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特許7436323ボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造、及びボルト軸への取付け物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造、及びボルト軸への取付け物
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/06 20060101AFI20240214BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20240214BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F16B2/06 A
E04B9/18 B
F16L3/10 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020134328
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030353
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】信田 貴康
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-315613(JP,A)
【文献】特開2001-324058(JP,A)
【文献】特開2014-138517(JP,A)
【文献】特開2013-036268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/06
E04B 9/18
F16L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト軸に取り付けられる取付け物は、当該ボルト軸の軸方向に沿った所定長の部分を圧接状態で受けるために、当該ボルト軸の軸方向に沿って延びる受け部と、前記受け部と前記ボルト軸を挟んで対向して配置されて、前記ボルト軸における当該受け部の配置部分を、当該受け部に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記受け部と押圧部との挟み込みにより、前記ボルト軸に対して前記取付け物を挟圧して取り付ける構造であって、
前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部が喰込み可能な被喰込み部が形成され、前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合して、当該ボルト軸の軸方向への移動を規制する係合部が設けられ
前記受け部と押圧部とが互いに接近する方向への相対移動により、前記被喰込み部が前記ボルト軸の雄ねじ部に喰い込むと共に、当該ボルト軸と前記係合部との係合により前記取付け物の前記ボルト軸の軸方向に沿った移動及び前記ボルト軸に対する回動の双方が規制され、
前記押圧部を前記受け部に対して前記規制状態から所定量だけ後退させることで、前記被喰込み部に対する前記ボルト軸の雄ねじ部に喰い込みが解除されて、前記ボルト軸と前記係合部との係合を維持したままで、当該ボルト軸に対して前記取付け物が回動可能になると共に、当該状態から前記押圧部を更に後退させることで、前記取付け物がボルト軸の軸方向に移動可能となることを特徴とするボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項2】
ボルト軸に取り付けられる取付け物は、当該ボルト軸の軸方向に沿った所定長の部分を圧接状態で受けるために、当該ボルト軸の軸方向に沿って延びる受け部と、前記受け部と前記ボルト軸を挟んで対向して配置されて、前記ボルト軸における当該受け部の配置部分を、当該受け部に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記受け部と押圧部との挟み込みにより、前記ボルト軸に対して前記取付け物を挟圧して取り付ける構造であって、
前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部が喰込み可能な複数の被喰込み部が、前記ボルト軸の周方向に沿って所定間隔をおいて形成されていることを特徴とするボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項3】
