(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】踏切情報送信装置
(51)【国際特許分類】
B61L 29/28 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B61L29/28 A
(21)【出願番号】P 2020025970
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-02-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】391054464
【氏名又は名称】株式会社てつでん
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】森田 將裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢郎
(72)【発明者】
【氏名】大串 裕郁
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宮島 卓也
(72)【発明者】
【氏名】大野 将希
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107416(JP,A)
【文献】特開2019-217885(JP,A)
【文献】特開2003-237579(JP,A)
【文献】特開2008-290549(JP,A)
【文献】特開2011-020462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切に設けられた踏切警報機の動作期間内の警報機情報を取得する警報機情報取得部と、
前記踏切に設けられた遮断機の動作期間内の遮断機情報を取得する遮断機情報取得部と、
前記警報機情報取得部が取得した前記警報機情報に基づく第1情報及び前記遮断機情報取得部が取得した前記遮断機情報に基づく第2情報のうち少なくともいずれかを外部へ送信する送信部と、
前記送信部における前記第1情報及び前記第2情報の送信判定制御を行う送信制御部と、を備え、
前記送信制御部は、前記踏切警報機の鳴動開始を示す踏切動作信号と、鳴動終了を示す踏切動作信号と、に基づいて前記踏切警報機の動作期間と前記遮断機の動作期間を判定し、前記動作期間に前記警報機情報及び前記遮断機情報を取得させ、
前記踏切警報機の動作期間と前記遮断機の動作期間は、前記踏切警報機の鳴動開始を示
す踏切動作信号が
前記踏切警報機から入力されてから鳴動終了を示す踏切動作信号が
前記踏切警報機から入力されるまでの期間である、
ことを特徴とする踏切情報送信装置。
【請求項2】
前記第1情報及び前記第2情報を蓄積する蓄積部をさらに備え、
前記送信制御部は、前記蓄積部に蓄積された前記第1情報及び前記第2情報のうち少なくともいずれかを定期的に前記送信部に送信させることを特徴とする請求項1に記載の踏切情報送信装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記警報機情報に基づいて前記踏切警報機の異常の有無を判定し、前記遮断機情報に基づいて前記遮断機の異常の有無を判定し、これらの判定の結果異常がある場合は、異常のあった前記警報機情報に基づく前記第1情報又は異常のあった前記遮断機情報に基づく前記第2情報を、前記踏切の動作終了後直ちに前記送信部に送信させることを特徴とする請求項1または2に記載の踏切情報送信装置。
【請求項4】
前記警報機情報は、前記踏切警報機に設けられた電流センサが出力した電流値、前記踏切警報機に設けられた警報音センサが出力した音圧値のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から
3のうちいずれか一項に記載の踏切情報送信装置。
【請求項5】
前記遮断機情報は、前記遮断機に設けられた電流センサが出力した電流値、前記遮断機から取得した電圧値および前記遮断機に設けられた傾きセンサが出力した遮断桿の傾き値のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から
3のうちいずれか一項に記載の踏切情報送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切に設けられた踏切警報機や遮断機から情報を取得して外部に送信する踏切情報送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道と道路が平面交差する踏切には、通常、踏切警報機や遮断機等が設置されている。そして、このような踏切警報機や遮断機に対しては、正常に動作しているか否か等を点検するために、作業員が定期的に現場に赴いて点検作業を行っている。
