(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】演奏プログラム及び演奏装置
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20240214BHJP
G10H 1/053 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10H1/053 C
(21)【出願番号】P 2020082995
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】三森 誠
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-101780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0103080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
G10H 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、ユーザの操作を受け付ける入力部とを備えたコンピュータに、演奏処理を実行させる演奏プログラムであって、
前記表示部に操作ボタンを表示する表示ステップと、
前記入力部から前記ユーザの操作を入力する入力ステップと、
その入力ステップによって入力された前記操作ボタンへの第1操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音を出力する出力ステップと、
前記入力ステップによって入力された前記操作ボタンへの前記第1操作と異なる第2操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変更する変更ステップと、
前記操作ボタン内に、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを表示するパラメータ表示ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする演奏プログラム。
【請求項2】
前記操作ボタン内には、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータが表示されるパラメータ表示部が設けられ、
前記変更ステップは、前記操作ボタンのパラメータ表示部内で前記第2操作がされた場合に、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変更することを特徴とする請求項1記載の演奏プログラム。
【請求項3】
前記パラメータ表示ステップは、前記操作ボタンのパラメータ表示部の形状を円弧状に表示するものであることを特徴とする請求項2記載の演奏プログラム。
【請求項4】
音色パラメータは、複数種類設けられるものであり、
前記操作ボタンで設定する楽音の音色パラメータを選択するパラメータ選択ステップを更に前記コンピュータに実行させ、
前記変更ステップは、前記第2操作をされた操作ボタンに割り当てられている楽音における前記パラメータ選択ステップで選択された音色パラメータを変更するものであり、
前記パラメータ表示ステップは、前記操作ボタンに割り当てられている楽音における前記パラメータ選択ステップで選択された音色パラメータをその操作ボタン内に表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の演奏プログラム。
【請求項5】
前記第2操作は前記操作ボタンへのドラッグ操作であり、
前記変更ステップは、前記操作ボタンへのドラッグ操作の移動量および移動方向に応じて、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の演奏プログラム。
【請求項6】
前記表示ステップは、前記操作ボタンをその操作ボタンが割り当てられている楽音を発音する実際の楽器を模した形状で表示することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の演奏プログラム。
【請求項7】
所定の発音タイミング毎に楽音を出力するステップ演奏を行う段階演奏ステップを更に前記コンピュータに実行させ、
前記表示ステップは、前記ステップ演奏の各発音タイミングに該当する前記操作ボタンを表示するものであり、
前記変更ステップは、前記第2操作がされた前記操作ボタンに該当する発音タイミングで出力する楽音の音色パラメータを変更するものであり、
前記パラメータ表示ステップは、前記操作ボタンに該当する発音タイミングで出力される楽音の音色パラメータをその操作ボタン内に表示することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の演奏プログラム。
【請求項8】
操作ボタンを表示する表示手段と、
ユーザの操作を入力する入力手段と、
その入力手段によって入力された前記操作ボタンへの第1操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音を出力する出力手段と、
前記入力手段によって入力された前記操作ボタンへの前記第1操作と異なる第2操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変更する変更手段と、
