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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/46 20240101AFI20240214BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G05D1/46
B66F9/24 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022079437
(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公開番号】P2023167901
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-52629(JP,A)
【文献】国際公開第2017/157863(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/46
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホバリング可能な複数の無人飛行体と、
有人搬送車と、
管理装置と、を備える誘導システムであって、
前記無人飛行体は、誘導画像を投影する投影部を有し、
前記管理装置は、
施設マップおよび荷役位置を記憶する記憶部と、
前記有人搬送車の位置と、前記荷役位置と、前記施設マップとに基づいて、前記有人搬送車を前記荷役位置に誘導するためのルートを決定するルート決定部と、
前記決定されたルート上における各前記無人飛行体の配置位置を決定する配置決定部と、を有し、
前記複数の無人飛行体は、前記配置位置でホバリングしながら光もしくは画像またはその両方を投影して前記有人搬送車を誘導し、
前記管理装置は、前記有人搬送車のオペレータが前記誘導画像を認識しやすいように、前記有人搬送車の走行速度に応じて前記誘導画像間の距離を調整するよう構成されている
ことを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
前記配置決定部は、前記無人飛行体間の水平距離を調整することにより、前記誘導画像間の距離を伸縮させる
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記誘導画像は、走行方向における長さを調整可能に構成されており、
前記投影制御部は、前記有人搬送車の走行速度に応じて、前記投影部を制御して走行方向における前記誘導画像の長さを調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記投影部は、投影角度を調整可能に構成されており、
前記投影制御部は、前記投影部を制御して投影角度を調整することにより走行方向における前記誘導画像の長さを調整する
ことを特徴とする請求項3に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記配置決定部は、前記複数の無人飛行体の高さが一定になるよう前記配置位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項6】
前記有人搬送車は、複数であって、
前記配置決定部は、前記複数の有人搬送車のルートが重ならないようルートを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記無人飛行体は、さらに、スピーカを有し、
前記管理装置は、さらに、音声制御部を有し、
前記音声制御部は、屈曲位置および前記荷役位置のいずれかまたは両方をスピーカに報知させる
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記音声制御部は、投影をしない前記無人飛行体の前記スピーカによって報知する
ことを特徴とする請求項7に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体と有人搬送車とを備えた誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫内で使用される有人搬送車は、オペレータが操作することで動作するように構成されている。有人搬送車は、例えば、フォークリフトからなる。フォークリフトは、フォークを使って荷役するように構成されている。
【0003】
