特許 7436303 ジョイントコネクタ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-02-13

(45)【発行日】2024-02-21

(54)【発明の名称】ジョイントコネクタ

(51)【国際特許分類】

   H01R 13/7193 20110101AFI20240214BHJP

   H01R 31/08 20060101ALI20240214BHJP

【ＦＩ】

H01R13/7193

H01R31/08 M

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2020108612

(22)【出願日】2020-06-24

(65)【公開番号】P2022006406

(43)【公開日】2022-01-13

【審査請求日】2023-03-29

(73)【特許権者】

【識別番号】000006895

【氏名又は名称】矢崎総業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002000

【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所

(72)【発明者】

【氏名】古賀 健郎

【審査官】濱田 莉菜子

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１３－０１２４３７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－０６３８９１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００６－０５９５９７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－０２５９１７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－０４６６１２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２０－０８７６９８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｒ １３／４０－１３／５３３

Ｈ０１Ｒ １３／５６－１３／７２

Ｈ０１Ｒ ３１／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

相手側コネクタが嵌合される嵌合凹部を有する第１ハウジングと、
前記第１ハウジングに組付けられる第２ハウジングと、
バスバ部に連結されて同一方向へ延在する複数の端子部を有し、前記バスバ部が前記第２ハウジングに形成された圧入溝に圧入されて前記第２ハウジングに組付けられるジョイント端子と、
を備え、
前記ジョイント端子の前記端子部は、前記第１ハウジングに前記第２ハウジングが組付けられることにより前記嵌合凹部に配置され、前記嵌合凹部に嵌合される前記相手側コネクタの端子金具と電気的に接続され、
前記第１ハウジングは、前記嵌合凹部からの前記相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向へ突出し、前記ジョイント端子の前記バスバ部に対して隙間なく配置される突起部を有し、
前記突起部は、前記第１ハウジングへ前記第２ハウジングが組付けられる際の組付け力により、前記バスバ部に当接して弾性変形または塑性変形される、
ことを特徴とするジョイントコネクタ。

【請求項2】

前記第１ハウジングと前記第２ハウジングとの間には、前記端子部が挿通される貫通孔を有する複数のフェライトコアをそれぞれ収容可能な複数のフェライトコア収容部を有し、
前記フェライトコア収容部に収容される前記フェライトコアと前記バスバ部との間には、前記相手側コネクタの引き抜き方向に沿う隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項１に記載のジョイントコネクタ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ジョイントコネクタに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、端子金具を保持した第一インナハウジング及び第二インナハウジングをアウタハウジングに組付けたジョイントコネクタについての技術が記載されている。この文献に記載のジョイントコネクタでは、端子金具は、各針状の端子部を連結する連結部であるバスバが第一インナハウジングと第二インナハウジングとで挟まれることにより保持される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１２－２２１９０９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、ジョイントコネクタでは、接続した相手側コネクタを引き抜く際に、その引抜力が端子金具に付与されることとなる。また、このジョイントコネクタを車両に搭載すると、車両の走行時に生じる振動が端子金具にも付与される。このような引抜力や振動が第一インナハウジング及び第二インナハウジングに保持された端子金具に付与されると、この端子金具にガタツキが生じ、相手側コネクタの端子金具との接続信頼性が低下するおそれがある。

【0005】

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子金具のガタツキの発生を抑えて高い接続信頼性を得ることが可能なジョイントコネクタを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
（１） 相手側コネクタが嵌合される嵌合凹部を有する第１ハウジングと、前記第１ハウジングに組付けられる第２ハウジングと、バスバ部に連結されて同一方向へ延在する複数の端子部を有し、前記バスバ部が前記第２ハウジングに形成された圧入溝に圧入されて前記第２ハウジングに組付けられるジョイント端子と、を備え、前記ジョイント端子の前記端子部は、前記第１ハウジングに前記第２ハウジングが組付けられることにより前記嵌合凹部に配置され、前記嵌合凹部に嵌合される前記相手側コネクタの端子金具と電気的に接続され、前記第１ハウジングは、前記嵌合凹部からの前記相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向へ突出し、前記ジョイント端子の前記バスバ部に対して隙間なく配置される突起部を有し、前記突起部は、前記第１ハウジングへ前記第２ハウジングが組付けられる際の組付け力により、前記バスバ部に当接して弾性変形または塑性変形される、
ことを特徴とするジョイントコネクタ。