前記被喰込み部は、前記受け部が延びる方向に沿っていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項4】
前記被喰込み部は、前記受け部から前記押圧部に向けて突出すると共に、前記受け部が延びる方向に連続する突条部から成ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項5】
前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合して、当該ボルト軸の軸方向への移動を規制する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項6】
前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の一方に前記被喰込み部が形成され、他方に、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のボルト軸に対する取付け物の挟圧取付け構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト軸に対する挟圧取付け構造を有するボルト軸への取付け物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト軸に対して対向配置された取付け物の受け部及び押圧部を、当該ボルト軸に対して挟圧して取り付ける構造、及びボルト軸への取付け物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図14には、管支持部の一方の側部のみにボルト軸取着部Aが一体に設けられており、天井面に吊り下げられた吊ボルトに取着されるものがある。前記ボルト軸取着部Aのボルト軸挿通孔に前記吊ボルトが挿通され、当該吊ボルトの径方向に接近する係合体Eが吊ボルトを挟み込むように、前記ボルト軸挿通孔に挿通された前記吊ボルトを押圧することで、当該吊ボルトに対して管支持部が挟圧状態で取着される。
【0003】
前記係合体Eは、吊ボルトの雄ねじ部に係合するねじ山を備えており、吊ボルトの軸方向に沿う移動(落下)を防止している。しかし、前記管支持部は、係合体Eにより吊ボルトの軸方向への移動は規制されているが、前記ボルト軸挿通孔の内周面は、平滑曲面状をなしていて、吊ボルトの回動及び軸方向への微動を防止する部分は存在せず、吊ボルトを軸とした前記管支持部の回動の抑制は、係合体Eの押圧力のみであるため、不十分であった。このため、当該吊ボルトに対して管支持部で支持されている管に外力が作用した場合に、当該管が揺動してしまい、管を安定して支持できなかった。
【0004】
また、特許文献2の図5及び図6には、配線ボックス10を棒材Pに取付けるために、当該配線ボックス10の底壁の外面にピンセット状の連結固定具100を取付けている。当該連結固定具100は、配線ボックス10の底壁の外面に密着する板状の基部101と、当該基部101に対して所定間隔をおいて配置される同じく板状の押圧部103とが、その長手方向の一端部において接続部102で接続され、配線ボックス10の底壁に取付けられた状態で、当該配線ボックス10の内側から外側に向けて突出するビスSが前記押圧部103に螺着され、当該ビスSの回転により前記押圧部103を前記基部101の側に近接するように変形させて、前記基部101の第1フランジ部107に形成された4分円凹状の第1挟持部107aと、当該押圧部103の第2フランジ部108に形成された半円凹状の第2挟持部108aとで、前記棒材Pを挟圧することで、当該棒材Pに前記連結固定具100を取付けている。
【0005】
しかし、特許文献2の上記連結固定具100においても、第1及び第2の各挟持部107a,108aの曲面状の内端面は、平滑曲面となっているため、配線ボックス10は、棒材Pに軸方向に対しては移動しないが、当該棒材Pに対する回動を抑制することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-46898号公報の図14
【文献】特開2012-70475号公報の図5及び図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ボルト軸に対して対向配置された取付け物の受け部及び押圧部を、当該ボルト軸に対して挟圧させて、当該ボルト軸に対して取付け物を取付ける構造において、当該ボルト軸に対する取付け物の回動を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、
