(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】不燃性ダンボールボード
(51)【国際特許分類】
B32B 3/28 20060101AFI20240214BHJP
B32B 15/14 20060101ALI20240214BHJP
E04C 2/26 20060101ALI20240214BHJP
E04C 2/36 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B32B3/28 B
B32B15/14
E04C2/26 U
E04C2/36 A
(21)【出願番号】P 2019172993
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000138576
【氏名又は名称】株式会社ユナイトボード
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100071098
【氏名又は名称】松田 省躬
(74)【代理人】
【識別番号】100176360
【氏名又は名称】松田 次郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恒太
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-159438(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
E04C 2/00 - 2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の紙シート間にアルミ箔を挿入してなるダンボール構成板
からなるライナーシートの間に、別途前記構成のダンボール構成板を波形にコルゲート成形した中芯紙を挿入し積層して、各コルゲートの凹凸部が両面のダンボール構成板の接面する面と接着してなる、アル
ミ箔層が3層となっている不燃性ダンボールボード
であって、
前記ダンボール構成板の中芯紙と接面する内側の紙シートが、チップボール原紙である、不燃性ダンボールボード。
【請求項2】
2枚の紙シート間にアルミ箔を挿入してなるダンボール構成板
からなるライナーシートの間に、別途前記構成のダンボール構成板を波形にコルゲート成形した中芯紙を挿入し積層して、各コルゲートの凹凸部が両面のダンボール構成板の接面する面と接着してなる、アル
ミ箔層が3層となっている不燃性ダンボールボード
であって、
前記ダンボール構成板の中芯紙と接面する内側の紙シートよりも、外側の紙シートの厚みが薄い、不燃性ダンボールボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンボール板または厚紙間に、アルミニュウム箔等を積層した、不燃性を有して、軽量であるところから運搬、組立てなどの取扱い性にも優れた、フスマ、建具、間仕切り、壁、家具等に使用するダンボールボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無機質繊維断熱材と化粧表皮材の間にアルミニュウム箔を介装した断熱材(特許文献1)、あるいはガラス繊維織物の一側面または両面にアルミニウム箔又はアルミニウム蒸着フィルムを貼合わせたものまたはコーティングしたもの(特許文献2)が存する。これら従来の断熱材は、ダンボールボードに関するものではなく、また、表面にアルミニュウム箔又はフィルムが形成されるため、衝撃、摩擦を受けやすく、損傷をきたすことが多い欠点を有する。そして軽量化に意を用いたものでもない。
【0003】
さらにまた、後者のものの製造は、
図5に示す製造工程においてコーティング液に浸漬する工程を要し、さらにアルミ箔のコーティング層を片面に有するものをローラ移送するので難しく製造に手間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開H03-208632号公報
【文献】特表2015-504379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ダンボール板間または2枚の紙シート間に、アルミニュウム箔を積層することで、不燃性を有し、かつ軽量であるところから運搬、組立てなどの取扱い性に優れた、フスマ、建具、間仕切り、壁、家具等に使用できる不燃ダンボールボードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通常、ダンボール板11は、
図3に示すようにライナーシート12と呼ばれる平坦な紙シート間に、波状に折り曲げたコルゲートと呼ばれる中芯紙13を挟んで積層してある。この中芯紙13とライナーシート12との貼り合わせは、コルゲートの波形の凹凸部と表裏の平坦なライナーシート12との接触部分aを糊付けして行っている。そしてフスマ、間仕切り等の場合、ライナーシート12の表面に、さらに任意のカラーおよび模様の化粧紙を貼り付けて仕上げる。
【0007】
しかしながら、アルミニュウム箔のような薄いシートを、ダンボールボードの成型ライン(
図5参照)に、ダンボールあるいは紙シートからなる中芯紙に代えて挿入し、コルゲート成型することは、強度に対応できず不可能である。そのため、
図4に示すように、フィルム14を中芯紙13に重ね合わせてコルゲート成型することが考えられるが、薄いシート14を波形の凸部bだけでライナーシート12に接着させることは接着不十分となる。
【0008】