【0007】

上記（１）の構成のジョイントコネクタによれば、ジョイント端子のバスバ部に対して、相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向へ突出する第１ハウジングの突起部が隙間なく配置される。したがって、相手側コネクタを嵌合凹部から引き抜く際にジョイント端子に引抜力が付与されてもバスバ部が突起部によって支持されるので、第２ハウジングの圧入溝にバスバ部が圧入されたジョイント端子の抜け出しを抑制することができる。これにより、相手側コネクタを再度接続した際にも、相手側コネクタの端子金具との高い接続信頼性を得ることができる。また、車両の走行時に生じる振動がジョイント端子に付与されても、バスバ部が突起部によって支持されるので、振動によってジョイント端子のバスバ部が圧入溝から抜け出すのを抑えることができる。これにより、相手側コネクタの端子金具との接続信頼性を維持させることができる。

【0009】

更に、上記（１）の構成のジョイントコネクタによれば、第１ハウジングへ第２ハウジングが組付けられる際、組付け力によって突起部がバスバ部に当接して弾性変形または塑性変形される。したがって、第１ハウジング、第２ハウジング及びジョイント端子の寸法公差のばらつきを吸収しつつ、突起部をバスバ部に対して容易に隙間なく配置させることができる。

【0010】

（２） 前記第１ハウジングと前記第２ハウジングとの間には、前記端子部が挿通される貫通孔を有する複数のフェライトコアをそれぞれ収容可能な複数のフェライトコア収容部を有し、前記フェライトコア収容部に収容される前記フェライトコアと前記バスバ部との間には、前記相手側コネクタの引き抜き方向に沿う隙間が設けられる、ことを特徴とする上記（１）に記載のジョイントコネクタ。

【0011】

上記（２）の構成のジョイントコネクタによれば、フェライトコア収容部にフェライトコアを収容した際に、フェライトコアとバスバ部との間に隙間が設けられる。しかも、突起部によってジョイント端子の抜け出しが抑制される。したがって、相手側コネクタの引き抜きによる引抜力の付与時や車両の走行時に生じる振動の付与時においても、ジョイント端子のバスバ部とフェライトコアとの間の隙間が確保され、これらのバスバ部とフェライトコアとの干渉を抑制することができる。

【発明の効果】

【0012】

本発明によれば、端子金具のガタツキの発生を抑えて高い接続信頼性を得ることが可能なジョイントコネクタを提供できる。

【0013】

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という。）を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本発明の実施形態に係るジョイントコネクタの分解斜視図である。

【図2】図１に示したジョイントコネクタの正面図である。

【図3】図１に示したジョイントコネクタの後方からの斜視図である。

【図4】図１に示したアウタハウジングの後方からの斜視図である。

【図5】図４に示したアウタハウジングを説明する図であって、（ａ）は後面図、（ｂ）は（ａ）におけるＢ－Ｂ断面図及び一部拡大図である。

【図6】図１に示したインナハウジングの組立てを説明する図であって、（ａ）はジョイント端子が組付けられるインナハウジングの斜視図、（ｂ）はジョイント端子が組付けられたインナハウジングの斜視図である。

【図7】図１に示したインナハウジング及びフェライトコアを説明する図であって、（ａ）はフェライトコアが装着されるインナハウジングの斜視図、（ｂ）はフェライトコアが装着されたインナハウジングの斜視図である。

