(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】旋回評価支援装置
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20240214BHJP
G06F 30/28 20200101ALI20240214BHJP
G06F 113/08 20200101ALN20240214BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20240214BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/28
G06F113:08
G06F113:14
(21)【出願番号】P 2020089706
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】中原 崇
(72)【発明者】
【氏名】矢敷 達朗
(72)【発明者】
【氏名】保坂 知幸
(72)【発明者】
【氏名】佐野 理志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】北川 巧
(72)【発明者】
【氏名】北村 純一
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-031842(JP,A)
【文献】特開平07-021231(JP,A)
【文献】特開2002-081115(JP,A)
【文献】特開2001-344295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377462(US,A1)
【文献】国際公開第2017/222991(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/18
G06F 30/28
G06F 113/08
G06F 113/14
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管系統の旋回強度を推定する旋回評価支援装置において、
前記配管系統を構成する複数の部品を1つまたは連続する2以上の部品からなるグループに分割し、前記グループの最上流位置における旋回強度、前記グループを構成する部品の仕様、および解析条件に基づいて、前記最上流位置より下流でかつ前記グループの最下流位置より上流の少なくとも1つの位置における旋回強度を算出する演算装置と、
前記旋回強度を前記グループごとに表示する表示装置とを備える
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の旋回評価支援装置において、
前記演算装置は、前記複数の部品のうち、1つまたは2以上の連続する直管を直管以外の部品で挟んだ第1の部品群を優先的にグループ化する
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の旋回評価支援装置において、
前記演算装置は、前記第1の部品群のうち、管軸位置が同一平面内に収まらない第2の部品群を優先的にグループ化する
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の旋回評価支援装置において、
前記演算装置は、前記第2の部品群のうち、管軸長さが最も小さい第3の部品群を優先的にグループ化する
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の旋回評価支援装置において、
前記配管系統を構成する部品の仕様には、口径、最上流の管断面中心位置、最下流の管断面中心位置、曲率半径、および流路の曲がり角度が含まれる
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の旋回評価支援装置において、
前記表示装置は、前記グループごとに前記旋回強度の描画方法を変更する
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の旋回評価支援装置において、
前記表示装置は、前記配管系統を構成する各部品を描画し、前記グループごとに部品の塗りつぶし方法を変更する
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の旋回評価支援装置において、
前記旋回強度は、スワール数の時間平均で表される
ことを特徴とする旋回評価支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管系統の設計において旋回の強さの評価を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントなどの配管系において流量計の設置位置を設計する際に、安全基準に関する規格を満足する位置に流量計を設置できない場合、実流試験の代替として3次元流体解析と呼ばれるシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果を用いて配管系内の流れ場が流量計精度に与える影響を評価するシステムを開発することを考える。
【0003】
流量計精度に与える影響の一つに、流れにおける旋回の強さ(以下、旋回強度)がある。配管系統内の流体において旋回強度が高いと流量計の精度が低下する。そのため特定の管軸座標における断面上の旋回強度を算出することにより、どの箇所で旋回強度が高くなっているか、また旋回強度を減衰させるにはどれだけの管軸座標が必要かということを把握し、旋回強度が高くならないような配管ルーティングや流量計位置の調整に反映させる。
【0004】
しかし、3次元流体解析には莫大な計算に時間を要するため時間短縮が必要となる。そこで特許文献1を参考に、数ある配管系統について簡易的に流体解析を行い配管系統の旋回強度の推定値が高い要注意の配管系統だけを三次元流体解析するという方法を考える。簡易的な流体解析とは、具体的には配管系統において部品の特性と解析条件と入口側の旋回強度を入力とし、出口側の旋回強度を出力とするパラメータテーブルを過去の事例からあらかじめ作成しておく。そのパラメータテーブル群をデータベース化することにより部品の特性と解析条件と入口側の旋回強度を入力すると出口側の旋回強度の推定値が出力されるというものである。最上流の部品における入口側の旋回強度を設定すると、上流から下流へ向かって計算することにより、最下流の部品における出口側の旋回強度を推定できる。この推定値が閾値以上のときのみ三次元流体解析を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この簡易的な流体解析において、旋回強度を推定する際には部品単体でパラメータテーブルを作っても精度が出ないという問題がある。一方、複数の部品でグループをまとめてそのグループ毎にパラメータテーブルを作ったほうが精度が上がる。たとえば旋回強度をスワール数とする場合、複数の隣接する部品のなす流路において、一つの平面上で収まる場合よりも、一つの平面上に収まらない場合のほうが旋回強度が上がることがある。特にバルブは一つの平面に収まらない流路を内部に有しているため、旋回強度が変化することが多い。このように旋回強度の精度を上げるには、配管系統の部品をグループでまとめる必要がある。
【0007】
また、このような簡易的な流体解析を行った際に、単に推定結果を出しただけでは根拠がないため説得力が乏しくなるという問題がある。ユーザからすれば本当は全ての配管箇所について三次元流体解析をしなければならないという懸念にかられる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管系統の設計において、三次元流体解析が必要な配管箇所とそうでない配管箇所との正確な判別を可能とした旋回評価支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、配管系統の旋回強度を推定する旋回評価支援装置において、前記配管系統を構成する複数の部品を1つまたは連続する2以上の部品からなるグループに分割し、前記グループの最上流位置における旋回強度、前記グループを構成する部品の仕様、および解析条件に基づいて、前記最上流位置より下流でかつ前記グループの最下流位置より上流の少なくとも1つの位置における旋回強度を算出する演算装置と、前記旋回強度を前記グループごとに表示する表示装置とを備えるものとする。
【0010】
以上のように構成した本発明によれば、配管系統を構成する複数の部品を1つまたは連続する2以上の部品からなるグループに分割し、グループごとに旋回強度を推定することにより、旋回強度の推定精度を向上できる。さらに、配管系統をどのようにグループ分けしたかを視覚的に確認することができるため、三次元流体解析が必要な配管箇所とそうでない配管箇所とを正確に判別することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る旋回評価支援装置によれば、配管系統の設計において、三次元流体解析が必要な配管箇所とそうでない配管箇所とを正確に判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態における旋回評価支援装置のハードウェア構成を示した図である。
【