前記操作ボタン内に、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを表示するパラメータ表示手段とを備えていることを特徴とする演奏装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏プログラム及び演奏装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鍵盤を模した仮想鍵盤Aとノブを模した仮想ノブ操作子Bとを表示するプログラムが開示されている。該プログラムは、仮想鍵盤Aの鍵がタッチされると該当する楽音を出力し、仮想ノブ操作子Bが操作されると楽音の音色パラメータが変更される。更に仮想鍵盤Aの鍵をタッチした後に摺動操作(ドラッグ)することで、その鍵で出力される楽音の音色パラメータが変更される。これにより、仮想鍵盤Aの鍵を摺動操作することで、仮想ノブ操作子Bを操作することなく、その鍵で出力される楽音の音色パラメータを変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-257517号公報(例えば、段落0024,0025、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のプログラムでは、仮想鍵盤Aの鍵への摺動操作によって音色パラメータを変更した場合でも、その変更状態は仮想ノブ操作子Bにのみに反映される。従って、ユーザは、仮想鍵盤Aへのタッチによる音色の出力時および、仮想鍵盤Aの鍵への摺動操作による音色パラメータの変更時に、音色パラメータの変更状態を確認するためには仮想鍵盤Aの鍵を操作しながら仮想ノブ操作子Bも視認しなければならず、その操作性が悪化するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、操作ボタンに、楽音を出力する機能と、その楽音の音色パラメータを変更する機能とを割り当てた場合でも、その操作性を向上できる演奏プログラム及び演奏装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の演奏プログラムは、表示部と、ユーザの操作を受け付ける入力部とを備えたコンピュータに、演奏処理を実行させるプログラムであって、前記表示部に操作ボタンを表示する表示ステップと、前記入力部から前記ユーザの操作を入力する入力ステップと、その入力ステップによって入力された前記操作ボタンへの第1操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音を出力する出力ステップと、前記入力ステップによって入力された前記操作ボタンへの前記第1操作と異なる第2操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変更する変更ステップと、前記操作ボタン内に、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを表示するパラメータ表示ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【0007】
また本発明の演奏装置は、操作ボタンを表示する表示手段と、ユーザの操作を入力する入力手段と、その入力手段によって入力された前記操作ボタンへの第1操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音を出力する出力手段と、前記入力手段によって入力された前記操作ボタンへの前記第1操作と異なる第2操作によって、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを変更する変更手段と、前記操作ボタン内に、その操作ボタンに割り当てられている楽音の音色パラメータを表示するパラメータ表示手段とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】(a)は、通常演奏モードにおける演奏画面を表す図であり、(b)は、パラメータを変更する前の操作ボタンを表す図であり、(c)は、パラメータ表示部によってパラメータを変更した後の操作ボタンを表す図である。
【
図3】ステップ演奏モードにおける演奏画面を表す図である。
【
図4】(a)は、PCの電気的構成を示すブロック図であり、(b)は、通常演奏テーブルを模式的に示す図であり、(c)は、ステップ演奏テーブルを模式的に示す図であり、(d)は、パラメータを模式的に示した図である。
【
図8】(a)は、変形例における操作ボタンを発音する楽器を模した場合を表す図であり、(b)は、変形例におけるパラメータ表示部の頂部からの現在位置までを第1エリアとした場合のパラメータ表示部を表す図であり、(c)は、変形例におけるパラメータ表示部を棒状とした場合を表す図であり、(d)は、変形例における1つの操作ボタンに2つのパラメータ表示部を配置した場合を表す図であり、(e)は、変形例における操作ボタンにパラメータ表示部と設定値とを配置した場合を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のPC1の概要を説明する。
図1は、PC1の外観図である。PC1は、演奏者であるユーザHの演奏操作や、演奏データ(例えばMIDIデータ)の再生等に応じて楽音を出力する情報処理装置(コンピュータ)である。PC1には、ユーザHからの指示を入力するマウス2及びキーボード3と、楽音を出力するスピーカ4と、後述の演奏画面5a等が表示される表示装置5とが設けられる。
【0010】
PC1には、ユーザHの演奏操作に応じた楽音を出力する「通常演奏モード」と、予め所定の発音タイミング順に設定された楽音を出力することで自動演奏を行う「ステップ演奏モード」との2つの「演奏モード」が設けられる。表示装置5には、通常演奏モード又はステップ演奏モードに応じた画面である演奏画面5aが表示される。
図2,
図3を参照して各演奏モードの演奏画面5aを説明する。
【0011】
図2(a)は、通常演奏モードにおける演奏画面5aを表す図である。通常演奏モードにおいて表示装置5に表示される演奏画面5aには、操作ボタン6と、パラメータ選択エリア7と、音色エリア8とが表示される。操作ボタン6は、演奏画面5aの中央から下部にかけて10個表示される矩形状のボタンである。
【0012】
操作ボタン6には、それぞれバスドラム、スネア、シンバル等の音色が割り当てられており、ユーザHによるマウス2の操作で移動するマウスカーソルCを、操作ボタン6に合わせてクリック操作(選択操作、第1操作)した場合に、その操作ボタン6に割り当てられた楽音が出力される。その際クリック操作された操作ボタン6の輪郭が、
図2(a)における左下の操作ボタン6のように強調表示される。
【0013】
操作ボタン6の中央部には、その操作ボタン6に割り当てられている楽音の音量やパン等の音色パラメータの設定状態を表すパラメータ表示部6aが表示される。
図2(b),(c)を参照して、パラメータ表示部6aを説明する。
【0014】
図2(b)は、パラメータ表示部6aによって音色パラメータを変更する前の操作ボタン6を表す図であり、
