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特許7436295バッテリーパック、システム、動作状態伝送方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バッテリーパック、システム、動作状態伝送方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240214BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240214BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 P
H02J7/00 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020096282
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021191161
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】河野 徹
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-314156(JP,A)
【文献】特開2006-302733(JP,A)
【文献】特開2010-263705(JP,A)
【文献】特開2014-217908(JP,A)
【文献】特開2015-130725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックであって、
電力出力回路を備え、
前記機器には前記電力出力回路を介して電力が供給され、
前記電力出力回路は、
前記バッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力するように構成され、
前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力するように構成され、
前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、
前記第2電力は、電圧の値が0より大きく且つ前記第1電力の電圧の値より小さく、前記機器が動作しない大きさの電力である、
もの。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリーパックにおいて、
判断部と、信号出力回路とをさらに備え、
前記判断部は、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成され、
前記信号出力回路は、前記判断された異常の種別に基づいて、前記第2電力の第2電圧値を変動させるように構成される、もの。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリーパックにおいて、
電力測定部をさらに備え、
前記電力測定部は、前記第1電力を測定可能に構成され、
前記判断部は、前記電力測定部により測定された前記第1電力の電圧値又は電流値に基づいて、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成される、もの。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のバッテリーパックにおいて、
受付部をさらに備え、
前記受付部は、測定機器の出力値を受付可能に構成され、
前記判断部は、前記受付部により受け付けられた前記出力値に基づいて、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成される、もの。
【請求項5】
請求項2~請求項4の何れか1つに記載のバッテリーパックにおいて、
履歴保存部をさらに備え、
前記判断部は、前記動作状態の異常の発生の有無を判断可能に構成され、
前記履歴保存部は、前記判断部により前記異常が発生したと判断された場合、前記異常が発生したと判断された時刻及び前記異常が発生した時点における前記動作状態を履歴として保存可能に構成される、もの。
【請求項6】
請求項2~請求項5の何れか1つに記載のバッテリーパックにおいて、
二次電池をさらに備え、
前記二次電池は、前記バッテリーパックに電力を供給可能に構成され、
前記信号出力回路は、前記二次電池の残量が所定の閾値以下である場合、前記第2電圧値を変動させるように構成される、もの。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載のバッテリーパックと、前記機器とを備え、
これらが前記バッテリーパックの有する第1接続端子及び前記機器の有する第2接続端子を通じて前記第1電力及び前記第2電力を前記機器に供給可能に構成され、
前記機器は、
前記第1電力に基づいて動作し、
前記第2電力に基づいて制御されるように構成される、もの。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記機器は、制御部と、動作部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記第2電力の第2電圧値の変動値を識別し、
識別した前記変動値に基づき、前記第2電力によって前記機器を制御可能に構成され、
前記動作部は、
