IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー・アンド・ジー・コーポレーションの特許一覧

特許7436094喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品
<>
  • 特許-喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品 図1
  • 特許-喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品 図2
  • 特許-喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品 図3
  • 特許-喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240214BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240214BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240214BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A24D1/02
A61K9/72
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/46
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/44
A24D3/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022548687
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2021016942
(87)【国際公開番号】W WO2022154237
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003881
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ホ リム
(72)【発明者】
【氏名】セオ、マン ソク
(72)【発明者】
【氏名】コ、ドン キュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スー ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イン ボム
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ ジン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ヨウン クン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョー
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0112431(KR,A)
【文献】国際公開第2014/034620(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107136563(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104372719(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110652030(CN,A)
【文献】国際公開第2017/044558(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/023271(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第109135923(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0000173(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
A61K 9/72
A61K 47/18
A61K 47/20
A61K 47/26
A61K 47/46
A61K 47/12
A61K 47/02
A61K 47/44
A24D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物質ラッパーで包まれた喫煙物質部と、
上流末端が前記喫煙物質部に結合され、フィルターラッパーで包まれたフィルター部と、
前記喫煙物質部と前記フィルター部が結合するように、前記喫煙物質部の少なくとも一部の領域と前記フィルター部を包むチップペーパーと、を含み、
前記チップペーパーの表面には、デザイン印刷層、OPコーティング層および味料コーティング層が設けられた、喫煙物品。
【請求項2】
前記味料コーティング層は、前記OPコーティング層上に形成された請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法であって、
前記喫煙物品用チップペーパーの少なくとも一部の領域にデザインを印刷するデザイン印刷段階と、
OPコーティング溶液で前記喫煙物品用チップペーパーの表面をコーティングするOPコーティング段階と、
