化合物を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、酸素源であるOに200WのRF電力を印加してOプラズマを使用した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)を4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸してから取り出し、薄いHF水溶液に2分間浸して純粋なシリコン表面を形成した後、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)によりシリコン酸化物薄膜を製造した。温度に応じた蒸着特性を測定するためにALD周期を100回に固定し、基質の温度は比較的低い温度である150℃から300℃まで50℃間隔で加熱した。シリコン前駆体化合物は、ステンレススチールを材質とした容器に入れ、反応器の工程圧力1torrにおいて、それぞれ30℃、60℃、60℃の温度で容器を加熱しながら200sccmの流速を有するアルゴン(Ar)ガスを前駆体化合物の搬送ガスに使用して気化させた。ALD周期は、それぞれの気化した前駆体供給3sec、前駆体パージ10sec、Oプラズマ露出時間10sec、Oプラズマパージ10secにした。上記蒸着結果は図4に示した。
【0122】
図4から分かるように、実施例3及び6の方法により製造したシリコン前駆体化合物(化合物9及び13)は、既存に知られているジイソプロピルアミノシラン(DIPAS、HSiNPr)やビスジエチルアミノシラン(BDEAS、HSi(NEt)に比べて高い蒸着率を示した。シリルアミンとアルキルアミンを全て含む実施例3及び6の化合物9及び13の場合、既存に知られているDIPAS、BDEASに比べて高い蒸着率を有することから、アルキルアミンとシリルアミンを全て含む場合、高い蒸着率を有するのに有利であることが分かる。また、シリルアミンリガンドに2つのSiを含有した実施例3の化合物9がシリルアミンリガンドに1つのSiを含有した実施例6の化合物13よりも高い蒸着率を有することから、より多くのSiを含有しているシリルアミンをリガンドとして有するシリコン化合物が高い蒸着率を有するのに有利であるということが分かる。また、実施例3により製造したシリコン化合物9が高い蒸着率を有することから、同じSi個数を有するシリルアミンリガンドを含む場合、モノシラン系よりもジシラン系の前駆体の方がより高い蒸着率を有するのに有利であることが分かる。上記のようなジシラン系のシリコン化合物は、既存に知られているDIPASやBDEASに比べて遥かに高い蒸着速度を示すことが分かり、特に、実施例3の前駆体化合物9は、2倍以上高い蒸着率を示すことが分かる。また、低い温度である150℃~300℃の区間で高い蒸着速度を示すのは、半導体以外の他の分野、特にディスプレイ分野においても幅広く適用され得る優れた前駆体であることが分かる。
【0123】
<実施例11>シリコン前駆体化合物の温度に応じた蒸着
実施例3、6、及び8の方法によりそれぞれ製造したシリコン前駆体化合物9、13、及び27を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)を4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸してから取り出し、薄いHF水溶液に2分間浸して純粋なシリコン表面を形成した後、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)によりシリコン酸化物薄膜を製造した。温度に応じた蒸着特性を測定するためにALD周期を100回に固定し、150℃から500℃まで50℃間隔で温度に応じた蒸着率(growth rate)の結果を図5に示した。
【0124】
図5から分かるように、実施例6により製造したジシラン前駆体である化合物13は、既存に知られているDIPASに比べて遥かに高い蒸着速度を示した。特に、実施例3の化合物9は、150℃で3.74Å/cy、500℃で1.79Å/cyの高い蒸着速度を示すことが分かり、これは、単一前駆体として約100℃~約500℃の温度帯域でもシリコン含有酸化薄膜を蒸着することができると判断され、半導体の他にディスプレイなど様々な分野で使用され得る優れた前駆体であることが分かる。
【0125】
<実施例12>シリコン前駆体化合物の反応ガスの種類に応じた蒸着
実施例3、6、及び8の方法によりそれぞれ製造したシリコン前駆体化合物9、13、及び27を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、窒素源であるN又はNHに500WのRF電力を印加してN又はNHプラズマを使用した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)を4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸してから取り出し、薄いHF水溶液に2分間浸して純粋なシリコン表面を形成した後、原子層蒸着法(ALD)により窒化シリコン薄膜を製造した。前駆体の窒化シリコン薄膜特性を測定するためにALD周期を300回に固定し、基質の温度は300℃に加熱した。前駆体は、ステンレススチールを材質とした容器に入れ、1torrの圧力及び30℃、60℃、60℃の温度で容器を加熱しながら200sccmの流速を有するアルゴン(Ar)ガスを前駆体化合物の搬送ガスに使用して気化させた。ALD周期は、それぞれの気化した前駆体供給3sec、前駆体パージ5sec、N or NHプラズマ露出時間12sec、N or NHプラズマパージ5secにした。Nプラズマ又はNHプラズマをそれぞれ露出させて比較実験し、その結果は図6に示した。
【0126】