ところで、ホバリング可能な1つの無人飛行体と、有人搬送車と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備えた誘導システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
無人飛行体は、路面に対して誘導画像を投影するプロジェクタを備えている。誘導画像は、例えば、特定した方向を指し示す矢印であって、有人搬送車の前方の路面に投影される。これにより、有人搬送車を操作中のオペレータは、誘導画像を確認することで、荷役位置に誘導されるように構成されている。
【0005】
ところで、従来の誘導システムでは、1つの無人飛行体が有人搬送車を誘導するので、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-52629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、無人飛行体を使用して有人搬送車を誘導するとともに、オペレータに荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識させることができる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る誘導システムは、
ホバリング可能な複数の無人飛行体と、
有人搬送車と、
管理装置と、を備える誘導システムであって、
無人飛行体は、誘導画像を投影する投影部を有し、
管理装置は、
施設マップおよび荷役位置を記憶する記憶部と、
有人搬送車の位置と、荷役位置と、施設マップとに基づいて、有人搬送車を荷役位置に誘導するためのルートを決定するルート決定部と、
決定されたルート上における各無人飛行体の配置位置を決定する配置決定部と、を有し、
複数の無人飛行体は、配置位置でホバリングしながら光もしくは画像またはその両方を投影して有人搬送車を誘導し、
配置決定部は、有人搬送車のオペレータが誘導画像を認識しやすいように、有人搬送車の走行速度に応じて誘導画像間の距離を調整するよう構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
上記誘導システムは、好ましくは、
配置決定部が、無人飛行体間の水平距離を調整することにより、誘導画像間の水平距離を伸縮させる。
【0010】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理措置が、投影制御部をさらに有し、
誘導画像が、走行方向における長さを調整可能に構成されており、
投影制御部は、有人搬送車の走行速度に応じて、投影部を制御して走行方向における誘導画像の長さを調整する。
【0011】
上記誘導システムは、好ましくは、
投影部が、投影角度を調整可能に構成されており、
投影制御部は、投影部を制御して投影角度を調整することにより走行方向における誘導画像の長さを調整する。
【0012】
上記誘導システムは、好ましくは、
配置決定部が、複数の無人飛行体の高さが一定になるよう配置位置を決定する。
【0013】
上記誘導システムは、好ましくは、
有人搬送車が、複数であって、
配置決定部が、複数の有人搬送車のルートが重ならないようルートを決定する。
【0014】
上記誘導システムは、好ましくは、
無人飛行体が、さらに、スピーカを有し、
管理装置が、さらに、音声制御部を有し、
音声制御部は、屈曲位置および荷役位置のいずれかまたは両方をスピーカに報知させる。
【0015】
上記誘導システムは、好ましくは、
音声制御部が、投影をしない無人飛行体のスピーカによって報知する。
【発明の効果】
【0016】
上記誘導システムは、無人搬送車の走行速度にも対応してオペレータに荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る誘導システムを示し、Aは側面図であり、Bは平面図である。
図2】Aは図1に示された誘導システムの斜視図であり、Bは図2に示された無人飛行体を示す拡大斜視図である。
図3図1に示された誘導システムの機能ブロック図である。
図4】走行速度の変化に対応する複数の無人飛行体と誘導画像とを示す図である。
図5】Aは無人飛行体に投影された光の像の例を示し、Bは無人飛行体に投影された別の光の像の例を示す。
図6】Aは図1Aに示された無人飛行体の高さの別の例を示し、Bは無人飛行体の高さのさらに別の例を示す。
