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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】紙製品用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20240214BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65D77/00 A
B65D83/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019216646
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084681
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-152179(JP,A)
【文献】特開2017-178356(JP,A)
【文献】特開2015-067348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/00
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの略平行な一方向に延びる山折り部と、前記山折り部と略平行に同方向に延びる2つの谷折り部とを有する包装基材で、被包装物である積層状薄葉紙の全体が覆われ、シール部により前記積層状薄葉紙が密封されている、包装体であって、
前記谷折り部は、いずれも罫線を有し、
前記包装基材は、紙基材の表面に接着剤層が形成されたものであり、
前記紙基材と前記接着剤層との合計坪量である前記包装基材の坪量が、35g/m以上105g/m以下であり、前記包装基材の坪量に対する前記紙基材の割合が51%以上100%以下であり、
前記シール部は、前記山折り部の両端部にそれぞれ備えられ、いずれも前記山折り部の方向と直交する略直線で、かつ各シール部が略平行に形成され、
前記谷折り部は、一方の前記シール部の端部と他方の前記シール部の端部を結ぶようにそれぞれ形成され、
前記山折り部が形成する4つの面のうち、前記シール部と略平行に広がる1つの面を底面と規定し、
前記包装基材の、前記山折り部の中心部における、前記シール部の直線方向と直交する方向の、前記底面を形成する前記山折り部と前記谷折り部の間隔をAと規定し、
前記紙製品における、前記シール部の直線方向と、前記山折り部の直線方向のいずれとも直交する方向の前記紙製品の長さをBと規定したとき、
前記Aに対する前記Bの比率(B/A(%))が、130%以上400%以下であることを特徴とする、紙製品用包装体。
【請求項2】
前記包装基材のMD方向の曲げこわさが、20μN・m以上330μN・m以下であることを特徴とする、請求項1に記載の紙製品用包装体。
【請求項3】
前記包装基材のCD方向の曲げこわさが、8μN・m以上145μN・m以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紙製品用包装体。
【請求項4】
前記接着剤層の坪量は、2g/m 以上30g/m 以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の紙製品用包装体。
【請求項5】
前記包装体が、キャラメル包装、ガゼット包装、又はピロー包装であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の紙製品用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を包装するのに好適な紙製品用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー等のロール状の紙製品や、ティッシュペーパー、ワイパー等の積層状の紙製品を被包装物として収容する包装体が知られている。
【0003】
ロール状の紙製品を包装する包装体として、例えば、特許文献1には、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが開示されている。
【0004】
一方、積層状の紙製品を包装する包装体としては、坪量の高い板紙で作製された紙製カートンが一般的である。また、紙製カートンに替わる包装体として、例えば、特許文献2には、可撓性の樹脂フィルムから形成された包装袋の上面の中央部にミシン目が設けられたフィルム包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-269010号公報
【文献】特開2016-188092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする新規な包装体に対する要求が存在していた。特に、近年の環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック(合成樹脂)の使用を削減することが望まれ、また、紙製の包装体でも、包装資材の減量化が望まれているが、紙製品、特に薄葉紙等の柔らかい紙製品を被包装物とする場合、それらは達成が困難であった。
【0007】
また、特に紙製カートンの場合、剛性を有するが、一般に、重量が大きいため余分なコストが掛かり、また、小ロット多品種に適さない場合がある。さらに、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする場合、被包装物が減少した時に、減少分だけ中に空間ができ、紙製品を包装体から取り出して使用する時に取り出し難く、使用に適さない場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする場合であっても、被包装物が減少した時にそれに合わせて凹み易い紙製品用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、包装基材の、山折り部の中心部における、シール部の直線方向と直交する方向の、底面を形成する山折り部と谷折り部の間隔と、紙製品における、シール部の直線方向と、山折り部の直線方向のいずれとも直交する方向の紙製品の長さの比率を規定することで、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする場合であっても、被包装物が減少した時にそれに合わせて凹み易い紙製品用包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明の第1の態様は、4つの略平行な一方向に延びる山折り部と、上記山折り部と略平行に同方向に延びる2つの谷折り部とを有する包装基材で、1以上の紙製品の全体が覆われ、シール部により上記紙製品が密封されている、包装体であって、上記谷折り部は、いずれも罫線を有し、上記包装基材は、少なくとも紙基材とシール層とを含み、上記包装基材の坪量が、35g/m以上105g/m以下であり、上記シール部は、上記山折り部の両端部にそれぞれ備えられ、いずれも上記山折り部の方向と直交する略直線で、かつ各シール部が略平行に形成され、上記谷折り部は、一方の上記シール部の端部と他方の上記シール部の端部を結ぶようにそれぞれ形成され、上記山折り部が形成する4つの面のうち、上記シール部と略平行に広がる1つの面を底面と規定し、上記包装基材の、上記山折り部の中心部における、上記シール部の直線方向と直交する方向の、上記底面を形成する上記山折り部と上記谷折り部の間隔をAと規定し、上