(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】野球分析シート、野球分析データ収集方法、野球分析データ収集セット、及び、野球データ分析システム装置
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20240214BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A63B71/06 C
B42D15/00 331Z
(21)【出願番号】P 2022500376
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004353
(87)【国際公開番号】W WO2021161922
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2020023862
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】緒方 剛
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奈津子
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-273737(JP,A)
【文献】特開2000-140183(JP,A)
【文献】特開平09-253265(JP,A)
【文献】特開2014-094049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0139531(US,A1)
【文献】特開2017-170018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
B42D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球分析シートA及び野球分析シートBを含み、
前記野球分析シートAは、投球毎の情報及び結果を手書で記入するシートであり、
前記野球分析シートBは、打席毎の情報及び結果を手書で記入するシートであり、
前記野球分析シートA及び前記野球分析シートBは、それぞれ記入項目タイトル欄、手書記入欄、及び記入方法の説明を含み、
前記記入項目タイトル欄は、記入項目タイトル毎に前記タイトルが記載され、
前記手書記入欄は、前記記入項目タイトル欄の前記タイトル毎に対応して手書記入が可能な空欄が複数設けられ、
前記野球分析シートAにおいて、前記記入項目タイトルは、「表裏」、「投手」、「打者」、「強打」、「得点圏」、「コース捕」、「コース投」、「球種」、及び「結果」を示す各タイトルを含み、
前記野球分析シートBにおいて、前記記入項目タイトルは、「表裏」、「投手」、「ボール」、「ストライク」、「結果」、及び「打球方向」を示す各タイトルを含み、
前記記入方法の説明は、前記記入項目タイトル毎に、前記情報及び結果の種類に応じて割り当てられた特定数字が記載されており、
前記手書記入欄の空欄は、前記記入方法の説明に記載された特定数字について、手書記入が可能な空欄である、
野球分析シート。
【請求項2】
前記野球分析シートA及び野球分析シートBは、独立した別々のシートである、
請求項1記載の野球分析シート。
【請求項3】
請求項1又は2記載の野球分析シート、画像撮影送信機能を備えるユーザ端末、及び、野球データ分析装置を含み、
前記野球データ分析装置は、
シート画像取得部、シート画像記憶部、手書データ認識部、分析用データ記憶部、データ集計部、集計データ記憶部、分析項目入力部、分析シート情報生成部、及び、分析シート情報出力部を含み、
前記シート画像取得部は、一試合毎の野球分析シートの画像を取得し、
前記野球分析シートには、
投球毎の情報及び結果、ならびに、打席毎の情報及び結果の、少なくとも一方のデータが手書で記載されており、
前記シート画像記憶部は、前記野球分析シートの画像を前記野球分析シートの試合情報と紐づけて記憶し、
前記試合情報は、日付、開始時間、試合名、種別、試合の種類、スコア、表裏、先攻、後攻からなる群から選択された少なくとも一つの情報を含み、
前記手書データ認識部は、前記野球分析シートに記載された手書データを認識してコンピュータで処理可能な分析用データに変換し、
前記分析用データ記憶部は、前記分析用データを分析用テーブルに記憶し、
前記データ集計部は、前記分析用テーブルを基に、各試合のデータを集計した試合集計データを生成し、
前記集計データ記憶部は、チーム属性情報を記録したチームテーブル、選手属性情報を記録した選手テーブル及び試合集計テーブルを含み、
前記集計データ記憶部は、前記試合集計データを、前記チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて前記試合集計テーブルに記憶し、