味料コーティング溶液で前記喫煙物品用チップペーパーの表面をコーティングする味料コーティング段階と、を含み、
前記味料コーティング段階は、前記デザイン印刷段階および前記OPコーティング段階とは別個の工程で行われる、喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項4】
前記味料コーティング段階は、前記デザイン印刷段階および前記OPコーティング段階の後に行われる請求項3に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項5】
前記味料コーティング溶液は、味料組成物と、水とエタノールの混合溶媒とからなる請求項3または4に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項6】
前記味料コーティング溶液に含まれた前記味料組成物の重量は、前記味料コーティング溶液の総重量に対して3%から40%である請求項5に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項7】
前記味料組成物は、少なくとも一つ以上の水溶性味料物質および少なくとも一つ以上の脂溶性味料物質を含む請求項5または6に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項8】
前記味料組成物は、
グルタミン酸ナトリウム、塩、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第1味料物質と、
クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびカテキンのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第2味料物質と、を含む請求項6または7に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項9】
前記味料組成物は、サッカリン、メントール、ユーカリプトール、フェニル酢酸およびシナモンオイルのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第3味料物質をさらに含む請求項8に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項10】
前記味料組成物に含まれた前記第1味料物質および前記第3味料物質の合計重量は、前記味料組成物の総重量に対して70%から99%であり、前記第2味料物質の重量は、前記味料組成物の総重量に対して1%から30%である請求項9に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項11】
前記第1味料物質は、
グルタミン酸ナトリウムおよび塩のうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-1味料物質と、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-2味料物質と、を含む請求項9または10に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項12】
前記味料組成物に含まれた前記第1-1味料物質の重量は、前記第1味料物質の総重量に対して1%から30%であり、前記第1-2味料物質の重量は、前記第1味料物質の総重量に対して70%から99%である請求項11に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項13】
前記混合溶媒に含まれた前記水と前記エタノールの混合比は、1:0.8から1:5.0である請求項9から12のいずれか一項に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項14】
前記水と前記エタノールの混合比は、前記味料組成物の組成に依存する請求項9から13のいずれか一項に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【請求項15】
前記混合溶媒の総重量に対する前記水の重量比は、数式1によって定義される喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法であって、
[数式1]
【数1】
は、前記混合溶媒の総重量に対する前記水の重量比を示し、PW1は、前記味料組成物の1重量部に対する前記第1味料物質の重量部を示し、PWは、前記味料組成物の1重量部に対する前記第2味料物質の重量部を示し、PWは、前記味料組成物の1重量部に対する前記第3味料物質の重量部を示す、請求項9から14のいずれか一項に記載の喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品に関し、より詳細には、デザイン印刷およびOPコーティング工程とは別個に甘味料コーティング工程を行うことで従来の甘味料適用上の多様な制約事項を解消させることができる喫煙物品用チップペーパーコーティング方法および喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タバコを製造するためには、まず、葉タバコおよび板状葉など多様な種類のタバコ材料を配合および加工し、シガレットペーパーで包んだ後、フィルターを付着する。前記フィルターは、チップペーパー(tip paper)により前記タバコ材料が充填された喫煙物質部に連結され、前記チップペーパーの表面には、一般的に印刷工程および前記印刷工程で印刷されたインキ脱落防止などの印刷安定性の増加、唇と紙類間の接着力減少(Lip-Release)のためのOP(over print)コーティングやOPV(Over print varnish)工程が行われる。
