(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システムに使用するコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A24D 3/18 20060101AFI20240214BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240214BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240214BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24D3/18
A24F40/20
A24F40/40
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2022538184
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 GB2020053306
(87)【国際公開番号】W WO2021123824
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード, スティーブン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510261(JP,A)
【文献】実開昭60-068995(JP,U)
【文献】国際公開第2019/105950(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/023555(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/166640(WO,A1)
【文献】特表2018-500031(JP,A)
【文献】特表2011-528899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントであって、
内側チャネルと、
少なくとも1つの外側チャネルと、
外気の前記少なくとも1つの外側チャネルへの流入を可能にするように構成された少なくとも1つの通気エリアと
を備え、
前記コンポーネントは、口側端及び遠位端を備え、前記内側チャネル及び前記少なくとも1つの外側チャネルが、前記口側端で開いている、コンポーネント。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外側チャネルから前記内側チャネルを分離する内壁をさらに備え、
前記内壁が、空気に対して実質的に不透過である、請求項1に記載のコンポーネント。
【請求項3】
外壁をさらに備え、
前記少なくとも1つの通気エリアが、前記外壁に形成される、請求項1又は2に記載のコンポーネント。
【請求項4】
前記少なくとも1つの通気エリアが、前記外壁に形成された少なくとも1つの通気開口部を備える、請求項3に記載のコンポーネント。
【請求項5】
前記内壁及び前記外壁を接続する端壁であって、前記少なくとも1つの外側チャネルの遠位端を規定する、端壁をさらに備える、請求項3又は4に記載のコンポーネント。
【請求項6】
複数の外側チャネルであって、それぞれが少なくとも1つの対応する通気エリアを有する、複数の外側チャネルを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項7】
シート材料により形成された1つ又は複数の壁をさらに備える、請求項6に記載のコンポーネント。
【請求項8】
前記外側チャネルが、前記内側チャネルの周りに配置されている、請求項6又は7に記載のコンポーネント。
【請求項9】
前記内側チャネル及び前記少なくとも1つの外側チャネルが、実質的に平行である、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの外側チャネルの断面積と前記内側チャネルの断面積との比が、5:1~0.5:1の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項11】
前記コンポーネントの前記遠位端に設けられた開口をさらに備え、
前記開口が、ロッド状物品を受容するように構成されている、請求項
1~10のいずれか一項に記載のコンポーネント。
【請求項12】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品であって、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料と、
請求項
1~11のいずれか一項に記載のコンポーネントと
を備える、物品。
【請求項13】
前記エアロゾル生成材料の下流に配設された管状セクションをさらに備える、請求項
12に記載の物品。
【請求項14】
前記管状セクションが、0.5mm~2.5mmの壁厚を有する、請求項
13に記載の物品。
【請求項15】
前記管状セクションが、少なくとも10mmの長さを有する、請求項
13又は14に記載の物品。
【請求項16】
前記管状セクションが、エアロゾル生成材料を含む壁を備える、請求項
13~15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
前記管状セクションが、325ミクロンより大きな厚さを有する紙及び/又は少なくとも100コレスタ単位の通気度を有する壁を備える、請求項
13~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
外気の前記管状セクションへの流入を可能にするように構成された通気エリアをさらに備える、請求項
13~17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記通気エリアが、単一列の通気開口部を備える、請求項
18に記載の物品。
【請求項20】
前記通気エリアが、2列以上の通気開口部を備える、請求項
18に記載の物品。
【請求項21】
前記エアロゾル生成材料が、約1000コレスタ単位又は約2000コレスタ単位より大きな通気度レベルを有するラッパーにより被覆されている、請求項
18~20のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記通気エリアにより与えられる通気度レベルが、前記物品を通過する前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスにより生成されたエアロゾルの体積の45%~65%の範囲内、又は、前記物品を通過する前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスにより生成されたエアロゾルの体積の40%~60%の範囲内である、請求項
17~21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記エアロゾル生成材料の下流に配設された材料本体をさらに備える、請求項
12~22のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
前記材料本体が、フィラメントトウを含む、請求項
23に記載の物品。
【請求項25】
前記フィラメントトウは、断面の等周比が25以下、20以下、又は15以下のフィラメントを含む、請求項
24に記載の物品。
【請求項26】
前記フィラメントトウが、前記材料本体の長さmm当たりの重量として、前記フィラメントトウに対して生成されたトウ能力曲線の最小及び最大重量間の範囲の約10%~約30%を有する、請求項
24又は25に記載の物品。
【請求項27】
吸着材をさらに備える、請求項
12~26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項28】
ラッパーをさらに備える、請求項
12~27のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
前記ラッパーが、2重量%以下又は1重量%以下のクエン酸含有率を有する、請求項
28に記載の物品。
【請求項30】
前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入された場合に、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの加熱器と前記物品の管状セクションとの間の最短距離が少なくとも約3mmとなるように構成されている、請求項
12~29のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントを製造する方法であって、
内側チャネルを形成するステップと、
少なくとも1つの外側チャネルを形成するステップと、
外気の前記少なくとも1つの外側チャネルへの流入を可能にするように構成された少なくとも1つの通気エリアを形成するステップと
を含
み、
前記コンポーネントは、口側端及び遠位端を備え、前記内側チャネル及び前記少なくとも1つの外側チャネルが、前記口側端で開いている、方法。
【請求項32】
前記内側チャネルを形成するステップ及び/又は前記少なくとも1つの外側チャネルを形成するステップが、射出成形プロセスを含む、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
前記内側チャネルを形成するステップが、ひだ状のシート材料からチューブを形成することを含む、請求項
31に記載の方法。
【請求項34】
複数の外側チャネルを形成するステップを含み、前記外側チャネルを形成するステップが、平面状の材料シートを前記チューブに巻き付けることを含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの通気エリアを形成する前記ステップが、開口部を材料に形成することを含む、請求項
31~34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネント、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品、及び非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ産業製品では、使用時にエアロゾルが発生し、これをユーザが吸引する。例えば、タバコ加熱デバイスがタバコ等のエアロゾル生成基体を加熱することにより、基体の燃焼ではなく加熱によって、エアロゾルを形成する。このようなタバコ産業製品は、エアロゾルが通過してユーザの口に達するマウスピースを具備し得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、第1の態様においては、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントであって、内側チャネルと、少なくとも1つの外側チャネルと、外気の少なくとも1つの外側チャネルへの流入を可能にするように構成された少なくとも1つの通気エリアと、を備える、コンポーネントが提供される。
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、第2の態様においては、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品であって、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料と、第1の態様に係るコンポーネントと、備える、物品が提供される。
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、第3の態様においては、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントを製造する方法であって、内側チャネルを形成するステップと、少なくとも1つの外側チャネルを形成するステップと、外気の少なくとも1つの外側チャネルへの流入を可能にするように構成された少なくとも1つの通気エリアを形成するステップと、を含む、方法が提供される。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、上記第2の態様に係る物品と、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、を備える非燃焼性エアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、これらは一例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントの端面図である。
【
図1b】
図1aに示すコンポーネントの側方断面図である。
【
図1c】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの側方断面図である。
【
図2】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【
図3】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【
図4】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【
図5】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【
図6】非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品であって、
図1a及び
図1bに示すコンポーネントを備える、物品の側面図である。
【
図7】
図6の物品のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する非燃焼性エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
【
図8】外カバーを外すとともに物品が存在しない状態の
図7のデバイスを示した図である。
【
図10】外カバーを省略した
図5のデバイスの分解図である。
【
図12】非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントを製造する方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において使用する、用語「送達システム(delivery system)」は、少なくとも1つの物質をユーザに送達するシステムを含むことが意図され、
シガレット、シガリロ、シガー、並びにパイプ用タバコ又は自家巻き若しくは自家製シガレット用タバコ等の燃焼性エアロゾル供給システム(タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、タバコ代替品、又は他の喫煙材に基づくか否かに関わらず)と、
燃焼なしにエアロゾル生成材料から化合物を放出させる非燃焼性エアロゾル供給システム(電子タバコ、タバコ加熱製品、及びエアロゾル生成材料の組み合わせによってエアロゾルを生成する混成システム等)と、
エアロゾルの形成なく、経口、経鼻、経皮、又は別の方法で少なくとも1つの物質をユーザに送達するエアロゾルフリー送達システム(ロゼンジ、ガム、パッチ、吸入可能粉末を含む物品、並びにスヌース若しくはモイストスナッフを含む経口タバコ等の経口製品を含むが、これらに限定されない)(少なくとも1つの物質は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい)と、
を含む。
【0010】
本開示によれば、「燃焼性」エアロゾル供給システムは、少なくとも1つの物質のユーザへの送達を容易化するために、当該エアロゾル供給システムの構成物質であるエアロゾル生成材料(又は、その成分)が使用時に燃焼され又は燃やされるものである。
【0011】
本開示によれば、「非燃焼性」エアロゾル供給システムは、少なくとも1つの物質のユーザへの送達を容易化するために、当該エアロゾル供給システムの構成物質であるエアロゾル生成材料(又は、その成分)が燃焼されない又は燃やされないものである。
【0012】
本明細書に記載の実施形態において、送達システムは、給電式非燃焼性エアロゾル供給システム等の非燃焼性エアロゾル供給システムである。
【0013】