前記分析項目入力部は、分析の対象となる分析項目情報を入力可能であり、
前記分析シート情報生成部は、前記試合集計テーブル及び前記分析項目情報に基づき分析シート情報を生成し、
前記分析シート情報出力部は、前記分析シート情報を出力する装置であり、
前記ユーザ端末により、試合結果が手書で記入された前記野球分析シートの画像を撮影して通信回線網を介して前記野球データ分析装置に送信し、
送信された前記野球分析シートの画像を前記野球データ分析装置の前記シート画像取得部が取得し、
前記野球データ分析装置の前記分析シート情報出力部は、前記通信回線網を介して前記ユーザ端末に前記分析シート情報を出力する、
野球データ分析システム装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の野球分析シート、及び、請求項3記載の野球データ分析システム装置における前記ユーザ端末を含む、野球分析データ収集セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球分析シート、野球分析データ収集方法、野球分析データ収集セット、及び、野球データ分析システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球は、人気のあるスポーツであり、プロ野球だけでなく、高校野球及び六大学野球のようなアマチュア野球も人気があり、プロ野球及びアマチュア野球を問わず、プレーの向上のためのトレーニングがされている。一方、最近の情報技術(IT)の進展により、ITを野球のトレーニングに活用する動きがある。例えば、特許文献1には、身体能力の測定結果に基づき野球選手を解析評価するプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
野球の試合では、ベンチにパソコンやタブレット等の情報機器を持ち込むことはできないため、スコアブックを手書で記入し、またスコアブック以外の項目については手書でメモをとり、試合後、スコアブックとメモを確認し、選手個人の課題とチームの課題をコーチ又は監督が把握していた。そして、把握した課題をコーチ又は監督が選手に説明し、次の試合のための練習に活かすことが一般的である。しかし、スコアブック及びメモをとる方法では、スコアブック及びメモがコンピュータで処理することに適しておらず、別途手入力でコンピュータに入力する必要があった。このため、従来の方法では、データの集計と分析に時間がかかり、選手個人の課題及びチームの課題を即座に把握することができず、また客観的なデータの分析も困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、コンピュータで処理することが容易であり、野球の試合データを速やかかつ客観的に集計及び分析可能な野球分析シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の野球分析シートは、
野球分析シートA及び野球分析シートBを含み、
前記野球分析シートAは、投球毎の情報及び結果を手書で記入するシートであり、
前記野球分析シートBは、打席毎の情報及び結果を手書で記入するシートであり、
前記野球分析シートA及び前記野球分析シートBは、それぞれ記入項目タイトル欄及び手書記入欄を含み、
前記記入項目タイトル欄は、記入項目タイトル毎に前記タイトルが記載され、
前記手書記入欄は、前記記入項目タイトル欄の前記タイトル毎に対応して手書記入が可能な空欄が複数設けられ、
前記野球分析シートAにおいて、前記記入項目タイトルは、「表裏」、「投手」、「打者」、「強打」、「得点圏」、「コース捕」、「コース投」、「球種」、及び「結果」を示す各タイトルを含み、
前記野球分析シートBにおいて、前記記入項目タイトルは、「表裏」、「投手」、「ボール」、「ストライク」、「結果」、及び「打球方向」を示す各タイトルを含み、
前記記入項目タイトル毎に、前記情報及び結果の種類に応じて特定数字が割り当てられており、
前記手書記入欄の空欄に、前記特定数字を手書で記入する、
シートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の野球分析シートは、コンピュータの処理が容易なように数字で記入するものであり、記入項目タイトルは、個人分析(投手及び打者)及びチーム分析に有用な項目タイトルであるので、コンピュータで、野球の試合データを速やかかつ客観的に集計及び分析可能である。このため、本発明によれば、試合直後において、選手個人の課題及びチームの課題を把握し、課題を意識した練習を即座に実施可能である。