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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】カバーを含むリアクトルおよびカバー
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20240214BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01F37/00 F
H01F37/00 G
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F37/00 H
H01F27/29 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020018061
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021125561
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】満澤 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友和
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147982(JP,A)
【文献】実開平05-077873(JP,U)
【文献】特開平09-260862(JP,A)
【文献】特開平10-083435(JP,A)
【文献】特開平08-125356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア本体を具備し、該コア本体は、外周部鉄心と、前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合されるように配置された少なくとも三つの鉄心と、該鉄心に巻回されたコイルとを含んでおり、
前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、
さらに、前記コイルと接続され、複数のケーブルと接続されるように構成された端子台と、
前記端子台を覆うようにして設けられたカバーと、
前記複数のケーブルに沿って前記カバーから延びる絶縁保護部と、を具備し、
前記絶縁保護部は前記複数のケーブルを支持する支持部と前記複数のケーブルを被覆する被覆部とを含んでおり、
該被覆部は前記カバーの内部に摺動可能であるか、または前記被覆部は前記カバーの内部に摺動可能で且つ前記支持部は被覆部の摺動方向に対して垂直な軸線周りに回動可能であるようにした、リアクトル。
【請求項2】
前記被覆部の少なくとも一部分は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記絶縁保護部は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記絶縁保護部は、二つの絶縁保護部分より構成されており、
前記二つの絶縁保護部分のそれぞれは前記リアクトルの軸線方向に対して平行な二つの軸線周りに回動可能であるようにした、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項5】
リアクトルのコイルと接続され、複数のケーブルと接続されるように構成された端子台を覆うように設けられたカバーにおいて、
前記複数のケーブルに沿って前記カバーから延びる絶縁保護部を具備し、
前記絶縁保護部は前記複数のケーブルを支持する支持部と前記複数のケーブルを被覆する被覆部とを含んでおり、
該被覆部は前記カバーの内部に摺動可能であるか、または前記被覆部は前記カバーの内部に摺動可能で且つ前記支持部は被覆部の摺動方向に対して垂直な軸線周りに回動可能であるようにした、カバー。
【請求項6】
前記被覆部の少なくとも一部分は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした、請求項5に記載のカバー。
【請求項7】
前記絶縁保護部は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした、請求項5に記載のカバー。
【請求項8】
前記絶縁保護部は、二つの絶縁保護部分より構成されており、
前記二つの絶縁保護部分のそれぞれは前記リアクトルの軸線方向に対して平行な二つの軸線周りに回動可能であるようにした、請求項5に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーを含むリアクトルおよびカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、外周部鉄心と該外周部鉄心の内部に配置された複数の鉄心とを含むコア本体を備えたリアクトルが開発されている。コア本体には端子台が設置されており、コイルは端子台の端子に接続されている。作業者が端子台の端子などに接触するのを避けるために、端子台にはカバーが取付けられている。例えば特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カバーには複数の開口部が形成されている。端子台の端子に接続されるべきケーブルがこれら開口部に挿入される。日本工業規格の特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う場合には、複数の開口部のそれぞれは、人間の指が入らない程度の面積を有する必要がある。特定の保護等級に従うために、端子台の上面からケーブルに沿って延びる絶縁保護部をカバーに設ける必要がある。