ボルト軸に取り付けられる取付け物は、当該ボルト軸の軸方向に沿った所定長の部分を圧接状態で受けるために、当該ボルト軸の軸方向に沿って延びる受け部と、前記受け部と前記ボルト軸を挟んで対向して配置されて、前記ボルト軸における当該受け部の配置部分を、当該受け部に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記受け部と押圧部との挟み込みにより、前記ボルト軸に対して前記取付け物を挟圧して取り付ける構造であって、
前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部が喰込み可能な被喰込み部が形成され、前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合して、当該ボルト軸の軸方向への移動を規制する係合部が設けられ
前記受け部と押圧部とが互いに接近する方向への相対移動により、前記被喰込み部が前記ボルト軸の雄ねじ部に喰い込むと共に、当該ボルト軸と前記係合部との係合により前記取付け物の前記ボルト軸の軸方向に沿った移動及び前記ボルト軸に対する回動の双方が規制され、
前記押圧部を前記受け部に対して前記規制状態から所定量だけ後退させることで、前記被喰込み部に対する前記ボルト軸の雄ねじ部に喰い込みが解除されて、前記ボルト軸と前記係合部との係合を維持したままで、当該ボルト軸に対して前記取付け物が回動可能になると共に、当該状態から前記押圧部を更に後退させることで、前記取付け物がボルト軸の軸方向に移動可能となることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、取着後において、ボルト軸に対する取付け物の位置が正しくないと気付いた場合には、前期押圧部を前記受け部に対して前記規制状態から所定量だけ後退させることで、前記被喰込み部に対する前記ボルト軸の雄ねじ部に喰い込みが解除されて、当該ボルト軸に対して前記取付け物が回動可能になると共に、当該状態から前記押圧部を更に後退させることで、前記取付け物がボルト軸の軸方向に移動可能となるので、当該ボルト軸に対する取付け物の周方向及び軸方向の双方の取着位置の変更が可能である。
【0010】
請求項の発明は、
ボルト軸に取り付けられる取付け物は、当該ボルト軸の軸方向に沿った所定長の部分を圧接状態で受けるために、当該ボルト軸の軸方向に沿って延びる受け部と、前記受け部と前記ボルト軸を挟んで対向して配置されて、前記ボルト軸における当該受け部の配置部分を、当該受け部に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記受け部と押圧部との挟み込みにより、前記ボルト軸に対して前記取付け物を挟圧して取り付ける構造であって、
前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部が喰込み可能な複数の被喰込み部が、前記ボルト軸の周方向に沿って所定間隔をおいて形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項の発明によれば、ボルト軸に取付けられる取付け物は、受け部と押圧部とを備えていて、前記受け部は、ボルト軸の軸方向に沿った所定長部分に配置されると共に、前記押圧部は、前記ボルト軸を挟んで前記受け部に対して対向配置され、この状態で、前記押圧部を前記受け部に対して押圧すると、前記ボルト軸の所定長部分が受け部に圧接されて、前記受け部及び押圧部は、ボルト軸を挟み込むことで当該ボルト軸を挟圧することで、当該ボルト軸に取付け物が取り付けられる。
【0012】
前記取付け物の受け部及び押圧部の2つの部分がボルト軸を挟圧すると、前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方に、前記ボルト軸の周方向に沿って所定間隔をおいて複数形成されている被喰込み部に対して前記ボルト軸の雄ねじ部のねじ山が喰い込むことで、当該被喰込み部が形成されている前記受け部及び前記押圧部の少なくとも一方は、ボルト軸の周方向に間隔をあけた複数箇所で当該ボルト軸と部分的に一体化されることで、当該ボルト軸の回動抵抗が大きくなって、当該ボルト軸に対する取付け物の回動が抑制される。ここで、前記受け部及び押圧部の双方に被喰込み部が形成されている場合には、当該2つの部分のボルト軸に対する回動が独立して抑制されると共に、当該受け部及び押圧部の一方のみに被喰込み部が形成されている場合には、当該2つの部分は、ボルト軸に対して挟圧されているので、2つの各部分は、全体が一体となって、被喰込み部が形成されていない側の部分のボルト軸に対する回動も併せて抑制されることで、ボルト軸に対する取付け物の回動が抑制される。