試合直後は、選手各自において試合の印象が強く残っており、試合直後の課題を意識した練習は、野球のプレー向上に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1の野球データ分析システム装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の野球データ分析システム装置の使用の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1におけるスコア表Aの一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態1におけるスコア表Aの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態1におけるスコア表Bの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態1におけるスコア表Bの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の野球データ分析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の野球データ分析装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態2の野球データ分析装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態3における野球データ分析の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態3における選手マスタテーブルの一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施形態3におけるチームマスタテーブルの一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施形態3における投手試合集計テーブルの一例を示す模式図である。
【
図14A】
図14Aは、実施形態3における打者試合集計テーブルの一例を示す模式図である。
【
図14B】
図14Bは、実施形態3における打者試合集計テーブルの一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、実施形態3における投手の個人分析シートの一例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、実施形態3における打者の個人分析シートの一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、実施形態3におけるチーム分析シートの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記野球分析シートA及び野球分析シートBは、例えば、独立した別々のシートである、という態様であってもよい。又は、前記野球分析シートA及び前記野球分析シートBは、一枚のシートにまとめられていても良い。
【0010】
本発明の野球分析データ収集方法は、
手書記入工程、画像撮影工程、及び、画像送信工程を含み、
前記手書記入工程は、試合中に、前記本発明の野球分析シートに手書で前記特定数字を記入し、
前記画像撮影工程は、前記試合後、手書で前記特定数字が記入された前記野球分析シートの画像を撮影し、
前記画像送信工程は、撮影した画像を、通信回線網を介して野球データ分析装置に送信する、方法である。
【0011】
本発明の野球分析データ収集方法において、例えば、
前記画像撮影工程、及び、前記画像送信工程は、画像撮影送信機能を備えるユーザ端末により実施される、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の野球分析データ収集方法において、例えば、
前記野球データ分析装置は、
シート画像取得部、シート画像記憶部、手書データ認識部、分析用データ記憶部、データ集計部、集計データ記憶部、分析項目入力部、分析シート情報生成部、及び、分析シート情報出力部を含み、
前記シート画像取得部は、一試合毎の野球分析シートの画像を取得し、
前記野球分析シートには、前記試合結果のデータが手書で記載されており、
前記シート画像記憶部は、前記野球分析シートの画像を前記野球分析シートの試合情報と紐づけて記憶し、
前記手書データ認識部は、前記野球分析シートに記載された手書データを認識してコンピュータで処理可能な分析用データに変換し、
前記分析用データ記憶部は、前記分析用データを分析用テーブルに記憶し、
前記データ集計部は、前記分析用テーブルを基に、各試合のデータを集計した試合集計データを生成し、
前記集計データ記憶部は、チーム属性情報を記録したチームテーブル、選手属性情報を記録した選手テーブル及び試合集計テーブルを含み、
前記集計データ記憶部は、前記試合集計データを、前記チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて前記試合集計テーブルに記憶し、