図7図1Aに示された無人飛行体の高さのさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る誘導システムの一実施形態について説明する。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する方向である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る誘導システムSを示し、Aは側面図であり、Bは平面図である。また、図2Aは、図1に示された誘導システムSの斜視図である。図3は、誘導システムSの機能ブロック図である。図1および図2Aに示すように、誘導システムSは、有人搬送車1と、無人飛行体2(2a、2b、2c)と、管理装置3と、を備えている。図1において無人飛行体2は、7つ示されているが、本発明における無人飛行体2の数はこれに限定されない。棚R1には有人搬送車1の搬送対象である荷Wが載置されている。当該荷Wが載置されている位置、または、これから荷Wが載置される位置が、本発明の「載置位置」に相当する。
【0020】
有人搬送車1は、オペレータOによって操作されるフォークリフトであるが、単なる一例であって本発明に係る有人搬送車1はこのフォークリフトに限定されない。例えば、自律して動作する無人モードと、オペレータOの操作によって動作する有人モードとを有する有人無人兼用のフォークリフトであってもよい。有人搬送車1は、管理装置3と通信可能に構成されている。
【0021】
有人搬送車1は、車体10と、車体10の前方に配置されたフォーク11と、を備えている。オペレータOは、荷Wをフォーク11によってすくい上げて搬送する。図3に示すように、有人搬送車1は、さらに、位置検出部12を備えている。位置検出部12は、有人搬送車1の位置を検出するとともに、検出した有人搬送車1の位置を管理装置3に送信する。
【0022】
図2Bに示すように、無人飛行体2は、いわゆるドローンと称される飛行体であって、本体20と、本体20の四方に配置された4つのプロペラ21、プロペラ21を回転させる動力部(図示略)と、を備えている。図3に示すように、無人飛行体2は、さらに、飛行制御部22と、記憶部23と、投影部24と、スピーカ25と、を備えている。無人飛行体2は、管理装置3と通信可能に構成されている。
【0023】
飛行制御部22は、無人飛行体2の位置を公知技術によって検出するとともに、プロペラ21の回転を制御し、無人飛行体2を管理装置3から受信した配置位置まで飛行させたり、配置位置でホバリングさせたりする。
【0024】
記憶部23は、無人飛行体2を誘導するための誘導画像Dを記憶している。誘導画像Dは、図1Bに示すように、有人搬送車1が走行する方向を示す第1画像D1と、有人搬送車1が方向転換する位置(本発明の「屈曲位置」に相当)および走行方向を示す第2画像D2と、荷役位置を示す第3画像D3とを含む。以下では、第1、第2および第3画像D1、D2、D3をまとめて誘導画像Dということがある。本発明における「荷役位置」は、有人搬送車1が停止して荷役をする位置を意味する。第1および第2画像D1、D2の矢印は走行方向を示し、第3画像D3の矢印は載置位置の方向を示している。第1、第2および第3画像D1、D2、D3の形状、大きさおよび色は、それぞれ異なっていることが好ましいが、例えば、形状、大きさおよび色のいずれかが異なっていてもよい。本実施形態に係る第1、第2および第3画像D1、D2、D3は、色違いの円と、円の中に配置された色違いの矢印とによって構成されている。
【0025】
記憶部23は、さらに、オペレータOを誘導するための音声Vを記憶している。音声Vは、「○m」、「先を左折です」、「先、目的地です」、「この先、障害物あり」、「ご注意ください」等を含む。
【0026】
投影部24は、本実施形態では、プロジェクタによって構成されている。投影部24は、本体20の下面に配置されており、図1Aおよび図2Aに示すように、誘導画像Dを下方に向かって投影する。本実施形態の投影部24は、投影方向を調整可能に構成されている。投影部24は、投影方向を調整するために、例えば、ジンバルをさらに有してもよい。投影された誘導画像Dは、図1Bに示すように、路面に表示される。
【0027】
スピーカ25は、本体20に配置されており、オペレータOに向かって音声Vを出力する。
【0028】
管理装置3は、例えば、サーバコンピュータであって、不図示の記憶手段および演算手段を有する。記憶手段には、サーバコンピュータを本実施形態に係る管理装置3として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0029】
図3に示すように、管理装置3は、記憶部30と、ルート決定部31と、配置決定部32と、投影制御部33と、音声制御部34と、を備えている。
【0030】