【0003】
なお、従来のチップペーパー甘味料コーティング工程は、一般的にOPコーティング溶液の油性溶媒であるIPA(Isopropyl Alcohol)とEA(Ethyl Acetate)に水性スクラロース、高麗人参濃縮液などの物質を少量分散させて適用するが、油性溶媒の使用によって発生する適用物質の制限、適用含有量の限界、均一塗布の限界などに起因して多様な味の具現が不可能で、また、味の強度を一定水準以上増加させない問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、上記した甘味料適用上の問題点および多様な制約事項を解消させることができる喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法およびこれによって製造された喫煙物品を提供することにある。
【0005】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一部の実施形態によれば、喫煙物質ラッパーで包まれた喫煙物質部と、上流末端が前記喫煙物質部に結合され、フィルターラッパーで包まれたフィルター部と、前記喫煙物質部と前記フィルター部が結合するように前記喫煙物質部の少なくとも一部の領域と前記フィルター部を包むチップペーパーと、を含み、前記チップペーパーの表面には、デザイン印刷層、OP(over print)コーティング層および甘味料コーティング層が設けられた喫煙物品が提供される。
【0007】
一部の実施形態において、前記甘味料コーティング層は、前記OPコーティング層上に形成できる。
【0008】
また、本発明の一部の実施形態によれば、前記チップペーパーの少なくとも一部の領域にデザインを印刷するデザイン印刷段階と、OPコーティング溶液で前記チップペーパーの表面をコーティングするOPコーティング段階と、甘味料コーティング溶液で前記チップペーパーの表面をコーティングする甘味料コーティング段階と、を含み、前記甘味料コーティング段階は、前記デザイン印刷段階および前記OPコーティング段階とは別個の工程で行われる、喫煙物品用チップペーパーのコーティング方法が提供される。
【0009】
この際、前記甘味料コーティング段階は、前記デザイン印刷段階および前記OPコーティング段階後に行われることが好ましい。また、前記甘味料コーティング溶液は、甘味料組成物と、水とエタノールの混合溶媒とからなることが好ましい。
【0010】
一部の実施形態において、前記甘味料コーティング溶液に含まれた前記甘味料組成物の重量は、前記甘味料コーティング溶液の総重量に対して3%~40%であってもよい。
【0011】
前記甘味料組成物は、少なくとも一つ以上の水溶性甘味料物質および少なくとも一つ以上の脂溶性甘味料物質を含んでもよい。
【0012】
前記甘味料組成物は、グルタミン酸ナトリウム、塩、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第1甘味料物質と、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびカテキンのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第2甘味料物質と、を含んでもよい。また、前記甘味料組成物は、サッカリン、メントール、ユーカリプトール、フェニル酢酸およびシナモンオイルのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第3甘味料物質をさらに含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態において、前記甘味料組成物に含まれた前記第1甘味料物質および前記第3甘味料物質の合計重量は、前記甘味料組成物の総重量に対して70%~99%であり、前記第2甘味料物質の重量は、前記甘味料組成物の総重量に対して1%~30%であってもよい。
【0014】
好ましくは、前記第1甘味料物質は、グルタミン酸ナトリウムおよび塩のうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-1甘味料物質と、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-2甘味料物質と、を含んでもよい。ここで、前記甘味料組成物に含まれた前記第1-1甘味料物質の重量は、前記第1甘味料物質の総重量に対して1%~30%であり、前記第1-2甘味料物質の重量は、前記第1甘味料物質の総重量に対して70%~99%であってもよい。
【0015】
一部の実施形態において、前記混合溶媒に含まれた前記水と前記エタノールの混合比は、1:0.8~1:5.0であってもよく、好ましくは、前記水と前記エタノールの混合比は、前記甘味料組成物の組成に依存する。具体的に、前記混合溶媒の総重量に対する前記水の重量比は、数式1によって定義され得る。
【0016】
[数式1]
【数1】
【0017】
