IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ システム デシュヤージュの特許一覧

特許7436154光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム
<>
  • 特許-光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム 図1
  • 特許-光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム 図2
  • 特許-光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム 図3
  • 特許-光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム 図4
  • 特許-光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュール及び関連する運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240214BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
B60S1/62 120A
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
B05B1/14 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019113013
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2019218049
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】1855402
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ、グラッソ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ、ルソー
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ミシェル、ジャラソン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】メディ、ベルハジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ、ルイ、エラーダ
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003541(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036132(US,A1)
【文献】特開2016-078842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
B60S 1/60
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
に搭載することが意図された光学素子又は光学素子保護装置(3)であって、回転面を有する前記光学素子又は前記保護装置(3)をクリーニングするためのモジュール(5)において、
‐ 前記クリーニングモジュール(5)は、少なくとも1つのリング(51)と少なくとも1つのクリーニング構造体(53)とを含み、記リング(51)は、前記光学素子又は前記保護装置(3)の前記回転面を囲むように構成された少なくとも1つの円弧形状部分を有
前記クリーニング構造体は払拭構造体(53)を含み、前記払拭構造体(53)はOリングを含み、
前記リング(51)は、前記クリーニング構造体が前記回転面に沿った移動を行うように、前記光学素子又は前記保護装置(3)に対して、前記リング(51)の回転軸線(A2)に沿った相対並進運動を伴って可動であるように構成される、
ことを特徴とするモジュール(5)。
【請求項2】
前記クリーニング構造体は、洗浄流体を前記回転面に噴射するように構成された少なくとも1つの流体噴射ノズル(7)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニングモジュール(5)。
【請求項3】
前記リング(51)は、前記少なくとも1つの流体噴射ノズル(7)を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のクリーニングモジュール(5)。
【請求項4】
少なくとも1つの光学素子を含む用の運転支援システム(1)において、前記運転支援システム(1)は、
・ 第1回転軸線(A1)を中心とする少なくとも1つの保護装置回転面であって、保護装置(3)の一部であるとともに、前記少なくとも1つの光学素子又は前記光学素子の一部である光学素子回転面の周囲に配置されるように構成された保護装置回転面と、
・ 請求項1乃至のいずれか一項に記載の対応するクリーニングモジュール(5)であって、リング(51)を含むクリーニングモジュール(5)と、
・ 前記保護装置回転面と前記クリーニングモジュール(5)の前記リング(51)との相対並進運動を、前記リング(51)の第2回転軸線(A2)に沿って生じさせるように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
を更に含むことを特徴とする運転支援システム(1)。
【請求項5】