【0003】
そのため、従来は人手による点検を行うので非常に手間がかかるという問題があった。そこで、特許文献1には、踏切の状態を監視するための複数の機器から踏切に関する情報を収集し、収集された情報を監視センター等に送信することができる踏切状態監視装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の踏切状態監視装置は、監視センター等からの指示に基づいて収集した情報を出力している。そのため、例えば異常を示す情報が収集された場合に即座に通知することが困難であり、臨機応変な対応ができない。
【0006】
そこで、本発明は、踏切に設置された踏切警報機や遮断機の情報を取得して、適切なタイミングで送信することができる踏切情報送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、踏切に設けられた踏切警報機の動作期間内の警報機情報を取得する警報機情報取得部と、前記踏切に設けられた遮断機の動作期間内の遮断機情報を取得する遮断機情報取得部と、前記警報機情報取得部が取得した前記警報機情報に基づく第1情報及び前記遮断機情報取得部が取得した前記遮断機情報に基づく第2情報のうち少なくともいずれかを外部へ送信する送信部と、前記送信部における前記第1情報及び前記第2情報の送信判定制御を行う送信制御部と、を備え、前記送信制御部は、前記踏切警報機の鳴動開始を示す踏切動作信号と、鳴動終了を示す踏切動作信号と、に基づいて前記踏切警報機の動作期間と前記遮断機の動作期間を判定し、前記動作期間に前記警報機情報及び前記遮断機情報を取得させ、前記踏切警報機の動作期間と前記遮断機の動作期間は、前記踏切警報機の鳴動開始を示す踏切動作信号が前記踏切警報機から入力されてから鳴動終了を示す踏切動作信号が前記踏切警報機から入力されるまでの期間である、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記第1情報及び前記第2情報を蓄積する蓄積部をさらに備え、前記送信制御部は、前記蓄積部に蓄積された前記第1情報及び前記第2情報のうち少なくともいずれかを定期的に前記送信部に送信させることを特徴とすることが好ましい。
【0009】
また、前記送信制御部は、前記警報機情報に基づいて前記踏切警報機の異常の有無を判定し、前記遮断機情報に基づいて前記遮断機の異常の有無を判定し、これらの判定の結果異常がある場合は、異常のあった前記警報機情報に基づく前記第1情報又は異常のあった前記遮断機情報に基づく前記第2情報を、前記踏切の動作終了後直ちに前記送信部に送信させることを特徴とすることが好ましい。
【0010】
また、送信制御部は、外部から入力された踏切制御信号に基づき前記踏切の動作状況を判定して、前記第1情報及び前記第2情報の送信判定制御を行うことを特徴とすることが好ましい。
【0011】
また、前記警報機情報は、前記踏切警報機に設けられた警報灯センサが出力した電流値、前記踏切警報機に設けられた警報音センサが出力した音圧値のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とすることが好ましい。
【0012】
また、前記遮断機情報は、前記遮断機に設けられた電流センサが出力した電流値、前記遮断機から取得した電圧値および前記遮断機に設けられた傾きセンサが出力した遮断桿の傾き値のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、踏切情報送信装置は、送信制御部により送信判定制御が行われるので、踏切に設置された踏切警報機や遮断機の情報を能動的に適切なタイミングで送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる踏切情報送信装置を備えるシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示された踏切情報送信装置の概略構成図である。
【
図3】
図2に示された踏切情報送信装置の定期送信動作を示したフローチャートである。
【
図4】
図2に示された踏切情報送信装置の情報取得時の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る踏切情報送信装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る踏切情報送信装置1を備えるシステム100の概略構成図である。システム100は、