図2】本発明の実施形態における旋回評価支援装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態における旋回強度上昇部品グループ抽出部の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態における3D形状出力部の機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態における旋回評価支援装置の処理フローである。
【
図6】本発明の実施形態における部品接続リスト作成処理の処理フロー前半である。
【
図7】本発明の実施形態における旋回強度簡易推定処理の処理フロー後半である。
【
図8】本発明の実施形態における3D流体解析実行処理の処理フローである。
【
図9】本発明の実施形態における部品グループ分割処理の処理フローである。
【
図10】本発明の実施形態における旋回強度最上昇部品グループ抽出処理の処理フローである。
【
図11】本発明の実施形態における部品色指定処理およびグラフ出力処理および3D形状出力処理の処理フローである。
【
図12】本発明の実施形態における各種データのデータ構成を示した図である。
【
図13】本発明の実施形態における3D-CADデータと配管部品リストのデータ構成を示した図である。
【
図14】本発明の実施形態における配管部品情報のデータ構成を示した図である。
【
図15】本発明の実施形態における解析条件リストのデータ構成を示した図である。
【
図16】本発明の実施形態における部品接続リストのデータ構成を示した図である。
【
図17】本発明の実施形態におけるシミュレーション結果のデータ構成を示した図である。
【
図18】本発明の実施形態における旋回強度算出結果または旋回強度推定結果のデータ構成を示した図である。
【
図19】本発明の実施形態における部品グループリストのデータ構成を示した図である。
【
図20】本発明の実施形態における部品グループの予測モデルのデータ構成を示した図である。
【
図21】本発明の実施形態における部品グループ判定の例を示した表である。
【
図22】本発明の実施形態におけるディスプレイへの画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本実施形態における旋回評価支援装置のハードウェア構成を示した図である。本旋回評価支援装置は、旋回評価支援部A1と表示出力部A2と操作入力部A3から成り立っている。
【0015】
旋回評価支援部A1は、操作入力部A3からのユーザ操作入力に従って流体解析結果または簡易流体解析結果のグラフや配管系統の3Dデータなどを表示出力部A2へ出力する演算装置である。旋回評価支援部A1は、CPU(Central Processor Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶装置A10、I/F(Interface)から成り立っている。CPUは旋回評価支援を行うためのプログラムに従って演算処理を実行するものである。RAMはシミュレーション結果の可視化を行うためのプログラムにおいてデータを一時記憶しておくものである。記憶装置A10はシミュレーション結果の可視化を行うためのプログラムやデータなどを記録しておくものであり、ハードディスクドライブやフラッシュメモリドライブなどが該当する。
【0016】
記憶装置A10には、旋回評価支援を行うためのプログラムとして、3D流体解析プログラム、配管部品関係認識プログラム、旋回強度簡易推定プログラム、可視化プログラムが格納されている。また、これらのプログラムを実行する際に使用する各種データD1も格納されている。
【0017】
3D流体解析プログラムは、ユーザからの操作入力に従って後述の配管部品リストと解析条件と3D-CADデータを指定し、シミュレーション計算を実行しシミュレーション結果から管軸座標に沿った旋回強度を算出し、その結果を記憶装置A10に保存するものである。配管部品関係認識プログラムは、配管系統を構成する部品の仕様を列挙した配管部品リストを入力すると、配管部品から接続点となるノードと部品そのものを表すリンクを抽出し、同じノードを有するリンクを接続することにより配管部品の接続関係を構築するものである。旋回強度簡易推定プログラムは、配管部品の接続関係と配管部品リストと解析条件を入力として、予測モデルを用いて最上流の旋回強度から下流以降の旋回強度を推定するものである。可視化プログラムは、ユーザからの操作入力に従ってシミュレーション結果から管軸座標と物理統計量のグラフと配管系統の3Dデータ形状を含む画像を作成し、表示出力部A2に出力するものである。
【0018】
I/Fは操作入力部A3からユーザの操作入力に関するデータを受信し、管軸座標と物理統計量のグラフと配管系統の3Dデータ形状を含む画像を表示出力部A2へ送信する。
【0019】
表示出力部A2は、管軸座標と旋回強度のグラフと配管系統の3Dデータ形状を含む画像をユーザに対して出力するための表示装置であり、ディスプレイやプリンタのことを指す。操作入力部A3は、ユーザからの操作入力を電気信号に変えて旋回評価支援装置へ送信するものであり、キーボードやタッチパネル、マウスなどが該当する。
【0020】
図2は本実施形態における旋回評価支援装置の機能ブロック図である。旋回評価支援装置は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1と配管部品関係認識部B2と3D流体解析部B3と旋回強度簡易推定部B4と可視化部B5から成り立つ。
【0021】
3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1は、配管系統の形状を三次元的に記述している3D-CADデータと配管部品リストと解析条件を記憶装置A10に保存しており、他部からの呼び出しに応じて必要なデータを送信するものである。
【0022】
配管部品関係認識部B2は、配管部品関係認識プログラムの内容に従って、配管部品関係認識プログラムにしたがって、配管系統を構成する部品の仕様を列挙した配管部品リストを入力すると、配管部品から接続点となるノードと部品そのものを表すリンクを抽出し、同じノードを有するリンクを接続することにより配管部品の接続関係を構築するものである。配管部品関係認識部B2は、ノード・リンク抽出部B20と、ノード・リンク接続部B21から成り立つ。ノード・リンク抽出部B20は、配管部品リスト上において配管部品から接続点となるノードと部品そのものを表すリンクを抽出するものである。ノード・リンク接続部B21は、同じノードを有するリンクを接続することにより配管部品の接続関係を構築するものである。
【0023】
本実施形態における配管部品関係認識部B2の処理フローについて
図6を用いて説明する。まずノード・リンク抽出部B20は、配管系統内の部品をリンクとして登録する。次に部品の始点、つまり部品最上流の中心点と、部品の終点、つまり部品最下流の中心点を、それぞれノードとして登録する。最後にノード・リンク接続部へノード・リンク情報を送信する。ノード・リンク接続部B21は、受信したノード・リンク情報を用いて、差を無視できるほど位置が重複しているノードを集約し、同じIDを割り振る。次にリンク情報内におけるノードのIDを先ほど割り振ったものに更新する。最後にノードとリンクの接続を行い、最上流位置と最下流位置を決めて方向を決める。
【0024】
3D流体解析部B3は、3D流体解析プログラムの内容に従って、ユーザからの操作入力に従って後述の配管部品リストと解析条件と3D-CADデータを指定し、シミュレーション計算を実行しシミュレーション結果から管軸座標に沿った旋回強度を算出し、その結果を記憶装置A10に保存するものである。3D流体解析部B3は、3Dシミュレーション部B30と旋回強度算出部B31から成り立つ。3Dシミュレーション部B30は、ユーザからの操作入力に従って後述の配管部品リストと解析条件と3D-CADデータを指定し、シミュレーション計算を実行するものである。旋回強度算出部は、シミュレーション結果から管軸座標に沿った旋回強度を算出し、その結果を記憶装置A10に保存するものである。
【0025】
本実施形態における3D流体解析部B3の処理フローについて
図7を用いて説明する。3Dシミュレーション部B30は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1から受信した3D-CADデータを読み込み、解析条件を設定し、シミュレーションを実行する。シミュレーションで得られたシミュレーション結果を旋回強度算出部B31へ送信する。旋回強度算出部B31は、部品接続リストから部品毎の断面を作成する。次に断面毎の管軸座標を算出する。最後にシミュレーション結果と部品毎の断面の情報から、旋回強度を算出する。
【0026】
旋回強度簡易推定部B4は、旋回強度簡易推定プログラムの内容に従って、配管部品の接続関係と配管部品リストと解析条件を入力として、予測モデルを用いて最上流の旋回強度から下流以降の旋回強度を推定するものである。旋回強度簡易推定部B4は、部品グループ分割部B40と、予測モデル保存部B41と、予測モデル適用部B42と、詳細解析実行判定部B43から成り立つ。
【0027】
部品グループ分割部B40は、配管系統を構成する1つ以上の部品をグループ分けするものである。部品グループ分割部B40は、立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400と、旋回強度上昇部品グループ抽出部B401と、上流・下流分離部B402と、部品グループリスト作成部B403から成り立つ。
【0028】