前記分析項目入力部は、分析の対象となる分析項目情報を入力可能であり、
前記分析シート情報生成部は、前記試合集計テーブル及び前記分析項目情報に基づき分析シート情報を生成し、
前記分析シート情報出力部は、前記分析シート情報を出力する装置である、
という態様であってもよい。
【0013】
本発明の野球データ収集セットは、前記本発明の野球データ収集方法に使用するセットであって、
前記本発明の野球分析シート、及び、画像撮影送信機能を備えるユーザ端末を含む。
【0014】
本発明の野球データ分析システム装置は、本発明の野球分析シート、画像撮影送信機能を備えるユーザ端末、及び、野球データ分析装置を含み、
前記野球データ分析装置は、
シート画像取得部、シート画像記憶部、手書データ認識部、分析用データ記憶部、データ集計部、集計データ記憶部、分析項目入力部、分析シート情報生成部、及び、分析シート情報出力部を含み、
前記シート画像取得部は、一試合毎の野球分析シートの画像を取得し、
前記野球分析シートには、前記試合結果のデータが手書で記載されており、
前記シート画像記憶部は、前記野球分析シートの画像を前記野球分析シートの試合情報と紐づけて記憶し、
前記手書データ認識部は、前記野球分析シートに記載された手書データを認識してコンピュータで処理可能な分析用データに変換し、
前記分析用データ記憶部は、前記分析用データを分析用テーブルに記憶し、
前記データ集計部は、前記分析用テーブルを基に、各試合のデータを集計した試合集計データを生成し、
前記集計データ記憶部は、チーム属性情報を記録したチームテーブル、選手属性情報を記録した選手テーブル及び試合集計テーブルを含み、
前記集計データ記憶部は、前記試合集計データを、前記チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて前記試合集計テーブルに記憶し、
前記分析項目入力部は、分析の対象となる分析項目情報を入力可能であり、
前記分析シート情報生成部は、前記試合集計テーブル及び前記分析項目情報に基づき分析シート情報を生成し、
前記分析シート情報出力部は、前記分析シート情報を出力する装置であり、
前記ユーザ端末により、試合結果が手書で記入された前記野球分析シートの画像を撮影して通信回線網を介して前記野球データ分析装置に送信し、
送信された前記野球分析シートの画像を前記野球データ分析装置の前記シート画像取得部が取得し、
前記野球データ分析装置の前記分析シート情報出力部は、前記通信回線網を介して前記ユーザ端末に前記分析シート情報を出力する、
システム装置である。
【0015】
前記野球データ分析装置において、例えば、
前記野球分析シートは、野球分析シートA及び野球分析シートBを含み、
前記野球分析シートAは、投球毎の結果データが記載され、
前記野球分析シートBは、打席毎の結果データが記載され、
前記シート画像取得部は、前記野球分析シートA及びBの両画像を取得し、
前記シート画像記憶部は、前記野球分析シートの画像を前記試合情報と紐づけて記憶し、
前記手書データ認識部は、前記野球分析シートA及びBに記載されたそれぞれの手書データを認識してコンピュータで処理可能な分析用データA及びBに変換し、
前記分析用データ記憶部は、前記分析用データA及びBを、それぞれ、分析用テーブルA及びBに記憶し、
前記データ集計部は、前記分析用テーブルA及びBを基に、各試合のデータを集計した試合集計データを生成する、
という態様であってもよい。
【0016】
前記野球データ分析装置において、例えば、
前記データ集計部は、前記分析用テーブルAを基に、投手毎に各試合のデータを集計した投手試合集計データAを生成し、かつ、前記分析用テーブルBを基に、打者毎に各試合のデータを集計した打者試合集計データBを生成し、
前記集計データ記憶部が記憶する前記試合集計テーブルは、投手試合集計テーブルA及び打者試合集計テーブルBを含み、
前記集計データ記憶部は、前記投手試合集計データAを、前記チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて前記投手試合集計テーブルAに記憶し、かつ、前記打者試合集計データBを、前記チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて前記打者試合集計テーブルBに記憶する、
という態様であってもよい。
【0017】
前記野球データ分析装置において、例えば、
前記分析項目入力部が入力する分析項目情報は、選手名を含み、
前記分析項目入力部により選手名が入力された場合、
前記分析シート情報生成部は、前記選手の個人分析シート情報を生成し、
前記分析シート情報出力部は、前記個人分析シート情報を出力し、
前記分析項目入力部により選手名が入力されなかった場合、
前記分析シート情報生成部は、ユーザが所属するチームのチーム分析シート情報を生成し、