少なくとも前記第1電力が入力され、
入力された前記第1電力によって動作可能に構成される、もの。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のシステムにおいて、
前記機器は、産業機械製品である、もの。
【請求項10】
接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックの動作状態伝送方法であって、
電力出力ステップを備え、
前記電力出力ステップでは、
前記バッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力し、
前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力し、
前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、
前記第2電力は、電圧の値が0より大きく且つ前記第1電力の電圧の値より小さく、前記機器が動作しない大きさの電力であり、
これにより前記機器に前記バッテリーパックの動作状態を伝送する、方法。
【請求項11】
コンピュータを、電力出力回路を制御する制御部として機能させるプログラムであって、
前記電力出力回路は、接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックに備えられ、当該電力出力回路を介して前記機器に電力が供給され、
前記制御部は、
前記バッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力するように前記電力出力回路を制御し、
前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力するように前記
電力出力回路を制御し、
前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、
前記第2電力は、電圧の値が0より大きく且つ前記第1電力の電圧の値より小さく、前記機器が動作しない大きさの電力である、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック、システム、動作状態伝送方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーパックの動作異常時の通信方式としては、専用の信号線を用いて通信する等の方式が複数存在する。
【0003】
特許文献1には、バッテリーパックの動作異常時の電気信号を、電力供給ラインを介して、電力供給時に送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平06-153409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されている通信方式では、使用前にバッテリーパックと接続機器の適合性を判別する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックであって、電力出力回路を備え、前記電力出力回路は、前記バッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力するように構成され、前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力するように構成され、前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、前記第2電力は、前記機器が動作しない大きさの電力である、ものが提供される。
【0007】
このようなバッテリーパックによれば、バッテリーパックと接続機器の適合性を判別する必要がないため、特定のバッテリーパックに依存せずに接続機器を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】バッテリーパック1及び接続対象の機器10を含むシステム100の模式図である。
図2】バッテリーパック1及び機器10の回路図である。
図3】バッテリー保護回路3が担う機能を示す機能ブロック図である。
図4】バッテリーパック1の出力する第1電力D1及び第2電力D2の電圧値の状態図である。
図5】実施形態に係るバッテリーパック1から機器10への動作状態伝送方法のアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.全体構成
第1章では、本実施形態に係るハードウェア構成について説明する。図1は、バッテリーパック1及び接続対象の機器10を含むシステム100の模式図である。図1に示されるように、システム100は、バッテリーパック1と、接続対象の機器10とを備える。本実施形態では、バッテリーパック1は、接続対象の機器10に電力を供給するものである。バッテリーパック1及び機器10がバッテリーパック1の有する第1接続端子T1及び機器10の有する第2接続端子T2を通じて第1電力D1及び第2電力D2を機器10に供給可能に構成される。これにより、機器10は、第1電力D1に基づいて動作し、第2電力に基づいて制御されるように構成される。システム100は、図1に示されるように、情報処理装置20をさらに備えてもよい。情報処理装置20は、バッテリーパック1の動作状態に関わる情報を、電気通信回線を通じて取得することができる。
【0014】
1.1 バッテリーパック1