立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400は、部品グループのカテゴリ順に処理する際に現在のカテゴリを更新、保存するものである。部品グループのカテゴリには、バルブなど一つの部品内における流路が一つの平面に収まらないものと、前記以外の部品のうち直管をそれ以外の2つの部品で挟んだ流路が一つの平面に収まらないものと、前記以外の部品のうち直管をそれ以外の2つの部品で挟んだ流路が一つの平面に収まるものと、前記以外の部品のうち直管と隣接するそれ以外の1つの部品で構成されるものと、前記以外の部品のうち単独部品または直管の連続のみで構成される部品群とがある。
【0029】
旋回強度上昇部品グループ抽出部B401は、前記カテゴリに属する部品グループ群のうち、部品の仕様から最も旋回強度が上昇するであろうと推定されるものを抽出するものである。上流・下流分離部B402は、旋回強度上昇部品グループ抽出部B401によって抽出された部品グループの最上流と最下流を境界線として、部品グループの最上流より上流側の配管系統と部品グループの最下流より下流側の配管系統に分けてそれぞれ再帰的に部品グループ分割処理を実行するというものである。部品グループリスト作成部B403は、旋回強度上昇部品グループ抽出部B401によって抽出された部品グループの番号を、部品接続リスト上の部品グループに属する部品に記録するものである。
【0030】
予測モデル保存部B41は、配管系統において部品グループの仕様と解析条件と入口側の旋回強度を入力とし、出口側の旋回強度を出力とするパラメータテーブルを過去の事例からあらかじめ作成しておいたものをデータベース化したものである。予測モデル適用部B42は、予測モデル保存部B41を用いて部品グループの仕様と解析条件と最上流の旋回強度を入力すると下流の旋回強度の推定値を出力するものである。詳細解析実行判定部B43は、予測モデル適用部B42にて計算した最下流の旋回強度の推定値が閾値以上かどうか判定し、もし閾値以上であれば3D流体解析部B3に3D流体解析を実行させるものである。
【0031】
本実施形態における旋回強度簡易推定処理F4の処理フローについて
図8を用いて説明する。部品グループ分割部B40は、部品接続リストのうち連続して隣接する直管を一つにまとめる。次にカテゴリをまず立体に初期設定する。次に部品接続リストを用いて部品グループ分割処理F40を実行して部品グループリストを作成し、部品グループリストを予測モデル適用部B42へ送信する。予測モデル適用部B42は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1から受信した解析条件および最上流の旋回強度を設定する。次に部品グループ毎に部品グループの予測モデルを予測モデル保存部B41へ要求する。予測モデル保存部B41は部品グループの予測モデルを予測モデル適用部B42へ送信し、予測モデル適用部B42は最上流より下流側の旋回強度を算出する。この部品グループの予測モデル呼び出しと出口旋回強度算出処理を最上流から下流に向かって最下流まで部品グループ単位で実行する。予測モデル適用部B42は、最下流の旋回強度を算出した時、最下流旋回強度を詳細解析実行判定部B43へ送信する。詳細解析実行判定部B43は、最下流旋回強度が閾値以上かどうかを判定する旋回強度閾値判定処理を実行する。
【0032】
本実施形態における部品グループ分割処理F40の処理フローについて
図9を用いて説明する。旋回強度上昇部品グループ抽出部B401は、立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400から部品カテゴリ番号と部品接続リストを受信し、カテゴリの指定する部品グループを探索する。カテゴリの指定する部品グループが一つもなければ立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400へ部品カテゴリ番号を送信し、立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400は部品カテゴリ番号を1進めて旋回強度上昇部品グループ抽出部B401へ部品カテゴリ番号と部品接続リストを送信する。もしカテゴリの指定する部品グループが一つでもあれば、その部品グループに対して旋回強度最上昇部品グループ抽出処理F401を実行し、部品グループ内の部品の仕様から最も旋回強度が最上流から最下流へ上昇しそうとされる部品グループを抽出し、部品グループの部品番号と部品カテゴリ番号と部品接続リストを部品グループリスト作成部B403へ送信する。
【0033】
部品グループリスト作成部B403は、抽出した部品グループの部品接続リストにグループ番号を付与し記載する。もしここで全ての配管系統内の部品に部品グループ番号が全て割り振られていた場合、部品グループ分割処理F40を終了し、部品グループ分割処理F40が再帰処理として呼び出された場合は呼び出し元の処理へ戻る。一方全ての配管系統内部品のうち部品グループ番号が割り振られていないものが一つでもある場合は、部品グループを境に他の部品を上流と下流に分割し、再帰的に部品グループ分割処理F40を上流側と下流側とでそれぞれ実行する。もしどちらも完了した場合、部品グループ分割処理F40を終了し、部品グループ分割処理F40が再帰処理として呼び出された場合は呼び出し元の処理へ戻る。
【0034】
可視化部B5は、可視化プログラムの内容およびユーザからの操作入力に従って、管軸座標に対する旋回強度または旋回強度算出値のグラフと、配管系統の3Dデータ形状を含む画像を作成し、表示出力部A2に出力するものである。可視化部B5は部品色指定部B50とグラフ出力部B51と3D形状出力部B52から成り立つ。
【0035】
部品色指定部B50は、部品グループ分割部B40により各部品に割り振られた部品グループ番号に沿って、部品の色や線の太さ、透過度などを指定するものである。グラフ出力部B51は部品色指定部B50の指定した部品の色に従って、管軸座標に対する旋回強度または旋回強度算出値のグラフを表示出力部A2に出力するものである。また3D形状出力部B52は部品色指定部B50の指定した部品の色に従って、配管系統の3Dデータ形状を含む画像を作成し、表示出力部A2に出力するものである。
【0036】
本実施形態における旋回評価支援装置の処理フローについて
図5を用いて説明する。配管部品関係認識部B2は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1に対して配管部品リストを要求し、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1は配管部品リストを配管部品関係認識部B2へ送信する。配管部品関係認識部B2は部品接続リストを用いて部品接続リスト作成処理F2を実行し、部品接続リストを作成して旋回強度簡易推定部B4へ送信する。
【0037】
旋回強度簡易推定部B4は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1に対して解析条件とシミュレーションモデルを要求し、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1は解析条件とシミュレーションモデルを配管部品関係認識部B2へ送信する。旋回強度簡易推定部B4は、解析条件およびシミュレーションモデルおよび部品接続リストを用いて旋回強度簡易推定処理F4を実行し、最上流から下流側の旋回強度を管軸座標に沿って算出する。旋回強度簡易推定部B4は、最下流の旋回強度推定値が閾値以上であれば、3D流体解析部B3へ詳細解析実行指令を出力し、そうでない場合は旋回強度と部品接続リストを可視化部B5へ送信し部品色指定処理F50へ進む。
【0038】
3D流体解析部B3は、旋回強度簡易推定部B4から詳細解析実行指令を受信した場合、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1に対して3D-CADデータと解析条件とシミュレーションモデルを要求し、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1は3D-CADデータと解析条件とシミュレーションモデルを3D流体解析部B3へ送信する。3D流体解析部B3は3D-CADデータと解析条件とシミュレーションモデルを用いて3D流体解析処理F3を実行して最上流から下流側の旋回強度を管軸座標に沿って算出し、管軸座標と旋回強度を可視化部B5へ送信する。
【0039】
可視化部B5は管軸座標と旋回強度を3D流体解析部B3または旋回強度簡易推定部B4から受信した際に、まず部品色指定処理F50を実行して配管内部品の描画色を設定する。次にグラフ出力処理F51を実行して管軸座標を横軸に旋回強度を縦軸にしたグラフを表示出力部A2へ出力する。最後に3D形状出力処理F52を実行して配管系統全体の3D形状を表示出力部A2へ出力し、処理を完了する。
【0040】
図3は本実施形態における旋回強度上昇部品グループ抽出部B401の機能ブロック図である。旋回強度上昇部品グループ抽出部B401は、カテゴリ指定部品組合せ抽出部と、旋回強度上昇度合い算出部と、旋回強度再上昇部品グループ選択部から成り立つ。カテゴリ指定部品組合せ抽出部は、立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400によって指定されたカテゴリの部品グループ群を、配管部品関係認識部B2または上流・下流分離部B402から送られてきた部品接続リストから抽出するものである。もし部品接続リストの中にカテゴリの部品グループが存在しない場合は、立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部B400にカテゴリを更新するよう要求する。