前記保護装置回転面と前記クリーニングモジュール(5)の前記リング(51)は、相補的な全体形状を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の運転支援システム(1)。
【請求項6】
前記保護装置(3)又は前記光学素子の前記第1回転軸線(A1)と前記クリーニングモジュール(5)の前記リング(51)の前記第2回転軸線(A2)とは、一致する、
ことを特徴とする請求項又はに記載の運転支援システム(1)。
【請求項7】
前記保護装置(3)又は前記光学素子は自動に固定的に装着されるように構成され、前記リング(51)は前記保護装置(3)又は前記光学素子に対して可動的に装着されるように構成される、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の運転支援システム(1)。
【請求項8】
前記リング(51)は自動に固定的に装着されるように構成され、前記保護装置(3)は前記リング(51)に対して可動的に装着されるように構成される、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の運転支援システム(1)。
【請求項9】
‐ 前記運転支援システム(1)は、少なくとも2つの別個の保護装置(3)と、前記保護装置(3)の一にそれぞれ対応する少なくとも2つのクリーニングモジュール()とを含み、前記保護装置(3)はキャップ(11)により相互に接続され、
‐ 前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記少なくとも2つの別個の保護装置(3)が並進運動を同期した態様で行うように、前記キャップ(11)を移動可能であるように配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の運転支援システム(1)。
【請求項10】
前記運転支援システム(1)は、前記光学素子又は前記光学素子保護装置(3)をクリーニングするプロセス(100)を開始するように構成された電子制御ユニットを更に含み、
前記クリーニングプロセス(100)は、
‐ 前記リング(51)と前記保護装置回転面とが前記リング(51)の前記第2回転軸線(A2)に沿って相対移動する間の、第1方向における少なくとも1つの第1クリーニング工程(E1)と、
‐ 前記リング(51)と前記保護装置回転面とが前記リング(51)の前記第2回転軸線(A2)に沿って相対移動する間の、前記第1方向と反対の第2方向における第2クリーニング工程(E2)と、
を含む、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の運転支援システム(1)。
【請求項11】
前記電子制御ユニットは、汚れが前記光学素子により検出されたときに、洗浄液を前記光学素子又は前記保護装置(3)に噴射する工程(E1’)を実行するように、前記少なくとも1つの流体噴射ノズル(7)を制御するように構成される、
ことを特徴とする請求項2又は3と組み合わせた請求項10に記載の運転支援システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転支援の分野に関し、特に自動車両に設置された運転支援システムに関する。
【0002】
運転支援システムは、少なくとも1つの光学素子を含み得る。本発明は、より具体的には、運転支援システムのこの種の光学素子を保護するための装置をクリーニング(清掃、洗浄)するためのモジュールに関する。また、本発明は、光学素子を直接的にクリーニングすることが意図されたクリーニングモジュールに関する。実際に、光学素子には付属の保護装置を有さないものがある。
【背景技術】
【0003】
運転支援システムの光学素子は、道路の景色又は自動車両の周囲環境を判定するように、光学信号を発信及び/又は捕捉するように構成されている。光学信号を捕捉する素子の場合、このような光学素子は、例えば、少なくとも1つのレンズを含むビデオカメラであり得る。また、光学信号を発信及び捕捉する素子の場合、このような光学素子は、ライダー(Light Detection And Ranging:光検出及び測距)技術を利用し得る。
【0004】
現在、多数の自動車両に、駐車を簡単にするように、又は自動車両にある程度の自律性を提供するように、多くの光学素子が設けられている。後者の場合、ライン横断検出器、自動緊急ブレーキシステム、適応型速度調節装置、死角検出装置、又は自律車両等の車両用ライダー技術等を有する機器が非限定的に挙げられる。
【0005】
このような光学素子は、一般に、自動車両の外側、例えば、ルーフ、フロント又はリアウイング、サイドミラー(フェンダーミラー)又は自動車両のフロントガラス側部のピラーのレベルに設置される。したがって、これらの光学素子は、有機物又は無機物の汚れ、例えば埃又は昆虫にひどくさらされ、更には、例えば光学素子の視野及び/又は発光領域に水跡を残し得る悪天候にも、ひどくさらされる。これらは、光学素子の正しい動作、ひいては運転支援システムの正しい動作を損ない得る。
【0006】
駐車を支援するためのビデオカメラ等の光学素子をクリーニングするための多数のモジュールが、従来技術において公知である。例えば、文書US9783167から、洗浄液を運転支援システムの光学素子にその視野のレベルで噴射するためのクリーニングモジュールが知られている。しかしながら、クリーニング作業の後、クリーニングされた面上に残る水滴が運転支援システムを妨害する可能性がある。
【0007】
