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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】医療福祉空間
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/08 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E04H3/08 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020025355
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130914
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】星野 大道
(72)【発明者】
【氏名】逸見 豪
(72)【発明者】
【氏名】小関 眞子
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-169222(JP,A)
【文献】特開2009-209524(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009475(JP,U)
【文献】特開2010-126901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/08
A61G 9/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入所者が入所する医療福祉空間であって、
前記入所者が滞在する2つの部屋を備え、
2つの前記部屋のそれぞれは、各前記部屋への出入口を画定する第1の壁と、前記入所者が使用するベッドと、隣接する前記部屋との間仕切り壁である第2の壁と、窓を有し、前記第1の壁に対向して設けられる第3の壁と、
を有し、
前記第2の壁は、前記第1の壁に対して傾斜する傾斜部分を有し、前記第2の壁は、前記第1の壁から延びる第1の壁部と、前記第1の壁部から斜めに延びる第2の壁部と、前記第3の壁から延びる第3の壁部と、前記第3の壁部から斜めに延びる第4の壁部と、前記第2の壁部及び前記第4の壁部を互いに接続する第5の壁部とを含んでおり、
前記ベッドは、前記ベッドの頭側が前記傾斜部分に対向すると共に前記傾斜部分から前記出入口側に延びるように配置されており、
前記第2の壁のS字形部分を形成する第2の壁部、第4の壁部及び第5の壁部が前記傾斜部分に相当し、
2つの前記部屋のうち一方の部屋に配置されたベッドの頭側部分が前記第4の壁部に向けられ、
2つの前記部屋のうち他方の部屋に配置されたベッドの頭側部分が前記第5の壁部に向けられる、
医療福祉空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療福祉空間に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-295485号公報には、ベッド及び医療設備が設置された療養空間が記載されている。療養空間は病室の内部に設けられており、病室には更に衛生設備室と廊下に連通する通路とが設けられている。衛生設備室には、トイレ、シャワー設備、浴室及び洗面器が設けられる。病室は、互いに平行に延びる一対の第1の壁と、各第1の壁の一端同士を互いに接続すると共に窓が形成される第2の壁と、各第1の壁の他端同士を互いに接続すると共に廊下に対する出入口を形成する第3の壁とを備える。
【0003】
上記の病室は、一対の第1の壁を長辺、第2の壁及び第3の壁を短辺とした長方形状とされている。病室の内部において、ベッドは、その頭側が一対の第1の壁の一方に対向すると共に、一対の第1の壁の一方から他方に延びるように配置されている。すなわち、ベッドは、第1の壁の直交方向に延びるように配置されている。また、第3の壁の出入口は、第3の壁におけるベッドの脚側の位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-295485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に近年、医療福祉空間の入所者に関しては、要観察度が高い入所者が増加しており、部屋の外からでも入所者を適切に観察できることが求められる。しかしながら、前述した療養空間では、ベッドの頭側が一方の第1の壁から他方の壁に延び出しており、病室の出入口はベッドの脚側の位置に設けられているため、入所者が横たわるベッドに対するアクセスを容易に行うことができない。特に、前述の療養空間では、ベッドの両側へのアクセスを効率よく行うことができない。このように、部屋の外から入所者が横たわるベッドまでのアクセスを容易に行うことができないことがあるため、医療福祉空間の入所者を適切に看護できない可能性が生じうる。
【0006】
本開示は、入所者を適切に看護することができる医療福祉空間を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る医療福祉空間は、入所者が入所する医療福祉空間であって、入所者が滞在する2つの部屋を備え、2つの部屋のそれぞれは、各部屋への出入口を画定する第1の壁と、入所者が使用するベッドと、隣接する部屋との間仕切り壁である第2の壁と、窓を有し、第1の壁に対向して設けられる第3の壁と、を有し、第2の壁は、第1の壁に対して傾斜する傾斜部分を有し、第2の壁は、第1の壁から延びる第1の壁部と、第1の壁部から斜めに延びる第2の壁部と、第3の壁から延びる第3の壁部と、第3の壁部から斜めに延びる第4の壁部と、第2の壁部及び第4の壁部を互いに接続する第5の壁部とを含んでおり、ベッドは、ベッドの頭側が傾斜部分に対向すると共に傾斜部分から出入口側に延びるように配置されており、第2の壁のS字形部分を形成する第2の壁部、第4の壁部及び第5の壁部が傾斜部分に相当し、2つの部屋のうち一方の部屋に配置されたベッドの頭側部分が第4の壁部に向けられ、2つの部屋のうち他方の部屋に配置されたベッドの頭側部分が第5の壁部に向けられる。
【0008】
この医療福祉空間では、入所者が滞在する部屋がベッドと内壁である第2の壁とを含んでおり、第2の壁の傾斜部分は出入口を画定する第1の壁に対して傾斜している。ベッドは、その頭側が第2の壁の傾斜部分に対向すると共に第2の壁の傾斜部分から出入口側に延びるように配置されている。従って、ベッドに横たわる入所者の脚が出入口側を向くと共に、入所者の頭は傾斜する第2の壁の傾斜部分に対向するように配置される。よって、ベッドが第2の壁の傾斜部分から出入口側に延びることにより、出入口からベッドの両側へのアクセスを容易に行うことができる。従って、ベッドへのアクセスを容易に行うことができるので、医療福祉空間の入所者を適切に看護することができる。
【0009】
また、所定の空間を出入口に対して傾斜する第2の壁で仕切ることによって2つの部屋に区切ることができるので、限られた空間に対しても広い空間が形成された2つの部屋を確保することができる。
【0010】
本開示の別の側面に係る医療福祉空間は、入所者が入所する医療福祉空間であって、基準線の一方側及び他方側のそれぞれに設けられており、基準線に対して斜めに延在する一対のスタッフステーションと、一対のスタッフステーションのそれぞれに対向する一対の第1の部屋群と、を備える。
【0011】
この医療福祉空間は、一対のスタッフステーションと一対の第1の部屋群とを備え、一対の第1の部屋群のそれぞれは各スタッフステーションに対向している。従って、第1の部屋群をスタッフステーションに隣接して配置することができるので、第1の部屋群の入所者のそれぞれに対するアクセスを容易に行うことができる。この医療福祉空間では、基準線に対して斜めに延在する一対のスタッフステーションを備えることにより、一対のスタッフステーションの一部同士を互いに隣接させることができる。よって、一対のスタッフステーション間の連携をより十分に行うことができる。その結果、第1の部屋群に入所する入所者をより適切に看護することができる。
