(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】活性成分を有する乾燥フレーク
(51)【国際特許分類】
A61K 47/46 20060101AFI20240214BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240214BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240214BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240214BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240214BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240214BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240214BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K47/46
A61K47/36
A61K9/14
A61K9/70
A61K47/12
A61K47/42
A61K47/24
A61K36/185
A61K31/05
A61K31/352
A61P25/04
(21)【出願番号】P 2019554482
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 US2017067135
(87)【国際公開番号】W WO2018112479
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-14
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519217962
【氏名又は名称】フレーヴァーセンス
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ノリス、レスリー
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-521403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0143972(US,A1)
【文献】Drying Technology,2007, Vol.25,pp.37-48
【文献】LWT-FoodScience and Technology,2016年,Vol.66,pp.34-40
【文献】Gum Arabic: More Than an Edible Emulsifier,Products and Applications of Biopolymers,pp.3-24,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00
A61K 47/00
A61K 31/00
A61K 36/00
A23L 2/00
A23L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約0.01-30wt.%のテルペン、
5-50wt.%のアラビアゴムを含む担体、および水を混合して湿潤混合物を作製すること、ここで該重量パーセントは該湿潤混合物の重量に基づく;
(b)約60℃~92℃の範囲のベルト温度を有する薄膜ベルト乾燥機のベルト上に該湿潤混合物を広げること;および
(c)該混合物を乾燥して約7%未満の水分、任意に約2-5%の水分、および約0.15~約0.65の水分活性を有する乾燥製品を製造すること
を含む、任意にフレークの形態の乾燥製品を製造するプロセス。
【請求項2】
乾燥製品がフレークである、請求項1のプロセス。
【請求項3】
フレークが約0.07と1000ミクロンとの間の厚さである、請求項2のプロセス。
【請求項4】
乾燥製品が以下を有する、請求項1~3のいずれかのプロセス:
示差走査熱量測定によって決定される
、約0.1~0.6の水分活性で
測定した場合に約58.7-62.6℃のガラス転移温度;または
示差走査熱量測定によって決定される、約0.23-0.2の水分活性で測定した場合に約40.5-80.0℃、任意に約51.7-68.8℃のガラス転移温度。
【請求項5】
テルペンが担体中に分散されそして埋め込まれ、そして乾燥製品が少なくとも約0.01wt.%のテルペン、または任意にASTM法E-679を用いて決定される検出閾値の少なくとも約100倍の香味料化合物を含有する、請求項1~4のいずれかのプロセス。
【請求項6】
乾燥製品が気密容器中で過剰の塩化マグネシウム溶液の蒸気(32%相対湿度)に1週間曝された場合に約10質量%未満の水分;および気密容器中で飽和硫酸ナトリウム溶液の蒸気(81%相対湿度)に1週間曝された場合に約30質量%未満の水分を吸収する、請求項1~5のいずれかのプロセス。
【請求項7】
担体が、デンプン、マルトデキストリン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、糖、ラクトース、デキストロース、たんぱく質、オリゴ糖、イヌリン、乳清たんぱく質、微細藻類たんぱく質、酵母、麻たんぱく質、発酵酵母または穀物、ワイン醸造からの使用済み酵母、ビール製造からの使用済み穀物、種子デンプン、全種子、脱脂種子粉末またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~6のいずれかのプロセス。
【請求項8】
湿潤混合物がステアリン酸をさらに含む、請求項1~7のいずれかのプロセス。
【請求項9】
湿潤混合物が約10-50wt.%のアラビアゴムおよび約1-30wt.%のテルペンを含有する、請求項1~8のいずれかのプロセス。
【請求項10】
湿潤混合物がカンナビノイドを含む、請求項1~9のいずれかのプロセス。
【請求項11】
湿潤混合物が、生大麻、精製または未精製大麻抽出物、カンナビジオール、および/または大麻の葉または他の大麻植物物質を含む、請求項1~10のいずれかのプロセス。
【請求項12】
湿潤混合物が、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、またはカンナビクロメン(CBC)を含む、請求項1~11のいずれかのプロセス。
【請求項13】
湿潤混合物が、大麻抽出物、任意に大麻の超臨界二酸化炭素、ブタン、エタノール、酢酸エチル、またはイソプロピルアルコール抽出物を含む、請求項1~12のいずれかのプロセス。
【請求項14】
湿潤混合物が:
約0.1%~30%(w/w)の大麻抽出物;
約5%~30%(w/w)のアラビアゴム;および
約0%~30%(w/w)の添加テルペンおよび/またはレシチン、任意に約1%~30%(w/w)の添加テルペンおよび/またはレシチン
を含有する;または
湿潤混合物が:
約1%~30%(w/w)の大麻抽出物;
約10%~30%(w/w)のアラビアゴム;および
約0%~30%(w/w)の添加テルペン
を含有する、請求項1~13のいずれかのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年12月16日出願の米国特許仮出願62/435,599を優先権主張し、その開示全体は本明細書中に参考として援用される。
発明の背景
栄養補助食品、医薬品としての天然および人工香味料、植物抽出物、微量栄養素、および他の活性成分のカプセル化、取り込み、被覆(enrobing)、および乾燥は、ある特定の課題を提供する。理想的には、乾燥は、活性成分を揮発させない、酸化させない、またはそうでなければ損傷しないように穏やかである。従って、凍結乾燥がしばしば用いられる。しかしながら、凍結乾燥は極めて高価であり、非連続であり、そして工業的に使用するのが困難である。一方、噴霧乾燥はよりいっそう迅速であるが、穏やかではない。従って、噴霧乾燥すべき出発物質は、揮発または酸化による損失を補填するためにしばしば10-20%過剰の活性成分を有する必要がある。さらなる課題は、食品などの水性環境における、または動物(例えば、乾燥処方物で製造される食品、サプリメント、または医薬の消費者)の消化器系における活性成分の所望の速度での放出を得ることである。従って、活性成分の改善されたカプセル化、取り込み、被覆および乾燥の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の簡単な要旨
本明細書中、活性成分を含有する乾燥組成物を調製するプロセスが提供される。1つの局面によれば、当該プロセスは、活性成分を担体と1:1と1:250との間の比で混合して湿潤混合物を作製すること、60℃~92℃の範囲のベルト温度を有するコンダクタンス窓乾燥機(conductance window dryer)のベルト上に該湿潤混合物を広げること、および該混合物を乾燥して7%未満の水分および0.15と0.7との間の水分活性を有するフレークを製造することを含む。本明細書において、活性成分、担体および任意の安定化剤を含み、当該プロセスによって製造され得る乾燥製品もまた提供される。関連するプロセスおよび組成物もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、実施態様に従う活性成分を乾燥するプロセスのフローチャートである。
【
図2A】
図2Aは、油滴の噴霧乾燥部分カプセル化を説明する600x倍率での電子顕微鏡写真である。
【
図2B】
図2Bは、
図1のプロセスによって製造したフレークのマトリクス中の小さな油滴のカプセル化を説明する600x倍率での電子顕微鏡写真である。
【
図2C】
図2Cは、コンダクタンス窓乾燥した(conductance window dried)レモン風味のフレークの3000x倍率での電子顕微鏡写真である。
【
図2D】
図2Dは、凍結乾燥サンプルを示す600x倍率での電子顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、種々の乾燥香味料および食品成分と比較した、
図1のプロセスによって製造したフレークの官能パネル評価に基づく視覚データの多因子解析を示す。
【
図4】
図4は、2つの相対湿度:飽和塩化マグネシウム溶液(32%相対湿度)、および飽和硫酸ナトリウム溶液(81%相対湿度)での水の吸収による相対質量変化を示す。