ここで、Rは、前記混合溶媒の総重量に対する前記水の重量比を示し、PWは、前記甘味料組成物1重量部に対する前記第1甘味料物質の重量部を示し、PWは、前記甘味料組成物1重量部に対する前記第2甘味料物質の重量部を示し、PWは、前記甘味料組成物1重量部に対する前記第3甘味料物質の重量部を示す。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態に係るチップペーパーのコーティング方法によれば、甘味料組成物の沈殿、チップペーパーのカール(curl)発生、印刷されたデザインのインキ広がりまたはインキ脱落などの問題なく、十分な甘味料物質が含有された甘味料コーティング層をチップペーパーに均一に塗布できる。
【0019】
また、ユーザに多様化したかつ差別化した喫味感を提供できる甘味料物質を多様に活用でき、これによって、多様な味覚特性を提供するチップペーパー甘味料がコーティングされた喫煙物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一部の実施形態によって機能性物質がコーティングされたチップペーパーを含む喫煙物品の例示的な構成を示す図である。
図2】本発明の一部の実施形態に係るチップペーパーのコーティング方法を例示的に示すフローチャートである。
図3】本発明の一部の実施形態に係るチップペーパーのコーティング方法を例示的に示すフローチャートである。
図4】甘味料物質の不完全溶解による沈殿生成を目視で確認できる写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すると明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され得、単に本実施形態は、本開示を完全にし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書全般において同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0022】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0023】
また、本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。 明細書において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0024】
本明細書において使用される「第1」または「第2」などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、前記用語により限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0025】
明細書全般において「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができる物を意味する。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。
【0026】
図1は、本発明の一部の実施形態によって機能性物質がコーティングされたチップペーパーを含む喫煙物品の例示的な構成を示す図である。
【0027】
本明細書では、喫煙物品100が燃焼式シガレットである場合を例にあげて説明したが、これに限定されず、喫煙物品100は、電子タバコ機器などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに使用される加熱式シガレットなどであってもよいことはもちろんである。
【0028】
図1を参照すると、喫煙物品100は、フィルターラッパー110aで包まれたフィルター部110と、喫煙物質ラッパー120aで包まれた喫煙物質部120と、前記フィルター部110および喫煙物質部120を結合させるチップペーパー130と、を含んでもよい。
【0029】
フィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過する領域であってもよい。
【0030】
フィルター部110は、多様な材質で形成でき、例えばフィルター部110は、セルロースアセテートフィルターであってもよい。フィルター部110は、香料物質が加香処理されていないセルロースアセテートフィルターであってもよく、香料物質が加香処理されたTJNS(transfer jet nozzle system)フィルターであってもよい。
【0031】
一部の実施形態において、フィルター部110は、内部に中空を含むチューブ形態の構造物であってもよく、内部(例えば、中空)に同じあるいは異なる材質のフィルム、チューブなどの構造物を挿入して製造することもできる。
【0032】
本実施形態のフィルター部110は、単一フィルターからなるモノフィルターであると図示されたが、これに限定されない。例えば、フィルター部110は、フィルター効率を高めるために2個のアセテートフィルターを具備するデュアルフィルターまたは三重フィルターなどで用意してもよいことは当然である。
【0033】
また、図示してはいないが、フィルター部110の内部には、香料を含む内用液を被膜で包まれた構造の破砕可能なカプセル(不図示)が含まれてもよい。
【0034】
上述したフィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過するフィルターとしての役割を行う。
【0035】
前記フィルター部110は、フィルターラッパー110aにより包装されてもよい。フィルターラッパー110aは、耐油性を有する巻紙で製作でき、フィルターラッパー110aの内側面には、アルミホイルがさらに含まれてもよい。