図1に示したように、踏切情報送信装置1と、警報灯センサ2と、遮断機電流/電圧センサ3と、無線モジュール4と、警報音センサ5と、遮断機傾きセンサ6と、電源7と、接点入力部8と、無線モジュール9と、電流センサ10、11と、を備えている。
【0016】
踏切情報送信装置1は、警報灯センサ2、遮断機電流/電圧センサ3、警報音センサ5及び遮断機傾きセンサ6が収集した情報を取得して無線モジュール9を介して監視センター50へ送信する。
【0017】
踏切情報送信装置1は、
図2に示したように、論理部1aと、ネットワーク部1bと、リレーI/F部1cと、無線伝送部1dと、RS485伝送部1eと、RS232C伝送部1fと、電源回路1gと、を備えている。
【0018】
論理部1aは、取得した各情報の送信タイミングの制御や各情報に基づいて異常の有無を判定する。これらの制御や判定が本実施形態における送信判定制御となる。また、論理部1aは、取得した各情報を送信タイミングまで蓄積するためメモリ等の蓄積部1a1を備えている。論理部1aの動作の詳細は後述する。論理部1aは、CPU(Central Processing Unit)等を有するマイクロプロセッサで構成してもよいし、FPGA(Field Programable Gate Array)等のハードウェアで構成してもよい。
【0019】
ネットワーク部1bは、論理部1aから出力された情報を無線モジュール9へ出力する。本実施形態では、ネットワーク部1bと無線モジュール9とは例えばイーサネット(登録商標)により接続されているが、他の通信規格であってもよい。
【0020】
リレーI/F部1cは、接点入力部8から踏切警報機の鳴動状態や遮断機の開閉状態等を示す踏切動作信号が入力され、後述する各情報の取得及び送信の制御や、内部時計の時刻補正等に用いられるインターフェース(I/F)である。
【0021】
無線伝送部1dは、無線モジュール4を介して警報音センサ5から送信された警報音の音圧情報(以下、警報音圧情報とする)及び遮断機傾きセンサ6から送信された遮断機の遮断桿の傾き値情報(以下、遮断桿傾き値情報とする)を取得して論理部1aに出力する。
【0022】
RS485伝送部1eは、警報灯センサ2から入力された情報を取得して論理部1aに出力する。本実施形態では、踏切情報送信装置1と警報灯センサ2との間、警報灯センサ2と遮断機電流/電圧センサ3との間はRS485規格により通信を行っている。
【0023】
RS485は周知のようにデイジー・チェーンネットワークを構成することができるので、直接踏切情報送信装置1に接続した機器以外の機器であってもデイジー・チェーンネットワークを構成する機器からのデータ(情報)を取得することができる。つまり、RS485伝送部1eは、直接接続されている警報灯センサ2が取得した警報灯の電流情報(以下、警報灯電流情報とする)だけでなく、遮断機電流/電圧センサ3が取得した遮断機の電流情報(以下、遮断機電流情報とする)や遮断機の電圧情報(以下、遮断機電圧情報とする)も入力される。
【0024】
また、デイジー・チェーンネットワークにすることで、警報灯センサ2や遮断機電流/電圧センサ3を複数接続することも容易となる。なお、本実施形態のようなデイジー・チェーンネットワークでなく遮断機電流/電圧センサ3を直接踏切情報送信装置1に接続してもよいし、その際にはRS485以外の通信規格を採用してもよい。
【0025】
RS232C伝送部1fは、メンテナンス用のPC30が接続される。PC30は、一般的なパーソナルコンピュータであり、例えば論理部1aにおける判定条件等の変更等を行うことができる。更に、PC30は、作業員が現地で行うメンテナンス作業時など、必要に応じて踏切情報送信装置1が取得して蓄積部1a1に記憶した警報音圧情報、遮断桿傾き値情報、警報灯電流情報、遮断機電流情報、遮断機電圧情報等の各情報を読み出すこともできる。本実施形態では、PC30との接続はRS232C規格により通信を行っているが、他の通信規格であってもよい。
【0026】
電源回路1gは、電源部7から供給された電力を上述した各ブロックが必要とする電圧等に変換して供給する。
【0027】