記憶部30は、施設マップ、荷役位置および載置位置を記憶する。施設マップには、棚Rの位置、棚Rの高さ、通行路の位置、障害物の位置が含まれている。また、施設マップには、通行路の幅も記憶されている。本実施形態では、管理装置3は、複数の有人搬送車1を管理しており、記憶部30は、複数の有人搬送車1に係る荷役位置および載置位置を記憶している。
【0031】
ルート決定部31は、有人搬送車1の位置と、荷役位置と、施設マップとに基づいて、有人搬送車1が荷役位置へと向かうルート(以下、単に「ルート」という)を決定する。ルート決定部31は、例えば、有人搬送車1と荷役位置とを結ぶ最短のルートを決定したり、または、オペレータOの過去の走行ルート、通行路の車幅、通行路の状態(段差など)を考慮してルートを決定したりしてもよい。また、ルート決定部31は、複数の有人搬送車1のルートが重ならないようにルートを決定する。ルート決定部31は、例えば、複数の有人搬送車1が走行する時刻を考慮してルートを決定したり、複数の有人搬送車1の現在位置に基づいて、リアルタイムでルートを更新したりしてもよい。
【0032】
配置決定部32は、決定されたルート上における各無人飛行体2の配置位置を決定する。より詳細には、配置決定部32は、ルート上における屈曲位置、荷役位置上方にそれぞれ無人飛行体2を配置するとともに、その他の位置の上方にも無人飛行体2を配置する。また、配置決定部32は、複数の無人飛行体2のホバリング高さH(以下、単に「高さH」という)が一定になるよう配置位置を決定する。無人飛行体2の高さHは、オペレータOの前方の視界を遮らないよう、オペレータOの頭部位置よりも高い方が好ましい。
【0033】
図4は、有人搬送車1の走行速度の変化に対応する複数の無人飛行体2間の水平距離Q1と誘導画像D間の距離Q2とを示す図である。配置決定部32は、有人搬送車1の走行速度に応じて、無人飛行体2間の距離Q1を伸縮させる。すなわち、配置決定部32は、有人搬送車1の走行速度に応じて、各無人飛行体2の配置位置を更新する。図4の縦軸は、有人搬送車1の走行速度を示し、走行速度は、下方に向かって上昇している。配置決定部32は、図4に示すように、有人搬送車1の走行速度が増すごとに、ルート上に配置される無人飛行体2間の距離Q1が広がるよう無人飛行体2を配置させる。これにより、誘導システムSは、誘導画像D間の距離Q2を有人搬送車1の走行速度が増すごとに広げることができ、それによって、オペレータOによる誘導画像Dの視認性を向上させることができる。
【0034】
投影制御部33は、図1Aに示すように、無人飛行体2に図1Bに示された第1、第2および第3画像D1、D2、D3を投影させる。これにより、誘導システムSは、走行方向、屈曲位置および荷役位置をオペレータOに直感的に認識させることができる。
【0035】
投影制御部33は、図1Bに示すように、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、第1、第2および第3画像D1、D2、D3を投影部24に投影させる。第1、第2および第3画像D1、D2、D3の色は互いに異なっているので、誘導システムSは、各位置で表示された誘導画像Dの色によって、オペレータOに屈曲位置、荷役位置を認識させることができ、単に形状を異ならせた誘導画像Dよりも直感的に各位置を認識させることができる。本実施形態では、各位置に対応する第1、第2および第3画像D1、D2、D3が予め無人飛行体2の記憶部23に記憶されているので、投影制御部33は、屈曲位置、荷役位置および他の位置の上方に配置された無人飛行体2の投影部24を制御して、各位置に対応する誘導画像Dを投影させる。
【0036】
投影制御部33は、投影部24の投影角度を調整し、側面視斜め下方に誘導画像Dを投影させ、これにより、走行方向における誘導画像Dの長さを調整する。投影部24は、図4に示すように、走行速度が増すごとに走行方向における誘導画像Dの長さが長くなるように調整し、それによって、有人搬送車1の走行速度変化に応じた適切な誘導画像Dの視認性をオペレータOに提供することができる。なお、投影制御部33は、屈曲位置および荷役位置に配置された無人飛行体2の投影角度は、有人搬送車1の走行速度に関わらず、無人飛行体2の直下に固定してもよく、無人飛行体2の各配置位置に応じて投影角度を調整してもよい。
【0037】
配置決定部32および投影制御部33は、有人搬送車1の走行速度を、例えば、無人飛行体2がカメラを有しそのカメラによって有人搬送車1の走行速度を認識させ認識された走行速度を受信したり、有人搬送車1による走行速度検出を管理装置3が受信したりすることにより認識してもよい。