【0036】
喫煙物質部120は、原料葉タバコ、板状葉または葉タバコと板状葉が配合された混合物で充填され得る。前記混合物は、シート形態または刻み形態で喫煙物質部120に充填され得る。喫煙物質部120は、長く延びたロッド形態を有することができ、その長さ、周りおよび直径は多様になり得る。また、喫煙物質部120は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つのエアロゾル発生物質を含んでもよい。また、喫煙物質部120は、風味剤、湿潤剤および/またはアセテート化合物のような他の添加物質を含有できる。
【0037】
喫煙物質部120は、喫煙物質ラッパー120aにより包装されてもよい。前記喫煙物質ラッパー120aは、二重巻紙構造を有することもでき、また、喫煙物質ラッパー120aは、一つ以上の低延焼性(Low Ignition Propensity,LIP)バンド(不図示)が形成された低延焼性シガレットペーパーであってもよい。
【0038】
フィルターラッパー110aにより包装されたフィルター部110および喫煙物質ラッパー120aにより包装された喫煙物質部120は、チップペーパー130により結合包装されてもよい。すなわち、チップペーパー130は、喫煙物質ラッパー120aの少なくとも一部分(例えば、下流の一部の領域)およびフィルターラッパー110aの外郭に囲まれてもよい。換言すれば、喫煙物質部120の少なくとも一部分およびフィルター部110は、チップペーパー130によりさらに包装され、物理的に結合されてもよい。
【0039】
チップペーパー130は、また、不燃性物質を含むことによって、フィルター部110が燃焼する現象を防止できる。
【0040】
一部の実施形態において、チップペーパー130は、耐油処理が施されない非多孔性巻紙で製作できるが、これに制限されない。
【0041】
なお、チップペーパー130の表面には、デザイン印刷工程で印刷されたインキの脱落防止およびリップ-リリースのためのOPコーティング層が設けられてもよく、この場合、印刷インキまたはOPコーティング層内特定成分により喫煙時に異臭が発現する可能性がある。
【0042】
これより、前記異臭発現問題を最小化すると同時に、甘味料コーティング効果を最大化して、ユーザに安定的に多様な味覚と機能性を付与するために、本発明の実施形態に係るチップペーパー130の表面には、デザイン印刷層、OPコーティング層および甘味料コーティング層(不図示)が設けられてもよい。
【0043】
具体的に、前記チップペーパー130の表面(すなわち、ユーザの口部と接触する外側面)には、製造メーカーおよび製品ラインアップ別に多様なデザインが印刷されたデザイン印刷層を形成でき、デザイン印刷層のインキ脱落防止のためにニトロセルロース(Nitrocellulose)、ポリアミド(Polyamide)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol;IPA)およびエチルアセテート(Ethyl acetate)などの油性のOPインキを含むOPコーティング溶液でコーティングされたOPコーティング層と、ユーザの口部とチップペーパー130の接触時にユーザに甘味、苦味、塩味、酸味などの多様な味覚を付与する役割を行う甘味料物質が含まれた甘味料コーティング層が設けられてもよい。
【0044】
なお、OPコーティング溶液は、場合によってイソプロピルアルコール、エチルアセテート、プロピルアセテート(Propyl acetate)などの組み合わせで構成されたOP補助剤を含んでもよいが、これに制限されないことはもちろんである。
【0045】
OPコーティング層上に形成された前記甘味料コーティング層は、溶媒に溶解した甘味料組成物を含む甘味料コーティング溶液を使って形成でき、甘味料コーティング層の形成方法に関する詳細な説明は、図2図3を参照して後述することとする。
【0046】
図2および図3は、本発明の一部の実施形態に係るチップペーパーのコーティング方法を例示的に示すフローチャートである。
【0047】
図2を参照すると、チップペーパーのコーティング方法は、チップペーパーのデザインを印刷する段階S10と、OPコーティング溶液でデザインが印刷されたチップペーパーの表面をコーティングする段階S20と、デザイン印刷およびOPコーティング処理されたチップペーパーの表面に甘味料をコーティングする段階S30と、を含んでもよい。
【0048】
前記甘味料コーティング段階S30前に行われるデザイン印刷段階S10およびOPコーティング段階S20は、チップペーパーの特性および印刷条件などによって、工程順序が互いに変わってもよい。すなわち、図3に示されたように、チップペーパーのコーティング方法においてOPコーティング溶液でチップペーパーの表面をコーティングする段階S10'は、OPコーティング処理されたチップペーパーのデザインを印刷する段階S20'より優先的に行われてもよい。
【0049】
なお、甘味料コーティング段階S30は、前記デザイン印刷および前記OPコーティング工程間の順序と関係なく、そして、前記デザイン印刷および前記OPコーティング工程とは別個の工程で行われてもよい。好ましくは、甘味料コーティング段階S30は、前記デザイン印刷および前記OPコーティング工程が完了した後に行われてもよく、より好ましくは、チップペーパーコーティング工程で最後工程として行われてもよい。これによって、ユーザの口部がチップペーパーに接触時に甘味料コーティング層内甘味料組成物がユーザに一層容易に提供され得る。