【
図5】
図5は、ベータカロテン制御放出の動力学を示す。
【
図6】
図6は、70日の保存期間研究の間のテルペンの保持に対するマトリクスの効果を実証する2つのタイプのフレークについての選択した炭化水素テルペンに対する加熱保存の効果を示す。
【
図7】
図7は、70日の保存期間研究の間の酸素化テルペンの保持に対するマトリクスの効果を実証する2つのタイプのフレークについての選択した酸素化テルペンに対する加熱保存の効果を示す。
【
図8】
図8は、CWDフレークから単離した植物油のモノテルペン画分についての重ね合わせクロマトグラムを示す。赤いピークは室温で保存したフレークを表し;黒いピークは加速(より高い)温度で保存したフレークを表す。
【
図9】
図9は、CWDフレークから単離した植物油の酸素化モノテルペンおよび炭化水素セスキテルペン画分についてのクロマトグラムを示し、赤いピークはコントロール(室温)を表し、そして黒いピークは加速温度で保存したフレークを表す。
【
図10】
図10は、3つのフレークマトリクス中のブルーカモミール(Blue Chamomile)の放出を示す:Gマトリクスは高いアラビアゴムマトリクスであり、Mマトリクスは高いマルトデキストリンマトリクスであり、そしてWマトリクスは高い乳清たんぱく質マトリクスである。放出された割合は、最初の乳化物に添加された量によって予測されるように、フレークによって放出されたブルーカモミールの量である。エラーバーは、テューキーの真正有意差(Tukey’s Honest Significant Difference) (HSD)によって95%の信頼を示す。
【
図11】
図11は、新鮮な葉およびRWDパセリフレークについてのL*a*b*カラーを示す。向軸葉および背軸葉は、各パセリ葉の2つの異なる側を表す。水フレークはアラビアゴム、パセリおよび水を有するフレークである。エタノールフレークはアラビアゴム、パセリおよびエタノール/水60%(w/v)で作製されたフレークである。エラーバーは、テューキーの真正有意差(HSD)によって95%の信頼を示す。
【
図12】
図12は、最初の30分間にわたる平均自覚的精神物理学的応答を示す。効果強度は全てのパネリストにわたる平均効果強度である。エラーバーは、テューキーの真正有意差(HSD)によって95%の信頼を示す。
【
図13】
図13は、最初の30分間におけるRWD CBDのCBD定性特性評価を示す。割合は、各記述子がCBDの定性感覚に適用可能であったと考えられた試験の割合を示す。星印(*)を付した記述子は、全ての記述子が95%の信頼で同等に使用された場合にサンプルが予想された使用と有意に異なることを示す。
【
図14】
図14は、カプセル化されたRWDと既刊文献における経口CBDとの間の用量/効果-時間の比較を示す。塗りつぶされた記号は本研究を示すが、空白の記号は文献の情報源からの植物ベースの油中の経口消費されたCBDを表す。
【
図15】
図15は、パウチ中の大麻フレークを消費する消費者の精神物理学的効果を示す。エラーバーは、所定のまたはそれより強い効果強度でTHC製品を感じる消費者の割合について95%の最高密度の信頼できる間隔を示す。0.5の破線の割合の線を超えるエラーバーは、半分を超える消費者が所定の時間点で効果強度またはより強く感じたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される「活性成分」または「活性物」は、本明細書中に記載される乾燥製品によって被験体に送達されることが望まれる任意の化合物または物質であり得る。活性物は、例えば、マトリクス中に分散されて乾燥されるべき香味剤、顔料、酵素、植物抽出物、植物油、微量栄養素(ビタミン、カロテノイド、アルカロイド(ニコチン、メチルキサンチンなど)フラボノイド)、栄養補助食品、化粧品物質、または医薬物質を含む。2種以上の活性物が存在し得、そして活性物は組成物中で2つ以上の役割を果たし得るかまたは2つ以上の機能を有し得る。いくつかの実施態様では、活性物は生物学的に活性な化合物または物質であり、生理学的または精神物理学的応答(感覚および/または知覚の変化)を生じる。活性物は疎水性または親水性であり得る。
【0005】
特定した範囲に関連して、用語「間」は範囲の端点を含むべきである。
【0006】
「フレーク」は、実質的に平面および実質的に平面の最大寸法よりもはるかに小さい厚さ寸法(すなわち、平面に対して実質的に垂直な高さ)を有する実質的に平面の乾燥製品を意味するものとする。厚さは典型的には乾燥製品フレークの最小寸法であり、そして幅はフレークの実質的に平坦な平面側の最大寸法である。いくつかの実施態様では、フレークは、平面における最大寸法(平面の幅)よりも少なくとも約5倍小さい(例えば、少なくとも約10倍小さい、少なくとも約20倍小さい、または少なくとも約50倍小さい)厚さを有する。つまり、物質は少なくとも約5(例えば、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約50等)のアスペクト比(幅:厚さ)を有する。寸法は、当該分野で用いられる任意の技術によって、例えば電子ノギスを用いることによって決定され得る。
【0007】
乾燥製品に関連して、製品は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)によって決定されるようなガラス転移温度(「Tg」)によって特徴付けられるアモルファス物質を含む場合、「ガラス」を含む。製品がガラスを含む場合、それはガラス転移温度未満よりもガラス転移温度より上でより高い熱容量を有するであろう。
【0008】
大麻属は、カンナビスサティバ(cannabis sativa)、カンナビスインディカ(cannabis indica)およびカンナビスルデラリス(cannabis ruderalis)を含む。大麻は、「工業用大麻」および「マリファナ」を含む。大麻または大麻「抽出物」は、カンナビノイドを含有するこれらの植物と通常関連する生、精製、天然または合成物質を意味するものとする。例えば、大麻抽出物は大麻花樹脂であり得る。精製は任意の程度の精製を含む。従って、大麻または大麻抽出物は、例えば1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、95%より多い、または99%ものカンナビノイドを含有し得る。
【0009】
薄膜ベルト乾燥は、任意のタイプの乾燥熱源を使用し得、そして典型的にはコンダクタンス、対流乾燥、および/または赤外線加熱を使用する。1つのこのような方法は、「コンダクタンス窓乾燥(Conductance Window Drying)」または「CWD」として知られており、これは、加熱した、温度制御した、通常循環する水浴(すなわち、「コンダクタンス窓乾燥機」)上で、湿潤活性成分/担体組成物を移動ベルト、通常は一般的な目的指向ポリエステル(例えばPET)ベルト上に広げるプロセスである。ベルト上で蒸発した水分は、通常乾燥空気で積極的に置き換えられる。コンダクタンス窓乾燥は、しばしばRefractance Window DryingTM (RWD)またはHydro-DriTM (Cerule LLC)と呼ばれる。InfidriTM(Powder Pure)などの他の方法は、熱源として赤外線照射を使用し、そしてさらに他の方法はそれらの組み合わせを使用する。
【0010】
「安定化剤」は、活性成分および担体と混合した場合に、乳化乾燥の効率を改善する(例えば、所定の条件下でいかに速く組成物を乾燥するか)、活性物を安定化する、および/または乳化物を改善する(例えば、活性物と担体との相互作用(粘性を低下させる、より良好な分散物を作製する、乳化安定性を増加させる等により))物質を意味するものとする。いくつかの実施態様では、安定化剤は、乾燥温度(例えば、60と92℃との間、エタノールまたはエタノール/水混合物を含む)付近、または92℃よりも高い沸点を有する水以外の溶媒(例えば、361℃の沸点を有するステアリン酸を含む種々の油)である。いくつかの実施態様では、安定化剤は最終フレーク用途において活性物の送達を改善する。
【0011】
安定な乾燥コロイド(この1つのタイプは乳化物である)は、経時的に乾燥製品における活性物の分配を維持する。従って、例えば、乾燥物質(例えば、フレーク)が親水性物質中に分散した疎水性活性物を含む場合、分散物は「安定に乳化して」おり、疎水性活性物の分布は25℃で6か月の期間にわたって(または等価の促進された試験)10%以下まで変化する(例えば、「オイルアウト(oiling-out)」により)。安定な組成物はまた、微小成長および分解および/または活性の損失に対して耐性である。親水性物質中に分散した親水性活性物について、得られる混合物は均一である。
【0012】
「香味剤」は、添加した場合に食料または飲料に風味を与える濃縮天然または合成物質を意味するものとする。
【0013】
「担体」は、分散した活性成分を取り囲み、そして活性成分を担持し保護し、そしてその最終用途において活性物を放出するかさもなければ送達する賦形剤を意味するものとする。例えば、乾燥した活性物/担体は標的媒体(例えば、食品、飲料水性またはアルコール性飲料、水、または動物栄養系)中に分散可能であるべきである。従って、担体はフレークの意図する最終用途に要求される特性に基づいて選択され得る。担体は分散可能固体を添加し得、そして種々の膜形成能力および/または液体マトリクス中の乳化特性を有し得る。担体の選択は製品の意図する最終用途に依存するであろう。
【0014】
「マトリクス」は希釈剤、担体、活性物、および/または安定化剤からなり、典型的には湿潤混合物全体である。希釈剤は水またはアルコールと水との組み合わせ(アルコールは70%を超えない)、ジュース、脱糖ジュース、および他の液体であり得る。
【0015】
特別の定めのない限り、本明細書中に記載されるパーセント組成は重量に基づく(wt.%)。
【0016】
本明細書中、乾燥製品および活性成分、担体および安定化剤を含む湿潤混合物から乾燥製品を製造する工業的乾燥プロセスが提供される。乾燥製品は直接使用され得るか、またはさらに包装、安定化、および/または加工され得る。例示した乾燥製品はフレークの形態であるが、乾燥製品はシート、粒子、または粉末でもあり得る。例えば、乾燥製品は、乾燥によってシートまたはフレークとして製造され得、そして破砕されて粒子、粉末または他の形態を製造し得る。