以上説明したように、警報灯電流情報及び警報音圧情報が本実施形態における警報機情報であり、無線伝送部1d及びRS485伝送部1eが警報機情報取得部として機能する。また、遮断機電流情報、遮断機電圧情報及び遮断桿傾き値情報が本実施形態における遮断機情報であり、無線伝送部1d及びRS485伝送部1eが遮断機情報取得部として機能する。また、ネットワーク部1bが送信部として機能する。また、論理部1aが送信制御部として機能する。
【0028】
図1の説明に戻る。警報灯センサ2は、踏切に設置されている踏切警報機の警報灯に流れる電流を検出する電流センサ10の検出結果(電流値)を取得し、警報灯電流情報として踏切情報送信装置1へ出力する。なお、
図1では、警報灯センサ2には、電流センサ10が1つのみ接続されているが、複数接続できるようにしてもよい。複数接続できるようにすることで、1台の警報灯センサ2で複数の警報灯の電流値を取得することができる。
【0029】
遮断機電流/電圧センサ3は、踏切に設置されている遮断機の遮断桿の駆動部に流れる電流を検出する電流センサ11の検出結果(電流値)を取得し、遮断機電流情報として踏切情報送信装置1へ出力する。また、遮断機電流/電圧センサ3は、遮断機の遮断桿の駆動部の電圧値を取得し、遮断機電圧情報として踏切情報送信装置1へ出力する。なお、
図1では、遮断機電流/電圧センサ3には、電流センサ11が1つのみ接続されているが、複数接続できるようにしてもよい。複数接続できるようにすることで、1台の遮断機電流/電圧センサ3で複数の駆動部の電流値を取得することができる。電圧値も同様に複数取得できるようにしてもよい。
【0030】
無線モジュール4は、警報音センサ5が取得した踏切警報機の警報音圧情報と、遮断機傾きセンサ6が取得した遮断桿傾き値情報と、が入力され、踏切情報送信装置1へ出力する。本実施形態において無線モジュール4は、警報音センサ5及び遮断機傾きセンサ6とは、Zigbee(登録商標)規格の無線通信により接続されている。なお、Zigbee(登録商標)以外の規格を用いてもよく、無線通信でなく有線通信であってもよい。
【0031】
警報音センサ5は、踏切警報機のスピーカ近傍に設置され、当該スピーカから放音される警報音の音圧を検出する。検出された音圧は、警報音圧情報として無線モジュール4へ無線通信にて送信される。
【0032】
遮断機傾きセンサ6は、遮断機に設置され遮断桿の傾きを検出する。検出された傾きは遮断桿傾き値情報として無線通信にて無線モジュール4へ送信される。
【0033】
電源7は、外部から例えば商用電源等の電力供給を受けて、踏切情報送信装置1、警報灯センサ2、遮断機電流/電圧センサ3、無線モジュール4、接点入力部8、無線モジュール9の各ブロックへ電力供給を行う。
【0034】
接点入力部8は、踏切警報機から鳴動状態や遮断機の開閉状態等を示す踏切動作信号が入力される。
【0035】
無線モジュール9は、踏切情報送信装置1が送信すべく出力した情報をネットワークNを介して監視センター50へ送信する。本実施形態では、無線モジュール9とネットワークN間は無線通信としている。無線通信の規格としては、LPWA(Low Power Wide Area)の一種であるLoRa(Long Range)を用いることができる。勿論Wi-Fi(登録商標)等の他の無線通信規格を用いてもよい。また、有線通信としてもよい。また、ネットワークNは伝送する情報の性質上専用回線が好ましいが、VPN(Virtual Private Network)等セキュリティ上の安全性が確保できれば公衆回線でもよい。
【0036】
上述した踏切情報送信装置1と、警報灯センサ2と、遮断機電流/電圧センサ3と、無線モジュール4と、電源7と、接点入力部8と、無線モジュール9と、は、踏切警報機の近傍に設けられた器具箱20に設置されている。
【0037】
次に、上述した構成の踏切情報送信装置1の動作を
図3及び
図4のフローチャートを参照して説明する。
図3は、踏切情報送信装置1が取得した情報を定期的に送信する場合のフローチャートである。
【0038】
まず、踏切情報送信装置1の論理部1aは、情報の送信タイミングか否か判定する(ステップS11)。つまり、ステップS11では送信判定をしている。ステップS11は、踏切情報送信装置1が取得した警報灯電流情報、遮断機電流情報、遮断機電圧情報、警報音圧情報、遮断桿傾き値情報の各情報を定期的に送信するタイミングを判定している。論理部1aは、RTC等の時計機能を有し、予め定めた送信タイミングの時刻になったか否かで判定すればよい。また、送信タイミングとする時刻は例えば、午前0時等適宜定めればよい。勿論1日1回に限らず複数回であってもよいし、数日に1回であってもよい。更に、各情報の送信はこのように予め定められた一定時間毎の送信の他にも、踏切動作終了の都度送信を行えるようにしてもよい。このように情報を送信するタイミングを一定時間毎とするか、若しくは踏切動作終了の都度とするかは、論理部1aに対して設定することが可能である。