例えば自動車両の周囲全体の道路の景色を捕捉可能であるように、より多くの運転支援システムが回転面を特徴としており、空気力学や全体サイズを理由として一般に比較的小さい曲率半径、すなわちきつい湾曲を有する。特に、ライダー技術を用いた運転支援システムが挙げられる。
【0008】
しかしながら、従来技術において公知のクリーニングモジュールは、小さい曲率半径を有するこのような回転面をクリーニングするには適していない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、運転支援システムで使用される光学素子の表面、又は光学素子保護装置の表面であって、小さい曲率半径、すなわちきつい湾曲を有するこの種の表面を効果的にクリーニングするためのクリーニングモジュールを提案することによって、上述の従来技術の欠点を少なくとも部分的に軽減することを提案する。
【0010】
前述の目的とは異なる本発明の他の目的は、自動車両が移動中または静止中にクリーニングを効果的且つ簡単に実行できる運転支援システムを提案することである。
【0011】
少なくとも部分的に上述の目的の少なくとも一方を達成するように、本発明は、特に自動車両に搭載することが意図された光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュールにある。光学素子又は保護装置は、回転面を有する。クリーニングすべき表面が保護装置の一部である場合、保護装置の回転面は光学素子の周囲に配置されるように構成される。
【0012】
クリーニングモジュールは、光学素子又は保護装置の回転面を囲むように構成された少なくとも1つのリングを含むとともに、少なくとも1つのクリーニング構造体を含む。
【0013】
好適には、リングは、クリーニング構造体が回転面に沿った移動を行うように、光学素子又は保護装置に対して、リングの回転軸線に沿った相対並進運動を伴って可動であるように構成される。
【0014】
この種のクリーニングモジュールは、小さい曲率半径を有する光学素子又は光学素子を囲む保護装置の効果的なクリーニングを可能とする。実際に、回転面を囲むことが意図されたリングを使用することにより、曲率半径に関連する制約を回避することができる。また、クリーニング構造体の存在により、光学素子の良好な動作を保証するように、回転面に堆積し得る埃や水滴をクリーニングすることが可能となる。
【0015】
本発明によるクリーニングモジュールは、以下の1つ又は複数の特徴を、別個に又は組み合わせて更に有し得る。
【0016】
リングは、少なくとも1つの円弧形状部分を有する。
【0017】
特定の一実施形態において、リングは環形状を有する。
【0018】
リングは、クリーニングすべき回転面に対面して配置されるように構成された内面を有する。
【0019】
一態様において、クリーニング構造体は、洗浄流体を回転面に噴射するように構成された少なくとも1つの流体噴射ノズルを含む。
【0020】
洗浄流体は、圧縮空気又は洗浄液の中から選択され得る。
【0021】
同様に、洗浄流体は、圧縮空気及び洗浄液であり得る。圧縮空気と洗浄液は同時に噴射され得る。特に、同時噴射は別個のノズル、すなわち空気を吹き出す一方のノズルと、洗浄液を噴射する他方のノズルとにより実施され得る。代替的に、圧縮空気の吹付を第1工程において生じさせ、洗浄液を噴射する第2工程がこれに続いてもよい。又は、洗浄液の噴射を第1工程において生じさせ、圧縮空気を吹き付ける第2工程がこれに続いてもよい。
【0022】
少なくとも1つの流体噴射ノズルは、リングから分離していてもよい。
【0023】
代替的に、リングは、前記少なくとも1つの流体噴射ノズルを含む。
【0024】
特定の一実施形態において、クリーニング構造体は払拭構造体を含む。この種の構造体は、回転面の機械的なクリーニングを可能にするという利点を有する。
【0025】
特定の一実施形態において、払拭構造体はOリングを含む。
【0026】
特定の一実施形態において、リングは、光学素子の発光波長及び/又は受光波長を実質的に透過させ得る。
【0027】
変形例において、少なくとも1つの流体噴射ノズルは、リングに装着され得る。リングは、また、払拭構造体を含む。
【0028】
本変形例において、少なくとも1つの流体噴射ノズルと払拭構造体は、リングの内面において互いに隣接して配置され得る。
【0029】
本変形例において、また、少なくとも1つの流体噴射ノズルと払拭構造体は、リングの内面において、互いに接触して配置され得るか、又は互いから離間して配置され得る。
【0030】
一態様において、本発明は、自動車両に搭載することが意図された光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするためのモジュールであって、光学素子が少なくとも1つのセンサ、及び/又は少なくとも1つの光学信号エミッタ及びセンサを含むモジュールに関する。光学素子又は保護装置は、回転面を有する。回転面が保護装置の一部である場合、この表面は、前記少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの光学信号エミッタ及びセンサの周囲に配置されるように構成される。クリーニングモジュールは、回転軸線を有する環状の全体形状を持つ少なくとも1つのリングであって、回転面を囲むように構成されたリングと、好適には払拭構造体である少なくとも1つのクリーニング構造体とを含む。
【0031】
また、本発明は、特に自動車両用の運転支援システムにある。運転支援システムは、少なくとも1つの光学素子を含み、また、