図2(c)は、パラメータ表示部6aによって音色パラメータを変更した後の操作ボタン6を表す図である。
図2(b),(c)に示す通り、パラメータ表示部6aは、その操作ボタン6に割り当てられている楽音の音色パラメータであって、後述のパラメータ選択エリア7で選択された音色パラメータの設定状態が表示される。本実施形態において、パラメータ表示部6aは、上に凸の円弧状(馬蹄状)に表示される。
図2(b),(c)に示すパラメータ表示部6aは、その円弧状における左端部6a1がその音色パラメータの最小値を表し、右端部6a2が音色パラメータの最大値を表す。
【0015】
パラメータ表示部6aには、音色パラメータの現在の設定値に該当する位置である現在位置6a3が表示され、その現在位置6a3から左端部6a1までの間のエリアである第1エリア6a4と、現在位置6a3から右端部6a2までの間のエリアである第2エリア6a5とが、それぞれ異なる態様(例えば、異なる色や模様等)で表示される。これにより、第1エリア6a4や第2エリア6a5の長さを確認することで、音色パラメータにおける最小値から現在の設定値までの差や、現在の設定値から音色パラメータの最大値までの差を一目で把握できる。
【0016】
更にパラメータ表示部6aをマウス2を介したドラッグ操作(第2操作)することで、該当する音色パラメータの設定が変更される。具体的には、マウス2の操作に応じた位置に表示されるマウスカーソルCを、パラメータ表示部6a内に合わせ、その位置を始点として左端部6a1又は右端部6a2に向けてドラッグ操作する(
図2(b))。そのドラッグ操作の移動量および移動方向(左端部6a1側または右端部6a2側)に応じて、音色パラメータが設定変更される。この際、パラメータ表示部6a内をドラッグ操作の始点としたマウスカーソルCが、ドラッグ操作によってパラメータ表示部6aの外側となった場合でも、ドラッグ操作による音色パラメータの設定変更が有効となるように構成される。パラメータ表示部6aにおける第1エリア6a4及び第2エリア6a5は、設定変更された音色パラメータの設定値に応じた表示に変更される。
【0017】
操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としてドラッグ操作することにより、ユーザHは操作ボタン6での音色パラメータの設定変更を直感的にすることができる。一方で、操作ボタン6のパラメータ表示部6aの外側を始点としてドラッグ操作した場合や、パラメータ表示部6aをクリック操作した場合は、音色パラメータが設定変更されないので、ユーザHが意図せずに音色パラメータが設定変更されるのを防止できる。
【0018】
なお、音色パラメータの設定変更を行うためのパラメータ表示部6aへのドラッグ操作の移動方向は、左端部6a1側または右端部6a2側に限られず、例えば、上下方向や左右方向でも良い。この場合、パラメータ表示部6a内を始点として上方向または右方向へドラッグ操作した場合に音色パラメータの設定値が増加するように、また、パラメータ表示部6a内を始点として下方向または左方向へドラッグ操作した場合に音色パラメータの設定値が減少するように構成すれば良い。
【0019】
また、パラメータ表示部6aが円弧状に表示されることで、パラメータ表示部6aを直線状に表示する場合と比較して、その全長を長くできる。これにより、パラメータ表示部6aの単位長さ当たりに表示する設定値を小さくできるので、音色パラメータをより詳細に表示し、またドラッグ操作によって音色パラメータを詳細に設定できる。また、円弧状のパラメータ表示部6aは、実際の楽器に設けられる「ノブ」(ツマミ)に類似した表示態様および操作方式となる。これにより、操作ボタン6内のパラメータ表示部6aを実際の楽器を使用するユーザとの親和性の高いものとすることができる。
【0020】
パラメータ選択エリア7は、演奏画面5aの上部に表示され、操作ボタン6のパラメータ表示部6aに表示しパラメータ表示部6aによって設定変更される音色パラメータの種類を選択するエリアである。パラメータ選択エリア7には、音色パラメータのうちの音量を指定する音量ボタン7aと、音色パラメータのうちの音の左右位置、即ちパンの値を設定するパンボタン7bと、音色の立ち上がり時間、即ちアタックの値を設定するアタックボタン7cとが設けられる。これら音量、パン及びアタック以外の音色パラメータ(例えばサスティンやディケイ等)を設定するボタンもパラメータ選択エリア7に表示しても良い。
【0021】
音色エリア8は、操作ボタン6とパラメータ選択エリア7との間に表示され、操作ボタン6に割り当てる音色の選択および表示を行う表示エリアである。音色エリア8には、クリック操作によって強調表示された操作ボタン6に割り当てられている音色の名称を表示する音色名表示8aと、操作ボタン6に割り当てる音色を切り替える切替ボタン8b,8cとが設けられる。
【0022】
図2(a)では、左下の操作ボタン6がクリック操作されることで強調表示されており、その操作ボタン6に割り当てられている音色である「バスドラム」が音色名表示8aに表示されている。この状態で切替ボタン8b,8cをクリック操作することで、左下の操作ボタン6に割り当てられている音色が、バスドラムからスネアやシンバル等の他の音色に切り替わる。
【0023】
以上より、通常演奏モードでは、操作ボタン6に割り当てられた楽音の音色パラメータであって、パラメータ選択エリア7で選択された音色パラメータの設定状態が、その操作ボタン6内のパラメータ表示部6aに表示される。操作ボタン6へのクリック操作による楽音出力の際には、ユーザHは操作ボタン6のパラメータ表示部6aを確認することで、出力される楽音の音色パラメータの状態を事前に把握できる。
【0024】
また、操作ボタン6内のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によって、その操作ボタン6に割り当てられた楽音の音色パラメータであって、パラメータ選択エリア7によって選択された音色パラメータが変更される。その際、ドラッグ操作によって設定された音色パラメータが、その操作ボタン6内のパラメータ表示部6aに反映されるので、操作ボタン6から視線を外すことなく、音色パラメータの設定状態を把握しながら音色パラメータを変更できる。
【0025】
