(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コミュニケーションシステム、コミュニケーション方法及び情報端末
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240214BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20240214BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240214BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G06F3/0482
G06F3/01 510
G06F3/16 650
G06F3/16 620
G06F3/16 690
B60R11/02 S
(21)【出願番号】P 2019211132
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】米山 輝一
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161479(JP,A)
【文献】特開2019-159441(JP,A)
【文献】特開2016-106219(JP,A)
【文献】特開2015-115740(JP,A)
【文献】特開2017-181662(JP,A)
【文献】特開2010-016643(JP,A)
【文献】特開2019-197977(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063879(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/111185(WO,A1)
【文献】特開2013-160778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G06F 3/048- 3/04895
G06F 3/01
G06F 3/16
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末と、
前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末と、
を備え、
前記乗客端末は、
問い合わせを示す操作を受け付ける乗客端末操作部と、
前記乗務員端末において入力された前記問い合わせに対する回答に対応する情報を表示する乗客端末表示部であって、前記車両の走行状況に応じて前記乗務員が前記回答を示す操作をできないことを示す情報を表示する乗客端末表示部と、
を有し、
前記乗務員端末は、
前記問い合わせに対応する音声を出力する音声出力部と、
前記問い合わせに対応する情報を表示する乗務員端末表示部と、
前記回答を示す操作を受け付ける乗務員端末操作部と、
を有する、コミュニケーションシステム。
【請求項2】
車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末と、
前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末と、
を備え、
前記乗客端末は、問い合わせを示す操作を受け付ける乗客端末操作部を有し、
前記乗務員端末は、
前記乗客端末操作部が前記問い合わせを示す操作を受け付けた際に、逐次、前記問い合わせに対応する音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部が前記問い合わせに対応する音声を出力した後に、前記問い合わせに対応する情報を表示する乗務員端末表示部と、
を有する、コミュニケーションシステム。
【請求項3】
前記乗務員端末は、前記問い合わせに対する回答を示す操作を受け付ける乗務員端末操作部をさらに有する、
請求項
2に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項4】
前記乗務員端末表示部は、前記問い合わせに基づいて複数の選択肢を表示し、
前記乗務員端末操作部は、前記複数の選択肢のいずれかを選択する操作を、前記回答を示す操作として受け付ける、
請求項1
又は3に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項5】
前記乗務員端末操作部は、前記車両の走行状況に応じて、前記回答を示す操作の受け付け可否を切り替える、
請求項
3に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項6】
前記乗客端末は、前記回答に対応する情報を表示する乗客端末表示部をさらに有する
請求項
3に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項7】
前記乗客端末表示部は、前記車両の走行状況に応じて、前記乗務員が前記回答を示す操作をできないことを示す情報を表示する、
請求項
6に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項8】
前記乗客端末表示部は、前記問い合わせの種類が所定条件を満たす場合に、前記問い合わせに対してコンピュータが生成した自動回答に対応する情報を表示する、
請求項
1、
6及び
7のいずれか一項に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項9】
前記音声出力部は、前記問い合わせを前記乗客が用いる第1言語から前記乗務員が用いる第2言語に翻訳した音声を出力し、
