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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】生体モニター装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018183366
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020049063
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村田 史郎
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】石井 哲
【審判官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0298718(US,A1)
【文献】特表2008-531209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体のバイタル情報を表示するスポットチェックに用いる生体モニター装置であって、
前記生体モニター装置の表示部には、前記生体の少なくとも2種類の前記バイタル情報が個別に表示される複数の表示領域が形成され、
各表示領域は、測定された前記生体の前記バイタル情報を数値として表示する数値表示部と前記バイタル情報の前記測定が完了した後に前記測定の完了を報知するタブ部とを有し、
前記各表示領域の前記タブ部の、上端または下端が前記表示領域の上端または下端に位置し、前記タブ部は、各数値表示部の配列に沿って前記数値表示部に対応付けて一列に配置されている、生体モニター装置。
【請求項2】
生体のバイタル情報を表示する生体モニター装置であって、
前記生体モニター装置の表示部には、前記生体の少なくとも2種類の前記バイタル情報が個別に表示される複数の表示領域が横一列に形成され、
各表示領域は、測定された前記生体の前記バイタル情報を数値として表示する数値表示部と前記バイタル情報の前記測定が完了した後に前記数値表示部の上側で前記測定の完了を報知するタブ部とを有し、
前記各表示領域の前記タブ部は、各数値表示部の配列に沿って前記数値表示部に対応付けて横一列に配置され、
前記表示部の表示を制御する表示制御部は、前記タブ部に前記測定される前記バイタル情報の種類を文字によって表示させ、前記バイタル情報の前記測定が完了するまでは前記文字を点灯または点滅させ、前記測定が完了し、前記バイタル情報の前記測定にエラーがなければ、前記タブ部の前記文字以外の部分を点灯または点滅させて、前記数値表示部に測定された前記生体の前記バイタル情報を数値として表示させ、前記バイタル情報の前記測定にエラーがあれば、前記タブ部の前記文字を表示させるものの前記数値表示部には前記バイタル情報を数値として表示させない、生体モニター装置。
【請求項3】
前記各表示領域の前記数値表示部に表示される数字の色と前記タブ部の色とは同一の色である、請求項1または2に記載の生体モニター装置。
【請求項4】
前記タブ部は、各表示領域の幅方向に延びるように設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の生体モニター装置。
【請求項5】
前記各表示領域は、前記測定される前記バイタル情報の種類の数に応じて、それぞれの表示面積が変更される、請求項1から4のいずれかに記載の生体モニター装置。
【請求項6】
前記全ての表示領域は前記表示部内に表示される、請求項1から5のいずれかに記載の生体モニター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧などの生体のバイタル情報の測定の完了を視認性良く表示できる生体モニター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、手術後の患者またはカテーテルの治療後の患者のベッドサイドに、ベッドサイドモニターと言われる生体モニター装置を設置し、患者の容態の変化を常時監視することが行われている。
【0003】
一方、容態が回復しつつある患者はベッドサイドモニターによる常時監視は必要ないものの、血圧などの患者のバイタル情報を定期的にチェックする必要がある。このため、最近では、定期的に病室を巡回する看護師などの医療従事者が、スポットチェックモニターと言われる生体モニター装置を用いて患者のバイタル情報を測定し、電子カルテに送信するということが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-194996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、医療従事者は、病室を忙しく巡回しながら複数の患者のバイタル情報を測定するため、どの患者のバイタル情報の測定が完了したのかを、生体モニター装置の表示を見ただけでは認識し難い。生体モニター装置には測定が完了したバイタル情報、測定中のバイタル情報が数値表示されるようになっている。そのため、測定が完了したのか、測定中であるのかは、その数値表示をしっかりと見なければならず、一目で感覚的にわかるものではない。