・ 第1回転軸線を中心とする少なくとも1つの回転面であって、保護装置の一部であるとともに、前記少なくとも1つの光学素子又は前記光学素子の一部である前記回転面の周囲に配置されるように構成された回転面と、
・ 上述の対応するクリーニングモジュールであって、リングを含むクリーニングモジュールと、
・ 前記回転面と前記クリーニングモジュールの前記リングとの相対並進運動を、前記リングの第2回転軸線に沿って生じさせるように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
を含む。
【0032】
運転支援システムは、以下の1つ又は複数の特徴を、別個に又は組み合わせて更に有し得る。
【0033】
特定の一実施形態において、回転面とクリーニングモジュールのリングは、相補的な全体形状を有し得る。
【0034】
一態様において、回転面は円筒形状を有し得るとともに、クリーニングモジュールのリングは環形状を有し得る。
【0035】
本態様において、保護装置又は光学素子の第1回転軸線とクリーニングモジュールのリングの第2回転軸線とは、一致し得る。
【0036】
光学素子は、光学センサ、又は光学エミッタに結合された光学センサの中から選択され得る。
【0037】
特定の一実施形態において、運転支援システムは、自動車両の別の物体からの離間距離を測定するようにレーザービームを発光すること、及び受信したエコーを検出することに対応するライダー技術を含む。
【0038】
第1態様において、保護装置又は光学素子は自動車両に固定的に装着されるように構成され、リングは保護装置又は光学素子に対して可動的に装着されるように構成される。
【0039】
本第1態様において、少なくとも1つのアクチュエータは、リングが、
‐ リングが車体要素と同一平面にある、又は車体要素の内部に収容される格納位置と、
‐ リングが車体要素に対して突出する配備位置と、
の間で移動するように構成される。
【0040】
第2態様において、リングは自動車両に固定的に装着されるように構成され、保護装置はリングに対して可動的に装着されるように構成される。
【0041】
本第2態様において、少なくとも1つのアクチュエータは、保護装置が、
‐ 保護装置が少なくとも部分的に車体要素の外部に配置される作動位置と、
‐ 保護装置が少なくとも部分的に車体要素の内部に収容される、及び/又はリングに対面する非作動位置と、
の間で移動するように構成される。
【0042】
他の態様において、運転支援システムは、少なくとも2つの別個の保護装置と、各保護装置に対応する少なくとも2つのクリーニングモジュールと、を有する。
【0043】
保護装置は、キャップにより相互に接続され得る。
【0044】
少なくとも1つのアクチュエータは、例えば、保護装置の並進運動を同期した態様で制御するように、キャップを移動可能であるように配置される。
【0045】
本変形例において、少なくとも1つのアクチュエータは、キャップの実質的に中央に配置され得る。
【0046】
本変形例において、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも2つの保護装置が、同期した態様でそれらの作動位置とそれらの非作動位置との間で移動するように構成され得る。
【0047】
少なくとも1つのアクチュエータは、空気式、電気式、更に又は磁気式アクチュエータの中から選択され得る。
【0048】
一態様において、クリーニング構造体は、保護装置の回転面の払拭時に、少なくとも1つの光学素子の視野に配置されるように構成される。
【0049】
運転支援システムは、光学素子又は光学素子保護装置をクリーニングするプロセスを開始するように構成された電子制御ユニットを更に含み得る。前記クリーニングプロセスは、
‐ 前記リングと前記回転面とが前記リングの前記第2回転軸線に沿って相対移動する間の、第1方向における少なくとも1つの第1クリーニング工程と、
‐ 前記リングと前記回転面とが前記リングの前記第2回転軸線に沿って相対移動する間の、前記第1方向と反対の第2方向における第2クリーニング工程と、
を含む。
【0050】
一態様において、車両が停止しているときに、保護装置をクリーニングするプロセスは、第1クリーニング工程中の保護装置のその作動位置からその非作動位置への相対移動であってこれにより保護装置が少なくとも部分的に車体要素の内部に入る相対移動、及び、次いで第2クリーニング工程中のその非作動位置からその作動位置への相対移動であってこれにより保護装置がその作動位置に復帰する相対移動により開始され得る。
【0051】
別の態様において、車両が移動しているときに、保護装置又は光学素子をクリーニングするプロセスは、保護装置又は光学素子を最初にクリーニングするための第1クリーニング工程中のリングのその格納位置からその配備位置への相対移動、次いで保護装置又は光学素子を2回目にクリーニングするための第2クリーニング工程中のその配備位置からその格納位置への相対移動により開始され得る。
【0052】
電子制御ユニットは、光学素子が汚れを検出したときに、洗浄流体を光学素子又は保護装置に噴射する工程を実行するように、少なくとも1つの流体噴射ノズルを制御するように構成され得る。
【0053】
一態様において、洗浄流体を噴射する工程は、第1払拭工程と同時に実行され得る。
【0054】
本発明の他の特徴及び利点は、非制限的な例としてなされる以下の説明及び添付図面からより明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】運転支援システムの概略部分斜視図。
図2】クリーニングプロセス中の、特定の一実施形態による運転支援システムの概略斜視図。