操作ボタン6内のパラメータ表示部6aや、パラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作で設定変更される音色パラメータの種類は、パラメータ選択エリア7の選択によって切り替えられる。これにより、音色毎かつ音色パラメータ毎に操作ボタン6を表示する必要がなく、演奏画面5aに表示する操作ボタン6の数を必要最小限とできるので、演奏画面5aへの操作性を向上させることができる共に、演奏画面5aのスペース効率を向上させることができる。
【0026】
また各操作ボタン6には、パラメータ選択エリア7によって選択された同一種類の音色パラメータが表示される。よって、各操作ボタン6における同一の音色パラメータのバランスを一目で把握し、必要があれば該当する操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作で音色パラメータを変更できる。これにより、操作ボタン6に割り当てられた音色間で聴覚上のバランスが良い、調和のとれた状態を容易かつ迅速に実現できる。
【0027】
次に
図3を参照して、ステップ演奏モードを説明する。
図3は、ステップ演奏モードにおける演奏画面5aを表す図である。ステップ演奏モードは、所定の発音タイミング毎に音色パラメータ等を設定し、設定された音色パラメータを用いて発音タイミング順に楽音を出力することで自動演奏を行うモードである。本実施形態において発音タイミングは四分音符毎に設定されるが、それ以外のタイミングとしても良い。
【0028】
ステップ演奏モードにおいて表示装置5に表示される演奏画面5aには、音色選択エリア9と、パラメータ選択エリア10と、自動演奏を実行する自動演奏ボタン11と、上記した操作ボタン6とが表示される。音色選択エリア9は、演奏画面5aの上部に表示され、操作ボタン6で設定変更を行う音色を選択するエリアである。音色選択エリア9には、設定対象としてバスドラムを選択するバスドラムボタン9aと、設定対象としてスネアを選択するスネアボタン9bと、設定対象としてシンバルを選択するシンバルボタン9cとが表示される。バスドラム、スネア及びシンバル以外にも発音させる音色に該当するボタンを、音色選択エリア9に表示しても良い。
【0029】
パラメータ選択エリア10は、音色選択エリア9の下方に表示され、操作ボタン6で設定変更を行う音色パラメータを選択するエリアである。パラメータ選択エリア10には、設定対象として音量を選択する音量ボタン10aと、設定対象としてパンを選択するパンボタン10bと、設定対象としてディケイを選択するアタックボタン10cとが表示される。これら音量、パン及びアタックの他の音色パラメータを設定するボタンも、パラメータ選択エリア10に表示しても良い。
【0030】
ステップ演奏モードにおいて操作ボタン6は、パラメータ選択エリア10の下方に16個表示される。演奏画面5aの左端の操作ボタン6から右端の操作ボタン6の順に、各発音タイミングの音色パラメータ等が割り当てられる。
【0031】
ステップ演奏モードにおいては、操作ボタン6のクリック操作によって、その操作ボタン6が強調表示と強調表示の解除とが交互に行われる。強調表示となった操作ボタン6は、該当する発音タイミングで音色選択エリア9で選択された音色を、出力される楽音に含めることを表し、強調表示ではない操作ボタン6は、該当する発音タイミングで音色選択エリア9で選択された音色を、出力される楽音に含めないことを表す。
【0032】
各操作ボタン6のパラメータ表示部6aには、音色選択エリア9で選択された音色の、パラメータ選択エリア10で選択された音色パラメータが表示される。上記した通常演奏モードと同様のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によって、音色選択エリア9で選択された音色の、パラメータ選択エリア10で選択された音色パラメータの設定が変更される。
【0033】
例えば
図3の演奏画面5aにおいては、音色選択エリア9のバスドラムボタン9aが選択され、パラメータ選択エリア10の音量ボタン10aが選択されている。この状態で、操作ボタン6をクリック操作することで、その操作ボタン6に該当する発音タイミングの出力される楽音にバスドラムを含める/含めないが設定され、操作ボタン6をドラッグ操作することで、その操作ボタン6に該当する発音タイミングのバスドラムの音量が設定変更される。
【0034】
なお、操作ボタン6をクリック操作する際に、音色選択エリア9で選択された音色でその操作ボタン6で設定されている音色パラメータを用いて楽音を出力しても良い。これにより、自動演奏する前に、その操作ボタン6に該当する発音タイミングにおける音色選択エリア9で選択された音色を試聴することができるので、ユーザHは出力された楽音に基づいてその操作ボタン6のパラメータ表示部6aを操作することで、該当する音色をユーザHが所望する態様に迅速かつ容易に設定できる。
【0035】
以上より、ステップ演奏モードでは、操作ボタン6の強調表示を確認することで、各発音タイミングで音色選択エリア9で選択された音色を出力される楽音に含める/含めないを一目で把握できる。また、操作ボタン6のパラメータ表示部6aによって、パラメータ選択エリア10で選択された音色パラメータの設定状態を確認し、更にパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によって、音色パラメータの設定変更を容易に行うことができる。
【0036】
また、各操作ボタン6のパラメータ表示部6aには、同一の音色パラメータの状態が表示されるので、発音タイミング順に操作ボタン6のパラメータ表示部6aを確認することで、その音色パラメータの時系列順の推移を一目で把握できる。よって、音色パラメータを時系列順に連続的または周期的に変化させる場合に、前後の発音タイミングの操作ボタン6のパラメータ表示部6aによって音色パラメータの設定状態を確認しながら、該当する発音タイミングの音色パラメータを設定できるので、時系列順に変化する音色パラメータを容易に設定できる。
【0037】
ステップ演奏モードでは、このように操作ボタン6によって各発音タイミングで、音色選択エリア9で選択された音色を出力される楽音に含める/含めないの設定や、音色パラメータの設定が行われ、発音タイミング順にこれらの設定に応じた楽音を出力することで、自動演奏が実行される。