記紙製品における、上記シール部の直線方向と、上記山折り部の直線方向のいずれとも直交する方向の上記紙製品の長さをBと規定したとき、上記Aに対する上記Bの比率(B/A(%))が、130%以上400%以下であることを特徴とする、紙製品用包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の紙製品用包装体であって、上記包装基材のMD方向の曲げこわさが、20μN・m以上330μN・m以下であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の紙製品用包装体であって、上記包装基材のCD方向の曲げこわさが、8μN・m以上145μN・m以下であることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の紙製品用包装体であって、上記シール層は、ヒートシール層及び/又は接着剤層であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(4)に記載の紙製品用包装体であって、上記ヒートシール層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の紙製品用包装体であって、上記紙製品が、薄葉紙であることを特徴とするものである。
(7)本発明の第7の態様は、(6)に記載の紙製品用包装体であって、上記薄葉紙が、積層状薄葉紙であることを特徴とするものである。
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載の紙製品用包装体であって、上記包装体が、キャラメル包装、ガゼット包装、又はピロー包装であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする場合であっても、被包装物が減少した時にそれに合わせて凹み易い紙製品用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の紙製品用包装体及び紙製品の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の紙製品用包装体の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の紙製品用包装体に包装される紙製品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0014】
1.紙製品用包装体
図1は、本発明の紙製品用包装体(以下、単に「包装体」とも言う。)の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の包装体1は、4つの略平行な一方向に延びる山折り部12と、山折り部12と略平行に同方向に延びる2つの谷折り部14とを有する包装基材10で、1以上の紙製品11の全体が覆われ、シール部13により紙製品11が密封されている。また、山折り部12は、罫線を有していなくてもよいが、後述する谷折り部14と同様に、いずれも罫線を有し、該罫線に沿って折り目がつけられていることが好ましい。それぞれの罫線の長さは、山折り部12のうちの一部でもよく、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。なお、包装体1において、包装基材10は紙製品11の全体ではなく一部を覆っていてもよく、紙製品11は密封されていなくてもよい(図示しない)。
また、包装体1は紙製品11を取り出す取り出し口を備えることが好ましい(図示しない)。この取り出し口は、包装基材10にミシン目等の切り取り線を形成し、使用時において、当該切り取り線を切り取って開口可能にするように設けることが好ましい。
【0015】
シール部13は、山折り部12の両端部にそれぞれ備えられ、いずれも山折り部12の方向と直交する略直線で、かつ各シール部が略平行に形成されている。シール部13は、後述するシール層によって紙製品11を密封するように設けられている。
谷折り部14は、一方のシール部13の端部と他方のシール部13の端部を結ぶようにそれぞれ形成されている。また、谷折り部14はいずれも罫線を有し、該罫線に沿って折り目がつけられている。それぞれの罫線の長さは、谷折り部14のうちの一部でもよく、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
【0016】
また、山折り部12が形成する4つの面のうち、シール部13と略平行に広がる1つの面を底面15と規定し、包装基材10の、山折り部12の中心部における、シール部13の直線方向と直交する方向の、底面15を形成する山折り部12と谷折り部14の間隔をAと規定し、紙製品11における、シール部13の直線方向と、山折り部12の直線方向のいずれとも直交する方向の紙製品11の長さをBと規定したとき、Aに対するBの比率(B/A(%))が、130%以上400%以下であり、150%以上290%以下であることが好ましく、170%以上240%以下であることがより好ましい。比率が130%未満であるか、比率が400%を超えると、谷折り部14の位置が山折り部12同士の間隔の中央部からずれ、罫線を有する谷折り部14で折れ曲がり難くなり(包装体1が凹み難くなり)、その結果、紙製品11が減少した状態では取り出し難くなり、包装体1が使い難くなる。Aに対するBの比率(B/A(%))を上記の数値範囲内にすることにより、山折り部12同士の間隔の中央部に一番応力が掛かることから、罫線を有する谷折り部14が折れ曲がり易くなり(包装体1が凹み易くなり)、その結果、紙製品11が減少した状態でも取り出し易くなり、使い易い包装体1を得ることができる。
なお、Aの測定方法としては、図2に示す包装体1において、山折り部12の中心部における、シール部13の直線方向と直交する方向の、底面15を形成するそれぞれの山折り部12と谷折り部14の間隔であるa1とa2を測定し、その平均をAと規定する。測定時は、包装基材10の弛みや中身の紙製品11等の影響を受けないように、包装体1から紙製品11を取り出し、包装基材10を張った状態で測定する。
【0017】
2.包装基材
包装基材10は、少なくとも紙基材とシール層とを含んでいる。紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。また、紙基材は、防水性の確保のために、オーバーコートが施されたオーバーコート紙であってもよい。
【0018】
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)は、35g/m以上105g/m以下であり、40g/m以上85g/m以下であることが好ましく、50g/m以上75g/m以下であることがより好ましい。坪量が35g/m未満であると、包装基材10の強度が弱く、包装体1が罫線を有する谷折り部14以外の部分でも曲がり易くなって形態が安定せず、包装体1が使い難くなる(紙製品11を取り出し難くなる)。坪量が105g/mを超えると、包装基材10の強度が強く、包装体1が罫線を有する谷折り部14でも曲がり難くなって、包装体1が使い難くなる(紙製品11を取り出し難くなる)。包装基材10の坪量が上記範囲内にあることで、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて凹み易い紙製品包装体となり、すなわち、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易く、使い易い包装体1を得ることができる。