【0012】
また、スタッフステーション及び第1の部屋群を含む領域から基準線の反対側に突出する一対の突出部と、一対の突出部のそれぞれに配置された一対の第2の部屋群と、を備えてもよい。この場合、スタッフステーション及び第1の部屋群を含む領域から突出する突出部を備え、突出部には第1の部屋とは種別が異なる第2の部屋が設けられる。このように突出部に第2の部屋を確保することにより、医療福祉空間全体として多くの部屋を確保することができる。更に、スタッフステーションに対向する第1の部屋群と、突出部に設けられた第2の部屋群とを備えることにより、第1の部屋群の入所者と第2の部屋群の入所者とを区分することができる。すなわち、常に看護等が必要で常に観察や処置を必要とする入所者を第1の部屋群に入所させ、それ以外の入所者を第2の部屋群に入所させるといった区分が可能となる。従って、様々な種類の入所者を明確に識別できる部屋の区画とされているので、入所者の状態に応じて第1の部屋群及び第2の部屋群のそれぞれに対する入所者の配置を適切に行うことができる。よって、特に看護が必要な入所者を第1の部屋群に配置して当該入所者を適切に看護できるので、入所者の種別に応じて入所者を適切に看護することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、入所者を適切に看護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る医療福祉空間を示す平面図である。
図2図1の医療福祉空間の中央部を拡大した平面図である。
図3図1の医療福祉空間におけるスタッフステーション、第1の部屋群、及び第2の部屋群を示す斜視図である。
図4図3の第1の部屋群における部屋を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る医療福祉空間の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
本開示において、「医療福祉空間」は、医療施設又は福祉施設に設けられた空間を示している。医療施設は、一般病院、特定機能病院、地域医療支援病院又は大学病院等を含む病院、診療所及び助産所を含んでいる。病院は、更に、急性期病院、慢性期病院及び回復期病院を含む。福祉施設は、老人ホーム、介護老人保険施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、障害者福祉施設、児童福祉施設、シニア向けマンション、ケアハウス及び介護施設を含んでいる。本実施形態では、病院に設けられると共に入所者が入所する医療福祉空間について例示する。「入所者」は、医療福祉空間に入所する者を示している。入所者は、病院に入院する患者、及び、診療所、助産所、又は福祉施設に入所する者等を含んでいる。入所者等に対する「アクセス」とは、入所者を観察すること、及び、看護等のために入所者に接近すること(駆けつけること等)、を含んでいる。「入所者を観察すること」は、処置のために入所者の顔(表情や顔色等)を観ることを含んでいる。本実施形態に係る医療福祉空間は、例えば、入所者が滞在する複数の部屋を備える。当該複数の部屋のうちの一部の部屋(例えば後述する部屋100)は、部屋への出入口を画定する第1の壁と、部屋の内部に設けられた内壁である第2の壁とを含んでおり、第2の壁は、第1の壁に対して傾斜する傾斜部分を有する。本開示において、「傾斜」及び「斜め」は、ある板状の部分、又は壁状の部分に対して、鋭角又は鈍角を成すことを示しており、「壁に対して傾斜する傾斜部分」とは、壁の壁面に対して鋭角又は鈍角を成す面を有することを示している。
【0017】
本実施形態に係る病院1は、複数の部屋10を有する病棟2を備え、例えば、線路Rの隣接位置に設けられる。病院1は、例えば、急性期病院である。図1は、病棟2の1フロアを示す平面図である。本実施形態において、部屋10は、入所者が滞在する病室である。平面視において、病院1は、中央部1bと、中央部1bから第1の方向D1に突出する第1の突出部1cと、中央部1bから第1の方向D1に交差する第2の方向D2に突出する第2の突出部1dとを備える。第1の方向D1及び第2の方向D2は、例えば、互いに直交している。
【0018】
病院1は、平面視において、第1の突出部1c、中央部1b及び第2の突出部1dが並ぶ階段状とされている。線路Rは、第1の突出部1c、中央部1b及び第2の突出部1dのそれぞれに対向すると共に、第1の方向D1及び第2の方向D2の双方に対して傾斜する方向に延びている。このように、階段状の病院1に対して線路Rが斜めに延びていることにより、線路Rに病院1が正対しないので、線路Rに病院が正対する場合と比較して、線路Rを通る鉄道の騒音を抑えられると共に病院1からの景観を良好にすることができる。更に、平面視における病院1の形状が階段状であることにより、平面視における病院の形状が線路Rに沿った斜辺を有する場合と比較して、病院1の外周を長くしてより多くの部屋10を確保することができる。
【0019】
病院1は、例えば、平面視における第1の方向D1の端部に位置する第1の突出部1cと、平面視における第2の方向D2の端部に位置する第2の突出部1dとを有しており、第1の突出部1c及び第2の突出部1dは中央部1bから互いに異なる方向に突出する。病院1の各部は、中央部1bから線路Rに向かって延びる基準線Lに対して互いに対称となる配置とされている。基準線Lは、例えば、病院1の中央部1bにおいて突出する一対の角部1fを通る直線である。
【0020】
病院1は、平面視における病院1の外周を構成する複数の部屋10と、平面視における複数の部屋10の内側に位置する廊下21,22,23,24,25,26,27,28と、一対の第1のスタッフステーション40A,40Bと、一対の第2のスタッフステーション50とを備える。病院1は、更に、第1の職員利用部60、第2の職員利用部70及び第3の職員利用部80を備えていてもよい。「職員利用部」は、医療福祉空間における職員が利用する部位を示している。例えば、「職員利用部」は、職員が利用する部屋を含んでいてもよいし、一部に入所者又は来訪者が利用する部屋を含んでいてもよい。
【0021】
例えば、廊下21、22,23,24は病棟2の主動線(メイン通路)であり、廊下25,26,27,28は病棟2の副動線(サブ通路)であってもよい。なお、第1のスタッフステーション40A,40Bについて、以降の説明では、第1のスタッフステーション40Aと第1のスタッフステーション40Bとを区別して説明する場合には、第1のスタッフステーション40A、第1のスタッフステーション40Bとし、第1のスタッフステーション40A,40Bを纏めて説明する場合には第1のスタッフステーション40として説明する場合がある。例えば、一方の第1のスタッフステーション40Aの構成と、他方の第1のスタッフステーション40Bの構成とは互いに同一である。
【0022】
廊下25及び廊下26は一対の第1のスタッフステーション40を互いに接続するスタッフステーション連携動線であってもよい。また、廊下27及び廊下28が一対の第1のスタッフステーション40を互いに接続するスタッフステーション連携動線であってもよい。廊下27及び廊下28は、例えば、職員専用の廊下であり、スタッフ専用エリア(一例として第1の職員利用部60及び第2の職員利用部70)に設けられる。本実施形態において、「スタッフ専用エリア」は、職員専用のエリアを示しているが、職員同伴の入所者(又は来訪者)が使用可能なエリア、を含んでいてもよい。病院1は、一対の第1のスタッフステーション40を互いに接続する2つのスタッフステーション連携動線を備えていてもよい。本実施形態では、一対の第1のスタッフステーション40は、廊下25及び廊下26のみを介して互いに接続されている。例えば、一対の第1のスタッフステーション40は、廊下27及び廊下28のみを介して互いに接続されている。ここで、「一対のスタッフステーションが廊下のみを介して互いに接続」とは、一対のスタッフステーションの間を廊下以外の部分を介さずに行き来可能であることを示している。