【0017】
以下の実施例において議論されるように、プロセスの製品は、ある用途における顕著な安定性を含む驚くべき特性を有し、これは乾燥製品の以下の特性の組み合わせの結果であり得る:(1)水分活性、(2)ガラス転移温度、(3)フレークのサイズ、(4)水の吸着、(5)製品の多孔性(これは揮発物が製品から逃れる能力に関連する)。乾燥製品の例は、カプセル化されたエステル、テルペン、カンナビノイド、カンナビノイドを有するテルペン、エステルを有するテルペン、およびクルクミンを有するテルペンまたは他の活性成分を有する水-分散性または水-可溶性担体を有するフレークを含む。製造された乾燥製品は、噴霧乾燥と比較して、酸化耐性であり得、高い活性成分負荷を有し得、揮発物の優れた保持を有し得、そして製造するのに同等の凍結-乾燥製品よりも安価であり得る。乾燥製品は、無孔性であり得、そして非常に遅い流体吸収特性を有し得、そして出発物質の味、外観または物理的特性を有し得る。乾燥製品はまた、出発物質に存在する任意の塊または顆粒を実質的または完全に含まないことが可能である。乾燥製品は何年間も熱および空気に対して安定であり得る(例えば、周囲条件下、1年あたりの活性成分の10%、5%、または2%未満の損失、これは、2-週間の試験などのより短い期間からの外挿によって、または温度と試験される活性物の安定性との間の公知の関係を用いたより高温での加速試験によって示され得る)。
【0018】
図1は、実施態様に従う実例のカプセル化および乾燥プロセスのフローチャートを示す。活性成分は担体および任意に安定化剤と混合される(工程100)。例えば、活性成分は安定化剤中に可溶化され得、担体は添加され得、そして水は添加され得る。
【0019】
いくつかの実施態様では、活性成分は疎水性成分であり得、任意の安定化剤は疎水性であり得、そして担体は親水性であり得る。例えば、疎水性活性成分は0より大きく22未満、より典型的には0-16のlog(Kow)を有し得る。活性成分はまた揮発性であり得る。例えば、活性成分は20℃と200℃との間、75℃と175℃との間、または100℃と160℃との間の沸点を有し得る。活性成分はまた不揮発性であり得る。例えば、活性物は20℃と200℃との間、75℃と175℃との間、または100℃と160℃との間の融点を有する。
【0020】
活性成分はテルペンまたはテルペングリコシドであり得る。例えば、テルペンは、リモネン、シトラール、メントール、メントン、ショウノウ、シトロネロール、シトロネラル、ゲラニオール、ゲロール(gerol)、α-ピネン、β-ピネン、シトラール、リナロール、α-テルピネオール、α-フェランドレン、サビネン、チモール、シメン、またはミルセンなどのモノテルペン;β-カリオフィレン、α-フムレン、またはノートカトンなどのセスキテルペン;フィトール、ステビオールグリコシド、レチノール、およびレチナールなどのジテルペン;スクワレン、ククルビタシン、またはモグロシドグリコシドなどのトリテルペン;またはα-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、ネオキサンチン、ビオラキサンチン、フラボキサンチン、α-クリプトキサンチン、およびβ-クリプトキサンチンなどのテトラテルペン;またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0021】
いくつかの実施態様では、活性成分は、生大麻、大麻の未精製抽出物または精製抽出物、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、ヒドロカンナビジバリン(CBDV)、またはカンナビクロメン(CBC)などの1つ以上のカンナビノイド;またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。カンナビノイド成分は、任意に、大麻の超臨界二酸化炭素、ブタン、ヘキサン、水、エタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、またはイソプロピルアルコール抽出物であり得る。
【0022】
活性成分は、エステル;例えば、メチルエステル(例えば、ペンタン酸メチル)、エチルエステル(例えば、酪酸エチル、酪酸エチル-2-メチル、またはヘキサン酸エチル)、テルペンエステル(例えば、酪酸リナリル)、アセテート(例えば、酢酸エチル、酢酸ボルニル、または酢酸フェネチル)等;ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0023】
活性成分はまた、香味剤、カロテノイド、酵素、アルカロイド(ニコチン、テオブロミン、テオフィリン、カフェイン)、フラボノール、フェノール性化合物(クルクミン)、植物アルコール抽出物、製油、小分子医薬品、栄養補助食品、ビタミン、アセトアルデヒド、酢酸、それらの組み合わせ(例えば、複合香味料)、または当該分野で公知の他の活性物を含み得る。1つより多い異なるタイプの活性成分が混合され得、そして活性成分は列挙した活性物の任意の前述のタイプの組み合わせであり得、または当該分野で公知の他の活性物を含み得る。
【0024】
担体は、例えば、アラビアゴムなどのゴム、寒天、デンプン(マルトデキストリン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、またはグルコマンナンなど)、イヌリン、糖(ラクトースまたはデキストロースなど)、オリゴ糖、たんぱく質(乳清または麻たんぱく質など)、高タンパク質微細藻類、発酵酵母および使用済み穀物(ワイン醸造からの使用済み酵母、ビール製造からの使用済み穀物)酵母、種子デンプン、全種子および脱脂種子粉末、植物/葉またはそれらの組み合わせ(例えば、デンプンとゴムとの混合物)を含み得る。担体は水和形態で提供されて溶液、粘性溶液、懸濁液またはスラリーの形態の湿潤混合物を作製し得る。担体は親水性であり得、任意に0未満のlog(Kow)を有する。
【0025】
任意に、活性物は安定化剤と混合され得る。安定化剤は、任意に、非常に揮発性(例えば、77.1℃)から高沸点(例えば、300℃またはそれより高い)を有する不揮発性まで揮発性が変動し得る。安定化は、乾燥の前および/または間に起こり得、従って、安定化剤の大部分は乾燥プロセスの間に蒸発するであろうので、いくつかの安定化剤(例えば、エタノールまたは酢酸エチル)はいかなる実質的な量でも最終乾燥製品に含まれないであろう。他の揮発性の低い安定化剤は、最終乾燥製品の一部であろう。例えば、300℃より高い沸点を有する不揮発性安定化剤について、安定化剤の大部分は乾燥した物質中に保持される。さらに他の安定化剤(例えば、いくつかのテルペン)は、中間の沸点を有し得、従って、安定化剤の10と90%との間(例えば、20-80、30-70、40-60または約50%)は乾燥製品中に残る。いくつかの実施態様では、安定化剤は、活性成分の溶媒として作用し得、および/またはその最終用途においてフレーク中の活性物を送達するのを補助し得る。安定化剤の例は、エタノール、酢酸エチル、および植物油(例えば、大豆、トウモロコシ油、菜種、天然または調整された微細藻類油(例えば、テラビア(Terravia)からのThriveTM油))を含む。任意に、安定化剤はより複雑な成分(例えば、油性酵母または微細藻類調製物中の植物油)の一部であり得る。
【0026】
いくつかの実施態様では、アラビアゴムなどの親水性担体が使用される場合、安定化剤は担体よりもより疎水性であり得る。例えば、担体は0未満(負数)のlog(Kow)を有し得、そして安定化剤は0より大きい、任意に5.1と16との間のlog(Kow)を有し得る。特定の実施例において、安定化剤はステアリン酸であり得、これは不揮発性安定化剤である(例えば、大部分が乾燥製品中に保持される)。以下で議論するように、ステアリン酸安定化剤とともに活性テルペンを用いた驚くほどに安定な処方物が達成される。抗酸化剤などの安定化剤が添加され得るが、これらは、ステアリン酸安定化剤を用いてまたは用いずに製造される活性テルペン処方物の驚くべき安定性のために、省略することもできる。
【0027】
活性物に対する担体の任意の適切な比が使用され得る。担体対活性成分の比または担体対活性成分+安定化剤(「活性物系」)の比は、約1:1以上、例えば約1:2以上、あるいはさらに約1:3以上の範囲であり得る。一般的に、担体対活性物の比は、約1:250以下(例えば、約1:100以下;約1:75以下、または約1:50以下)であろう。いくつかの実施態様では、担体対活性物の比は、約1:1~1:250、1:1~1:20、1:1または1:10、あるいは1:1~1:5であろう。実施態様の1つの実施例において、乾燥されて製品を提供する湿潤混合物は、湿潤重量で5-50%または5-30%(例えば、10-50%または10-30%)の担体(例えば、アラビアゴムおよびマルトデキストリン)および0-30%(例えば、0.1-30%または1-30%)の安定化剤(例えば、ステアリン酸)を含有する。特定の実施態様において、湿潤混合物は、担体として19.2%(湿潤重量)のアラビアゴムおよび15.3%のマルトデキストリン、7.1%の活性物、および安定化剤として0.07%の湿潤重量のステアリン酸を含有する。残りは水であり得る。この実施例において、乾燥重量の割合は:35.2%のアラビアゴム、44.3%のマルトデキストリン、16.3%の活性物、0.16%の安定化剤である。
【0028】
活性物、担体および任意の安定化剤に加えて、乳化剤が含まれ得る。食料加工に用いられる任意の種々の乳化剤が組成物に使用され得る。非限定の例は、レシチン、ポリソルベート、卵黄、およびステアロイル乳酸ナトリウムを含む。
【0029】
活性成分、安定化剤、および担体は、任意の適切な方法によって、例えば、任意の順序で混合、ブレンドまたは乳化(工程110)によって混合され得る。担体は水と予備混合され得る。任意に、活性物は安定化剤中に予備可溶化され、あるいはそうでなければ安定化剤と混合される。活性物/安定化剤混合物は、湿潤担体にゆっくりと添加されそして混合、ブレンドまたは乳化され得る。任意に、追加の水が活性物/安定化剤/担体混合物に添加され得る。結果として、サイズが0.01-20ミクロンの間の小滴サイズを有する水中油乳化物が形成され得る。実施態様において、活性成分は湿潤混合物の0.0001 wt.%以上(例えば、約1 wt.%以上、約5 wt.%以上、約10 wt.%以上、約20 wt.%以上、約30 wt.%以上)を構成し得る。
