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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】回路接続ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240214BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240214BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240214BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20240214BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240214BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240214BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K1/02 F
H05K7/20 D
H05K7/06 C
H01L25/04 C
H01L23/40 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020086884
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182803
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 弘真
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-047031(JP,A)
【文献】特開2017-092091(JP,A)
【文献】特開2020-064941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 1/02
H05K 7/20
H05K 7/06
H01L 25/07
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられるバスバと、前記バスバに電気的に接続されるとともに前記基板に実装されるスイッチング素子と、を備える回路接続ユニットであって、
前記バスバは、
前記スイッチング素子に近づく向きに突出する形状及び前記スイッチング素子から離れる向きに窪む形状の少なくとも一方を有する凹凸箇所を、前記スイッチング素子に向かい合う端部に有し、
前記スイッチング素子は、
前記スイッチング素子の前記凹凸箇所に向かい合う一側面から前記凹凸箇所に向けて延出し且つ前記基板の長手方向に延びる金属板で構成された放熱体を有し、
前記放熱体の延出端縁が、ハンダによるハンダ付けによって前記凹凸箇所に直接接続される、
回路接続ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の回路接続ユニットにおいて、
前記凹凸箇所は、
前記放熱体の周囲を囲むように窪む形状を有する、
回路接続ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回路接続ユニットにおいて、
前記バスバは、
前記凹凸箇所の近傍に、前記ハンダ付けによって前記バスバに生じる応力を低減する応力緩和構造を有する、
回路接続ユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の回路接続ユニットにおいて、
前記放熱体は、
前記スイッチング素子が有する入力側端子を含む、
回路接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の電源システム等に接続される回路接続ユニットが提案されている。回路接続ユニットの一例として、基板と、基板に設けられる複数のバスバと、複数のバスバ間の電気回路を開閉するスイッチング素子(MOSFET等)と、を備えたスイッチボックスが挙げられる。例えば、従来のスイッチボックスの一つでは、バスバが有する複数の端子が、基板に形成されたスルーホールに挿入されて基板が有する導体パターンとハンダ付けにより導通接続されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-092852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のスイッチボックスを車両の電源システムに接続する場合、例えば、メインバッテリ及びサブバッテリの各々を各バスバに接続し、各種負荷への電力供給の状況に応じてスイッチング素子を作動させることで、メインバッテリ及びサブバッテリから負荷に適正に電力を供給するように、電気回路を開閉する切り替えが行われ得る。このような切り替えに伴ってスイッチング素子が発熱するため、この熱を効率良く放出することが望ましい。