前記分析シート情報出力部は、前記チーム分析シート情報を出力する、
という態様であってもよい。
【0018】
前記野球データ分析装置において、例えば、
前記手書データ認識部は、複数の認識候補の文字を確信度順にリスト化し、リスト化した最高順位の認識候補の文字を認識文字とする、
という態様であってもよい。
【0019】
前記野球データ分析装置において、例えば、
さらに、分析用テーブル表示部及びデータ修正部を含み、
前記分析用テーブル表示部は、前記分析用テーブルをユーザに表示可能であり、
前記データ修正部は、ユーザの操作に基づき前記分析用テーブルの修正が可能である、
という態様であってもよい。
【0020】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0021】
[実施形態1]
図1及び
図2に、本発明の野球データ分析システム装置の一例を示す。
【0022】
まず、
図1に示すシステム装置は、野球データ分析装置1及びユーザ端末3から構成されている。野球データ分析装置1とユーザ端末3は、インターネット等の通信回線網2を介して相互に通信可能である。なお、
図1には示していないが本発明の野球分析シートもシステム装置の構成要素である。
【0023】
ユーザ端末3は、カメラ等の撮像部及び通信部を備えていれば、特に限定されず、携帯電話、スマートフォン(スマホ)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)等が挙げられる。
【0024】
通信回線網2は、特に制限されず、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等がある。通信は、有線でも無線でもよく、無線通信としては、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、等が挙げられる。
【0025】
図2に、野球データ分析システム装置の使用の一例を示す。
図2に示すように、試合中では、野球分析シートであるスコア表A(野球分析シートA)及びスコア表B(野球分析シートB)にデータを記入する。スコア表Aは、全ての投球を記録する分析シートであり、スコア表Bは、全ての打席の結果を記録するシートである。試合後、試合で記録したスコア表Aとスコア表Bを、ユーザ端末(スマホ又はタブレット等)で撮影し、専用のプログラムでインターネット等を介して野球データ分析装置1にスコア表A及びスコア表Bのシート画像データを送信する。野球データ分析装置1において、送信されたシート画像から分析データを作成し、かつ選手個人の分析及びチームの分析を行う。試合後、ミーティング及び練習において、ユーザ端末において、選手個人の分析結果及びチームの分析結果を確認する。例えば、選手(投手又は打者等)、期間(全試合、最近5試合、最後の試合等)、試合の種別(公式戦、練習試合、紅白戦等)等を絞り込み条件として分析結果を確認してもよい。
【0026】
【0027】
図3に示すスコア表Aは全ての投球の結果を記録するものであり、試合中にベンチにて手書で記入する。スコア表Aは、ページ番号、表裏、投手、打者、強打、得点圏、コース捕(捕手が指示したコース)、コース投(投手が実際に投げたコース)、球種(ストレート、カーブ等)、結果(見逃し、空振り等)を示すタイトルが付せられ、それぞれのタイトルに応じて枡目状の複数の空欄が行と列を構成するように設けられている。スコア表Aの右側に、記入方法の説明が記載されている。例えば、球種では、ストレートは空白(記入しない)、カーブは「1」と記入する。
【0028】
図4はスコア表Aの記入例である。
図4に示すように、手書記入欄の空欄に特定数字が手書で記入されている。例えば、
図4において、手書記入欄の1行は、第1球目の記入欄であり、「表裏」の列に「1」(表)の記載、「投手」の列に背番号「11」の記載、「打者」の列に背番号「1」の記載、「コース捕」の列に捕手が構えたコース「3」の記載、「コース投」の列に投手が投げたコース「3」の記載、「球種」の列にはストレートを意味する空欄、「結果」の列には見逃しを意味する空欄が、それぞれある。また、
図4において、手書記入欄の16行目は、通算第16球目(表から裏に移った第1球目)の記入欄であり、「表裏」の列に「2」(裏)の記載、「投手」の列には投手が交代していないことを意味する空欄、「打者」の列に背番号「8」の記載、「コース捕」の列に捕手が構えたコース「4」の記載、「コース投」の列に投手が投げたコース「9」の記載、「球種」の列にはカーブを意味する「1」の記載、「結果」の列には見逃しを意味する空欄が、それぞれある。
【0029】