いくつかの実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給システムは、ベーピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル生成材料中のニコチンの存在は要件ではないことを留意されたい。
【0014】
いくつかの実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られるエアロゾル生成材料加熱システムである。このようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0015】
一実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料(これらのうちの1つが加熱されるようになっていてもよいし、複数が加熱されるようになっていてもよい)の組み合わせによってエアロゾルを生成する混成システムである。エアロゾル化可能材料はそれぞれ、例えば固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。一実施形態において、混成システムは、液体若しくはゲルエアロゾル化可能材料並びに固体エアロゾル化可能材料を含む。固体エアロゾル化可能材料は、例えばタバコ又は非タバコ製品を含んでいてもよい。
【0016】
通常、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する消耗品と、を備えていてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示は、エアロゾル生成材料を含み、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するように構成された消耗品に関する。本開示の全体を通して、これらの消耗品を物品と称する場合がある。
【0018】
消耗品は、エアロゾル生成材料を含む物品又はエアロゾル生成材料から成る物品であって、その一部又は全部がユーザによる使用時に消費されることが意図される。消耗品は、エアロゾル生成材料格納エリア、エアロゾル生成材料移動コンポーネント、エアロゾル生成エリア、ハウジング、ラッパー(被覆体)、マウスピース、フィルタ、及び/又はエアロゾル変性剤等の1つ又は複数の他のコンポーネントを備えていてもよい。また、消耗品は、使用時に熱を放出してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させる加熱器等のエアロゾル生成器を備えていてもよい。加熱器は、例えば燃焼性材料、電気伝導により加熱可能な材料、又はサセプタを含んでいてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給システム(その非燃焼性エアロゾル供給デバイス等)は、パワー源及び制御装置を備えていてもよい。パワー源は、例えば電力源であってもよいし、発熱パワー源であってもよい。いくつかの実施形態において、発熱パワー源は、当該発熱パワー源に近接するエアロゾル生成材料又は熱伝達材料に対して、熱の形のパワーを供給するようにエネルギー供給可能な炭素基体を備える。
【0020】
いくつかの実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給システムは、消耗品を受容するエリア、エアロゾル生成器、エアロゾル生成エリア、ハウジング、マウスピース、フィルタ、及び/又はエアロゾル変性剤を備えていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する消耗品は、エアロゾル生成材料、エアロゾル生成材料格納エリア、エアロゾル生成材料移動コンポーネント、エアロゾル生成器、エアロゾル生成エリア、ハウジング、ラッパー、フィルタ、マウスピース、及び/又はエアロゾル変性剤を備えていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、送達される物質は、エアロゾル生成材料であってもよいし、エアロゾル化の対象ではない材料であってもよい。いずれの材料も、必要に応じて、1つ若しくは複数の活性構成物質、1つ若しくは複数の香料、1つ若しくは複数のエアロゾル形成材料、並びに/又は1つ若しくは複数の他の機能材料を含んでいてもよい。
【0023】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された装置である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に熱エネルギーを加えることにより、エアロゾル生成材料から1つ又は複数の揮発性物質を放出させてエアロゾルを形成するように構成された加熱器である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成器は、加熱なしにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されている。例えば、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に振動、高圧、又は静電エネルギーのうちの1つ又は複数を加えるように構成されていてもよい。
【0024】
エアロゾル生成材料は、例えば加熱、照射、又はその他任意の方法でエネルギー供給された場合にエアロゾルを生成可能な材料である。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、活性物質及び/又は香味料を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、「アモルファス固体」を含んでいてもよく、これは代替として、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維質)と称する場合もある。いくつかの実施形態において、アモルファス固体は、乾燥ゲルであってもよい。アモルファス固体は、液体等の何らかの流体を内部の保持可能な固体材料である。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、例えば約50wt%、60wt%、又は70wt%~約90wt%、95wt%、又は100wt%のアモルファス固体を含んでいてもよい。
【0025】
エアロゾル生成材料は、1つ若しくは複数の活性物質及び/若しくは香料、1つ若しくは複数のエアロゾル形成材料、並びに任意選択として、1つ若しくは複数の他の機能材料を含んでいてもよい。
【0026】
エアロゾル形成材料は、エアロゾルを形成可能な1つ又は複数の構成物質を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、ジエチル硫酸塩、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0027】
1つ又は複数の他の機能材料は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、バインダ、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0028】
材料は、支持部上又は支持部中に存在して、基体を形成していてもよい。支持部は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材、ガラス、金属、又は合金であってもよいし、これらの材料を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、支持部は、サセプタを備える。いくつかの実施形態において、サセプタは、材料内に埋め込まれている。いくつかの代替実施形態において、サセプタは、材料の片側又は両側にある。
【0029】
エアロゾル変性剤は、通常はエアロゾル生成エリアの下流に配置され、例えばエアロゾルの風味、香味、酸味、又は別の特性を変更することによって、生成されたエアロゾルを変性させるように構成された物質である。エアロゾル変性剤は、当該エアロゾル変性剤を選択的に放出させるように動作可能なエアロゾル変性剤放出コンポーネント中に設けられていてもよい。
【0030】
エアロゾル変性剤は、例えば添加剤であってもよいし、吸着剤であってもよい。エアロゾル変性剤は、例えば香味料、着色料、水、及び炭素吸着剤のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。エアロゾル変性剤は、例えば固体であってもよいし、液体であってもよいし、ゲルであってもよい。エアロゾル変性剤は、粉末状であってもよいし、糸状であってもよいし、顆粒状であってもよい。エアロゾル変性剤は、ろ過材を有していなくてもよい。
【0031】
サセプタは、交番磁場等の変動磁場の侵入により加熱可能な材料である。サセプタは、変動磁場の侵入によって加熱材料の誘導加熱が生じるように、導電性材料であってもよい。加熱材料は、変動磁場の侵入によって当該加熱材料の磁気ヒステリシス加熱が生じるように、磁性材料であってもよい。サセプタは、導電性及び磁性の両加熱メカニズムで加熱可能となるように、両特性であってもよい。本明細書においては、変動磁場を生成するように構成されたデバイスを磁場生成器と称する。
【0032】
誘導加熱は、変動磁場の侵入によって導電性物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの誘導の法則及びオームの法則によって記述される。誘導加熱器は、電磁石と、交流電流等の変動電流を電磁石に通過させるデバイスとを備えていてもよい。電磁石及び加熱対象の物体が好適に、電磁石により生成される結果としての変動磁場が物体に侵入するように相対配置されると、物体の内側には、1つ又は複数の渦電流が生成される。物体は、電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、物体中にこのような渦電流が生成されると、その物体の電気抵抗に対する流れによって、物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と称する。誘導加熱可能な物体は、サセプタとして知られている。
【0033】
一実施形態において、サセプタは、閉回路の形態である。サセプタが閉回路の形態である場合は、使用中のサセプタと電磁石との間の磁気結合が増強されて、ジュール加熱が増大又は向上することが分かっている。
【0034】
磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の侵入によって、磁性材料で構成された物体が加熱されるプロセスである。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を含むものと考えられる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子が磁場と一致する。したがって、例えば電磁石が生成するような交番磁場等の変動磁場が磁性材料に侵入すると、変動磁場の印加に伴って、磁気双極子の配向が変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料中に熱が発生する。
【0035】
物体が導電性且つ磁性である場合は、物体への変動磁場の侵入によって、ジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両者が物体中に生じ得る。さらに、磁性材料の使用により磁場が強くなるため、ジュール加熱が増大され得る。
【0036】
上記プロセスのそれぞれにおいては、外部熱源からの伝熱ではなく、物体自体の内側で熱が発生するため、特に、好適な物体材料及び形状並びに好適な変動磁場の大きさ及び物体に対する配向の選択によって、物体中の急速な昇温及びより均等な熱分布が実現され得る。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場源と物体との物理的な接続が不要であるため、加熱プロファイルの設計自由度及び制御が増すとともに、コストが低下する可能性がある。
【0037】
物品(例えば、ロッドの形状のもの)は、製品の長さに従って命名されることが多い(「レギュラー」(通常、68~75mmの範囲(例えば、約68mm~約72mm))、「ショート」若しくは「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常、75~91mmの範囲(例えば、約79mm~約88mm))、「ロング」又は「スーパーキング」(通常、91~105mmの範囲(例えば、約94mm~約101mm))、並びに「ウルトラロング」(通常、約110mm~約121mmの範囲))。
【0038】
また、これらは、製品の外周に従って命名される(「レギュラー」(約23~25mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、「マイクロスリム」(約16mm未満))。
【0039】
したがって、キングサイズのスーパースリム型の物品は、例えば長さが約83mm、外周が約17mmとなる。
【0040】
各型は、長さの異なるマウスピースにより生成されるようになっていてもよい。マウスピースの長さは、約30mm~50mmとなる。チップペーパーがマウスピースをエアロゾル生成材料に接続し、通例は、チップペーパーがマウスピースを覆うとともにエアロゾル生成材料(例えば、基体材料のロッドの形態)に重なって、マウスピースをロッドに接続するように、マウスピースよりも大きな長さ(例えば、3~10mm長い)を有することになる。
【0041】
本明細書に記載の物品並びにそれぞれのエアロゾル生成材料及びマウスピースは、上記型のいずれかにて構成可能であるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において使用する用語「上流(upstream)」及び「下流(downstream)」は、使用時の物品又はデバイスを通して引き出される主流エアロゾルの方向に対して定義される相対的な用語である。
【0043】
本明細書に記載のフィラメントトウ又はフィルタ材料は、酢酸セルロース繊維トウを含み得る。また、フィラメントトウは、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1-4ブタンジオールサクシネート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペートコテレフタレート)(PBAT)、デンプンベースの材料、綿、脂肪族ポリエステル材料、及び多糖類ポリマー、又はこれらの組み合わせ等、繊維の形成に用いられる他の材料を使用して形成可能である。フィラメントトウは、トウに適した可塑剤(材料が酢酸セルローストウの場合は、トリアセチン)で可塑化されるようになっていてもよいし、トウが非可塑化されるようになっていてもよい。トウは、繊維が「Y」字形状、「X」字形状、又は「O」字形状の断面を有すること等、任意の好適な仕様を有し得る。トウの繊維は、フィラメント当たりのフィラメントデニール値が2.5~15デニール(例えば、フィラメント当たり8.0~11.0デニール)であってもよく、また、総デニール値が5,000~50,000(例えば、10,000~40,000)であってもよい。繊維の断面は、等周比(isoperimetric ratio)L2/Aが25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下であってもよい(ここで、Lは断面の周囲の長さであり、Aは断面の面積である)。このような繊維は、所与のフィラメント当たりのデニール値に対して、表面積が比較的小さく、消費者へのエアロゾルの送達が改善される。また、本明細書に記載のフィルタ材料は、紙等のセルロースベースの材料を含む。このような材料は、空気及び/又はエアロゾルが当該材料を通過できるように、立方センチメートル当たり約0.1~約0.45グラム等、比較的低い密度を有していてもよい。フィルタ材料として説明しているが、このような材料は、コンポーネントの引き抜きに対する抵抗力の増大等、本来のろ過と関連しない主目的を有していてもよい。
【0044】
本明細書において、用語「タバコ材料(tobacco material)」は、タバコ又はその派生物若しくは代替品を含む任意の材料を表す。用語「タバコ材料(tobacco material)」には、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコステム、タバコラミナ、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、送達される物質は、活性物質を含む。