【0006】
そこで、本発明は、血圧などの生体のバイタル情報の測定の完了を視認性良く表示できる生体モニター装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための生体モニター装置は、生体のバイタル情報を表示するスポットチェックに用いる生体モニター装置であって、生体モニター装置の表示部には、生体の少なくとも2種類のバイタル情報が個別に表示される複数の表示領域が形成され、各表示領域は、測定された生体のバイタル情報を数値として表示する数値表示部とバイタル情報の測定が完了した後に測定の完了を報知するタブ部とを有し、各表示領域のタブ部の、上端または下端が表示領域の上端または下端に位置し、タブ部は、各数値表示部の配列に沿って数値表示部に対応付けて一列に配置されている。
上記目的を達成するための他の生体モニター装置は、生体のバイタル情報を表示する生体モニター装置であって、生体モニター装置の表示部には、生体の少なくとも2種類のバイタル情報が個別に表示される複数の表示領域が横一列に形成され、各表示領域は、測定された生体のバイタル情報を数値として表示する数値表示部とバイタル情報の測定が完了した後に数値表示部の上側で測定の完了を報知するタブ部とを有し、各表示領域のタブ部は、各数値表示部の配列に沿って数値表示部に対応付けて横一列に配置され、表示部の表示を制御する表示制御部は、タブ部に測定されるバイタル情報の種類を文字によって表示させ、バイタル情報の測定が完了するまでは文字を点灯または点滅させ、測定が完了し、バイタル情報の測定にエラーがなければ、タブ部の文字以外の部分を点灯または点滅させて、数値表示部に測定された生体のバイタル情報を数値として表示させ、バイタル情報の測定にエラーがあれば、タブ部の文字を表示させるものの数値表示部にはバイタル情報を数値として表示させない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の生体モニター装置によれば、患者のバイタル情報の測定が完了すると、数値表示部に数値が表示されることに加えて、数値表示部の配列に沿って一列に配列されているタブ部に測定の完了が表示される。このため、患者のバイタル情報の測定の完了が視認性良く表示される。特に、タブ部は、一列に配列されているので、全てのバイタル情報の測定が完了すると、全ての表示領域のタブ部が一斉にその完了を報知するので、一目で感覚的に測定の完了を認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1の生体モニター装置の外観図である。
図2】実施形態1の生体モニター装置の制御部のブロック図である。
図3】実施形態1の生体モニター装置の動作フローチャートである。
図4】実施形態1の生体モニター装置の測定前の表示部を示す図である。
図5】実施形態1の生体モニター装置の測定完了時の表示部を示す図である。
図6】実施形態1の生体モニター装置の測定完了後の表示部を示す図である。
図7】実施形態1の生体モニター装置の一部の測定が未完了である時の表示部を示す図である。
図8】実施形態2の生体モニター装置の動作フローチャートである。
図9】実施形態2の生体モニター装置の測定前の表示部を示す図である。
図10】実施形態2の生体モニター装置の測定完了時の表示部を示す図である。
図11】実施形態2の生体モニター装置の測定完了後の表示部を示す図である。
図12】実施形態2の生体モニター装置の一部の測定が未完了である時の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の生体モニター装置の実施形態を、[実施形態1]と[実施形態2]とに分けて説明する。
【0011】
[実施形態1]
<生体モニター装置の構成>
図1は、実施形態1の生体モニター装置の外観図である。生体モニター装置100は、看護師などの医療従事者が病室に持回りやすいように、携帯用のハンドル110を備えている。生体モニター装置100は、その前面側に、患者の非観血血圧(NIBP)、動脈血酸素飽和度(SpO)、脈拍数(SpO-PR)、体温(TEMP)などのバイタル情報を表示する表示部120を備えている。
【0012】
生体モニター装置100の表示部120には、患者の少なくとも2種類のバイタル情報が個別に表示される複数の表示領域130、140、150が形成されている。具体的には、患者の非観血血圧(NIBP)を表示する表示領域130、患者の動脈血酸素飽和度(SpO)および脈拍数(SpO-PR)を表示する表示領域140、患者の体温(TEMP)を表示する表示領域150が形成されている。
【0013】
各表示領域130、140、150は、測定された患者のバイタル情報を数値として表示する数値表示部132、142、152と、バイタル情報の測定が完了した後に測定の完了を報知するタブ部134、144、154を有している。各表示領域130、140、150のタブ部134、144、154は、各数値表示部132、142、152の配列に沿って一列に配置されている。
【0014】
