(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240214BHJP
H02M 7/497 20070101ALI20240214BHJP
【FI】
H02M7/48 H
H02M7/48 R
H02M7/497
(21)【出願番号】P 2021018095
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】神宮 勲
(72)【発明者】
【氏名】臼木 一浩
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02595302(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/152989(WO,A1)
【文献】特開2018-014046(JP,A)
【文献】特開2019-140738(JP,A)
【文献】特開2010-022175(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の単位変換器を有する主回路部と、
前記複数の単位変換器のそれぞれに制御データを入力することにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記複数の単位変換器のそれぞれは、
一対の端子と、
複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子に並列に接続されたコンデンサと、を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、前記コンデンサの電圧を前記一対の端子間に出力する出力状態と、前記コンデンサの電圧の前記一対の端子間への出力を停止した停止状態と、前記一対の端子間を導通させたバイパス状態と、を切り替える変換回路と、
ソフトウェアを記憶保持する記憶部と、
前記ソフトウェア及び前記制御装置からの前記制御データに基づいて前記複数のスイッチング素子のスイッチングを制御するための制御信号を生成する制御回路と、
前記制御回路で生成された前記制御信号を基に、前記複数のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記複数のスイッチング素子に入力することにより、前記複数のスイッチング素子のオン・オフを切り替える駆動回路と、
前記コンデンサの電力を基に、前記記憶部、前記制御回路、及び前記駆動回路への電力の供給を行う主回路給電部と、
を有し、
前記制御装置は、前記主回路部の動作中に、前記複数の単位変換器のいずれかにソフト変更指令を送信し、
前記制御回路は、前記制御装置からの前記ソフト変更指令の受信に応じて、前記ソフト変更指令を前記駆動回路に送信し、前記駆動回路に前記変換回路を前記バイパス状態に設定させることにより、前記駆動回路の制御を切り離し、
前記制御装置は、前記駆動回路の制御を切り離した前記制御回路に対して、変更後の前記ソフトウェアを送信し、
前記制御回路は、受信した変更後の前記ソフトウェアを前記記憶部に書き込み、変更完了信号を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記変更完了信号の受信に応じて前記複数の単位変換器の別のいずれかに前記ソフト変更指令を送信し、前記ソフトウェアの変更を前記複数の単位変換器のそれぞれに対して順次行うことにより、前記主回路部を動作させながら前記複数の単位変換器の前記ソフトウェアの変更を行
い、
前記駆動回路は、前記ソフト変更指令の受信に応じて前記変換回路を前記バイパス状態に設定した後、前記コンデンサの電圧値が、前記主回路給電部の動作可能な最低電圧まで低下した場合に、前記変換回路を前記停止状態に設定し、前記コンデンサの電圧値が、前記最低電圧よりも高い値に設定された所定電圧に復帰したことに応じて、前記変換回路を再び前記バイパス状態に切り替える電力変換装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記主回路部の停止中に、前記複数の単位変換器の全てにソフト変更指令を送信し、
前記制御回路は、前記制御装置からの前記ソフト変更指令の受信に応じて、前記ソフト変更指令を前記駆動回路に送信し、前記駆動回路に前記変換回路を前記停止状態に設定させることにより、前記駆動回路の制御を切り離し、
前記制御装置は、前記駆動回路の制御を切り離した前記制御回路に対して、変更後の前記ソフトウェアを送信し、
前記制御回路は、受信した変更後の前記ソフトウェアが正常である場合には、受信した変更後の前記ソフトウェアを前記記憶部に書き込み、変更完了信号を前記制御装置に送信し、受信した変更後の前記ソフトウェアが正常ではない場合には、異常終了信号を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記複数の単位変換器の全ての前記制御回路から前記変更完了信号を受信するまで変更後の前記ソフトウェアの送信を繰り返すことにより、前記主回路部の停止中に前記複数の単位変換器の前記ソフトウェアの変更を行う
請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記記憶部は、変更前の前記ソフトウェアを記憶する領域と、変更後の前記ソフトウェアを記憶する領域と、を有し、