前記乗務員端末表示部は、前記問い合わせを前記第1言語から前記第2言語に翻訳した情報を出力する、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項10】
前記音声出力部は、前記乗客端末操作部が前記問い合わせを示す操作を受け付けた際に、逐次、前記問い合わせに対応する音声を出力し、
前記乗務員端末表示部は、前記音声出力部が前記問い合わせに対応する音声を出力した後に、前記問い合わせに対応する情報を表示する、
請求項1から
9のいずれか一項に記載のコミュニケーションシステム。
【請求項11】
車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた情報端末であって、
前記車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末が問い合わせを示す操作を受け付けた際に、逐次、前記問い合わせに対応する音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部が前記問い合わせに対応する音声を出力した後に、前記問い合わせに対応する情報を表示する乗務員端末表示部と、
を有する情報端末。
【請求項12】
車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末が、問い合わせを示す操作を受け付けるステップと、
前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末が、前記問い合わせに対応する音声を出力するステップと、
前記乗務員端末が、前記問い合わせに対応する情報を表示するステップと、
前記乗務員端末が、前記問い合わせに対する回答を示す操作を受け付けるステップと、
前記乗客端末が、前記乗務員端末において入力された前記問い合わせに対する回答に対応する情報を表示するステップであって、前記車両の走行状況に応じて前記乗務員が前記回答を示す操作をできないことを示す情報を表示するステップと、
を有するコミュニケーション方法。
【請求項13】
車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末が、問い合わせを示す操作を受け付けるステップと、
前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末が、前記乗客端末が前記問い合わせを示す操作を受け付けた際に、逐次、前記問い合わせに対応する音声を出力するステップと、
前記乗務員端末が、前記問い合わせに対応する音声を出力した後に、前記問い合わせに対応する情報を表示するステップと、
を有するコミュニケーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内でコミュニケーションを取るためのコミュニケーションシステム、コミュニケーション方法及び情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タクシー等の車両において、後部座席に設けられた端末上で乗客から運賃の決済を行うための操作を受け付け、運転席に設けられた端末上で乗務員に対して決済の状況を表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、聴覚障がい者や外国人の乗客は、乗務員に話し掛けることによって直接コミュニケーションを行うことが難しい。そのため、乗客が、車両に設けられた情報端末を介して、乗務員に対して問い合わせを行うことができると便利である。しかしながら、乗務員は、車両を運転している間に情報端末を注視できない。そのため、情報端末が乗客からの問い合わせを単純に表示すると、車両の運転が妨げられる可能性があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、乗務員による車両の運転を妨げずに、乗客が乗務員に対して車両内に設けられた情報端末を介して問い合わせを行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のコミュニケーションシステムは、車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末と、前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末と、を備え、前記乗客端末は、問い合わせを示す操作を受け付ける乗客端末操作部を有し、前記乗務員端末は、前記問い合わせに対応する音声を出力する音声出力部と、前記問い合わせに対応する情報を表示する乗務員端末表示部と、を有する。
【0007】
前記乗務員端末は、前記問い合わせに対する回答を示す操作を受け付ける乗務員端末操作部をさらに有してもよい。
【0008】
前記乗務員端末表示部は、前記問い合わせに基づいて複数の選択肢を表示し、前記乗務員端末操作部は、前記複数の選択肢のいずれかを選択する操作を、前記回答を示す操作として受け付けてもよい。
【0009】
前記乗務員端末操作部は、前記車両の走行状況に応じて、前記回答を示す操作の受け付け可否を切り替えてもよい。
【0010】
前記乗客端末は、前記回答に対応する情報を表示する乗客端末表示部をさらに有してもよい。
【0011】
前記乗客端末表示部は、前記車両の走行状況に応じて、前記乗務員が前記回答を示す操作をできないことを示す情報を表示してもよい。
【0012】
前記乗客端末表示部は、前記問い合わせの種類が所定条件を満たす場合に、前記問い合わせに対してコンピュータが生成した自動回答に対応する情報を表示してもよい。
【0013】