図2は、バッテリーパック1及び機器10の回路図である。バッテリーパック1は、電源部2と、バッテリー保護回路3と、記憶部4と、通信部5、電力出力回路6と、電圧変換回路7と、信号出力回路8と、測定部9とを備える。以下、構成要素についてさらに詳述する。
【0015】
1.1.1 電源部2
電源部2は、バッテリーパック1の電力供給源である。電源部2は、例えば、二次電池21により構成することができる。二次電池21は、繰り返し充放電ができる電池(充電式電池)であり、バッテリーパック1に電力を供給可能に構成される。
【0016】
バッテリーパック1の第1接続端子T1は、第1プラス側接続端子T11及び第1マイナス側接続端子T12を有する。バッテリーパック1の充電時は、第1プラス側接続端子T11に充電器のプラス側接続端端子(不図示)を、第1マイナス側接続端子T12に充電器のマイナス側接続端端子(不図示)を接続し、外部の電源からバッテリーパック1に電力が充電される。
【0017】
機器10の第2接続端子T2は、第2プラス側接続端子T21及び第2マイナス側接続端子T22を有する。バッテリーパック1の放電時は、第1プラス側接続端子T11に第2プラス側接続端子T21を、第1マイナス側接続端子T12に第2マイナス側接続端子T22を接続し、バッテリーパック1から機器10に第1電力D1及び第2電力D2を放電する。
【0018】
二次電池21は、例えば、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池であるが、種類は限定されない。また、電源部2が有する二次電池21の数は1つでも複数でもよい。数量は限定されない。
【0019】
1.1.2 バッテリー保護回路3
バッテリー保護回路3は、バッテリーパック1が異常な動作状態となったときに、バッテリーパック1及び機器10を保護する。バッテリー保護回路3は、電源部2、電力出力回路6、信号出力回路8、及び測定部9に接続される。バッテリー保護回路3は、電力出力回路6及び信号出力回路8を制御する。バッテリー保護回路3の動作電源は電源部2から供給される。
【0020】
バッテリー保護回路3は、バッテリーパック1に関連する全体動作の処理又は制御を行う。バッテリー保護回路3は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)を備える。図3は、バッテリー保護回路3が担う機能を示す機能ブロック図である。バッテリー保護回路3は、記憶部4に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、バッテリーパック1に係る種々の機能を実現する。具体的には判断機能、信号通信機能、電力測定機能、受付機能、履歴保存機能、履歴通信機能が該当する。即ち、ソフトウェア(記憶部4に記憶されている)による情報処理がハードウェア(バッテリー保護回路3)によって具体的に実現されることで、判断部31、信号通信部32、電力測定部33、受付部34、履歴保存部35、及び履歴通信部36として実行されうる。
【0021】
(判断部31)
判断部31は、バッテリーパック1の動作状態の異常の発生の有無を判断可能に構成される。さらに、判断部31は、動作状態の異常の種別を判断可能に構成される。ここで、動作状態の異常の種別とは、例えば、過充電状態、過放電状態、バッテリーパック1の充放電時に発生する電圧値及び電流値の異常、並びにバッテリーパック1内の電子機器から発生する熱の異常である。異常の種別は、これらに特定されず、バッテリーパック1の動作状態の異常に該当する全ての事象である。例えば、判断部31が、バッテリーパック1の電圧値、電流値及び電子機器の温度等のデータを取得し、予め記憶部4に記憶されている閾値と比較することにより異常の発生の有無を判断してもよい。
【0022】
判断部31は、後述する電力測定部33により測定された第1電力D1の第1電圧値V1又は電流値に基づいて、動作状態の異常の種別を判断可能に構成される。例えば、判断部31が、バッテリーパック1の電圧値及び電流値のデータを取得し、取得したデータに基づいて、動作状態の異常の種別を判断してもよい。
【0023】
さらに判断部31は、後述する受付部34により受け付けられた測定機器92の出力値に基づいて、動作状態の異常の種別を判断可能に構成される。例えば、判断部31が、バッテリーパック1に搭載された電子機器の温度等のデータを取得し、取得したデータに基づいて、動作状態の異常の種別を判断してもよい。
【0024】
(信号通信部32)
信号通信部32は、バッテリーパック1の動作状態が異常であると判断された場合、異常の種別を信号化する。信号はデジタル電気信号であるため、デジタル-アナログ変換回路(不図示)でアナログ電気信号に変換されて、信号出力回路8に送信される。例えば、電圧異常の場合、電気信号は、オンとオフを一回繰り返す。電子機器の温度異常の場合、電気信号は、オンとオフを二回繰り返す。このようにして信号通信部32は、動作状態の異常の種別が識別できるように信号化する。信号化にあたり、信号通信部32は、オン又はオフの状態にさせる時間を変えて電気信号を識別させてもよい。
【0025】
(電力測定部33)
電力測定部33は、電源部2から出力される第1電力D1を測定可能に構成される。電力測定部33は、第1電力D1の電圧値又は電流値を測定する。具体的には、電力測定部33は、負荷となる抵抗91の前後の電圧を測定し、2点間の電位差を抵抗91の値で割って第1電力D1の電流を測定する。電圧値も同様に電圧測定回路(不図示)によって測定される。電流値及び電圧値はアナログ電気信号であるため、アナログ-デジタル回路(不図示)でデジタル電気信号に変換される。