前記制御回路は、前記ソフトウェアの変更を行う際に、変更前の前記ソフトウェアを前記記憶部に記憶させたまま、前記記憶部の別の領域に変更後の前記ソフトウェアを書き込み、変更後の前記ソフトウェアが正常に動作していない場合には、変更前の前記ソフトウェアで動作可能である
請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御装置から伝送された光信号を前記複数の単位変換器のそれぞれに分配するとともに、前記複数の単位変換器から伝送されたそれぞれの光信号を合流させて前記制御装置に伝送する光分配器をさらに備えた
請求項1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力から直流電力への変換及び直流電力から交流電力への変換の少なくとも一方を行う主回路部と、主回路部の動作を制御する制御装置と、を備えた電力変換装置が知られている。こうした電力変換装置において、複数台の変換器を直列に接続した多段構成の主回路部とすることが行われている。多段構成の主回路部を備えた電力変換装置は、例えば、交流電力を直流電力に変換して送電する直流送電システムなどに用いられている。
【0003】
各変換器は、複数のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された電荷蓄積素子と、を有する。各変換器は、制御装置から入力される制御信号を基に、各スイッチング素子のスイッチングを制御する。これにより、交流電力から直流電力への変換、あるいは直流電力から交流電力への変換が行われる。
【0004】
また、各変換器は、制御回路と記憶部とを有する。制御回路は、制御装置からの制御信号及び記憶部に書き込まれたソフトウェアに基づいて、各スイッチング素子のスイッチングなどの変換器の各部の動作を制御する。
【0005】
こうした電力変換装置において、機能改善などを目的として各変換器のソフトウェアを変更する場合がある。ソフトウェアの変更は、主回路部の動作に悪影響を与えてしまうことを抑制するため、主回路部の動作を停止させたタイミングで行われている。
【0006】
しかしながら、直流送電システムなどにおいては、主回路部の動作をなるべく停止させないようにすることが求められており、主回路部の動作を停止させたタイミングのみでは、各変換器のソフトウェアを変更できるタイミングが限られてしまう。このため、電力変換装置では、主回路部の動作に悪影響を与えてしまうことを抑制しつつ、主回路部の動作中にも各変換器のソフトウェアを変更できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、主回路部の動作に悪影響を与えてしまうことを抑制しつつ、主回路部の動作中にも各変換器のソフトウェアを変更できる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、直列に接続された複数の単位変換器を有する主回路部と、前記複数の単位変換器のそれぞれに制御データを入力することにより、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記複数の単位変換器のそれぞれは、一対の端子と、複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子に並列に接続されたコンデンサと、を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、前記コンデンサの電圧を前記一対の端子間に出力する出力状態と、前記コンデンサの電圧の前記一対の端子間への出力を停止した停止状態と、前記一対の端子間を導通させたバイパス状態と、を切り替える変換回路と、ソフトウェアを記憶保持する記憶部と、前記ソフトウェア及び前記制御装置からの前記制御データに基づいて前記複数のスイッチング素子のスイッチングを制御するための制御信号を生成する制御回路と、前記制御回路で生成された前記制御信号を基に、前記複数のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記複数のスイッチング素子に入力することにより、前記複数のスイッチング素子のオン・オフを切り替える駆動回路と、前記コンデンサの電力を基に、前記記憶部、前記制御回路、及び前記駆動回路への電力の供給を行う主回路給電部と、を有し、前記制御装置は、前記主回路部の動作中に、前記複数の単位変換器のいずれかにソフト変更指令を送信し、前記制御回路は、前記制御装置からの前記ソフト変更指令の受信に応じて、前記ソフト変更指令を前記駆動回路に送信し、前記駆動回路に前記変換回路を前記バイパス状態に設定させることにより、前記駆動回路の制御を切り離し、前記制御装置は、前記駆動回路の制御を切り離した前記制御回路に対して、変更後の前記ソフトウェアを送信し、前記制御回路は、受信した変更後の前記ソフトウェアを前記記憶部に書き込み、変更完了信号を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記変更完了信号の受信に応じて前記複数の単位変換器の別のいずれかに前記ソフト変更指令を送信し、前記ソフトウェアの変更を前記複数の単位変換器のそれぞれに対して順次行うことにより、前記主回路部を動作させながら前記複数の単位変換器の前記ソフトウェアの変更を行い、前記駆動回路は、前記ソフト変更指令の受信に応じて前記変換回路を前記バイパス状態に設定した後、前記コンデンサの電圧値が、前記主回路給電部の動作可能な最低電圧まで低下した場合に、前記変換回路を前記停止状態に設