【0019】
(1)紙基材
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。
【0020】
本発明の包装体1の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ50~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~50重量%であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ70~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~30重量%であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ90~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~10重量%であることが更に好ましい。上記のパルプ配合にすることで包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、未晒パルプであることが好ましい。
【0021】
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、包装基材10の強度等が適正になり、包装し易くなる。
【0022】
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
【0023】
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
【0024】
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られ難くなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得難いものとなり、水に濡れた時に破れ易く包装体としての機能が劣る場合がある。
【0025】
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材10の紙基材を得ることができる。
【0026】
包装基材10の紙基材の坪量は、25g/m以上88g/m以下であることが好ましく、30g/m以上72g/m以下であることがより好ましく、40g/m以上56g/m以下であることが更に好ましい。紙基材の坪量が上記範囲内にあることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、紙基材の使用量を抑制しつつ、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてが達成し易くなる。
【0027】
紙基材の坪量は、例えば、シール層が後述するヒートシール層である場合は、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量を算出する。
紙基材の坪量=
包装基材10の坪量×[(包装基材10の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材10の質量]
【0028】
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)に対する紙基材の坪量の割合は、51%以上100%以下であればよいが、通常、60%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上90%以下であることが更に好ましい。上記範囲内とすることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、柔らかい紙製品11に対する包装のし易さを確保でき、さらに、良好なヒートシール性又は接着性も確保できる。
【0029】
(2)シール層
本発明の包装体1において、包装基材10は、紙基材の他にシール層を含むが、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましい。本発明の包装基材10は、例えば、紙基材/ヒートシール層、紙基材/接着剤層、紙基材/ヒートシール層/接着剤層、紙基材/接着剤層/ヒートシール層等のような層構成を取ることができる。
【0030】
(2-1)ヒートシール層
本発明の包装体1において、ヒートシール層は、紙基材の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面においてヒートシール層を形成する位置、大きさ、及びヒートシール層が占める割合は適宜設定することができる。
【0031】
ヒートシール層を構成する材料としては特に限定されず、各種ヒートシール性を発現する材料のいずれも使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、あるいは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合又は共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を使用することができる。ヒートシール層を構成する材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
ヒートシール層は、通常用いられる方法、例えば、紙基材上にポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法、公知のヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材に熱可塑性樹脂からなる、又は熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を水に溶解、又は分散させた水系ヒートシール剤、あるいは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解、又は分散させた溶剤系ヒートシール剤をロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で紙基材上に塗工する方法等で形成することができる。
【0033】
ヒートシール層の坪量は、50g/m以下であることが好ましく、5g/m以上35g/m以下であることがより好ましく、10g/m以上20g/m以下であることが更に好ましい。ヒートシール層の坪量が上記範囲内にあることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてがより良好に達成でき、さらに、包装体1としての密封性とヒートシール強度を容易に確保し易い傾向がある。
【0034】
また、上記のように、本発明の包装体1は、紙製品11を取り出す取り出し口を備えることが好ましく、取り出し口をミシン目等の切り取り線を形成し、当該切り取り線を切り取って開口可能にすることが好ましい。取り出し口は、開け易く、裂け難いことが求められるが、柔らかい紙製品11を包装している包装体1は、取り出し口を開ける際に、力の入れ方によって開け難かったり、取り出し口が裂けてしまったりする場合がある。ヒートシール層の坪量を好ましくは50g/m以下、より好ましくは5g/m以上35g/m以下、更に好ましくは10g/m以上20g/m以下の範囲内にすることで、取り出し口を開ける際の開け易さと、裂け難さを両立することもできる。
【0035】