【0046】
本明細書において使用する活性物質は、生理学的活性材料(生理学的反応の実現又は増強が意図される材料)であってもよい。活性物質は、例えば栄養補助食品、向精神薬、精神活性剤から選択されるようになっていてもよい。活性物質は、自然に存在するものであってもよいし、合成して得られるものであってもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6、B12、若しくはC等のビタミン類、メラトニン、カンナビノイド、又はこれらの構成物質、誘導体、若しくは組み合わせを含んでいてもよい。活性物質は、タバコ又は別の植物の1つ又は複数の構成物質、誘導体、又は抽出物を含んでいてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、活性物質は、ニコチンを含む。いくつかの実施形態において、活性物質は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0048】
本明細書に記載の通り、活性物質は、1つ又は複数の植物性物質又は構成物質、その誘導体又は抽出物を含んでいてもよいし、これらに由来するものであってもよい。本明細書において使用する、用語「植物性物質(botanical)」は、草木に由来する任意の材料を含んでいてもよく、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、さや等が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、この材料は、植物中に自然に存在し、合成して得られる活性化合物を含んでいてもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、粉砕粒子、顆粒、ペレット、細片、ストリップ、シート等の形態であってもよい。例示的な植物は、タバコ、ユーカリ、スターアニス、麻、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ジンジャー、イチョウ葉、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、リコリス(甘草)、抹茶、マテ、オレンジスキン、パパイヤ、ローズ、セージ、緑茶若しくは紅茶等の茶、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコ、バニラ、ウィンターグリーン、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、ビャクダン、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、ギンバイカ、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミエン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルビ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、クワ、高麗人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はこれらの任意の組み合わせである。ミントは、Mentha Arventis、Mentha c.v.、Mentha niliaca、Mentha piperita、Mentha piperita citrata c.v.、Mentha piperita c.v、Mentha spicata crispa、Mentha cardifolia、Memtha longifolia、Mentha suaveolens variegata、Mentha pulegium、Mentha spicata c.v.、Mentha suaveolensといったミントの品種から選定可能である。
【0049】
いくつかの実施形態において、活性物質は、1つ又は複数の植物性物質又は構成物質、その誘導体又は抽出物を含むか、或いは、これらに由来し、その植物はタバコである。
【0050】
いくつかの実施形態において、活性物質は、1つ又は複数の植物性物質又は構成物質、その誘導体又は抽出物を含むか、或いは、これらに由来し、その植物は、ユーカリ、スターアニス、ココア、及び麻から選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、活性物質は、1つ又は複数の植物性物質又は構成物質、その誘導体又は抽出物を含むか、或いは、これらに由来し、その植物は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、送達される物質は、香料を含む。
【0053】
本明細書において使用する、用語「香料(flavour)」及び「香味料(flavourant)」は、地域の規制が許す場合に、大人の消費者向けの製品において所望の風味、香り、又は他の体感を生成するのに使用可能な材料を表す。これらには、自然に存在する香味材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成して得られた材料、又はこれらの組み合わせ(例えば、タバコ、大麻、甘草(リコリス)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、桃、りんご、オレンジ、マンゴー、クレメンティーン、レモン、ライム、熱帯フルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ぶどう、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、パイン、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、桜の花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ジンジャー、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属の任意種のミント油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ葉、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジスキン、ローズ、緑茶若しくは紅茶等の茶、タイム、ジュニパー、ニワトコ、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミエン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルビ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子若しくは刺激因子、糖類及び/若しくは代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、若しくはマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、若しくは息清涼剤等の他の添加物を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成若しくは天然成分、又はこれらの混合であってもよい。これらは、例えば油等の液体、粉末等の固体、又はゲル等、任意好適な形態であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態において、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態において、香料は、オイゲノールを含む。いくつかの実施形態において、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態において、香料は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、香料は、嗅覚神経又は味覚神経の追加又は代替として、通例化学的に誘導され、第5脳神経(三叉神経)の刺激によって知覚される体感の実現が意図される知覚物質を含んでいてもよく、これらには、加熱、冷却、うずき、麻痺効果をもたらす薬剤を含み得る。好適な熱効果剤は、バニリルエチルエーテルであってもよいが、これに限定されない。また、好適な冷却剤は、ユーカリプトール、WS-3であってもよいが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書に記載の図面においては、同じ参照番号を用いて、同等の特徴、物品、又はコンポーネントを示している。
【0057】
図1aは、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントの端面図である。本例及び本明細書に記載の他の例において、コンポーネントは、非燃焼性エアロゾル供給システムの構成要素(例えば、タバコ加熱製品の構成要素)である。
図1bは、
図1aに示すコンポーネントのA-A’線を通る側方断面図である。
【0058】
本例において、コンポーネント1は、内側チャネル2、外側チャネル3a、3b、及び通気エリア4a、4bを具備する。第1の通気エリア4aは、外気の第1の外側チャネル3aへの流入を可能にするように構成されており、第2の通気エリア4bは、外気の第2の外側チャネル3bへの流入を可能にするように構成されている。
【0059】
いくつかの例において、コンポーネント1は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品用のマウスピースであってもよい。これについては、
図6との関連で以下により詳しく説明する。
【0060】
本例において、コンポーネント1は、プラスチック材料により形成されている。内側チャネル2及び外側チャネル3a、3bは、射出成形プロセスにより形成されていてもよい。
【0061】
内側チャネル2は、非燃焼性エアロゾル供給システムにより生成されたエアロゾルを導くように構成されている。内側チャネル2は、形状が実質的に円筒状であり、コンポーネント1の長手方向軸(図示せず)に沿って延びている。外側チャネル3a、3bは、コンポーネント1の長手方向軸と平行に延びている。言い換えると、内側チャネル2及び外側チャネル3a、3bは、互いに平行である。
【0062】
内側チャネル2及び外側チャネル3a、3bは、コンポーネント2の下流端において、それぞれの下流端を有する。これにより、流れが消費者の口に達する前の内側チャネル2及び外側チャネル3a、3bを通る流れの混合の大幅な抑制又は実質的な防止が図られる。これにより、目に見えるエアロゾルの形成を抑えることができ、望ましい場合がある。
【0063】
図1aのように端面を見た場合、第1の外側チャネル3a及び第2の外側チャネル3bはそれぞれ、内側チャネル2の円周の一部の周りに延びて、内側チャネル2を囲んでいる。そして、第1及び第2の壁8a、8bが2つの外側チャネル3a、3bを分離する。第1及び第2の壁8a、8bは、コンポーネント1の長手方向軸と平行に延びている。
【0064】
本例において、内側チャネル2は、直径が2.68mmである。いくつかの例において、内側チャネルは、直径が2mm~5mmの範囲(例えば、3mm又は4mm)であってもよい。
【0065】
本例において、内側チャネル2は、長さが16mmである。いくつかの例において、内側チャネルは、長さが12mm~20mmの範囲であってもよい。
【0066】
コンポーネント1は、口側端及び遠位端を有する。内側チャネル2及び外側チャネル3a、3bは、口側端で開いている。使用時はこれによって、
図1bに示すように、内側チャネル2からのエアロゾル及び/又は外側チャネル3a、3bからの空気がコンポーネント1の口側端から流出し得る。
【0067】
コンポーネント1は、第1及び第2の外側チャネル3a、3bから内側チャネル2を分離する内壁5を備える。内壁5は、空気に対して実質的に不透過である。これにより、内側チャネル2を流れるエアロゾル及び外側チャネル3a、3bを流れる空気がコンポーネント1内で混ざり合わなくなる。本例において、内壁5は、厚さが1mmである。いくつかの例において、内壁は、厚さが0.8mm~2mmの範囲であってもよい。
【0068】
また、コンポーネント1は、外壁6を備える。外壁6は、
図1aに示すようにコンポーネント1を端面で見た場合に、内壁5から半径方向外方に配設されている。本例において、外壁6は、コンポーネント1の外面の一部を規定しており、円周が21mmである。本例において、外壁6は、厚さが1mmである。いくつかの例において、外壁は、厚さが0.8mm~2mmの範囲であってもよい。
【0069】
外壁6には、第1及び第2の通気開口部4a、4bが形成されている。第1の通気開口部4aは、外壁6を通って延びることにより、外気の第1の外側チャネル3aへの流入を可能にし、第2の通気開口部4bは、外壁6を通って延びることにより、外気の第2の外側チャネル3aへの流入を可能にする。本例においては、各外側チャネルに対して、単一の通気開口部が形成されている。いくつかの例においては、各外側チャネルに対して、複数の通気開口部が形成されていてもよい。例えば、各外側チャネルに対して、2~10個の通気開口部が存在していてもよい。
【0070】
本例において、コンポーネント1の口側端と通気開口部4a、4bとの間の最短距離は、12mmである。いくつかの例において、コンポーネント1の口側端と通気開口部との間の最短距離は、10mm~16mmの範囲であってもよい。
【0071】
端壁7が内壁5及び外壁6の遠位端を接続している。端壁7は、外側チャネル3a、3bの遠位端を規定する。本例において、第1及び第2の外側チャネル3a、3bはそれぞれ、長さが14mmである。他の例において、外側チャネルの長さは、10mm~18mmの範囲又は12mm~16mmの範囲であってもよい。
【0072】
外側チャネルの総断面積と内側チャネルの断面積との比は、ユーザに送達されるエアロゾルの量に対して外気流の量を制御するように調整可能である。外側チャネルの総断面積と内側チャネルの断面積との比は、5:1~0.5:1の範囲であってもよい。本例において、外側チャネル3a、3bの総断面積と内側チャネル2の断面積との比は、約3:1である。
【0073】
本例において、コンポーネント1は、当該コンポーネント1の遠位端に開口9aを備える。開口9aは、端壁7に接続された遠位端壁9により規定されている。使用時、エアロゾルが開口9aを通じてコンポーネント1ひいては内側チャネル2に流入し得るように、開口9a及び内側チャネル2は、コンポーネント1内で連続チャネルを構成する。
【0074】
遠位端壁9は、コンポーネント1の外面の一部を構成する。本例において、遠位端壁9は、外周が約25mm、厚さが1.32mmである。いくつかの例において、遠位端壁は、直径が6mm~10mmの範囲であってもよく、厚さが1mm~3mmの範囲(例えば、2mm)であってもよい。
【0075】
開口9aは、ロッド状物品を受容するように構成されている。これにより、
図6に示すように、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品に対して、コンポーネント1を組み込み可能である。本例において、開口9aは、断面が円形であり、直径が6.68mmである。いくつかの例において、開口は、直径が5mm~10mmの範囲であってもよい。開口のサイズは、ロッド状物品のサイズに基づいて選定可能である。
【0076】
図1cは、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの側方断面図である。
【0077】
本例において、コンポーネント1’は、内側チャネル2’と、当該コンポーネントの口側端で単一のより大きなチャネルとして一体になる外側チャネル3a’、3b’と、を具備する。第1及び第2の外側チャネル3a’、3b’から内側チャネル2’を分離する内壁5’は、外壁6により規定されたコンポーネント1’の下流端から1mm~20mm、好ましくは3mm~10mmの距離だけ離隔した下流端を有する。
【0078】