定し、前記コンデンサの電圧値が、前記最低電圧よりも高い値に設定された所定電圧に復帰したことに応じて、前記変換回路を再び前記バイパス状態に切り替える電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態では、主回路部の動作に悪影響を与えてしまうことを抑制しつつ、主回路部の動作中にも各変換器のソフトウェアを変更できる電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る単位変換器を模式的に表すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る電力変換装置の別の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、主回路部20と、光分配器40と、制御装置50と、を備える。電力変換装置10は、交流端子21a~21cを介して、交流の電力系統1に接続される。電力変換装置10は、例えば、変圧器2を介して電力系統1に接続される。電力系統1は、例えば、三相または単相の50Hz若しくは60Hzの電源、負荷および交流送電線を備える構成とすることができる。電力変換装置10は、直流端子21d、21eを介して、直流回路3に接続される。直流回路3は、例えば、直流送電線等を含む。以下では、電力変換装置10は、三相の電力系統1に連系されるものとする。
【0014】
電力変換装置10は、電力系統1と直流回路3との間に接続されて、交流と直流との双方向の電力変換を行うことができる。但し、電力変換装置10による電力の変換は、交流から直流又は直流から交流の一方向のみでもよい。
【0015】
電力変換装置10では、制御装置50および光分配器40は、光ファイバケーブル60を介して接続され、相互にデータを伝送する。光分配器40および主回路部20は、光ファイバケーブル42を介して接続され、相互にデータを伝送する。つまり、制御装置50は、光ファイバケーブル60、光分配器40および光ファイバケーブル42を介して、主回路部20と相互にデータを伝送することができる。
【0016】
主回路部20は、絶縁架台26上に設置されている。絶縁架台26、光分配器40および制御装置50は、同一の設置面4に載置されることができる。絶縁架台26は、絶縁性の材料によって形成されており、主回路部20は、光分配器40および制御装置50から電気的に絶縁されている。絶縁架台26、光分配器40および制御装置50が載置される設置面4上は、ほぼ同電位であることを意味し、物理的に異なる面であってもよい。例えば、絶縁架台26および光分配器40は、建屋の2階の制御室の床面に載置され、制御装置50は、同一の建屋の1階の床面に載置される等であってもよい。
【0017】
主回路部20は、三相交流の各相に対応した複数のアーム22を含む。アーム22は、直流端子21d、21e間で直列に接続されている。
【0018】
直流端子21d、21e間で直列に接続されるアーム22には、バッファリアクトル24がそれぞれ直列に接続されている。バッファリアクトル24は、上下のアーム22間に瞬時的な短絡電流が流れることを抑制する。バッファリアクトル24のタップは、交流端子21a~21cにそれぞれ接続されている。
【0019】
各アーム22は、直列に接続された複数の単位変換器30を有する。以下の説明では、単位変換器30は、1つのアーム22にM個直列接続されているものとする(Mは2以上の整数)。各アーム22において、直列接続される単位変換器30の台数は、例えば、100台以上である。各アーム22の単位変換器30の台数は、例えば、100台~120台程度である。但し、直列接続される単位変換器30の台数は、これに限ることなく、任意の台数でよい。
【0020】
各アーム22に設けられる単位変換器30の台数は、実質的に同じである。例えば、多数の単位変換器30が接続される場合には、主回路部20の動作に影響のない範囲において、各アーム22に設けられる単位変換器30の台数が異なってもよい。例えば、1つのアーム22に100台の単位変換器30を直列に接続する場合、別のアーム22に設ける単位変換器30の台数は、1~2台異なってもよい。
【0021】
光分配器40は、光ファイバケーブル60を介して、制御装置50の伝送回路52に接続されている。光分配器40は、単位変換器30と光ファイバケーブル42を介して接続されている。光分配器40は、制御装置50から伝送された光信号を、単位変換器30に対応する光ファイバケーブル42によって、複数の単位変換器30のそれぞれに分配する。光分配器40は、複数の単位変換器30から伝送されたそれぞれの光信号のデータを1つの光信号のデータに合流させることによって、実質的にシリアルデータとし、制御装置50に伝送する。
【0022】
光分配器40は、主回路部20の近傍に設置することができる。そのため、光ファイバケーブル42は、主回路部20内に敷設される程度の長さとすることができる。制御装置50は、主回路部20および光分配器40から十分離れた場所に設置することができる。例えば、制御装置50は、光分配器40および主回路部20の設置場所とは異なる建屋や階に設置されていてもよい。光ファイバケーブル42の長さは、光ファイバケーブル60の長さよりも十分短くすることができる。これにより、例えば、各単位変換器30の数に応じた複数の光ファイバケーブル42を直接的に制御装置50に接続する場合と比べて、光ファイバケーブルの合計の長さを短くすることができる。これにより、コストの低減を図ることができる。