【0041】
旋回強度上昇度合い算出部は、カテゴリ指定部品組合せ抽出部により抽出された部品グループ群について、部品グループを構成する部品の仕様を用いて旋回強度上昇度合いを算出する。例えば直管の長さLおよびエルボの曲がり角度θから式(1)を用いて旋回強度上昇度合いdを算出する。
【0042】
【0043】
また別方式として、部品グループを構成する各部品の最上流および最下流の中央点座標から求める方法もある。旋回強度再上昇部品グループ選択部は、部品グループ群のうち、旋回強度上昇度合い算出部によって算出した旋回強度上昇度合いが最も高いものを選択し、上流・下流分離部B402へ送信する。
【0044】
本実施形態における旋回強度最上昇部品グループ抽出処理F401の処理フローについて
図8を用いて説明する。まず旋回強度上昇部品グループ抽出部B401は、カテゴリ番号が4、つまり単品のみの場合かどうかを判定する。単品のみの場合は、各部品ごとにグループ番号が割り振られていないかどうかをチェックし、もし割り振られていない部品がある場合は、その部品単品を旋回強度最上昇グループとして処理を終了する。
【0045】
カテゴリ番号が4、単品のみでない場合は、グループ番号の割り振られていない直管ごとに以下の処理を実行する。まずカテゴリ番号が1の場合、つまり立体配置の場合は、直管を曲がり要素で挟んだものをグループ化する。部品グループの流路、つまり各部品の最上流と最下流の中心点が一平面に入る場合は次の直管について処理を実行する。もし部品グループの流路が一平面に入る場合は、部品グループ内の部品の仕様から旋回強度上昇具合を、例えば式(1)を用いて計算する。もし上昇具合がこれまでの全ての直管のうち最大値である場合、現在のグループを旋回強度最上昇グループとし、旋回強度上昇具合の最大値を更新し、次の直管について処理を実行する。もし全ての部品グループ番号のない直管について処理を実行したら処理を終了する。
【0046】
図4は本実施形態における3D形状出力部B52の機能ブロック図である。3D形状出力部B52は、配管系統全体3D形状作成部と、部品抽出部と、部品色設定部と、グラフィック出力部から成り立つ。配管系統全体3D形状作成部は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1から送信された3D-CADデータ内にあるメッシュ情報および格子点から配管系統全体の3D形状を作成するものである。部品抽出部は、配管部品関係認識部B2から送信された部品接続リスト内にある部品の仕様、具体的には最上流および最下流の中央点座標や部品の半径、エルボの場合は曲率などを用いて配管系統全体の3D形状から該当する部品の部分を抽出し、各部品の3D形状および配管系統全体3D形状を出力するものである。部品色設定部は、部品抽出部によって抽出された部品の描画色に、部品色指定部によって指定された色を設定し、色の設定された部品および配管系統全体3D形状を出力するものである。色だけでなくハンチングや輪郭線の仕様などを設定してもよいものとする。グラフィック出力部は、色の設定された部品および配管系統全体3D形状を表示出力部A2へ出力するものである。
【0047】
本実施形態における部品色指定処理F50およびグラフ出力処理F51および3D形状出力処理F52の処理フローについて
図11を用いて説明する。部品色指定部B50は、各部品グループの色を計算する。色の計算の仕方は例えばカテゴリを立体配置と平面配置と曲線と単品のみにした場合、立体配置に赤、平面配置に緑、曲線に青、単品に白を割り当て、最も旋回強度上昇具合が高いものに明度の最大値を割り当て、次に上昇具合が高いものから低いものへ次第に明度を低くしていく。具体的には立体配置の部品グループの場合、式(2)を用いて色を設定する。
【0048】
【0049】
ここで、iはその部品グループの二分木の深度、imaxは二分木の深度の最大値、Ri, Gi, Biはそれぞれその部品グループの赤の明度、緑の明度、青の明度をそれぞれ示す。Rmax, Gmax, Bmaxは赤、緑、青の明度の最大値、Rmin, Gmin, Bminはそれぞれ赤、緑、青の明度の最小値を示す。ただし、色の明度を0~255まで定義する場合、Rmaxは255より多少小さい値(例えば240)を、Rminは0よりも大きい値(例えば60)を、それぞれ代入しておくのが望ましい。平面配置の部品グループの場合であれば式(3)を、直管とそれ以外の部品が隣接する部品グループの場合であれば式(4)を、単品の部品グループの場合であれば式(5)を、それぞれ用いて色を設定する。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
また色だけでなく輪郭線の太さやハンチングの種類など描画の仕様を部品グループ毎に設定してもよいものとする。この処理を全部品グループについて実行する。その後、部品接続リストにおいて各部品グループの色を各部品に設定する。この処理を全ての部品について実行し、グループ番号とその色情報の入った部品接続リストと、全部品グループの色と部品番号をグラフ出力部B51へ送信する。
【0054】
グラフ出力部B51は各部品グループについて、管軸に沿った各地点における管軸座標とそのときの旋回強度を取得する。次に指定した色で横軸を管軸座標、縦軸に旋回強度とするグラフを描画する。基本的に点で描画するが、ユーザの要求により場合によっては点と線で描画する。この処理を全部品グループについて実行し、グループ番号とその色情報の入った部品接続リストと、全部品グループの色と部品番号をグラフ出力部B51へ送信する。
【0055】
3D形状出力部B52は、3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部B1から送信された3D-CADデータ内にあるメッシュ情報および格子点から配管系統全体の3D形状を作成し、グラフィック用メモリ空間上に描画する。次に各部品について、部品接続リストにある部品の仕様を用いて3D形状から部品の領域を切り取り、各部品に部品グループの色を塗りグラフィック用メモリ空間上に描画する。この処理を全部品について実行し、処理を終了する。
【0056】
図12は本実施形態における記憶装置A10の各種データD1のデータ構成である。各種データD1は、複数の3D-CADデータD100と3D-CADデータ数と配管部品リストD101と配管部品リスト数と解析条件リストD102と部品接続リストD103と部品接続リスト数とシミュレーション結果D104とシミュレーション結果数と旋回強度算出結果D105と旋回強度算出結果数と部品グループリストD106と部品グループの予測モデルD107と旋回強度推定結果D108と旋回強度推定結果数と部品カテゴリ番号とその他の変数から成り立っている。
【0057】
3D-CADデータD100は、配管系統の形状を点とメッシュで表現したデータのことである。配管部品リストD101は、配管系統を構成する各部品の種類や仕様などが全ての部品について列挙されたリストのことである。解析条件リストD102は、3D流体シミュレーションを実行する際に必要な解析条件やシミュレーションモデルを記載したものである。部品接続リストD103は、配管系統を構成する部品の接続関係を列挙したリストのことである。シミュレーション結果D104は、3D流体シミュレーションを実行した結果、メッシュや点毎に得られる圧力や流速などの物理量を記載したものである。旋回強度算出結果D105は、シミュレーション結果D104から管軸座標と旋回強度を算出した結果を格納したものである。旋回強度推定結果D108は、旋回強度簡易推定処理により管軸座標における旋回強度を推定した結果を格納した物で有り、旋回強度算出結果D105とデータ構造は基本的に同じである。部品グループリストD106は、予測モデルを適用する部品グループを作成した結果を格納したものである。部品グループの予測モデルは、各部品グループに関する旋回強度の予測モデルを格納したものである。部品カテゴリ番号は、部品グループを抽出する際に現在のカテゴリ番号を格納したものである。
【0058】
図13は本実施形態における3D-CADデータD100と配管部品リストD101のデータ構成である。3D-CADデータD100は、3D-CADデータIDとメッシュ内セル数とメッシュ内点数と複数の点情報と複数のメッシュ情報から成り立っている。
【0059】
3D-CADデータIDは複数ある3D-CADデータを識別するためのものである。データ内点数は3D-CADデータの対象となる配管系統の形状を構成する点の数である。データ内メッシュ数は、3D-CADデータの対象となる配管系統を複数のメッシュに分割したときのメッシュの数である。
【0060】
点情報は3D-CADデータの対象となる配管系統の形状を構成する点の一つの情報であり、点IDとX座標とY座標とZ座標から成り立っている。点IDは複数ある点を識別するためのものである。X座標とY座標とZ座標は、3D-CADデータ内における点の位置の座標である。
【0061】
メッシュ情報は配管系統を複数のメッシュに分割したときのメッシュに関する情報であり、メッシュ構成点数とメッシュIDと複数の点IDから成り立っている。メッシュ構成点数はメッシュを構成する点の数である。メッシュIDは複数あるメッシュを識別するためのものである。複数の点IDはメッシュを構成する点のIDを示したものであり、点情報における点IDに対応する。
【0062】