図3】特定の一実施形態による運転支援システムのクリーニングモジュールの概略斜視図。
図4図1及び2の実施形態の変形例による運転支援システムの概略斜視図。
図5図1、2及び4の運転支援システムの光学素子の保護装置をクリーニングする方法の種々の工程を示すチャート。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面中の同一要素には同じ参照符号を付す。
【0057】
以下の実施形態は例示されたものである。1つ以上の実施形態について言及されるが、これは必ずしも各言及が同じ実施形態に関すること、又は特徴が1つの実施形態のみに適用されることを意味しない。異なる実施形態の単一の特徴は、他の実施形態を提供するように等しく組み合わせる及び/又は入れ替えることが可能である。
【0058】
以下の説明において、保護装置の第1及び第2端部、第1及び第2回転軸線、第1及び第2払拭/クリーニング工程について言及がなされる。このような順番付けは、単に似ているが同一ではない要素を区別して示すためのものである。また、このような順番付けは、運転支援システムを構成する種々の要素の配置を評価するための、又はこの運転支援システムをクリーニングするプロセスの展開を評価するための、時間的な順序を意味するものでもない。
【0059】
運転支援システム
図1及び2を参照すると、特に自動車両用の運転支援システム1が部分的に示されている。運転支援システム1は、
‐ 少なくとも1つの光学素子と、
‐ 少なくとも1つの保護装置3と、
‐ 各保護装置3について対応するクリーニングモジュール5と、
‐ 少なくとも1つのアクチュエータ(図示せず)と、
を含む。
【0060】
光学素子は、例えば道路の景色を捕捉して送信するビデオカメラ等の光学センサ、又は、例えば自動車両の別の物体からの離間距離を測定するようにレーザービームを発光すること、及び受信したエコーを検出することに対応するライダー技術のような光学エミッタに結合された光学センサ、更に又はこれらの素子を組み合わせたものの中から選択され得る。光学素子は、対応する保護装置3に収納されることが意図されている。
【0061】
また、運転支援システム1は、共通の保護装置3に収納され得る複数の光学素子を含み得る。これらの光学素子は、自動車両の周囲全体の種々の道路景色を捕捉するように、それぞれの視野が異なる方向に配向されるように配置され得る。
【0062】
したがって、光学素子は、光学素子の部品の個数及び種類に応じて異なる視野角を有し得る。好適には、各光学素子の視野角は、60°乃至360°(60°および360°を含む)である。この種の光学素子を有した状態で、運転支援システム1は、例えば自律車両に搭載され得る。
【0063】
保護装置3は、第1回転軸線A1を中心とする回転面を含む。特に砂利や昆虫等の無機物又は有機物起源の個体要素が浴びせられることにより光学素子が被り得る劣化から光学素子を保護するように、この回転面は光学素子の周囲に配置されるように構成される。
【0064】
保護装置3は、例えば円筒状の全体形状を有する。この特定の実施形態において、保護装置3は、例えば50mm乃至350mm(50mm及び350mmを含む)、特に250mm乃至300mm(250mm及び300mmを含む)であり得る高さHを有する。また、保護装置3は、例えば60mm乃至210mm(60mm及び210mmを含む)の半径Dを有する。しかしながら、大型及び/又は多数の光学素子であって単一の保護装置3によって保護される光学素子を保護するように、保護装置3は最大で800mmの直径を有してもよい。図示しない変形例によれば、保護装置3は、他の幾何学的形状を有し得る。
【0065】
図3にクリーニングモジュール5の一実施形態をより詳細に示す。クリーニングモジュール5は、第2回転軸線A2を有する少なくとも1つのリング51を含む。図1及び2に示すように、リング51は、保護装置3を囲むように構成されている。したがって、クリーニングモジュール5は、保護装置3の回転面のいかなる形状にも適合され得る。
【0066】
この特定の実施形態において、保護装置3とリング51は、相補的な全体形状を有する。リング51は、保護装置3に対面配置することが意図された内面51aを有する。また、保護装置3の第1回転軸線A1とリング51の第2回転軸線A2とは、例えば一致する。
【0067】
クリーニングモジュール5は、クリーニング構造体を含む。好適には、このクリーニング構造体は、払拭構造体53である。払拭構造体53は、リング51の内面51aに設けられている。
【0068】
払拭構造体53は、保護装置3をクリーニングするプロセス100(図5)の少なくとも一部において保護装置3の回転面を払拭するように、保護装置3に接触配置されるように構成される。この種のクリーニングプロセス100を以下に詳述する。払拭構造体53によって保護装置3の回転面を払拭することにより、回転面上に存在するあらゆる汚れが除去され得る。払拭は、リング51と保護装置3との相対移動中に、より具体的には、以下に説明するように、リング51の第2回転軸線A2に沿った相対並進運動中に実施され得る。したがって、保護装置3は、その回転面の形状がどのようなものであっても効果的にクリーニングされ得るため、運転支援システム1は正しく動作し続ける。
【0069】