【0026】
電力測定部33は、第1電力D1の電力値を測定してもよい。バッテリーパック1内に、電力測定回路を設けて、電力値を測定する。かかる電力値はアナログ電気信号であるため、アナログ-デジタル回路(不図示)でデジタル電気信号に変換される。電力値を測定することは、バッテリーパック1の動作状態の異常を検出することのみならず、電源部2が二次電池21である場合にその残量を把握することができる。
【0027】
(受付部34)
受付部34は、測定機器92の出力値を受付可能に構成される。測定機器92の出力値が電圧値又は電流値のアナログ電気信号である場合、出力データはアナログ-デジタル変換回路(不図示)でデジタル電気信号に変換される。受付部34は、デジタル電気信号に変換された出力データを受け付ける。測定機器92は、バッテリーパック1の内部のみならず、バッテリーパック1の外部に備えられてもよい。
【0028】
(履歴保存部35)
履歴保存部35は、判断部31により異常が発生したと判断された場合、異常が発生したと判断された時刻及び異常が発生した時点における動作状態を履歴として保存可能に構成される。換言すると、履歴保存部35は、異常が発生したと判断された時刻及び動作状態の異常の種別を記憶部4に記憶させる。
【0029】
履歴保存部35は、動作状態の異常以外に、二次電池21の残量を記憶部4に履歴として保存してもよい。具体的には、所定のインターバルで、電力測定部33が二次電池21の残量を測定し、測定した時刻と残量を記憶部4に保存する。このように、二次電池21の残量の履歴を保存することで、充電が完了するまでの時間、充電率等を把握することができ、二次電池21の劣化状態を把握することができる。これにより、ユーザーが二次電池21を交換するタイミングを把握することができる。
【0030】
(履歴通信部36)
履歴通信部36は、履歴保存部35が保存する履歴に係るデータ等を、後述する通信部5に送信する。送信するタイミングは、履歴保存部35が動作状態を履歴として保存する毎でもよく、所定の間隔でもよい。
【0031】
1.1.3 記憶部4
記憶部4は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。特に、記憶部4は、判断部31により、バッテリーパック1に異常が発生したと判断された場合、異常が発生したと判断された時刻及び異常が発生した時点における動作状態を記憶する。また、記憶部4は、判断プログラム、信号通信プログラム、電力測定プログラム、受付プログラム、履歴保存部プログラム及び履歴通信部プログラムを記憶する。また、記憶部4は、これ以外にもバッテリー保護回路3によって実行されるバッテリー保護回路3に係る種々のプログラム等を記憶している。
【0032】
1.1.4 通信部5
通信部5は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。即ち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。特に、バッテリー保護回路3と、記憶部4と、外部の情報処理装置20とは、所定の通信規格において通信可能に構成されることが好ましい。
【0033】
通信部5は、判断部31により、バッテリーパック1に異常が発生したと判断された場合、異常が発生したと判断された時刻及び異常が発生した時点における動作状態を、情報処理装置20に送信してもよい。また、バッテリーパック1の動作に関わるプログラム及びパラメータ等のデータを、電気通信回線を通じて、情報処理装置20と通信可能に構成される。
【0034】
1.1.5 電力出力回路6
電力出力回路6は、CFET61(Charge Field Effect Transistor)と、DFET62(Discharge Field Effect Transistor)とを備え、バッテリーパック1の充放電を切換える。電力出力回路6は、電源部2及び信号出力回路8に接続されている。さらにバッテリーパック1に異常が発生したときに、機器10に第2電力D2を出力するため、電力出力回路6は電圧変換回路7と接続されている。
【0035】
バッテリーパック1の充放電時に、CFET61及びDFET62を組み合わせて、逆方向に電流を流さないように電力出力回路6を制御する。具体的には、DFET62はバッテリーパック1の放電方向の電流を遮断し、CFET61はバッテリーパック1の充電方向の電流を遮断する。
【0036】
DFET62のソース-ドレイン間は、外部の充電器から電流が流される。バッテリーパック1が充電されているとき、バッテリー保護回路3からCFET61のゲート側に電圧を掛けているため、電流はさらにCFET61のソース-ドレイン間を通過して二次電池21に流れる。このようにしてバッテリーパック1は充電される。
【0037】
CFET61のソース-ドレイン間は、二次電池21から電流が流される。バッテリーパック1が放電しているとき、バッテリー保護回路3から電圧がDFET62のゲート側に電圧を掛けているため、電流はさらにDFET62のソース-ドレイン間を通過して機器10に流れる。このようにしてバッテリーパック1は放電する。
【0038】