【0030】
成分を混合して湿潤混合物を作製した後、混合物は薄膜ベルト乾燥機/コンダクタンス窓乾燥機のベルト上に広げられるか、またはそうでなければ供給される(工程120)。広げることは、例えば、スプレーバーまたはドクターブレードを用いて達成され得る。薄膜乾燥機は、例えば、Modesto, CAのG3乾燥機、およびベルギーのFlanders Foodによって販売されている。乾燥機の水浴は、60℃~92℃、65℃~87℃、または70℃~85℃の範囲の温度に設定され得、そして任意に乾燥製品は冷却される(例えば、11-21℃まで)。
【0031】
乾燥は、典型的にはシートまたはフレークの形態の乾燥製品が製造されるまで続けられる。例えば、乾燥シート(例えば、ベルトの幅)はベルト上で製造され、ナイフブレードの鋭い刃によって切断されそして集められ得る。いくつかの場合において、シート段階を経由することなく乾燥してフレークが形成するであろう。フィルムまたはフレークは、7%未満(例えば、2-6%、2-5%、または3-5%)の水分および0.1と0.7との間、0.1と0.4との間、または0.15と0.6との間の水分活性を有し得る。水分活性は、例えば、Novaseina R.T.D. 502機器(Novaseina, Pfapfikkion, スイス)を用いて決定され得る。
【0032】
乾燥した物質は、ベルトから集められ得(工程130)、そしてさらに加工または包装され得る(工程140)。任意に、物質の大きな一片(例えば、シート様一片)はベルトから取り出され、そして切断されて所望のサイズのフレークまたは他の粒子を形成する。任意のサイズのフレークまたは粒子が作製され得る。いくつかの用途のために、フレークまたは粒子は6mmと20mmとの間(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mm)の直径の円に外接し得る。フレークまたは粒子の母集団について、フレークまたは粒子の平均または大部分は6mmと20mmとの間(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mm)の直径の円に外接し得る。他の用途のために、より小さいフレークまたは粒子が望ましくてもよい(例えば、6mm未満の直径の円に外接し得るフレークまたは粒子、ここで母集団におけるフレークまたは粒子の平均または大部分はこのようなサイズを有する)。フレークは不規則な形状であり得、そして例えば、長さ1-12mm、幅1-6mmおよび高さ1mm未満であり得る。任意に、フレークは無孔性であり得る(多孔性はしばしば揮発物の損失に相関し、すなわち、より多孔性であると揮発物がより損失する)。
【0033】
実施例の顕微鏡写真の証拠に示されるように、フレークまたは粒子は担体中に分散されたまたはそうでなければ埋め込まれた小球を有し得る。小球は、疎水性でかつ任意に溶媒和する安定化剤と任意に混合された疎水性活性物を含み得る。あるいは、フレークは親水性安定化剤と混合された疎水性活性物を含み得る。
図1のプロセスによって製造される乾燥製品は、薄膜乾燥(コンダクタンス/IR)、凍結乾燥または噴霧乾燥によって製造される他の物質と比較して特有の特性を有し得る。実施態様において、乾燥製品は以下の特徴の1つ、2つ以上、または全てを有し得る:
(a)乾燥製品が、示差走査熱量測定により、0.23と0.24との間の水分活性で40.5と80.0℃との間のガラス転移温度、および任意に、0.23と0.24との間の水分活性で51.7と68.8℃との間のガラス転移温度を有する;
(b)乾燥製品が、同等の噴霧乾燥組成物と比較した場合、ヒト官能パネルによって決定されるように艶のある、光沢のある、光彩を放つまたはきらめくように見えるフレークであり;そして60度の角度で1.9より大きい平均光沢測定;
(c)活性成分が、担体および/または残りの不揮発性安定化剤中に埋め込まれた小球中に分散しており、乾燥製品が、乾燥製品の重量に基づいて、0.1-71%、任意に1-42wt.%または20-40wt.%の活性物を含有する;
(d)活性成分が、担体中に埋め込まれた小球中に分散しており、小球が100nmと500ミクロンとの間、大部分は500、100、50、20、15または10ミクロン未満(例えば、0.01-20ミクロン)の直径である(すなわち、電子顕微鏡法によって測定されるように、小球の大部分(数)が500、100、50、20、15または10ミクロン未満(例えば、0.01-20ミクロン)の直径である);
(e)乾燥製品が、気密容器中で過剰の塩化マグネシウム溶液の蒸気(32%相対湿度)に1週間曝露された場合に25質量%未満、あるいは20質量%未満、10質量%未満の水;および気密容器中で飽和硫酸ナトリウム溶液の蒸気(81%相対湿度)に1週間曝露された場合に50質量%未満、あるいは40質量%未満、30質量%未満の水を吸収する;
(f)乾燥製品が、0.07-1000ミクロンの間の厚さ、あるいは10-1000ミクロンの厚さ(例えば、約10と1000ミクロンとの間の厚さ)のフレークである;および
(g)乾燥製品が、平均フレークサイズが0.1-200mmであり、そしてしばしば約0.6mmと20mmとの間の円に外接し得るフレークである。
【0034】
実施態様において、乾燥製品は、湿潤重量の10-30%の担体(例えば、ゴム)、および1-20%の混合した活性成分および安定化剤を含む。別の実施態様において、最終乾燥重量の1~46%(w/w)(例えば、1%~30%(w/w))の大麻抽出物、54-96%(w/w)のアラビアゴム、および0%~46%(w/w)(例えば、1%~46%(w/w))の添加テルペンを有するフレークである。特定の実施態様において、テルペンはミルセンである。実施態様において、乾燥製品は、10-30%または20-40%の大麻油、50-90%(例えば、54-80%または56-86%)のアラビアゴム、および/または1~10パーセントのミルセンまたは他のテルペンを含み得る。別の実施態様において、乾燥製品は、22-37%の大麻油、60-75%のアラビアゴム、および/または1~5パーセントのミルセンまたは他のテルペンを含み得る。例えば、乾燥製品は、25%または27%の大麻油、67%または70%のアラビアゴム、3%または4%のミルセン、および3%の水を含み得る。
【0035】
乾燥製品は、直接、または飲料および食料品を含む任意のタイプの処方物中の成分として使用され得る。このような処方物は、例えば、乾燥混合物、液体飲料、焼き菓子、錠剤、カプセル、パウチまたは袋(例えば、口中に保持しそして活性物を浸出させることなどによって、液体中に浸すためまたは経口消費のためなどの織物または紙パウチまたは袋)、練り歯磨き、乾燥混合物(飲料、ベーキングなど)、マウスウォッシュ、および/またはローション/クリーム、香味料ブレンド、熱間充填ソース、錠剤、カプセル、または他のピル、チューインガム、ドレッシング/薬味(これらの大部分はフレークの放出特性から利益を得ることができる)を含む。これらの特性は、フレークを作製するプロセスの結果である(マトリクス組成、フレークのサイズ、ガラス転移温度、多孔性、水分活性)。ローションにおける徐放は、使用者の手の熱がローションの水相中へフレークを可溶化することを可能とし、その結果、フレークは活性成分を放出し、従って皮膚を通して吸収され得る。徐放錠剤について、使用者の胃酸は錠剤を溶解し、そして錠剤内のフレークは消化器系を介して吸収されるであろう。さらに、口中に保持されるよう設計されたパウチ中または口中で溶解するよう設計された錠剤中にフレークがある場合、口中でのフレークの速い放出がある。活性物の送達は、消費者の精神物理学的応答試験を用いて測定されるように、液体可溶性活性物について予想されるよりも速い。フレークはまた、ティーバッグ(すなわち、水中に沈め得るフィルター物質中に包まれる)を含む乾燥混合物飲料における使用のために包装され得る。任意に、ティーバッグ中のフレークは水(熱い、温かい、または冷たい)中に溶解したが、活性成分は、用途に付された場合、分散したままであり、そして再水和すると安定なコロイド状分散物(この1つのタイプは乳化物である)であるので、オイルアウトしない。
【0036】
図1のプロセスによって製造される乾燥製品は、薄膜乾燥(コンダクタンス/IR)、凍結乾燥または噴霧乾燥によって製造される他の物質と比較して特有の特性を有し得る。乾燥製品は以下の特徴の1つ、2つ以上、または全てを有し得る:
(a)乾燥製品が、示差走査熱量測定により、0.23と0.24との間の水分活性で40.5と80.0℃との間のガラス転移温度、および任意に、0.23と0.24との間の水分活性で51.7と68.8℃との間のガラス転移温度を有する;
(b)乾燥製品が、同等の噴霧乾燥組成物と比較した場合、ヒト官能パネルによって決定されるように艶のある、光沢のある、光彩を放つまたはきらめくように見えるフレークであり;そして60度の角度で1.9より大きい平均光沢測定;
(c)活性成分が、担体および/または残りの不揮発性安定化剤中に埋め込まれた小球中に分散しており、乾燥製品が、乾燥製品の重量に基づいて、0.1-71wt.%、1-42wt.%または20-40wt.%の活性物を含有する;
(d)活性成分が、担体中に埋め込まれた小球中に分散しており、小球が100nm-500um、大部分は約500、100、50、20、15または10ミクロン未満(例えば、0.01-20ミクロン)の直径である(すなわち、電子顕微鏡法によって測定されるように、小球の大部分(数)が500、100、50、20、15または10ミクロン未満(例えば、0.01-20ミクロン)の直径である);
(e)乾燥製品が、気密容器中で過剰の塩化マグネシウム溶液の蒸気(32%相対湿度)に1週間曝露された場合に25質量%未満、あるいは20質量%未満、10質量%未満の水;および気密容器中で飽和硫酸ナトリウム溶液の蒸気(81%相対湿度)に1週間曝露された場合に50質量%未満、あるいは40質量%未満、30質量%未満の水を吸収する;
(f)乾燥製品が、0.07-1000ミクロンの間の厚さ、約1および2500ミクロンの厚さ(例えば、約10と1000ミクロンとの間の厚さ)のフレークである;および
(g)乾燥製品が、0.1-200mmの平均サイズを有し、しばしば約0.6mmと20mmとの間(例えば、約6mmと20mmとの間)の円に外接するフレークである。