特に、請求項2の発明では、ボルト軸に取付けられた取付け物は、当該ボルト軸の周方向に沿った複数箇所において被喰込み部に対して当該ボルト軸の雄ねじ部が喰い込んでいるので、当該ボルト軸の回動抵抗が一層大きくなって、ボルト軸に対する取付け物の回動を確実に抑制できる。
【0013】
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、前記被喰込み部は、前記受け部が延びる方向に沿っていることを特徴としている。
【0014】
前記被喰込み部のボルト軸の軸方向に沿った長さに比例して、前記被喰込み部に対するボルト軸のねじ山の喰込み箇所の数が多くなるので、前記被喰込み部による前記受け部及び前記押圧部の回動抑制作用は、当該被喰込み部のボルト軸の軸方向に沿った長さに比例して大きくなると思われる。請求項の発明によれば、前記被喰込み部は、前記受け部が延びる方向に沿っているので、当該被喰込み部による取付け物の回動抑制作用が最大に発揮される。
【0015】
請求項の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記被喰込み部は、前記受け部から前記押圧部に向けて突出すると共に、前記受け部が延びる方向に連続する突条部から成ることを特徴としている。
【0016】
請求項の発明によれば、前記被喰込み部は、前記受け部から前記押圧部に向けて突出して、前記受け部が延びる方向に連続する突条部から成るため、当該突条部の長さ内に存在するボルト軸の全ての雄ねじ部のねじ山は、当該突条部に喰込み可能となって、当該ボルト軸に対して挟圧状態で取り付けられる取付け物の当該ボルト軸に対する回動を効果的に抑制できる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合して、当該ボルト軸の軸方向への移動を規制する係合部が設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、ボルト軸に取付けられる取付け物は、前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材は、それぞれ独立した部材で構成され、前記2つの各部材の少なくとも一方には、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合する係合部が設けられているため、当該ボルト軸に対して2つの各部材が挟圧された状態で、ボルト軸に取付けられる取付け物は、当該ボルト軸の軸方向への移動の規制と、当該ボルト軸に対する回動抑制とが同時に達成される。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記受け部を有する受け部材、及び前記押圧部を有する押圧部材の一方に前記被喰込み部が形成され、他方に、前記ボルト軸の雄ねじ部と係合する係合部が設けられていることを特徴としている。
【0020】
請求項6の発明によれば、受け部材に、ボルト軸に対する回動抑制を行う被喰込み部が設けられ、押圧部材に、当該ボルト軸の軸方向への移動規制を行う係合部が設けられることで、被喰込み部と係合部とが、それぞれ別の部材に設けられているので、同一部材に、被喰込み部と係合部との双方を設ける設計に比較して、各部材の構造が簡単となる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト軸に対する挟圧取付け構造を有するボルト軸への取付け物である。
【0022】
請求項7の発明は、ボルト軸に取付けられる取付け物の面から、請求項1ないし6に記載の発明を定義したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ボルト軸に取付けられる取付け物は、受け部と押圧部とを備えていて、ボルト軸の軸方向に沿った一部が前記受け部と押圧部とで挟圧された状態において、当該ボルト軸の雄ねじ部のねじ山は、前記受け部及び押圧部の少なくとも一方に、前記ボルト軸の周方向に沿って所定間隔をおいて設けられた複数の被喰込み部に喰い込んで、当該受け部及び/又は押圧部とボルト軸とが部分的に一体化されるので、当該ボルト軸に対する取付け物の回動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ボルト軸Bに設置体取着具Aを用いて設置体Kが取着された状態の斜視図である。
図2】ボルト軸Bに設置体取着具Aを用いて設置体Kが取着される前の状態の分解斜視図である。
図3】(a),(b)は、ボルト軸Bの受け部材として機能する設置体取着板Pを異なる方向から見た斜視図である。