【0038】
また、投影制御部33は、第1、第2および第3画像D1、D2、D3を走行方向に流れるように周期的に点滅させて、その流れ点滅効果によって有人搬送車1を誘導させてもよい。または、投影制御部33は、第1画像D1のみを流れ点滅させ第2画像D2および第3画像D3は、点灯させておいてもよい。さらに、投影制御部33は、第2および第3画像D3のみを点滅させてもよい。投影制御部33は、このように、第1、第2および第3画像D3全体を特定のパターンで点滅させたり、第1、第2および第3画像D3をそれぞれ異なるパターンで点灯、点滅させたりすることにより、オペレータOに直感的にルートの方向、各位置関係等を認識させることができる。
【0039】
また、投影制御部33は、有人搬送車1の前方数メートルの位置において画像なしスペースQ3を設け、その画像なしスペースQ3上方の無人飛行体2aに投影させない。これは、オペレータOの視線が下方に集中し、オペレータOが前方を認識できなくなることを防止するためである。すなわち、投影制御部33は、画像なしスペースQ3を設けることにより、オペレータOの視線を前方に向かせ、運転中の安全性を向上させる。なお、有人搬送車1が移動することにより画像なしスペースQ3もそれに伴って移動するので、投影制御部33は、画像なしスペースQ3上方内に位置することになった無人飛行体2の投影をさらに停止させる。
【0040】
音声制御部34は、画像なしスペースQ3の上方に配置された無人飛行体2のスピーカ25を制御して、屈曲位置および荷役位置のいずれかまたは両方ならびにその他の情報を、オペレータOに報知させる。報知させる音声Vは、例えば、「15m先を左折です」、「30m先、目的地です」、「この先、障害物あり。ご注意ください」などでもよい。当該音声Vは、記憶部23に記憶されている「○m」、「先を左折です」、「先、目的地です」、「この先、障害物あり。」、「ご注意ください」を適宜組み合わされ生成されてもよい。誘導システムSは、これら音声Vによる報知によって、オペレータOにさらに直感的に屈曲位置、荷役位置などを認識させることができる。
【0041】
図2Aを参照して、配置決定部32によって配置された各無人飛行体2の役割について改めて説明する。有人搬送車1の前方2つの無人飛行体2aは、誘導画像Dを投影せず、音声Vによって有人搬送車1を誘導する。無人飛行体2と屈曲位置との間、および屈曲位置と荷役位置との間に配置された無人飛行体2bは、第1画像D1を投影し、有人搬送車1を誘導する。そして、屈曲位置、荷役位置にそれぞれ配置された無人飛行体2c、2dは、第2および第3画像D2、D3を投影し屈曲位置および荷役位置をそれぞれ示して、有人搬送車1を誘導する。なお、有人搬送車1が無人飛行体2の下方を通過すると、無人飛行体2は、役割を終え、管理装置3によって新たな誘導位置に配置されたり、充電するために所定場所に向かったりしてもよい。
【0042】
上記構成を備えていることにより、誘導システムSは、荷役位置までの距離および方向等をオペレータOに直感的に認識させることができる。しかも、誘導システムSは、誘導画像D間の距離Q2を有人搬送車1の走行速度に応じて調整し、かつ、走行方向における誘導画像Dの長さを調整するので、有人搬送車1の走行速度に関わらず、誘導画像DをオペレータOに適切に認識させることができる。さらに、誘導システムSは、従来の有人搬送車の構成を特に変更することなく運用することができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態に係る誘導システムSについて説明してきたが、本発明に係る誘導システムSは、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態は、以下のように変形してもよく、また、以下変形例と組み合わせて実施してもよい。
【0044】
(1)誘導システムSは、例えば、走行方向における長さの異なる複数の誘導画像Dを有し、当該複数の誘導画像Dから有人搬送車1の走行速度に対応する誘導画像Dを投影してもよく、誘導画像Dの長さの調整方法を特に限定されない。複数の長さの異なる誘導画像Dの選択により誘導画像Dの長さを調整する場合、投影部24は、投影角度を固定されていてもよい。また、誘導システムSは、例えば、投影制御部33によって投影部24の投影角度を調整することにより、誘導画像D間の距離Q2を有人搬送車1の走行速度に応じて調整してもよい。
【0045】