【0037】
実施態様において、10-30%の湿潤重量の担体(例えば、ゴム)、および1-20%の湿潤重量の混合した活性成分および安定化剤を含む乾燥製品が製造される。別の実施態様において、1~46%(w/w)の最終乾燥重量(例えば、1%~30%(w/w))の大麻抽出物、54-96%(w/w)の最終乾燥重量のアラビアゴム、および0%~46%(w/w)(例えば、1%~46%(w/w))の最終乾燥重量の添加テルペンを有するフレークがある。特定の実施態様において、テルペンはミルセンである。実施態様において、乾燥製品は、10-30%または20-40%のカンナビスオイル、50-90%(例えば、54-80%または56-86%)のアラビアゴム、および/または1~10パーセントのミルセンまたは他のテルペンを含み得る。別の実施態様において、フレーク乾燥製品は、22-37%のカンナビスオイル、60-75%のアラビアゴム、および/または1~5パーセントのミルセンまたは他のテルペンを含み得る。例えば、乾燥製品(例えば、乾燥フレーク)は、25%または27%のカンナビスオイル、67%または70%のアラビアゴム、3%または4%のミルセン、および3%の水を含み得る。
【0038】
乾燥製品は、公知の技術および任意の賦形剤を用いて、錠剤、カプセル、パウチ、マウスウォッシュ、練り歯磨き、食品/飲料品(焼き菓子、飲料など)および/またはローションに処方され得る。錠剤、カプセル、またはローションは、被験体に投与され得る。医薬用途の場合、被験体は活性成分を必要とするものであり得る。乾燥製品は、上記のようなカンナビノイド、担体および安定化剤を含み得る。クリームまたはローションのような局所組成物に処方される場合、組成物は皮膚に適用され得る。カンナビノイドおよびテルペンの使用を含むいくつかの場合、活性成分はフレークを含むパウチまたは乾燥混合物飲料によって口中で吸着され得る。活性物は吸収され、そして活性物に対する精神物理学的応答は、非フレーク形態の活性物について典型的な1.5-2時間よりも短い15-30分で消費者によって感知される。
【0039】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、もちろん、いかようにもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0040】
本発明の別の実施態様に従って、乾燥すべき裏ごしした食品、植物出発物質、または他の物質は、担体および/またはエタノールまたは酢酸エチルなどの揮発性/親水性安定化剤と混合され、そして薄膜ベルト乾燥プロセスに供される。出発物質は、出発物質において乾燥前または乾燥中に生じる色変化(例えば、褐色化)、酸化、または香味料分解を引き起こす酵素を有し得る。任意に、ピューレは乾燥前に香味料と混合される。揮発性/親水性安定化剤は、エタノール-水混合物(例えば、約6-95%、約6-35%、約10-45%、約15-40%、または約20-40%のエタノール)であり得、または出発物質の発酵によって作り出され得る。任意に、出発物質は着色植物物質である。任意に、出発物質は揮発性/親水性安定化剤としてエタノールを添加する前に3%未満のエタノールを有する。出発物質は、例えばエタノール-水混合物中に漬け込まれ得る。漬け込まれた物質は、次いで薄膜ベルト乾燥機を用いて乾燥されて乾燥製品(例えば、フレーク)を製造する。驚くべきことに、出発物質を揮発性/親水性安定化剤なしで噴霧乾燥、凍結乾燥、またはCDW乾燥に供した場合と比較して、より天然色(例えば、緑色植物/クロロフィル染料)が得られ得る。
【0041】
このような組成物を製造するにおいて、コンダクタンス窓乾燥機の水浴は、約60℃~92℃、約65℃~87℃、または約70℃~85℃の範囲の温度に設定され得、そして乾燥製品の取り出し前に約15~21℃に冷却され得る。エタノールの範囲は、約1-50%または約3-35%であり得る。実施態様に従って、新鮮な緑色植物出発物質(例えば、食品「植物」葉/幹)は、約6-50%、約6-35%、約10-45%、約15-40%、または約20-40%エタノール中で裏ごしされ、そしてCDW乾燥によって乾燥される。いくつかの実施態様では、得られた乾燥物質はL*a*b*カラーを有し、l、a、およびbパラメーターはそれぞれ出発物質から10、8、7、6、5、4、3、2、または1以下変化する。
【0042】
任意の特定の理論または作用機序によって束縛されることを望むことなく、エタノールなどの揮発性/親水性安定化剤の添加は出発物質中の酵素の活性を阻害し得、それによって薄膜乾燥前および薄膜乾燥中に出発物質の色または香味料を保存すると考えられる。エタノールは噴霧乾燥中の香味料の揮発に関連しているが、驚くべきことに、薄膜乾燥前に出発物質をエタノールと混合した場合に香味料および色は有意に損失されない(例えば;GC-MSおよび官能測定によって決定されるように所望の香味料化合物の10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満の損失)。
【0043】
実施例1: フレーク中の揮発性活性物の保持。
【0044】
噴霧乾燥について使用される温度よりも低い温度で担体および活性物が加熱されるので、シトラールなどの感熱活性物の多くは
図1のプロセスによって製造されるフレーク中に保持され得る。レモン香味料カプセル化(レモン油を含む)との比較において、同じマトリクスを用いて、薄膜乾燥は158ppmのシトラールを保持することが可能であったが、噴霧乾燥は同じ香味料(および同じマトリクス)を111ppm保持した。同様に、メントールおよび混合したペパーミント香味料はより高い割合で保持された。典型的には、噴霧乾燥香味料中のメントールは20%で保持され、そして薄膜乾燥機は26-28%のメントールを保持することができた。
【0045】
実施例2: 油溶性活性物を含む植物精油の高負荷での保持
【0046】
図1のプロセスを用いて、予想されるよりも高い精油の活性物の濃度、典型的には1%-25%、しかし42%程度の高さを、香味料の分解または損失なく最終乾燥フレークにおいて得た。不安定テルペンで一杯になった1倍(one fold)のレモン油は乾燥されそして安定化され得る(典型的には、工業はテルペンを油から除去してオフノート(off-note)の形成を防止する)。従って、マトリクスに依存して、3.3~42%の活性物負荷が達成され、従って最終食品/栄養補助食品用途における香味料/活性物を与えるのに必要な使用レベルを低下させる。噴霧乾燥香味料の典型的な使用レベルは0.2-1.0%であり、そして薄膜乾燥香味料の典型的な使用レベルは、それらの高い濃度のために0.05-0.5%であり得る。
図1のプロセスの使用は、噴霧乾燥香味料およびまたは真空凍結乾燥香味料に対する使用と類似のコストを生じる。
【0047】
実施例3: フレーク形態の乾燥安定コロイドを形成する油溶性および/または水溶性化合物を含む植物抽出物(例えば、ヘキサン、CO2、ブタン、水抽出方法の保持。
【0048】
図1のプロセスを用いて、抽出物の高負荷がテルペンまたは活性物の分解なく得られた。典型的には0.001-25%、しかしいくつかの場合では30%程度の高さが最終乾燥フレークにおいてテルペンの分解、香味料または活性物の損失なく得られた。従って、マトリクスに依存して、0.001-30%の活性物負荷が安定化剤を使用しておよび使用することなく達成され、従って乾燥安定形態の活性物についての費用効果の高い送達システムを作り出す。
【0049】
実施例4: 水中での再水和後の乳化物の形成
【0050】
不揮発性ジテルペンの混合物を
図1で詳述したプロセスを用いてカプセル化した。2つのプロトコルを用いてこのフレークを分析し、第1はメタノール溶媒中でフレークを直接再水和し、第2はフレークを再水和し、分析前にメタノールで乳化物を破壊した。この実験の詳細を以下の表に詳述する。
【0051】
【0052】
フレークの直接分析に関連するより低い観察された濃度は、物質がカプセル化される証拠である。水和および見かけ乳化の破壊後に見られたより高い観察された濃度は、フレークが再水和された場合に乳化物が再形成されたことを示す。
【0053】
実施例5: フレーク対凍結乾燥および噴霧乾燥の特徴付け
【0054】
図2A-2Dは、噴霧乾燥した香味料、コンダクタンス窓乾燥した香味料および凍結乾燥した香味料の間の差異を説明する電子顕微鏡写真である。大きな球を作り出す、担体によって取り囲まれた油滴の噴霧乾燥した部分カプセル化を
図2Aに600x倍率で示す。マトリクス中に取り込まれた非常に小さな油滴のコンダクタンス窓乾燥したカプセル化を
図2B(600x)および
図2C(3000x)に示す。後者の図は、コンダクタンス窓乾燥したレモンを3000x倍率で示す。小さな(10um未満)油滴はアラビアゴムマトリクス中に埋め込まれ、良好にカプセル化された香味料を生じる。比較により、
図2Dに示すように、凍結乾燥サンプルは多くの層からなる大きな塊を示す(凍結乾燥は典型的には22-48時間かかり、そして多孔性の吸湿性の乾燥塊を生じる。
【0055】
実施例6: 官能パネリストによって測定されるフレークの虹色の/艶のある特性:
【0056】
12人の経験を積んだ官能パネリストは、2つのコンダクタンス窓乾燥サンプル、1つはピンク(イチゴ風味)、1つは白色(
図1のプロセスによって製造)、1つの噴霧乾燥サンプル、および3つの異なる食感の粉末化結晶性物質(コーシャーソルト、スパークルシュガーおよびマルドンシーソルト)を視覚的に試験するための感覚方法論を適用する全てのチェックを用いた。イチゴコンダクタンス窓乾燥サンプルを、イチゴピューレ(67%湿潤重量)、アラビアゴム(5.6%湿潤重量)、香味料(5%湿潤重量)および残りの水を用いて製造した。乾燥重量基準で、これは26%のアラビアゴム、46.7%のイチゴ、23.25%の香味料および4%の水に等しい。最終フレークは非常に心地よいピンク/赤色であった。白色フレークは、10%の油、40%のアラビアゴムの比の植物油およびアラビアゴム、水としての残り(湿潤重量)であり、そして乾燥フレークは19.6%(w/w)の油、76.4%(w/w)のアラビアゴム、4%の水(w/w)に相関する;フレークは
図1のプロセスに従って製造した。
【0057】
視覚パネルデータの多因子解析(MFA)バイプロットを
図3に示す。この感覚方法論を用いて、パネリストは、
図1のプロセスに従って乾燥したサンプル(