【0050】
一部の実施形態において、甘味料コーティング段階S30で使用される甘味料コーティング溶液は、甘味料組成物が溶媒に溶解した状態の溶液であってもよく、好ましくは、甘味料コーティング溶液に使用される溶媒は、水とエタノールの混合溶媒であってもよい。すなわち、本発明における甘味料コーティング工程では、OPコーティング工程とは異なって、水とエタノールの混合溶媒を使用することによって、水溶性甘味料物質および脂溶性甘味料物質の両方を良好に溶解させることができ、これによって、ユーザに多様化したかつ差別化した喫味感を提供できる甘味料物質を多様に活用できる。
【0051】
すなわち、甘味料コーティング溶液に使用される甘味料組成物は、少なくとも一つ以上の水溶性甘味料物質および少なくとも一つ以上の脂溶性甘味料物質を含んでもよく、より好ましくは、前記甘味料組成物は、グルタミン酸ナトリウム、塩、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第1甘味料物質と、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびカテキンのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第2甘味料物質と、サッカリン、メントール、ユーカリプトール、フェニル酢酸およびシナモンオイルのうち少なくとも一つ以上の物質で構成される第3甘味料物質と、を含んでもよい。
【0052】
なお、ユーザの口部がチップペーパーに触れることによって感じる味覚選好度を高めるために、甘味料組成物に含まれた第1甘味料物質および第3甘味料物質の合計重量は、甘味料組成物の総重量に対して70%~99%であり、第2甘味料物質の重量は、甘味料組成物の総重量に対して1%~30%であることが好ましい。
【0053】
また、前記第1甘味料物質は、グルタミン酸ナトリウムおよび塩のうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-1甘味料物質を含み、これと同時に、サッカリンナトリウム、キシリトール、スクラロース、トマチン、ステビア、エリスリトールおよびプシコースのうち少なくとも一つ以上選ばれる第1-2甘味料物質を含むことが、さらに調和のとれた味覚特性の発現に有利である。より具体的に、前記甘味料組成物に含まれた第1-1甘味料物質の重量は、第1甘味料物質の総重量に対して1%~30%であり、第1-2甘味料物質の重量は、第1甘味料物質の総重量に対して70%~99%であってもよい。
【0054】
なお、上記のように多様な甘味料物質が混合された甘味料組成物を組成物の沈殿、チップペーパーのカール発生、印刷デザインのインキ広がりまたは脱落、不均一なコーティングなどの多様な問題なく高濃度でコーティングするために、前記甘味料組成物の溶媒は、水とエタノールの混合溶媒であることが好ましく、この際、混合溶媒に含まれた前記水と前記エタノールの混合比が略1:0.8~1:5.0であることがより好ましい。
【0055】
また、上記した混合溶媒に含まれた前記水と前記エタノールの混合比は、甘味料組成物を構成する甘味料物質の種類および組成比によって、甘味料析出(deposition)問題などに非常に敏感な事項である。すなわち、前記水と前記エタノールの混合比は、前記甘味料組成物の組成に依存することが好ましく、より具体的には、前記混合溶媒の総重量に対する水の重量比は、下記数式1によって定義され得る。下記の数式1で、Rは、混合溶媒の総重量に対する水の重量比を示し、PWは、甘味料組成物1重量部に対する第1甘味料物質の重量部を示し、PWは、甘味料組成物1重量部に対する第2甘味料物質の重量部を示し、PWは、甘味料組成物1重量部に対する第3甘味料物質の重量部を示す。
【0056】
[数式1]
【数1】
【0057】
図示してはいないが、上記したチップペーパーのコーティング方法は、甘味料コーティング段階S30の実行後に、溶媒内に含まれた水分を乾燥させる乾燥段階をさらに含んでもよいことはもちろんである。この際、上述した甘味料物質を水とエタノールの混合溶媒を使ってコーティングする場合、前記乾燥段階の乾燥温度は、約70℃~110℃であることが好ましい。
【0058】
上記のような方式を通じて甘味料コーティング溶液を組成する場合、甘味料コーティング溶液に含まれた甘味料組成物の重量が甘味料コーティング溶液の総重量に対して3%を超過した場合(具体的に約3%~40%、より具体的に約5%~30%)にも、甘味料組成物の沈殿、チップペーパーのカール発生、印刷されたデザインのインキ広がりまたはインキ脱落などの問題なく、十分な甘味料物質が含有された甘味料コーティング層をチップペーパーに均一に塗布できる。
【0059】
以下、実施例と比較例を通じて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明する。しかし、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
<比較例1>
塩、サッカリンナトリウム、トマチンおよびクエン酸を混合溶解して、チップペーパーコーティングのための甘味料コーティング溶液を製造した。甘味料組成物の溶解には、エタノールベースの溶媒が使用され、約20%の甘味料組成物と約80%の溶媒を使用した。