タブ部134、144、154は、それぞれの表示領域130、140、150において、数値表示部132、142、152の上面側に、それぞれの表示領域130、140、150の横幅方向に延びるように設けられている。本実施形態では、タブ部134、144、154の横幅を、各表示領域130、140、150の横幅とはほぼ同じ横幅としている。なお、本実施形態では、タブ部134、144、154を、数値表示部132、142、152の上面側に設けているが、数値表示部132、142、152の下面側に設けても良い。また、タブ部134、144、154の横幅は、各表示領域130、140、150の横幅よりも短くしても良い。また、タブ部134、144、154の上下左右に測定が完了したことを示すタブや表示手段を別途設けてもよい。
【0015】
タブ部134、144、154は、バイタル情報の測定が完了した後に、点灯または点滅する。バイタル情報の測定の完了を報知するためである。タブ部134、144、154には、測定されるバイタル情報の種類が文字によって表示される。具体的には、タブ部134のように、測定されるバイタル情報が患者の非観血血圧であれば「NIBP」という文字が、タブ部144のように、測定されるバイタル情報が患者の動脈血酸素飽和度および脈拍数であれば「SpO」および「SpO-PR」という文字が、タブ部154のように、測定されるバイタル情報が患者の体温であれば「TEMP」という文字が表示される。
【0016】
これらのタブ部134、144、154の文字は、それぞれのバイタル情報の測定が完了するまでは点灯または点滅される。一方、測定が完了した後は、各タブ部134、144、154の文字以外の部分が点灯または点滅される。本実施形態では、各表示領域130、140、150の各数値表示部132、142、152に表示されるそれぞれの数字の色とそれぞれのタブ部134、144、154の色とは同一の色にしている。
【0017】
たとえば、表示領域130の数値表示部132に表示される文字の色がエンジであれば、表示領域130のタブ部134の色(タブ部の文字を含む)もエンジである。また、表示領域140の数値表示部142に表示される文字の色がブルーであれば、表示領域140のタブ部144の色(タブ部の文字を含む)もブルーである。さらに、表示領域150の数値表示部152に表示される文字の色がオレンジであれば、表示領域150のタブ部154の色(タブ部の文字を含む)もオレンジである。
【0018】
なお、各表示領域130、140、150の各数値表示部132、142、152に表示されるそれぞれの数字の色とそれぞれのタブ部134、144、154の色とを異なる色としても良い。また、各タブ部134、144、154の色は、例示したこれらの色に限らず、これら以外の色を用いても良い。各タブ部134、144、154の色は、バイタル情報の測定が完了したことを一目で感覚的に認識できるようにするために、同一色としてもよいし、それぞれ異なる色としてもよい。
【0019】
各表示領域130、140、150は、測定されるバイタル情報の種類の数に応じて、それぞれの表示面積が変更される。本実施形態では、測定されるバイタル情報の種類の数は3であるので、図1に示すように、3つの全ての表示領域130、140、150は、表示部120が3つに分割されて表示部120内に表示される。後述するように、測定されるバイタル情報の種類の数が2つの場合には、2つの表示領域は表示部120が2つに分割されて表示部120内に表示される。測定されるバイタル情報の種類の数が4つ以上の場合にも同様に、表示部120が4つ以上に分割されて表示部120内に表示される。
【0020】
図2は、実施形態1の生体モニター装置100の制御部のブロック図である。生体モニター装置100は、入力インターフェース102、計測部104、表示制御部106、表示部120を有する。
【0021】
入力インターフェース102は、患者の非観血血圧を計測するために患者の腕に巻き付けるカフ(圧力トランスデューサー)160、患者の動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」を測定するために患者の指先に装着するSpOセンサ170、および患者の体温を計測する体温計180を接続し、患者のこれらのバイタル情報を入力する。
【0022】
計測部104は、入力インターフェース102を介して入力した、患者の非観血血圧、患者の動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、患者の体温などのバイタル情報を入力し、悲観血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温を計測する。
【0023】
表示制御部106は、計測部104によって計測された、悲観血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温を、表示部120に表示させるための制御をする。
【0024】
表示部120は、生体モニター装置100に、図1に示したような表示形態で悲観血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」、体温などのバイタル情報を表示させる。