【0023】
但し、電力変換装置10は、必ずしも光分配器40を備えていなくてもよい。例えば、各単位変換器30の数に応じた複数の光ファイバケーブル42を直接的に制御装置50に接続する構成としてもよい。このように、光分配器40は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0024】
制御装置50は、伝送回路52を有する。伝送回路52は、光ファイバケーブル60に接続されている。伝送回路52は、制御装置50の他の部分で生成されたシリアルデータを光信号に変換し、光ファイバケーブル60、光分配器40、及び光ファイバケーブル42を介して主回路部20に伝送する。シリアルデータは、単位変換器30に対応する制御データを含んでいる。伝送回路52は、主回路部20から受信したデータを電気信号に変換して、制御装置50の他の部分に供給する。制御装置50の他の部分では、次の制御データを生成するための処理等を実行する。
【0025】
図2は、実施形態に係る単位変換器を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、単位変換器30は、一対の端子31a、31bを有する。単位変換器30は、端子31a、31bによって、他の単位変換器30等と直列接続される。単位変換器30は、伝送回路32と、制御回路33と、駆動回路34と、変換回路35と、主回路給電部36と、電圧検出器37と、記憶部38と、を有する。
【0026】
変換回路35は、複数のスイッチング素子35S1、35S2と、ダイオード35D1、35D2と、コンデンサ35Cと、を有する。スイッチング素子35S1、35S2は、直列に接続されている。ダイオード35D1、35D2は、スイッチング素子35S1、35S2にそれぞれ逆並列に接続されている。コンデンサ35Cは、スイッチング素子35S1、35S2の直列回路に並列に接続されている。
【0027】
変換回路35は、複数のスイッチング素子35S1、35S2のスイッチングにより、コンデンサ35Cの電圧を一対の端子31a、31b間に出力する出力状態と、コンデンサ35Cの電圧の一対の端子31a、31b間への出力を停止した停止状態と、一対の端子31a、31b間を導通させたバイパス状態と、を切り替える。
【0028】
この例では、上側のスイッチング素子35S1をオフ状態、下側のスイッチング素子35S2をオン状態とすることにより、変換回路35をバイパス状態とすることができる。停止状態とは、スイッチング素子35S1、35S2をいずれもオフ状態とした状態である。停止状態は、例えば、ゲートブロック状態などと呼ばれる場合もある。
【0029】
スイッチング素子35S1、35S2は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の自己消弧型の半導体スイッチである。スイッチング素子35S1、35S2は、駆動回路34から供給される駆動信号によって駆動され、コンデンサ35Cを充放電する。
【0030】
変換回路35は、上述のようなハーフブリッジ構成の回路に限らず、スイッチング素子を4つ用いたフルブリッジ構成の回路であってもよい。変換回路35の複数のスイッチング素子の数は、2つに限ることなく、4つ以上などでもよい。
【0031】
伝送回路32は、光分配器40の一対の入出力に光ファイバケーブル42を介して接続されている。伝送回路32は、光分配器40から出力される単位変換器30のステーション番号およびそのステーション番号に対応する制御データ等を含む光信号を受信して、電気信号に変換する。変換された電気信号は、制御回路33に供給される。ステーション番号は、単位変換器30を特定するための番号であり、例えば、単位変換器30ごとに一連番号があらかじめ付与されている。ステーション番号とは、換言すれば、主回路部20に設けられた複数の単位変換器30を識別するための識別情報である。
【0032】
制御回路33には、その単位変換器30のステーション番号があらかじめ登録されている。制御回路33は、伝送回路32から供給された電気信号に含まれるデータを解釈して、自己のステーション番号に一致する制御データ(第1データ)を取得する。制御データには、例えば、スイッチング素子35S1、35S2を駆動するための位相データ等が含まれている。制御回路33は、制御データにもとづいて、スイッチング素子35S1、35S2のスイッチングを制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を駆動回路34に入力する。
【0033】
制御回路33は、単位変換器30に関連して単位変換器30の状態等を表すデータを自己のステーション番号に対応づけて伝送回路32に供給する。このデータは、例えば、コンデンサ35Cの両端の電圧値の測定データである。コンデンサ35Cの電圧値Vcは、電圧検出器37によって計測される。以下では、単位変換器30の状態等を表すデータを変換器データ(第2データ)ということとする。
【0034】
制御回路33は、伝送回路32にデータを供給する場合には、自己のステーション番号xに応じた伝送遅延時間Txを付加して供給する。伝送遅延時間Txは、光分配器40において、制御装置50に伝送するデータを、他の単位変換器30のデータと合流させて、実質的なシリアルデータとするために、他のステーション番号の単位変換器30のデータと重複しないように設定される。伝送遅延時間Txは、例えば、単位変換器30が出力するデータの長さに等しいか、長くなるように設定される。