第1の通気エリア4aは、外気の第1の外側チャネル3a’への流入を可能にするように構成されており、第2の通気エリア4bは、外気の第2の外側チャネル3b’への流入を可能にするように構成されており、これらの外側チャネル3a’、3b’からの外気は、コンポーネントの下流端に達する前に、内側チャネル2’を通って流れるエアロゾルと混ざり合うように構成されている。この混合によって、目に見えるエアロゾルの形成が促進され得る。
【0079】
他の例においては、内壁5’に穿孔又は他の開口が存在していてもよく、これにより、第1及び第2の外側チャネル3a’、3b’からの空気流は、コンポーネント1’の下流端に達する前に、内側チャネル2’を通って流れるエアロゾルと混合し得る。
【0080】
図2は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【0081】
図2に示すコンポーネント1’は、
図1a及び
図1bに示すコンポーネント1に類似するが、3つの外側チャネル3a、3b、3cを具備する。通気開口部(図示せず)が外壁6に形成されることにより、外気がそれぞれ、外側チャネル3a、3b、3cに流入可能となる。
【0082】
図3は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【0083】
図3に示すコンポーネント1’’は、
図2に示すコンポーネントに類似するが、4つの外側チャネル3a、3b、3c、3dを具備する。通気開口部(図示せず)が外壁6に形成されることにより、外気がそれぞれ、外側チャネル3a、3b、3c、3dに流入可能となる。
【0084】
図4は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【0085】
図4に示すコンポーネント1’’’は、16個の外側チャネル3を具備する。通気開口部(図示せず)が外壁6に形成されることにより、外気が外側チャネル3に流入可能となる。
【0086】
図5は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用する別のコンポーネントの端面図である。
【0087】
図5に示すコンポーネント1’’’’は、24個の外側チャネル3を具備する。内壁5は、プロファイルがひだ状で、内側チャネル2を規定している。また、内壁5は、外側チャネル3から内側チャネル2を分離している。内壁5及び外壁6はいずれも、シート材料、この場合固いプラグラップにより形成されている。外壁6を構成するシート材料は、内壁5を構成するシート材料に巻き付けられて、外側チャネル3を規定する。内壁及び外壁を構成するシート材料は、約15~約65gsm、好ましくは約20~約60gsm、又は約24~約55gsmの基本重量を有していてもよい。
図5の実施形態又は本明細書に記載の実施形態のいずれかにおける内側チャネル2及び/又は外側チャネル3は、空であってもよいし、繊維質ろ過材等の材料を含んでいてもよい。この材料は、例えば酢酸セルローストウであってもよいし、繊維質の紙フィルタ材料であってもよいし、本明細書に記載の別のフィルタ材料であってもよい。この材料の密度としては、可塑剤等の任意の添加剤を含めて、約0.10~約0.55グラム/立方センチメートル、より好ましくは約0.12~約0.5グラム/立方センチメートルが可能である。
【0088】
図6は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用する物品の側面図である。本例において、物品は、
図1a及び
図1bに示すコンポーネントを具備する。他の例において、物品は、
図2~
図5に示すコンポーネントのいずれかを具備していてもよい。
【0089】
本例において、コンポーネント1は、物品10のマウスピースとして作用し、物品10の口側端を規定する。
【0090】
物品10は、エアロゾル生成材料11(この場合、タバコ材料)の円筒状ロッドと、エアロゾル生成材料11の下流に配設された中空の管状要素13と、管状要素13の下流に配設された材料本体15と、を具備する。
【0091】
本例において、エアロゾル生成材料11は、ラッパー12に被覆されている。ラッパー12としては、例えば紙の箔ラッパー又は紙が裏張りされた箔ラッパーが可能である。
【0092】
ラッパー12は、高レベル(好ましくは約1000コレスタ単位超、より好ましくは約1500コレスタ単位超、最も好ましくは約2000コレスタ単位超)の通気度を有していてもよい。ラッパー12は、約20000コレスタ単位未満、好ましくは約15000コレスタ単位未満、最も好ましくは約5000コレスタ単位未満の最大通気度を有していてもよい。ラッパー12の通気度は、シガレットペーパー、フィルタープラグラップ、及びフィルタ接合紙として用いられる材料の通気度の決定に関するISO2965:2009に従って測定可能である。
【0093】
ラッパー12は、固有通気度レベルが高い材料、本質的に多孔質の材料により形成されていてもよいし、ラッパー12に通気ゾーン又はエリアを提供することによって最終的な通気度レベルが実現される任意の固有通気度レベルの材料により形成されていてもよい。ラッパー12に通気ゾーンが設けられている場合、この通気ゾーンは、離散エリアであってもよいし、実質的にラッパー12の全体にわたって延びていてもよい。例えば、ラッパー12には、離散的な帯状の通気穿孔が設けられていてもよいし、実質的に当該ラッパー12の全体にわたって周囲に延びる通気穿孔が設けられていてもよい。ラッパー12には、最終的な通気度レベルを実現するため、如何なる構成の通気穿孔が設けられていてもよい。本明細書に記載の通気度レベルを有するラッパーの表面積の割合は、50%超、75%超、90%超、又は100%であってもよい。
【0094】
本例においては、通気エリア14を介して、管状要素13に直接、通気が提供されている。本例において、通気エリア14は、この場合レーザ穿孔として、それぞれがマウスピース1の下流口側端から33.925mm及び54.625mmの位置に形成された第1及び第2の平行列の穿孔を含む。これらの穿孔は、チップペーパー18、プラグラップ17、及び中空の管状要素13を通過する。代替例において、この通気は、物品10の他の場所(例えば、材料本体15)に提供可能である。或いは、上記通気は、単一列の穿孔(例えば、レーザ穿孔)を介して、中空の管状要素が配置された物品の部分に提供可能である。これによりエアロゾルの形成が改善されることが分かっているが、これは、所与の通気レベルに対して、穿孔を通る空気流が複数列の穿孔の場合よりも均一になる結果と考えられる。
【0095】
使用時、ユーザが物品10を通じて空気を引き込むと、マウスピース1に形成された通気開口部4a、4bを通じて空気が物品10に入る。また、空気は、通気エリア14を介して物品10に入る。エアロゾル生成材料11により生成されたエアロゾルは、通気エリア14を介して物品10に引き込まれた空気と混ざり合う。
【0096】
マウスピース1の通気開口部4a、4b及び通気エリア14を介して物品に入る通気空気の相対的な量を調整することにより、使用時にマウスピース1から出る目に見えるエアロゾルの量が制御される。いくつかの例においては、マウスピースの通気開口部が物品の唯一の通気エリアであるため、マウスピースから出る通気空気はすべて、マウスピースの外側チャネルを通じて引き込まれる。これによって、使用時に目に見えるエアロゾルが減る。
【0097】
通気エリア14は、物品を通じて引き込まれる空気の50%未満の通気レベルを物品に与える。いくつかの例において、物品は、エアロゾルの50%~80%(例えば、65%~75%)が当該物品を通じて引き込まれる通気レベルを有し得る。これらのレベルの通気は、物品10を通じて引き込まれるエアロゾルの流れを減速させるのに役立つため、物品10の下流端に達する前にエアロゾルを十分に冷却可能となる。
【0098】
エアロゾルの温度は、通気レベルの低下とともに大略上昇することが分かっている。ただし、エアロゾルの温度と通気レベルとの関係は、線形ではないようで、例えば製造公差による通気のばらつきは、目標通気レベルが低いほど影響が小さくなる。例えば、通気の許容範囲が±15%で、目標通気レベルが75%の場合、エアロゾルの温度は、通気下限(60%通気)で約6℃上昇する可能性もある。ただし、目標通気レベルが60%の場合、エアロゾルの温度は、通気下限(45%通気)で約3.5℃上昇する程度となり得る。したがって、物品の目標通気レベルとしては、40%~70%の範囲内(例えば、45%~65%)が可能である。少なくとも20個の物品の平均通気レベルとしては、40%~70%(例えば、45%~70%又は51%~59%)が可能である。
【0099】
通気性のラッパー12を設けることにより、空気が物品10に入るルートが与えられる。いくつかの例においては、エアロゾル生成材料のロッドを通って物品に入る空気の量が管状要素13の通気エリア14を通って物品に入る空気の量よりも相対的に多くなるように、ラッパー12に通気性を与えることができる。この構成の物品は、ユーザをより満足させ得るより風味豊かなエアロゾルを生成可能である。
【0100】
物品10は、内容積部が450mm3より大きなキャビティを含む。少なくともこの容積のキャビティを設けることにより、改善されたエアロゾルの形成が可能になることが分かっている。このようなキャビティサイズによれば、十分な空間を物品10内に提供して加熱揮発成分を冷却可能となるため、エアロゾルの温度が上がり過ぎる可能性があることから、他の方法で可能な温度よりも高い温度にエアロゾル生成材料11を曝露可能となる。
【0101】
本例において、キャビティは、中空の管状要素13内に形成されているが、代替構成においては、物品10の異なる部分に形成することも可能である。物品10は、内容積部が500mm3超、さらに好ましくは550mm3超のキャビティ(例えば、中空の管状要素13内に形成されたキャビティ)を含むことにより、エアロゾルをさらに改善可能となることが好ましい。いくつかの例において、内部キャビティは、約550mm3~約750mm3(例えば、約600mm3又は700mm3)の容積を有する。
【0102】
本例において、中空の管状要素13は、材料本体15の上流に隣り合って当接関係にある。中空の管状要素13及び材料本体15はそれぞれ、実質的に円筒状の全体外形を規定するとともに、共通の長手方向軸を共有する。同時に、中空の管状要素13及び材料本体15は、マウスピース1の遠位端の開口に挿入されるロッド状物品を規定する。ロッド状物品は、締まり嵌め又は接着剤によって、開口内に固定されていてもよい。
【0103】
本例において、中空の管状要素13は、当該管状要素13を構成するように縫い目を突き合わせて平行に巻回された複数の紙の層により形成されている。本例においては、第1及び第2の紙層が二重の管として設けられているが、他の例においては、3つ又は4つ以上の紙層の使用によって、三重又は四重以上の管を構成可能である。螺旋状に巻回された紙層、厚紙の管、張り子式のプロセスで形成された管、成形又は押出しプラスチック管、又は類似のもの等、他の構成が使用可能である。
【0104】
また、中空の管状要素13は、例えば以下により詳しく説明する第2のプラグラップ及び/又はチップペーパー18として固いプラグラップ及び/又はチップペーパーを使用することによって形成可能であり、これは、別個の管状要素が不要であることを意味する。この固いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、製造時及び物品10の使用時に生じ得る軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。例えば、この固いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、70gsm~120gsm、より好ましくは80gsm~110gsmの基本重量を有し得る。この追加又は代替として、上記の固いプラグラップ及び/又はチップペーパーは、80μm~200μm、より好ましくは100μm~160μm、又は120μm~150μmの厚さを有し得る。第2のプラグラップ17及びチップペーパー18はいずれも、これらの範囲の値を有することにより、中空の管状要素13について、許容範囲の全体的な剛性レベルを実現するのが望ましい場合がある。
【0105】
管状要素13は、好ましくは少なくとも約325μm~約2mmまで、好ましくは500μm~1.5mm、より好ましくは750μm~1mmの壁厚を有する。本例において、管状要素13は、約1mmの壁厚を有する。管状要素13の「壁厚」は、半径方向における管状要素13の壁の厚さに対応する。これは、例えばキャリパを用いて測定されるようになっていてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態において、管状要素の壁の厚さは、少なくとも325ミクロン、好ましくは少なくとも400、500、600、700、800、900、又は1000ミクロンである。いくつかの実施形態において、管状要素の壁の厚さは、少なくとも1250又は1500ミクロンである。
【0107】
いくつかの実施形態において、管状要素の壁の厚さは、2000ミクロン未満、好ましくは1500ミクロン未満である。
【0108】
管状要素の壁の厚さが増すということは、熱質量が大きくなることを意味し、これは、管状要素を通過するエアロゾルの温度を下げるとともに、管状要素の下流の位置で物品の表面温度を下げるのに役立つことが分かっている。これは、管状要素の熱質量が大きいと、壁厚の薄い管状要素と比較して、管状要素がエアロゾルからの熱をより多く吸収可能であるためと考えられる。また、管状要素の厚さが増すと、物品内でエアロゾルが中央を通るため、エアロゾルからの熱が材料本体の外側部分等の物品の外側部分にあまり伝わらなくなる。
【0109】
いくつかの実施形態において、管状要素の壁の材料の通気度は、少なくとも100コレスタ単位、好ましくは少なくとも500又は1000コレスタ単位である。
【0110】
管状要素の通気度が比較的高いと、エアロゾルから管状要素に移動する熱量が増えるため、エアロゾルの温度が低下することが分かっている。また、管状要素の通気度は、エアロゾルから管状要素に移動する水分量を増やすことも分かっており、これにより、ユーザの口内でのエアロゾルの感じ方が改善されることも分かっている。また、管状要素の通気度が高いと、レーザを用いて通気孔を開けることが容易となり、これは、低出力のレーザが使用可能であることを意味する。
【0111】
中空の管状要素13の長さは、約50mm未満であるのが好ましい。中空の管状要素13の長さは、約40mm未満であるのがより好ましい。中空の管状要素13の長さは、約30mm未満であるのがさらに好ましい。この追加又は代替として、中空の管状要素13の長さは、少なくとも約10mmであるのが好ましい。中空の管状要素13の長さは、少なくとも約15mmであるのが好ましい。いくつかの好適な実施形態において、第2の中空の管状要素13の長さは、約20mm~約30mm、より好ましくは約22mm~約28mm、さらに好ましくは約24~約26mm、最も好ましくは約25mmである。本例において、中空の管状要素13の長さは、25mmである。
【0112】
中空の管状要素13は、冷却セグメントとして作用する物品10内の空隙の周りに配置され、当該空隙を規定している。空隙は、エアロゾル生成材料11により生成された加熱揮発成分が流れるチャンバを提供する。中空の管状要素13は、中空であって、製造時及び物品10の使用時に生じ得る軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性のエアロゾル蓄積用チャンバを提供する。中空の管状要素13は、エアロゾル生成材料11と材料本体15との間の物理的な変位を与える。中空の管状要素13が与える物理的な変位は、中空の管状要素13の長さ全体にわたる熱勾配をもたらすことになる。
【0113】
中空の管状要素13は、当該中空の管状要素13の第1の上流端に入る加熱揮発成分と当該中空の管状要素13の第2の下流端から出る加熱揮発成分との間に、少なくとも40℃の温度差をもたらすように構成可能である。中空の管状要素13は、当該中空の管状要素13の第1の上流端に入る加熱揮発成分と当該中空の管状要素13の第2の下流端から出る加熱揮発成分との間に、少なくとも60、80、又は好ましくは100℃の温度差をもたらすように構成されるのが好ましい。この中空の管状要素13の長さ全体にわたる温度差は、加熱される場合に、温度に敏感な材料本体15をエアロゾル生成材料11の高温から保護する。