前記音声出力部は、前記問い合わせを前記乗客が用いる第1言語から前記乗務員が用いる第2言語に翻訳した音声を出力し、前記乗務員端末表示部は、前記問い合わせを前記第1言語から前記第2言語に翻訳した情報を出力してもよい。
【0014】
前記音声出力部は、前記乗客端末操作部が前記問い合わせを示す操作を受け付けた際に、逐次、前記問い合わせに対応する音声を出力し、前記乗務員端末表示部は、前記音声出力部が前記問い合わせに対応する音声を出力した後に、前記問い合わせに対応する情報を表示してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報端末は、車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた情報端末であって、前記車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末において指定された問い合わせに対応する音声を出力する音声出力部と、前記問い合わせに対応する情報を表示する乗務員端末表示部と、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様のコミュニケーション方法は、車両内で乗客が視認可能な位置に設けられた乗客端末が実行する、問い合わせを示す操作を受け付けるステップを有し、前記車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられた乗務員端末が実行する、前記問い合わせに対応する音声を出力するステップと、前記問い合わせに対応する情報を表示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一例として、乗務員による車両の運転を妨げずに、乗客が乗務員に対して車両内に設けられた情報端末を介して問い合わせを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係るコミュニケーションシステムの概要を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係るコミュニケーションシステムのブロック図である。
【
図3】実施形態に係るコミュニケーションシステムのブロック図である。
【
図4】言語指定画面及び問い合わせ指定画面を表示している乗客端末の正面図である。
【
図5】音声出力部及び乗務員端末表示部が出力する情報を説明するための模式図である。
【
図6】回答表示画面を表示している乗客端末の正面図である。
【
図7】コンピュータが生成した自動回答を提示する方法を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態に係るコミュニケーションシステムが実行するコミュニケーション方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[コミュニケーションシステムの概要]
図1は、本実施形態に係るコミュニケーションシステムSの概要を説明するための図である。コミュニケーションシステムSは、タクシー等の車両内で乗客と乗務員との間でコミュニケーションを行うためのシステムである、以下、コミュニケーションシステムSがタクシーに適用される例を説明するが、コミュニケーションシステムSは乗客を輸送するその他の旅客輸送車両に適用されてもよい。コミュニケーションシステムSは、乗務員端末1と、乗客端末2と、管理装置3とを備える。コミュニケーションシステムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0020】
乗務員端末1は、乗務員(運転手)に対して情報を提示するとともに、乗務員による操作を受け付ける、スマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。乗務員端末1は、車両内で乗務員が視認可能な位置に設けられている。乗務員端末1は、例えば、運転席の前方において、ダッシュボード上に設けられている。
【0021】
乗客端末2は、乗客(利用客)に対して情報を提示するとともに、乗客による操作を受け付ける、スマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。乗客端末2は、車両内で乗客が視認可能な位置に設けられている。乗客端末2は、例えば、後部座席の前方において、運転席の背面上に設けられている。乗客端末2は、乗務員端末1と、近距離無線通信又は有線通信によって接続され、又はインターネット等の通信ネットワークを介して接続される。
【0022】
また、コミュニケーションシステムSは、乗客が車両内に持ち込んだ情報端末を、乗客端末2として利用してもよい。この場合には、乗客端末2は、所定のアプリケーション(プログラム)を実行することによって、車両に設けられた乗務員端末1に関連付けられ、乗務員端末1と接続される。
【0023】
管理装置3は、乗務員端末1及び乗客端末2との間で情報を送受信する、サーバ等のコンピュータである。管理装置3は、乗務員端末1及び乗客端末2と、インターネット等の通信ネットワークを介して接続される。
【0024】
本実施形態に係るコミュニケーションシステムSが実行する処理の概要を以下に説明する。乗客端末2は、車両に乗車した乗客から、乗務員に対する問い合わせを示す操作を受け付ける。乗客端末2は、乗客の問い合わせを示す情報を、乗務員端末1へ送信する。
【0025】
乗務員端末1は、乗客端末2が受け付けた乗客の問い合わせに対応する音声を音声出力部(スピーカ)から出力する。乗務員端末1が出力する音声は、例えば、乗客が用いる言語から乗務員が用いる言語に翻訳した問い合わせを読み上げた音声である。
【0026】