(2)誘導システムSは、図5Aおよび4Bに示すように、第1、第2および第3画像D1、D2、D3の代わりに単純な丸い光の像D4、D5、D6や矢印の光の像D7、D8、D9を誘導画像Dとして、無人飛行体2に投影させてもよい。この場合、誘導システムSは、図5Aおよび4Bに示すように、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、当該光の像の大きさ、色および形状をそれぞれ異ならせてもよい。図5Aおよび図5Bにおいて、光の像D4、D7は走行方向を示し、光の像D5、D8は屈曲位置と走行方向を示し、光の像D6、D9は荷役位置と載置位置とをそれぞれ示している。誘導システムSは、これら光の像などを投影する際にも、走行速度に応じて、無人飛行体2間の距離Q1を調整したり、投影角度を調整したり、投影する誘導画像Dの長さを調整したりすることにより、有人搬送車1の走行速度に応じた誘導画像Dを路面に表示させることができる。
【0046】
(3)誘導システムSは、例えば、図6Aに示すように、無人飛行体2を載置位置の高さに配置してもよい。この場合、配置決定部32は、無人飛行体2が載置位置の高さに配置されるよう配置位置を決定する。または、誘導システムSは、例えば、図6Bに示すように、無人飛行体2をオペレータOの顔の高さと載置位置の高さとを結ぶ直線Lに沿って配置してもよい。この場合、配置決定部32は、無人飛行体2を直線Lに沿う高さに配置されるよう配置位置を決定する。これらのように無人飛行体2を配置することにより、誘導システムSは、載置位置の高さもオペレータOに直感的に認識させることができる。
【0047】
なお、誘導システムSは、このように無人飛行体2の位置を配置した場合、載置位置が低い位置のとき、無人飛行体2によって誘導画像Dが遮られ、誘導画像DをオペレータOに認識させることができない。そこで、誘導システムSは、無人飛行体2の投影部24を下方および上方に誘導画像Dを投影可能に構成され、載置位置の高さが所定高さ以下のとき、投影制御部33によって投影部24を制御して、図7Aに示すように、天井に向かって誘導画像Dを投影させるよう構成されてもよい。所定高さは、例えば、0.5m~1mとしてもよい。この場合、オペレータOは、天井に投影された誘導画像Dによってルートの方向、屈曲位置、荷役位置を認識するとともに、無人飛行体2の高さHによって載置位置の高さを認識することができる。
【0048】
さらに、誘導システムSは、オペレータOの視線が上方に向かい前方を認識できなくなることを防止するために、天井に向かって投影させるとき、図7Bに示すように、画像なしスペースQ3の距離をさらに長く設定してもよい。この場合、例えば、オペレータOの視線の角度を認識する視線認識部をさらに備え、投影制御部33は、オペレータOの視線の角度に基づいて画像なしスペースQ3の距離を調整するよう構成してもよい。視線認識部は、カメラを有し、当該カメラは、例えば、無人飛行体2、有人搬送車1または棚R等に配置されてもよい。また、投影制御部33は、投影対象に応じて、光もしくは画像またはその両方の大きさ、または光もしくは画像またはその両方の形状を決定する。すなわち、投影制御部33は、天井に投影させる誘導画像Dの大きさ、形状を路面に投影させるときと異ならせてもよい。
【0049】
(4)誘導システムSは、有人搬送車1の位置を施設内に設けられたカメラや無人飛行体2に設けたカメラによって認識してもよい。この場合、有人搬送車1は、位置認識部を備えなくてもよい。
【0050】
(5)誘導システムSは、誘導画像Dを、例えば、第1画像D1のみで構成し、屈曲位置および荷役位置に投影された第1画像D1を点滅させることによりオペレータOに屈曲位置および荷役位置を認識させてもよい。さらに誘導システムSは、スピーカ25が発する音声Vをブザー、チャイム等によって構成し、その音声Vによって屈曲位置および荷役位置をオペレータOに報知してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 有人搬送車
10 車体
11 フォーク
12 位置検出部
2 無人飛行体
20 本体
21 プロペラ
22 飛行制御部
23 記憶部
24 投影部
25 スピーカ
3 管理装置
30 記憶部
31 ルート決定部
32 配置決定部
33 投影制御部
34 音声制御部
D1 第1画像
D2 第2画像
D3 第3画像
H ホバリング高さ
L 直線
O オペレータ
Q1 無人飛行体間の水平距離
Q2 誘導画像間の距離
Q3 画像なしスペース
R 棚
S 誘導システム
V 音声
W 荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7