【0035】
例えば、単位変換器30のステーション番号が、“1”から昇順に設定され、主回路部20から制御装置50に伝送されるシリアルデータにおけるデータの順序がステーション番号の昇順に設定されている場合について説明すると、以下のようになる。
【0036】
自己のステーション番号が“1”の場合には、伝送遅延時間T1=0に設定される。自己のステーション番号が“2”の場合には、伝送遅延時間T2=Twに設定される。Twは、制御回路33が供給するデータの長さにもとづいて設定される。Twは、例えば、制御回路33が供給するデータの長さよりも長く設定されている。自己のステーション番号が“3”の場合には、遅延時間T3=2×Twに設定される。
【0037】
駆動回路34は、制御回路33から供給された制御信号に対してレベル変換などを行うことにより、スイッチング素子35S1、35S2を駆動するための駆動信号を生成する。そして、駆動回路34は、生成した駆動信号を変換回路35のスイッチング素子35S1、35S2に入力することにより、スイッチング素子35S1、35S2のオン・オフを切り替える。
【0038】
主回路給電部36は、コンデンサ35Cから電力の給電を受け、適切な電圧に変換し、伝送回路32、制御回路33、及び駆動回路34などの単位変換器30の各部に供給する。単位変換器30の各部は、主回路給電部36からの電力の供給に基づいて動作する。
【0039】
電圧検出器37は、コンデンサ35Cの電圧値Vcを検出し、検出した電圧値Vcを制御回路33及び駆動回路34に入力する。
【0040】
記憶部38は、制御回路33と接続されている。記憶部38には、単位変換器30の動作を制御するためのソフトウェア38a(プログラム)が書き込まれている。記憶部38は、換言すれば、ソフトウェア38aを記憶保持する。制御回路33は、記憶部38からソフトウェア38aを読み出すことにより、ソフトウェア38aに基づいて単位変換器30の各部の動作を制御する。制御回路33は、ソフトウェア38a及び制御装置50からの制御データに基づいて、複数のスイッチング素子35S1、35S2のスイッチングを制御するための制御信号を生成する。
【0041】
また、制御回路33は、例えば、ソフトウェア38aのバージョンアップの際などに、新たなソフトウェア38aを記憶部38に書き込むことにより、ソフトウェア38aの変更を行う。この際、記憶部38は、変更前のソフトウェア38aを記憶する領域と、変更後のソフトウェア38aを記憶する領域と、を有する。換言すれば、記憶部38は、旧バージョンのソフトウェア38aを記憶する領域と、新バージョンのソフトウェア38aを記憶する領域と、を有する。記憶部38の記憶容量は、例えば、ソフトウェア38aの容量の2倍以上である。
【0042】
制御回路33は、ソフトウェア38aの変更を行う際に、変更前のソフトウェア38aを記憶部38に記憶させたまま、記憶部38の別の領域に変更後のソフトウェア38aを書き込む。これにより、制御回路33は、変更後のソフトウェア38aで動作を開始した後、変更後のソフトウェア38aに異常などが発見された場合に、変更前のソフトウェア38aに戻せるようにする。制御回路33は、変更後のソフトウェア38aが正常に動作していない場合には、変更前のソフトウェア38aで動作可能である。換言すれば、制御回路33は、旧バージョンのソフトウェア38aと新バージョンのソフトウェア38aとを選択的に起動可能とする機能を有する。記憶部38には、例えば、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性のメモリなどが用いられる。
【0043】
なお、記憶部38は、配線などを介して制御回路33と接続される構成に限ることなく、例えば、制御回路33内に組み込まれた構成などでもよい。記憶部38の構成は、制御回路33が、記憶部38からのソフトウェア38aの読み出し、及び記憶部38へのソフトウェア38aの書き込みを行うことが可能な任意の構成でよい。
【0044】
図3は、実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3は、主回路部20の動作中に各単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う場合の電力変換装置10の動作の一例を模式的に表す。主回路部20の動作中とは、より詳しくは、主回路部20が交流から直流又は直流から交流への電力の変換を行っている時である。
【0045】
電力変換装置10の制御装置50は、主回路部20の動作中に各単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う場合、まず、複数の単位変換器30のいずれかにソフト変更指令を送信する(
図3のステップS101)。この際、ソフト変更指令を送信する単位変換器30の台数は、1台でもよいし、2台以上でもよい。例えば、6つのアーム22に対して1台ずつ、計6台の単位変換器30に対して同時にソフト変更指令を送信してもよい。
【0046】
単位変換器30の制御回路33は、制御装置50からのソフト変更指令の受信に応じて、駆動回路34にソフト変更指令を送信する(
図3のステップS201)。
【0047】
駆動回路34は、ソフト変更指令を受信すると、変換回路35をバイパス状態に設定する(
図3のステップS301)。
【0048】