【0023】
具体例として、廊下21は中央部1b及び第1の突出部1cを通ると共に第1の方向D1に沿って延びており、廊下22は中央部1b及び第2の突出部1dを通ると共に第2の方向D2に沿って延びている。廊下23は廊下21の途中部分から第2の方向D2に延びており、廊下24は廊下22の途中部分から第1の方向D1に延びている。廊下23の廊下21との反対側の端部、及び廊下24の廊下22との反対側の端部は交差している。
【0024】
廊下25は、廊下22と廊下23との間において廊下21から第2の方向D2に沿って延びている。例えば、廊下25の廊下21との反対側の端部にはエレベーター群31が設けられる。廊下26は、廊下21と廊下24との間において廊下22から第1の方向D1に沿って延びており、例えば、廊下26の廊下22との反対側の端部は廊下25に交差する。廊下26の廊下22との反対側の端部には、例えば、エレベーター群31が設けられていてもよい。エレベーター群31には、例えば、6機のエレベーターが設けられている。
【0025】
一例として、エレベーター群31は、第1の方向D1に並ぶと共に廊下28に接続する3機のエレベーターと、第1の方向D1に並ぶと共に廊下25,26に接続する3機のエレベーターとを含んでいる。例えば、エレベーター群31の3機のエレベーターの前に第1のエレベーターホール31b(図3参照)が設けられており、エレベーター群31の他の3機のエレベーターの前に第2のエレベーターホール31cが設けられている。一例として、第1のエレベーターホール31bは来訪者用のエレベーターホールであり、第2のエレベーターホール31cは職員用のエレベーターホールである。
【0026】
一例として、第2のエレベーターホール31cに設けられるエレベータは、第1のエレベーターホール31bに設けられるエレベータよりも広く、ストレッチャーが入る程度の広さとされている。例えば、エレベーター群31の第1のエレベーターホール31bと第2のエレベーターホール31cとは互いに分離されている。この場合、職員以外の者が第2のエレベーターホール31cに進入することを抑制できる。
【0027】
第1のエレベーターホール31bからは、ドアを介して廊下25及び廊下26のいずれかにアクセス可能とされている。第1のエレベーターホール31bから廊下25に移動することで一方の第1のスタッフステーション40A及び部屋10にアクセス可能とされている。また、第1のエレベーターホール31bから廊下26に移動することで他方の第1のスタッフステーション40B及び部屋10にアクセス可能とされている。
【0028】
例えば、第1のエレベーターホール31bと廊下25との間のドア、及び第1のエレベーターホール31bと廊下26との間のドアに来訪者認証手段が設けられていてもよい。来訪者認証手段は、例えば、ICカードリーダである。例えば、予めICカードを来訪者が病院1の受付で受領し、来訪者が当該ICカードを来訪者認証手段にスキャンすることでドアが開錠されてもよい。この場合、病院1の受付で来訪者がICカードを受け取り、来訪者がICカードを来訪者認証手段にスキャンして初めて病棟2に入ることができる。更に、一対の第1のスタッフステーション40のそれぞれにおいてドアから廊下25,26に入った来訪者を確実に監視することができる。従って、来訪者に対するセキュリティ管理を一層確実に行うことができると共に、来訪者動線と入所者動線とを分離管理することが可能である。なお、来訪者認証手段は、ICカードリーダに限られず、例えば、インターホンであってもよい。この場合、来訪者は、インターホンで職員と通話することにより、第1のエレベーターホール31bと廊下25との間のドア、又は第1のエレベーターホール31bと廊下26との間のドアを解錠することが可能である。
【0029】
廊下28は、廊下23の途中部分から第1の方向D1に沿って延びており、例えば、廊下28の廊下23との反対側の端部には第1のスタッフステーション40Bが設けられる。廊下27は、廊下28の途中部分から第2の方向D2に沿って延びており、廊下27の廊下28との反対側の端部には第1のスタッフステーション40Aが設けられる。よって、廊下23から廊下28を通って第1のスタッフステーション40Bにアクセスすることができると共に、廊下23から廊下28及び廊下27を通って第1のスタッフステーション40Aにアクセスすることができる。
【0030】
例えば、廊下21、廊下26、廊下28及び廊下24は、この順で第2の方向D2に沿って並んでおり、廊下22、廊下25、廊下27及び廊下23は、この順で第1の方向D1に沿って並んでいる。一例として、病棟2では、複数の廊下(廊下21~28)が延びる方向が2種類(第1の方向D1及び第2の方向D2)である。従って、病棟2の内部の動線を分かりやすくすることができる。また、複数の廊下が延びる2種類の方向は互いに直交していてもよい。この場合、複数の廊下が互いに直交するので、斜めに延びる廊下を有する場合と比較して、病棟2の内部の動線をより分かりやすくすることができる。
【0031】
例えば、一対の第1のスタッフステーション40は、基準線Lに対して互いに対称となる位置に配置されている。すなわち、基準線Lから見て一方側及び他方側のそれぞれに第1のスタッフステーション40が設けられている。一対の第1のスタッフステーション40のうち、一方の第1のスタッフステーション40Aは第1の方向D1に沿った長辺を有する長方形状を呈し、他方の第1のスタッフステーション40Bは第2の方向D2に沿った長辺を有する長方形状を呈する。本開示において、「スタッフステーション」は、看護師等の職員(スタッフ)が滞在する領域を示しており、ナースステーション又はケアチームステーションとも称される。
【0032】
例えば、第1のスタッフステーション40Aから第1のスタッフステーション40Aの延在方向(第1の方向D1)に延びる第1の延長線E1は、第1のスタッフステーション40Bから第1のスタッフステーション40Bの延在方向(第2の方向D2)に延びる第2の延長線E2に交差している。第1の延長線E1と第2の延長線E2との成す角度は、例えば、60°以上且つ120°であり、一例として90°である。第1の延長線E1及び第2の延長線E2は、基準線Lにおいて交差していてもよい。
【0033】
病院1の中央部1bは、例えば、一対の第1のスタッフステーション40、第1の職員利用部60、第2の職員利用部70及び第3の職員利用部80を含んでいる。第1の職員利用部60及び第3の職員利用部80は基準線L上に設けられており、例えば、中央部1bにおいて、第1の職員利用部60、エレベーター群31及び第3の職員利用部80がこの順で並んでいる。
【0034】
第1の職員利用部60は、第1の方向D1に長辺を有する長方形状とされている。第1の職員利用部60の第1の方向D1の一方側には部屋10が設けられ、第1の職員利用部60の第1の方向D1の他方側には第1のスタッフステーション40Bが設けられる。第1の職員利用部60の第2の方向D2の一方側には廊下24及び部屋10が設けられ、第1の職員利用部60の第2の方向D2の他方側には第2の職員利用部70及びエレベーター群31が設けられる。
【0035】