配管部品リストD101は配管部品リストIDと配管部品数と複数の配管部品情報D1010と3D-CADデータIDから成り立っている。配管部品リストIDは複数ある配管部品リストを識別するためのものである。配管部品数は配管系統を構成する部品の数である。配管部品情報D1010は配管を構成する部品の仕様や種類を記載した情報である。3D-CADデータIDは配管部品リストIDの対象とする配管系統の3D-CADデータのIDを示したものであり、先述の3D-CADデータにおける3D-CADデータIDに対応する。
【0063】
図13は本実施形態における配管部品情報D1010のデータ構成である。配管部品情報D1010は、部品種類と部品名称と始点数と始点数分の始点情報と終点数と終点数分の終点情報と経由点数と経由点数分の経由点情報と代表点情報と入口側外径と出口側外径と経由点外径と入口側曲率半径と出口側曲率半径と経由点曲率半径と入口側角度と出口側角度と経由点角度と入口側管軸長さと出口側管軸長さと経由点管軸長さと部品全体の管軸長さと部品IDから成り立っている。
【0064】
部品種類は対象となる部品の種類、例えば直管やエルボやT字管やS字管や流量計やポンプやバルブなどの種類を番号で示したものである。部品名称は対象となる部品の名称であり、単に直管と示す場合もあれば部品の型番などを示す場合もある。始点数は部品の最上流断面の中心点の数を示したものであり、例えば入口が二つあるT字管の場合は始点数が2となる。終点数は部品の最下流断面の中心点の数を示したものであり、例えば出口が3つあるT字管の場合は始点数が3となる。経由点数は配管系統の流路の数が入口と出口の数よりも多かったり少なかったり、またはS字管のように途中で曲げ角度が変化する場合、流路の代表となる断面における中心点の数を示したものであり、例えば入口が2つで出口が1つで流路が3つある変則的な管の場合は経由点数が3となる。また入口が3つで出口が2つで流路が1つに集約する箇所のある変則的な管の場合は経由点数が1となる。S字管の場合は入口と出口がそれぞれ1つずつであり流路数が1つでも曲がり角度が上流と下流で2種類あるため経由点数が2となる。
【0065】
始点情報は部品の最上流断面の中心点、終点情報は部品の最下流断面の中心点、経由点情報は部品の流路の代表となる断面における中心点の情報をそれぞれ示したものであり、それぞれ始終点IDとX座標とY座標とZ座標と外径と曲率半径と曲げ角度と管軸長さから成り立っている。始終点IDは複数ある始点情報や終点情報や経由点情報を識別するためのものである。X座標とY座標とZ座標は、各断面の中心点の3次元座標を示したものである。外径は各断面の半径であり、曲率半径はエルボなどの部品において断面から上流または下流における断面に対してカーブを描く場合、そのカーブの曲率半径を示したものである。曲げ角度はエルボなどの部品において流路が曲がっている場合、流路の曲がっている角度を示したものである。管軸座標は流路の管軸方向における断面の座標を示したものであり、第一の始点の管軸位置を0として計算する。例えば流路が二つ以上ある場合は第一の始点から分岐となる経由点までの管軸座標を求め、分岐へとつながる始点の管軸座標については直近の経由点の管軸座標を基点として計算する。分岐となる経由点までの管軸座標が3.0(m)、分岐へとつながる始点から分岐となる経由点までの距離が5.0 (m)の場合、分岐へとつながる始点の管軸座標は3.0-5.0=-2.0(m)となる。
【0066】
代表点情報は部品の代表点となる位置、例えば直管なら部品の最上流と最下流を結んだ線の中点にある断面の中心位置を示したものであり、X座標とY座標とZ座標から成り立っている。部品全体の管軸長さは部品全体の管軸方向における長さを示したものであり、具体的には終点情報における管軸座標の最大値を示したものとなる。部品IDは数ある部品を識別するためのものである。
【0067】
図15は本実施形態における解析条件リストD102のデータ構成を示したものである。解析条件リストD102は、複数のシミュレーション条件とシミュレーション条件数と複数のシミュレーションモデルとシミュレーションモデル数と複数のシミュレーション条件定数情報と複数のシミュレーションモデル定数情報から成り立つ。
【0068】
シミュレーション条件は複数のシミュレーション条件定数の集合体であり、シミュレーション条件IDとシミュレーション条件名称と複数のシミュレーション条件定数から成り立つ。シミュレーション条件IDは複数あるシミュレーション条件における識別子である。シミュレーション条件名称はシミュレーション条件の名称を記載した文字列である。シミュレーション条件定数とはシミュレーション条件を表す物理定数群の一つであり、IDと定数から成り立つ。IDは複数あるシミュレーション条件定数の識別子であり、値はその識別子が示す物理定数の値を示す。例えばIDが管内圧力の初期値を示していた場合、値には管内圧力の初期値を示す具体的な数値が入る。
【0069】
シミュレーションモデルは複数のシミュレーションモデル定数の集合体であり、シミュレーションモデルIDとシミュレーションモデル名称と複数のシミュレーションモデル定数から成り立つ。シミュレーションモデルIDは複数あるシミュレーションモデルにおける識別子である。シミュレーションモデル名称はシミュレーションモデルの名称を記載した文字列である。シミュレーションモデル定数とはシミュレーションモデルを表す数式の係数群の一つであり、IDと定数から成り立つ。IDは複数あるシミュレーションモデル定数の識別子であり、値はその識別子が示す数式の係数の値を示す。例えばIDが次時刻における圧力に対する現時刻の圧力の影響係数を示していた場合、値には該影響係数を示す具体的な数値が入る。
【0070】
シミュレーション条件定数情報とは、シミュレーション条件定数においてどのIDにどの物理定数が入っているかを示したものであり、IDと名称と定数名から成り立つ。IDは複数あるシミュレーション条件定数の識別子であり、名称はシミュレーション条件定数の名称である。定数名はシミュレーション計算プログラムにおけるシミュレーション条件定数の定数名である。例えばIDが管内圧力の初期値を示していた場合、名称には「管内圧力初期値」の文字列が入り、変数名にはシミュレーション計算プログラムで使用している管内圧力初期値の定数名が入る。
【0071】
シミュレーションモデル定数情報とは、シミュレーションモデル定数においてどのIDにどの数式の係数が入っているかを示したものであり、IDと名称と定数名から成り立つ。IDは複数あるシミュレーションモデル定数の識別子であり、名称はシミュレーションモデル定数の名称である。定数名はシミュレーション計算プログラムにおけるシミュレーションモデル定数の定数名である。例えばIDが次時刻における圧力に対する現時刻の圧力の影響係数を示していた場合、名称には「次時刻に対する現時刻の圧力の影響係数」が入り、変数名にはシミュレーション計算プログラムで使用している該影響係数の定数名が入る。
【0072】
図16は本実施形態における部品接続リストD103のデータ構成を示したものである。部品接続リストは部品接続リストIDとノード数とノード数分のノード情報とリンク数とリンク数分のリンク情報と配管部品リストから成り立っている。部品接続リストIDは複数ある部品接続リストを識別するためのものである。ノード数は部品の最上流または最下流の断面となるノードが配管系統にいくつあるかを示したものである。
【0073】
ノード情報は部品の最上流または最下流の断面となるノードに関する情報であり、ノードIDとX座標とY座標とZ座標と接続リンクID1と接続リンクID2とその他情報から成り立っている。ノードIDは複数あるノードを識別するためのものである。X座標とY座標とZ座標はノードの位置を示したものである。接続リンクID1と接続リンクID2は、ノード上で接続される二つのリンクのIDを示したものであり、後述のリンク情報におけるリンクIDと対応する。その他情報はノードに関するその他の情報であり、配管部品情報内にある始点情報や終点情報の中身をそのままコピーしても構わないものとする。
【0074】
リンク数は部品そのものをリンクとみなしたときリンクが配管系統にいくつあるかを示したものである。リンク情報は部品そのものをリンクとみなしたときリンクに関する情報であり、リンクIDと代表点X座標と代表点Y座標と代表点Z座標と部品IDと部品全体の管軸長さと接続ノード数と接続ノード数分の接続ノードIDと部品グループIDとその他情報から成り立っている。
【0075】
リンクIDは複数あるリンクを識別するためのものである。代表点X座標と代表点Y座標と代表点Z座標は、部品の代表点の位置を示すものである。部品IDはどの配管部品に対応するかを示したものであり、配管部品情報における部品IDと対応する。部品全体の管軸長さは部品の管軸方向における長さを示したものであり、管軸座標を計算する際に使用する。接続ノード数はリンクの所有するノードの数を示したものである。接続ノードIDはリンクの所有するノードのIDを示したものであり、ノード情報におけるノードIDに対応する。部品グループIDはリンクがどの部品グループに所属するかを示したものであり、後述の部品グループリストにおける部品グループIDに対応する。配管部品リストIDは部品接続リストがどの配管部品リストD101を対象としているかを示したものであり、配管部品リストD101における配管部品リストIDに対応する。
【0076】
図17は本実施形態におけるシミュレーション結果D104のデータ構成を示したものである。シミュレーション結果D104はシミュレーション結果IDと3D-CADデータIDと解析条件IDと部品接続リストIDと全メッシュ点総数とシミュレーションモデルIDと全メッシュ総数と全時間サンプル数と配管部品リストIDと単位時間あたりのシミュレーション結果から成り立つ。