図6から分かるように、300℃において、使用された窒素源に応じて窒化シリコン薄膜の屈折率(Reflective Index)値が異なるように示された。3種類のシリコン前駆体化合物の何れも、Nプラズマを窒素源に使用した薄膜は屈折率が1.6以上の値(1.6334、1.6000、及び1.7116)を示すのに対し、NHプラズマを窒素源に使用した薄膜の屈折率は1.6以下の値(1.5020、1.5920、及び1.4808)を示した。上記した実験により、膜内におけるHの存在有無に応じて屈折率の値が変わることが分かり、NHに起因するか、前駆体に存在するHの量に応じて屈折率が変わることが分かる。優れたシリコン含有窒化薄膜を形成する条件は、HのないNプラズマを使用した方が、NHを使用する場合に比べて良いということが確認された。
【0127】
<実施例13>シリコン前駆体化合物の温度に応じた窒化シリコン薄膜の蒸着
実施例1により製造したシリコン前駆体化合物3を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、窒素源であるNに500WのRF電力を印加してNプラズマを使用した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)を4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸してから取り出し、薄いHF水溶液に2分間浸して純粋なシリコン表面を形成した後、原子層蒸着法(ALD)により窒化シリコン薄膜を製造した。前駆体の窒化シリコン薄膜特性を測定するためにALD周期を300回に固定し、基質の温度は250℃から350℃まで50℃ずつ増加しながら加熱した。前駆体は、ステンレススチールを材質とした容器に入れ、1torr、室温で200sccmの流速を有するアルゴン(Ar)ガスを前駆体和合物の搬送ガスに使用して気化させた。ALD周期は、それぞれの気化した前駆体供給2sec、前駆体パージ5sec、Nプラズマ露出時間12sec、Nプラズマパージ5secにした。Nプラズマに露出させて窒化シリコン薄膜を蒸着し、蒸着率(growth per cycle)及び屈折率の結果を図7に示した。
【0128】
図7から分かるように、温度が増加することに従って窒化シリコン薄膜の蒸着率が増加する傾向が確認された。屈折率は、各温度に応じて1.8201、1.8062、及び1.8020と全て1.8以上の値を示した。1.8以上の屈折率を示すというのは、半導体の他にディスプレイなど様々な分野で使用され得る優れた前駆体であることが分かる。
【0129】
<実施例14>シリコン前駆体化合物の蒸着率及び均一度の比較
実施例3の方法により製造したシリコン前駆体化合物9を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、酸素源であるOに500WのRF電力を印加してOプラズマを使用した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)を4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸してから取り出し、薄いHF水溶液に2分間浸して純粋なシリコン表面を形成した後、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)によりシリコン酸化物薄膜を製造した。各前駆体に応じたシリコン酸化膜の特性を測定するためにALD周期を400回に固定し、基質の温度は125℃に加熱した。シリコン前駆体化合物9は、ステンレススチールを材質とした容器に入れ、反応器の工程圧力1torr、60℃の温度で容器を加熱しながら500sccmの流速を有するアルゴン(Ar)ガスを前駆体化合物の搬送ガスに使用して気化させた。ALD周期は、それぞれの気化した前駆体供給1sec、前駆体パージ1sec、Oプラズマ露出時間2sec、Oプラズマパージ1secにした。蒸着結果は図8に示した。
【0130】
図8から、実施例3により製造したシリコン前駆体化合物9の蒸着速度が既存に知られているDIPAS又はBDMASと比べて遥かに高いことが分かり、また、6インチ基板に蒸着させた実施例3の前駆体化合物9のシリコン酸化膜が均一度の側面でも遥かに低く示されたので、最も均一に蒸着されたことが分かり、これは、半導体の他にディスプレイなど様々な分野で使用され得る優れた前駆体であることが分かる。
【0131】
<実施例15>シリコン前駆体化合物のパターン基板に対するS/C特性
実施例3の方法により製造したシリコン前駆体化合物9を使用し、プラズマを利用する原子蒸着法(PEALD-Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、酸素源であるOに500WのRF電力を印加してOプラズマを使用した。温度に応じた狭い溝を有する基板の蒸着特性を測定するためにALD周期を400回に固定し、基質の温度は125℃及び400℃に加熱した。シリコン前駆体化合物は、ステンレススチールを材質とした容器に入れ、反応器の工程圧力1torr、60℃の温度で容器を加熱しながら200sccmの流速を有するアルゴン(Ar)ガスを前駆体和合物の搬送ガスに使用して気化させた。ALD周期は、それぞれの気化した前駆体供給1sec、前駆体パージ1sec、Oプラズマ露出時間2sec、Oプラズマパージ1secにした。蒸着結果は図9及び10に示した。
【0132】
図9及び図10は、縦横比10:1の微細な小さい溝がある基板を使用し、膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果である。図4及び図5で測定した実施例3により製造したシリコン前駆体化合物9の蒸着率が、小さい溝がある基板でも比較的一定に維持されることが図9及び図10から分かる。125℃及び400℃の2つの温度の何れも500Wの比較的高いRF電力を印加し、ALD週期も5秒以内の条件であるにもかかわらず、溝の上側の横面と溝の最も深い下部とで同じ蒸着率を有する100%の段差被覆性(Step Coverage)が確認され、半導体の他にディスプレイなど様々な分野において速い速度で微細化が進行される半導体市場で使用できる優れた前駆体であると言える。
【0133】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0134】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10