図1及び図2に示されるように、第1の職員利用部60は、例えば、廊下28を介してエレベーター群31に対向するスタッフラウンジ61、スタッフラウンジ61及び第1のスタッフステーション40Bの間に位置する処置室62及び器材室63、カンファレンスルーム64、機械浴室65、入所者用施設群66、並びに階段67を含んでいる。カンファレンスルーム64、機械浴室65及び入所者用施設群66は、スタッフラウンジ61から見て、第1のスタッフステーション40Bの反対側に設けられる。
【0036】
器材室63、階段67、スタッフラウンジ61、カンファレンスルーム64及び機械浴室65は、この順で第1の方向D1に沿って並んでいる。例えば、階段67、スタッフラウンジ61及びカンファレンスルーム64には、職員用の廊下28から入室可能とされている。機械浴室65には、廊下23における廊下28側に入り込んだ部分から入室可能とされている。一例として、器材室63には第1のスタッフステーション40Bから入室可能とされている。処置室62は器材室63の廊下24側に位置しており、入所者用施設群66はカンファレンスルーム64及び機械浴室65の廊下24側に位置している。入所者用施設群66は、例えば、複数のトイレ、手洗所、及び脱衣所を含んでいる。入所者用施設群66は廊下24に面しており、廊下24から入室可能とされている。尚、廊下に面している各室は適宜廊下から入室可能とされてもよい。
【0037】
階段67は、例えば、職員用の階段である。階段67は、例えば、職員専用の廊下28(一例としてスタッフ専用エリアのみ)に通じている。階段67は、例えば、来訪者用の第1のエレベーターホール31bから分離されている。一例として、病棟2は、職員用の階段67を備えており、来訪者用の階段を有しない。これにより、来訪者に階段を使わせないようにして来訪者の動線を管理することができるので、病院1のセキュリティ対策をより効果的に行うことが可能となる。なお、階段67は、非常時又は職員同伴時に限って来訪者及び入所者が使用可能とされてもよい。
【0038】
第2の職員利用部70は、廊下28から見て第1の職員利用部60の反対側に設けられている。第2の職員利用部70は、例えば、長方形状とされている。第2の職員利用部70の第1の方向D1の一方側には部屋10が設けられ、第2の職員利用部70の第1の方向D1の他方側には廊下27及びエレベーター群31が設けられている。第2の職員利用部70の第2の方向D2の一方側には廊下28及び第1の職員利用部60が設けられ、第2の職員利用部70の第2の方向D2の他方側には第1のスタッフステーション40Aが設けられている。
【0039】
第2の職員利用部70は、例えば、廊下27を介してエレベーター群31に対向する調剤室71、調剤室71及び第1のスタッフステーション40Aの間に位置する器材室72、調剤室71の廊下28側に位置する職員用施設群73、職員用施設群73の廊下23側に位置する入所者用施設群74、及び、入所者用施設群74と第1のスタッフステーション40Aの間に位置する処置室75を含む。
【0040】
例えば、調剤室71には廊下27から入室可能であり、器材室72には第1のスタッフステーション40Aから入室可能である。職員用施設群73は、廊下27及び廊下28のそれぞれに対向しており、例えば、廊下27に対向する複数のトイレと、廊下28に対向する配膳室とを備える。入所者用施設群74は、例えば、廊下23に面しており、廊下23から入室可能である。一例として、入所者用施設群74は、複数のトイレ、手洗所、及び脱衣所を含んでいてもよい。処置室75は、例えば、器材室72の廊下23側に設けられており、廊下23に面している。
【0041】
第3の職員利用部80は、例えば、廊下21、廊下22、廊下25及び廊下26に囲まれている。第1のスタッフステーション40Aと第3の職員利用部80との間に廊下25が設けられており、第1のスタッフステーション40Bと第3の職員利用部80との間に廊下26が設けられている。第3の職員利用部80は、一例として、正方形状とされている。
【0042】
第3の職員利用部80は、廊下25に面する第1の面談室81及び第2の面談室82と、廊下22及び廊下26に面するカンファレンスルーム83と、廊下21及び廊下22のそれぞれに面するトイレ群84とを含んでいる。例えば、第1の面談室81は廊下26から入室可能であり、第2の面談室82は廊下25から入室可能である。第1の面談室81及び第2の面談室82は第2の方向D2に沿って並んでおり、第1の面談室81及び第2の面談室82の廊下22側にカンファレンスルーム83が設けられる。カンファレンスルーム83は、平面視において、例えば、第2の方向D2に長辺を有する長方形状とされており、廊下26から入室可能である。一例として、トイレ群84は、複数の入所者用トイレを含む。
【0043】
第1のスタッフステーション40Aは、第1の方向D1に延びる長辺41、及び第2の方向D2に延びる短辺42を有する長方形状とされている。第1のスタッフステーション40Bは、第2の方向D2に延びる長辺41、及び第1の方向D1に延びる短辺42を有する長方形状とされている。
【0044】
第1のスタッフステーション40Aの廊下21側の隅部は、面取りされていてもよい。この場合、後述する部屋200を含む第1の部屋群11に対する視認性を高めることができる。具体例として、第1のスタッフステーション40Aの面取り部が、第1のスタッフステーション40Aから突出した部屋200に正対する(正面視野内に入る)ので、部屋200に対する視認性が高められる。また、第1のスタッフステーション40Aが面取り部を有することにより、第1のスタッフステーション40Aの周囲を歩く人同士をぶつかりにくくすることができる。第1のスタッフステーション40Bについても同様である。
【0045】
例えば、基準線Lよりも左側に位置する第1のスタッフステーション40Aと複数の部屋10とで1つの看護単位が形成され、基準線Lよりも右側に位置する第1のスタッフステーション40Bと複数の部屋10とで1つの看護単位が形成される。よって、病院1では、1フロアに2つの看護単位が設けられ、一例として、1つの看護単位で30人以上且つ50人以下の入所者を看護する。
【0046】
例えば、病院1の一方の角部1f側には第1の採光部32が設けられており、病院1の他方の角部1f側には第2の採光部33が設けられる。一例として、第1の採光部32にはリハビリテーションスペースが設けられており、第2の採光部33にはデイルームが設けられている。第1の採光部32のリハビリテーションスペースは、病棟リハ又はベッドサイドリハが可能なスペースとされている。第1の採光部32は廊下23及び廊下24の交差部分に設けられており、第2の採光部33は廊下21及び廊下22の交差部分に設けられている。一例として、廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24は、四角形状(一例として正方形状)に配置されている。
【0047】
本実施形態では、第1の職員利用部60、第2の職員利用部70及び第3の職員利用部80(スタッフ専用エリア)が、廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24に囲まれた四角形状の領域とされている。廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24に囲まれた領域は、病院1のコア部分であってもよい。「病院のコア部分」は、例えば、病院のセキュリティエリア、又は来訪者が出入り不可のエリア、を含む部分である。
【0048】
なお、「病院のコア部分」は、来訪者が出入り可能なエリアを含んでいてもよい。本実施形態では、病院1のコア部分は、スタッフ専用エリアとエレベーター群31とを含んでいる。本実施形態に係る病院1では、コア部分(廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24で囲まれた領域)の外側に病室(部屋10)が配置されている。このように、病院1のコア部分の外側に病室が配置されることにより、1つの病棟2により多くの病室を確保することが可能となる。