【0114】
いくつかの例においては、本明細書に記載のエアロゾル生成材料が第1のエアロゾル生成材料であり、中空の管状要素13は、第2のエアロゾル生成材料を含んでいてもよい。中空の管状要素13の壁が第2のエアロゾル生成材料を含んでいてもよい。例えば、第2のエアロゾル生成材料は、中空の管状要素13の壁の内面に配設可能である。
【0115】
第2のエアロゾル生成材料は、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含み、また、少なくとも1つのエアロゾル変性剤又は他の知覚物質材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成材料及び/又はエアロゾル変性剤としては、本明細書に記載のような如何なるエアロゾル形成材料又はエアロゾル変性剤も可能であるし、これらの組み合わせも可能である。
【0116】
エアロゾル生成材料11から生成されたエアロゾル(この場合、第1のエアロゾルと称する)が物品10の中空の管状要素13を通じて引き込まれる際に、第1のエアロゾルからの熱が第2のエアロゾル生成材料のエアロゾル形成材料をエアロゾル化して、第2のエアロゾルを形成し得る。第2のエアロゾルは、香味料を含んでいてもよく、これは、第1のエアロゾルの香料に対する追加又は補完であってもよい。
【0117】
中空の管状要素13に第2のエアロゾル生成材料を設けることによって、第1のエアロゾルの香味又は視覚的外観を後押し又は補完する第2のエアロゾルが生成され得る。
【0118】
代替的な物品においては、中空の管状要素13を代替的な冷却要素(例えば、エアロゾルの長手方向の通過を可能にするとともに、エアロゾルを冷却する機能を実行する材料本体により形成された要素)で置き換え可能である。
【0119】
エアロゾル生成材料11(本明細書においては、エアロゾル生成基体11とも称する)は、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含む。本例において、エアロゾル形成材料は、グリセロールである。代替例において、エアロゾル形成材料としては、本明細書に記載のような別の材料も可能であるし、これらの組み合わせも可能である。エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成材料から消費者への香味化合物等の化合物の移行を助けることによって、物品の感覚性能を向上させることが分かっている。ただし、非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するために、このようなエアロゾル形成材料を物品内のエアロゾル生成材料に加えることの問題として、エアロゾル形成材料が加熱によりエアロゾル化される場合、物品により送達されるエアロゾルの質量が増加し、この増えた質量によって、マウスピースを通過する際の高温が維持される可能性がある。エアロゾルは、マウスピースを通過する際に熱をマウスピースに伝達するため、使用時に消費者の口唇と接触するエリアを含めて、マウスピースの外面が高温となる。マウスピースの温度は、例えば消費者が従来のシガレットを喫煙する際に慣れている可能性がある温度よりも大幅に高くなり得るが、これは、上記のようなエアロゾル形成材料の使用によって生じる望ましくない効果となり得る。
【0120】
消費者の口唇に接触するマウスピースの部分は通例、中空の紙管又はフィルタ材料の円筒状本体を囲む紙管であった。
【0121】
図6に示すように、物品10のマウスピース1は、材料本体15に隣り合う上流端と、エアロゾル生成基体11から遠位の下流端(すなわち、口側端)と、を備える。使用時、マウスピース1の外側チャネル3a、3bにより導かれた外気は、内側チャネル2を通過する高温のエアロゾルの周りに冷気カーテンを与えることにより、ユーザの口唇への熱伝達を抑える。
【0122】
本例において、物品10は、外周が約21mmである(すなわち、物品は、デミスリム型である)。他の例において、物品は、本明細書に記載の型のいずれかにて提供可能である(例えば、外周が15mm~25mmである)。物品を加熱してエアロゾルを放出させるため、この範囲内の小さな外周(例えば、23mm未満の円周)を有する物品を使用することにより、加熱効率の向上を実現し得る。好適な製品長を保ちつつ、加熱によるエアロゾルの改善を実現するため、物品は、19mmより大きな円周が特に有効であることも分かっている。円周が19mm~23mm、より好ましくは20mm~22mmの物品は、効率的な加熱を可能としつつ効果的なエアロゾル送達を実現するための良好なバランスをもたらすことが分かっている。
【0123】
チップペーパー18が材料本体15、管状要素13に巻き付けられるとともに、エアロゾル生成材料11のロッドの少なくとも一部を覆っている。マウスピース1の外壁6の外周は、エアロゾル生成材料11の被覆ロッドの外周と実質的に同じである。チップペーパー18は、その内面上に、材料本体15、管状要素13、及びエアロゾル生成材料11のロッドを接続する接着剤を有する。本例において、チップペーパー18は、エアロゾル生成材料11のロッド上に5mm延びているが、この代替として、ロッド11上に3mm~10mm、より好ましくは4mm~6mm延びることにより、材料本体15、管状要素13、及びエアロゾル生成材料11のロッドがしっかりと連結され得る。
【0124】
チップペーパー18(本明細書においては、ラッパーとも称する)は、物品10に用いられるプラグラップの基本重量より大きな基本重量(例えば、40gsm~80gsm、より好ましくは50gsm~70gsm、本例では58gsmの基本重量)を有し得る。これらの基本重量の範囲であれば、チップペーパーは、物品10に巻き付くとともに、当該ペーパーの長手方向の継ぎ目に沿ってそれ自体に付着するのに十分な可撓性を有しつつ、許容範囲の引張り強度を有することが分かっている。エアロゾル生成材料20に巻き付けられるとチップペーパー18の外周は、約21mmである。
【0125】
いくつかの例において、チップペーパーは、クエン酸ナトリウム及び/又はクエン酸カリウム等のクエン酸を含む。いくつかの例において、チップペーパーのクエン酸含有率は、2重量%以下であってもよいし、1重量%以下であってもよい。ラッパーのクエン酸含有率が低下すると、ラッパーの使用時の任意の視覚的変色を抑えやすくなり得る。
【0126】
本例において、物品10は、材料本体15を具備する。材料本体15は、第1のプラグラップ16に被覆されている。第1のプラグラップ16は、50gsm未満の基本重量が好ましく、より好ましくは約20gsm~40gsmの基本重量を有する。第1のプラグラップ16は、30μm~60μmの厚さが好ましく、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第1のプラグラップ16は、無孔質のプラグラップである(例えば、100コレスタ単位未満(例えば、50コレスタ単位未満)の通気度を有する)のが好ましい。ただし、他の実施形態において、第1のプラグラップ16としては、多孔質のプラグラップが可能である(例えば、200コレスタ単位超の通気度を有し得る)。
【0127】
材料本体15の長さは、約15mm未満であるのが好ましい。材料本体15の長さは、約10mm未満であるのがより好ましい。この追加又は代替として、材料本体15の長さは、少なくとも約5mmである。材料本体15の長さは、少なくとも約6mmであるのが好ましい。いくつかの好適な実施形態において、材料本体15の長さは、約5mm~約15mm、より好ましくは約6mm~約12mm、さらに好ましくは約6mm~約12mm、最も好ましくは約6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mmである。本例において、材料本体15の長さは、10mmである。
【0128】
本例において、材料本体15は、フィラメントトウにより形成されている。本例において、材料本体15に用いられるトウは、フィラメント当たりのデニール(d.p.f.)が8.4、総デニールが21,000である。或いは、このトウは、例えばフィラメント当たりのデニール(d.p.f.)が9.5、総デニールが12,000を有し得る。或いは、このトウは、例えばフィラメント当たりのデニール(d.p.f.)が8、総デニールが15,000を有し得る。本例において、このトウは、可塑化酢酸セルローストウを含む。このトウに用いられる可塑剤は、トウの約7重量%を構成する。本例において、可塑剤は、トリアセチンである。他の例においては、異なる材料の使用により、材料本体15を構成可能である。例えば、本体15は、トウではなく、例えばシガレットでの使用が知られる紙フィルタと同様に、紙により形成可能である。或いは、本体15は、酢酸セルロース以外のトウ(例えば、ポリ乳酸(PLA)、フィラメントトウに関して本明細書に記載の他の材料、又は類似の材料)により形成可能である。このトウは、酢酸セルロースにより形成されているのが好ましい。このトウは、酢酸セルロースにより形成されているか他の材料により形成されているかに関わらず、好ましくはd.p.f.が少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、さらに好ましくは少なくとも7である。これらのフィラメント当たりのデニールの値は、より小さな表面積で比較的粗く、厚い繊維を有するトウをもたらすが、これにより、マウスピース2全体にわたる圧力低下は、d.p.f.値が低いトウよりも抑えられる。十分に均一な材料本体4、5を実現するため、このトウは、12d.p.f.以下が好ましく、好ましくは11d.p.f.以下、さらに好ましくは10d.p.f.以下のフィラメント当たりデニールを有する。
【0129】
材料本体15を構成するトウの総デニールは、好ましくは最大30,000、より好ましくは最大28,000、さらに好ましくは最大25,000である。これらの総デニールの値は、物品10の断面積に占める割合が減少したトウをもたらすが、これにより、物品10全体にわたる圧力低下は、総デニール値がより高いトウよりも抑えられる。材料本体15を適当な硬さにするため、このトウは、好ましくは少なくとも8,000、より好ましくは少なくとも10,000の総デニールを有する。フィラメント当たりデニールが5~12である一方、総デニールが10,000~25,000であるのが好ましい。フィラメント当たりデニールが6~10である一方、総デニールが11,000~22,000であるのがより好ましい。トウのフィラメントの断面形状は、「Y」字形状であるのが好ましいが、他の実施形態では、本明細書の記載と同じd.p.f.及び総デニール値で、「X」字形状又は「O」字形状のフィラメント等の、他の形状も使用可能である。このトウは、断面の等周比が25以下、20以下、又は15以下のフィラメントを含んでいてもよい。いくつかの例において、材料本体15は、トウ内に分散した吸着材料(例えば、チャコール)を含んでいてもよい。
【0130】
いくつかの例において、材料本体15は、当該材料本体内に配設されたカプセルを含んでいてもよい。カプセルは、破裂可能なカプセル(例えば、液体ペイロードを囲む固体の壊れやすいシェルを有するカプセル)を含み得る。いくつかの例においては、単一のカプセルが使用される。カプセルは、材料本体内に全体が埋め込まれている。言い換えると、カプセルは、本体を構成する材料によって完全に囲まれている。他の例においては、複数の破裂可能なカプセル(例えば、2つ又は3つ以上の破裂可能なカプセル)が材料本体内に配設されていてもよい。材料本体の長さは、必要なカプセルの数に合わせて延伸可能である。複数のカプセルが使用される例において、個々のカプセルは、互いに同一であってもよいし、サイズ及び/又はカプセルペイロードに関して相互に異なっていてもよい。他の例においては、それぞれが1つ又は複数のカプセルを含む複数の材料本体が設けられていてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、材料本体は、第1及び第2のカプセルを含む。このような実施形態において、第1のカプセルは、材料本体の第1の部分に配設されており、第2のカプセルは、第1の部分の下流の材料本体の第2の部分に配設されている。他の実施形態において、物品は、2つの材料本体を備えており、第1及び第2のカプセルがそれぞれ、第1及び第2の本体に配設されている。
【0132】
第1のカプセルは、使用時に第1の温度まで加熱され、第2のカプセルは、使用時に第2の温度まで加熱されるが、第2の温度は、第1の温度より少なくとも4℃低い。第2の温度は、第1の温度より少なくとも5、6、7、8、9、又は10℃低いのが好ましい。
【0133】
いくつかの実施形態において、第2のカプセルは、第1及び第2のカプセルの中心間の距離として測定した場合に、少なくとも7mmの距離だけ第1のカプセルから離隔している。第2のカプセルは、少なくとも8、9、又は10mmの距離だけ第1のカプセルから離隔しているのが好ましい。第1及び第2のカプセル間の距離を大きくすると、第1及び第2の温度の温度差が大きくなる。
【0134】
第1のカプセルは、エアロゾル変性剤を含む。第2のカプセルもエアロゾル変性剤を含むが、これは、第1のカプセルのエアロゾル変性剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、カプセルに外力を加えて第1及び第2のカプセルを選択的に破裂させることにより、各カプセルからエアロゾル変性剤を放出させるようにしてもよい。
【0135】
第2のカプセルのエアロゾル変性剤は、第1及び第2の温度の差により、第1のカプセルのエアロゾル変性剤よりも低い温度まで加熱される。第1及び第2のカプセルのエアロゾル変性剤は、この温度差に基づいて選択可能である。例えば、第1のカプセルは、第2のカプセルの第2のエアロゾル変性剤よりも蒸気圧が低い第1のエアロゾル変性剤を含んでいてもよい。カプセルがいずれも同じ温度に加熱される場合、第2のカプセルのエアロゾル変性剤の蒸気圧が高いことは、第1のカプセルのエアロゾル変性剤に対してより多くの第2のエアロゾル変性剤が揮発することを意味する。ただし、第2のカプセルがより低い温度に加熱されているため、この影響は少なく、第1及び第2のカプセルそれぞれの破裂に際して、第1及び第2のカプセルのエアロゾル変性剤がより一様に揮発することになる。
【0136】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のカプセルは、同じエアロゾル変性プロフィルを有するが、これは、両カプセルが同じ温度に加熱されて破裂した場合に、エアロゾルを同じように変性させるように、両カプセルが同じ種類のエアロゾル変性剤を同じ量だけ含むことを意味する。ただし、第1のカプセルが第2のカプセルよりも高い温度に加熱されることから、例えば第1のカプセルのエアロゾル変性剤が第2のカプセルの変性剤よりも多く揮発するため、第2のカプセルよりも顕著にエアロゾルを変性させることになる。
【0137】
したがって、両カプセルが同じである(これにより、エアロゾル変性コンポーネントの製造が容易及び/又は安価となり得る)にも関わらず、ユーザは、第1のカプセルを破裂させてエアロゾルをより多く変性させるか、第2のカプセルを破裂させてエアロゾルをより少なく変性させるか、両カプセルを破裂させてエアロゾルを最大限に変性させるか、を決定することができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のカプセルはいずれも、第1及び第2のエアロゾル変性剤を含む。第1のエアロゾル変性剤は、第2のエアロゾル変性剤よりも蒸気圧が低い。このため、システムを使用してエアロゾルを生成する際に、第2のカプセルが破裂した場合は、より高温の第1のカプセルが破裂する場合と比較して、第1のエアロゾル変性剤に対して高い割合の第2のエアロゾル変性剤が気化することになる。これにより、エアロゾル変性コンポーネントの第1又は第2の部分におけるカプセルの位置に基づいて、同じカプセルの使用により、エアロゾルの異なる変性を生じさせ得る。
【0139】