駆動回路34は、変換回路35をバイパス状態に設定した後、電圧検出器37によって検出されたコンデンサ35Cの電圧値Vcが、予め設定された最低電圧まで低下したか否かを判定する(
図3のステップS302)。最低電圧は、例えば、主回路給電部36による単位変換器30の各部への給電が可能な電圧である。換言すれば、最低電圧は、主回路給電部36の動作可能な最低の電圧である。
【0049】
駆動回路34は、コンデンサ35Cの電圧値Vcが最低電圧まで低下したと判定した場合には、変換回路35を停止状態に設定する(
図3のステップS303)。停止状態においては、スイッチング素子35S1に逆並列に接続されたダイオード35D1を介して、端子31a、31b間の主回路側の電圧により、コンデンサ35Cを充電することができる。
【0050】
駆動回路34は、変換回路35を停止状態に設定した後、電圧検出器37によって検出されたコンデンサ35Cの電圧値Vcが、最低電圧よりも高い値に設定された所定電圧に復帰したか否かを判定する(
図3のステップS304)。
【0051】
駆動回路34は、コンデンサ35Cの電圧値Vcが、所定電圧に復帰するまで、変換回路35を停止状態とする。そして、駆動回路34は、コンデンサ35Cの電圧値Vcが、所定電圧に復帰したと判定したことに応じて、変換回路35を再びバイパス状態に切り替える。これにより、コンデンサ35Cの電圧値Vcが、過電圧状態となってしまうことを抑制することができる。
【0052】
このように、単位変換器30では、制御回路33から駆動回路34にソフト変更指令を送信することで、駆動回路34が、コンデンサ35Cの電圧値Vcを監視する動作を行う。換言すれば、駆動回路34が、主回路給電部36の動作を維持できるようにスイッチング素子35S1、35S2のスイッチングを行う。これにより、制御回路33を駆動回路34の制御から切り離すことができる。コンデンサ35Cの電圧値Vcが最低電圧を下回り、主回路給電部36からの給電が停止してしまったり、コンデンサ35Cの電圧値Vcが過電圧となってコンデンサ35Cが故障してしまったりすることを、制御回路33による制御を必要とすることなく行うことができる。
【0053】
制御装置50は、駆動回路34の動作を切り離した単位変換器30の制御回路33に対して、変更後のソフトウェア38aを分割して送信する(
図3のステップS102)。制御装置50は、ソフトウェア38aの全体を送信した後、送信完了指令を制御回路33に送信する。
【0054】
この際、この例では、複数の単位変換器30のいくつかのソフトウェア38aの更新を順次行っていく構成であるため、複数の単位変換器30において、変更前のソフトウェア38aと変更後のソフトウェア38aとが共存することとなる。従って、この例において変更可能なソフトウェア38aは、変更前のソフトウェア38aとの共存が可能なバージョンのソフトウェア38aである。変更後のソフトウェア38aは、変更前のソフトウェア38aと共存可能である。
【0055】
制御回路33は、送信完了指令を基に、制御装置50から分割して送信される変更後のソフトウェア38aの受信が完了したか否かを判定する(
図3のステップS202)。
【0056】
制御回路33は、変更後のソフトウェア38aの受信が完了したと判定すると、変更後のソフトウェア38aを正常に受信できたか否かを判定する(
図3のステップS203)。制御回路33は、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)チェックなどにより、受信したソフトウェア38aが正常か否かを判定する。
【0057】
制御回路33は、受信したソフトウェア38aが正常ではないと判定した場合には、異常終了信号を制御装置50に送信する(
図3のステップS204)。また、制御回路33は、受信したソフトウェア38aが正常ではないと判定した場合には、受信したソフトウェア38aを破棄(消去)する。
【0058】
制御装置50は、変更後のソフトウェア38aを分割して送信した後、単位変換器30の制御回路33から異常終了信号を受信したか否かを判定する(
図3のステップS103)。制御装置50は、異常終了信号を受信した場合には、ステップS102の動作に戻り、変更後のソフトウェア38aを制御回路33に再送する。制御装置50及び制御回路33は、ソフトウェア38aを正常に受信できるまで、上記の処理を繰り返す。
【0059】
制御回路33は、受信したソフトウェア38aが正常であると判定した場合には、受信したソフトウェア38aを記憶部38に書き込む(
図3のステップS205)。この際、制御回路33は、前述のように、変更前のソフトウェア38aを記憶部38に記憶させたまま、記憶部38の別の領域に変更後のソフトウェア38aを書き込む。
【0060】
制御回路33は、変更後のソフトウェア38aを記憶部38に書き込んだ後、リセットによる再起動を行う(
図3のステップS206)。これにより、制御回路33は、変更後のソフトウェア38aによる動作を開始する。
【0061】
制御回路33は、再起動を行った後、変更後のソフトウェア38aが正常に動作しているか否かを判定する(
図3のステップS207)。
【0062】
制御回路33は、正常に動作していないと判定した場合には、変更前のソフトウェア38aで再起動を行い、異常終了信号を制御装置50に送信してソフトウェア38aの再送を要求する(
図3のステップS208)。
【0063】