【図8】図２におけるＡ－Ａ断面図である。

【図9】ジョイント端子のバスバ部への突起部の接触状態を説明する図であって、（ａ）及び（ｂ）は、それぞれ図８におけるＣ部拡大図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図１は、本発明の実施形態に係るジョイントコネクタ１の分解斜視図である。図２は、図１に示したジョイントコネクタ１の正面図である。図３は、図１に示したジョイントコネクタ１の後方からの斜視図である。

【0016】

図１～図３に示すように、本実施形態に係るジョイントコネクタ１は、アウタハウジング（第１ハウジング）１０と、インナハウジング（第２ハウジング）２０と、複数のフェライトコア４０と、一対のジョイント端子５０と、を有している。なお、複数のフェライトコア４０は、用途に応じて装着される。

【0017】

ジョイントコネクタ１には、前方側から相手側コネクタ（図示略）が嵌合されて接続される。ジョイントコネクタ１は、相手側コネクタと接続されることにより、車両に配索されるワイヤハーネスのジョイント回路を形成する。

【0018】

アウタハウジング１０及びインナハウジング２０は、電気絶縁性を有する合成樹脂から成形されている。

【0019】

アウタハウジング１０は、箱型に形成されている。このアウタハウジング１０は、前方側が接続部１１とされており、接続部１１は、前方側が開放された複数の嵌合凹部１２を有している。これらの嵌合凹部１２には、相手側コネクタの端子保持部（図示略）が嵌合される。

【0020】

図４は、図１に示したアウタハウジング１０の後方からの斜視図である。図５は、図４に示したアウタハウジング１０を説明する図であって、（ａ）は後面図、（ｂ）は（ａ）におけるＢ－Ｂ断面図及び一部拡大図である。

【0021】

図４、図５の（ａ）及び（ｂ）に示すように、アウタハウジング１０は、後方側に装着凹部１３を有しており、この装着凹部１３にインナハウジング２０が嵌め込まれて組付けられる。アウタハウジング１０の後部における装着凹部１３を構成する両側壁部分には、係止爪１４が形成されている。

【0022】

アウタハウジング１０は、嵌合凹部１２と装着凹部１３とを区画する隔壁１５を有している。隔壁１５における装着凹部１３側の表面１３ａには、複数の凸部１６が形成されている。これらの凸部１６には、隔壁１５を貫通する一対の挿通孔１７が凸部１６の上下位置に形成されている。これらの一対の挿通孔１７が形成された凸部１６は、各嵌合凹部１２に対応した位置に形成されている。

【0023】

また、隔壁１５における装着凹部１３側の表面１３ａには、複数の支持壁１８が突設されている。これらの支持壁１８は、挿通孔１７が形成された凸部１６の間に形成されており、嵌合凹部１２からの相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向であるアウタハウジング１０の後方側へ突出されている。この支持壁１８は、凸部１６よりも突出されている。

【0024】

図５の（ｂ）に示すように、支持壁１８の先端には、突起部であるリブ１９が一体に形成されている。リブ１９は、支持壁１８よりも厚さが薄くされており、嵌合凹部１２からの相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向であるアウタハウジング１０の後方側へ突出されている。

【0025】

図６は、図１に示したインナハウジング２０の組立てを説明する図であって、（ａ）はジョイント端子５０が組付けられるインナハウジング２０の斜視図、（ｂ）はジョイント端子５０が組付けられたインナハウジング２０の斜視図である。

【0026】

図６の（ａ）及び（ｂ）に示すように、インナハウジング２０は、壁部２１を有しており、この壁部２１におけるアウタハウジング１０への組付け側が組付け部２１ａとされている。壁部２１には、アウタハウジング１０への組付け側に、一対の圧入溝２２が形成されている。これらの圧入溝２２は、インナハウジング２０の高さ方向の中央位置において、互いに間隔をあけて平行に配置されており、インナハウジング２０の幅方向にわたって形成されている。また、インナハウジング２０の組付け部２１ａには、複数のフェライトコア収容部２３が設けられている。これらのフェライトコア収容部２３は、インナハウジング２０の幅方向に配列されており、アウタハウジング１０の嵌合凹部１２に対応して設けられている。各フェライトコア収容部２３は、その上下位置に、保持片２４を有している。これらの保持片２４は、後方へ向かって次第にフェライトコア収容部２３の内側へ張り出すように形成されている。また、インナハウジング２０には、壁部２１の両側部に、係止凹部２５が形成されている。