【0005】
スイッチング素子で生じた熱は、従来のスイッチボックスでは、基板上の導体パターンを介してバスバへと放出されるように伝達する。そこで、例えば、放熱性向上のため、導体パターンに接続されるバスバの端子の数を増やし、導体パターンとバスバとの接触面積を増やすことが考えられる。しかし、バスバ自体の本来の寸法や加工精度を考慮すれば、端子の数を増やすことには限度があり、放熱性を更に向上させることが困難である。
【0006】
本発明の目的の一つは、スイッチング素子で発生した熱を効率良く放出可能な回路接続ユニット、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る回路接続ユニットは、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
基板に設けられるバスバと、前記バスバに電気的に接続されるとともに前記基板に実装されるスイッチング素子と、を備える回路接続ユニットであって、
前記バスバは、
前記スイッチング素子に近づく向きに突出する形状及び前記スイッチング素子から離れる向きに窪む形状の少なくとも一方を有する凹凸箇所を、前記スイッチング素子に向かい合う端部に有し、
前記スイッチング素子は、
前記スイッチング素子の前記凹凸箇所に向かい合う一側面から前記凹凸箇所に向けて延出し且つ前記基板の長手方向に延びる金属板で構成された放熱体を有し、
前記放熱体の延出端縁が、ハンダによるハンダ付けによって前記凹凸箇所に直接接続される、
回路接続ユニットであること。
[2]
上記[1]に記載の回路接続ユニットにおいて、
前記凹凸箇所は、
前記放熱体の周囲を囲むように窪む形状を有する、
回路接続ユニットであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の回路接続ユニットにおいて、
前記バスバは、
前記凹凸箇所の近傍に、前記ハンダ付けによって前記バスバに生じる応力を低減する応力緩和構造を有する、
回路接続ユニットであること。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の回路接続ユニットにおいて、
前記放熱体は、
前記スイッチング素子が有する入力側端子を含む、
回路接続ユニットであること。
【0008】
上記[1]の構成の回路接続ユニットによれば、基板に設けられるバスバにスイッチング素子が有する放熱体(いわゆるヒートスラグ)がハンダ付けされることで、バスバとスイッチング素子とが直接的に接続される。よって、上述した従来のスイッチボックスのように基板の導体パターンを介してスイッチング素子とバスバとを接続する場合に比べ、放熱経路を短縮化できる。放熱経路の大容量化も比較的容易である。
【0009】
更に、バスバの凹凸箇所は、バスバの端部から突出する又は窪む形状を有することで、角状の部分(即ち、窪みの隅の部分、又は、突起の延出端の角の部分)を有することになる。この角状の部分は、ハンダ付けの際、溶融したハンダが濡れ広がることを抑制する効果を発揮する。よって、凹凸箇所が無い場合に比べ、溶融したハンダが過度に濡れ広がることでバスバとスイッチング素子との接続に供されるハンダの量(換言すると、フィレットの大きさ)が不十分になることを、抑制できる。よって、ハンダ付けの際、スイッチング素子の放熱体とバスバの凹凸箇所との接点にハンダを十分に留めることで、適正な形状のフィレットを形成できる。その結果、バスバとスイッチング素子との接続の信頼性を向上できる。
【0010】
このように、本構成の回路接続ユニットは、従来に比べ、放熱経路の短縮化や大容量化を図るとともに、放熱経路の信頼性を向上できる。したがって、本構成の回路接続ユニットは、スイッチング素子で発生した熱を効率良く放出可能な構造を有する。
【0011】
上記[2]の構成の回路接続ユニットによれば、バスバの凹凸箇所が、スイッチング素子の放熱体の周辺を囲むように窪む形状を有する。よって、ハンダ付けの際、溶融したハンダを窪みの内側に溜めた状態で、凹凸箇所と放熱体とを接続できる。これにより、放熱体を取り囲むようにハンダのフィレットが構成される。その結果、フィレット自体の強度が高まるとともに、放熱経路の大容量化を図ることができる。