なお、再起動後に変更後のソフトウェア38aに異常が発見された場合には、通信異常などの他に、変更後のソフトウェア38a自体に不具合が含まれている場合も考えられる。従って、再起動後に変更後のソフトウェア38aに異常が発見された場合には、制御装置50に異常を通知し、ソフトウェア38aの変更の処理を中止するようにしてもよい。
【0064】
一方、制御回路33は、正常に動作していると判定した場合には、変更完了信号を制御装置50に送信する(
図3のステップS209)。
【0065】
制御装置50は、単位変換器30の制御回路33から異常終了信号を受信していないと判定した場合に、続けて、変更完了信号を受信したか否かを判定する(
図3のステップS104)。制御装置50は、異常終了信号も変更完了信号も受信していない場合には、ステップS103、S104の処理を繰り返し、異常終了信号又は変更完了信号の受信を待機する。
【0066】
制御装置50は、変更完了信号の受信に応じて、単位変換器30の制御回路33に解除指令を送信する(
図3のステップS105)。
【0067】
単位変換器30の制御回路33は、変更完了信号を送信した後、解除指令を受信したか否かを判定する(
図3のステップS210)。
【0068】
制御回路33は、制御装置50からの解除指令の受信に応じて、駆動回路34に解除指令を送信する(
図3のステップS211)。この後、制御回路33は、制御装置50からの制御データを基に、スイッチング素子35S1、35S2のスイッチングを制御する通常動作に復帰する(
図3のステップS212)。
【0069】
駆動回路34は、制御回路33から解除指令が入力されるまで、コンデンサ35Cの電圧値Vcを監視する動作を継続する(
図3のステップS301~S305)。
【0070】
駆動回路34は、制御回路33からの解除指令の入力に応じて、制御回路33からの制御信号を基に、スイッチング素子35S1、35S2を駆動する通常動作に復帰する(
図3のステップS306)。
【0071】
制御装置50は、上記の処理を全ての単位変換器30に対して順次行うことにより、主回路部20を動作させながら各単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う(
図3のステップS106)。
【0072】
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、制御装置50が、主回路部20の動作中に、複数の単位変換器30のいずれかにソフト変更指令を送信する。制御回路33は、制御装置50からのソフト変更指令の受信に応じて、ソフト変更指令を駆動回路34に送信し、駆動回路34に変換回路35をバイパス状態に設定させることにより、駆動回路34の制御を切り離す。制御装置50は、駆動回路34の制御を切り離した制御回路33に対して、変更後のソフトウェア38aを送信する。制御回路33は、受信した変更後のソフトウェア38aを記憶部38に書き込み、変更完了信号を制御装置50に送信する。制御装置50は、変更完了信号の受信に応じて複数の単位変換器30の別のいずれかにソフト変更指令を送信し、ソフトウェア38aの変更を複数の単位変換器30のそれぞれに対して順次行うことにより、主回路部20を動作させながら複数の単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う。
【0073】
これにより、本実施形態に係る電力変換装置10では、主回路部20の動作に悪影響を与えてしまうことを抑制しつつ、主回路部20の動作中にも各単位変換器30のソフトウェア38aを変更することができる。
【0074】
図4は、実施形態に係る電力変換装置の別の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図4は、主回路部20の動作停止中に各単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う場合の電力変換装置10の動作の一例を模式的に表す。主回路部20の動作停止中とは、より詳しくは、主回路部20が交流から直流又は直流から交流への電力の変換を行っていない時である。
【0075】
電力変換装置10の制御装置50は、主回路部20の動作停止中に各単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う場合、まず、全ての単位変換器30にソフト変更指令を送信する(
図4のステップS401)。
【0076】
単位変換器30の制御回路33は、制御装置50からのソフト変更指令の受信に応じて、駆動回路34にソフト変更指令を送信する(
図4のステップS501)。
【0077】
駆動回路34は、ソフト変更指令を受信すると、変換回路35を停止状態に設定する(
図4のステップS601)。この際、主回路部20の動作を停止させている場合には、主回路部20側からコンデンサ35Cの充電を行うことができない。従って、主回路部20の動作を停止させている場合には、制御装置50及び各単位変換器30の制御回路33は、コンデンサ35Cの一回の放電期間中に全ての単位変換器30のソフトウェア38aの変更を完了させる。
【0078】
駆動回路34は、変換回路35を停止状態に設定した後、上記のようにコンデンサ35Cの電圧値Vcを監視する動作を行ってもよい。例えば、コンデンサ35Cの電圧値Vcが所定電圧以上となる場合には、変換回路35をバイパス状態としてもよい。但し、少しでもコンデンサ35Cの放電を抑制するために、主回路部20の動作を停止させている場合には、