【0027】

ジョイント端子５０は、複数（本例では４つ）の端子部５１と、バスバ部５２とを有している。ジョイント端子５０は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる導電性金属板からなるもので、プレス加工等によって形成される。ジョイント端子５０の複数の端子部５１は、断面視矩形状の棒状に形成されており、帯状に形成されたバスバ部５２に一体に形成されている。これらの端子部５１は、バスバ部５２から同一方向へ延在されており、互いに間隔をあけて並列に配置されている。

【0028】

ジョイント端子５０は、インナハウジング２０に対して組付け部２１ａから壁部２１の圧入溝２２にバスバ部５２を圧入することによりインナハウジング２０に組付けられる。ジョイント端子５０をインナハウジング２０に組付けると、これらのジョイント端子５０の端子部５１がアウタハウジング１０への組付け側へ突出される。そして、これらの端子部５１は、インナハウジング２０のフェライトコア収容部２３において、一対ずつ上下に配置される。

【0029】

フェライトコア４０は、磁性材料からなるもので、正面視矩形状に形成されている。このフェライトコア４０には、表裏に貫通する断面円形状の２つの貫通孔４２が長手方向に間隔をあけて形成されている。

【0030】

図７は、図１に示したインナハウジング２０及びフェライトコア４０を説明する図であって、（ａ）はフェライトコア４０が装着されるインナハウジング２０の斜視図、（ｂ）はフェライトコア４０が装着されたインナハウジング２０の斜視図である。

【0031】

図７の（ａ）及び（ｂ）に示すように、フェライトコア４０をインナハウジング２０に装着するには、貫通孔４２にジョイント端子５０の端子部５１を挿通させながらインナハウジング２０のフェライトコア収容部２３へ押し込む。これにより、フェライトコア収容部２３にフェライトコア４０が収容された状態に装着される。このフェライトコア収容部２３へフェライトコア４０を押し込むと、各フェライトコア４０は、フェライトコア収容部２３に設けられた保持片２４によって上下から挟持されて保持される。

【0032】

なお、ジョイント端子５０を組付けたインナハウジング２０には、フェライトコア４０が選択的に装着される。これにより、ジョイントコネクタ１を、フェライトコア４０が装着されたフェライトコア装着タイプまたはフェライトコア４０が装着されていないフェライトコア非装着タイプのいずれかのタイプとすることができる。したがって、フェライトコア非装着タイプのジョイントコネクタ１とする場合、ジョイント端子５０を組付けたインナハウジング２０へのフェライトコア４０の装着を行わない。

【0033】

アウタハウジング１０にインナハウジング２０を組付けるには、アウタハウジング１０に対して、その後方側の装着凹部１３にインナハウジング２０を嵌め込む。このように、アウタハウジング１０にインナハウジング２０を組付けると、ジョイント端子５０の端子部５１がアウタハウジング１０の隔壁１５に形成された挿通孔１７に挿通される。これにより、各端子部５１は、アウタハウジング１０の嵌合凹部１２に配置される。また、インナハウジング２０には、その両側部の係止凹部２５にアウタハウジング１０の係止爪１４が係止する。これにより、インナハウジング２０がアウタハウジング１０に組付けられた状態に維持される。

【0034】

フェライトコア４０を装着したインナハウジング２０をアウタハウジング１０に組付けたフェライトコア装着タイプのジョイントコネクタ１では、アウタハウジング１０の隔壁１５とインナハウジング２０の壁部２１との間のフェライトコア収容部２３にフェライトコア４０が収容される。