図5に示すスコア表Bは全ての打席の結果を記録するものであり、試合中にベンチにて手書で記入する。スコア表Bは、ページ番号、表裏、投手、打者、アウト、ボール、ストライク、結果(アウト、出塁、ヒット等)及び打球方向を示すタイトルが付せられ、それぞれのタイトルに応じて枡目状の複数の空欄が行と列を構成するように設けられている。スコア表Bの右側に、記入方法の説明が記載されている。例えば、結果では、アウトの場合、見逃し三振は「11」と記入し、空振り三振は「12」と記入する。
【0030】
図6はスコア表Bの記入例である。
図6に示すように、手書記入欄の空欄に特定数字が手書で記入されている。例えば、
図6において、手書記入欄の1行は、第1打席の記入欄であり、「表裏」の列に「1」(表)の記載、「投手」の列に背番号「11」の記載、「打者」の列にはチームが後攻であるため空欄、「ボール」の列にボールのカウント数「3」の記載、「ストライク」にはストライクのカウント数「2」の記載、「結果」の列には見逃し三振を意味する「11」が、「打球方向」の列は三振であるため空欄が、それぞれある。また、
図6において、手書記入欄の6行目は、通算第6打席(表から裏に移った第1打席)の記入欄であり、「表裏」の列に「2」(裏)の記載、「投手」の列には後攻であるから空欄、「打者」の列に背番号「8」の記載、「ボール」の列にボールのカウント数「3」の記載、「ストライク」にはストライクのカウント数「2」の記載、「結果」の列には単打を意味する「31」が、「打球方向」の列は「8」の記載が、それぞれある。
【0031】
[実施形態2]
図7及び
図8に、野球データ分析装置1の一例を示す。
図7は、野球データ分析装置1の構成を示すブロック図であり、
図8は、野球データ分析装置1のハードウエアの構成の一例を示す図である。
【0032】
図7に示すように、野球データ分析装置1は、シート画像取得部11、シート画像記憶部12、手書データ認識部13、分析用データ記憶部14、データ集計部15、集計データ記憶部16、分析項目入力部17、分析シート情報生成部18、及び、分析シート情報出力部19を必須の構成要素とし、任意の構成要素として、分析用テーブル表示部20及びデータ修正部21を備えてもよい。
【0033】
野球データ分析装置1の形態は、特に制限されないが、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)が挙げられる。また、野球データ分析装置1を構成する各部11~21は、別々の装置がネットワーク(通信回線網)で接続された態様であってもよい。
【0034】
図8に、野球データ分析装置1のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置1は、例えば、中央演算処理装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置(ディスプレイ)106、通信デバイス107等を有する。本装置1の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0035】
中央演算処理装置101は、本装置1の全体の制御を担う。本装置1において、中央演算処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算処理装置101が、シート画像取得部11、手書データ認識部13、データ集計部15、分析項目入力部17、分析シート情報生成部18、分析シート情報出力部19、分析用テーブル表示部20、及び、データ修正部21として機能する。
【0036】
バス103は、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンター等があげられる。本装置1は、例えば、バスに接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置又は機器と接続することもできる。他の装置としては、例えば、ユーザ端末の他、管理者の端末(PC、サーバ、スマホ、タブレット等)がある。
【0037】
本装置1は、例えば、さらに、入力装置105、ディスプレイ106を有する。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。ディスプレイ106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0038】
本装置1において、メモリ102及び記憶装置104は、管理者からのアクセス情報及びログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。また、記憶装置104は、例えば、シート画像記憶部12、分析用データ記憶部14、及び、集計データ記憶部16として機能する。
【0039】
本装置1において、例えば、シート画像取得部11は、通信デバイス107により、外部の通信回線網(ネットワーク)を介して、ユーザ端末から、野球分析シートの画像を取得し、分析シート情報出力部19は、通信デバイス107により、外部ネットワークを介して、分析シート情報をユーザ端末に出力する。