図1乃至図3の特定の実施形態において、リング51は、保護装置3の円筒形状に適合し得るように、円弧形状の、より具体的には環状の少なくとも一部分を有する。より具体的には、リング51は直径D’を有する。リング51と保護装置3との間の相対移動における応力を制限しつつ保護装置3の効果的なクリーニングを可能とするように、リング51の直径D’は、保護装置3の直径Dより顕著に大きい。より具体的には、リング51の直径D’は、払拭構造体53と保護装置3の回転面との間の接触を十分に確保する。したがって、保護装置3の曲率半径がどのようなものであっても、より具体的には曲率半径が小さい場合でも、保護装置3の効果的なクリーニングが可能となる。
【0070】
払拭構造体53は、この払拭構造体53が後述のクリーニングプロセス100中に払拭することを要求される保護装置3の回転面の形状に相補的な全体形状を有する。図3の特定の実施形態において、払拭構造体53は、Oリングを含む。図示しない他の変形例において、払拭構造体53は、他の材料から構成され得る、又は異なる形状を有し得る。
【0071】
払拭構造体53は、保護装置3の回転面の払拭中に、少なくとも1つの光学素子の視界に配置されることが意図されている。したがって、運転支援システム1が正しく動作するように、払拭構造体53は、保護装置3の外面を、好適には光学素子の視野全体に亘ってクリーニングする。したがって、払拭構造体53は、リング51の内面51aの一部に亘って延び得る。図3の特定の実施形態において、払拭構造体53は、リング51の内面51aの周囲全体に亘って延びている。これは、光学素子が360°の視野を有している場合でも有していない場合でも、保護装置3の全周をクリーニング可能とするためである。
【0072】
図1の特定の実施形態において、クリーニングモジュール5、より具体的にはリング51は、保護装置3が突出する自動車両の車体要素9と同一平面にあるように配置される。
【0073】
クリーニングモジュール5は、洗浄流体を保護装置3の回転面に吹き付けるように構成された少なくとも1つの流体噴射ノズル7を含むクリーニング構造体を含み得る。
【0074】
図3に示すように、好適には、クリーニング構造体は、払拭構造体53と少なくとも1つの流体噴射ノズル7とを含む。
【0075】
実際に、回転面上のしつこい汚れ又はこびりついた汚れの場合、払拭構造体53によって保護装置の回転面を払拭することに関連する機械的作用だけでは十分でない場合がある。したがって、保護装置3の外面からこのようなしつこい又はこびりついた汚れの除去に寄与するための圧縮空気又は洗浄液等の洗浄流体の使用に頼ることが可能である。より具体的には、圧縮空気を利用することにより、保護装置3の回転面に吹き付けられる空気流の強さと、払拭構造体53による回転面の払拭において回転面から汚れを除去しやすくするように汚れを湿らすための洗浄液の使用とによって、このような汚れが除去され得る。
【0076】
圧縮空気の吹付と洗浄液の噴射は同時であってもよい。又は、圧縮空気の吹付を第1工程において生じさせ、洗浄液を噴射する第2工程がこれに続いてもよい。又は、洗浄液の噴射を第1工程において生じさせ、圧縮空気を吹き付ける第2工程がこれに続いてもよい。
【0077】
図3の特定の実施形態において、少なくとも1つの流体噴射ノズル7がリング51に組み込まれる。少なくとも1つの流体噴射ノズル7は、矢印F2で示すように、洗浄流体をリング51の第2回転軸線A2の方向に噴射するような態様で配置される。
【0078】
この特定の実施形態において、リング51は、少なくとも1つの流体噴射ノズル7を含む。しかしながら、図示しない変形例において、少なくとも1つの流体噴射ノズル7は、リング51に装着されてもよい、すなわち、リング51の内部に設置される追加要素であってもよい。
【0079】
またこの特定の実施形態において、少なくとも1つの流体噴射ノズル7と払拭構造体53は、直接接触した状態で、又はしない状態で、リング51の内面51aにおいて、互いに隣接して配置される、すなわち並んで配置される。
【0080】
図示しない代替例において、少なくとも1つの流体噴射ノズル7は、リング51から分離していてもよい。より具体的には、少なくとも1つの流体噴射ノズル7は、自動車両の外部に配置され得るとともに、クリーニングプロセス100において保護装置3の回転面に洗浄流体を噴射し得るような態様で配向され得る。
【0081】
また、少なくとも1つのアクチュエータは、クリーニングモジュール5のリング51と保護装置3との間の相対並進運動を生じさせるように構成される。この相対並進運動は、リング51の第2回転軸線A2に対して平行な方向である。この相対並進運動により、保護装置3をクリーニングするプロセス100(図5を参照して説明する)の実行が可能となる。より具体的には、リング51と保護装置3との相対並進運動は、図1及び2に示す矢印F1の方向である。したがって、この相対移動において、払拭構造体53は、保護装置3の第1回転軸線A1に対して平行に移動することによっても、保護装置3の回転面を払拭する。このような並進運動は、保護装置3の回転面の曲率半径に適応したものであるため、保護装置3の効果的なクリーニングが保証される。
【0082】
アクチュエータは、空気式アクチュエータ、電気式アクチュエータ、更に又は磁気式アクチュエータの中から選択され得る。このようなアクチュエータは、比較的安価であり比較的全体サイズが小さく、且つ自動車両に容易に組み込むことができる。
【0083】
第1実施形態
第1実施形態において、保護装置3は矢印F1の方向において並進運動可能である一方、クリーニングモジュール5のリング51は固定されている。より具体的には、図1の実施形態において、例えば、リング51は車体要素9と同一平面にあるように配置される。
【0084】
この特定の第1実施形態において、クリーニングプロセス100が実行されるとき、保護装置3は、特にアクチュエータによって、作動位置(図1)と非作動位置(図示せず)との間で移動可能である。