図3の「香味料-フレーク」)が艶のある、光沢のある、光彩を放つおよびきらめくとして視覚的に記載され、一方噴霧乾燥サンプルは光沢のないとして記載されたことを同定した。
【0058】
実施例7: きらめき/光沢の機器測定: CWDイチゴフレークおよび商業的に得たイチゴ噴霧乾燥粉末(ブルーパシフィックフレーバー(Blue Pacific Flavors))を、ETB-0833光沢度計を用いて60度の角度で比較した。両方のカプセル化香味料を、段ボール紙の滑らかな切片上に広げ、測定領域を完全に覆った。各香味料の表面にわたって10の測定を行い、そしてそれらの95%の信頼区間とともに表1に報告する。これらの2つの製品は、p<0.0001で有意に異なる光沢を有する。
【0059】
【0060】
実施例8: フレークのガラス転移温度(Tg): ガラス転移温度(Tg)は、アモルファス系がガラス状態からゴム状態に変化する温度として定義され得、そして物理特性を水の含量および温度に関連付ける参照温度を構成する。揮発物の放出による芳香強度の損失は、カプセル化した香味料がガラス状態からゴム状態に変換する場合に起こり得る。この状態変化は、水分量または温度の増加のいずれかによって引き起こされ得る。典型的には、第1の加熱におけるTgピークは読み取られず、そして第2のTg読み取りが使用される(これは、Tgの決定を妨げ得る緩和エンタルピーを除外する)。異常に小さいTgピークはCWDフレークについて第1の加熱について観察された。以下の表2は、3つのCWDフレークについてのTgおよび水分活性値および噴霧乾燥香味料についての典型値を含む。この試験で用いたコンダクタンス窓乾燥香味料は、実施例6で以下に示すように調製した。噴霧乾燥値は文献から要約した。
【0061】
【0062】
乾燥フレークの水分活性は、典型的噴霧乾燥香味料よりも実質的に低く、ならびにガラス転移温度は実質的により高い。これは、薄膜乾燥フレークがより安定であることを示す。
【0063】
実施例9: フレーク技術を用いて食品用途において新鮮な香味料を送達する ランチサラダドレッシングにおけるコリアンダー香味料フレークの官能分析:
【0064】
香味料活性物を、油溶性の新鮮なコリアンダー香味料を作製するような方法で混合した。香味料活性物を植物油中に可溶化し、次いで予備水和したアラビアゴム/マルトデキストリンとそれぞれ3.5、21.5、および1.5%で混合した。混合物をSilversonせん断ミキサーを用いて速度6-7でせん断混合した。得られた乳化物を薄膜ベルト乾燥機上、180-185°F、30パーセント(約4.1メートル/分)のベルト速度で乾燥した。本実施例および本明細書中の他の実施例について、100pctのベルト速度は約13.7メートル/分である。得られた乾燥フレークは10.6%の香味料、2.2%の安定化剤、83.6%の担体および3.6%の水分を含んでいた。
【0065】
12人の食品科学者は、ランチドレッシングにおけるコリアンダー加工の4つの方法を評価した。4つの加工方法は、香味料フレーク(0.075%)、空気乾燥コリアンダー(0.25%)、凍結乾燥コリアンダー(0.25%)および新たに刻んだコリアンダー(2.0%)であった。試験前に全てのドレッシングをコリアンダーの添加後48時間熟成させた。食品科学者は、塩気のないケトルポテトチップスを用いて全てのランチドレッシングを試験し、そしてそれらを新鮮なコリアンダー香味料において順位付けした。コリアンダー香味料が新鮮なほど、順位は低くなる。データを最小有意差試験とともにフリードマン検定を用いて分析し、差異を決定した。結果を表3に示す。同じ文字を共有する製品は有意に異ならない。
【0066】
【0067】
新鮮な香味料を送達するための香味料フレークの費用効果の高い使用の比較を表4に示す。
【0068】
【0069】
従って、薄膜乾燥プロセスは、認識される新鮮さに関してより低い費用で優れた製品を製造する。
【0070】
実施例10: モデル香味料フレーク
【0071】
モデル香味料を作製して活性物(香味料)化合物の保持に対する種々のマトリクス物質の特性を調査した。特に、香味料-フレークにおける揮発物のカプセル化に対する自然食品(微細藻類または酵母)成分の影響を調査した。モデル香味料は以下を含んだ:
【0072】
【0073】
このモデル混合物を、11%の湿潤重量で5つの異なるカプセル化マトリクス中にカプセル化し、これらは以下の通りである:
【0074】
【0075】
【0076】
マトリクス成分を水とせん断混合し、そしてモデル香味料をせん混合(6-7に設定したSilversonミキサー)しながらゆっくりと添加した。得られた乳化物を180-185°Fで22%のベルト速度で乾燥した。本実施例および本明細書中の他の実施例について、100%のベルト速度は約13.7メートル/分である。フレークの500mgの部分を5mLの水中で再構成し、そして各化合物の相対濃度をHS-SPME-GC-MSを用いて3回測定した。分散の分析を各化合物の相対測定について行った。直行対比を作製して、全成分を添加する効果、藻類と酒かすとの間の差異、および各自然食品成分の濃度を増加させる効果を確認した。以下の表は結果を要約する:
【0077】
【0078】
†は、この化合物がコントロール中に存在しなかったことを示し、*はp<0.05での有意性を示し、**はp<0.01での有意性を示し、そして***はp<0.001での有意性を示す。数値は、処理間での化合物濃度の比例増加を示す。
【0079】
結果は、より高い濃度によって測定されるように、5つの検査した化合物のうち4つの保持がマトリクス組成によって影響を及ぼされたことを示す。有意な効果があった全ての場合において、自然食品(微細藻類および酵母)はカプセル化を増加させた。有意な効果があった全ての場合において、マトリクスにおける微細藻類の使用は酵母と比較してより高い保持を生じた。
【0080】
実施例11:水の吸収によって測定される活性物の安定化
【0081】
乾燥した粒子/フレークの安定性を測定する典型的な工業的方法は、粒子/フレークによって吸収された水の量を3つの異なる相対湿度で経時で測定することである。これは、乾燥した粒子が所定の高い相対湿度の存在下でどのようにして物理的に安定であるかの尺度を与える。
【0082】
ベータカロテン(活性物)を植物油安定化剤.05中に9.95w/wに溶解した。活性物混合物を水およびアラビアゴムの予備水和した混合物(80/20 w/w)と混合した。得られた混合物を速度設定6-7のSilversonせん断ミキサーを用いてせん断混合し、そしてコンダクタンス窓乾燥機中で乾燥した。温度は175°Fであり、そしてベルト速度は25%であった。最初に、香味料フレークの水分含量を水収支を用いて3回測定した。2.0グラムの香味料フレークを、相対湿度を制御するための媒体を有する密封容器の内部の3つのプラスチックペトリ皿のそれぞれに置いた。3つの媒体は以下の通りである:シリカゲル(0%相対湿度)、飽和塩化マグネシウム溶液(32%相対湿度)、飽和硫酸ナトリウム溶液(81%相対湿度)。フレークを密封容器中で1週間平衡化させた。水の吸収を測定するために、各ペトリ皿中のサンプルからの水濃度を水収支を用いて測定した。水分含量の初期測定と保存終了時の水分含量との間の差異は、どのくらいの水が吸収されたかを決定する。
【0083】
結果を表1および
図4に要約する。平衡後の平均相対質量は、表4に含まれる;これらのデータは、95%の信頼性エラーバーとともに
図4にプロットされる。両方の製品とも0%湿度での平衡後に同様の質量を有し、それらが平衡前に同様の水分含量を有していたと推測する。他の2つの平衡条件では、香味料フレークは市販のサンプルよりも多くの水を吸収した。ベータカロテンフレークはより多くの水を吸収したが、それは32%湿度での予備平衡質量とは有意に異ならなかった。81%湿度での両方の場合において、両方のサンプルは破壊されそしてカプセル化活性物として使用不可であった。種々の相対湿度での噴霧乾燥およびCWDフレークの水和特性の類似性は、以下の実施例8の保存期間研究において観察されたCWDフレークの観察された驚くべき安定性を説明しなかった。
【0084】
【0085】
実施例12:アラビアゴムマトリクスからの活性物(ベータカロテン)の制御放出。
【0086】
噴霧乾燥活性物(身体中で相互作用する香味料、顔料、化学物質を含むがこれらに限定されない)について、放出速度は相対湿度および壁物質の組成に依存することが十分に立証されている。香味料の放出に対する相対湿度の効果は、噴霧乾燥した球体の個々の構造が無傷のままである限り香味料の高い保持が維持されることを示す。
図1のプロセスによって製造された活性物(香味料)フレークについて、我々は、フレークの、2つの温度での水中での溶解速度、および油中での溶解速度を測定し、フレークが可溶化する場合を分光光度法で決定した。可溶化の速度は、制御条件下で活性物を送達するフレーク技術の能力の尺度である。可溶化は、担体、フレークのサイズおよび厚さ、フレークの多孔性および嵩密度の関数である。
【0087】
活性物フレークを上記の実施例6のようにして製造した。β-カロテンの1%(w/w)水溶液を製造した。サンプルを、最初の試験で0、5、10、20、および40分で、および再現で0、5、および10分で取った。サンプルを取るために、混合物を10秒間攪拌し、そして600uLのアリコートを取った。このアリコートに既知量のジクロロメタン(3.00グラムと4.50グラムとの間)を添加し、そして20秒間激しく振盪した。ジクロロメタン層をピペットでキュベット中に取り、そしてその吸光度を461nmで測定した。結果を
図5に示す。この実験は、フレークからのベータカロテンの経時での放出を実証した。
【0088】
制御放出は、食品および栄養補助食品工業にとって需要の高い特性である。価値は加熱食品用途における活性物(香味料、顔料、生体活性化合物)の送達にあり、チューインガム、加熱充填ソースなどの香味料に広がる)。さらに、直接消費されるフレーク(パウチ、錠剤によって送達され、水に可溶化される)は、人体における微量栄養素の送達機構を提供する。典型的には油溶性成分は、予想されるほど生物学的に利用可能ではない(ビタミンEの例)。フレークは活性油の乳化したバージョンを提供するので、我々は、それは元々の植物において見出される形態とより類似しており、従って身体においてより認識可能でかつ吸収可能であると考える。ベータカロテンの我々の放出は、我々が活性物の乳化した形態を送達して栄養素を身体におよび新鮮な香味料を加工食品に送達し得ることを提案する。