【0012】
上記[3]の構成の回路接続ユニットによれば、ハンダ付けによってバスバに生じる応力を低減する応力緩和構造が、凹凸箇所の近傍に設けられる。応力緩和構造の例として、バスバを貫通する貫通孔やスリット、切り欠き、及び、バスバの厚さを周辺よりも減厚した窪み等が挙げられる。これにより、各部材(即ち、スイッチング素子の放熱体、ハンダ及びバスバ)の熱膨張係数の違い等に起因してそれら各部材に生じる応力を低減できる。その結果、ハンダのフィレットにクラック等が生じることや、スイッチング素子及び基板に過大な外力が及ぶことを抑制できる。更に、フィレットの形状が意図せず歪むこと等が抑制され、ハンダ付け自体を容易化できる。よって、ハンダ付けの作業性を高めながら、スイッチング素子とバスバとの接続の信頼性を向上できる。
【0013】
上記[4]の構成の回路接続ユニットによれば、スイッチング素子の入力用端子(例えば、スイッチング素子としてFETを用いる場合、ドレイン端子)が、放熱体としても用いられる。これにより、スイッチング素子への電力の入力とスイッチング素子からの熱の放出とを一元化できる。よって、回路接続ユニットの構造を合理化でき、回路接続ユニットの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明によれば、スイッチング素子で発生した熱を効率良く放出可能な構造を有する回路接続ユニット、を提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回路接続ユニットの平面図である。
図2図2(a)は、図1に示す回路接続ユニットにおけるバスバとスイッチング素子との接続箇所を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA部を示す平面図であり、図2(c)は、図2(b)のB-B断面図である。
図3図3(a)は、第1変形例におけるバスバとスイッチング素子との接続箇所を示す斜視図であり、図3(b)は、第2変形例におけるバスバとスイッチング素子との接続箇所を示す斜視図である。
図4図4(a)は、第3変形例における図2(a)に対応する図であり、図4(b)は、図4(a)のC部を示す平面図である。
図5図5(a)は、第4変形例におけるバスバの構造を示す斜視図であり、図5(b)は、第4変形例におけるバスバとスイッチング素子との接続箇所を示す平面図である。
図6図6(a)は、第5変形例におけるバスバの構造を示す斜視図であり、図6(b)は、第5変形例におけるバスバとスイッチング素子との接続箇所を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回路接続ユニット1について説明する。回路接続ユニット1は、典型的には、メインバッテリ及びサブバッテリを備える車両の電源システムに接続されて使用される。この場合、回路接続ユニット1は、車両に搭載された各種負荷への電力供給の状況に応じて、メインバッテリ及びサブバッテリ間の電気回路を開閉する機能を果たす。
【0018】
図1に示すように、回路接続ユニット1は、基板10と、基板10に設けられる一対のバスバ(金属板)20と、基板10に実装される複数のスイッチング素子30と、基板10に実装されるコネクタ40と、を備える。
【0019】
基板10は、図1に示すように、長手方向を有する矩形平板状の回路基板である。以下、説明の便宜上、基板10の長手方向(図1における上下方向)、基板10の幅方向(図1における左右方向)及び基板10の厚さ方向(図1における紙面奥行方向)をそれぞれ、単に「長手方向」、「幅方向」及び「厚さ方向」と呼ぶ。
【0020】
基板10は、図示しない箱状の筐体の内部に収容されている。基板10を構成する樹脂母材の内部には、所定の形状を有する導体パターン(図示省略)が埋設されており、基板10の表側面及び裏側面の少なくとも一方には、図示しない複数の電子部品が実装されている。
【0021】
一対のバスバ20は、図1に示すように、幅方向に所定距離を空けて長手方向に平行に延びるように、基板10の表側面に設けられている。一対のバスバ20は、各バスバ20は、長手方向に長く且つ幅方向に短い矩形平板状の形状を有している。一対のバスバ20のうち、一方のバスバ20はメインバッテリ(図示省略)に電気的に接続され、他方のバスバ20はサブバッテリ(図示省略)に電気的に接続されている。
【0022】