【0039】
また、ステップS11では、全情報を同一のタイミングで判定しているが、上述した情報毎に個別のタイミングとしてもよい。即ち、ステップS11において論理部1aは、警報機情報及び遮断機情報のうち少なくともいずれかを送信するための判定制御を行っている。
【0040】
ステップS11の判定の結果送信タイミングであると判定された場合は(ステップS11;YES)、論理部1aは、蓄積部1a1に蓄積された情報をネットワーク部1bに出力して送信させる(ステップS12)。一方、ステップS11の判定の結果送信タイミングでないと判定された場合は(ステップS11;NO)、論理部1aは送信タイミングまでステップS11を繰り返し判断する。
【0041】
ここで、上述したフローチャートの説明では、踏切情報送信装置1が取得した各情報をそのまま送信している。したがって、警報機情報が第1情報となり、遮断機情報が第2情報となる。また、例えば踏切の1回の動作における各情報の最大値や最小値あるいは平均値といった代表値を送信するようにしてもよい。その場合は、警報機情報と第1情報は異なることがあり、遮断機情報と第2情報は異なることがある。
【0042】
ここまでは、自発的(能動的)に情報を送信する手順について述べたが、このような機能に加えて、監視センター50(上位のサーバー等)からの要求に応じて、踏切情報送信装置1が取得した各情報を送信することも可能である。所定の時間・期間内の情報であってもよいし、最大値・最小値・平均値といった情報のみを読み出すことも可能である。これらも論理部1aに対する条件設定により、任意に設定が可能である。
【0043】
次に、警報灯センサ2、遮断機電流/電圧センサ3、警報音センサ5及び遮断機傾きセンサ6の各センサから情報を取得した際の動作について
図4のフローチャートを参照して説明する。まず、論理部1aは、各センサから取得する警報灯電流情報、遮断機電流情報、遮断機電圧情報、警報音圧情報、遮断桿傾き値情報のいずれかを取得(受信)したか否か判定する(ステップS21)。
【0044】
本実施形態では、接点入力部8を介してリレーI/F部1cが取得した踏切動作信号に基づき動作状況を判定する。例えば、踏切警報機の鳴動開始を示す踏切動作信号が入力されてから鳴動終了を示す踏切動作信号が入力されるまでの期間を情報取得期間と判定し、その期間に上記取得判定を行う。あるいは、遮断機が閉じ始めたことを示す踏切動作信号が入力されてから開いたことを示す踏切動作信号が入力されるまでの期間を情報取得期間と判定し、その期間に上記取得判定を行うようにしてもよい。また、踏切動作信号に基づいて異常判定の閾値を変化させてもよい。例えば、踏切警報機の鳴動音量が時間経過とともに変化する場合は、その変化に合わせて閾値を変化させてもよい。
【0045】
ステップS21の判定の結果情報を取得していないと判定された場合は(ステップS21;NO)、論理部1aは情報を取得するまでステップS21を繰り返し判断する。一方、ステップS21の判定の結果情報を取得したと判定された場合は(ステップS21;YES)、取得した情報が異常な値か否か判定する(ステップS22)。ステップS22における判定は、例えば予め定めた所定の閾値と比較して判定すればよい。例えば、警報灯センサ2が取得した警報灯電流情報が示す電流値が閾値未満である場合は警報灯が切れている異常が疑われる。上記した所定の閾値は情報毎に適宜設定される。
【0046】
ここで、本実施形態における異常とは故障に限らない。例えば故障には至っていないものの劣化が進行して近い将来故障するおそれがあるもの等作業員の点検を要するものであればよい。また、上記した鳴動開始の踏切動作信号を受信した以後に、取得すべき情報が取得できない(センサから送信されない)等の情報の内容に関わらない動作の異常も本実施形態における異常に含めてもよい。
【0047】
次に、論理部1aは、取得した情報を蓄積部1a1に蓄積する(ステップS23)。なお、代表値を第1情報や第2情報として送信する場合は代表値を蓄積部1a1に蓄積する。そして、踏切動作終了後に直ちにステップS21で取得した第1情報又は第2情報を送信すべくネットワーク部1bに出力して(ステップS24)ステップS21に戻る。また、ステップS24では、ステップS22の判定結果、即ち、取得した情報が異常か否かを示す情報を第1情報又は第2情報に含める。このようにすることにより、異常有りだけでなく異常無しの情報も送信できるので、異常検出時のみでなく、異常回復時にも情報を送信することができる。