1つ又は複数のカプセルがコア-シェル構造を有していてもよい。言い換えると、カプセルは、液剤(例えば、香味料又は他の化学物質(本明細書に記載の香味料又はエアロゾル変性剤のうちのいずれか1つが可能))を封入したシェルを備える。シェルは、ユーザによる破裂によって、香味料又は他の化学物質を材料本体中に放出可能である。第1のプラグラップ16は、プラグラップの材料をカプセルの液体ペイロードに対して実質的に不透過性とするバリア被膜を備え得る。この代替又は追加として、第2のプラグラップ17及び/又はチップペーパー18は、プラグラップ及び/又はチップペーパーの材料をカプセルの液体ペイロードに対して実質的に不透過性とするバリア被膜を備え得る。
【0140】
いくつかの例において、1つ又は複数のカプセルは、球状で、直径が約3.5mmである。他の例においては、他の形状及びサイズのカプセル(例えば、直径が2.5mm、3mm、4mm、又は4.5mmのカプセル)が使用可能である。1つ又は複数のカプセルの総重量は、約10mg~約50mgの範囲であってもよい。
【0141】
所与のトウ仕様(8.4Y21000)に対し、様々なトウ重量それぞれについて、トウを用いて形成されたロッドの長さ方向の圧力低下を表すトウ能力曲線を生成することが知られている。ロッドの長さや円周、ラッパーの厚さ、トウの可塑剤レベル等のパラメータが指定され、トウの仕様との組み合わせによって、トウ能力曲線が生成される。この曲線は、標準的なフィルタロッド形成機により実現可能な最小及び最大重量間の異なるトウ重量によってもたらされる圧力低下の指標を与える。このようなトウ能力曲線は、例えばトウ供給業者から入手可能なソフトウェアを用いて計算可能である。材料本体15の長さmm当たりの重量として、フィラメントトウに対して生成されたトウ能力曲線の最小及び最大重量間の範囲の約10%~約30%を有するフィラメントトウを含む材料本体15を使用するのが特に好都合であることが分かっている。これは、本明細書に記載のサイズのカプセルについて、十分なトウ重量を提供して本体15が形成された後の収縮を回避することと、許容可能な圧力低下を与える一方、トウ内のカプセル配置を補助することとの許容可能なバランスをもたらし得る。
【0142】
本例において、材料本体15及び中空の管状要素13は、両セクションに巻き付けられた第2のプラグラップ17を用いて組み合わされている。第2のプラグラップ17は、50gsm未満の基本重量が好ましく、より好ましくは約20gsm~45gsmの基本重量を有する。第2のプラグラップ17は、30μm~60μmの厚さが好ましく、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第2のプラグラップ17は、通気度が100コレスタ単位未満(例えば、50コレスタ単位未満)の無孔質のプラグラップであるのが好ましい。ただし、代替実施形態において、第2のプラグラップ17としては、多孔質のプラグラップが可能である(例えば、200コレスタ単位超の通気度を有し得る)。
【0143】
本例において、エアロゾル生成基体20に追加されたエアロゾル形成材料は、エアロゾル生成基体11の14重量%を構成する。エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成基体の少なくとも5重量%が好ましく、より好ましくは少なくとも10%を構成する。エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成基体の25重量%未満が好ましく、より好ましくは20%未満(例えば、10%~20%、12%~18%、又は13%~16%)を構成する。
【0144】
いくつかの例において、物品10は、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の加熱器と中空の管状要素13とが分離するように(すなわち、最短距離となるように)構成されていてもよい。これにより、加熱器からの熱による中空の管状要素を構成する材料の損傷が防止される。
【0145】
非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の加熱器と中空の管状要素13との間の最短距離は、3mm以上であってもよい。いくつかの例において、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の加熱器と中空の管状要素13との間の最短距離は、3mm~10mmの範囲(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm)であってもよい。
【0146】
非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の加熱要素と中空の管状要素13との間の分離は、例えばエアロゾル生成材料11の長さを調整することにより実現されるようになっていてもよい。
【0147】
エアロゾル生成材料11は、当該エアロゾル生成材料の円筒状ロッドとして提供されるのが好ましい。エアロゾル生成材料の形態に関わらず、その長さは、約10mm~100mmであるのが好ましい。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成材料の長さは、好ましくは約25mm~50mmの範囲、より好ましくは約30mm~45mmの範囲、さらに好ましくは約30mm~40mmである。
【0148】
与えられたエアロゾル生成材料11の体積は、約200mm3~約4300mm3、好ましくは約500mm3~1500mm3、より好ましくは約1000mm3~約1300mm3の間で変動し得る。これらのエアロゾル生成材料の体積(例えば、約1000mm3~約1300mm3)を与えることは、この範囲の下限から選択される体積で実現されたものと比較して、より大きな視認性及び感覚性能を有する優れたエアロゾルを実現するのに好都合であることが示されている。
【0149】
与えられたエアロゾル生成材料11の質量としては、200mg超(例えば、約200mg~約400mg、好ましくは約230mg~360mg、より好ましくは約250mg~約360mg)が可能である。エアロゾル生成材料の質量を大きくすると、低質量のタバコ材料から生成されるエアロゾルと比較して、感覚性能が改善されて好都合であることが分かっている。
【0150】
エアロゾル生成材料又は基体は、本明細書に記載のようなタバコ材料により形成されているのが好ましく、これは、タバコ成分を含む。
【0151】
本明細書に記載のタバコ材料において、タバコ成分は、紙再生タバコを含むのが好ましい。また、タバコ成分は、葉タバコ、押出タバコ、及び/又は刻みタバコを含んでいてもよい。
【0152】
エアロゾル生成材料11は、密度が約700ミリグラム/立方センチメートル(mg/cc)未満の再生タバコ材料を含み得る。このようなタバコ材料は、高密度の材料と比較した場合に、高速加熱によってエアロゾルを放出可能なエアロゾル生成材料を提供するのに特に有効であることが分かっている。例えば、本発明者らは、刻み再生タバコ材料及び紙再生タバコ材料等の様々なエアロゾル生成材料が加熱された場合の特性をテストした。所与の各エアロゾル生成材料について、材料に熱が加えられている間に、特定のゼロ熱流温度が存在し、それを下回る場合は正味の熱流が吸熱、言い換えると、材料から出る熱よりも材料に入る熱が多く、それを上回る場合は正味の熱流が発熱、言い換えると、材料に入る熱よりも材料から出る熱が多くなることが分かった。密度が700mg/cc未満の材料は、ゼロ熱流温度が低かった。材料から流出する熱の大部分はエアロゾルの形成によるため、ゼロ熱流温度を低くすることは、エアロゾル生成材料から最初にエアロゾルを放出させるまでの時間に有益な効果がある。例えば、密度が700mg/cc未満のエアロゾル生成材料は、密度が700mg/ccを上回り、ゼロ熱流温度が164℃超である材料と比較して、ゼロ熱流温度が164℃未満となることが分かった。
【0153】
また、エアロゾル生成材料の密度は、熱が材料を伝導する速度にも影響を及ぼし、密度が低いほど(例えば、700mg/ccを下回る場合)熱がゆっくりと材料を伝導するため、エアロゾルのより持続的な放出が可能となる。
【0154】
エアロゾル生成材料11は、密度が約700mg/cc未満の再生タバコ材料(例えば、紙再生タバコ材料)を含むのが好ましい。エアロゾル生成材料20は、密度が約600mg/cc未満の再生タバコ材料を含むのがより好ましい。この代替又は追加として、エアロゾル生成材料11は、密度が少なくとも350mg/ccの再生タバコ材料を含むのが好ましく、これによって、材料に対する十分な量の熱伝導が可能になると考えられる。
【0155】
タバコ材料は、刻みラグタバコの形態で提供されていてもよい。刻みラグタバコは、インチ当たり少なくとも15カットの刻み幅(cm当たり約5.9カットで、約1.7mmの刻み幅に相当)を有し得る。刻みラグタバコは、インチ当たり少なくとも18カットの刻み幅(cm当たり約7.1カットで、約1.4mmの刻み幅に相当)を有するのが好ましく、インチ当たり少なくとも20カットの刻み幅(cm当たり約7.9カットで、約1.27mmの刻み幅に相当)を有するのがより好ましい。一例において、刻みラグタバコは、インチ当たり22カットの刻み幅(cm当たり約8.7カットで、約1.15mmの刻み幅に相当)を有する。刻みラグタバコは、インチ当たり40カット以下の刻み幅(cm当たり約15.7カットで、約0.64mmの刻み幅に相当)を有するのが好ましい。0.5mm~2.0mm(例えば、0.6mm~1.5mm又は0.6mm~1.7mm)の刻み幅は、特に加熱時の表面積対体積比並びに基体20の全体密度及び圧力低下の観点から好ましいタバコ材料となることが分かっている。刻みラグタバコは、複数形態のタバコ材料の混合物(例えば、紙再生タバコ、葉タバコ、押出タバコ、及び刻みタバコのうちの1つ又は複数の混合物)により形成可能である。タバコ材料は、紙再生タバコ又は紙再生タバコ及び葉タバコの混合物を含むのが好ましい。
【0156】
本明細書に記載のタバコ材料において、当該タバコ材料は、充填剤成分を含んでいてもよい。充填剤成分は一般的に、非タバコ成分すなわちタバコ由来の含有物を含まない成分である。充填剤成分は、木材繊維すなわちパルプ又は小麦繊維等の非タバコ繊維であってもよい。また、充填剤成分は、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機材料であってもよい。また、充填剤成分は、非タバコ鋳込材料であってもよいし、非タバコ押出材料であってもよい。充填剤成分は、タバコ材料の0~20重量%の量又は当該組成物の1~10重量%の量で存在していてもよい。いくつかの実施形態においては、充填剤成分が存在しない。
【0157】
本明細書に記載のタバコ材料において、当該タバコ材料は、エアロゾル形成材料を含む。これに関連して、「エアロゾル形成材料(aerosol forming material)」は、エアロゾルの生成を促進する化学物質である。エアロゾル形成材料は、ガスの最初の気化並びに/又は吸引可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮の促進によってエアロゾルの生成を促進するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成材料からの香料の供給を改善するようにしてもよい。一般的に、本発明のエアロゾル生成材料には、本明細書に記載のものを含み、任意好適なエアロゾル形成材料又は形成剤が含まれていてもよい。他の好適なエアロゾル形成材料としては、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール若しくはトリエチレングリコールのようなグリコール等のポリオール、1価アルコール、高沸点炭化水素、乳酸等の酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、若しくはミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸塩等のエステル、並びにステアリン酸メチル、ドデカンニ酸ジメチル、及びテトラデカンニ酸ジメチル等の脂肪族カルボン酸エステル等の非ポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、グリセロールであってもよいし、プロピレングリコールであってもよいし、グリセロール及びプロピレングリコールの混合物であってもよい。使用するグリセロース、プロピレングリコール、又はグリセロール及びプロピレングリコールの混合物の総量は、乾燥重量に基づく測定でタバコ材料の10%~30%(例えば、15%~25%)の範囲であってもよい。グリセロールは、タバコ材料の10~20重量%(例えば、当該組成物の13~16%)又は当該組成物の約14重量%若しくは15重量%の量で存在していてもよい。プロピレングリコールが存在する場合は、当該組成物の0.1~0.3重量%の量で存在していてもよい。
【0158】
エアロゾル形成材料は、タバコ材料の任意の成分(例えば、任意のタバコ成分)及び/又は充填剤成分(存在する場合)に含まれていてもよい。この代替又は追加として、エアロゾル形成材料は、タバコ材料に別途追加されていてもよい。いずれの場合も、タバコ材料中のエアロゾル形成材料の総量としては、本明細書に規定の通りが可能である。
【0159】
タバコ材料は、10重量%~90重量%のタバコ葉を含むことができ、エアロゾル形成材料は、葉タバコの最大約10重量%の量で提供される。タバコ材料の10重量%~20重量%というエアロゾル形成材料の全体レベルを実現するため、これをより高い重量パーセントで、タバコ材料の別の成分(再生タバコ材料等)に追加可能となるのが好都合であることが分かっている。
【0160】
本明細書に記載のタバコ材料は、ニコチンを含む。ニコチン含有率は、タバコ材料の0.5~1.75重量%であり、例えばタバコ材料の0.8~1.5重量%であってもよい。この追加又は代替として、タバコ材料は、タバコ葉のニコチン含有率が1.5重量%超の10重量%~90重量%のタバコ葉を含む。ニコチン含有率が1.5%より高いタバコ葉を低ニコチンベースの材料(紙再生タバコ等)と組み合わせて使用することにより、タバコ材料が適当なニコチンレベルとなる一方、紙再生タバコのみを使用する場合よりも感覚性能が向上して好都合であることが分かっている。タバコ葉(例えば、刻みラグタバコ)のニコチン含有率としては、例えば当該タバコ葉の1.5重量%~5重量%が可能である。
【0161】
本明細書に記載のタバコ材料は、本明細書に記載の香料のいずれか等、エアロゾル変性剤を含み得る。一実施形態において、タバコ材料は、メンソールを含むことにより、メンソール物品を構成する。タバコ材料は、3mg~20mgのメンソール、好ましくは5mg~18mg、より好ましくは8mg~16mgのメンソールを含み得る。本例において、タバコ材料は、16mgのメンソールを含む。タバコ材料は、2重量%~8重量%のメンソール、好ましくは3重量%~7重量%のメンソール、より好ましくは4重量%~5.5重量%のメンソールを含み得る。一実施形態において、タバコ材料は、4.7重量%のメンソールを含む。このように高レベルのメンソール充填は、高い割合(例えば、タバコ材料の50重量%超)の再生タバコ材料を使用することにより実現可能である。この代替又は追加として、大量のエアロゾル生成材料(例えば、タバコ材料)を使用すると、例えば約500mm3超又は好適には約1000mm3超のエアロゾル生成材料(タバコ材料等)が使用される場合は、実現可能なメンソール充填のレベルが高くなり得る。
【0162】
本明細書に記載の組成物において、量が重量%で与えられている場合、これは、疑義を避けるため、特段の指定のない限り、乾燥重量基準を表す。このため、タバコ材料又はその成分中に存在し得る如何なる水分も、重量%を決定する目的では完全に無視される。本明細書に記載のタバコ材料の水分含有率は、変動する可能性があり、例えば5~15重量%であってもよい。本明細書に記載のタバコ材料水分含有率は、例えば当該組成物が維持される温度、圧力、及び湿度条件に応じて変動する可能性がある。水分含有率は、当業者が把握するところのカール・フィッシャー分析により決定可能である。一方、疑義を避けるため、エアロゾル形成材料が液相の成分(グリセロール又はプロピレングリコール等)であっても、水分以外の任意の成分がタバコ材料の重量に含まれる。ただし、エアロゾル形成材料は、タバコ材料に別途追加されることの代替又は追加として、タバコ材料のタバコ成分又はタバコ材料の充填剤成分(存在する場合)に与えられる場合、エアロゾル形成材料は、タバコ成分の重量にも充填剤成分の重量にも含まれず、本明細書に規定のような重量%で「エアロゾル形成材料」の重量に含まれる。タバコ成分中に存在するその他すべての含有物は、非タバコ由来(例えば、紙再生タバコの場合の非タバコ繊維)であっても、タバコ成分の重量に含まれる。