さらに乗務員端末1は、乗客端末2が受け付けた問い合わせに対応する情報を表示部(ディスプレイ)上に表示する。乗務員端末1が表示する情報は、例えば、乗客が用いる言語から乗務員が用いる言語に翻訳した問い合わせを表す情報である。
【0027】
このように、車両内に設けられた乗務員端末1は、当該車両内に設けられた乗客端末2で指定された問い合わせを、音声出力及び情報表示の両方によって、乗務員に対して提示する。これにより、乗務員は、車両の運転中には問い合わせの内容を音声で把握でき、また車両を停車させた後には問い合わせの内容を視認できる。そのため、乗客は、乗務員による車両の運転を妨げずに、乗務員に対して乗客端末2及び乗務員端末1を介して問い合わせを行うことができる。
【0028】
[コミュニケーションシステムSの構成]
図2、
図3は、本実施形態に係るコミュニケーションシステムSのブロック図である。
図2、
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2、
図3に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図2、
図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2、
図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0029】
乗務員端末1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、乗務員端末表示部14と、乗務員端末操作部15と、音声出力部16とを有する。制御部11は、受信部111と、走行状況取得部112と、出力制御部113と、入力受付部114と、送信部115とを有する。
【0030】
通信部12は、乗客端末2及び管理装置3と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部13は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部13は、乗務員端末1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0031】
乗務員端末表示部14は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含む。乗務員端末操作部15は、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等を含む。音声出力部16は、音声を出力可能なスピーカ等を含む。
【0032】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部111、走行状況取得部112、出力制御部113、入力受付部114及び送信部115として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、制御部11がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0033】
乗客端末2は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、乗客端末表示部24と、乗客端末操作部25とを有する。制御部21は、表示制御部211と、入力受付部212と、送信部213と、受信部214とを有する。
【0034】
通信部22は、乗務員端末1及び管理装置3と通信を行うための通信を行うための通信インターフェースである。記憶部23は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部23は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部23は、乗客端末2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
乗客端末表示部24は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を含む。乗客端末操作部25は、人間による操作を受け付け可能なタッチパネル等を含む。
【0036】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部211、入力受付部212、送信部213及び受信部214として機能する。制御部21の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、制御部21がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0037】
管理装置3は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを有する。制御部31は、受信部311と、回答生成部312と、送信部313とを有する。通信部32は、乗務員端末1及び乗客端末2と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部33は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部33は、制御部31が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部33は、管理装置3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部31との間でデータの授受を行ってもよい。
【0038】