【0048】
また、上記したフローチャートにおいて、ステップS22で、異常が検出された場合にそれが初回なのか頻発しているのかを判定してもよい、あるいは異常からの回復も判定してもよい。そして、これらの判定結果をステップS24で送信する情報に含めてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、踏切情報送信装置1は、RS485伝送部1eが踏切警報機の警報灯電流情報と、遮断機電流情報及び遮断機電圧情報と、を取得し、無線伝送部1dが踏切警報機の警報音圧情報と、遮断機の遮断桿傾き値情報と、を取得する。そして、論理部1aが、警報灯電流情報と、遮断機電流情報及び遮断機電圧情報と、警報音圧情報と、遮断桿傾き値情報と、を第1情報及び第2情報としてネットワーク部1bが送信するタイミングの制御をしている。
【0050】
踏切情報送信装置1を上記のように構成することにより、論理部1aにより送信タイミング制御が行われるので、踏切に設置された踏切警報機や遮断機の情報を能動的に適切なタイミングで送信することができる。また、踏切情報送信装置1によれば、故障に至らなくとも、時系列にデータを解析し傾向をつかむことにより、故障の予兆を知ることができ、故障の予知・予防に繋げることもできる。特に鉄道と道路とが交差する踏切において、踏切警報器、踏切遮断機などの設備の故障は重大事故につながる危険性がある為、踏切設備のメンテナンス計画にも役立てることができる。
【0051】
また、警報灯電流情報、遮断機電流情報及び遮断機電圧情報、警報音圧情報及び遮断桿傾き値情報は蓄積部1a1に蓄積され、論理部1aは、蓄積部1a1に蓄積された情報を定期的にネットワーク部1bに送信させている。このようにすることにより、踏切警報機や遮断機の動作に関する情報を定期的に送信することが可能となり、監視センター50からの操作が不要となる。
【0052】
また、論理部1aは、警報灯電流情報、遮断機電流情報、遮断機電圧情報、警報音圧情報及び遮断桿傾き値情報に基づいて踏切警報機や遮断機の異常の有無を判定し、判定の結果異常がある場合は、異常のあった情報を踏切動作終了後直ちにネットワーク部1bに送信させている。このようにすることにより、取得した情報から、踏切情報送信装置1側で踏切警報機や遮断機の故障や劣化等の異常の有無を判定し、異常と判定された旨を速やかに通知することが可能となる。
【0053】
また、論理部1aは、踏切制御信号に基づき踏切の動作状況を判定して、第1情報及び第2情報の送信判定制御を行っているので、例えば、鳴動開始から終了まで各情報を取得したり、鳴動終了時に取得した情報を送信するといったタイミングの制御をすることが容易となる。
【0054】
また、踏切情報送信装置1が警報灯電流情報を取得することで、警報灯の玉切れ等の異常を検出することができる。踏切情報送信装置1が遮断機電流情報及び遮断機電圧情報を取得することで、遮断桿を駆動するモータ等の異常を検出することができる。踏切情報送信装置1が警報音圧情報を取得することで、警報音を放音するスピーカ等の異常を検出することができる。踏切情報送信装置1が遮断桿傾き値情報を取得することで、遮断桿の作動状態の異常を検出することができる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、個々の情報ごとに異常の有無の判定を行っていたが、複数の情報を組み合わせて異常の有無の判定を行ってもよい。例えば、遮断機電流情報、遮断機電圧情報と、遮断桿傾き値情報と、を組み合わせて遮断機の異常の有無を判定してもよい。あるいは、同じ踏切に2台の踏切警報機が設置されている場合、それぞれに対応するセンサから取得した情報を比較することで異常の判定を行ってもよい。
【0056】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の踏切情報送信装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 踏切情報送信装置
1a 論理部(送信制御部)
1b ネットワーク部(送信部)
1d 無線伝送部(警報機情報取得部、遮断機情報取得部)
1e RS485伝送部(警報機情報取得部、遮断機情報取得部)
2 警報灯センサ
3 遮断機電流/電圧センサ
4 無線モジュール
5 警報音センサ
6 遮断機傾きセンサ
9 無線モジュール
10 電流センサ
11 電流センサ