【0025】
<生体モニター装置の動作>
図3は、実施形態1の生体モニター装置100の動作フローチャートである。図4は、実施形態1の生体モニター装置100の測定前の表示部120を示す図である。図5は、実施形態1の生体モニター装置100の測定完了時の表示部120を示す図である。図6は、実施形態1の生体モニター装置100の測定完了後の表示部120を示す図である。図7は、実施形態1の生体モニター装置100の一部の測定が未完了である時の表示部120を示す図である。次に、図4から図7を参照しつつ、生体モニター装置100の動作について説明する。
【0026】
まず、看護師などの医療従事者は、カフ160を患者の腕に巻き付け、SpOセンサ170を患者の指先に装着し、体温計180を患者の脇の下に挟み、患者のバイタル情報の測定を開始する。生体モニター装置100の測定前の表示部120の表示は図4に示す通りである。すなわち、各表示領域130、140、150の各数値表示部132、142、152には、測定前であるので、数値は表示されず、タブ部134、144、154には、バイタル情報の種類を示す文字が、それぞれ決められている色で表示される。バイタル情報の種類を示す文字は、バイタル情報の測定が完了するまでは点灯または点滅される。
【0027】
生体モニター装置100の計測部104は、入力インターフェース102を介して、カフ160の圧力トランスデューサーから患者の非観血血圧を、SpOセンサ170から動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍「SpO-PR」を、そして体温計180から患者の体温をそれぞれ入力する。そして、計測部104は、入力されたこれらのバイタル情報から、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温を測定する(S100)。
【0028】
次に、計測部104は、全てのバイタル情報の測定が完了したか否かを判断する(S101)。測定が完了していなければ(S101:NO)、計測部104は、これらのバイタル情報の計測を継続する。測定が完了していれば(S101:YES)、次に、計測部104は、測定されたバイタル情報に、測定エラーがないかどうかを判断する(S102)。
【0029】
全てのバイタル情報の測定に測定エラーがなければ(S102:YES)、計測部104は、測定された患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温を、表示部120に表示させるように表示制御部106に指令する。表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温の各値を数値によって表示する(S103)。
【0030】
次に、表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO」および脈拍数「SpO-PR」、体温の数値表示部の上に設けられているタブ部を、それぞれ決められている色に着色して表示する(S104)。
【0031】
生体モニター装置100の測定完了時の表示部120の表示は図5に示す通りである。すなわち、各表示領域130、140、150の各数値表示部132、142、152には、測定されたそれぞれのバイタル情報の数値が表示され、タブ部134、144、154の文字以外の部分が、それぞれ決められている色に着色されて、点灯または点滅される。タブ部134、144、154は、各数値表示部132、142、152の配列に沿って一列に配置されているので、患者のバイタル情報の測定の完了が視認性良く表示されることとなり、全てのバイタル情報の測定が完了を、一目で感覚的に認識できる。
【0032】
なお、測定が完了した後には、医療従事者が、患者のバイタル情報を、手動で入力することもできる。たとえば、図6に示すように、体重欄136に患者の体重(weight)85.00を、そして、身長欄138に患者の身長(hight)180.00などが手動で入力できる。このように入力動作を完了させた際には、測定が完了したバイタル情報が消去され、タブ部134、144、154が着色されて表示されなくなる。それにより、医療従事者は、新たな患者においてバイタル情報の測定を開始する際に、既に測定が完了し終えたものと誤認することなく、一目で感覚的に認識できる。
【0033】
一方、いずれかのバイタル情報の測定に測定エラーがあれば(S102:NO)、計測部104は、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」、体温の内の、測定エラーのないものを、表示部120に表示させるように表示制御部106に指令する。表示部120は、表示制御部106の指示により、測定エラーのないもの、たとえば、患者の非観血血圧の最高値および最低値および体温の各値を数値によって表示する(S105)。
【0034】