各バスバ20の長手方向に延びる一対の側縁には、図2(a)に示すように、基板10に向けて厚さ方向に延びる脚部21が、長手方向の複数箇所にそれぞれ形成されている。各脚部21が基板10の対応するスルーホール(図示省略)にそれぞれ挿入され固定されることで、各バスバ20が、基板10の表側面から僅かに浮いた状態で、基板10に固定されている(図2(c)参照)。
【0023】
各バスバ20の長手方向に延びる一対の側端面のうち相手側のバスバ20に近い側の側端面には、図2(a)に示すように、バスバ20の幅方向中央に向けて窪む凹部22が、長手方向の複数箇所(本例では、4箇所、図1参照)にそれぞれ形成されている。各凹部22は、本例では、図2(b)に示すように、厚さ方向からみたとき、長手方向に長い(幅広の)矩形状の形状を有している。
【0024】
複数のスイッチング素子30は、図1及び図2に示すように、各バスバ20の各凹部22に隣接して幅方向に向かい合うように、基板10の表側面にそれぞれ実装されている。図2(a)に示すように、各スイッチング素子30は、厚さ方向からみて矩形状の形状を有している。各スイッチング素子30は、典型的には、MOSFETである。
【0025】
各スイッチング素子30の4側面のうち、対応するバスバ20の凹部22に向かい合う一側面には、図2(a)~図2(c)に示すように、単一の放熱体31(いわゆるヒートスラグ)が設けられ、当該一側面と反対側の他側面には、図2(a)に示すように、複数のリードフレーム32が設けられている。複数のリードフレーム32は、基板10の複数のスルーホール(図示省略)にそれぞれ挿入されて、基板10の導体パターン(図示省略)に接続されている。
【0026】
放熱体31は、本例では、スイッチング素子30の一側面から凹部22に向けて延出し且つ長手方向に延びる金属板で構成されている。放熱体31は、スイッチング素子30で発生した熱を伝達(放出)する箇所として機能すると共に、スイッチング素子30の入力側端子(ドレイン端子)としても機能する。
【0027】
放熱体31の延出端縁(長手方向に延びる端縁)は、図2(b)に示すように、バスバ20の凹部22の内部に進入して凹部22に囲まれており、且つ、図2(c)に示すように、基板10の表側面に接触している。
【0028】
放熱体31の延出端縁は、図2(b)及び図2(c)に示すように、ハンダ50によるハンダ付けによって、バスバ20の凹部22に直接接続されている。これにより、スイッチング素子30の入力側端子が、ハンダ50を介してバスバ20と電気的に接続されている。
【0029】
コネクタ40は、図1に示すように、基板10の長手方向の一端部の表側面に実装されている。コネクタ40は、基板10の導体パターン(図示省略)に接続されている。コネクタ40には、車両に搭載された制御部(図示省略)に一端が接続された信号線の他端に設けられたコネクタ(図示省略)が接続される。制御部は、信号線を介して基板10に、複数のスイッチング素子30を制御するための制御信号を送信する。
【0030】
複数のスイッチング素子30は、上述した制御部から基板10に送信される制御信号に基づいて開閉制御されて、一対のバスバ20間の電気回路を開閉する切り替え動作(いわゆるスイッチング)を行う。これにより、車両に搭載された各種負荷への電力供給の状況に応じて、メインバッテリ及びサブバッテリ間の電気回路が開閉される。
【0031】
複数のスイッチング素子30の各々は、スイッチングにより発熱する。スイッチング素子30が過度に高温になることを抑制するため、スイッチング素子30で発生した熱を効率良く放出する必要がある。この点、本例では、スイッチング素子30の放熱体31が、ハンダ50を介してバスバ20の凹部22に直接接続されているので、スイッチング素子30で発生した熱は、ハンダ50を介してバスバ20へと直接伝達され得る。即ち、本例では、基板の導体パターンを介してスイッチング素子30とバスバ20とを接続する場合に比べ、スイッチング素子30で発生した熱を放出するための放熱経路を短縮化できる。更に、放熱経路の容量も増大されている。
【0032】
スイッチング素子30の放熱体31と、バスバ20の凹部22とのハンダ付けは、例えば、リフロー方式を用いて実行される。このハンダ付けの際、凹部22の一対の隅部a(図2(b)参照)は、溶融したハンダ50が濡れ広がることを抑制する効果を発揮する。よって、凹部22が無い場合に比べ、溶融したハンダ50が過度に濡れ広がることでバスバ20とスイッチング素子30との接続に供されるハンダ50の量(換言すると、フィレットの大きさ)が不十分になることが抑制され得る。更に、放熱体31と凹部22との接点にハンダ50を留めることで、適正な形状のハンダ50のフィレットを形成できる。その結果、バスバ20とスイッチング素子30との接続信頼性を向上できる。