【0049】
廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24は、周回廊下とされている。このように、病院1は、周回廊下を備える。病院1が周回廊下を備えることにより、入所者が廊下21,22,23,24を周回することができ、避難しやすく且つ回遊性が高い病院1とすることができる。また、特定の部屋10に対して、例えば、時計回り方向、及び反時計回り方向、の2方向からアクセスすることが可能となる。更に、第1の採光部32のリハビリスステーションは、周回廊下の一部(隅部)に設けられる。従って、第1の採光部32のリハビリテーションスペース及び周回廊下を用いて入所者の回遊歩行訓練を行うことができる。更に、入所者の早期リハビリを容易に行うことができる。なお、四角形状の周回廊下の隅部には、入所者共用空間(入所者共用スペース)が設けられてもよい。また、後に詳述する要観察領域である一対の領域A(第1の部屋群11及び第1のスタッフステーション40を含む領域)の間に入所者共用空間が設けられていてもよい。この場合、一対の領域Aの間の空間を入所者共用の空間として有効利用することができる。
【0050】
なお、一対の領域Aの間に、入所者共用空間に代えて、入所者の部屋が設けられていてもよい。例えば、一対の領域Aの間(一例として基準線L)には2つの看護単位の境目が設けられる。このため、一対の領域Aの間に入所者の部屋が設けられる場合、一方の看護単位の入所者が他方の看護単位の入所者より多くなったときに、多くなった看護単位の入所者を一対の領域Aの間の部屋に入所させることができる。従って、複数の看護単位のそれぞれにおける入所者の部屋の振り分けを柔軟に行うことができる。
【0051】
例えば、廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24によって画成される四角形部分の内側に廊下21、廊下22、廊下25及び廊下26によって画成される四角形部分が配置されている。例えば、廊下23の第1の採光部32との反対側の端部、及び廊下24の第1の採光部32との反対側の端部、のそれぞれには第3の採光部34が設けられている。一例として、第3の採光部34は、看守りデイであってもよいし、ビューラウンジであってもよい。廊下23の廊下21側の端部、及び廊下24の廊下22側の端部のそれぞれに第3の採光部34が設けられており、これにより、廊下23及び廊下24への採光性を高めることができる。また、第1の採光部32及び第2の採光部33から病棟2の内部に光を導入可能となっており、これにより、病棟2の内部への採光性を更に高めることができる。
【0052】
廊下21の第2の採光部33との反対側の端部、及び廊下22の第2の採光部33との反対側の端部のそれぞれには、第4の採光部35が設けられている。以上、第1の採光部32、第2の採光部33、第3の採光部34及び第4の採光部35を備えることにより、廊下21の一端及び他端、廊下22の一端及び他端、廊下23の一端及び他端、並びに、廊下24の一端及び他端、のそれぞれに採光部が設けられる。すなわち、廊下21、廊下22、廊下23及び廊下24のそれぞれの突き当たりに採光部(第1の採光部32、第2の採光部33、第3の採光部34及び第4の採光部35のいずれか)が設けられる。従って、病棟2の部屋10に面した部分の全体を明るくすることが可能となる。
【0053】
複数の部屋10は、廊下21を介して第1のスタッフステーション40Aに対向する第1の部屋群11と、第1の突出部1cに位置する第2の部屋群12と、廊下23に沿って並ぶ第3の部屋群13とを含んでいる。更に、複数の部屋10は、廊下22を介して第1のスタッフステーション40Bに対向する第1の部屋群11と、第2の突出部1dに位置する第2の部屋群12と、廊下24に沿って並ぶ第3の部屋群13とを含んでいる。なお、第2の部屋群12と第3の部屋群13の間には、例えば、トイレ37及びリネン室38が設けられている。トイレ37及びリネン室38は、廊下23(又は廊下24)を挟んで第1のスタッフステーション40の反対側に設けられていてもよい。トイレ37及びリネン室38の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0054】
第1のスタッフステーション40Aに対向する第1の部屋群11、及び第1のスタッフステーション40Bに対向する第1の部屋群11は、例えば、基準線Lに対して互いに対称となる位置に配置されている。第1の突出部1cに位置する第2の部屋群12と、第2の突出部1dに位置する第2の部屋群12とは基準線Lに対して互いに対称となる位置に配置されており、例えば、廊下23に沿って並ぶ第3の部屋群13と、廊下24に沿って並ぶ第3の部屋群13とは基準線Lに対して互いに対称となる位置に配置されている。
【0055】
第1の部屋群11は、例えば、重篤患者、重症患者、一級障害者、第1種障害者、又は常に観察が必要な入所者が入所する部屋90,100,200を含んでいる。部屋90の形状と、部屋100の形状と、部屋200の形状とは、例えば、互いに異なっている。一例として、部屋90は長方形状とされており、部屋200は正方形状とされている。部屋90及び部屋100のそれぞれは1床室であり、部屋200は4床室である。部屋100については後に詳述する。
【0056】
第2の部屋群12は、例えば、第1の部屋群11よりも要観察度が低い入所者が入所する部屋12b,12cを含んでおり、第3の部屋群13は、第2の部屋群12よりも更に要観察度が低い入所者が入所する部屋13b,13cを含んでいる。第1の部屋群11は重症者が入所する重症ゾーン、第2の部屋群12は看護が必要な入所者が入所するユニット看護ゾーン、第3の部屋群13は一般の入所者が入所する一般ゾーンであってもよい。第3の部屋群13には、第1の採光部32のリハビリテーションスペースにおいてリハビリを行うことが可能な入所者が入所していてもよい。
【0057】
例えば、第2の部屋群12は廊下21又は廊下22に対向している。第2の部屋群12の部屋12bは1床室であり、第2の部屋群12の部屋12cは4床室である。第2の部屋群12には第2のスタッフステーション50が設けられる。廊下21(又は廊下22)における第2のスタッフステーション50が設けられた部分は、廊下21(又は廊下22)の他の部分と比較して広くなっている。例えば、第2のスタッフステーション50は一対の部屋12bに挟まれており、一対の部屋12b及び第2のスタッフステーション50の両側のそれぞれに部屋12cが設けられている。部屋12bには、部屋12cよりも要観察度が高い入所者が入所してもよい。
【0058】
例えば、第1のスタッフステーション40が病院1の主要なスタッフステーションであるのに対し、第2のスタッフステーション50は補助的なスタッフステーションである。第2のスタッフステーション50の大きさは、例えば、第1のスタッフステーション40の大きさよりも小さい。一例として、第1のスタッフステーション40には24時間職員が滞在しているが、第2のスタッフステーション50には昼間のみ職員が滞在している。第1のスタッフステーション40は3方向が廊下に面していてもよいし、第2のスタッフステーション50は4方向が廊下21(又は廊下22)に面していてもよい。例えば、第1のスタッフステーション40はコーナー型又はホール型のスタッフステーションであり、第2のスタッフステーション50はピット型のスタッフステーションである。
【0059】
例えば、第3の部屋群13は、第1の部屋群11及び第2の部屋群12の間から、第1の部屋群11及び第2の部屋群12が並ぶ方向に対して交差する方向に突出するように配置されている。本実施形態では、病院1の中央部1bの四角形状の四辺のうち、互いに隣接する2つの辺が第1の部屋群11によって構成されており、残りの2つの辺が第3の部屋群13によって構成されている。中央部1bの一端に第1の部屋群11が配置されると共に、中央部1bの他端に第3の部屋群13が配置されていてもよい。