【0038】
次に、
図4を参照して、PC1の電気的構成を説明する。
図4(a)は、PC1の電気的構成を示すブロック図である。PC1は、CPU20と、ハードディスク・ドライブ(HDD)21と、RAM22とを有し、これらはバスライン23を介して入出力ポート24にそれぞれ接続されている。入出力ポート24には更に、上記したマウス2と、キーボード3と、スピーカ4と、表示装置5とが接続される。
【0039】
CPU20は、バスライン23により接続された各部を制御する演算装置である。HDD21は、CPU20により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、演奏プログラム21aと、音色に関する音源が記憶される音源データ21bと、通常演奏テーブル21cと、ステップ演奏テーブル21dとが記憶される。CPU20において演奏プログラム21aが実行されると、
図5のメイン処理が実行される。
【0040】
通常演奏テーブル21cは、通常演奏モードにおける各操作ボタン6に割り当てられる音色や音色パラメータが記憶されるデータテーブルであり、ステップ演奏テーブル21dは、ステップ演奏モードにおける発音タイミング毎に、出力される楽音に音色を含める/含めないの設定や音色パラメータが記憶されるデータテーブルである。
図4(b)~(d)を参照して通常演奏テーブル21cと、ステップ演奏テーブル21dとを説明する。
【0041】
まず通常演奏テーブル21cを説明する。
図4(b)は、通常演奏テーブル21cを模式的に示す図である。
図4(b)に示す通り、通常演奏テーブル21cには、操作ボタン6毎に割り当てられている音色と、各音色パラメータの設定値とが記憶される。通常演奏テーブル21cにおいて、「操作ボタン」が「1」の場合は、
図2(a)の上段の左端の操作ボタン6を表し、「操作ボタン」が「2」の場合は、
図2(a)の上段の左から2番目の操作ボタン6を表し、「操作ボタン」が「3」~「5」の場合は、
図2(a)の上段の左から3~5番目の操作ボタン6をそれぞれ表し、「操作ボタン」が「6」~「10」の場合は、下段の左から1~5番目の操作ボタン6をそれぞれ表す。
【0042】
次にステップ演奏テーブル21dを説明する。
図4(c)は、ステップ演奏テーブル21dを模式的に示す図であり、
図4(d)は、音色パラメータP11を模式的に表す図である。
図4(c)に示す通り、ステップ演奏テーブル21dには、発音タイミング毎に音色(バスドラム、スネア等)が設けられ、その音色毎に出力される楽音にその音色を含める/含めないの設定(
図4(c)では「発音」が該当)と、音色パラメータとが記憶される。
【0043】
図4(c)においては、ステップ演奏テーブル21dで出力する設定がされている場合は「〇」が、出力しない設定がされている場合は「×」が表される。音色パラメータには、
図4(d)に示す発音タイミング「1」、音色「バスドラム」の場合の音色パラメータP11のように、該当する発音タイミング及び音色で設定される音量等の各音色パラメータの設定値が記憶される。
【0044】
RAM22は、CPU20が演奏プログラム21aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、設定対象の音色パラメータが記憶される対象パラメータメモリ22aと、設定対象の発音タイミングが記憶される対象タイミングメモリ22bと、設定対象の音色が記憶される対象音色メモリ22cとが設けられる。
【0045】
次に、
図5~7を参照して、PC1のCPU20で実行されるメイン処理を説明する。
図5は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、PC1において演奏プログラム21aの実行指示が行われた場合に、実行される処理である。
【0046】
メイン処理はまず、マウス2又はキーボード3を介してユーザHから指示された演奏モードを確認する(S1)。S1の処理において、演奏モードが通常演奏モードである場合は(S1:通常演奏モード)、表示装置5に通常演奏モードに応じた表示パーツを表示する(S2)。これにより、表示装置5には、
図2(a)で示した通常演奏モードにおける演奏画面5aが表示される。この際、各操作ボタン6のパラメータ表示部6aには、該当する通常演奏テーブル21cの音色パラメータの設定状態が表示される。S2の処理の後、通常演奏処理(S3)を実行する。
図6を参照して通常演奏処理を説明する。
【0047】
図6は、通常演奏処理のフローチャートである。通常演奏処理は、通常演奏モードにおける操作ボタン6への操作に応じて、割り当てられている楽音の出力や音色パラメータの設定を行う処理である。
【0048】
通常演奏処理はまず、
図2(a)の演奏画面5aにおけるパラメータ選択エリア7で選択されている音色パラメータを対象パラメータメモリ22aに保存する(S10)。S10の処理の後、マウスイベントを確認する(S11)。マウスイベントは、マウス2の操作に応じたイベント情報であり、マウス2のボタンが押下した場合の「ボタン押下」と、マウス2のボタン押下が解除された場合の「ボタン押上」と、マウス2のボタンを押下した状態でマウス2を移動させる、ドラッグ操作を行った場合の「ドラッグ操作」とが設けられる。
【0049】
S11の処理において、マウスイベントがボタン押下である場合は(S11:ボタン押下)、演奏画面5a内のマウスカーソルC(
図2(a)参照)がいずれかの操作ボタン6内に位置しているかを確認する(S12)。S12の処理において、マウスカーソルCがいずれかの操作ボタン6内に位置している場合は(S12:Yes)、S12の処理でマウスカーソルCが位置している操作ボタン6を強調表示し、それ以外の操作ボタン6の強調表示を解除する(S13)。
【0050】
S13の処理の後、通常演奏テーブル21cからマウスカーソルCが位置している操作ボタン6の音色および音色パラメータを取得し(S14)、取得した音色および音色パラメータを用いて楽音を出力する(S15)。これにより、マウス2でクリック操作した操作ボタン6が強調表示され、操作ボタン6に割り当てられている楽音が出力される。
【0051】