【0077】
シミュレーション結果IDは複数あるシミュレーション結果D104を識別するためのものである。3D-CADデータIDはシミュレーションにどの3D-CADデータD100を使用したかを示したものであり、3D-CADデータD100における3D-CADデータIDに対応する。解析条件IDはシミュレーションにどの解析条件を用いたかを示したものであり、解析条件における解析条件IDに対応する。部品接続リストIDはシミュレーションに使用した配管部品リストD101から生成された部品接続リストD103を示したものであり、部品接続リストD103における部品接続リストに対応する。全メッシュ点総数はシミュレーションに使用した3D-CADデータD100において全メッシュを構成する全ての点数の数を示したものであり、原則として3D-CADデータのデータ内点数と等しい。シミュレーションモデルIDはシミュレーションにどのシミュレーションモデルを用いたかを示したものであり、シミュレーションモデルにおけるシミュレーションモデルIDに対応する。全メッシュ総数はシミュレーションに使用した3D-CADデータD100における全メッシュ総数を示したものであり、原則として3D-CADデータのデータ内メッシュ数と等しい。全時間サンプル数はシミュレーション結果における時間サンプル数を示したものであり、例えばサンプリング周期0.1(s)、シミュレーション時間30(s)とした場合、全時間サンプル数はシミュレーション時間をサンプリング周期で割ったもの、30/0.1=300となる。配管部品リストIDはシミュレーションにどの配管部品リストD101を使用したかを示したものであり、配管部品リストD101における配管部品リストIDに対応する。
【0078】
単位時間あたりのシミュレーション結果は1サンプルにおけるシミュレーション結果を示したものであり、時間IDとシミュレーション上の時刻と全メッシュ点総数分の点単位物理量と全メッシュ総数分のメッシュ単位物理量から成り立つ。
【0079】
時間IDは数ある単位時間あたりのシミュレーション結果を識別するためのものである。シミュレーション上の時刻は単位時間あたりのシミュレーション結果がシミュレーション上にてどの時刻のものであるかを示したものである。
【0080】
点単位物理量は配管上のメッシュを構成する点の座標において物理量がどの値を示すかを表したものである。点単位物理量は、点IDと物理量種類数と物理量種類数分の物理量とから成り立つ。点IDは、どの点情報が点単位物理量と対応するか紐付けるためのIDである。物理量は点情報の示す座標における物理量を示したものであり、次元数と次元数分の物理量要素から成り立つ。例えば管内圧力のスカラ量を示す物理量であれば次元数は1であり物理量要素には管内圧力のスカラ量の値が入る。一方、流速の3次元ベクトル値を示す物理量であれば次元数は3であり、3つの物理量要素にはそれぞれ流速のX軸方向成分、Y軸方向成分、Z軸方向成分が入る。
【0081】
メッシュ単位物理量は配管上のメッシュの中心座標において物理量がどの値を示すかを表したものである。メッシュ単位物理量は、メッシュIDと物理量種類数と物理量種類数分の物理量から成り立つ。メッシュIDは、どのメッシュが点単位物理量と対応するか紐付けるためのIDである。物理量はメッシュの代表座標における物理量を示したものであり、次元数と次元数分の物理量要素から成り立つ。
【0082】
図18は本実施形態における旋回強度算出結果または旋回強度推定結果D108のデータ構成を示したものである。旋回強度算出結果D105は、旋回強度算出結果IDと3D-CADデータIDとシミュレーション結果IDと配管部品リストIDと解析条件IDと全時間サンプル数と管軸座標数とシミュレーションモデルIDと部品接続リストIDと、全時間サンプル数分の単位時間あたりの旋回強度算出結果と、管軸座標数分の管軸座標あたりの旋回強度算出結果から成り立っている。なお旋回強度推定結果は旋回強度算出結果からシミュレーション結果IDと全時間サンプル数と単位時間あたりの旋回強度算出結果を除いたものとなる。
【0083】
旋回強度算出結果IDは、数ある旋回強度算出結果D105を識別するためのものである。3D-CADデータIDは、どの3D-CADデータD100を用いて対象となる旋回強度算出結果D105を算出したかを示したものであり、3D-CADデータD100における3D-CADデータIDに対応する。シミュレーション結果IDはどのシミュレーション結果D104から対象となる旋回強度算出結果D105を算出したかを示したものであり、シミュレーション結果D104におけるシミュレーション結果IDに対応する。配管部品リストIDは旋回強度の算出にどの配管部品リストD101を用いたかを示したものであり、配管部品リストD101における配管部品リストIDに対応する。解析条件IDはシミュレーションにどの解析条件を用いたかを示したものであり、解析条件における解析条件IDに対応する。全時間サンプル数はシミュレーション結果における時間サンプル数を示したものである。管軸座標数は管軸座標毎の旋回強度を算出する際に管軸座標をどの点数分だけ取ったかを示したものであり、たとえば管軸方向長さ20(m)ある配管系統について管軸座標0.5(m)毎に旋回強度を算出した場合は20÷0.5=40となる。シミュレーションモデルIDはシミュレーションにどのシミュレーションモデルを用いたかを示したものであり、シミュレーションモデルにおけるシミュレーションモデルIDに対応する。部品接続リストIDはシミュレーションに使用した配管部品リストD101から生成された部品接続リストD103を示したものであり、部品接続リストD103における部品接続リストに対応する。
【0084】
単位時間あたりの旋回強度算出結果は、シミュレーション結果IDで示されるシミュレーション結果D104のうち単位時間あたりのシミュレーション結果から算出した旋回強度に関する情報について示したものである。単位時間あたりの旋回強度算出結果は、時間IDとシミュレーション上の時刻と、管軸座標数分の管軸座標あたりの旋回強度から成り立っている。時間IDは数ある単位時間あたりのシミュレーション結果を識別するためのものである。シミュレーション上の時刻は単位時間あたりのシミュレーション結果がシミュレーション上にてどの時刻のものであるかを示したものである。
【0085】
管軸座標あたりの旋回強度は、時間IDと紐付けられたシミュレーション上の時刻および特定の管軸座標における旋回強度を示したものであり、管軸座標IDと管軸座標と部品IDと旋回強度から成り立っている。管軸座標IDは数ある管軸座標を識別するためのものである。管軸座標は実際の管軸座標の値、例えば0.2(m)や2.0(m)などの値を示したものである。部品IDはその管軸座標上に存在する部品のIDを示したものであり、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。
【0086】
管軸座標あたりの旋回強度算出結果は、特定の管軸座標における旋回強度の時間に関する統計量を示したものであり、管軸座標IDと管軸座標と部品IDと旋回強度時間平均と旋回強度標準偏差と点の色と点の大きさと点の形と線の色と線の太さと線の本数と実線または点線を示す情報から成り立っている。
【0087】
管軸座標IDは数ある管軸座標を識別するためのものである。管軸座標は実際の管軸座標の値を示したものである。部品IDはその管軸座標上に存在する部品のIDを示したものであり、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。以上のIDは単位時間あたりの旋回強度算出結果と共通である。
【0088】
旋回強度時間平均は特定の管軸座標において、単位時間あたりの旋回強度について時間に関して平均値をとったものである。旋回強度標準偏差は特定の管軸座標において、単位時間あたりの旋回強度について時間に関して標準偏差をとったものである。
【0089】
点の色と大きさと形は管軸座標における旋回強度のグラフを点で描画する際に指定する色および大きさおよび形のことである。また線の色と太さと本数と実線または点線を示す情報は、管軸座標における旋回強度のグラフの線または配管系統の3次元形状を描画する際に指定する色および太さおよび本数および実線または点線を示す情報である。
【0090】
図19は本実施形態における部品グループリストD106のデータ構成を示したものである。部品グループリストD106は、部品数と部品数分の部品情報と先頭部品数と先頭部品数分の先頭部品IDと終端部品数と終端部品IDと部品グループ数と部品グルース数分の部品グループ情報と先頭部品グループ数と先頭部品グループ数分の先頭部員グループIDと終端部品グループ数と終端部品グループ数分の終端部品グループIDから成り立っている。
【0091】
部品数は部品グループリストの対象とする配管系統内にある部品の数を示したものである。部品情報は部品がどの部品グループIDに属しているかを示したものであり、部品IDとリンクIDと前方部品数と前方部品数分の前方部品IDと後方部品数と後方部品数分の後方部品IDと部品グループIDから成り立っている。
【0092】