制御部31は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部311、回答生成部312及び送信部313として機能する。制御部31の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部31の機能の少なくとも一部は、制御部31がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0039】
本実施形態に係るコミュニケーションシステムSは、
図2、
図3に示す具体的な構成に限定されない。乗務員端末1、乗客端末2及び管理装置3は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。例えば管理装置3は、単一のコンピュータによって構成されてもよく、互いに連携する複数のコンピュータによって構成されてもよく、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0040】
[コミュニケーション方法の説明]
以下、本実施形態に係るコミュニケーションシステムSが実行するコミュニケーション方法を詳細に説明する。乗務員端末1及び乗客端末2は、コミュニケーションシステムSを利用するためのアプリケーションを実行する。乗客端末2は、車両内に予め設けられた情報端末、又は乗客が車両内に持ち込んだ情報端末である。アプリケーションは、車両内の乗務員端末1及び乗客端末2を関連付ける。1つの乗務員端末1が、複数の乗客端末2に関連付けられてもよい。乗務員端末1及び乗客端末2が関連付けられた後、乗客端末2において、表示制御部211は、言語を指定するための言語指定画面を乗客端末表示部24に表示させる。
【0041】
図4(a)は、言語指定画面を表示している乗客端末2の正面図である。乗客端末表示部24は、言語指定画面において、複数の言語の選択肢を含む言語指定欄241を表示する。乗客は、乗客端末操作部25を用いて、言語指定欄241において乗客が用いる言語を示す操作を行う。入力受付部212は、乗客端末操作部25に対する操作に基づいて、乗客による言語の指定を受け付ける。
【0042】
また、入力受付部212は、乗客が車両内に持ち込んだ情報端末の言語設定に基づいて、乗客による操作によらずに、乗客が用いる言語を自動的に選択してもよい。また、入力受付部212は、車両内に設けられた不図示の音声入力部(マイクロフォン等)が取得した乗客の音声に対して既知の音声認識処理を行うことによって、乗客が用いる言語を自動的に選択してもよい。
【0043】
次に表示制御部211は、乗務員に対する問い合わせを指定するための問い合わせ指定画面を乗客端末表示部24に表示させる。
図4(b)は、問い合わせ指定画面を表示している乗客端末2の正面図である。乗客端末表示部24は、問い合わせ指定画面において、複数の問い合わせの選択肢を含む問い合わせ指定欄242を表示する。ここで乗客端末表示部24は、問い合わせ指定欄242が含む複数の問い合わせの選択肢を、乗客によって指定された言語で表示する。
【0044】
乗客は、乗客端末操作部25を用いて、問い合わせ指定欄242において問い合わせを選択する操作を行う。さらに乗客端末表示部24は、選択された選択肢に応じて追加の情報の入力を受け付ける問い合わせ指定欄242を表示してもよい。例えば「行き先を指定したい」という選択肢が選択された場合に、乗客端末表示部24は、行き先の選択肢又は文字入力欄を含む問い合わせ指定欄242を表示する。その後、乗客は、乗客端末操作部25を用いて、問い合わせ指定欄242において追加の情報を入力する操作を行う。
【0045】
入力受付部212は、乗客端末操作部25に対する操作に基づいて、乗客による乗務員に対する問い合わせの指定を受け付ける。送信部213は、乗客によって指定された言語を示す言語情報と、乗客によって指定された問い合わせを示す問い合わせ情報とを、乗務員端末1へ送信する。
【0046】
乗務員端末1において、受信部111は、乗客端末2が送信した言語情報及び問い合わせ情報を受信する。受信部111が言語情報及び問い合わせ情報を受信した後に、走行状況取得部112は、例えば、タクシーメータ、OBD(On-Board Diagnostics)接続端末、車載センサ、撮像装置等の、車両に搭載されたコンピュータやセンサ等から、車両の走行状況を取得する。走行状況取得部112は、走行状況として、例えば車両が実車中及び空車中のどちらであるかを示す情報、車両が走行中であるか否かを示す情報、又は車両の速度を取得する。
【0047】
出力制御部113は、受信部111が受信した言語情報及び問い合わせ情報、並びに走行状況取得部112が取得した走行状況に基づいて、乗客端末2において指定された問い合わせに対応する情報を、音声出力部16及び乗務員端末表示部14に出力させる。例えば、出力制御部113は、車両が空車中である場合(すなわち車両が乗客の輸送中でない場合)に、音声出力部16及び乗務員端末表示部14に情報を出力させない。一方、出力制御部113は、車両が実車中である場合(すなわち車両が乗客の輸送中である場合)に、音声出力部16及び乗務員端末表示部14に情報を出力させる。これにより、コミュニケーションシステムSは、車両の車両が乗客を輸送している期間に限定して、乗客から乗務員への問い合わせを可能にできる。
【0048】
また、例えば、出力制御部113は、車両が走行中である場合又は速度が所定値以上である場合に、乗務員端末表示部14に、操作を受け付けない状態で情報を出力させる。一方、出力制御部113は、車両が走行中でない場合又は速度が所定値未満である場合に、乗務員端末表示部14に、操作を受け付ける状態で情報を出力させる。これにより、コミュニケーションシステムSは、車両の走行状況に基づいて操作の可否を切り替え、乗務員が危険を伴う状況で回答の操作を行うことを防ぎ、安全性を高めることができる。