そこで本発明は、不燃性であるアルミニュウム箔の薄いシートの表裏を、接着剤を介して紙シートで挟んで積層してダンボール積層板を作成し、さらに前記同様のダンボール積層板をコルゲート成型して中芯紙とし、さらに前記と同様のダンボール積層板で挟み、コルゲート成型した中芯紙のアルミニュウム箔部分ではなく、中芯紙の凹凸部分とを接着して本発明の不燃性ダンボールボードを製作した。
【0009】
以上のように製作することで、コルゲート成型された中芯紙のアルミニュウム箔と紙シートとが全面接着でき、さらに表裏面紙(ライナーシート)の間に積層して通常のダンボールボードの成型ラインと同様に成型することで、中芯紙の凹凸部と表裏のライナーシートとが紙同士の接着となり、強固な接着が行われる。
【発明の効果】
【0010】
ダンボールボードに、アルミニュウム箔層が三重に挿入されるので、十分な不燃性が得られ、さらに、建築材としての反りの対処を十分に図れ、ダンボールは軽量であるため、運搬、組立てなどの取扱い性に優れた建具、間仕切り、壁、家具等用のダンボールボードが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の不燃性ダンボール構成板の断面図である。
【
図2】本発明の不燃性ダンボールボードの断面図である。
【
図4】不燃性ダンボールボードの一考案例の断面図である。
【
図5】ダンボールボードの一般的な製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のダンボールボードの一実施形態について説明する。
図3は、従来から存する通常のダンボール板11の一部断面を示す。
2枚のダンボールからなるライナーシート12と、その2枚のライナーシート12,12間に、波形にコルゲート成形されたダンボール製の中芯13が各波の凹凸部aで表裏ともに接着されて製造される。
【0013】
その他の構造のダンボール板として、前記基本構造の1層のダンボール板に、さらにコルゲートされた中芯13がライナーシートの上に、繰り返し積層される2層、3層と厚くなる多層ダンボール板が存する。
【0014】
図1に、本発明の不燃性ダンボールボードで使用するダンボール構成板1の構造を示す。
ダンボール構成板1は、二枚の紙シート2,3の間に、両面に接着剤を塗布したアルミニュウム箔4を挿入して積層してある。アルミニュウム箔4の両面に塗布する接着剤5には、全面に樹脂ラミネートあるいは希釈溶剤および硬化剤を加えた低密度ポリエチレン系接着剤を使用している。
【0015】
図2に、前記ダンボール構成板1を使用して製作した本発明の不燃性ダンボールボードを示す。
本発明の不燃性ダンボールボードは、前記ダンボール構成板1,1の間に、同様のダンボール構成板1をコルゲート加工した中芯紙6を間に挿入し積層してある。コルゲート加工された中芯紙6は、各凹凸部7で、その両面に積層されるダンボール構成板1,1の紙シート2,3の面と接着して、不燃性ダンボールボードが製造される。
【0016】
ダンボール構成板1を構成する表裏二枚の紙シート2,3は、一方の面を表面(2)とし、他方の面を内側面(3)とするので、内側面シート3は、中芯紙6との接着性を良好とするためにチップ状の紙シートとするのが好ましい。したがって、表裏二枚の紙シートは、中芯紙7側にチップ状の紙シート3が位置するように表面紙シート2と逆向きの層となるように配置するのが良い。
【実施例】
【0017】
基本の構成材となるダンボール構成板1の仕様は表1の通りの配置であり、表面のセルロース紙2および内面のチップボール原紙3とはポリエチレン系接着剤5で接着してある。
【0018】
【0019】
そこで本発明は、不燃性を有するアルミニュウム箔の薄いシートを中芯紙の間に挟んで積層し、積層シートとしてコルゲート成型することで、フィルムと中芯紙の両面紙シートとが全面接着でき、コルゲート成型されたアルミニュウム箔と中芯紙との積層シートを通常のダンボールボードの成型ラインと同様に成型でき、コルゲートされた中芯紙の凹凸部と表裏のライナーシートとが紙同士の接着となり、強固な接着が行なわれる不燃性を有するダンボールボードを製作した。
【0020】
本発明で製作したダンボールボードは、一般財団法人ベターリビングが制定した「防耐火性能試験・評価業務方法書」に規定する「準不燃性能試験・評価方法」に基づき、発熱性試験およびガス有害性試験を行った結果。次のような適合結果を得られた。
(1)発熱性評価試験
一、加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であった。
二、加熱開始後10分間で、裏面まで貫通する防火上有害な亀裂及び穴を生じなかった。
三、加熱開始後10分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えなかった。
【0021】
(2)ガス有害性評価試験
合格基準を満足する次のような結果が得られた。
次の数1の式で求めたマウスの平均行動停止時間(Xs)の値が6.8分以上であった。
【0022】
【0023】
本発明の不燃性ダンボールボードは、内部でアルミニュウム箔4と紙シート2,3とが積層されて全面で接着して中芯紙6となっているので接着性が良く、そしてさらに、中芯紙と表裏のダンボール構成板1,1とで接着するので接着性が良く、また表面を紙シート(ライナーシート)としてあるので成型が容易なものとなっている。
【符号の説明】
【0024】
1 ダンボール構成板
2,3 紙シート
4 アルミ箔
5 接着剤
6 中芯紙
7 凹凸部