【0163】
一実施形態において、タバコ材料は、本明細書に規定のようなタバコ成分と、本明細書に規定のようなエアロゾル形成材料と、を含む。一実施形態において、タバコ材料は、本明細書に規定のようなタバコ成分と、本明細書に規定のようなエアロゾル形成材料と、から本質的に成る。一実施形態において、タバコ材料は、本明細書に規定のようなタバコ成分と、本明細書に規定のようなエアロゾル形成材料と、から成る。
【0164】
本明細書に記載のタバコ材料のタバコ成分中には、タバコ成分の10重量%~100重量%の量の紙再生タバコが存在する。実施形態において、紙再生タバコは、タバコ成分の10重量%~80重量%又は20重量%~70重量%の量で存在する。別の実施形態において、タバコ成分は、紙再生タバコから本質的に成るか、又は、紙再生タバコから成る。好適な実施形態において、タバコ材料のタバコ成分中には、タバコ成分の少なくとも10重量%の量の葉タバコが存在する。例えば、タバコ成分の少なくとも10重量%の量の葉タバコが存在し得る一方、タバコ成分の残りは、紙再生タバコ、刻み再生タバコ、又は刻み再生タバコ及びタバコ顆粒等の別の形態のタバコの組み合わせを含む、
紙再生タバコは、タバコ原料を溶媒で抽出して可溶分の抽出物及び繊維質材料を含む残留物を得た後、抽出物(通例、濃縮後、任意選択として、別途加工後)の繊維質材料(通例、繊維質材料の精製後、任意選択として、非タバコ繊維の一部の添加と同時)への堆積によって、抽出物を残留物の繊維質材料と再度組み合わせるプロセスによって形成されたタバコ材料を表す。再度組み合わせるプロセスは、紙を作成するプロセスに類似する。
【0165】
紙再生タバコは、当技術分野において知られている如何なる種類の紙再生タバコであってもよい。特定の一実施形態において、紙再生タバコは、タバコストリップ、タバコステム、及びホールリーフタバコのうちの1つ又は複数を含む原料から作られる。別の実施形態において、紙再生タバコは、タバコストリップ及び/若しくはホールリーフタバコ並びにタバコステムから成る原料から作られる。ただし、この代替又は追加として、他の実施形態においては、スクラップ、ファイン、及びウィノーイングを原料に採用可能である。
【0166】
本明細書に記載のタバコ材料に使用する紙再生タバコは、紙再生タバコを作成する技術の当業者が把握する方法により作成されるようになっていてもよい。
【0167】
物品10のエアロゾル生成材料11の加熱には、非燃焼性エアロゾル供給デバイスが使用される。非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、他の構成と比較して、物品10への熱伝達を改善可能であることが分かっているため、コイルを備えるのが好ましい。
【0168】
いくつかの例において、コイルは、使用時、少なくとも1つの導電性加熱要素を加熱するように構成されているため、熱エネルギーが少なくとも1つの導電性加熱要素からエアロゾル生成材料に伝達されて、エアロゾル生成材料を加熱する。
【0169】
いくつかの例において、コイルは、使用時、少なくとも1つの加熱要素に侵入する変動磁場を生成して、少なくとも1つの加熱要素の誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を行うように構成されている。このような構成において、前記加熱要素又は各加熱要素は、本明細書に規定の通り、「サセプタ」と称し得る。使用時、少なくとも1つの導電性加熱要素に侵入する変動磁場を生成して、少なくとも1つの導電性加熱要素を誘導加熱するように構成されたコイルは、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と称し得る。
【0170】
このデバイスは、(1つ又は複数の)加熱要素(例えば、(1つ又は複数の)導電性加熱要素)を具備していてもよく、この(1つ又は複数の)加熱要素は、コイルに対する好適な配置又は配置可能性によって、上記のような(1つ又は複数の)加熱要素の加熱を可能にし得る。(1つ又は複数の)加熱要素は、コイルに対して固定された位置に存在していてもよい。或いは、少なくとも1つの加熱要素(例えば、少なくとも1つの導電性加熱要素)は、デバイスの加熱ゾーンに挿入する物品10に含まれていてもよく、この物品10がエアロゾル生成材料11を含み、使用後に加熱ゾーンから取り出し可能である。或いは、デバイス及びこのような物品10の両者が少なくとも1つのそれぞれの加熱要素(例えば、少なくとも1つの導電性加熱要素)を備えていてもよく、コイルは、物品が加熱ゾーンにある場合に、デバイス及び物品それぞれの(1つ又は複数の)加熱要素を加熱するようにしてもよい。
【0171】
いくつかの例において、コイルは、螺旋状である。いくつかの例において、コイルは、エアロゾル生成材料を受容するように構成されたデバイスの加熱ゾーンの少なくとも一部を囲む。いくつかの例において、コイルは、加熱ゾーンの少なくとも一部を囲むヘリカルコイルである。
【0172】
いくつかの例において、このデバイスは、加熱ゾーンを少なくとも部分的に囲む導電性加熱要素を備えており、コイルは、導電性加熱要素の少なくとも一部を囲むヘリカルコイルである。いくつかの例において、導電性加熱要素は、管状である。いくつかの例において、コイルは、インダクタコイルである。
【0173】
いくつかの例において、コイルを使用すると、非コイルエアロゾル供給デバイスよりも高速に、非燃焼性エアロゾル供給デバイスが動作温度に達し得る。例えば、上述のようなコイルを具備する非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、デバイス加熱プログラムの開始から30秒未満、より好ましくは25秒未満で最初の喫煙を提供できるように動作温度に達し得る。いくつかの例において、このデバイスは、デバイス加熱プログラムの開始から約20秒で動作温度に達し得る。
【0174】
本明細書に記載のようなコイルをデバイスに使用してエアロゾル生成材料を加熱すると、生成されるエアロゾルが増すことが分かっている。例えば、本明細書に記載のようなコイルを具備するデバイスにより生成されたエアロゾルは、他の非燃焼性エアロゾル供給システムにより生成されたエアロゾルよりも、工場製のタバコ(FMC)製品で発生するエアロゾルに感覚的に近いことを消費者が報告している。理論に縛られることなく、これは、コイルの使用時に所要加熱温度に達する時間が短縮されること、コイルの使用時に実現可能な加熱温度が高くなること、及び/又はコイルによってこのようなシステムが比較的大量のエアロゾル生成材料を同時に加熱可能となることの結果と仮定され、その結果として、エアロゾルの温度がFMCエアロゾルの温度に類似する。FMC製品では、燃焼した炭が高温のエアロゾルを生成し、そのエアロゾルがロッドを通じて引き込まれることで、炭の背後のタバコロッド中のタバコが加熱される。この高温のエアロゾルが燃焼した炭の背後のロッド中のタバコから香味化合物を放出させるものと理解される。また、本明細書に記載のようなコイルを具備するデバイスがエアロゾル生成材料(本明細書に記載のタバコ材料等)を加熱して、香味化合物を放出させる結果、FMCエアロゾルにより類似すると報告されているエアロゾルが得られるものと考えられる。
【0175】
本明細書に記載のようなコイル(例えば、エアロゾル生成材料の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイル)を具備するエアロゾル供給システムの使用によって、FMC製品により類似すると考えられる特定の特性を有するエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成可能となり得る。例えば、少なくとも250℃に加熱された誘導加熱器を用いて2秒間、当該期間中の少なくとも1.50L/mの空気流下でエアロゾル生成材料(ニコチンを含む)を加熱した場合は、以下の特性のうちの1つ又は複数が観測されている。
【0176】
少なくとも10μgのニコチンがエアロゾル生成材料からエアロゾル化される。
【0177】
生成エアロゾルにおけるエアロゾル形成材料のニコチンに対する重量比が少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である。
【0178】
少なくとも100μgのエアロゾル形成材料がエアロゾル生成材料からエアロゾル化され得る。
【0179】
生成エアロゾルにおける平均粒子径又は平均液滴径が約1000nm未満である。
【0180】
エアロゾルの密度が少なくとも0.1μg/ccである。
【0181】
場合によっては、上記期間中の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも10μgのニコチン、好適には少なくとも30μg又は40μgのニコチンがエアロゾル化される。場合によっては、上記期間中の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、約200μg未満、好適には約150μg未満、又は約125μg未満のニコチンがエアロゾル化される。
【0182】
場合によっては、エアロゾルが少なくとも100μgのエアロゾル形成材料を含み、上記期間中の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、好適には少なくとも200μg、500μg、又は1mgのエアロゾル形成材料がエアロゾル化される。エアロゾル形成材料は、グリセロールを含み得るか、又は、グリセロールから成り得るのが好適である。
【0183】
本明細書に定義の通り、用語「平均粒子径又は平均液滴径(mean particle or droplet size)」は、エアロゾルの固体又は液体成分(すなわち、ガス中に浮遊する成分)の平均サイズを表す。エアロゾルが浮遊液滴又は浮遊固体粒子を含む場合、この用語は、すべての成分の平均サイズを一体的に表す。
【0184】
場合により、生成されるエアロゾルの平均粒子径又は平均液滴径は、約900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nm、又は400nm未満であってもよい。場合により、平均粒子径又は平均液滴径は、約25nm、50nm、又は100nm超であってもよい。
【0185】
場合により、上記期間中に生成されるエアロゾルの密度は、少なくとも0.1μg/ccである。場合により、エアロゾルの密度は、少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/cc、又は0.4μg/ccである。場合により、エアロゾルの密度は、約2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/cc、又は1.0μg/cc未満である。
【0186】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、物品10のエアロゾル生成材料11を少なくとも160℃の最大温度まで加熱するように構成されているのが好ましい。非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、当該非燃焼性エアロゾル供給デバイスが従う加熱プロセスの間少なくとも一度、物品10のエアロゾル形成材料11を少なくとも約200℃、少なくとも約220℃、又は少なくとも約240℃が好ましく、より好ましくは少なくとも約270℃の最大温度まで加熱するよう構成されている。
【0187】
本明細書に記載のようなコイル(例えば、エアロゾル生成材料の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイル)を具備するエアロゾル供給システムの使用によって、エアロゾルがマウスピース1の口側端から出る際に従来のデバイスよりも高温となる本明細書に記載のような物品10中のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成可能となるため、FMC製品により近いと考えられるエアロゾルの生成に寄与し得る。例えば、物品10の口側端で測定される最大エアロゾル温度としては、好ましくは50℃超、より好ましくは55℃超、さらに好ましくは56℃又は57℃超が可能である。この追加又は代替として、物品10の口側端で測定される最大エアロゾル温度としては、62℃未満、より好ましくは60℃未満、さらに好ましくは59℃未満が可能である。いくつかの実施形態において、物品10の口側端で測定される最大エアロゾル温度としては、好ましくは50℃~62℃、より好ましくは56℃~60℃が可能である。
【0188】
図7は、本明細書に記載の物品10のエアロゾル生成材料11等のエアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成される非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体(例えば、本明細書に記載の物品10)を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又は他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。デバイス100及び交換式物品110が一体的に非燃焼性エアロゾル供給システムを構成する。
【0189】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバーの形態の)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリにより加熱可能な開口104を一端に有する。使用時、物品110は、加熱アセンブリに全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリの1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。物品110がデバイス100に挿入された場合、加熱アセンブリの1つ又は複数の構成要素と物品110の管状要素との間の最短距離は、3mm~10mmの範囲(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm)であってもよい。
【0190】
本例のデバイス100は、第1の端部材106を備え、第1の端部材106は、物品110が適所にない場合に、開口104を閉鎖するために第1の端部材106に対して移動可能である蓋108を備える。
図7において、蓋108は、開放構成にて示しているが、閉鎖構成へと移動することも可能である。例えば、ユーザが蓋108を矢印「B」の方向にスライドさせるようにしてもよい。
【0191】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合にデバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0192】
また、デバイス100は、ソケット/ポート114等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。
【0193】
図8は、外カバー102を外すとともに物品110が存在しない状態の
図7のデバイス100を示している。デバイス100は、長手方向軸134を規定する。
図8に示すように、第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、デバイスの反対端には第2の端部材116が配置されている。第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に規定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に規定する。また、外カバー102の縁部が端面の一部を規定していてもよい。また、本例において、蓋108は、デバイス100の上面の一部を規定する。