【0035】

図８は、図２におけるＡ－Ａ断面図である。図９は、ジョイント端子５０のバスバ部５２へのリブ１９の接触状態を説明する図であって、（ａ）及び（ｂ）は、それぞれ図８におけるＣ部拡大図である。

【0036】

図８に示すように、アウタハウジング１０にインナハウジング２０を組付けたジョイントコネクタ１では、アウタハウジング１０の隔壁１５から突設された支持壁１８がフェライトコア４０の間に通されて配置される。

【0037】

図９の（ａ）に示すように、フェライトコア４０の間に配置された支持壁１８は、その先端に形成されたリブ１９が、インナハウジング２０に組付けられたジョイント端子５０のバスバ部５２に対して隙間なく配置される。

【0038】

なお、アウタハウジング１０、インナハウジング２０及びジョイント端子５０の寸法公差によっては、アウタハウジング１０にインナハウジング２０を組付けた際に、リブ１９がジョイント端子５０のバスバ部５２に干渉することがある。このとき、合成樹脂からなるアウタハウジング１０に一体に成形されたリブ１９は、図９の（ｂ）に示すように、組付け力によりバスバ部５２に押し付けられて弾性変形または塑性変形する。これにより、アウタハウジング１０、インナハウジング２０及びジョイント端子５０の寸法公差が吸収される。

【0039】

また、アウタハウジング１０にインナハウジング２０を組付けた状態において、ジョイント端子５０のバスバ部５２とフェライトコア４０との間には、僅かな隙間Ｇが設けられ、ジョイント端子５０のバスバ部５２とフェライトコア４０との干渉が抑制される。

【0040】

このように、アウタハウジング１０にインナハウジング２０が組付けられたジョイントコネクタ１に相手側コネクタが接続されると、アウタハウジング１０の嵌合凹部１２に相手側コネクタの端子保持部が嵌合される。これにより、相手側ハウジングの端子保持部に収容されたメス端子（端子金具）とジョイントコネクタ１のジョイント端子５０の端子部５１とが電気的に接続され、車両に配索されるワイヤハーネスのジョイント回路が形成される。ここで、フェライトコア装着タイプのジョイントコネクタ１を用いれば、ジョイント回路におけるノイズの低減効果が得られる。また、ジョイント回路においてノイズの低減が不要な場合は、フェライトコア非装着タイプのジョイントコネクタ１を用いる。このフェライトコア非装着タイプのジョイントコネクタ１は、フェライトコア４０を備えないことにより、軽量かつ低コストとされる。

【0041】

ところで、ジョイントコネクタ１では、接続した相手側コネクタを引き抜く際に、その引抜力がジョイント端子５０に付与されることとなる。また、このジョイントコネクタ１を車両に搭載すると、車両の走行時に生じる振動がジョイント端子５０にも付与される。このような引抜力や振動がジョイント端子５０に付与されることにより、ジョイント端子５０が変位すると、相手側コネクタのメス端子との接続信頼性が低下するおそれがある。

【0042】

本実施形態に係るジョイントコネクタ１によれば、ジョイント端子５０のバスバ部５２に対して、相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向へ突出するアウタハウジング１０のリブ１９が隙間なく配置される。したがって、相手側コネクタを嵌合凹部から引き抜く際にジョイント端子５０に引抜力が付与されてもバスバ部５２がリブ１９によって支持されるので、インナハウジング２０の圧入溝２２にバスバ部５２が圧入されたジョイント端子５０の抜け出しを抑制することができる。これにより、相手側コネクタを再度接続した際にも、相手側コネクタのメス端子との高い接続信頼性を得ることができる。また、車両の走行時に生じる振動がジョイント端子５０に付与されても、バスバ部５２がリブ１９によって支持されるので、振動によってジョイント端子５０のバスバ部５２が圧入溝２２から抜け出すのを抑えることができる。これにより、相手側コネクタのメス端子との接続信頼性を維持させることができる。