図4】(a)は、設置体取着板Pの正面図であり、(b)は、(a)のX-X線断面図であり、(c)は、(b)のU1 で示される部分の拡大図である。
図5】(a),(b)は、それぞれボルト軸Bの押圧部材Gの中空部に、係合部材Eの挿入配置部35が嵌め込まれた状態を異なる方向から見た斜視図であり、(c)は、押圧部材Gと係合部材Eの分離状態の斜視図である。
図6】押圧部材Gの中央縦断面図である。
図7】係合部材Eの中央縦断面図である。
図8】(a)は、ボルト軸Bの押圧部材Gの中空部に、係合部材Eの一部を嵌め込まれた状態の正面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のY1 -Y1 線及びY2 -Y2 線の各断面図である。
図9】設置体取着具Aの嵌合凹部5と係合部材Eの嵌合凸部34との関係を示す斜視図である。
図10-A】(a),(b)は、それぞれ設置体取着具Aの部分雄ねじ部11に対して係合部材Eの挿入配置部35を部分挿入した押圧部材Gの雌ねじ部22を螺合させて、当該係合部材Eによりボルト軸Bが押圧される前後の縦断面図である。
図10-B】図10-A(b)のU2 で示される部分の拡大図である。
図11】(a)は、図10-A(b)のZ-Z線断面図であり、(b)は、(a)のU3 で示される部分の拡大図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ押圧部材Gの正回転可能な状態、及び逆回転不能な状態を示す正面図及び右側面図から成る一組の図である。
図13】ボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに、ボルト軸Bのねじ山Baの螺旋方向とほぼ直交する螺旋状の被喰込み突条部4’が形成された設置体取着板Pの正面図である。
図14】配線ボックス43が一体に設けられた受け部材Qと押圧部材G’とがボルト軸Bに挟圧された状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。本発明に係る設置体取着具Aは、図1及び図2に示されるように、ボルト軸Bに対して設置体Kを取着するのに使用される。設置体取着具Aは、ボルト軸Bの軸方向に沿った一部を当接させて受けるための請求項1,で特定される「受け部」として機能する設置体取着板Pと、当該設置体取着板Pの部分雄ねじ部11に対する螺進により前記ボルト軸Bの軸方向に沿った一部を押圧した状態で、当該設置体取着板Pに対して螺着により一体化される押圧部材Gと、当該押圧部材Gの中空部29に一部が挿入されて、前記ボルト軸Bの雄ねじ部と係合される部分雌ねじ部33が設けられた係合部材Eとで構成される。本実施例の「設置体取着具A」は、請求項1,において、ボルト軸に取り付けられる「取付け物」に該当する。なお、ボルト軸Bは、種々の設置体Kを取着させるために、下端部が周辺部材に固定された状態で建物の天井面から吊り下げられたり、両端部が周辺部材に固定された状態で、建物に対して水平に配置されたりすることが多い。
【0026】
本実施例では、設置体取着具Aを構成する受け部材として機能する設置体取着板P、押圧部材G及び係合部材Eは、いずれも樹脂の射出成形により形成されている。
【0027】
設置体取着板Pは、図3及び図4に示されるように、横長の長方形厚板状の取着板部1の長手方向の中央部には、前記取着板部1よりも厚肉の厚肉部2が短手方向に全長に亘って形成され、各厚肉部2の間の中央部に、前記ボルト軸Bの横断面のほぼ半分が収容されて、当該ボルト軸Bの軸方向に沿った一部を部分的に当接させて受け入れるための横断面半円状のボルト軸部分収容凹部3が形成され、当該ボルト軸部分収容凹部3の内周面3aには、複数本(実施例では3本)の直線状の被喰込み突条部4が周方向に沿って所定間隔をおいてボルト軸Bの軸方向(取着板部1を基準にすると、その短手方向)の全長に亘って突設されている。前記設置体取着板Pは、請求項1,で特定される「受け部材」の一実施形態である。
【0028】
前記取着板部1における前記ボルト軸部分収容凹部3の両側の前記厚肉部2には、当該取着板部1に対する前記係合部材Eの配置状態を安定化させるために、当該係合部材Eに設けられた後述の各嵌合凸部34と嵌合する複数の嵌合凹部5がボルト軸Bの軸方向に沿って所定間隔をおいて形成されている。前記取着板部1における前記厚肉部2の両側には、一対の突出部6が所定長だけ前方に突出して形成されて、各突出部6の上下端面は、前記取着板部1の上下端面と同一面に形成されていると共に、各突出部6の外周面6aは、有底円筒状をした前記押圧部材Gの外周面に対応する円弧面に形成され、一方の突出部6の外周面6aにおける周方向に沿った端部には、後述のストッパビス41を螺じ込んで螺着するためのビス螺着用突部7が形成されている。ビス螺着用突部7の前端面7aは、前記突出部6の前端面6bに対して所定長だけ後退していて、当該前端面7aにビス下孔7bが形成されている。