バッテリーパック1の有する第1接続端子T1と機器10の有する第2接続端子T2が接続されているとき、二次電池21から電力出力回路6に電力が入力される。電力出力回路6は、バッテリーパック1の動作状態が正常である場合、第1電力D1を出力するように構成される。ここで、第1電力D1は、機器10を動作させるための電力である。一方、バッテリーパック1の動作状態が異常である場合、第2電力を出力するように構成される。ここで、第2電力D2は、機器10が動作しない大きさの電力である。
【0039】
バッテリーパック1の動作状態が正常である場合、第1電力D1の電流は、バッテリー保護回路3から電圧がDFET62のゲート側に掛かる間、DFET62のソース-ドレイン間を通過して、信号出力回路8及び第1接続端子T1を経由して、機器10に流れる。なお、図2では、第1電力D1の電流は、信号出力回路8を経由させて第1接続端子T1に流れるが、信号出力回路8を経由させなくてもよい。
【0040】
一方で、バッテリーパック1の動作状態が異常である場合、バッテリー保護回路3からDFET62のゲート側に電圧は掛からない。そのため、第1電力D1の電流は、DFET62のソース-ドレイン間を流れず、電圧変換回路7に流れる。このようにバッテリーパック1の動作状態が異常である場合、第1電力D1は電力出力回路6に入力される。
【0041】
1.1.6 電圧変換回路7
電圧変換回路7は、電力出力回路6と信号出力回路8に接続され、電力出力回路6から入力された第1電力D1の第1電圧値V1を第2電圧値V2に変換する。電圧変換回路7は、第2電圧値V2に変換された第2電力D2を信号出力回路8に出力する。第2電圧値V2の大きさは第1電圧値V1より小さい。(第2電圧値V2/第1電圧値V1)の値は、0より大きく1より小さい。
【0042】
(第2電圧値V2/第1電圧値V1)の値は、具体的には、0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.4,0.41,0.42,0.43,0.44,0.45,0.46,0.47,0.48,0.49,0.5,0.51,0.52,0.53,0.54,0.55,0.56,0.57,0.58,0.59,0.6,0.61,0.62,0.63,0.64,0.65,0.66,0.67,0.68,0.69,0.7,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.8,0.81,0.82,0.83,0.84,0.85,0.86,0.87,0.88,0.89,0.9,0.91,0.92,0.93,0.94,0.95,0.96,0.97,0.98,0.99であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0043】
1.1.7 信号出力回路8
信号出力回路8は、電圧変換回路7と第1接続端子T1に接続され、ダイオード81と、FET82(Field Effect Transistor)とを備える。信号出力回路8は、判断部31により判断されたバッテリーパック1の動作状態の異常の種別に基づいて、電圧変換回路7から入力された第2電力D2の第2電圧値V2を変動させるように構成される。具体的には、信号通信部32から送られた電気信号がFET82を制御し第2電力D2の第2電圧を変動させる。このようにして、信号出力回路8は、機器10にバッテリーパック1の動作状態の異常の種別等を表す電気信号を伝送する。
【0044】
また、信号出力回路8は、二次電池21の残量が所定の閾値以下である場合、第2電圧値V2を変動させるように構成される。二次電池21の残量が減少した状態を表す電気信号を機器10に伝送することで、機器10は、二次電池21の残量に応じた動作をすることができる。
【0045】
図4は、バッテリーパック1の出力する第1電力D1及び第2電力D2の電圧値の状態図である。バッテリーパック1の動作状態が正常である場合、電力出力回路6から入力された第1電力D1は、信号出力回路8で信号化されて第1接続端子T1に出力される。第1電力D1の電圧は、第1電圧値V1である。一方で、バッテリーパック1の動作状態が異常であると判断された場合、電力出力回路6から入力された第1電力D1が電圧変換回路7で第2電力D2に変換される。そして、第2電力D2は信号出力回路8で信号化されて第1接続端子T1に出力される。図4に示されるように、第2電力D2の電圧は、第2電圧値V2と第3電圧値V3の間を変動する。ここで、第3電圧値V3の値は第2電圧値V2の値よりも大きくてもよい。
【0046】
具体的には、電圧変換回路7から入力された第2電力D2は、FET82のソースに入力され、FET82のゲートに掛かる電圧(ゲート電圧)によってFET82のソース-ドレイン間の第2電力D2の電流が制御される。信号通信部32から送信された電気信号の電圧がFET82のゲート側に加わるため、電気信号がオンの時は、FET82のソース-ドレイン間の第2電力D2の電圧は第2電圧値V2となる。一方、電気信号がオフの時は、FET82のソース-ドレイン間に電流が流れず、ダイオード81を経由して電流が流れる。ダイオード81により電圧降下が生じるため、第2電力D2の電圧は、第3電圧値V3となる。信号出力回路8は、第3電圧値V3を0に近づくまで降下させてもよい。なお、電圧降下の機能を有するものであれば、ダイオード81に限定されない。
【0047】