【0049】
図5は、音声出力部16及び乗務員端末表示部14が出力する情報を説明するための模式図である。受信部111が問い合わせ情報を受信した場合、すなわち乗客端末2において乗客端末操作部25が問い合わせを示す操作を受け付けた際に、出力制御部113は、問い合わせに対応する音声を、逐次、音声出力部16に出力させる。
図5の上図は、音声出力部16が出力する例示的な音声を表している。これにより、乗務員は、車両の運転中に乗務員端末1を注視できない状況であっても、乗客からの問い合わせを音声として早期に把握できる。
【0050】
音声出力部16は、問い合わせに対応する音声として、受信部111が受信した問い合わせ情報が示す問い合わせを、受信部111が受信した言語情報が示す乗客が用いる第1言語から、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる第2言語に翻訳した音声を出力する。音声は、予め録音された人間の発した音声、又は逐次生成される合成音声である。これにより、乗客が用いる言語と乗務員が用いる言語が異なる場合であっても、乗務員は乗客の問い合わせを容易に理解できる。
【0051】
音声出力部16が問い合わせに対応する音声を出力した後に、出力制御部113は、問い合わせに対応する情報を含む問い合わせ表示画面を、乗務員端末表示部14に表示させる。
【0052】
乗務員端末表示部14は、問い合わせ表示画面において、問い合わせに対応する情報として、受信部111が受信した問い合わせ情報が示す問い合わせを、受信部111が受信した言語情報が示す乗客が用いる第1言語から、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる第2言語に翻訳した情報141を表示する。これにより、乗客が用いる言語と乗務員が用いる言語が異なる場合であっても、乗務員は乗客の問い合わせを容易に理解できる。
【0053】
また、乗務員端末表示部14は、問い合わせ表示画面において、問い合わせに基づいて、複数の選択肢を含む回答指定欄142を表示する。記憶部13は、問い合わせと複数の回答候補とを関連付けた情報を予め記憶している。乗務員端末表示部14は、記憶部13において問い合わせに関連付けられている複数の回答候補を、回答指定欄142が含む複数の選択肢として、乗務員端末1に予め設定された言語で表示する。また、乗務員端末表示部14は、乗客端末2から問い合わせに関連付けられた複数の回答候補を取得し、取得した複数の回答候補を回答指定欄142が含む複数の選択肢として表示してもよい。
【0054】
乗務員端末表示部14は、問い合わせ表示画面において、走行状況取得部112が取得した走行状況が所定条件を満たす場合に、回答指定欄142を、操作を受け付けない状態で表示し、そうでない場合に、回答指定欄142を、操作を受け付ける状態で表示する。例えば乗務員端末表示部14は、走行状況が、車両が走行中であることを示す場合、又は速度が所定値以上であることを示す場合に、操作を受け付けない状態で回答指定欄142を表示し、そうでない場合に、操作を受け付ける状態で回答指定欄142を表示する。
【0055】
乗務員端末表示部14は、回答指定欄142が含む回答の表示態様(色、形状、模様等)を変更することによって、操作を受け付けない状態と操作を受け付ける状態とを乗務員が識別可能にする。回答指定欄142が操作を受け付けない状態で表示されている場合に、乗務員端末操作部15は回答を示す操作を受け付けず、回答指定欄142が操作を受け付ける状態で表示されている場合に、乗務員端末操作部15は回答を示す操作を受け付ける。
【0056】
図5の中央図は、乗務員端末操作部15が操作を受け付けない状態を表している。
図5の下図は、乗務員端末操作部15が操作を受け付ける状態を表している。このように、乗務員端末1は、車両の走行状況に応じて操作の可否を切り替えるため、乗務員が危険を伴う状況で回答の操作を行うことを防ぎ、安全性を高めることができる。
【0057】
乗務員は、乗務員端末操作部15を用いて、操作を受け付ける状態で表示された回答指定欄142が示す回答を選択する操作を行う。さらに乗務員端末表示部14は、選択された選択肢に応じて追加の情報の入力を受け付ける回答指定欄142を表示してもよい。例えば「できません」という選択肢が選択された場合に、乗客端末表示部24は、理由の選択肢又は文字入力欄を含む回答指定欄142を表示する。その後、乗客は、乗客端末操作部25を用いて、回答指定欄142において追加の情報を入力する操作を行う。
【0058】
回答指定欄142が操作を受け付けない状態で表示されている場合に、送信部115は、回答を示す操作を受け付けていないことを示す待ち情報を、乗客端末2へ送信する。一方、回答指定欄142が操作を受け付ける状態で表示されている場合に、入力受付部114は、乗務員端末操作部15に対する操作に基づいて、乗務員による問い合わせに対する回答の指定を受け付ける。また、入力受付部114は、車両内に設けられたカメラによって乗務員の身体を撮像し、既知の画像認識処理によって検出した乗務員の動き(ジェスチャ)に基づいて、乗務員による問い合わせに対する回答の指定を受け付けてもよい。送信部115は、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる言語を示す言語情報と、乗務員によって指定された回答を示す回答情報とを、乗客端末2へ送信する。
【0059】
乗務員端末1が複数の乗客端末2に関連付けられている場合に、送信部115は、待ち情報又は回答情報を、複数の乗客端末2のうち、問い合わせ情報を送信した乗客端末2へ送信する。これにより、乗務員端末1は、問い合わせの指定を受け付けた乗客端末2にのみ、問い合わせに対する回答を表示させることができる。