【0060】
第3の部屋群13は、例えば、第2の部屋群12よりも要観察度が低く自分で歩行することが可能な入所者が入所する部屋13b,13cを含む。例えば、部屋13bは1床室であり、部屋13cは4床室である。第3の部屋群13は廊下23又は廊下24に対向している。一例として、第3の部屋群13は、一対の部屋13bと、一対の部屋13bの間に配置された2つの部屋13cとを含んでいる。
【0061】
図3は、第1のスタッフステーション40、第1の部屋群11、第2の部屋群12及び廊下21を示す斜視図である。図1及び図3に示されるように、病院1は、第1の部屋群11、廊下21(又は廊下22)、及び第1のスタッフステーション40を含む要観察領域である領域Aを備える。一例として、病院1は、基準線Lから見て一方側及び他方側のそれぞれに一対の領域Aを備える。一対の領域Aは、基準線Lに対して互いに対称となる位置に設けられていてもよい。領域Aにおいて第1の部屋群11の部屋90,100が並ぶ方向は、例えば、第1のスタッフステーション40の長手方向に一致している。
【0062】
例えば、廊下21(又は廊下22)における領域Aへの出入口に一時的に(又は部分的に)パーティションが設けられてもよい。この場合、例えば、職員用動線である廊下21(又は廊下22)を独立化できるので、領域Aにおける第1の部屋群11と第1のスタッフステーション40との緊密性を高めることができる。従って、第1の部屋群11の入所者に対する手厚い看護が可能となる。
【0063】
領域Aにおいて、複数の部屋90,100のそれぞれは廊下21,22を挟んで第1のスタッフステーション40に対向している。第1の部屋群11と第1のスタッフステーション40との間に位置する廊下21,22は、例えば、要観察者及び職員の動線であってもよい。一例として、一対の領域Aの間には廊下21,22,25,26のみが設けられていてもよく、この場合、一対の領域Aの間で職員が緊密に連携することが可能となる。
【0064】
第1のスタッフステーション40は、廊下21,22に対向する第1領域A1と、廊下23,24に対向する第2領域A2と、廊下25,26に対向する第3領域A3、廊下27,28に対向する第4領域A4とを有していてもよい。例えば、第1領域A1及び第4領域A4は第1のスタッフステーション40の長辺41を含んでおり、第2領域A2及び第3領域A3のそれぞれは第1のスタッフステーション40の短辺42を含んでいる。
【0065】
第1領域A1は第1の部屋群11の入所者のアクセスポイントであり、第2領域A2は第2の部屋群12及び第3の部屋群13の入所者のアクセスポイントであり、第3領域A3は来訪者のアクセスポイントであり、第4領域A4は職員用のアクセスポイントであってもよい。このように第1のスタッフステーション40が第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3及び第4領域A4を有する場合、第1のスタッフステーション40に対する入所者、来訪者及び職員を明確に区分することができる。例えば、第1領域A1の全体が重症ゾーンである第1の部屋群11に正対しているので、第1領域A1では重症患者等へのアクセスを緊密に行うことができる。
【0066】
本実施形態では、エレベーター群31から第1のエレベーターホール31bに降りた来訪者は、必ず第3領域A3(第1のスタッフステーション40の横)を通るので、第1のスタッフステーション40からの来訪者の監視をより確実且つ十分に行うことが可能となる。すなわち、エレベーター群31から第1のエレベーターホール31bに降りた来訪者が第1のスタッフステーション40の横を通ることにより、前述した来訪者認証手段(例えば、ICカードリーダ)を有しない場合であっても、来訪者の監視を確実且つ十分に行うことができる。従って、来訪者認証手段を省略することができる。第4領域A4は、廊下27、28の突き当たりに設けられていてもよい。この場合、第2のエレベーターホール31cに設けられる3機の職員用エレベーターから第4領域A4までの職員のアクセスを廊下21,22の反対側(例えば、職員用の廊下27,28)から容易に行うことができる。
【0067】
第1のスタッフステーション40からは、第1の部屋群11の部屋90,100を視認可能であってもよい。第1のスタッフステーション40から廊下21,22のみを介した第2の部屋群12へのアクセス、又は、第1のスタッフステーション40から廊下23,24のみを介した第3の部屋群13へのアクセスが可能とされていてもよい。第2の部屋群12が設けられる突出部1c,1dは、領域Aから突出する部位であってもよく、例えば、第1の方向D1及び第2の方向D2のそれぞれに突出している。突出部1c,1dでは、廊下21,22の両側のそれぞれに複数の部屋12b,12cが配置されている。
【0068】
平面視における第1のスタッフステーション40の形状は、多角形状とされており、一例として、長辺41及び短辺42を有する長方形状とされている。第1のスタッフステーション40は、例えば、休憩室43と、多目的スペース44と、カウンター群45とを備える。第1のスタッフステーション40には、例えば、柱が設けられていない。これにより、第1のスタッフステーション40からの視界において死角を生じにくくすることができるので、第1のスタッフステーション40を、入所者を看守りやすい空間とすることができる。
【0069】
カウンター群45は、例えば、廊下21,22に面する長辺41に設けられた第1のカウンター45bと、廊下23,24に面する短辺42に設けられた第2のカウンター45cと、廊下25,26に面する短辺42に設けられた第3のカウンター45dとを含んでいてもよい。第1のカウンター45bは第1の部屋群11の入所者用のカウンターであり、第2のカウンター45cは第2の部屋群12及び第3の部屋群13の入所者用のカウンターであり、第3のカウンター45dは来訪者用のカウンターであってもよい。第1のカウンター45b及び第2のカウンター45cでは、例えば、看守りの記録等の事務作業が行われ、第3のカウンター45dでは来訪者の入退管理が行われてもよい。この場合、病院1の安全性を更に高めることが可能となる。なお、第1のスタッフステーション40の内部のレイアウト等は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0070】
次に、第1のスタッフステーション40に対向する第1の部屋群11の部屋100の詳細について図4を参照しながら説明する。図3及び図4に示されるように、例えば、2つの部屋100の広さは4床室である部屋200の広さと一致している。すなわち、部屋100は4床室相当空間から形成されている。「4床室相当空間」とは、4つのベッドを配置可能な4床室の全部又は一部を用いて形成された空間を示しており、本実施形態では、4床室相当空間が2分割されて2つの部屋100が形成されている。「4床室相当空間」は、例えば、平面視において矩形状を呈する空間である。例えば、4床室相当空間の廊下に直交する辺の長さをX(m)、4床室相当空間の廊下に平行な辺の長さをY(m)とすると、X及びYのそれぞれの値は5.0以上且つ6.5以下である。Xの最小値は5.5又は6.0であってもよい。Xの最大値は6.0又は6.3であってもよい。Yの最小値及び最大値についても同様である。また、4床室が内壁である第2の壁103によって仕切られることにより、部屋100を簡易に形成することができる。例えば、4床室が第2の壁103で仕切られることによって、略対称形状の2つの部屋100を容易に形成することができる。
【0071】