【0089】
実施例13: 複数のマトリクスからの揮発性活性物ブルーカモミール油の制御放出
【0090】
植物の揮発性成分は活性物の重要な供給源である。噴霧乾燥に関連した高温は、このような活性物を揮発させおよび/または分解させ、最初に添加したよりも低い割合のカプセル化を生じ得る。さらに、活性物の放出速度は、使用における活性物の送達にとって重要であり得る。ブルーカモミール油は、揮発性の鮮やかな青色顔料、炭化水素セスキテルペンカマズレンを含むジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla)から蒸留された揮発性精油である。ブルーカモミール油を、標準CWDプロトコルを用いて3つの異なるマトリクス組成物でカプセル化し、以下の表に要約した;全ての場合において、各マトリクスの残りの割合は水であった:
【0091】
【0092】
全てのフレーク組成物をUV-可視分光法を用いて、標準曲線を用いて有効にした吸光度対濃度で分析した。簡潔には、2.5グラムのフレークを47.5グラムの脱イオン水に添加し、そして攪拌プレートを用いて150RPMで攪拌した。200μLのアリコートをフレーク-水混合物から0.5、2.5、7.5、および15分で取った。このアリコートを800μLのメタノールに添加し、そして10秒間ボルテックスして乳化物を破壊し、遠心分離において16.1krcfで10分間回転させた。メタノール層をピペットで取り出し、そしてUV-可視分光器を用いて分析し、そして603nmで分析した。測定は各フレークマトリクスについて2回行った。全てのデータをテューキーの真正有意差での分散分析を用いて分析した。全ての統計的有意性はp<0.05を示す。
図10を見よ。
【0093】
驚くべきことに、実験における誤差の範囲内で、100%のブルーカモミール油が全てのマトリクスにカプセル化された;ブルーカモミール油が主として揮発性モノテルペンおよびセスキテルペンからなるにもかかわらず。さらに、フレークマトリクス間でブルーカモミールの放出について有意な差異があった。主としてゴムからなるマトリクスは最速の放出を有したが、一方、たんぱく質が多いおよびデンプンが多いマトリクスはより遅い放出を有した(互いに有意に異ならないが)。これは、CWDフレークが効率的に精油をカプセル化し得、そしてフレークからの放出が所望の用途に調整され得ることを示す。さらに、異なる組成のマトリクスが同じ放出パターンを有し得るので、これはCWDフレークを使用し得る様々な用途を可能とする。
【0094】
実施例14: 保存期間試験によるフレークにカプセル化された活性物の安定性。
【0095】
揮発性活性物の安定性を決定するための典型的な工業的方法は、加速保存期間試験を行うことである。モノテルペン、モノテルペンアルコール、およびセスキテルペンを含むカプセル化植物油を、以下のプロセスに従って、2つのマトリクス中、1つはアラビアゴムおよび1つはアラビアゴム+植物由来デンプン中で調製した:
【0096】
工程1:活性物を安定化剤、この場合、植物油に溶解する。従って、精油を植物油中で混合して油混合物を形成する。
【0097】
工程2:ゴムを水に溶解する。
【0098】
工程3:油混合物をせん断混合を用いてアラビアゴム/水混合物にゆっくりと添加する。
【0099】
工程4:得られるせん断混合した混合物を薄膜として乾燥機のベルトに付与しそして乾燥する。
【0100】
より具体的には、アラビアゴムをそれぞれ20:75 w/wの比で水に溶解し、マトリクス混合物を形成した。モノテルペンおよびセスキテルペン(両方とも炭化水素でありそして酸素化されている)を含む精油を植物油、10:90 w/wに溶解し、活性物/油混合物を形成した。活性物油混合物の5%を20:75 w/wに添加し、100%w/wにした。次いで混合物を乾燥機に適用し、そして180-185Fで28のベルト速度(約3.8メートル/分)で乾燥した。完成した乾燥フレークは、76.9%のアラビアゴム、3.6%の水および19.23%の活性物を安定化剤とともに含んでいた。
【0101】
光非存在下での循環加熱/冷却研究を行った。
【0102】
【0103】
【0104】
サンプルを以下の加熱/冷却サイクル下で10週間保存した:
平均の毎日の最高: 94.2F(34.6C)
平均の毎日の最低: 55.6F(13.1C)
最大の最高: 106F(41.1C)
最小の最低: 48F(8.9C)
平均の毎日の差: 38.5F(21.4C)
最大の毎日の差: 53F(29.4C)
【0105】
実施例5にあるように、我々は、マトリクス/担体が活性物の保持に影響を与えたこと;植物デンプンを有するアラビアゴムの担体がアラビアゴム単独よりもより多くの活性物を保持したことを観察した。保存期間試験の間、両方のマトリクス(アラビアゴムまたは植物デンプンを有するアラビアゴム)は良好に機能し、そしてこの研究で試験した精油の活性物を保持した(
図6および7)。植物デンプンおよびアラビアゴムマトリクスについて、11つの化合物のうち観察した7つは濃度が経時で統計的に減少しなかった。アラビアゴムマトリクスについて、測定した11つの観察した化合物のうち8つは、10週間の循環温度乱用の間に濃度が経時で統計的に減少しなかった。さらに、アラビアゴムマトリクスについて、テルピネオール、リナロール、およびオイカリプトールなどの酸素化モノテルペンは、10週間の循環温度乱用の間に経時で統計的に減少しなかった。これは、テルピネオール、リモネンなどのモノテルペン活性物が容易にかつ迅速に酸化することが知られているので、予想されない。我々は、
図8、9に示すガスクロマトグラムにおいて形成された新たなピークがないことによって証明されるように、乾燥製品において経時で酸化を見なかった。(酸化が生じたならば、我々は新たなピークとして表される酸化テルペンを見ると予想するであろう。)薄膜乾燥製品において観察された安定性は、十分に立証された噴霧乾燥テルペンの安定性の欠如によって予想されなかった。
【0106】
5つのテルペン(リナロール、リモネン、β-ピネン、シメン、およびオイカリプトール)を、保存した噴霧乾燥テルペンについての文献値と比較した。文献中いくつかの場合では熱を印加し、いくつかの場合では熱を印加しなかった。これらのデータを
図6~9に示し、そして以下の表にまとめる。
【0107】
【0108】
薄膜乾燥したサンプル(高温中に保存)は、室温で保存されたシメンおよびオイカリプトール、および高温で保存されたβ-ピネンの保持について噴霧乾燥サンプルと同程度に機能を果たした。薄膜乾燥したサンプルは、噴霧乾燥サンプルよりも、両方のサンプルをより高い温度条件下で保存した場合、リナロールおよびリモネンのずっと良好な保持を有した。
【0109】
実施例15 - パセリピューレのCDW乾燥における安定化剤としてのアルコールの使用
【0110】
2つの異なるフレーク調製物を
図1のプロセスに従って製造した:1つは60gの新鮮なパセリ、12gのアラビアゴム、および72gの水を用いて;他方は60gの新鮮なパセリ、12グラムのアラビアゴム、および72gのエタノール-水(60%w/v)を用いて製造した。全ての成分をブレンダー中ですりつぶし、CDWベルトに適用し、そして175Fで25%のベルト速度を用いて乾燥した。新鮮なパセリ(向軸面および背軸面の両方)、水で乾燥したフレーク、およびエタノール-水で乾燥したフレークをHunter Lab色分析器を用いて分析した。全てのデータをテューキーの真正有意差での分散分析を用いて分析した。全ての統計的有意性はp<0.05を示す。結果を
図11に要約する。
【0111】
得られた乾燥フレークは驚くほどに鮮やかな緑色を保持した。水-ベースのパセリフレークの色は新鮮なパセリと有意に異ならなかった。エタノール-ベースのパセリフレークの色は新鮮なパセリよりも顕著により緑色でかつより黄色であり、さらにより明るい色を示した。成分の色は、高い栄養の、風味のおよび料理の価値を示す。得られたフレークは、着色剤、香料、および/または栄養源として乾燥シーズニングブレンドにおいて使用され得る。
【0112】
実施例16: キウイフルーツ由来のアクチニジンを安定化するためのエタノールベースの安定化剤としての発酵の使用
【0113】
キウイフルーツを3つの異なる処理に供し、次いでCWDで乾燥した:(1)乾燥(RF)前に安定化剤を用いない、(2)乾燥(FF)前にフルーツを発酵させてエタノール安定化剤を製造する、および(3)乾燥(FFS)前にフルーツを発酵させてエタノール安定化剤を製造し、乾燥前に水酸化アンモニウム安定化剤を添加する。プロテアーゼ酵素アクチニダインの酵素活性を各サンプルにおいて定量化した。結合した酵素をNα-Z-L-リジン 4-ニトロフェニルエステル(z-Lys-pNP)を用いて定量化し、結合していない酵素を、アクチニダインをジチオスレイトールで活性化し次いでz-Lys-pNPを用いて定量化することによって定量化した。結果を以下の表に要約する。
【0114】
生フルーツ(RF)は非常に低いレベルの酵素活性を有し、酵素が乾燥プロセスの間に保存されなかったことを示す。追加の安定化剤を有しない(FF)および有する(FFS)両方の発酵フルーツは、はるかに高いレベルの酵素活性を有した。さらに、薄膜乾燥した発酵キウイフルーツは、典型的な商業的プロセス(例えば、凍結乾燥)よりもはるかに高いレベルの結合酵素を有した。結合した酵素は、胃分解に対して感受性が低く、そして低濃度の硫黄化合物の存在下、インビボで活性化され得る。これは、他の調製物が有しない所望の特性を有する酵素の安定な形成をCWDが生じ得ることを示す。
【0115】
【0116】
実施例17 - エリスリトールベースの乾燥混合物飲料における活性物の即時放出および該活性物に対する精神物理学的応答の速やかな発現のためのCBD含有大麻ベースの活性物フレークの製造。
【0117】
以下のプロセスを用いる:
工程1:カンナビスオイル(大麻油)を加熱する
工程2:ゴムを水に溶解する
工程3:熱いカンナビスオイルを、せん断混合を用いてアラビアゴム/水混合物にゆっくりと添加する
工程4:得られるせん断混合物を薄膜としてCWDベルトに付与し、そして乾燥する。
注釈:ひまわりレシチンなどの乳化剤を水和アラビアゴムと混合またはカンナビスオイルと直接混合することによって使用し得る->ひまわりレシチンを安定化剤と呼ぶ?