ヒートシール層の坪量は、例えば、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、ヒートシール層の坪量を算出する。
ヒートシール層の坪量=
包装基材10の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材10の質量)
【0036】
(2-2)接着剤層
本発明の包装体1において、接着剤層は、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面において接着剤層を形成する位置、大きさ、及び接着剤層が占める割合は適宜設定することができる。
【0037】
接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されず、公知のものいずれも使用することができ、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を使用することができる。これらの中でも、スチレン-アクリル系接着剤が好ましい。
【0038】
接着剤層は、接着剤を、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層等に、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で塗工することにより形成することができる。
【0039】
接着剤層の坪量(接着剤の乾燥塗布量)は、通常、2g/m以上30g/m以下が好ましく、3g/m以上25g/m以下がより好ましく、5g/m以上20g/m以下が更に好ましい。
なお、接着剤層の坪量は、包装基材10の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により算出する。
接着剤層の坪量=包装基材10の坪量-紙基材の坪量
【0040】
前述のとおり、本発明の包装基材10においては、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましいが、通常、接着剤層よりも、ヒートシール層、特に、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層の方が接着性に優れ、ヒートシール層、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層を設ける方が紙製品11をより包装し易くなる場合がある。
【0041】
(3)他の層
本発明の包装基材10は、紙基材、シール層以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材とシール層との間、あるいは包装基材10の最上面に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0042】
(4)包装基材全体の物性
後述するように、本発明に係る包装体1の包装形式は種々あり、製造ライン方向(搬送方向;MD方向)から紙製品11を包むように包装する場合と、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)から紙製品11を包むように包装する場合とがある。MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の引張強度は、2.0kN/m以上8.0kN/m以下であることが好ましく、2.5kN/m以上6.5kN/m以下であることがより好ましく、3.3kN/m以上5.5kN/m以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の引張強度は、0.7kN/m以上4.0kN/m以下であることが好ましく、0.9kN/m以上3.0kN/m以下であることがより好ましく、1.1kN/m以上2.0kN/m以下であることが更に好ましい。上記の範囲内にすることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。包装基材10の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
【0043】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の破断伸びは、0.8%以上2.4%以下であることが好ましく、1.0%以上2.1%以下であることがより好ましく、1.2%以上1.8%以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の破断伸びは、3.0%以上7.0%以下であることが好ましく、3.5%以上6.7%以下であることがより好ましく、4.0%以上6.0%以下であることが更に好ましい。上記の範囲内にすることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。包装基材10の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
【0044】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の引裂強度は、300mN以上1600mN以下であることが好ましく、450mN以上1200mN以下であることがより好ましく、580mN以上900mN以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の引裂強度は、400mN以上3000mN以下であることが好ましく、700mN以上2300mN以下であることがより好ましく、900mN以上1500mN以下であることが更に好ましい。上記の範囲内にすることで、包装体1に罫線を設けても裂け難くなる。包装基材10の引裂強度は、JIS P 8116に準拠して測定することができる。
【0045】
包装基材10の破裂強度は、90kPa以上310kPa以下であることが好ましく、120kPa以上260kPa以下であることがより好ましく、150kPa以上220kPa以下であることが更に好ましい。上記の範囲内にすることで、包装体1に罫線を設けても破れ難くなる。包装基材10の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
【0046】
MD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のMD方向の曲げこわさは、20μN・m以上330μN・m以下であることが好ましく、30μN・m以上225μN・m以下がより好ましく、60μN・m以上170μN・m以下であることが更に好ましい。CD方向から紙製品11を包む場合、包装基材10のCD方向の曲げこわさは、8μN・m以上145μN・m以下であることが好ましく、13μN・m以上100μN・m以下であることがより好ましく、20μN・m以上65μN・m以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向又はCD方向の曲げこわさが上記範囲内にあることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさが達成し易くなり、紙製品11を包装しても紙製品11の形が崩れ難くなる。包装基材10の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができる。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さく、CD方向の曲げこわさは大きくなる傾向がある。