部屋100は、廊下21,22に対する出入口101と、出入口101を画定する第1の壁102と、隣接する部屋100との間仕切り壁である第2の壁103と、窓104を有する第3の壁105と、部屋100の内部空間Sから見て第2の壁103の反対側に位置する第4の壁106とを備える。
【0072】
例えば、平面視において、互いに隣接する2つの部屋100は、2つの部屋100の中心Cに対して点対称の区画とされていてもよい。出入口101及び第1の壁102は、例えば、廊下21,22が延びる延在方向D3に延びている。第4の壁106は、第1の壁102の延在方向D3の端部から延在方向D3に交差する交差方向D4に延びている。第3の壁105は、第4の壁106の第1の壁102との反対側の端部において延在方向D3に延びている。第3の壁105は、例えば、病院1の外壁である。
【0073】
第2の壁103は、部屋100の内部に設けられた内壁であり、例えば、病棟2の外形を形成する外壁とは異なる。例えば、第2の壁103は、窓104を有する第3の壁105から病院1の内側に延び出しており、第1の壁102に連結されている。一例として、第2の壁103は、第1の壁102から延びる壁部103b1と、壁部103b1から部屋100の中央側に向かって延びる壁部103c1と、第3の壁105から延びる壁部103b2と、壁部103b2から部屋の中央側に向かって延びる壁部103c2と、壁部103c1及び壁部103c2を互いに接続する壁部103dとを含んでいる。
【0074】
例えば、部屋100は、交差方向D4に沿って延びると共に延在方向D3に沿って並ぶ一対の壁部103b1を含んでおり、交差方向D4に沿って延びると共に延在方向D3に沿って並ぶ一対の壁部103b2を含んでいてもよい。壁部103c1は、壁部103b1の端部から延在方向D3及び交差方向D4の双方に対して斜めに延びている。壁部103c2は、壁部103b2の端部から延在方向D3及び交差方向D4の双方に対して斜めに延びている。一例として、壁部103c1と壁部103c2とは、互いに平行に延びていてもよい。
【0075】
壁部103dは、延在方向D3及び交差方向D4の双方に対して斜めに延びている。一例として、壁部103dは、壁部103c1及び壁部103c2に直交している。壁部103dは、例えば、壁部103c1における部屋100の中央側の端部から、壁部103c2における部屋100の中央側の端部に向かって延びている。壁部103dの一端及び他端は、壁部103c1及び壁部103c2のそれぞれから突出する突出部103fとされている。突出部103fは、交差方向D4に沿って折り曲げられた先端部103gを有していてもよい。
【0076】
例えば、第2の壁103の少なくとも一部は、クランク状とされている。具体例として、壁部103c1、壁部103d、及び壁部103c2は、クランク状とされており、平面視において、第1の壁102に対して斜めに延在している。すなわち、部屋100は、S字形の内壁(斜め壁)を有する。壁部103c1、壁部103c2及び壁部103dは、第2の壁103の傾斜部分(S字形部分)に相当する。第1の壁102に対する壁部103c1の傾斜角度は、例えば、30°以上且つ60°以下であり、一例として45°である。第3の壁105に対する壁部103c2の傾斜角度も、例えば、30°以上且つ60°以下であり、一例として45°である。また、壁部103c2に対する壁部103dの角度、及び壁部103c1に対する壁部103dの角度は、一例として、90°である。しかしながら、これらの角度の少なくともいずれかが90°以外の角度であってもよい。
【0077】
部屋100は、トイレ111bが設けられるトイレスペース111と、入所者が使用するベッド112bが配置されるベッドスペース112と、来訪者によって用いられる来訪者スペース113とを備える。来訪者スペース113は、窓104側に位置する斜め壁の一部である壁部103c2から見て延在方向D3の一方側及び他方側のそれぞれに設けられる。来訪者スペース113には、一例として、ソファが設けられる。このように、窓104側の壁部103c2の両側のそれぞれに来訪者スペース113が設けられるので、部屋100の来訪者は座って窓104の外を眺めることができる。部屋100は、来訪者スペース113に代えて、又は、来訪者スペース113と共に、サニタリー空間を有していてもよい。トイレスペース111は、例えば、壁部103b1,103b2のいずれかと、壁部103c1,103c2のいずれかと、壁部103dの突出部103fとによって画成される。トイレスペース111は、例えば、スライド式のドア111cを有する。一例として、ドア111cはトイレスペース111の外側に膨らむように湾曲しており、ドア111cを周方向に移動させることによってトイレスペース111を開閉可能とされている。一例として、ドア111cは円弧状に形成されている。ドア111cがスライド式であることにより、車椅子を利用する入所者であっても容易にドア111cを開閉させることが可能となる。ドア111cがトイレスペース111の外側に膨らむように湾曲していることにより、ドア111cの内側のトイレスペース111に入所者の車椅子のスペースや介助者のスペースを広く確保することができる。
【0078】
ベッドスペース112には、平面視において長手方向及び幅方向に延びるベッド112bが配置される。ベッド112bの頭側部分が第2の壁103(壁部103c2又は壁部103d)に向けられると共に、ベッド112bの脚側部分が第1の壁102(廊下21,22)に向けられる。これにより、廊下21,22から入所者の顔を視認しやすくすることができる。また、ベッド112bは窓104に対して斜めとなるように配置されているので、ベッド112bを利用する入所者からの窓104の視認性を高めることができる。すなわち、入所者はベッド112bに横たわった状態で窓104の外を視認することができる。
【0079】
ベッドスペース112は、ベッド112bの幅方向の外側に位置する一対の幅側スペース112c,112dを有する。幅側スペース112cはベッド112bの幅方向の一方側に設けられ、幅側スペース112dはベッド112bの幅方向の他方側に設けられる。例えば、幅側スペース112c,112dは、ベッド112bに横たわる入所者の看護が行われるときに職員が入り込むスペースである。
【0080】
ベッド112bの両側のそれぞれに幅側スペース112c,112dが設けられることにより、ベッド112bの幅方向の両側から職員が入所者に容易にアクセスすることができる。すなわち、ベッド112bの両側のそれぞれに対するアクセスを速やかに且つ容易に行うことができる。また、幅側スペース112c,112dは、ベッド112bの長手方向に沿って延びると共に、出入口101を有する第1の壁102側に向けられている。従って、職員による入所者へのアクセスを更に容易に行うことができる。
【0081】
次に、本実施形態に係る医療福祉空間から得られる作用効果について詳細に説明する。この医療福祉空間では、入所者が滞在する部屋100がベッド112bと内壁である第2の壁103とを含んでおり、ベッド112bは、第2の壁103の傾斜部分(壁部103c2又は壁部103d)に対向すると共に第2の壁103の傾斜部分から出入口101側に延びるように配置されている。ベッド112bに横たわる入所者の脚が出入口101側を向くと共に、入所者の頭は傾斜する第2の壁103の傾斜部分に対向するように配置される。
【0082】
よって、出入口101に対して入所者の身体は斜めを向くように配置され、出入口101から見て斜めの位置に入所者の頭が位置するので、出入口101から離れたところであっても入所者の顔を観察できると共にベッド112bの両側へのアクセスを容易に行うことができる。その結果、職員が部屋100の出入口101のところまで行かなくてもベッド112bに横たわる入所者の顔を観察できると共にベッド112bの両側へのアクセスを容易に行うことができるので、医療福祉空間の入所者を適切に看護することができる。従って、本実施形態に係る病院1では、入所者からの窓104の外の視認性を高めて入所者の環境を良好にできると共に、入所者に対する適切な判断、及び入所者に対する適切な処置を行うことが可能である。