工程5:フレークをエリスリトールとともにすりつぶし、そして密封小包中に置く。
より具体的には、アラビアゴムを水に25%(w/w)で溶解し、マトリクス混合物を形成する。(80% CBD)および0% THCを含むカンナビスオイルをひまわりレシチンおよび植物テルペンとともに加熱し、そしてゴム混合物にそれぞれ6.5%、0.2%、および0.05%(w/w)で添加して100%w/wにした。この混合物を次いで乾燥機に付与し、そして180-185Fで28のベルト速度(約3.8メートル/分)で乾燥した。完成した乾燥フレークは19.7%(w/w)の油および16.3%(w/w)の活性物を含んだ。フレークをエリスリトールとともに3%~6%(w/w)ですりつぶし、そして小包中に置く。5mg~40mgの活性物を含む小包を用量/応答閾値化研究のために作製した。
【0118】
強度の知覚および開始時間の決定を、経験を積んだ官能パネリストのグループを用いた生体活性放出および吸収のための測定として使用した。小袋/封筒中のフレークエリスリトール混合物をパネリストに与えた。8人のパネリストのそれぞれは、種々の量のCBDフレークを有する4つのサンプルを受け取った:5mg、10mg、20mg、および40mg。彼らは、パウチの内容物を提供された容器中に置き、そして3液量オンスの水を添加し、そして1時間以内にカフェインを消費せずかつ事前の時間内に食事することなく飲むことを要請された。各用量を最小8時間離して消費した。
【0119】
パネリストは、フレーク/エリスリトール/水混合物を摂取した後15分および30分で効果の強度および質の特徴付けを示す投票を完了した。強度は、効果強度に対する5段階評価(なし、低い、適度、高い、非常に高い)を用いて測定し、そして質は感覚の知覚を記載する記述子のリストを用いて定量化し、これらの記述子は:くつろぎの増加、焦点の増加、不安の減少、ストレスの減少、痛みの減少、および落ち着きであった。強度データを、テューキーの真正有意差(p< 0.05)で相違の3方向(パネリスト、時間、濃度)分析を用いて分析した。質データを(p<0.05)でカイ二乗検定を用いて分析した。データの結果を
図12および
図13に要約する。
【0120】
時間および投薬因子の両方は、分散の分析において有意であり(p<0.05)、相互作用因子は有意ではなかった(p>0.05)。これらの結果は、効果の強度が時間および消費したCBDの量とともに増加することを示す;消費後30分以内に、20mgおよび40mg用量は5mgおよび10mg用量よりも強い効果を有した。他の質とは有意に異なった認識された質のみが「くつろぎの増加」(p<0.05)であった。これらの結果は、驚くべきことである。なぜなら多くの他の研究は経口CBDの効果を感じるためにかなり長い時間がかかり、そしてより高い用量が要求されることを示していたからである。
図14は、このRWDカプセル化CBD研究を、類似の数の被験体および経時で観察されたCBDの主観的効果を有する公表された研究と比較する。CBDの認識された効果は、RWDを用いて、はるかに速くおよびより低い用量で観察され、さらに、2つのより高い用量研究のみがくつろぎに対して有意な効果を有した。従って、CWDカプセル化CBDは、消費後20~30倍低い投薬濃度で2~4倍速い生体活性であり得ることが推測され得る。
【0121】
実施例18: 繊維ベースの経口パウチにおける放出/該活性物に対する精神物理学的応答の発現のためのTHC含有マリファナベースの活性物フレークの製造。
【0122】
以下の手順に従う:
工程1:カンナビスオイルを加熱する
工程2:アラビアゴムを水に溶解する
工程3:熱いカンナビスオイルを、せん断混合を用いてアラビアゴム/水混合物にゆっくりと添加する
工程4:得られるせん断混合物を薄膜としてCWDベルトに付与し、そして乾燥する。
注釈:ひまわりレシチンなどの安定化剤を、水和アラビアゴムと混合またはカンナビスオイルと直接混合することによって使用し得る。
工程5 フレークをすりつぶす+一般的オートミールクッキー処方において使用する。フレークを乾燥小麦粉/塩/ベーキングセッド(baking said)に組み込む。油をコントロールのクッキーにおいて使用される生地に組み込む。
【0123】
より具体的には、アラビアゴムを25%(w/w)で水に溶解し、マトリクス混合物を形成した。(90% THC)を含むカンナビスオイルをひまわりレシチンおよび植物テルペンとともに加熱し、そしてそれぞれ6.2%、0.2%、および0.05%(w/w)でゴム混合物に添加して100%w/wにした。この混合物を次いで乾燥機に付与し、そして180-185Fで28ベルト速度(約3.8メートル/分)で乾燥した。完成した乾燥フレークは18.9%(w/w)の油および17.0%(w/w)の活性物を含んだ。このフレークを、各パウチが10mgのTHCを含んだレベルで、植物繊維、油、グリセリン、および香味料を含むパウチに添加した。
【0124】
認識された強度および発現時間の時間の決定を、消費者のグループを用いた生体活性放出および吸収のための測定として用いた。パウチを20人の大麻消費者のそれぞれに与えた。消費者に、パウチの使用前8時間にアルコールまたはたばこ製品を消費しないよう指示した。消費者に、パウチを口中に置き、そして大麻製品の主観的感覚の観察を始めるよう求めた。
【0125】
消費者は、経口配置後10、20、および30分で強度の主観的特徴付けを示す投票を完了した。強度を、効果強度に対する5段階評価(なし、低い、適度、高い、非常に高い)を用いて測定した。このデータを、ジェフリーズ事前分布(Jeffery’s prior)でのBayesian多項式推定(multinomial estimation)を用いて分析し、所定の強度閾値よりも大きい精神物理学的(psychophsycal)応答を有する消費者の割合を決定した。全てのデータは、95%の信頼性最高密度間隔(credible highest density interval)として報告する。このデータを
図15に要約する。
【0126】
強度データは、50%を超える消費者が10分で、70%を超える消費者が20分で、および80%を超える消費者が30分で、パウチ中のRWD THCフレークの効果を感じることを推測する。さらに、50%を超える消費者が20分で適度の強度またはより大きな効果を有し、および70%を超える消費者が30分で適度の強度を有する。CBDと同様に、THCの効果の発現は、低用量の経口THCの効果が消費後30分まで始まらないことが一般的に認められているので、驚くべきことである。
【0127】
本発明を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)用語「a」および「an」ならびに「the」および「少なくとも1つ」および類似の指示対象の使用は、本明細書中に特に指示されない限り、または文脈によって否定されない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストに続く用語「少なくとも1つ」(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書中に特に指示されない限り、または文脈によって否定されない限り、列挙した項目から選ばれる1つの項目(AまたはB)または列挙した項目の2つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含有する(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に注釈されない限り、無制限の用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書中値の範囲の記載は、本明細書中に特に指示されない限り、範囲内にある各別個の値を個別に参照する省略方法として役立つことを単に意図し、そして各別個の値は、それが本明細書中に個別に記載されているとして明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載の全ての方法は、本明細書中に特に指示されない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書中で提供される任意および全ての実施例、または例示的言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明らかにすることを単に意図し、そして特にクレームされない限り本発明の範囲に限定を課さない。本明細書中にない言葉は、本発明の実施に必須であると任意のクレームされていない要素を示すと解釈されるべきである。
【0128】
本発明を行うための本発明者らに公知のベストモードを含む本発明の好適な実施態様が本明細書中に記載される。これらの好適な実施態様の変形例は、前述の記載を読めば当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形例を必要に応じて採用することを予想し、そして本発明者らは、本発明が本明細書中に具体的に記載された以外に実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法によって認められるように本明細書に添付された特許請求の範囲に記載の主題の全ての改変体および等価体を含む。さらに、それらの全ての可能な変形体における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書中に特に指示されない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、本発明に含まれる。