【0047】
本発明の包装基材10の厚さは、40μm以上135μm以下であることが好ましく、48μm以上110μm以下であることがより好ましく、68μm以上90μm以下であることが更に好ましい。包装基材10の厚さが上記範囲内にあることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。包装基材10の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。なお、加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0048】
包装基材10の密度は、0.60g/cm以上0.95g/cm以下であることが好ましく、0.65g/cm以上0.90g/cm以下であることがより好ましく、0.70g/cm以上0.85g/cm以下であることが更に好ましい。包装基材10の密度が上記範囲内にあることで、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなる。また、必要とされる包装基材10の強度、しなやかさと柔らかさが達成し易い。包装基材10の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができる。
【0049】
なお、例えば、紙製品11としてティッシュペーパー積層体を包装する際、ティッシュペーパー積層体の密度は、0.04g/cm以上0.30g/cm以下が好ましく、0.07g/cm以上0.25g/cm以下がより好ましく、0.10g/cm以上0.20g/cm以下が更に好ましい。上記範囲内にあることで、本発明の包装基材10を用いてティッシュペーパー積層体を包装する際、包装体1の谷折り部14が罫線で曲がり易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した時にそれに合わせて包装体1が凹み易くなり、被包装物(紙製品11)が減少した状態でも取り出し易くなり、また、包装し易くなる。なお、ティッシュペーパー積層体の密度は次のように測定する。まず、ティッシュペーパー積層体を包装体1から採取し、ティッシュペーパー積層体の質量を23℃50%で調湿後に電子天秤で測定する。その後、ティッシュペーパー積層体のサイズ(幅、奥行、高さ(紙製品の長さ))を定規で測定し、次の式により、密度を算出する。
ティッシュペーパー積層体の密度(g/cm)=ティッシュペーパー積層体の質量(g)/(ティッシュペーパー積層体の幅(cm)×ティッシュペーパー積層体の奥行(cm)×ティッシュペーパー積層体の高さ(cm))
【0050】
3.紙製品
図3は、本発明の包装体1に包装される紙製品11の一例を示す斜視図である。本発明の包装体1は、特に薄葉紙のような柔らかい紙製品を包装するのに好適に適用できる。薄葉紙としては、ティッシュペーパー、ワイパー、ウエットティッシュ、ペーパーハンドタオル等の積層状薄葉紙を包装する場合に、本発明の包装体1は、特に好適に適用することができる。
【0051】
上述したように、紙製品11における、シール部13の直線方向と、山折り部12の直線方向のいずれとも直交する方向の紙製品11の長さをBと規定する。Bの測定方法としては、図3に示す紙製品11の四つ角のそれぞれの紙製品11の長さであるb1~b4を測定し、その平均をBとする。Bは、5mm以上200mm以下であることが好ましく、10mm以上100mm以下であることがより好ましく、20mm以上60mm以下であることが更に好ましい。
【0052】
4.包装形式
本発明に係る包装体1の包装形式としては、キャラメル包装、ピロー包装、ガゼット包装が例示できる。
【0053】
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と交差する方向に被包装物を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装物を入れる。そして、被包装物の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止した包装形式である。キャラメル包装は、積層状薄葉紙の包装に好ましい。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0054】
ピロー包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分を横一文字にヒートシール等で封止すると共に、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このピロー包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
なお、ピロー包装には、包装基材を垂直方向に送って、被包装物を上から充填しながら包む縦ピロー包装と、包装基材を水平方向に送って、被包装物を包む横ピロー包装がある。薄葉紙を包装する場合は、包装速度や薄葉紙の形態から、横ピロー包装が好ましい。
【0055】
ガゼット包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分の両端を内側に織り込んでマチを作り、横一文字にヒートシール等で封止すると共に、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このガゼット包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
【0056】
ある実施形態において、例えば、MD方向の曲げこわさが20μN・m以上330μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、紙製品11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)から紙製品11を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向が包装基材10のMD方向である場合に、特に好適に適用される。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。なお、包装基材10を所定の大きさに切断した後に紙製品11を配置してもよく、紙製品11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0057】
別の実施形態において、例えば、CD方向の曲げこわさが8μN・m以上145μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、紙製品11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)と直交する幅方向(CD方向)から紙製品11を包みながら包装する場合、すなわち、包む方向が包装基材10のCD方向である場合に、特に好適に適用される。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、ガゼット包装、又はピロー包装を選択することが好ましく、ガゼット包装がより好ましい。なお、この場合も、包装基材10を所定の大きさに切断した後に紙製品11を配置してもよく、紙製品11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例