部品IDは配管系統においてどの部品の情報を指すかを示したものであり、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。リンクIDは対象となる部品がどのリンクIDに対応するかを示したものであり、部品接続リストD103におけるリンク情報内のリンクIDに対応する。前方部品数は対象となる部品の下流側に隣接する部品の数を示している。前方部品IDは対象となる部品の下流側に隣接する部品IDを示しており、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。後方部品数は対象となる部品の上流側に隣接する部品の数を示している。後方部品IDは対象となる部品の上流側に隣接する部品IDを示しており、配管部品情報D1010にける部品IDに対応する。部品グループIDは、対象となる部品がどの部品グループに属するかを示したものであり、後述の部品グループ情報における部品グループIDに対応する。
【0093】
先頭部品数は、配管系統において最上流となる部品の数を示したものである。先頭部品IDは、配管系統において最上流となる部品のIDを示したものであり、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。終端部品数は、配管系統において最下流となる部品の数を示したものである。終端部品IDは、配管系統において最下流となる部品のIDを示したものであり、配管部品情報D1010における部品IDに対応する。
【0094】
部品グループ数は部品グループリストの対象となる配管系統において部品グループがいくつできているかを示したものである。部品グループ情報は部品グループリストの対象となる配管部品をグループ毎にまとめたものの情報である。部品グループ情報は、部品グループIDと部品数と部品数分の部品IDと予測モデルIDと親部品グループ数と親部品グループ数分の親部品グループIDと上流部品グループ数と上流部品グループ数分の上流部品グループIDと下流部品グループ数と下流部品グループ数分の下流部品グループIDと点の色と点の大きさと点の形と線の色と線の太さと線の本数と実線または点線のどちらかを示す情報から成り立っている。
【0095】
部品グループIDは部品グループリスト内に数ある部品グループ情報を識別するためのものである。部品数は部品グループを構成する部品の数である。部品IDは部品グループを構成する部品の数であり、部品情報における部品IDや配管部品情報D1010における部品IDに対応する。予測モデルIDは対象となる部品グループに対応する予測モデルのIDを示したものであり、後述の部品グループの予測モデルD107における予測モデルIDに対応する。
【0096】
親部品グループ数は配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの親となる部品グループの数を示している。親部品グループは基本的に1であるが、T字管などにより分岐が発生した場合のことを考えて複数にしている。親部品グループIDは配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの親となる部品グループIDを示している。上流部品グループ数は配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの子となる部品グループのうち上流側に位置するものの数を示している。上流部品グループIDは配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの子となる部品グループIDのうち上流側に位置するものを示している。下流部品グループ数は配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの子となる部品グループのうち下流側に位置するものの数を示している。下流部品グループIDは配管系統における部品グループのなす二分木構造において、対象となる部品グループの子となる部品グループIDのうち下流側に位置するものを示している。
【0097】
点の色と大きさと形は管軸座標における旋回強度のグラフを点で描画する際に指定する色および大きさおよび形のことであり、旋回強度算出結果D105における点の色と大きさと形とリンクしている。また線の色と太さと本数と実線または点線を示す情報は、管軸座標における旋回強度のグラフの線または配管系統の3次元形状を描画する際に指定する色および太さおよび本数および実線または点線を示す情報であり、旋回強度算出結果D105における線の色と太さと本数と実線または点線を示す情報とリンクしている。
【0098】
先頭部品グループ数は部品グループリストD106の対象となる配管系統において最上流となる部品グループの数を示したものである。先頭部品グループ数は部品グループリストD106の対象となる配管系統において最上流となる部品グループIDを示したものである。終端部品グループ数は部品グループリストD106の対象となる配管系統において最下流となる部品グループの数を示したものである。終端部品グループ数は部品グループリストD106の対象となる配管系統において最下流となる部品グループIDを示したものである。
【0099】
図20は本実施形態における部品グループの予測モデルD107のデータ構成を示したものである。部品グループの予測モデルD107は、予測モデル数と予測モデル数分の予測モデルから成り立っている。予測モデル数は部品グループの予測モデルD107内にある予測モデルの数である。予測モデルは部品グループ毎にまとめられた、下流旋回強度を推定するためのパラメータテーブルである。予測モデルは予測モデルIDとレイノルズ数と部品数と部品数分の部品種類と入口側情報と出口側情報と経由点数と経由点数分の経由点情報と直管部分長さと管軸座標数と入口側旋回強度と部品グループ全体の管軸長さと出口側旋回強度時間平均と出口側旋回強度標準偏差と管軸座標数から2を引いた数分の中間旋回強度情報から成り立っている。
【0100】
予測モデルIDは数ある予測モデルを識別するためのものである。レイノルズ数は代表長さと動粘性係数と代表流速から算出される流体の特性に関する無次元量である。部品数は予測モデルの対象となる部品グループを構成する部品の数である。部品種類は予測モデルの対象となる部品グループを構成する部品の種類であり、配管部品情報D1010の部品種類に対応する。入口側情報と出口側情報と経由点情報は、それぞれ部品グループの最上流と最下流と経由点の外径と角度と管軸座標に関する情報である。外径は最上流または最下流または経由点の半径を示したものである。角度は最上流または最下流または経由点の進路が何度旋回するかを示したものである。管軸長さは最上流または最下流または経由点の管軸座標を示したものであり、第一の入口側情報における管軸座標を基準とする。
【0101】
直管部分長さは予測モデルの対象となる部品グループの直管長さを示したものである。管軸座標数は対象となる予測モデルの示す旋回強度において管軸座標をどの点数分だけ取ったかを示したものであり、中間旋回強度情報の数に入口側旋回強度と出口側旋回強度の2を足したものとなっている。部品グループ全体の管軸長さは、部品グループ全体の管軸方向における長さを示したものである。入口側旋回強度は予測モデルの前提とする入口側旋回強度を示したものである。出口側旋回強度時間平均は、予測モデルの前提とする条件、具体的には入口側情報と出口側情報と経由点情報とレイノルズ数と部品種類と直管部分長さと部品グループ全体の管軸長さと入口側旋回強度における出口側旋回強度の時間平均の実績値または推定値を示したものである。出口側旋回強度標準偏差は、予測モデルの前提とする条件における出口側旋回強度の時間に関する標準偏差の実績値または推定値を示したものである。
【0102】
中間旋回強度情報は管軸座標IDと管軸座標と旋回強度時間平均と旋回強度標準偏差から成り立っている。管軸座標IDは予測モデルにおいて数ある管軸座標を識別するためのものである。管軸座標は管軸座標IDに対応した管軸座標の実際の値を示したものである。旋回強度時間平均は予測モデルの前提とする条件および管軸座標における旋回強度の時間平均を示したものである。また旋回強度標準偏差は予測モデルの前提とする条件および管軸座標における旋回強度の時間に関する標準偏差を示したものである。
【0103】
図21は本実施形態における部品グループ判定の例を示した表である。表の列は左から順に部品ID、部品種類、部品の向き、管軸方向長さ、角度、Step1~4の認識結果、最終的な部品の色を示している。なおエルボとT字管の向きは90度のみに統一し、旋回強度上昇具合については管軸長さだけを用いることとした。
【0104】
まずStep1として直管をそれ以外の部品で挟んだ組合せのうち、流路が一平面に収まらない組合せについて管軸長さを求める。直管#4、直管#5、直管#6、直管#7、直管#8、または直管#13を挟んだ組合せが一平面に収まらない。この中で直管#8を挟んだ組合せが最も管軸長さが短いため、Step1では直管#8をバルブ#1とエルボ#6で挟んだ組合せを部品グループとして選択し、部品IDのうち1から13までを上流側、17から33までを下流側とし、それぞれに対してStep2で再帰的処理を実行する。Step2ではまだ立体配置の組合せが上流側にも下流側にも残っているため、それぞれにおいて立体配置の組合せを抽出して管軸長さを求める。このうち上流側では直管#4、直管#5、または直管#6を挟んだ組合せが該当し、下流側では直管#13を挟んだ組合せが該当する。下流側では自動的に直管#18をエルボ#9とエルボ#10で挟んだ組合せを部品グループとして抽出し、本部品グループを境として部品ID17から23までを上流側、部品ID27から33までを下流側とし、それぞれに対してStep3で再帰的処理を実行する。一方先述のStep2で抽出した部品グループの上流側では管軸長さが最も短い直管#5をT字#1とエルボ#4で挟んだ組合せを部品グループとして選択し、部品ID1から7までを上流側、部品ID11から13までを下流側とし、それぞれに対してStep3で再帰的処理を実行する。