S15の処理の後、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6a内であるかを確認する(S16)。S16の処理において、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6a内である場合は(S16:Yes)、マウスイベントを確認する(S17)。S11の処理によるマウスイベントの確認後に、マウス2をドラッグ操作したり、マウス2のボタン押下が解除されることが想定されるので、S17の処理で再度マウスイベントを確認する。
【0052】
S17の処理において、マウスイベントがドラッグ操作である場合(S17:ドラッグ)、即ち操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作がされた場合は、通常演奏テーブル21cのドラッグ操作された操作ボタン6における対象パラメータメモリ22aの音色パラメータに、ドラッグ操作の移動量および移動方向に応じた設定値を設定する(S18)。S18の処理の後、S18の処理で通常演奏テーブル21cに設定された設定値に応じて、ドラッグ操作された操作ボタン6のパラメータ表示部6aの表示を変更する(S19)。
【0053】
これにより、操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作の移動量および移動方向に応じた音色パラメータの設定値が通常演奏テーブル21cに設定され、その設定値に応じてドラッグ操作された操作ボタン6のパラメータ表示部6aの表示が変更される。
【0054】
S17の処理において、マウスイベントがドラッグ操作またはボタン押上以外の場合(S17:それ以外)、またはS19の処理の後、S17以下の処理を繰り返し、マウス2の更なるドラッグ操作や、マウス2のボタン押下の解除を待機する。
【0055】
S16の処理において、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6aの外側である場合は(S16:No)、マウスイベントを確認する(S20)。S11の処理でのマウスイベント確認後に、マウス2のボタン押下が解除されることが想定されるので、S20の処理で再度マウスイベントを確認する。
【0056】
S20の処理において、マウスイベントがボタン押上の場合、即ちマウス2のボタン押下が解除された場合(S20:ボタン押上)、または、S17の処理において、マウス2のボタン押下が解除された場合は(S17:ボタン押上)、S15の処理で開始した楽音の出力を停止し(S21)、S10以下の処理を繰り返す。また、S20の処理において、マウスイベントがボタン押上以外の場合は(S20:それ以外)、S20の処理を繰り返し、マウス2のボタン押下の解除を待機する。
【0057】
S12の処理において、マウスカーソルCがいずれの操作ボタン6外に位置している場合は(S12:No)、マウスカーソルCの位置に応じた処理を行い(S22)、S10以下の処理を行う。また、S11の処理において、マウスイベントがボタン押下以外である場合は(S11:それ以外)、S10以下の処理を行う。
【0058】
図5に戻る。S1の処理において、演奏モードがステップ演奏モードである場合は(S1:ステップ演奏モード)、表示装置5にステップ演奏モードに応じた表示パーツを表示する(S4)。これにより、表示装置5には、
図3で示したステップ演奏モードにおける演奏画面5aが表示される。この際、各操作ボタン6のパラメータ表示部6aには、音色選択エリア9で選択された音色を、出力される楽音に含める/含めないの状態や、音色パラメータの設定状態がステップ演奏テーブル21dから取得されて表示される。S4の処理の後、ステップ演奏処理(S5)を実行する。
図7を参照してステップ演奏処理を説明する。
【0059】
図7は、ステップ演奏処理のフローチャートである。ステップ演奏処理は、ステップ演奏モードにおける操作ボタン6への操作に応じて、割り当てられている音色や音色パラメータの設定を行い、また、ステップ演奏を行う処理である。
【0060】
通常演奏処理はまず、
図3の演奏画面5aにおける音色選択エリア9で選択された音色とパラメータ選択エリア10で選択された音色パラメータとを、それぞれ対象音色メモリ22cと対象パラメータメモリ22aに保存する(S30)。以下、S30の処理で保存された対象音色メモリ22cの音色のことを「対象音色」といい、S30の処理で保存された対象パラメータメモリ22aの音色パラメータのことを「対象パラメータ」という。
【0061】
S30の処理の後、マウスイベントを確認する(S31)。S31の処理において、マウスイベントがボタン押下である場合は(S31:ボタン押下)、演奏画面5a内のマウスカーソルCがいずれかの操作ボタン6内に位置しているかを確認する(S32)。
【0062】
S32の処理において、マウスカーソルCがいずれかの操作ボタン6内に位置している場合は(S32:Yes)、S32の処理でマウスカーソルCが位置している操作ボタン6に該当する発音タイミングを取得し、対象タイミングメモリ22bに保存する(S33)。以下、S33の処理で保存された対象タイミングメモリ22bの発音タイミングのことを「対象タイミング」という。
【0063】
S33の処理の後、マウス2によるドラッグ操作によって、操作ボタン6のパラメータ表示部6aを操作しているか否かを表すフラグであるパラメータ設定フラグを、オフに設定する(S34)。S34の処理の後、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6a内であるかを確認する(S35)。S35の処理において、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6a内である場合は(S35:Yes)、マウスイベントを確認する(S36)。
図6の通常演奏処理と同様に、S31の処理でのマウスイベント確認後に、マウス2をドラッグ操作したり、マウス2のボタン押下が解除されることが想定されるので、再度マウスイベントを確認する。
【0064】
S36の処理において、マウスイベントがドラッグ操作である場合(S36:ドラッグ)、即ち操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作がされた場合は、パラメータ設定フラグをオンに設定し(S37)、ステップ演奏テーブル21dの対象タイミングにおける対象音色の対象パラメータに、ドラッグ操作の移動量および移動方向に応じた設定値を設定する(S38)。