信号出力回路8に入力された第2電力D2の電圧は、図4の例では、第2電圧値V2がHighで、第3電圧値V3がLowのL/H信号として出力される。(第3電圧値V3/第2電圧値V2)の絶対値は、0~10となることが好ましい。下限値は、第3電圧値V3が0であってもよいため、(第3電圧値V3/第2電圧値V2)の絶対値は0を含む。また、V3とV2の値が等しい場合も含むため、(第3電圧値V3/第2電圧値V2)の絶対値は1を含む。
【0048】
具体的には、例えば、(第3電圧値V3/第2電圧値V2)の絶対値は、0,0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.4,0.41,0.42,0.43,0.44,0.45,0.46,0.47,0.48,0.49,0.5,0.51,0.52,0.53,0.54,0.55,0.56,0.57,0.58,0.59,0.6,0.61,0.62,0.63,0.64,0.65,0.66,0.67,0.68,0.69,0.7,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.8,0.81,0.82,0.83,0.84,0.85,0.86,0.87,0.88,0.89,0.9,0.91,0.92,0.93,0.94,0.95,0.96,0.97,0.98,0.99,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0049】
信号出力回路8は、第2電圧値V2を2より多くの電圧値に変動させてもよい。量子化を2段階より多くすることで、機器10に伝送するデータ量が多くなる。バッテリーパック1は、より多くの動作状態の異常の種別を伝送することができる。
【0050】
1.1.8 測定部9
測定部9は、測定機器92を備える。測定部9は、バッテリー保護回路3と接続されており、測定機器92の測定した物理量は、バッテリー保護回路3に出力される。
【0051】
測定機器92は、温度、湿度、気圧、及び加速度のうち少なくとも1つを測定する。バッテリーパック1が外部から衝撃を受けた場合には電気回路が損傷する恐れがあるため、加速度を測定することは有用である。測定機器92が測定する物理量は、これらに限定されない。バッテリーパック1の動作状態を把握できものであればよい。測定部9は、測定する物理量ごとに測定機器92を有してもよいし、複数の物理量を同時に測定できる測定機器92を有してもよい。
【0052】
測定機器92は、センサーを有しており、センサーが物理量を電気信号に変換した値を測定する。例えば、温度を測定する測定機器92は、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ、半導体、及び水晶振動子のセンサーを有する。かかるセンサーは温度を電気信号に変換できるものであれば、これらのセンサーに限定されない。
【0053】
1.2 機器10
本節では、バッテリーパック1に接続される機器10について説明する。バッテリーパック1の第1接続端子T1と、機器10の第2接続端子T2が接続されて、バッテリーパック1から第1電力D1及び第2電力D2が機器10に供給される。バッテリーパック1に接続できるものであれば、機器10の用途は限定されない。例えば、機器10は、チェンソー,刈払機,ヘッジトリマ,ブロワなどの手持ち式作業機械、丸のこ,バンドソーなどの切断機、投光器や発電機などの産業機械製品であってもよい。機器10は、信号判定回路11と、制御部12と、動作部13とを備える。以下、各構成要素についてさらに説明する。
【0054】
1.2.1 信号判定回路11
信号判定回路11は、アナログ-デジタル変換回路(不図示)を備える。信号判定回路11は、バッテリーパック1から入力された第1電力D1及び第2電力D2のアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する。デジタル化された電気信号は、制御部12に出力される。
【0055】
1.2.2 制御部12
制御部12は、バッテリーパック1から入力された第2電力D2の第2電圧値V2の変動値を識別する。そして、制御部12は、識別した変動値に基づき、第2電力D2によって機器10を制御可能に構成される。制御部12は、CPU121を備える。具体的には、CPU121は、信号判定回路11から入力された電気信号に基づいて機器10内の電子機器及び動力機器を制御する。
【0056】
CPU121は、電気信号の変化に基づいて、バッテリーパック1の動作状態の異常の種別を特定し、機器10内の電子機器及び動力機器を制御する。例えば、CPU121は、バッテリーパック1の動作状態の異常が発生した場合、伝送された電気信号から異常を識別し、後述する動作部13の動作を停止させる。なお、制御部12は、CPU121の代わりにアナログコントローラーを備えて機器10内の電子機器及び動力機器をアナログ制御してもよい。
【0057】
1.2.3 動作部13
動作部13は、動力機器であるモーター131を備える。動作部13は、少なくとも第1電力D1が入力される。そして、動作部13は、入力された第1電力D1によって動作可能に構成される。一方、第2電力D2の大きさは動作部13を動作させる電力値以下であるため、動作部13に第2電力D2が入力された場合にはモーター131は動作しない。
【0058】
1.3 情報処理装置20