次に、表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」、体温の数値表示部の上に設けられているタブ部の内の、測定エラーのないもののタブ部を、それぞれ決められている色に着色して表示する。たとえば、患者の非観血血圧の最高値および最低値および体温の数値表示部の上に設けられているタブ部134、154を、それぞれ決められている色に着色して表示する(S106)。
【0035】
生体モニター装置100の一部の測定が未完了である時の表示部120の表示は図7に示す通りである。たとえば、患者の動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の測定に、測定忘れや測定不能などのエラーがあった時には、表示領域130、150に測定されたそれぞれのバイタル情報の数値が表示され、タブ部134、154の文字以外の部分が、それぞれ決められている色に着色されて、点灯または点滅される。
したがって、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の数値表示部142には数値が表示されず、タブ部144には、「SpO2」、「SpO2-PR」の文字が表示されているものの、タブ部144は決められている色に着色して表示されることはない。タブ部134、144、154は、各数値表示部132、142、152の配列に沿って一列に配置されているので、患者のバイタル情報の一部の測定が未完了であると、その一部のタブが着色されて表示されなくなるので、医療従事者は、一部の測定が未完了であることを、一目で感覚的に認識できる。
【0036】
[実施形態2]
次に、実施形態2の生体モニター装置について説明する。実施形態2は、生体モニター装置の表示部に2つの表示領域が設けられる場合の実施形態である。
【0037】
<生体モニター装置の構成>
本実施形態の生体モニター装置の構成は、実施形態1の生体モニター装置100の構成とほぼ同じである。異なっているのは、体温計180が生体モニター装置100に接続されていないことと、患者の体温に関するバイタル情報の表示がされないことである。なお、実施形態2の生体モニター装置の構成は、実施形態1の生体モニター装置100の構成とほぼ同じであるので、実施形態2の生体モニター装置の構成要素の符号は生体モニター装置100構成要素の符号と同一の符号を用いる。
【0038】
<生体モニター装置の動作>
図8は、実施形態2の生体モニター装置の動作フローチャートである。図9は、実施形態2の生体モニター装置の測定前の表示部を示す図である。図10は、実施形態2の生体モニター装置の測定完了時の表示部を示す図である。図11は、実施形態2の生体モニター装置の測定完了後の表示部を示す図である。図12は、実施形態2の生体モニター装置の一部の測定が未完了である時の表示部を示す図である。次に、図9から図12を参照しつつ、生体モニター装置の動作について説明する。
【0039】
まず、表示制御部106は、生体モニター装置100に接続されている機器が、カフ160とSpO2センサ170の2つであることを受けて、表示部120の表示面積をほぼ2分割し、非観血血圧と動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の表示領域を作成する。たとえば、図9に示すように、非観血血圧と動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の表示領域を作成する(S200)。
【0040】
次に、看護師などの医療従事者は、カフ160を患者の腕に巻き付け、SpO2センサ170を患者の指先に装着し、患者のバイタル情報の測定を開始する。生体モニター装置100の測定前の表示部120の表示は図9に示す通りである。すなわち、各表示領域130、140の各数値表示部132、142には、測定前であるので、数値は表示されず、タブ部134、144には、バイタル情報の種類を示す文字が、それぞれ決められている色で表示される。バイタル情報の種類を示す文字は、バイタル情報の測定が完了するまでは点灯または点滅される。
【0041】
生体モニター装置100の計測部104は、入力インターフェース102を介して、カフ160の圧力トランスデューサーから患者の非観血血圧を、SpO2センサ170から動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍「SpO2-PR」をそれぞれ入力する。そして、計測部104は、入力されたこれらのバイタル情報から、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」を測定する(S201)。
【0042】
次に、計測部104は、全てのバイタル情報の測定が完了したか否かを判断する(S202)。測定が完了していなければ(S202:NO)、計測部104は、これらのバイタル情報の計測を継続する。測定が完了していれば(S202:YES)、次に、計測部104は、測定されたバイタル情報に、測定エラーがないかどうかを判断する(S203)。
【0043】