【0065】
S38の処理の後、S38の処理でステップ演奏テーブル21dに設定された設定値に応じて、ドラッグ操作された操作ボタン6のパラメータ表示部6aの表示を変更する(S39)。これにより、操作ボタン6のパラメータ表示部6aへのドラッグ操作の移動量および移動方向に応じた音色パラメータの設定値がステップ演奏テーブル21dに設定され、その設定値に応じてドラッグ操作された操作ボタン6のパラメータ表示部6aの表示が変更される。
【0066】
S36の処理においてマウスイベントがドラッグ操作またはボタン押上以外の場合(S36:それ以外)、またはS39の処理の後、S36以下の処理を繰り返し、マウス2の更なるドラッグ操作や、マウス2のボタン押下の解除を待機する。
【0067】
S35の処理において、マウスカーソルCが操作ボタン6のパラメータ表示部6aの外側である場合は(S35:No)、マウスイベントを確認する(S40)。S40の処理において、マウスイベントがボタン押上の場合(S40:ボタン押上)、またはS36の処理において、マウスイベントがボタン押上の場合は(S36:ボタン押上)、パラメータ設定フラグにオフが設定されているかを確認する(S41)。S41の処理においてパラメータ設定フラグがオフの場合は(S41:Yes)、S32の処理においてマウス2でボタン押下が検出されたが、パラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作が行われず、そのままマウス2のボタン押下が解除されたと判断される。
【0068】
かかる場合は、その操作ボタン6に該当する発音タイミングの対象音色を出力される楽音に含める/含めないを設定するための操作がされた、と判断できるので、ステップ演奏テーブル21dの対象タイミングにおける対象音色の含める/含めないを切り替える(S42)。
【0069】
S42の処理の後、S42の処理で切り替えられた、ステップ演奏テーブル21dの対象タイミングにおける対象音色に該当する操作ボタン6の強調表示を切り替える(S43)。即ちS42の処理でステップ演奏テーブル21dで含めると設定された発音タイミングおよび音色に該当する操作ボタン6が強調表示され、含めないと設定された発音タイミングおよび音色に該当する操作ボタン6の強調表示が解除される。
【0070】
これにより、操作ボタン6へのマウス2によるクリック操作に応じて、その操作ボタン6に該当する発音タイミングにおける音色選択エリア9で選択された音色を出力される楽音に含める/含めないが切り替えられ、その設定状態が操作ボタン6の強調表示する/強調表示しないに反映される。
【0071】
S40の処理において、マウスイベントがボタン押上以外の場合は(S40:それ以外)、S40の処理を繰り返し、マウス2のボタン押下の解除を待機する。
【0072】
S32の処理において、マウスカーソルCがいずれの操作ボタン6外に位置している場合は(S32:No)、更にマウスカーソルCが自動演奏ボタン11内に位置しているかを確認する(S44)。S44の処理において、マウスカーソルCが自動演奏ボタン11内に位置している場合は(S44:Yes)、自動演奏ボタン11が操作されたと判断できるので、ステップ演奏テーブル21dに設定されている発音タイミングや音色パラメータに従って楽音の出力を行い、自動演奏を実行する(S45)。一方で、マウスカーソルCが自動演奏ボタン11外に位置している場合は(S44:No)、マウスカーソルCの位置に応じた処理を行う(S46)。
【0073】
S31の処理で、マウスイベントがボタン押下以外であった場合(S31:それ以外)、S41の処理においてパラメータ設定フラグがオンの場合(S41:No)、または、S43,S45,S46の処理の後、S30以下の処理を繰り返す。
【0074】
図5に戻る。S3の通常演奏処理またはS5のステップ演奏処理の後、S1以下の処理を繰り返す。
【0075】
以上説明した通り、本実施形態の通常演奏モードでは、操作ボタン6へのクリックによって割り当てられている楽音が出力され、パラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によってその操作ボタン6の音色パラメータの設定が変更される。操作ボタン6には、パラメータ表示部6aが表示されるので、楽音出力時の際には、ユーザHはクリック操作を行う操作ボタン6のパラメータ表示部6aを確認することで、出力される楽音の音色パラメータの状態を事前に把握できる。
【0076】
更にパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によって設定された音色パラメータが、その操作ボタン6内のパラメータ表示部6aに表示されるので、操作ボタン6から視線を外すことなく、音色パラメータの設定状態を把握しながら音色パラメータを変更できる。これにより、操作ボタン6に、楽音を出力する機能と、その楽音の音色パラメータを変更する機能とを割り当てた場合でも、その操作性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態のステップ演奏モードでは、各発音タイミングに該当する操作ボタン6が表示される。そして、操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作によって該当する発音タイミングの音色パラメータの設定が変更され、変更された音色パラメータの設定状態がパラメータ表示部6aに表示される。これにより、ステップ演奏の発音タイミング毎の操作ボタン6によって、音色パラメータを容易に設定できると共に、各発音タイミングの音色パラメータの設定状態を一目で確認できる。
【0078】
また、パラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作という、音色パラメータの設定変更にとって直感的な操作によって、所望の音色パラメータを設定できるので、操作ボタン6への操作性を更に向上させることができる。
【0079】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0080】