【0005】
これに対し、保護等級IP2Xに従う必要がない場合、例えば保護等級IP1Xにのみ従う場合には、前述した絶縁保護部をカバーに設ける必要がない。
【0006】
言い換えれば、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要がある場合には絶縁保護部を備えたカバーを準備し、そのような保護等級に従う必要がない場合には絶縁保護部を有さないカバーを別途準備する必要があった。このため、製造業者は絶縁保護部を備えたカバーと絶縁保護部を有さないカバーとの両方を管理する必要があり、煩雑であった。
【0007】
それゆえ、保護等級に関わらずに容易に管理することのできるカバーおよびそのようなカバーを備えたリアクトルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1番目の態様によれば、コア本体を具備し、該コア本体は、外周部鉄心と、前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合されるように配置された少なくとも三つの鉄心と、該鉄心に巻回されたコイルとを含んでおり、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップが形成されており、さらに、前記コイルと接続され、複数のケーブルと接続されるように構成された端子台と、前記端子台を覆うようにして設けられたカバーと、前記複数のケーブルに沿って前記カバーから延びる絶縁保護部と、を具備し、前記絶縁保護部は前記複数のケーブルを支持する支持部と前記複数のケーブルを被覆する被覆部とを含んでおり、該被覆部は前記カバーの内部に摺動可能であるか、または前記被覆部は前記カバーの内部に摺動可能で且つ前記支持部は被覆部の摺動方向に対して垂直な軸線周りに回動可能であるようにした、リアクトルが提供される。
【発明の効果】
【0009】
1番目の態様においては、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う場合には絶縁保護部が利用可能なように絶縁保護部をカバーに対して摺動および回動させられる。同様にそのような保護等級に従う必要がない場合には、絶縁保護部が利用不可能なように絶縁保護部をカバーに対して摺動および回動させられる。このため、製造業者は保護等級に関わらずにカバーを管理することができ、管理を単純にできる。
【0010】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連した以下の実施形態の説明により一層明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施形態に基づくリアクトルの端面図である。
図2A図1に示されるリアクトルの分解斜視図である。
図2B】第一の実施形態に基づくリアクトルの斜視図である。
図3A】本発明の第一の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図である。
図3B図3Aに示されるカバーを説明するための第一の図である。
図3C図3Aに示されるカバーを説明するための第二の図である。
図3D】第一の実施形態の変形例を説明するための図である。
図4A】本発明の第二の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図である。
図4B図4Aに示されるカバーを説明するための図である。
図5A】第二の実施形態の変形例におけるカバーおよび端子台の斜視図である。
図5B図5Aに示されるカバーを説明するための図である。
図6A】本発明の第三の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図である。
図6B図6Aに示されるカバーを説明するための第一の図である。
図6C図6Aに示されるカバーを説明するための第二の図である。
図6D図6Aに示されるカバーを説明するための第三の図である。
図7A】従来技術におけるカバーおよび端子台の斜視図である。
図7B】従来技術における他のカバーおよび端子台の斜視図である。
図8】他の実施形態に基づくリアクトルの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0013】
以下の記載では、三相リアクトルを例として主に説明するが、本開示の適用は、三相リアクトルに限定されず、各相で一定のインダクタンスが求められる多相リアクトルに対して幅広く適用可能である。また、本開示に係るリアクトルは、産業用ロボットや工作機械におけるインバータの一次側および二次側に設けるものに限定されず、様々な機器に対して適用することができる。