【0059】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0060】
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
【0061】
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定した。
【0062】
(紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量)
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製した。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とした。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加した。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をした。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定した。包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量と、ヒートシール層の坪量を算出した。
紙基材の坪量=
包装基材の坪量×[(包装基材の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材の質量]
ヒートシール層の坪量=
包装基材の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材の質量)
【0063】
(接着剤層の坪量(接着剤塗布量))
上記のようにして求めた包装基材の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により、接着剤層の坪量を算出した。
接着剤層の坪量=包装基材の坪量-紙基材の坪量
【0064】
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0065】
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
【0066】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0067】
(包装基材のMD方向及びCD方向の破断伸び)
包装基材のMD方向及びCD方向の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0068】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引裂強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引裂強度は、JIS P 8116に準拠して測定した。
【0069】
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。
【0070】
(包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、取り出し口のミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでもよい。
【0071】
(実施例1)
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%を用いた紙基材を用意した。そして、紙基材上に、ヒートシール層として、ポリエチレン層を押出法によって製膜し、包装基材を作製した。作製した包装基材の坪量、紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量と、包装基材の厚さ、密度、MD方向及びCD方向の引張強度、MD方向及びCD方向の破断伸び、破裂強度、MD方向及びCD方向の曲げこわさ、並びにMD方向及びCD方向の引裂強度、を測定した結果を表1に示す。
【0072】
(ティッシュペーパー包装体(ガゼット包装))
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向18cm×包装基材のCD方向11cm×高さ5cmの大きさの包装体を作製した。そして、この包装体の中に、紙製品としてティッシュペーパー2plyを50組入れ、ガゼット包装により密封して、ティッシュペーパー包装体を得た。なお、CD方向から紙製品を包みながら包装する形式とした。
そして、ティッシュペーパー包装体において、底面の山折り部と谷折り部の間隔A及びティッシュペーパーの長さBを測定した。なお、上述したように、Aの測定方法としては、山折り部の中心部における、シール部の直線方向と直交する方向の、底面を形成するそれぞれの山折り部と谷折り部の間隔であるa1とa2を測定し、その平均をAと規定した。測定時は、包装基材の弛みや中身のティッシュペーパー等の影響を受けないように、包装体からティッシュペーパーを取り出し、包装基材を張った状態で測定した。また、Bの測定方法としては、ティッシュペーパーの四つ角のそれぞれの長さであるb1~b4を測定し、その平均をBとした。
【0073】
(被包装物の取り出し易さ(包装体の使い易さ))
作製したティッシュペーパー包装体について、包装基材を開封し、包装体の中からティッシュペーパーを取り出して使用した時のティッシュペーパーの取り出し易さ(包装体の使い易さ)をモニター20人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:ティッシュペーパーが取り出し難いと感じた人 0~1人
B:ティッシュペーパーが取り出し難いと感じた人 2~3人
C:ティッシュペーパーが取り出し難いと感じた人 4~6人
D:ティッシュペーパーが取り出し難いと感じた人 7~20人
【0074】
(実施例2)~(実施例12)、(比較例1)~(比較例4)
実施例2~12及び比較例1~4も実施例1と同様にして、表1に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にして、ティッシュペーパー包装体(ガゼット包装)を作製して、ティッシュペーパーの取り出し易さを評価した。ただし、実施例10においては、紙基材上にヒートシール層としてポリエチレン層を設ける代わりに、スチレン-アクリル系接着剤層(接着剤塗布量:10.8g/m)を設けた。また、実施例11においては、紙製品としてティッシュペーパー2plyを26組、実施例12においては、紙製品としてティッシュペーパー2plyを72組それぞれ入れて、ティッシュペーパー包装体を作製した。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示される結果から明らかなとおり、実施例1~12の包装体はいずれもティッシュペーパーが取り出し易く、使い易いものであった。それに対して、比較例1~4はいずれもティッシュペーパーが取り出し難く、使い難いものであった。
よって、本発明の包装体は、紙製品、特に薄葉紙等の紙製品を被包装物とする場合であっても、被包装物が減少した時にそれに合わせて凹み易い紙製品用包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 包装体
10 包装基材
11 紙製品(被包装物)
12 山折り部
13 シール部
14 谷折り部
15 底面
図1
図2
図3