上記実施形態では、操作ボタン6を矩形状に表示した。しかし、操作ボタン6の形状は矩形状に限られず、三角形や五角形等の多角形状でも良いし、円形状でも良いし、他の形状でも良い。例えば、
図8(a)の演奏画面50aに表示される操作ボタン60のように、割り当てられている音色が発音する実際の楽器(バスドラムやシンバル)を模した形状とし、その操作ボタン60内にパラメータ表示部60aを表示しても良い。これにより、ユーザHは、出力させたい音色や、設定変更したい音色パラメータが割り当てられた操作ボタン60を一目で把握できる。
【0081】
上記実施形態では、
図2(b),(c)においてパラメータ表示部6aを左端部6a1から現在位置6a3までの第1エリア6a4と、現在位置6a3から右端部6a2までの第2エリア6a5とで異なる態様で表示した。しかし、これに限られず、
図8(b)の操作ボタン61のように、パラメータ表示部61aの最上部61a6から現在位置61a3までを第1エリア61a4とし、パラメータ表示部61aにおける第1エリア61a4外を第2エリア61a5として、これら第1エリア61a4と第2エリア61a5とを異なる態様で表示しても良い。最上部61a6をその音色パラメータの基準値とすることで、第1エリア61a4の長さを確認することで、音色パラメータの基準値と現在位置61a3に該当する現在の音色パラメータの設定値とのズレ量を一目で把握できる。
【0082】
上記実施形態では、パラメータ表示部6aを円形状に形成した。しかし、これに限られず、
図8(c)の操作ボタン62のパラメータ表示部62aのように、パラメータ表示部62aを棒状に形成しても良いし、階段状や多角形状、らせん状等の他の形状としても良い。
【0083】
また、上記実施形態では、1つの操作ボタン6に1つのパラメータ表示部6aを表示したが、これに限られず、例えば、
図8(d)の操作ボタン63のように、2つのパラメータ表示部63a,63bを表示しても良い。この場合、パラメータ表示部63aとパラメータ表示部63bとに別々の音色パラメータを割り当て、それぞれのパラメータ表示部63a,63bに該当する音色パラメータの設定状態を表示し、それぞれのパラメータ表示部63a,63bへのドラッグ操作によって該当する音色パラメータを設定すれば良い。
【0084】
また、操作ボタン6において音色パラメータの設定状態を表示するのは、パラメータ表示部6aのみに限られず、例えば、
図8(e)の操作ボタン64のように、操作ボタン64内に、パラメータ表示部64aに加え、パラメータ表示部64aで表示されているパラメータの値を数値で表示する設定値エリア64bを表示しても良い。これにより、音色パラメータを図示するパラメータ表示部64aに加え、設定値エリア64bでその音色パラメータの設定状態が数値でも表示されるので、ユーザHは音色パラメータの設定状態をより正確に、かつ容易に把握できる。
【0085】
上記実施形態では、操作ボタン6へのクリック操作によって、通常演奏モードではその操作ボタン6に割り当てられている楽音を出力し、ステップ演奏モードでは、その操作ボタン6の発音タイミングにおいて音色選択エリア9で選択されている音色を、出力される楽音に含める/含めないを切り替えた。しかし、これら操作ボタン6への指示は、クリック操作に限られず、ダブルクリック操作でも良いし、他の操作でも良い。この場合、操作ボタン6のパラメータ表示部6aへの操作方式(上記実施形態では、ドラッグ操作)と異なる操作方式であることが好ましい。
【0086】
上記実施形態では、操作ボタン6のパラメータ表示部6a内を始点としたドラッグ操作することで、音色パラメータの設定変更を実行した。しかし、これに限られず、操作ボタン6内の、特にパラメータ表示部6aの外側の任意の位置でのドラッグ操作に応じて、パラメータ表示部6aを変更しても良い。この場合、特定の方向(例えば斜め方向)へのドラッグ操作された場合にのみ、音色パラメータの設定変更をしても良い。
【0087】
また、音色パラメータを設定変更するのは、マウス2によるドラッグ操作に限られず、例えば、マウス2のスクロールホイール(図示せず)の操作によって音色パラメータを設定変更しても良い。この際、操作ボタン6にマウスカーソルCを合わせた状態で、マウス2のスクロールホイールを操作し、操作されたスクロールホイールの移動量や移動方向に応じて操作ボタン6に割り当てられた音色パラメータを設定変更すれば良い。
【0088】
上記実施形態では、通常演奏モードでは10個の操作ボタン6を表示したがこれに限られず、10個以上としても良いし、10個以下としても良い。また、ステップ演奏モードでは16個の操作ボタン6を表示したが、これに限られず、自動演奏を行う発音タイミングの数に応じて操作ボタン6を16個以上としても良いし、16個以下としても良い。
【0089】
上記実施形態では、演奏プログラム21aを実行するコンピュータとして、PC1を例示したが、これに限られず、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置や電子楽器で演奏プログラム21aを実行しても良い。この場合、マウス2やキーボード3の代わりにタッチパネルを表示装置5上に重ねて設け、表示装置5及びタッチパネル上に表示された操作ボタン6へのタッチ操作やタップ操作(第1操作)によって、その操作ボタン6に割り当てられた楽音の出力等を行い、操作ボタン6のパラメータ表示部6aへのフリック操作やスワイプ操作(第2操作)によって、該当する音色パラメータの設定変更等を行えば良い。また、演奏プログラム21aをROM等に記憶し、演奏プログラム21aのみを実行する専用装置(演奏装置)に、本発明を適用しても良い。
【0090】
上記実施形態に挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 PC(コンピュータ)
21a 演奏プログラム
2 マウス(入力部)
5 表示装置(表示部)
6 操作ボタン
6a パラメータ表示部
S2,S4 表示ステップ、表示手段
S10,S30 パラメータ選択ステップ
S11,S17,S31,S36 入力ステップ、入力手段
S15 出力ステップ、出力手段
S18,S38 変更ステップ、変更手段
S19 S39 パラメータ表示ステップ、パラメータ表示手段
S45 段階演奏ステップ