【0033】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る回路接続ユニット1によれば、基板10に設けられるバスバ20にスイッチング素子30が有する放熱体31(いわゆるヒートスラグ)がハンダ付けされることで、バスバ20とスイッチング素子30とが直接接続される。よって、上述した従来のスイッチボックスのように基板の導体パターンを介してスイッチング素子とバスバとを熱的に接続する場合に比べ、放熱経路の短縮化・大容量化が可能である。
【0034】
更に、バスバ20の凹部22は、バスバ20の側端面から窪む形状を有することで、角状の形状を有する一対の隅部a(図2(b)参照)を有する。一対の隅部aは、ハンダ付けの際に溶融したハンダ50が濡れ広がることを抑制する効果を発揮する。よって、凹部22が無い場合に比べ、溶融したハンダ50が過度に濡れ広がることを抑制できる。換言すると、ハンダ付けの際、スイッチング素子30の放熱体31とバスバ20の凹部22との接点にハンダ50を留めることができて、適正な形状のハンダ50のフィレットを構成できる。その結果、バスバ20とスイッチング素子30との接続の信頼性を向上できる。
【0035】
したがって、本実施形態に係る回路接続ユニット1は、スイッチング素子30で発生した熱を効率良く放出可能な構造を有する。
【0036】
更に、本実施形態に係る回路接続ユニット1によれば、バスバ20の凹部22が、スイッチング素子30の放熱体31の周辺を囲むように窪む形状を有する。よって、ハンダ付けの際、溶融したハンダ50を凹部22の内部に溜めた状態で、凹部22と放熱体31とを接続できる。これにより、放熱体31を取り囲むようにハンダ50のフィレットが構成され、フィレット自体の強度が高まるとともに、放熱経路の容量を更に大きくすることができる。
【0037】
更に、本実施形態に係る回路接続ユニット1によれば、バスバ20に直接接続されるスイッチング素子30の放熱体31(ヒートスラグ)が、スイッチング素子30の入力用端子(ドレイン端子)としても機能する。これにより、スイッチング素子30への入力とスイッチング素子30からの放熱とを一元化できる。よって、回路接続ユニット1の構造を合理化でき、回路接続ユニットの小型化を図ることができる。
【0038】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0039】
上記実施形態では、各スイッチング素子30の放熱体31が、バスバ20の側端面に設けられた(幅狭の)凹部22(図2参照)に隣接して幅方向に向かい合うように配置され、放熱体31と凹部22とがハンダ50によるハンダ付けによって直接接続されている。これに対し、図3(a)に示すように、バスバ20の側端面にて長手方向に間隔を空けて設けられた一対の(幅狭の)凹部22の間に凸部23が形成されている場合、各スイッチング素子30の放熱体31が、凸部23に隣接して幅方向に向かい合うように配置され、放熱体31と凸部23とがハンダ50によるハンダ付けによって直接接続されていてもよい。
【0040】
同様に、図3(b)に示すように、バスバ20の側端面にて長手方向に間隔を空けて設けられた(幅狭の)凹部22と段差部24との間に凸部23が形成されている場合、各スイッチング素子30の放熱体31が、凸部23に隣接して幅方向に向かい合うように配置され、放熱体31と凸部23とがハンダ50によるハンダ付けによって直接接続されていてもよい。
【0041】
図3(a)及び図3(b)に示す態様では、放熱体31と凸部23とのハンダ付けの際、凸部23の一対の角部bが、溶融したハンダ50が濡れ広がることを抑制する効果を発揮する。よって、凸部23が無い場合に比べ、溶融したハンダ50が過度に濡れ広がることで上記放熱経路が薄く又は細くなって上記放熱経路の容量が小さくなることが抑制され得る。
【0042】
更に、図4(a)及び図4(b)に示すように、バスバ20における凹部22の近傍に、長手方向に延びるスリット(貫通孔)25が形成されていてもよい。このスリット25は、ハンダ50によるハンダ付けによってバスバ20に生じる応力を低減する応力緩和構造として機能する。
【0043】