【0085】
作動位置において、図1に示すように、保護装置3は、少なくとも部分的に車体要素9の外部に配置される。保護装置3が作動位置にあるとき、保護装置3の内部に配置された光学素子は、道路の景色又は自動車両の周囲環境の景色を捕捉可能である。より具体的には、保護装置3は、自動車両の車体要素9から突出し得る。したがって、保護装置3は、第1端部31aと、第1端部31aの反対側の第2端部31bとを有する。第2端部31bは、車体要素9に可能な限り近く配置される。第1端部31aは、車体要素9に対して突出し、第2端部31bから離れて延びる。
【0086】
保護装置3が非作動位置にあるとき、保護装置3は、少なくとも部分的に車体要素9の内部に収容される、及び/又は少なくとも部分的にリング51に対面する。保護装置3が非作動位置にあるとき、保護装置3の内部に収容された光学素子による自動車両の周囲の道路の景色の捕捉は、もはや不可能である。
【0087】
したがって、この第1実施形態は、自動車両が例えば信号待ちで停止中、又は駐車中にクリーニングプロセス100を実行する場合に特に適している。
【0088】
第2実施形態
図2に示す第2実施形態において、保護装置3は固定的に装着されることが意図され、クリーニングモジュール5の少なくとも1つの要素は矢印F1の方向において並進運動可能に装着される。例えば、リング51は、矢印F1の方向において並進運動可能に装着される。
【0089】
保護装置3は、少なくとも部分的に自動車両の車体要素9の外部に配置されるように固定され得る。これにより、保護装置の内部に配置された光学素子は、道路の景色又は自動車両の周囲環境の景色を捕捉可能である。より具体的には、保護装置3は、自動車両の車体要素9から突出し得る。したがって、保護装置3は、第1端部31aと、第1端部31aの反対側の第2端部31bとを有する。第2端部31bは、車体要素9に可能な限り近く配置される。第1端部31aは、車体要素9に対して突出して配置され、第2端部31bから離れて延びる。
【0090】
本第2実施形態において、クリーニングプロセス100が実行されるとき、リング51は、特にアクチュエータによって、格納位置と配備位置との間で移動可能である。リング51が格納位置にあるとき、リング51は例えば車体要素9と同一平面にあるか、又は車体要素9の内部に収納され得る。リング51がその配備位置にあるとき、リング51は車体要素9から突出する。より具体的には、その配備位置の移動端部は、例えば当接部を形成し得る保護装置3の第1端部31aにより画定される。
【0091】
したがって、リング51が格納位置と配備位置との間で移動するとき、リング51は保護装置3の外面全体を払拭する。
【0092】
本第2実施形態において、リング51及び払拭構造体53は、ライダー技術の光学素子に対応する光学素子の発光波長及び/又は受光波長を実質的に透過させる。払拭構造体53が保護装置3の回転面を払拭する際に、光学素子が機能を継続できれば非常に有利である。したがって、自動車両の移動中又は停止中に運転支援システム1の正確な動作を妨げることなく、クリーニングプロセス100を実行することができる。実際に、クリーニングプロセス100においてリング51が保護装置3の高さHを超えて移動しても、運転支援システム1を構成する光学素子からの光学信号の受光又は発光は、妨げられない。
【0093】
第1又は第2実施形態の変形例
図4に示す変形例において、運転支援システムは、図1及び2を参照して説明した保護装置3を少なくとも2つ更に含み得る。保護装置3は互いから独立し、互いから距離をおいて配置され、それぞれ1つの光学素子、又は一組の光学素子を保護することを目的としている。これらの保護装置3は、キャップ11により相互に接続され得る。本変形例において、運転支援システム1は、また、各保護装置3に対応付けられたクリーニングモジュール5を含む。
【0094】
上述のように、各クリーニングモジュール5は、払拭構造体53及び/又は少なくとも1つの流体噴射ノズル7を有するクリーニング構造体を含み得る。好適には、これらのクリーニングモジュール5は、図3に示すとともにこれを参照して説明したクリーニングモジュール5と同じ構造を有する。
【0095】
第1実施形態の変形例において、リング51は固定され、保護装置3は並進運動可能であり、アクチュエータは、保護装置3の移動を同期した態様で行う、更に又は同時に行うように、キャップ11を移動する態様で配置され得る。保護装置3は、作動位置と非作動位置との間で、各リング51の第2回転軸線A2に対して平行な軸線に沿って、すなわち矢印F1の方向において、並進運動し得る。上記と同じく、保護装置3の作動位置は、保護装置3が少なくとも部分的に車体要素9の外部にある配置に対応する。非作動位置は、保護装置3が少なくとも部分的に車体要素9の内部にある、及び/又は少なくとも部分的にリング51に対面する配置に対応する。
【0096】
特に、保護装置3がそれらの作動位置とそれらの非作動位置との間で同時に移動可能であるように、アクチュエータはキャップ11の実質的に中央に配置され得る。
【0097】
保護装置3をクリーニングするためのプロセス100は、自動車両の停止中に実行され得る。
【0098】
第2実施形態の変形例において、保護装置3及びキャップ11は固定され得るとともに、リング51が可動とされ、アクチュエータは、後述のクリーニングプロセス100を実行するように、クリーニングモジュール5のリング51を保護装置3に対してリング51の第2回転軸線A2に沿って移動させるように構成され得る。