【0043】

また、アウタハウジング１０へインナハウジング２０が組付けられる際、組付け力によって、リブ１９がバスバ部５２に当接して弾性変形または塑性変形される。したがって、アウタハウジング１０、インナハウジング２０及びジョイント端子５０の寸法公差のばらつきを吸収しつつ、リブ１９をバスバ部５２に対して容易に隙間なく配置させることができる。

【0044】

なお、リブ１９の弾性変形または塑性変形に要する力は、相手側コネクタの引き抜き時の引抜力よりも大きくされている。さらに、リブ１９は、車両の走行時に生じる振動が付与されても弾性変形または塑性変形を生じない強度とされている。

【0045】

また、本実施形態に係るジョイントコネクタ１によれば、フェライトコア収容部３２にフェライトコア４０を収容した際に、フェライトコア４０とバスバ部５２との間に隙間Ｇが設けられる。しかも、リブ１９によってジョイント端子５０の抜け出しが抑制される。したがって、相手側コネクタの引き抜きによる引抜力の付与時や車両の走行に生じる振動の付与時においても、ジョイント端子５０のバスバ部５２とフェライトコア４０との間の隙間Ｇが確保され、これらのバスバ部５２とフェライトコア４０との干渉を抑制することができる。

【0046】

尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

【0047】

ここで、上述した本発明に係るジョイントコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下［１］～［３］に簡潔に纏めて列記する。
［１］ 相手側コネクタが嵌合される嵌合凹部（１２）を有する第１ハウジング（アウタハウジング１０）と、
前記第１ハウジング（アウタハウジング１０）に組付けられる第２ハウジング（インナハウジング２０）と、
バスバ部（５２）に連結されて同一方向へ延在する複数の端子部（５１）を有し、前記バスバ部（５２）が前記第２ハウジング（インナハウジング２０）に形成された圧入溝（２２）に圧入されて前記第２ハウジング（インナハウジング２０）に組付けられるジョイント端子（５０）と、
を備え、
前記ジョイント端子（５０）の前記端子部（５１）は、前記第１ハウジング（アウタハウジング１０）に前記第２ハウジング（インナハウジング２０）が組付けられることにより前記嵌合凹部（１２）に配置され、前記嵌合凹部（１２）に嵌合される前記相手側コネクタの端子金具と電気的に接続され、
前記第１ハウジング（アウタハウジング１０）は、前記嵌合凹部（１２）からの前記相手側コネクタの引き抜き方向と反対方向へ突出し、前記ジョイント端子（５０）の前記バスバ部（５２）に対して隙間なく配置される突起部（リブ１９）を有する、ことを特徴とするジョイントコネクタ。
［２］ 前記突起部（リブ１９）は、前記第１ハウジング（アウタハウジング１０）へ前記第２ハウジング（インナハウジング２０）が組付けられる際の組付け力により、前記バスバ部（５２）に当接して弾性変形または塑性変形される、ことを特徴とする上記［１］に記載のジョイントコネクタ。
［３］ 前記第１ハウジング（アウタハウジング１０）と前記第２ハウジング（インナハウジング２０）との間には、前記端子部（５１）が挿通される貫通孔（４２）を有する複数のフェライトコア（４０）をそれぞれ収容可能な複数のフェライトコア収容部（３２）を有し、
前記フェライトコア収容部（３２）に収容される前記フェライトコア（４０）と前記バスバ部（５２）との間には、前記相手側コネクタの引き抜き方向に沿う隙間（Ｇ）が設けられる、ことを特徴とする上記［１］または［２］に記載のジョイントコネクタ。

【符号の説明】

【0048】

１…ジョイントコネクタ
１０…アウタハウジング（第１ハウジング）
１２…嵌合凹部
１９…リブ（突起部）
２０…インナハウジング（第２ハウジング）
２２…圧入溝
３２…フェライトコア収容部
４０…フェライトコア
４２…貫通孔
５０…ジョイント端子
５１…端子部
５２…バスバ部
Ｇ…隙間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】