【0014】
図1は第一の実施形態に基づくリアクトルの端面図である。図1に示されるように、リアクトル5は、断面が六角形の外周部鉄心20と、外周部鉄心20の内方に配置された少なくとも三つの鉄心コイル31~33とを含んでいる。また、鉄心の数は3の倍数であるのが好ましく、それにより、リアクトル5を三相リアクトルとして使用できる。なお、外周部鉄心20が多角形形状または円形であってもよい。
【0015】
鉄心コイル31~33のそれぞれは、鉄心41~43と該鉄心41~43に巻回されたコイル51~53とを含んでいる。外周部鉄心20および鉄心41~43は、複数の磁性板、例えば鉄板、炭素鋼板、電磁鋼板を積層するか、または圧粉鉄心から作成される。
【0016】
図1から分かるように、鉄心41~43は互いに同一の寸法であり、外周部鉄心20の周方向におおよそ等間隔に配置されている。図1においては鉄心41~43のそれぞれの半径方向外側端部は外周部鉄心20に接している か、または一体的に形成されている。
【0017】
さらに、鉄心41~43のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約120度である。そして、鉄心41~43の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101~103を介して互いに離間している。
【0018】
言い換えれば、第一の実施形態においては鉄心41の半径方向内側端部は、隣接する二つの鉄心42、43のそれぞれの半径方向内側端部とギャップ101、103を介して互いに離間している。他の鉄心42~43についても同様である。なお、ギャップ101~103の寸法は互いに等しいことが理想的であるが、等しくなくても良い。また、後述する実施形態においては、ギャップ101~103等の表記および鉄心コイル31~33等の表記を省略する場合がある。
【0019】
このように、第一の実施形態においては鉄心コイル31~33を外周部鉄心20の内側に配置している。言い換えれば、鉄心コイル31~33は外周部鉄心20により取囲まれている。このため、コイル51~53からの磁束が外周部鉄心20の外部に漏洩するのを低減できる。
【0020】
図2A図1に示されるリアクトルの分解斜視図であり、図2Bは第一の実施形態に基づくリアクトルの斜視図である。これら図面に示されるように、外周部鉄心20の下端面には、エンドプレート付きの取付部90が取付けられている。取付部90はリアクトル5を所定位置に取付ける役目を果たす。
【0021】
図2Aにおいては、コイル51~53のそれぞれから二つのリード51a~53a、51b~53bが延びている。リード51a~53aは入力側、リード51b~53bは出力側である。そして、リード51a~53a、51b~53bはそれぞれ個別に湾曲され、それにより、リード51a~53aおよびリード51b~53bの先端はそれぞれ一列に整列されている。後述する端子に接続する目的でリード51a~53a、51b~53bの先端をさらに湾曲させてもよい。
【0022】
外周部鉄心20の上方には端子台60が示されている。端子台60は外周部鉄心20に概ね対応した外形を有している。端子台60の軸方向高さは、外周部鉄心20からのコイル51~53の突出部分よりも大きい。端子台60は、入力側のリード51a~53aに接続される入力側の端子61a~63a、および出力側のリード51b~53bに接続される出力側の端子61b~63bをその上面に備えている。入力側の端子61a~63aは、端子台60の上面の一つの縁部に整列されている。出力側の端子61b~63bは、前述した一つの縁部に対向する他の縁部に整列されている。入力側の端子61a~63aおよび出力側の端子61b~63bは、それぞれ前述した縁部に整列されているのが好ましいが、整列されている位置が縁部でなくても良い。
【0023】
さらに、端子台60の上面には、隔離壁65a、65bが配置されている。隔離壁65aは入力側の端子61a~63aを出力側の端子61b~63bから隔離すると共に、入力側の端子61a~63aを互いに隔離するよう形成されている。同様に、隔離壁65bは出力側の端子61b~63bを入力側の端子61a~63aから隔離すると共に、出力側の端子61b~63bを互いに隔離するよう形成されている。このため、隔離壁65a、65bは互いに同一形状の櫛型である。そして、隔離壁65a、65bは互いに略線対称に配置されている。
【0024】
さらに、端子台60の上方には感電防止用のカバー70が示されている。カバー70は絶縁体から形成されるのが好ましい。第一の実施形態におけるカバー70は外周部鉄心20に概ね対応した外形を有しており、複数の通気口71が形成されている。
【0025】
コイル51~53のリード51a~53aを端子台60の端子61a~63aに接続すると共に、リード51b~53bを端子台60の端子61b~63bに接続する。そして、端子台60を外周部鉄心20の上端面に取付けて、ネジまたは所定の治具で固定する。その後、端子61a~63a、61b~63bを他のケーブル(図2A図2Bには示さない)に結線する。