本節では、情報処理装置20について説明する。情報処理装置20は、電気通信回線を通じて、バッテリーパック1と所定の通信規格において通信可能に構成される。情報処理装置20は、通信部5からバッテリーパック1動作状態の異常及び異常の種別に関するデータをリアルタイムで取得できる。そのため、使用されている多数のバッテリーパック1の動作状態を迅速に把握することができる。このようなデータは、保守や修理に有用である。
【0059】
2.動作状態伝送方法
第2章では、第1章で説明したバッテリーパック1の動作状態伝送方法について説明する。接続対象の機器10に電力を供給するバッテリーパック1の動作状態伝送方法は、電力出力ステップを備える。電力出力ステップでは、バッテリーパック1の動作状態が正常である場合、第1電力D1を出力する。バッテリーパック1の動作状態が異常である場合、第2電力D2を出力する。第1電力D1は、機器10を動作させるための電力であり、第2電力D2は、機器10が動作しない大きさの電力である。これにより機器10にバッテリーパック1の動作状態を伝送する。具体的に、この動作状態伝送方法を説明する。
【0060】
図5は、実施形態に係るバッテリーパック1から機器10への動作状態伝送方法のアクティビティ図である。以下、本図に沿って説明する。
【0061】
[ここから]
(アクティビティA01)
バッテリーパック1は、接続対象の機器10の有するモーター131を動作させる第1電力D1を出力する。
(アクティビティA02)
判断部31は、バッテリーパック1の動作状態が正常か異常かを判断する。動作状態が正常である場合は、アクティビティA01が実行される。動作状態が異常である場合は、アクティビティA03が実行される。
(アクティビティA03)
判断部31は、バッテリーパック1の動作状態の異常の種別を判断する。
(アクティビティA04)
電圧変換回路7は、第1電力D1の第1電圧値V1を第2電圧値V2に変換し、第2電力D2として出力する。
(アクティビティA05)
信号出力回路8は、動作状態の異常の種別に基づいて、第2電力D2の第2電圧値V2を、第2電圧値V2と第3電圧値V3の間で変動させる。
(アクティビティA06)
信号出力回路8は、変動された第2電力D2の第2電圧値V2を、電気信号として出力する。
(アクティビティA07)
バッテリーパック1の動作状態の異常の電気信号が、機器10の信号判定回路11に入力される。
(アクティビティA08)
制御部12のCPU121は、デジタル化された動作状態の異常信号から動作状態の種別を判定する。
(アクティビティA09)
制御部12のCPU121は、機器10内の電子機器を制御する。そして、第2電力D2が動作部13に入力されると、動作部13の有するモーター131を停止させてもよい。さらに、動作状態の異常の種別を機器10又は情報処理装置20のディスプレイ(不図示)に表示してもよい。
[ここまで]
【0062】
図5に示すように、バッテリーパック1の動作状態の異常の有無又は異常の種別を接続対象の機器10に伝送する方法は、バッテリーパック1から機器10に電力を供給する電力ラインに電気信号を畳重的に加えて伝送する方法と比べて、バッテリーパック1と機器10の適合性を考慮する必要がない。電気信号を畳重的に加えて伝送する方式は、機器10で、供給された電力と伝送された電気信号を分離しなくてはならないため、機器10の回路設計をする上で、インピーダンスを配慮した繊維な設計が要求される。さらに、信号変調回路などが必要となり、機器10の回路構成は、複雑になり、外部ノイズなどの影響を受けやすくなる。そのため、機器10は、同一機種のバッテリーパック1であっても適合しないことがあるので、不特定かつ多品種となるバッテリーパック1には適さない。
【0063】
本実施形態のように、バッテリーパック1の動作状態の異常の有無又は異常の種別を、電力を供給する電力ラインを介して、接続対象の機器10に伝送する方法では、別途通信専用の端子を設ける必要がないため、端子構成が簡素になる。そのためバッテリーパック1が低コストで小型化できる。さらに端子数が少ないため防水及び防塵構造にすることが容易になる。
【0064】
バッテリーパック1は、動作状態の異常の有無又は異常の種別を接続対象の機器10に伝送する間、動作部13を動作する第1電圧値V1を出力しない。そのため、動作部13は、機器10の制御部12がバッテリーパック1の動作状態の異常を検知する前に、停止することができる。
【0065】
3.その他
下記のような態様によって前述の実施形態を実施してもよい。
【0066】
(1)履歴保存部35は、バッテリーパック1の動作状態の異常が発生した時刻及び動作状態に加えてバッテリーパック1の型番を記憶部4に保存してもよい。これにより、バッテリーパック1を個別に動作状態を細かく把握できるため、品質保証をする上で有利である。
(2)履歴保存部35は、さらにバッテリーパック1と機器10を接続した回数を記憶部4に記憶してもよい。バッテリーパック1の利用者が、劣化したバッテリーパック1を交換する時期を予測する上で有利である。
(3)測定部9の有する測定機器92は、バッテリーパック1の外部にあってもよい。バッテリーパック1の使用環境を把握することで、より安全にバッテリーパック1を使用することができる。さらに充電環境も把握できるため、より安全にバッテリーパック1に電力を充電することもできる。
(4)機器10は、記憶部を備えてもよい。このとき、制御部12のCPU121は、バッテリーパック1の動作状態の異常を表す電気信号を受信するときに、異常が発生した時刻及び異常が発生した時点における動作状態を履歴として記憶部に保存する。機器10の製造業者、販売業者又は管理業者等が機器10の品質を解析する上で、保存されたデータは有用である。