【0083】
また、第2の壁103は、部屋100に隣接する部屋100との間仕切り壁であってもよい。この場合、所定の空間(内部空間S)を出入口101に対して傾斜する第2の壁103で仕切ることによって2つの部屋100に区切ることができるので、限られた広さの空間に対しても広い空間が形成された2つの部屋100を確保することができる。
【0084】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る医療福祉空間は、一対の第1のスタッフステーション40と一対の第1の部屋群11とを備え,一対の第1の部屋群11のそれぞれは各第1のスタッフステーション40に対向している。従って、第1の部屋群11を第1のスタッフステーション40に隣接して配置することができるので、第1の部屋群11の入所者のそれぞれを第1のスタッフステーション40から十分に観察できると共に当該入所者に対するアクセスを容易に行うことができる。
【0085】
本実施形態に係る医療福祉空間では、第1のスタッフステーション40Aから延びる第1の延長線E1と、第1のスタッフステーション40Bから延びる第2の延長線E2とが交差している。従って、一対の第1のスタッフステーション40同士を互いに隣接させることができるので、一対の第1のスタッフステーション40間の連携をより十分に行うことができる。その結果、第1の部屋群11に入所する入所者をより適切に看護することができる。
【0086】
また、第1のスタッフステーション40及び第1の部屋群11を含む領域Aから基準線Lの反対側に突出する一対の突出部1c,1dと、一対の突出部1c,1dのそれぞれに配置された一対の第2の部屋群12と、を備えてもよい。この場合、第1のスタッフステーション40及び第1の部屋群11を含む領域Aから突出する突出部1c,1dを備え、突出部1c,1dには第1の部屋群11とは種別が異なる第2の部屋群12が設けられる。このように突出部1c,1dに第2の部屋群12を確保することにより、医療福祉空間全体として多くの部屋10を確保することができる。
【0087】
また、本実施形態では、病院1のコア部分が四角形状とされており、四角形状のコア部分の四辺のうち互いに隣接する2辺のそれぞれに第1のスタッフステーション40が配置されている。このように、四角形の四辺のうち互いに隣接する二辺のそれぞれに第1のスタッフステーション40が設けられることにより、一対の第1のスタッフステーション40の間の連携を緊密に行うことができると共に、各第1のスタッフステーション40において第1の部屋群11の入所者に対する看護を一層手厚く行うことができる。更に、四角形の四辺のうち第1のスタッフステーション40が設けられる二辺の外側には第1の部屋群11が設けられ、第1のスタッフステーション40が設けられない二辺の外側には第3の部屋群13が設けられる。従って、四角形部分の四辺の外側のそれぞれに入所者の部屋を確保することができる。
【0088】
更に、第1のスタッフステーション40に対向する一対の第1の部屋群11と、突出部1c,1dに設けられた第2の部屋群12とを備えることにより、第1の部屋群11の入所者と第2の部屋群12の入所者とを区分することができる。すなわち、常に看護等が必要で常に面倒を見なければならない入所者を第1の部屋群11に入所させ、それ以外の入所者を第2の部屋群12に入所させるといった区分が可能となる。
【0089】
従って、様々な種類の入所者を明確に識別できる部屋の区画とされているので、入所者の状態に応じて第1の部屋群11及び第2の部屋群12のそれぞれに対する入所者の配置を適切に行うことができる。よって、特に看護が必要な入所者を第1の部屋群11に配置して当該入所者を適切に看護することができるので、入所者の種別に応じて入所者を適切に看護することができる。更に、本実施形態に係る病院1は第3の部屋群13を備えるので、上記の効果が更に顕著となる。
【0090】
以上、本開示に係る医療福祉空間の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した各実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明は、各請求項の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能であり、例えば、病院1の各部の構成及び配置態様は前述した要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、医療福祉施設(病院)の外形、突出部の突出方向、及び突出部の形状は、例えば、看護単位の数等に応じて適宜変更可能である。
【0091】
例えば、前述の実施形態では、病院1の複数の部屋10が1床室と4床室とを含んでいる例について説明した。しかしながら、病院1の複数の部屋は、全室個室であってもよいし、全室4床室であってもよい。このように、病院1の各部屋の収容人数、形状、大きさ及び配置態様は前述した例に限られず適宜変更可能である。
【0092】
また、前述の実施形態では、医療福祉施設が病院である例について説明した。しかしながら、本発明に係る医療福祉施設は、病院以外の施設であってもよく、例えば、老人ホーム、シニア向けマンション等の高齢者向け住宅、障害者福祉施設、又は児童福祉施設であってもよい。これらの場合であっても、本発明に係る医療福祉施設では、前述と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0093】
1…病院(医療福祉空間)、1b…中央部、1c,1d…突出部、1f…角部、2…病棟、10…部屋、11…第1の部屋群、12…第2の部屋群、12b,12c…部屋、13…第3の部屋群、13b,13c…部屋、21,22,23,24,25,26,27,28…廊下、31…エレベーター群、31b…第1のエレベーターホール、31c…第2のエレベーターホール、32…第1の採光部、33…第2の採光部、34…第3の採光部、35…第4の採光部、37…トイレ、38…リネン室、40,40A,40B…第1のスタッフステーション(スタッフステーション)、41…長辺、42…短辺、43…休憩室、44…多目的スペース、45…カウンター群、45b…第1のカウンター、45c…第2のカウンター、45d…第3のカウンター、50…第2のスタッフステーション、60…第1の職員利用部、61…スタッフラウンジ、62…処置室、63…器材室、64…カンファレンスルーム、65…機械浴室、66…入所者用施設群、67…階段、70…第2の職員利用部、71…調剤室、72…器材室、73…職員用施設群、74…入所者用施設群、75…処置室、80…第3の職員利用部、81…第1の面談室、82…第2の面談室、83…カンファレンスルーム、84…トイレ群、90,100,200…部屋、101…出入口、102…第1の壁、103…第2の壁、103b1,103b2,103c1,103c2,103d…壁部(傾斜部分)、103f…突出部、103g…先端部、104…窓、105…第3の壁、106…第4の壁、111…トイレスペース、111b…トイレ、111c…ドア、112…ベッドスペース、112b…ベッド、112c,112d…幅側スペース、113…来訪者スペース、A…領域、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、A4…第4領域、C…中心、D1…第1の方向、D2…第2の方向、D3…延在方向、D4…交差方向、E1…第1の延長線、E2…第2の延長線、L…基準線、R…線路、S…内部空間。
図1
図2
図3
図4