【0026】
次いで、カバー70を端子台60の上端面に配置する。図2Aに示されるように、カバー70の穴と端子台60の穴とにネジを通して螺合させ、それにより、カバー70を端子台60に固定する。なお、端子台60も同様にして外周部鉄心20に固定してもよい。これにより、図2Bに示されるリアクトル5が得られる。
【0027】
第一の実施形態においては、端子台60にカバー70が取付けられているので、作業者が端子など導電部に接触することはなく、安全性を確保できる。また、カバー70に通気口71が形成されているので、コイル51~53などが発熱したとしても、通気口71を通じて放熱することが可能である。
【0028】
図3Aは本開示の第一の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図である。図3Aおよび後述する他の図面においては、簡潔にする目的で、リアクトル5の図示を省略している。図3Aに示されるようにカバー70は、ケーブルCに沿ってカバー70から延びる絶縁保護部80を備えている。絶縁保護部80は端子台60と同じ材料から形成されるのが好ましい。絶縁保護部80は、後述するように、端子台60の端子から人間の指などを絶縁保護する役目を果たす。図3Aに示されるケーブルCは端子台60の一つの端子63bに接続されている。なお、図3Aおよび後述する他の図面においては、他の端子にもケーブルが接続されているが、図示を省略する。
【0029】
絶縁保護部80は、複数、例えば三つのケーブルの下面を支持するプレート状の支持部82と複数のケーブルを被覆する被覆部81とを主に含んでいる。図示されるように、被覆部81の端面には複数の切欠が形成されており、これら切欠は支持部82と一緒に複数、例えば三つの開口部83を形成する。これら開口部83にはケーブルCが挿入される。図3Aにおいては、絶縁保護部80がカバー70から延びているので、特定の固形物体、例えば人間の指が開口部83を通じて端子に到達するのを防止することができる。従って、日本工業規格の特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従うことができる。
【0030】
図3Bおよび図3C図3Aに示されるカバーを説明するための図である。支持部82は、被覆部81の端面下部に回動可能に連結されている。従って、図3Bに示されるように、支持部82は絶縁保護部80が延びる方向に対して垂直な軸線A1回りに回動される。
【0031】
そして、ケーブルCが延びる方向と同じ矢印A2方向に被覆部81を摺動させる。これにより、図3Cに示されるように、被覆部81を少なくとも部分的にカバー70内に格納させられる。支持部82は被覆部81の端面下部から端子台60の側面に沿って下方に垂下するようになる。この場合には、絶縁保護部80が支持部82を除いてカバー70に概ね格納されることとなる。絶縁保護部80の分だけカバー70を小型化させられるので、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要がない場合には有利である。なお、特定の保護等級に従う必要がない場合には、図3Cに示されるように、ケーブルCの先端近傍の金具が露出してもよい。
【0032】
このように、第一の実施形態においては、絶縁保護部80の被覆部81がカバー70に対して摺動可能であり、絶縁保護部80の支持部82がカバー70に対して回動可能である。従って、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要性に応じて、絶縁保護部80を利用可能および利用不可能にすることができる。このため、カバー70の製造業者は保護等級に関わらずに共通にカバー70を容易に管理することができ、管理を単純にすることができる。
【0033】
図7Aは従来技術におけるカバーおよび端子台の斜視図であり、図7Bは従来技術における他のカバーおよび端子台の斜視図である。従来技術においては、第一の実施形態とはことなり、絶縁保護部80’を含まないカバー70A(図7A参照)と、絶縁保護部80’を備えたカバー70B(図7B参照)との両方を準備する必要があった。このため、カバーの製造業者は、保護等級に従う必要性に応じて異なるカバー70A、70Bを選択する必要があり、管理が煩雑であった。
【0034】
ところで、図3Dは第一の実施形態の変形例を説明するための図である。変形例においては、支持部82が軸線A1回りに回動しないことを除けば、前述したのと同様である。変形例において被覆部81をカバー70内に摺動させると、支持部82はケーブルCを支持したままカバー70から突出することとなる。このような場合であっても、前述したのと同様な効果が得られ、本開示の範囲に含まれる。
【0035】