全てのバイタル情報の測定に測定エラーがなければ(S203:YES)、計測部104は、測定された患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」を、表示部120に表示させるように表示制御部106に指令する。表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の各値を数値によって表示する(S204)。
【0044】
次に、表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の数値表示部の上に設けられているタブ部を、それぞれ決められている色に着色して表示する(S205)。
【0045】
生体モニター装置100の測定完了時の表示部120の表示は図10に示す通りである。すなわち、各表示領域130、140の各数値表示部132、142には、測定されたそれぞれのバイタル情報の数値が表示され、タブ部134、144の文字以外の部分が、それぞれ決められている色に着色されて、点灯または点滅される。タブ部134、144は、各数値表示部132、142の配列に沿って一列に配置されているので、患者のバイタル情報の測定の完了が視認性良く表示されることとなり、全てのバイタル情報の測定が完了を、一目で感覚的に認識できる。
【0046】
なお、測定が完了した後には、医療従事者が、患者のバイタル情報を、手動で入力することもできる。たとえば、図11に示すように、体重欄136に患者の体重(weight)85.00を、そして、身長欄138に患者の身長(hight)180.00などが手動で入力できる。このように入力動作を完了させた際には、測定が完了したバイタル情報が消去され、タブ部134、144が着色されて表示されなくなる。それにより、医療従事者は、新たな患者においてバイタル情報の測定を開始する際に、既に完了し終えたものと誤認することなく、一目で感覚的に認識できる。
【0047】
一方、いずれかのバイタル情報の測定に測定エラーがあれば(S203:NO)、計測部104は、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の内の、測定エラーのないものを、表示部120に表示させるように表示制御部106に指令する。表示部120は、表示制御部106の指示により、測定エラーのないもの、たとえば、患者の非観血血圧の最高値および最低値を数値によって表示する(S206)。
【0048】
次に、表示部120は、表示制御部106の指示により、患者の非観血血圧の最高値および最低値、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の数値表示部の上に設けられているタブ部の内の、測定エラーのないもののタブ部を、それぞれ決められている色に着色して表示する。たとえば、患者の非観血血圧の最高値および最低値の数値表示部の上に設けられているタブ部134を、決められている色に着色して表示する(S207)。
【0049】
生体モニター装置100の一部の測定が未完了である時の表示部120の表示は図11に示す通りである。たとえば、患者の動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の測定に、測定忘れや測定不能などのエラーがあった時には、表示領域130に測定されたバイタル情報の数値が表示され、タブ部134の文字以外の部分が、それぞれ決められている色に着色されて、点灯または点滅される。したがって、動脈血酸素飽和度「SpO2」および脈拍数「SpO2-PR」の数値表示部142には数値が表示されず、タブ部144には、「SpO2」、「SpO2-PR」の文字が表示されているものの、タブ部144は決められている色に着色して表示されることはない。タブ部134、144は、各数値表示部132、142の配列に沿って一列に配置されているので、患者のバイタル情報の一部の測定が未完了であると、その一部のタブが着色されて表示されなくなるので、医療従事者は、一部の測定が未完了であることを、一目で感覚的に認識できる。
【0050】
以上、実施形態1および2のように、本発明の生体モニター装置によれば、患者のバイタル情報の測定が完了すると、数値表示部に数値が表示されることに加えて、数値表示部の配列に沿って一列に配列されているタブ部に測定の完了が表示される。このため、患者のバイタル情報の測定の完了が視認性良く表示される。特に、タブ部は、一列に配列されているので、全てのバイタル情報の測定が完了すると、全ての表示領域のタブ部が一斉にその完了を報知するので、一目で測定の完了を認識できるようになる。このため医療従事者は、バイタル情報の測定忘れや測定不良などの測定不良が一目で容易に認識できるようになる。
【符号の説明】
【0051】
100 生体モニター装置、
102 入力インターフェース、
104 計測部、
106 表示制御部、
110 ハンドル、
120 表示部、
130、140、150 表示領域、
132、142、152 数値表示部、
134、144、154 タブ部、
136 体重欄、
138 身長欄、
160 カフ(圧力トランスデューサー)、
170 SpOセンサ、
180 体温計。
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