【0099】
運転支援システム1(図1、2及び4に示す)は、電子制御ユニット(図示せず)を更に含み得る。電子制御ユニットは、保護装置3を又は各保護装置3をクリーニングするためのプロセス100を開始するように構成される。電子制御ユニットは、少なくとも1つの保護装置3上の汚れを検出可能であるように構成され得る少なくとも1つの光学素子に接続され得る。
【0100】
クリーニングプロセス
図5を参照すると、図1、2及び4を参照して説明した保護装置3をクリーニングするプロセス100における種々の工程を概略的に示すチャートが示されている。
【0101】
クリーニングプロセス100は、保護装置3と対応するクリーニングモジュール5のリング51(図1、2及び4)との間の相対移動により実施される少なくとも2つの払拭工程E1、E2を含む。相対移動は、リング51の第2回転軸線A2に対して平行な方向である。第1払拭工程E1において、移動は第1方向において実施され得る。第2払拭工程E2において、移動は、第1方向と反対の第2方向において実施され得る。
【0102】
例えば、第1払拭工程E1は、保護装置3のその作動位置からその非作動位置への移動に対応する、又はリング51のその格納位置からその配備位置への移動に対応する。逆に、第2払拭工程E2は、保護装置3のその非作動位置からその作動位置への移動に対応する、又はリング51のその配備位置からその格納位置への移動に対応する。したがって、クリーニングプロセス100において、保護装置3の回転面は、払拭構造体53(図3)によって少なくとも2回払拭される。復帰移動によるこのような払拭により、洗浄流体の使用を必ずしも必要とすることなく保護装置3がクリーニングされる。これにより、とりわけ、少なくとも1つのクリーニングモジュール5の作動コストを制限することが可能となる。
【0103】
選択的に、クリーニングプロセス100は、保護装置3の回転面上の汚れの存在を検出する工程E0を含み得る。この検出工程E0は、第1払拭工程E1の前に実施され得る。検出工程E0は、光学素子により実行され得る。光学素子により捕捉された画像は、例えば電子制御ユニットにより処理され得る。これにより、電子制御ユニットにより捕捉された画像の処理結果に応じて、クリーニングプロセス100を開始する、又はしないことが可能である。
【0104】
これに代えて又は追加して、検出工程E0は、第1及び第2払拭工程E1及びE2の後に実行され得る。この検出工程E0により、第2払拭工程E2の後に、保護装置3の回転面上の汚れの存在が検出され得る。依然として汚れが検出される場合、電子制御ユニットは、クリーニングプロセス100を繰り返すことを命令し得る。この繰り返し工程には、洗浄流体を保護装置3の外面に噴射する追加の工程E1’が含まれ得る。この目的のために、電子制御ユニットは、洗浄流体を噴射するこの工程E1’を実行するように、少なくとも1つの流体噴射ノズル7を制御するように構成される。洗浄流体を噴射するこの工程E1’は、例えば、第1払拭工程E1と同時に実施され得る。
【0105】
クリーニングプロセス100が1回反復された後の検出工程E0において、保護装置3の回転面に依然として汚れが検出された場合、保護装置3の回転面に残るよごれを除去しやすくするように、電子制御ユニットは、場合により第1及び第2払拭工程E1とE2との間に洗浄流体を噴射する工程E1’を用いて、クリーニングプロセス100の繰り返しを開始することができる。
【0106】
本明細書で説明するクリーニングプロセス100は、特に、運転支援システム1が、図1乃至3を参照して説明した少なくとも1つのクリーニングモジュール5を含む場合に実行され得る。代替的に、流体噴射ノズル7がリング51から独立している場合、第1払拭工程E1と洗浄流体噴射工程E1’を入れ替えてもよい。
【0107】
また、クリーニングプロセス100は、クリーニングサイクルにおいて複数回繰り返されてよく、特に、第1及び第2払拭工程E1及びE2が保護装置3を満足できる状態まできれいにできないとき、複数回繰り返されてよい。
【0108】
したがって、この種のクリーニングプロセス100は、運転支援システム1が正しく動作し続けるように自動車両のユーザが介入する必要がない。したがって、この運転支援システム1は、例えば自律車両に搭載され得る。
【0109】
代替的に、例えば、クリーニングモジュールのクリーニング構造体が、リング51により支承される単独又は複数の流体噴射ノズル7を例えば含む場合、上述の工程E1及びE2は、少なくとも1つの流体噴射ノズル7が保護装置3の外面に流体を吹き付けるクリーニング工程であり得る。
【0110】
したがって、上述のクリーニングモジュール5により、小さい曲率半径を有する光学素子の保護装置3を含む運転支援システム1の効果的なクリーニングが可能となる。より具体的には、保護装置3の回転面を、回転面を囲むクリーニングモジュール5のリング51の払拭構造体53によって、リング51に対して保護装置3が相対移動する間に払拭することにより、回転面の曲率半径を考慮する必要なく、回転面を効果的にクリーニングすることができる。
【0111】
上述の特定例は、非制限的なものである。実際に、特に当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、上述のもの以外の保護装置3の回転面の形状又はリング51の形状を利用できる。
【0112】
同様に、運転支援システムの光学素子の中には、保護装置を有さないものもある。この場合、クリーニングされる表面は、同様に回転面を有する光学素子の表面そのものである。
図1
図2
図3
図4
図5