【0060】
乗客端末2において、受信部214は、乗務員端末1が送信した待ち情報、又は言語情報及び回答情報を受信する。表示制御部211は、受信部214が受信した情報に基づいて、回答に対応する情報を含む回答表示画面を、乗客端末表示部24に表示させる。
【0061】
図6(a)、
図6(b)は、回答表示画面を表示している乗客端末2の正面図である。受信部214が待ち情報を受信した場合に、乗客端末表示部24は、
図6(a)に例示する回答表示画面において、乗客によって指定された問い合わせを表す情報243と、車両の走行状況に応じて乗務員が回答を示す操作をできないことを示す情報244とを表示する。これにより、乗務員がすぐに問い合わせに対する回答を入力できない場合であっても、乗客は、問い合わせが乗務員によって無視されていないことを認識できるため、コミュニケーションを円滑化できる。
【0062】
受信部214が言語情報及び回答情報を受信した場合に、乗客端末表示部24は、
図6(b)に例示する回答表示画面において、乗客によって指定された問い合わせを表す情報243と、問い合わせに対する回答に対応する情報245とを表示する。乗客端末表示部24は、回答に対応する情報245として、受信部214が受信した回答情報が示す回答を、受信部214が受信した言語情報が示す乗務員が用いる第2言語から、乗客によって指定された乗客が用いる第1言語に翻訳した情報を表示する。これにより、乗客が用いる言語と乗務員が用いる言語が異なる場合であっても、乗客は乗務員の回答を容易に理解できる。
【0063】
さらにコミュニケーションシステムSは、乗客による問い合わせの種類に応じて、管理装置3(すなわち、コンピュータ)が自動的に生成した自動回答を、乗客に提示する。
図7は、コンピュータが生成した自動回答を提示する方法を説明するための模式図である。
【0064】
乗客端末2において、入力受付部212が問い合わせの指定を受け付けた場合に、送信部213は、指定された問い合わせの種類を取得する。送信部213は、問い合わせの種類が所定条件を満たす場合(例えば店舗に関する問い合わせである場合)に、乗客によって指定された言語を示す言語情報と、乗客によって指定された問い合わせを示す問い合わせ情報とを、管理装置3へ送信する。また、送信部213は言語情報及び問い合わせ情報を乗務員端末1へ送信し、乗務員端末1が言語情報及び問い合わせ情報を管理装置3へ転送してもよい。
【0065】
管理装置3において、受信部311は、乗客端末2が送信した言語情報及び問い合わせ情報を受信する。回答生成部312は、受信部311が受信した問い合わせ情報が示す問い合わせに基づいて、自動回答を生成する。記憶部33は、例えば、問い合わせと回答との組み合わせに対して既知の機械学習方法を適用することによって生成された、問い合わせに対する回答を出力する機械学習モデルを予め記憶している。回答生成部312は、記憶部33に記憶された機械学習モデルに問い合わせを入力することによって、問い合わせに対する自動回答を生成する。また、回答生成部312は、生成した自動回答を、受信部311が受信した言語情報が示す乗客によって指定された言語に翻訳する。
【0066】
送信部313は、回答生成部312が生成した自動回答を示す回答情報を、乗客端末2へ送信する。また、送信部313は回答情報を乗務員端末1へ送信し、乗務員端末1が回答情報を乗客端末2へ転送してもよい。
【0067】
乗務員端末1が複数の乗客端末2に関連付けられている場合に、送信部313は、回答情報を、複数の乗客端末2のうち、問い合わせ情報を送信した乗客端末2へ送信する。これにより、管理装置3は、問い合わせの指定を受け付けた乗客端末2にのみ、問い合わせに対する自動回答を表示させることができる。
【0068】
乗客端末2において、受信部214は、管理装置3が送信した回答情報を受信する。表示制御部211は、受信部214が受信した情報に基づいて、自動回答に対応する情報を含む回答表示画面を、乗客端末表示部24に表示させる。
【0069】
乗客端末表示部24は、回答表示画面において、乗客によって指定された問い合わせを表す情報243と、自動回答に対応する情報246とを表示する。これにより、管理装置3は、乗務員が回答するのに時間が掛かる問い合わせや、乗務員が回答をする必要がない問い合わせに対して、自動回答を生成して乗客に提示できるため、乗務員の負担を軽減できる。
【0070】
さらに乗客端末表示部24は、回答表示画面において、回答を転送するための転送ボタン247を表示する。この場合に、乗客が有する情報端末には、例えばコミュニケーションシステムSを利用するためのアプリケーションが予め記憶されており、当該アプリケーションによって当該情報端末を識別可能な識別情報(メールアドレス、電話番号等)が乗客端末2又は管理装置3に通知されている。乗客が乗客端末操作部25を用いて転送ボタン247を選択する操作を行った場合に、乗客端末2の送信部213又は管理装置3の送信部313は、回答情報を乗客が有する情報端末へ転送する。これにより、乗客は、コミュニケーションシステムSによって得られた回答を、車両から降車した後であっても情報端末を用いて見ることができる。
【0071】
[コミュニケーション方法のシーケンス]
図8は、本実施形態に係るコミュニケーションシステムSが実行するコミュニケーション方法のシーケンス図である。乗客端末2において、表示制御部211は、言語を指定するための言語指定画面を乗客端末表示部24に表示させる。入力受付部212は、乗客端末操作部25に対する操作に基づいて、乗客による言語の指定を受け付ける(S11)。