【0040】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。記憶装置104は、例えば、記憶媒体と、記憶媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0041】
図9のフローチャートに、野球データ分析装置1による処理の一例を示す。まず、シート画像取得部11は、一試合毎の野球分析シートの画像を取得する(S1)。野球分析シートには、前記試合結果のデータが手書で記載されている。シート画像記憶部12は、野球分析シートの画像121(シート画像121ともいう)を野球分析シートの試合情報122と紐づけて記憶する(S2)。手書データ認識部13は、野球分析シートに記載された手書データを認識してコンピュータで処理可能な分析用データ131に変換する(S3)。分析用データ記憶部14は、分析用データ131を分析用テーブル141に記憶する(S4)。分析用テーブル表示部20は、ユーザ端末に分析用テーブルを表示し(S41)、修正の必要があれば、データ修正部21により分析用テーブルのデータを修正する(S42)。データ集計部15は、分析用テーブル141を基に、各試合のデータを集計した試合集計データ151を生成する(S5)。集計データ記憶部16は、チーム属性情報を記録したチームテーブル161、選手属性情報を記録した選手テーブル162及び試合集計テーブル163を含み、試合集計データ151を、チーム属性情報及び選手属性情報と紐づけて試合集計テーブル163に記憶する(S6)。分析項目入力部17は、分析の対象となる分析項目情報を入力する(S7)。分析シート情報生成部18は、試合集計テーブル163及び分析項目情報に基づき分析シート情報を生成し(S8)、分析シート情報出力部19は、分析シート情報を出力する(S9)。そして、前記工程(S9)の実行後に野球データ分析装置1による処理を終了する(END)。
【0042】
[実施形態3]
図10に、本発明の野球データ分析の一例を示す。まず、ユーザ端末でログイン画面を表示する。ログイン画面は、ユーザIDとパスワードを入力するようになっている。ログインしたら、ユーザ端末の画面において、「スコア表読込」ボタン、「分析」ボタン、及び「戻る」ボタンが表示される。「スコア表読込」ボタンをクリックすると、ユーザ端末にスコア表読込画面が表示される。スコア表読込画面は、日付、開始時間、試合名、種別(試合の種類)、スコア(最終得点 先攻3点 後攻1点)、表裏(先攻か後攻か)のタイトルと空欄があり、それらの空欄に必要事項を記入する。また、スコア表読込画面は、「スコア表読込」ボタンがあり、「スコア表読込」ボタンを押すと、撮影した野球分析シート(スコア表A及びスコア表B)のシート画像が読み込まれる(野球データ分析装置のシート画像の取得に該当)。野球分析シートの読み込みが終了すると、ユーザ端末に読込画像画面が表示され、「決定」ボタンをクリックすると、シート画像(スコア画像ともいう)が試合情報と共に、野球データ分析装置1のシート画像記憶部12に記憶される。シート画像記憶部12に記憶されたシート画像は、手書文字認識エンジン(手書データ認識部13)で手書文字がコンピュータで処理可能な分析用データに変換され、スコアテーブル(分析用データ記憶部14)に記憶される。また、手書文字認識エンジンにおいて、例えば、複数の認識候補を生成し、確信度毎にリスト化してもよい。
図10において、確信度に基づき、「0」90%、「6」80%及び「3」20%とリスト化されている。手書文字認識エンジンが認識した分析用データが正しいか否かをチェックする場合は、ユーザ端末にスコアA修正・確認画面又はスコアB修正・確認画面を表示し、修正する必要がある場合は、ユーザ端末の操作で修正する。修正が終了したら、ユーザ端末に表示されている「完了」ボタンをクリックする。集計バッチ(データ集計部15)により、確認・修正された分析用データを基に、各試合のデータを集計した試合集計データ及び投手試合集計データを生成する。データベース(集計データ記憶部16)にはチーム属性情報を記録した「チームテーブル」、選手属性情報を記録した「選手テーブル」、及び「試合集計テーブル」がある。生成された、試合集計データ及び投手試合集計データは、チーム属性及び選手属性と紐づけて、それぞれ「試合集計テーブル」及び「試合集計テーブル_投手」に記憶する。ログイン後のユーザ端末画面において、「分析」ボタンをクリックすると、分析画面が表示される。分析画面には、種別(試合の種類)と選手のタイトルと空欄があり、選手名を入力して「決定」ボタンをクリックすると、試合集計テーブルと入力された選手名に基づき、入力された選手の個人分析シートがユーザ端末に表示される。一方、ユーザ端末の分析画面において選手名を入力せずに「決定」ボタンをクリックすると、試合集計テーブル及びユーザIDに基づき、ユーザが所属するチームのチーム分析シートがユーザ端末に表示される。