【0029】
前記各突出部6の前端面6bには、それぞれ部分雄ねじ部形成突部8が前方に突出して形成され、各部分雄ねじ部形成突部8の外周面には、前記押圧部材Gの内周面に形成された台形ねじから成る雌ねじ部22と螺合される同じく台形ねじから成る部分雄ねじ部11がそれぞれ形成されている。各部分雄ねじ部11の外径は、一対の各突出部6の外周面6aで形成される周面に直径よりも僅かに小さくなっていて、各部分雄ねじ部11に、押圧部材Gの雌ねじ部22を螺合させて、前記各突出部6に対して押圧部材Gを螺合により一体化させた状態で、当該各突出部6の外周面6aと、押圧部材Gの外周面とが同一周面となるようになっている(図1参照)。各部分雄ねじ部形成突部8の対向する平面状の各内面は、取着板部1の短手方向に沿っていて、互いに平行な平面状の姿勢維持面12となっていて、対向配置された当該各姿勢維持面12は、同じく対向配置された前記各突出部6の対向内面にまで延長して連続形成されている。対向配置された前記各姿勢維持面12の間の空間は、係合部材Eが配置される係合部材配置空間13となっていて、対向配置された各姿勢維持面12により、係合部材配置空間13に挿入配置された係合部材Eの配置姿勢が維持される。係合部材Eの係合部材本体31の外形は、正面視で縦長の長方形状となっていて、一対の前記部分雄ねじ部形成突部8の縦寸法は、当該係合部材Eの係合部材本体31の縦寸法に合致させてある。また、取着板部1における各突出部6の両側には、それぞれ当該取着板部1に対して設置体Kをボルト固定するための長孔状の固定ボルト挿通長孔14が貫通して形成されている。なお、図3において、15は、取着板部1における一対の突出部6と反対の取着面に形成されて、当該取着板部1に取着される設置体をビス固定するビスを螺入させるための長孔状の複数のビス下孔を示す。取着板部1は比較的厚肉であって、当該取着板部1の取着面に、その長手方向に形成された長孔状の複数のビス下孔15は、肉盗み孔としても機能し、設置体取着板Pの射出成形時において、当該取着板部1の取着面にひけ類が発生するのを防止できて、当該取着面に凹凸が生じない取着面の形成に寄与する。
【0030】
次に、図5図11を参照して、上記した押圧部材G及び係合部材Eについて説明する。押圧部材Gの押圧部材本体21は、図5及び図6に示されるように、全体形状が有底円筒状をなしていて、内周面に、前記設置体取着板Pの台形ねじから成る部分雄ねじ部11に対して螺合される同じく台形ねじから成る雌ねじ部22が形成され、押圧部材本体21の前端面における位相が180°異なる部分に、当該押圧部材Gによりボルト軸Bを押圧している状態から、当該押圧部材Gが逆方向に回動して緩むのを防止するストッパ片23が当該押圧部材本体21の半径方向に突出して形成され、押圧部材本体21の外周面における前記各ストッパ片23の周方向に沿った形成端には、計4片の各把持片24がそれぞれ押圧部材本体21の軸方向に沿って形成されている。押圧部材本体21の外周面における各ストッパ片23の両端に形成された各把持片24の間には、複数の滑止め突条25が押圧部材本体21の軸方向に形成されていると共に、各ストッパ片23の外周端面の中央部には、滑止め凹部23aが形成され、計4片の各把持片24及び一対のストッパ片23は、押圧部材Gを人の手で回転させて、設置体取着具Aの部分雄ねじ部11に対して押圧部材Gの雌ねじ部22を螺合させて締め付ける際に、人の手が滑ることなく大きな力で把持して締め付けられるようにするためである。押圧部材本体21の底板部26には、係合部材Eの後端部に設けられた後述の薄円板状の係合円板36を挿入可能な係合円板挿入孔27が形成され、当該係合円板挿入孔27の内周面は、前記係合円板36の周縁の係合部36aを係合させるための係合段部28が形成されている。有底円筒状の押圧部材本体21の中空部29に、係合部材Eの挿入配置部35が挿入配置される。
【0031】