【0072】
次に表示制御部211は、乗務員に対する問い合わせを指定するための問い合わせ指定画面を乗客端末表示部24に表示させる。入力受付部212は、乗客端末操作部25に対する操作に基づいて、乗客による乗務員に対する問い合わせの指定を受け付ける(S12)。
【0073】
送信部213は、乗客によって指定された言語を示す言語情報と、乗客によって指定された問い合わせを示す問い合わせ情報とを、乗務員端末1へ送信する(S13)。また、送信部213は、問い合わせの種類が所定条件を満たす場合に、言語情報及び問い合わせ情報を、管理装置3へ送信する。
【0074】
乗務員端末1において、受信部111は、乗客端末2が送信した言語情報及び問い合わせ情報を受信する。受信部111が言語情報及び問い合わせ情報を受信した後に、走行状況取得部112は、車両に搭載されたコンピュータやセンサ等から、車両の走行状況を取得する(S14)。
【0075】
受信部111が問い合わせ情報を受信した場合、すなわち乗客端末2において乗客端末操作部25が問い合わせを示す操作を受け付けた際に、出力制御部113は、問い合わせに対応する音声を、逐次、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる言語で音声出力部16に出力させる(S15)。音声出力部16が問い合わせに対応する音声を出力した後に、出力制御部113は、問い合わせに対応する情報を含む問い合わせ表示画面を、乗務員端末表示部14に表示させる。乗務員端末表示部14は、問い合わせ表示画面において、問い合わせに対応する情報として、受信部111が受信した問い合わせ情報が示す問い合わせを、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる言語で表示する(S16)。
【0076】
乗務員端末表示部14は、問い合わせ表示画面において、走行状況取得部112が取得した走行状況が所定条件を満たす場合に、回答指定欄を、操作を受け付けない状態で表示し、そうでない場合に、回答指定欄を、操作を受け付ける状態で表示する。回答指定欄が操作を受け付けない状態で表示されている場合、すなわち走行状況取得部112が取得した走行状況が所定条件を満たす場合に、送信部115は、回答を示す操作を受け付けていないことを示す待ち情報を、乗客端末2へ送信する(S17)。
【0077】
回答指定欄142が操作を受け付ける状態で表示されている場合に、入力受付部114は、乗務員端末操作部15に対する操作に基づいて、乗務員による問い合わせに対する回答の指定を受け付ける(S18)。送信部115は、乗務員端末1に予め設定された乗務員が用いる言語を示す言語情報と、乗務員によって指定された回答を示す回答情報とを、乗客端末2へ送信する(S19)。
【0078】
管理装置3において、受信部311は、乗客端末2が送信した言語情報及び問い合わせ情報を受信する。回答生成部312は、受信部311が受信した問い合わせ情報が示す問い合わせに基づいて、自動回答を生成する(S20)。また、回答生成部312は、生成した自動回答を、受信部311が受信した言語情報が示す乗客によって指定された言語に翻訳する。送信部313は、回答生成部312が生成した自動回答を示す回答情報を、乗客端末2へ送信する(S21)。
【0079】
乗客端末2において、受信部214は、乗務員端末1が送信した待ち情報、又は言語情報及び回答情報を受信する。あるいは受信部214は、管理装置3が送信した回答情報を受信する。受信部214が待ち情報を受信した場合に、乗客端末表示部24は、車両の走行状況に応じて乗務員が回答を示す操作をできないことを示す情報を表示する。受信部214が回答情報を受信した場合に、乗客端末表示部24は、問い合わせに対する回答に対応する情報を、乗客によって指定された乗客が用いる言語で表示する(S22)。
【0080】
[実施形態の効果]
本実施形態に係るコミュニケーションシステムSによれば、車両内に設けられた乗務員端末1は、当該車両内に設けられた乗客端末2で指定された問い合わせに対応する音声を出力し、さらに当該問い合わせに対応する情報を表示する。これにより、乗務員は、車両の運転中には問い合わせの内容を音声で把握でき、また車両を停車させた後には問い合わせの内容を視認できる。そのため、乗客は、乗務員による車両の運転を妨げずに、乗務員に対して乗客端末2及び乗務員端末1を介して問い合わせを行うことができる。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0082】
乗務員端末1、乗客端末2及び管理装置3のプロセッサは、
図8に示すコミュニケーション方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、乗務員端末1、乗客端末2及び管理装置3のプロセッサは、
図8に示すコミュニケーション方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行してコミュニケーションシステムSの各部を制御することによって、
図8に示すコミュニケーション方法を実行する。
図8に示すコミュニケーション方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0083】
S コミュニケーションシステム
1 乗務員端末
11 制御部
111 受信部
112 走行状況取得部
113 出力制御部
114 入力受付部
115 送信部
14 乗務員端末表示部
15 乗務員端末操作部
16 音声出力部
2 乗客端末
21 制御部
211 表示制御部
212 入力受付部
213 送信部
214 受信部
24 乗客端末表示部
25 乗客端末操作部