【0105】
Step3では、Step2の上流側でかつStep3の上流側、Step2の上流側でかつStep3の下流側、Step3の下流側でかつStep2の上流側、Step2の下流側でかつStep3の下流側のいずれにおいても、直管をそれ以外の部品で挟んだ組合せの流路が一平面に収まるため、カテゴリ番号を1進めて流路が一平面に収まる組合せを部品グループとして抽出する。Step2の上流側でかつStep3の上流側では、直管#2または直管#3を含む組合せが該当するためそれぞれ管軸長さを求め、最も管軸長さの短い組合せである直管#3をエルボ#2とエルボ#3で挟んだ組合せを部品グループとして選択し、本部品グループを境に他の部品を上流側と下流側に分けてStep4へ進む。Step2の上流側でかつStep3の下流側には該当がないため、カテゴリ番号を1進めて直管とそれ以外の組合せを部品グループとして抽出する。直管とそれ以外の組合せも該当がないため、カテゴリを1進めてStep4へ進む。
【0106】
Step3の下流側でかつStep2の上流側では、直管#10または直管#11を含む組合せが該当するため、管軸距離の最も短い直管#11をT字管#2とエルボ#8で挟んだ組合せを部品グループとして抽出し、本部品グループを境に他の部品を上流側と下流側に分けてStep4を再帰的に実行する。Step2の下流側でかつStep3の下流側では、直管#15をエルボ#11とエルボ#12で挟んだ組合せしか該当しないため、自動的に本組合せを部品グループとして選択し、本部品グループを境に他の部品を上流側と下流側に分けてStep4へ進む。
【0107】
Step4においてはどの支流でも直管をそれ以外の部品で挟んだ組合せが存在しないため、カテゴリ番号を1進めて直管とそれ以外の部品の組合せを部品グループとして抽出する。Step2の上流側でかつStep3の上流側でかつStep4の上流側では直管#1と直管#2が該当するため、このうち管軸長さの短い直管#1とエルボ#1の組合せを部品グループとして選択し、残る直管#2単体を部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。またStep2の上流側でかつStep3の上流側でかつStep4の下流側には直管#4しか残ってないため、直管#4を部品グループとして選択してこの支流の処理を終了する。Step2の上流側でかつStep3の下流側では、直管#6または直管#7との組合せが該当するため、このうち管軸長さの短い直管#6とエルボ#5の組合せを部品グループとして選択し、残る直管#7単体を部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。
【0108】
Step2の下流側でかつStep3の上流側でかつStep4の上流側では、直管#9または直管#10との組合せが該当するため、管軸長さの短いエルボ#7と直管#10の組合せを部品グループとして選択し、残る直管#9単体を部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。Step2の下流側でかつStep3の上流側でかつStep4の下流側では、直管#12しか残っていないため直管#12単体を部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。Step2の下流側でかつStep3の下流側でかつStep4の上流側でも、直管#14しか残っていないため直管#12単体を部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。Step2の下流側でかつStep3の下流側でかつStep4の下流側では、直管#16と直管#17と直管#18が連続しているので、これらをまとめて部品グループとして選択しこの支流の処理を終了する。
【0109】
それぞれ部品グループに分けられた部品を、部品グループ毎に色を設定することにより部品グループ別に色を設定することとする。
【0110】
図22は本実施形態におけるディスプレイへの画面表示例である。ディスプレイへの画面表示は、管軸座標-物理統計量グラフ出力画面G1と配管系統3Dデータ出力画面G2から成り立つ。管軸座標-物理統計量グラフ出力画面G1は、管軸座標に対する旋回強度のグラフを表示したものであり、上段に上流部分、下段に下流部分を示している。また横軸に管軸座標を、縦軸に旋回強度の時間平均を示している。部品グループ毎に色分けしており、部品の領域に部品名称を記載している。
【0111】
配管系統3Dデータ出力画面G2は、配管系統の三次元形状を特定視点から二次元に投影して描画したものであり、各部品を色分けして描画している。また各部品近辺に部品名称の文字列と流れ方向の矢印を描画している。
【0112】
本実施形態では、配管系統の旋回強度を推定する旋回評価支援装置において、前記配管系統を構成する複数の部品を1つまたは連続する2以上の部品からなるグループに分割し、前記グループの最上流位置における旋回強度、前記グループを構成する部品の仕様、および解析条件に基づいて、前記最上流位置より下流でかつ前記グループの最下流位置より上流の少なくとも1つの位置における旋回強度を算出する演算装置A1と、前記旋回強度を前記グループごとに表示する表示装置A2とを備える。
【0113】
以上のように構成した本実施形態によれば、配管系統を構成する複数の部品を1つまたは連続する2以上の部品からなるグループに分割し、1または2以上の連続する部品からなるグループごとに旋回強度を推定することにより、旋回強度の推定精度を向上できる。さらに、配管系統をどのようにグループ分けしたかを視覚的に確認することができるため、三次元流体解析が必要な配管箇所とそうでない配管箇所とを正確に判別することが可能となる。
【0114】
また、本実施形態における演算装置A1は、前記複数の部品のうち、1つまたは2以上の連続する直管を直管以外の部品で挟んだ第1の部品群を優先的にグループ化する。これにより、旋回強度が上昇すると予想される部品群が優先的にグループ化されるため、旋回強度の推定精度をさらに向上させることが可能となる。
【0115】
また、本実施形態における演算装置A1は、前記第1の部品群のうち、管軸位置が同一平面内に収まらない第2の部品群を優先的にグループ化する。これにより、旋回強度がより上昇すると予想される部品群が優先的にグループ化されるため、旋回強度の推定精度をさらに向上させることが可能となる。
【0116】
また、本実施形態における演算装置A1は、前記第2の部品群のうち、管軸長さが最も小さい第3の部品群を優先的にグループ化する。これにより、旋回強度がより上昇すると予想される部品群が優先的にグループ化されるため、旋回強度の推定精度をさらに向上させることが可能となる。
【0117】
また、本実施形態における前記配管系統を構成する部品の仕様には、口径、最上流の管断面中心位置、最下流の管断面中心位置、曲率半径、および流路の曲がり角度が含まれる。これにより、口径、最上流の管断面中心位置、最下流の管断面中心位置、曲率半径、および流路の曲がり角度に基づいて旋回強度を評価することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態における表示装置A2は、グループごとに旋回強度の描画方法を変更する。これにより、グループごとの旋回強度を視覚的に確認することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態における表示装置A2は、前記配管系統を構成する各部品を描画し、前記グループごとに部品の塗りつぶし方法を変更する。これにより、配管系統がどのようにグループ分けされたかを視覚的に確認することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態における前記旋回強度は、スワール数の時間平均で表される。これにより、スワール数の時間平均で旋回強度を評価することが可能となる。
【0121】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0122】
A1…旋回評価支援部(演算装置)、A10…記憶装置、A2…表示出力部(表示装置)、A3…操作入力部、B1…3D-CADデータ・配管部品リスト・解析条件保存部、B2…配管部品関係認識部、B20…ノード・リンク抽出部、B21…ノード・リンク接続部、B3…3D流体解析部、B30…3Dシミュレーション部、B31…旋回強度算出部、B4…旋回強度簡易推定部、B40…部品グループ分割部、B400…立体/平面/曲線/単品カテゴリ設定部、B401…旋回強度上昇部品グループ抽出部、B402…上流・下流分離部、B403…部品グループリスト作成部、B41…予測モデル保存部、B42…予測モデル適用部、B43…詳細解析実行判定部、B5…可視化部、B50…部品色指定部、B51…グラフ出力部、B52…3D形状出力部、D1…各種データ、D100…3D-CADデータ、D101…配管部品リスト、D1010…配管部品情報、D102…解析条件リスト、D103…部品接続リスト、D104…シミュレーション結果、D105…旋回強度算出結果、D106…部品グループリスト、D107…部品グループの予測モデル、D108…旋回強度推定結果、F2…部品接続リスト作成処理、F3…3D流体解析処理、F4…旋回強度簡易推定処理、F40…部品グループ分割処理、F401…旋回強度最上昇部品グループ抽出処理、F50…部品色指定処理、F51…グラフ出力処理、F52…3D形状出力処理、G1…管軸座標-物理統計量グラフ出力画面、G2…配管系統3Dデータ出力画面。