(5)二次電池21の残量に応じて、電圧変換回路7は、第2電圧値V2を制御してもよい。信号出力回路8は、電圧値の下がった第2電圧値V2を変動させることで、二次電池21の残量が少なくなったときでも確実にバッテリーパック1の動作状態の異常の有無又は異常の種別を接続対象の機器10に伝送することができる。
【0067】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記バッテリーパックにおいて、判断部と、信号出力回路とをさらに備え、前記判断部は、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成され、前記信号出力回路は、前記判断された異常の種別に基づいて、前記第2電力の第2電圧値を変動させるように構成される、もの。
前記バッテリーパックにおいて、電力測定部をさらに備え、前記電力測定部は、前記第1電力を測定可能に構成され、前記判断部は、前記電力測定部により測定された前記第1電力の電圧値又は電流値に基づいて、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成される、もの。
前記バッテリーパックにおいて、受付部をさらに備え、前記受付部は、測定機器の出力値を受付可能に構成され、前記判断部は、前記受付部により受け付けられた前記出力値に基づいて、前記動作状態の異常の種別を判断可能に構成される、もの。
前記バッテリーパックにおいて、履歴保存部をさらに備え、前記判断部は、前記動作状態の異常の発生の有無を判断可能に構成され、前記履歴保存部は、前記判断部により前記異常が発生したと判断された場合、前記異常が発生したと判断された時刻及び前記異常が発生した時点における前記動作状態を履歴として保存可能に構成される、もの。
前記バッテリーパックにおいて、二次電池をさらに備え、前記二次電池は、前記バッテリーパックに電力を供給可能に構成され、前記信号出力回路は、前記二次電池の残量が所定の閾値以下である場合、前記第2電圧値を変動させるように構成される、もの。
システムであって、前記バッテリーパックと、前記機器とを備え、これらが前記バッテリーパックの有する第1接続端子及び前記機器の有する第2接続端子を通じて前記第1電力及び前記第2電力を前記機器に供給可能に構成され、前記機器は、前記第1電力に基づいて動作し、前記第2電力に基づいて制御されるように構成される、もの。
前記システムにおいて、前記機器は、制御部と、動作部とをさらに備え、前記制御部は、前記第2電力の第2電圧値の変動値を識別し、識別した前記変動値に基づき、前記第2電力によって前記機器を制御可能に構成され、前記動作部は、少なくとも前記第1電力が入力され、入力された前記第1電力によって動作可能に構成される、もの。
前記システムにおいて、前記機器は、産業機械製品である、もの。
接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックの動作状態伝送方法であって、電力出力ステップを備え、前記電力出力ステップでは、前記バッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力し、前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力し、前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、前記第2電力は、前記機器が動作しない大きさの電力であり、これにより前記機器に前記バッテリーパックの動作状態を伝送する、方法。
コンピュータを、電力出力回路を制御する制御部として機能させるプログラムであって、前記制御部は、接続対象の機器に電力を供給するバッテリーパックの動作状態が正常である場合、第1電力を出力するように前記電力出力回路を制御し、前記バッテリーパックの動作状態が異常である場合、第2電力を出力するように前記電力出力回路を制御し、前記第1電力は、前記機器を動作させるための電力であり、前記第2電力は、前記機器が動作しない大きさの電力である、もの。
もちろん、この限りではない。
【0068】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
1 :バッテリーパック
2 :電源部
21 :二次電池
3 :バッテリー保護回路
30 :通信バス
31 :判断部
32 :信号通信部
33 :電力測定部
34 :受付部
35 :履歴保存部
36 :履歴通信部
4 :記憶部
5 :通信部
6 :電力出力回路
61 :CFET
62 :DFET
7 :電圧変換回路
8 :信号出力回路
81 :ダイオード
82 :FET
9 :測定部
91 :抵抗
92 :測定機器
10 :機器
11 :信号判定回路
12 :制御部
121 :CPU
13 :動作部
131 :モーター
20 :情報処理装置
100 :システム
D1 :第1電力
D2 :第2電力
T1 :第1接続端子
T11 :第1プラス側接続端子
T12 :第1マイナス側接続端子
T2 :第2接続端子
T21 :第2プラス側接続端子
T22 :第2マイナス側接続端子
V1 :第1電圧値
V2 :第2電圧値
V3 :第3電圧値
図1
図2
図3
図4
図5