【0043】
本発明において、分析シート情報の生成は、分析項目に基づき試合集計テーブルの各データを集計し、各分析項目(打率、防御率等)に応じてデータ処理することで実施可能である。
【0044】
図11は、選手テーブル(選手マスタテーブル)の例である。図示のように、選手テーブルには、選手毎に、チームコード、部員番号(選手ID)、部員名(選手名)、投げ方(右投げ、左投げ)、打ち方(右打ち、左打ち)等の選手に関する情報が記憶されている。
図11には示していないが、選手テーブルには、所属チーム名、性別、年齢、野球経験年数、守備ポジション、打順等の選手に関する情報が記憶されていてもよい。
【0045】
図12は、チームテーブル(チームマスタテーブル)の例である。図示のように、チームテーブルには、チーム毎に、チームコード、チーム名等のチームに関する情報が記憶されている。
図12には示していないが、チームテーブルには、チーム所属組織名、チーム所属地域(例えば、福岡県、東京都等)、監督情報、コーチ情報、選手情報等のチームに関する情報が記憶されていてもよい。
【0046】
図13は、投手試合集計テーブルの例である。図示のように、投手試合集計テーブルには、チームコード、日付、開始時間、選手コード(選手ID)、投球数、球種(ストレート、カーブ等)毎の被単打数、被長打数及びアウト数等の情報が記憶されていてもよい。
図13において、球種毎の被単打数、被長打数及びアウト数における空白及び1~6は、
図3及び
図4に示すスコア表Aのストレート、カーブ等の球種に対応する。ただし、
図13は例示であって、投手試合集計テーブルには、奪三振数等、
図13に示す以外の項目が記憶されていてもよい。
【0047】
図14A及びBは、打者試合集計テーブルの例である。図示のように、打者試合集計テーブルには、チームコード、日付、開始時間、選手コード(選手ID)、球種(ストレート、カーブ等)毎の単打数、長打数及びアウト数、打球方向、四球数、死球数等の情報が記憶されていてもよい。
図14A及びBにおいて、球種毎の単打数、長打数及びアウト数における空白及び1~6は、
図5及び
図6に示すスコア表Bのストレート、カーブ等の球種に対応し、打球方向における1~19も、
図5及び
図6に示すスコア表Bの打球方向に対応する。ただし、
図14A及びBは例示であって、打者試合集計テーブルには、各ポジション(ピッチャー方向、ライト方向等)への単打数、長打数及びアウト数等、
図14A及びBに示す以外の項目が記憶されていてもよい。
【0048】
試合集計テーブルとしては、図示していないが、例えば、
図13に示す投手試合集計テーブル及び
図14A及びBに示す打者試合集計テーブルをまとめたもの等が挙げられる。
【0049】
図15は、投手の個人分析シートの例である。図示のように、投手の個人分析シートでは、例えば、防御率、投げた球種(ストレート、カーブ等)毎の被安打率、奪三振率、初球ストライク率、1打者当たりの平均ファール数、1打者当たりの平均ボール数、捕手要求合致率、2ストライクからの出塁率、先頭打者仕留め率、得点圏被安打率等が表示されている。
【0050】
図16は、打者の個人分析シートの例である。図示のように、打者の個人分析シートでは、例えば、球種(ストレート、カーブ等)毎の打率、試合数、打席、打数、安打、二塁打、三塁打、本塁打、塁打、打点、三振(見逃し三振、空振り三振)、四球、死球、犠打、犠飛、得点圏打率、出塁率、長打率、OPS(On-base plus slugging)、2ストライクからの平均投球数、2ストライクからの出塁率、一打席の平均投球数、見極め率、送りバント失敗率、スクイズ失敗率、コース別打率、打球方向等が表示されている。
【0051】
図17は、チーム分析シートの例である。図示のように、チーム分析シートでは、例えば、
図15に示す投手の個人分析シート及び
図16に示す打者の個人分析シートがまとめて表示されている。
【0052】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0053】
この出願は、2020年2月14日に出願された日本出願特願2020-23862を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、試合終了後、直ちに試合結果を分析し、分析データを基に練習が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 野球データ分析装置
2 通信回線網
3 ユーザ端末
11 シート画像取得部
12 シート画像記憶部
13 手書データ認識部
14 分析用データ記憶部
15 データ集計部
16 集計データ記憶部
17 分析項目入力部
18 分析シート情報生成部
19 分析シート情報出力部
20 分析用テーブル表示部
21 データ修正部