これによれば、スイッチング素子30の放熱体31、ハンダ50、及び、バスバ20の熱膨張係数の違い等に起因して放熱体31、ハンダ50及びバスバ20に生じる応力を低減できる。その結果、ハンダ50のフィレットにクラック等が生じることや、スイッチング素子30及び基板10に過大な外力が及ぶことを抑制できる。更に、フィレットの形状が意図せず歪むこと等が抑制され、ハンダ付け自体を容易化できる。よって、ハンダ付けの作業性を高めながら、スイッチング素子30とバスバ20との接続の信頼性を向上できる。
【0044】
更に、スリット25を設けることにより、凹部22の近傍のバスバ20の熱容量が局所的に小さくなることに起因して、凹部22の近傍のバスバ20の温度が局所的に上がり易くなる。このため、スリット25を設けない場合と比べて、ハンダ50を早期に溶融できる。この結果、ハンダ付けの際、スイッチング素子30及び基板10を高温に晒す時間を短くして、スイッチング素子30及び基板10に与える熱的な負荷を軽減することができる。なお、応力緩和構造として、スリット25に代えて、バスバ20の厚さを周辺よりも薄くした減厚部が採用されてもよい。
【0045】
更に、図5(a)及び図5(b)に示すように、バスバ20の側端面にて長手方向に沿って所定のパターンにて凹部22と凸部23とが交互に形成されている場合、各スイッチング素子30の放熱体31が、一対の凸部23、及び、それら一対の凸部23の延出端同士を繋ぐ連結部26(その結果、一対の凸部23と連結部26とに囲まれる貫通孔(スリット)25が画成されている。)に隣接して幅方向に向かい合うように配置され、放熱体31と、一対の凸部23及び連結部26とが、ハンダ50によるハンダ付けによって直接接続されていてもよい。
【0046】
同様に、図6(a)及び図6(b)に示すように、バスバ20の側端面にて長手方向に沿って所定のパターンにて凹部22と凸部23とが交互に形成されている場合、各スイッチング素子30の放熱体31が、複数(本例では、3つ)の凸部23及びそれら複数の凸部23の間に位置する複数(本例では、2つ)の凹部22に隣接して幅方向に向かい合うように配置され、放熱体31と、複数の凸部23及び複数の凹部22とが、ハンダ50によるハンダ付けによって直接接続されていてもよい。
【0047】
図5及び図6に示す態様においても、放熱体31と、複数の凸部23及び一又は複数の凹部22とのハンダ付けの際、複数の凸部23のうち長手方向の両端に位置する一対の凸部23の一対の角部bが、溶融したハンダ50が濡れ広がることを抑制する効果を発揮する。よって、凸部23及び凹部22が無い場合に比べ、溶融したハンダ50が過度に濡れ広がることが抑制され得る。
【0048】
ここで、上述した本発明に係る回路接続ユニット1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
基板(10)に設けられるバスバ(20)と、前記バスバ(20)に電気的に接続されるとともに前記基板(10)に実装されるスイッチング素子(30)と、を備える回路接続ユニット(1)であって、
前記バスバ(20)は、
前記スイッチング素子(30)に近づく向き突出する形状(23)及び前記スイッチング素子(30)から離れる向きに窪む形状(22)の少なくとも一方を有する凹凸箇所を、前記スイッチング素子(30)に向かい合う端部に有し、
前記スイッチング素子(30)は、
当該スイッチング素子(30)が有する放熱体(31)と、前記凹凸箇所と、のハンダ付けにより、前記バスバ(20)に直接接続される、
回路接続ユニット(1)。
[2]
上記[1]に記載の回路接続ユニット(1)において、
前記凹凸箇所は、
前記放熱体(31)の周囲を囲むように窪む形状(22)を有する、
回路接続ユニット(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の回路接続ユニット(1)において、
前記バスバ(20)は、
前記凹凸箇所の近傍に、前記ハンダ付けによって前記バスバ(20)に生じる応力を低減する応力緩和構造(25)を有する、
回路接続ユニット(1)。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の回路接続ユニット(1)において、
前記放熱体(31)は、
前記スイッチング素子(30)が有する入力側端子を含む、
回路接続ユニット(1)。
【符号の説明】
【0049】
1 回路接続ユニット
10 基板
20 バスバ
22 凹部(窪む形状)
23 凸部(突出する形状)
25 スリット(応力緩和構造)
30 スイッチング素子
31 放熱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6