【0194】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口側端)として知られていてもよい。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス中で生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0195】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていてもよい。デバイス中で生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方向に流れる。
【0196】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリであってもよい。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、加熱アセンブリに対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、制御装置(図示せず)の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。本例において、バッテリは、当該バッテリ118を適所に保持する中央支持部120に接続されている。
【0197】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)を備えていてもよい。PCB122は、プロセッサ等の少なくとも1つの制御装置及びメモリを支持していてもよい。また、PCB122は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子がPCB122に対して電気的に接続されていてもよい。また、ソケット114は、電気的トラックを介して、バッテリに対して電気的に結合されていてもよい。
【0198】
例示的なデバイス100において、加熱アセンブリは、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素中の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタ中の磁気ヒステリシス損すなわち変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料中の磁気双極子の変動配向によっても熱が生成される。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0199】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書においては、「サセプタ」と称する)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、導電材料により構成されている。本例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124、126を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを構成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断面が矩形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、円形等、他の形状の断面を有し得る。
【0200】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1のセクションを加熱する第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2のセクションを加熱する第2の変動磁場を生成するように構成されている。本例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向で第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、重なり合わない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタを備えていてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えていてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続可能である。
【0201】
いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有していてもよいことを理解されたい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。より具体的に、一例として、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なるインダクタンスの値を有していてもよい。
図8において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124がサセプタ132に巻回されるセクションが第2のインダクタコイル126よりも小さくなるように、異なる長さを有する。このため、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる巻回数であってもよい(個々の巻回の間隔は実質的に同じと仮定する)。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる材料により構成されていてもよい。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0202】
本例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻回されている。これは、両インダクタコイルが異なるタイミングで作動する場合に有用となり得る。例えば、最初に第1のインダクタコイル124が物品110の第1のセクション/部位を加熱するように動作していてもよいし、これより後で第2のインダクタコイル126が物品110の第2のセクション/部位を加熱するように動作していてもよい。コイルを反対方向に巻回することは、特定種類の制御回路と併せて使用される場合に非作動のコイルに誘導される電流を抑えるのに役立つ。
図8においては、第1のインダクタコイル124が右手螺旋であり、第2のインダクタコイル126が左手螺旋である。ただし、別の実施形態においては、インダクタコイル124、126が同じ方向に巻回されていてもよいし、第1のインダクタコイル124が左手螺旋、第2のインダクタコイル126が右手螺旋であってもよい。
【0203】
本例のサセプタ132は中空であるため、エアロゾル生成材料が受容されるレセプタクルを規定する。例えば、物品110をサセプタ132に挿入可能である。本例において、サセプタ120は、断面が円形の管状である。
【0204】
サセプタ132は、1つ又は複数の材料により構成されていてもよい。サセプタ132は、ニッケル又はコバルトの被膜を有する炭素鋼で構成されているのが好ましい。
【0205】
いくつかの例において、サセプタ132は、選択的なエアロゾル化のため2つの異なる周波数で加熱し得る少なくとも2つの材料を含んでいてもよい。例えば、サセプタ132の第1のセクション(第1のインダクタコイル124により加熱される)が第1の材料を含んでいてもよいし、第2のインダクタコイル126により加熱されるサセプタ132の第2のセクションが第2の異なる材料を含んでいてもよい。別の例においては、第1のセクションが第1及び第2の材料を含んでいてもよく、これら第1及び第2の材料は、第1のインダクタコイル124の動作に基づいて、異なる加熱が可能である。第1及び第2の材料は、サセプタ132により規定される軸に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内の異なる層を構成していてもよい。同様に、第2のセクションが第3及び第4の材料を含んでいてもよく、これら第3及び第4の材料は、第2のインダクタコイル126の動作に基づいて、異なる加熱が可能である。第3及び第4の材料は、サセプタ132により規定される軸に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内の異なる層を構成していてもよい。例えば、第3の材料が第1の材料と同じであってもよく、また、第4の材料が第2の材料と同じであってもよい。或いは、材料それぞれが異なっていてもよい。サセプタは、例えば炭素鋼で構成されていてもよいし、アルミニウムで構成されていてもよい。
【0206】
図8のデバイス100は、大略管状で、少なくとも部分的にサセプタ132を囲み得る断熱部材128をさらに備える。断熱部材128は、例えばプラスチック等の如何なる断熱材料により構成されていてもよい。この特定の例において、断熱部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。断熱部材128は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0207】
また、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126の全部又は一部を支持可能である。例えば、
図8に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断熱部材128の周りに配置され、断熱部材128の半径方向外方面と接触している。いくつかの例において、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126に当接しない。例えば、断熱部材128の外面と第1及び第2のインダクタコイル124、126の内面との間には、小さな間隙が存在していてもよい。
【0208】
特定の一例においては、サセプタ132、断熱部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126がサセプタ132の中央長手方向軸の周りに同軸である。
【0209】
図9は、デバイス100の一部断面側面図である。本例においては、外カバー102が存在する。第1及び第2のインダクタコイル124、126の矩形断面形状がより明確に可視化されている。
【0210】
デバイス100は、サセプタ132の一端に係合してサセプタ132を適所に保持する支持部136をさらに備える。支持部136は、第2の端部材116に接続されている。
【0211】
また、デバイスは、制御要素112内に関連付けられた第2のプリント配線板138を備えていてもよい。
【0212】
デバイス100は、デバイス100の遠位端に向かって配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、第2の蓋140の開放によって、サセプタ132へのアクセスを提供可能とする。ユーザは、第2の蓋140を開けることにより、サセプタ132及び/又は支持部136を清掃するようにしてもよい。
【0213】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れて当該デバイスの開口140に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144内には、デバイス100内に受容されたとき物品110に当接して保持する保持クリップ146の少なくとも一部が配置されている。拡張チャンバ144は、端部材106に接続されている。
【0214】
図10は、外カバー102を省略した
図9のデバイス100の分解図である。
【0215】
図11Aは、
図9のデバイス100の一部の断面を示している。
図11Bは、
図11Aの一領域を拡大して示している。
図11A及び
図11Bは、サセプタ132内に受容された物品110を示しているが、この物品110は、その外面がサセプタ132の内面に当接するように寸法規定されている。これにより、加熱が最も効率的になる。本例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に配置されている。また、物品110は、フィルタ、包装材、及び/又は冷却構造等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0216】
図11Bは、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、サセプタ132の外面がインダクタコイル124、126の内面から距離150だけ離隔することを示している。特定の一例において、距離150は、約3mm~4mm、約3~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0217】
図11Bは、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、断熱部材128の外面がインダクタコイル124、126の内面から距離152だけ離隔することをさらに示している。特定の一例において、距離152は、約0.05mmである。別の例においては、インダクタコイル124、126が断熱部材128に当接して接触するように、距離152が実質的に0mmである。
【0218】
一例において、サセプタ132は、壁厚154が約0.025mm~1mm又は約0.05mmである。
【0219】
一例において、サセプタ132は、長さが約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmである。
【0220】
一例において、断熱部材128は、壁厚156が約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmである。
【0221】
使用時、本明細書に記載の物品10は、
図7~
図11を参照して説明したデバイス100等の非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入可能である。物品10のマウスピース1の少なくとも一部が非燃焼性エアロゾル供給デバイス100から突き出て、ユーザの口内に配置され得る。デバイス100を用いてエアロゾル生成材料11を加熱することにより、エアロゾルが生成される。エアロゾル生成材料11により生成されたエアロゾルは、マウスピース1を通過してユーザの口に入る。
【0222】
図12は、非燃焼性エアロゾル供給システムに使用するコンポーネントを製造する方法を示したフローチャートである。
【0223】
この方法は、内側チャネルを形成するステップ(S101)と、少なくとも1つの外側チャネルを形成するステップ(S102)と、外気の少なくとも1つの外側チャネルへの流入を可能にするように構成された少なくとも1つの通気エリアを形成するステップ(S103)と、を含む。
【0224】
いくつかの例において、内側チャネルを形成するステップ及び/又は少なくとも1つの外側チャネルを形成するステップは、射出成形プロセスを含む。
【0225】
いくつかの例において、内側チャネルを形成するステップは、ひだ状のシート材料からチューブを形成することを含む。この方法は、複数の外側チャネルを形成するステップを含み得、外側チャネルを形成するステップは、平面状の材料シートをチューブに巻き付けることを含む。
【0226】
いくつかの例において、少なくとも1つの通気エリアを形成するステップは、開口部を材料に形成することを含む。
【0227】
本明細書に記載の種々実施形態は、特許請求の範囲に係る特徴の理解及び教示の補助としてのみ提示している。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとして与えており、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲に対する制限とも、特許請求の範囲の同等物に対する制限とも考えるべきではなく、また、特許請求の範囲に係る発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態の利用及び改良が可能であることが了解されるものとする。本発明の種々実施形態は、本明細書において具体的に記載した以外の開示の要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段等の適当な組み合わせを好適に含んでいてもよいし、適当な組み合わせから成っていてもよいし、適当な組み合わせから本質的に成っていてもよい。また、本開示は、現時点では請求されていないものの、将来的に請求され得る他の発明を含んでいてもよい。