【0061】
<比較例2>
甘味料組成物の溶解に水ベースの溶媒が使用された点を除いて、比較例1と同じ甘味料コーティング溶液を製造した。
【0062】
<実施例1>
甘味料組成物の溶解に水とエタノールの混合溶媒が使用された点を除いて、比較例1と同じ甘味料コーティング溶液を製造した。
【0063】
[実験例1:甘味料コーティング溶液の溶解性の評価]
溶媒による甘味料組成物の溶解性を確認するために、比較例1と2および実施例1それぞれに対する甘味料コーティング溶液を目視で観察した。
【0064】
図4は、甘味料物質の不完全溶解による沈殿生成を目視で確認できる写真であり、図4は、製造後に約5分が経過した甘味料コーティング溶液の様子を示す。
【0065】
図4を参照すると、水とエタノールの混合溶媒が使用された実施例1の甘味料コーティング溶液は、製造後に約5分が経過した後にも、沈殿物および不完全溶解物質が観察されず、これによって、甘味料組成物が前記混合溶媒に十分に溶解して、チップペーパーの不均一なコーティング、甘味料物質の析出問題が発生しないことが予測された。
【0066】
これとは異なって、エタノールベースの溶媒が使用された比較例1の甘味料コーティング溶液は、溶解性の不十分による濁った不完全溶解物質が目視で観察され、写真上で明確に表現されていないが、溶液の下層には沈殿物質が成す沈殿層も発生したことが分かった。水ベースの溶媒が使用された比較例2の甘味料コーティング溶液は、比較例1の溶液と比べて溶解性に優れ、沈殿物も、目視で観察されないが、溶解性が少し不十分で、溶液透明性が若干落ちることを確認できた。
【0067】
<比較例3>
スクラロースおよびクエン酸からなる甘味料組成物をOPコーティング溶液に混合して、デザイン印刷が完了した喫煙物品のチップペーパーにOPコーティングを行った。
【0068】
<実施例2>
スクラロースおよびクエン酸からなる約20%の甘味料組成物と約80%の水とエタノールの混合溶媒を使ってチップペーパーコーティングのための甘味料コーティング溶液を製造して、デザイン印刷およびOPコーティングが完了した喫煙物品のチップペーパーを甘味料コーティングした。比較例3と同量の甘味料組成物が使用され、甘味料組成物の組成上の相違点を除いて実施例1と同じ甘味料コーティング溶液を使用した。
【0069】
<実施例3>
実施例1の甘味料コーティング溶液を使って実施例2と同じ方式で喫煙物品のチップペーパーを甘味料コーティングした。
【0070】
<実施例4>
スクラロースおよびフェニル酢酸からなる甘味料組成物が使用された点を除いて、実施例3と同じ方式で喫煙物品のチップペーパーを甘味料コーティングした。
【0071】
<実施例5>
クエン酸および塩からなる甘味料組成物が使用された点を除いて、実施例3と同じ方式で喫煙物品のチップペーパーを甘味料コーティングした。
【0072】
[実験例2:甘味料物質コーティングによる喫煙官能の評価]
甘味料コーティング方式および甘味料物質の組成による官能特性改質効果性を確認するために、実施例および比較例それぞれに対するタバコ味以外に味覚満足度、唇触感満足度および異臭味特性に対する官能評価を実施した。官能特性評価は、実施例および比較例によって製造されたシガレットそれぞれを利用して22人の評価パネルを対象に1日に1回4日間ランダムで実施し、合計7点満点を基準とした。
【0073】
表1は、比較例3および実施例2~5によって製造された喫煙物品の喫煙官能評価結果を示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1に示されたように、実施例2~5の甘味料コーティングシガレットの全部において、比較例3の甘味料コーティングシガレットと比べて優れた味覚および触感満足度と異臭味低減効果が示されたことを確認できた。
【0076】
具体的に、スクラロースおよびクエン酸からなる同じ甘味料物質が使用された比較例3および実施例2の官能特性を見るとき、OPコーティング工程段階で甘味料物質をコーティングすることより、水とエタノールベースのコーティング溶液を使ってOPコーティング後に別個に甘味料コーティングを行うことが、すべての官能特性において優れていることを確認でき、これは、油性のOPコーティング溶液に甘味料物質が十分に溶解しなくて、一部析出された微細甘味料粒子によりチップペーパーの表面が荒くなったり、甘味料物質が粒子状に脱落して現れた結果と予測される。
【0077】
なお、同じ方式の甘味料コーティング工程が行われた場合でも、甘味料物質の組成による有意な官能特性の差異が認められることが分かった。具体的に、実施例2~5の官能特性を調べてみるとき、実施例3~5のシガレットが、実施例2のシガレットと比べて優れた特性を示し、特に塩、サッカリンナトリウム、トマチンおよびクエン酸からなる甘味料物質でコーティングされた実施例3のシガレットが、喫煙官能の観点から、最も有利であることを確認できた。
【0078】
本実施形態と関連した技術分野における通常の知識を有する者は、前述した記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で具現できることを理解できる。したがって、開示された方法は、限定的な観点でなく、説明的な観点から考慮しなければならない。本発明の範囲は、前述した説明でなく、特許請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は、本発明に含まれたのと解すべきである。
図1
図2
図3
図4