図4に表したように、コンデンサ35Cの電圧値Vcを監視する動作を行わなくてもよい。
【0079】
制御装置50は、駆動回路34の動作を切り離した各単位変換器30の制御回路33に対して、変更後のソフトウェア38aを分割して送信する(
図4のステップS402)。この際、制御装置50は、分割して送信する変更後のソフトウェア38aにバージョン情報を含める。制御装置50は、例えば、分割して送信するソフトウェア38aの各パケットのヘッダなどにバージョン情報を含める。制御装置50は、ソフトウェア38aの全体を送信した後、送信完了指令を制御回路33に送信する。
【0080】
制御回路33は、制御装置50から変更後のソフトウェア38a受信すると、受信したソフトウェア38aに含まれるバージョン情報を基に、受信したソフトウェア38aが最新バージョンか否かを判定する(
図4のステップS502)。
【0081】
制御回路33は、受信したソフトウェア38aが最新バージョンではないと判定した場合には、受信したソフトウェア38aを破棄し、制御装置50からの解除指令の入力を待機する(
図4のステップS503)。
【0082】
一方、制御回路33は、受信したソフトウェア38aが最新バージョンであると判定した場合には、ソフトウェア38aの受信を行い、
図3の例と同様に、送信完了指令を基に、制御装置50から分割して送信される変更後のソフトウェア38aの受信が完了したか否かを判定する(
図4のステップS504)。
【0083】
以下、
図4のステップS505~S511及びステップS403、S404の各処理は、
図3に関して説明したステップS203~S209及びステップS103、S104の各処理と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0084】
制御装置50は、変更完了信号を受信すると、全ての単位変換器30のソフトウェア38aの変更を完了したか否かを判定する(
図4のステップS405)。換言すれば、制御装置50は、全ての単位変換器30の制御回路33から変更完了信号を受信したか否かを判定する。
【0085】
制御装置50は、全ての単位変換器30のソフトウェア38aの変更が完了していないと判定した場合には、ステップS402の処理に戻り、ソフトウェア38aの送信を行う。正常な書き込みを完了していない単位変換器30の制御回路33は、ソフトウェア38aの受信の処理を繰り返す。一方、正常な書き込みを完了している単位変換器30の制御回路33は、ステップS503の処理を実行し、バージョン情報に基づいて受信したソフトウェア38aを破棄する。
【0086】
制御装置50は、全ての単位変換器30のソフトウェア38aの変更が完了したと判定した場合には、全ての単位変換器30の制御回路33に解除指令を送信する(
図4のステップS406)。
【0087】
各単位変換器30の制御回路33は、変更完了信号を送信した後、解除指令を受信したか否かを判定する(
図4のステップS512)。
【0088】
制御回路33は、制御装置50からの解除指令の受信に応じて、駆動回路34に解除指令を送信する(
図4のステップS513)。この後、制御回路33は、制御装置50からの制御データを基に、スイッチング素子35S1、35S2のスイッチングを制御する通常動作に復帰する(
図4のステップS514)。
【0089】
駆動回路34は、制御回路33からの解除指令の入力に応じて、制御回路33からの制御信号を基に、スイッチング素子35S1、35S2を駆動する通常動作に復帰する(
図4のステップS603)。
【0090】
このように、制御装置50及び各単位変換器30の制御回路33は、主回路部20の停止中においては、複数の単位変換器30の全てに対して一斉にソフト変更指令を送信し、複数の単位変換器30の全ての制御回路33から変更完了信号を受信するまで変更後のソフトウェア38aの送信を繰り返すことにより、主回路部20の停止中に複数の単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行う。
【0091】
これにより、主回路部20の停止中においては、ソフトウェア38aの変更を複数の単位変換器30のそれぞれに対して順次行う場合と比べて、より短い時間で複数の単位変換器30のソフトウェア38aの変更を行うことができる。
【0092】
また、この例では、複数の単位変換器30の全てに対して一斉にソフトウェア38aの変更を行うため、ソフトウェア38aの変更を複数の単位変換器30のそれぞれに対して順次行う場合と比べて、変更後のソフトウェア38aの自由度をより高めることができる。この例における変更後のソフトウェア38aは、必ずしも変更前のソフトウェア38aと共存可能で無くてもよい。
【0093】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 電力系統、 2 変圧器、 3 直流回路、 4 設置面、 10 電力変換装置、 20 主回路部、 22 アーム、 24 バッファリアクトル、 26 絶縁架台、 30 単位変換器、 32 伝送回路、 33 制御回路、 34 駆動回路、 35 変換回路、 35C コンデンサ、 35D1、35D2 ダイオード、 35S1、35S2 スイッチング素子、 36 主回路給電部、 37 電圧検出器、 38 記憶部、 38a ソフトウェア、 40 光分配器、 42 光ファイバケーブル、 50 制御装置、 52 伝送回路、 60 光ファイバケーブル