図4Aは本開示の第二の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図であり、図4B図4Aに示されるカバーを説明するための図である。第二の実施形態においては、絶縁保護部80は、横方向に分割された二つの絶縁保護部分84A、84Bより構成されている。図示されるように、絶縁保護部分84A、84Bは横方向に二等分されるのが好ましい。しかしながら、絶縁保護部分84A、84Bは二等分されなくてもよく、例えば絶縁保護部分84Aが一つの開口部83のみを含み、絶縁保護部分84Bが二つの開口部83を含む構成であってもよい。
【0036】
二つの絶縁保護部分84A、84Bのそれぞれはリアクトル5の軸線方向に対して平行な二つの軸線A3周りに回動可能である。これら軸線A3は、ケーブルCが配置されるカバー70の側面の両縁部に配置されている。このような構成であるので、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う場合には、図4Aに示されるように絶縁保護部80がカバー70から延びるようにする。そして、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要がない場合には、ケーブルCから離間するように、二つの絶縁保護部分84A、84Bを軸線A3回りに回動させる。このような場合にも、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。なお、絶縁保護部分84A、84Bが後述する凹部75に示されるように部分的に格納されるようにしてもよい。この場合には、カバー70をその分だけ小型化できる。
【0037】
図5Aは第二の実施形態の変形例におけるカバーおよび端子台の斜視図であり、図5B図5Aに示されるカバーを説明するための図である。これら図面における絶縁保護部80は単一部材である。絶縁保護部80は、ケーブルCが配置されるカバー70の側面の一つの縁部に配置されてリアクトル5の軸線方向に対して平行な軸線A4回りに回動可能である。従って、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要がない場合には、ケーブルCから離間するように、絶縁保護部80を軸線A4回りに回動させる。このような場合にも、簡単な構成で、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。
【0038】
図6Aは本開示の第三の実施形態に基づくカバーおよび端子台の斜視図であり、図6Bから図6D図6Aに示されるカバーを説明するための図である。第三の実施形態における絶縁保護部80は、前述したのと同様な支持部82と、二つの側方被覆部分85、86と、これらの間に配置された中央被覆部分87とから構成されている。二つの側方被覆部分85、86と中央被覆部分87とは前述した被覆部81を構成する。さらに、ケーブルCが配置される側面に隣接するカバー70の二つの側面のそれぞれには、凹部75が形成されている。これら凹部75は、側方被覆部分85、86のそれぞれを少なくとも部分的に格納するよう寸法決めされている。
【0039】
図6Bに示されるように、支持部82は絶縁保護部80が延びる方向に対して垂直な軸線A1回りに回動される。次いで、側方被覆部分85、86をそれぞれケーブルCから離間するように二つの軸線A3回りに回動させる。これにより、側方被覆部分85、86のそれぞれは凹部75に少なくとも部分的に格納されるようになる(図6C)。
【0040】
次いで、中央被覆部分87を矢印A5方向に摺動させる。これにより、図6Dに示されるように、中央被覆部分87がカバー70内に少なくとも部分的に格納されるようになる。それゆえ、前述したのと同様に、絶縁保護部80の分だけカバー70を小型化させられる。
【0041】
第三の実施形態においても、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う場合には、図6Aに示されるように絶縁保護部80がカバー70から延びるようにする。そして、特定の保護等級、例えば保護等級IP2Xに従う必要がない場合には、側方被覆部分85、86をケーブルCから離間するように回動させると共に、中央被覆部分87をカバー70内に摺動させる。従って、このような場合にも、前述したのと同様な効果が得られるのが分かるであろう。
【0042】
図8は他の実施形態に基づくリアクトルの端面図である。図8に示されるリアクトル6は、略八角形状の外周部鉄心20と、外周部鉄心20の内方に配置された、前述したのと同様な四つの鉄心コイル31~34とを含んでいる。これら鉄心コイル31~34はコア本体5の周方向に等間隔で配置されている。また、鉄心の数は4以上の偶数であるのが好ましく、それにより、図8に示されるリアクトル6を備えたリアクトルを単相リアクトルとして使用できる。
【0043】
図面から分かるように、外周部鉄心20は周方向に分割された四つの外周部鉄心部分24~27より構成されている。それぞれの鉄心コイル31~34は、半径方向に延びる鉄心41~44と該鉄心に装着されたコイル51~54とを含んでいる。そして、鉄心41~44のそれぞれの半径方向外側端部は、外周部鉄心部分21~24のそれぞれと一体的に形成されている。なお、鉄心41~44の数と、外周部鉄心部分24~27の数とが必ずしも一致していなくてもよい。
【0044】
さらに、鉄心41~44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心近傍に位置している。図8においては鉄心41~44のそれぞれの半径方向内側端部は外周部鉄心20の中心に向かって収斂しており、その先端角度は約90度である。そして、鉄心41~44の半径方向内側端部は、磁気的に連結可能なギャップ101~104を介して互いに離間している。
【0045】
図8に示されるリアクトルに対し、対応した形状を有する端子台60およびカバー70を適用できるのは、当業者であれば明らかであろう。また、絶縁保護部80を備えたカバー70自体も本発明の範囲に含まれるものとする。さらに、図2A等では、カバー70の一つの側面から絶縁保護部80が設けられている。しかしながら、カバー70の他の側面、例えば前述した一つの側面に対向した側面に同様な絶縁保護部80が設けられていてもよい。
【0046】
本開示の態様
1番目の態様によれば、コア本体を具備し、該コア本体は、外周部鉄心(20)と、前記外周部鉄心の内面に接するか、または、該内面に結合されるように配置された少なくとも三つの鉄心(41~44)と、該鉄心に巻回されたコイル(51~54)とを含んでおり、前記少なくとも三つの鉄心のうちの一つの鉄心と該一つの鉄心に隣接する他の鉄心との間には磁気的に連結可能なギャップ(101~104)が形成されており、さらに、前記コイルと接続され、複数のケーブルと接続されるように構成された端子台(60)と、前記端子台を覆うようにして設けられたカバー(70)と、前記複数のケーブルに沿って前記カバーから延びる絶縁保護部(80)と、を具備し、前記絶縁保護部の少なくとも一部分は、前記カバーに対して摺動可能に設けられているか、または前記カバーに対して摺動可能で且つ回動可能に設けられている、リアクトル(5,6)が提供される。
2番目の態様によれば、1番目の態様において、前記絶縁保護部は前記複数のケーブルを支持する支持部と前記複数のケーブルを被覆する被覆部とを含んでおり、
該被覆部は前記カバーの内部に摺動可能であるようにした。
3番目の態様によれば、2番目の態様において、前記支持部は前記被覆部の摺動方向に対して垂直な軸線周りに回動可能であるようにした。
4番目の態様によれば、3番目の態様において、前記被覆部の少なくとも一部分は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした。
5番目の態様によれば、1番目の態様において、前記絶縁保護部は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした。
6番目の態様によれば、1番目の態様において、前記絶縁保護部は、二つの絶縁保護部分より構成されており、前記二つの絶縁保護部分のそれぞれは前記リアクトルの軸線方向に対して平行な二つの軸線周りに回動可能であるようにした。
7番目の態様によれば、リアクトルのコイルと接続され、複数のケーブルと接続されるように構成された端子台を覆うように設けられたカバーにおいて、前記複数のケーブルに沿って前記カバーから延びる絶縁保護部を具備し、前記絶縁保護部の少なくとも一部分は、前記カバーに対して摺動可能に設けられているか、または前記カバーに対して摺動可能で且つ回動可能に設けられている、カバーが提供される。
8番目の態様によれば、7番目の態様において、前記絶縁保護部は前記複数のケーブルを支持する支持部と前記複数のケーブルを被覆する被覆部とを含んでおり、該被覆部は前記カバーの内部に摺動可能であるようにした。
9番目の態様によれば、8番目の態様において、前記支持部は前記被覆部の摺動方向に対して垂直な軸線周りに回動可能であるようにした。
10番目の態様によれば、9番目の態様において、前記被覆部の少なくとも一部分は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした。
11番目の態様によれば、7番目の態様において、前記絶縁保護部は前記リアクトルの軸線方向に対して平行な軸線周りに回動可能であるようにした。
12番目の態様によれば、7番目の態様において、前記絶縁保護部は、二つの絶縁保護部分より構成されており、前記二つの絶縁保護部分のそれぞれは前記リアクトルの軸線方向に対して平行な二つの軸線周りに回動可能であるようにした。
【0047】
以上、本開示の実施形態を説明したが、後述する請求の範囲の開示範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を為し得ることは、当業者に理解されよう。
【符号の説明】
【0048】
5、6 リアクトル
20 外周部鉄心
31~34 鉄心コイル
41~44 鉄心
51~54 コイル
60 端子台
61a~63a、61b~63b 端子
70 カバー
71 通気口
75 凹部
80 絶縁保護部
81 被覆部
82 支持部
83 開口部
84A、84B 絶縁保護部分
85、86 側方被覆部分
87 中央被覆部分
101~104 ギャップ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8