係合部材Eは、図5及び図7に示されるように、前記設置体取着板Pに設けられた係合部材配置空間13に配置姿勢を維持して挿入可能なように、挿入方向に沿った全長に亘って幅寸法は一定しており、方形ブロック状の係合部材本体31の前面に、ボルト軸Bのサイズに対応する横断面半円形状のボルト軸部分収容凹部32が形成され、当該ボルト軸部分収容凹部32の内周面に、当該ボルト軸Bの雄ねじ部に部分螺合される部分雌ねじ部33が形成され、係合部材本体31におけるボルト軸部分収容凹部32の両側には、前記設置体取着具Aのボルト軸部分収容凹部3の両側に形成された嵌合凹部5に嵌合される複数の嵌合凸部34が突出して形成されている。係合部材本体31の背面側には、有底円筒状の前記押圧部材本体21の中空部29に、当該押圧部材本体21の内周面に形成された雌ねじ部22と干渉することなく所定の隙間を有して挿入配置される挿入配置部35が一体に形成されて、当該挿入配置部35の背面には、薄円板状の係合円板36が一体に形成されている。当該係合円板36の周縁部は、前記係合段部28に対して係合可能とすべく変形可能な構造になっている。
【0032】
そして、上記した設置体取着具Aを用いて、建物の天井面から吊り下げられる等して、当該建物内に垂直に配置されたボルト軸Bに対して設置体Kを取着するには、以下のようにして行う。まず、図2に示されるように、ボルト軸Bを挟んで、設置体取着板Pと、自身の中空部29に係合部材Eの挿入配置部35が挿入配置された状態の押圧部材Gとをそれぞれ配置させる。図8に示されるように、押圧部材Gの中空部29に、係合部材Eの挿入配置部35が挿入配置されて、当該係合部材Eの係合円板36の周縁部の係合部36aは、押圧部材Gの係合円板挿入孔27の内周面に形成された係合段部28に係合されることで、当該押圧部材Gは、係合部材Eに対して空回転可能に連結されている。
【0033】
ボルト軸Bの一方側に配置されている設置体取着板Pの係合部材配置空間13に、当該ボルト軸Bの他方側に配置されている押圧部材Gに対して相対的に空回転可能に連結されている係合部材Eを挿入配置させた状態で、当該押圧部材Gを回転させると、図10-A(a)に示されるように、当該設置体取着板Pの部分雄ねじ部11に対して押圧部材Gの雌ねじ部22が螺合されると共に、係合部材Eの各嵌合凸部34が、設置体取着板Pの各嵌合凹部5に入り込むことで、当該設置体取着板Pに対して押圧部材Gが螺進すると共に、係合部材Eは、設置体取着板Pの係合部材配置空間13内をボルト軸Bに向けて前進する。
【0034】
そして、押圧部材Gの螺進が不能となるまで、設置体取着板Pの部分雄ねじ部11に対して押圧部材Gの雌ねじ部22をねじ込むと、図10-A(b)及び図11に示されるように、係合部材Eの部分雌ねじ部33とボルト軸Bの雄ねじ部とが部分螺合されることで、当該ボルト軸Bに対して設置体取着具Aがずれる(落下する)のが防止されると共に、係合部材Eの各嵌合凸部34が、設置体取着板Pの各嵌合凹部5に最大に入り込むことで、設置体取着板Pに対する係合部材Eの配置姿勢が確定されて、配置姿勢のずれがなくなる。また、ボルト軸Bにおける設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3で受けられている部分には、押圧部材Gにより押圧力Fが作用することで、当該ボルト軸Bは、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aを前記押圧力Fで押圧して、当該ボルト軸Bは、ボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに圧接される。これにより、図10-B及び図11に示されるように、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに、当該ボルト軸Bの軸方向に沿って形成された被喰込み突条部4に対して当該ボルト軸Bの雄ねじ部の多数のねじ山Baが喰い込むことで、当該ボルト軸Bと設置体取着板Pとが部分的に一体化されて、ボルト軸Bに対する設置体取着板Pの回動に抗する抵抗力が大きくなる。当該ボルト軸Bのねじ山Baが、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに形成された被喰込み突条部4に喰い込むことで、当該ボルト軸Bの雄ねじ部のねじ山Baは、ボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに押圧される。ボルト軸Bのねじ山Baが、設置体取着板Pに形成された被喰込み突条部4に喰い込むのは、ボルト軸Bの材料である金属が、設置体取着板Pの成形材料である樹脂よりも硬度が高いためである。
【0035】
このように、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに当該ボルト軸Bの軸方向に沿って形成された被喰込み突条部4に対して当該ボルト軸Bの雄ねじ部のねじ山Baが喰い込むことで、当該ボルト軸部分収容凹部3の内周面3aが平滑曲面である場合に比較して、当該ボルト軸Bと設置体取着板Pとの一体性が高められる。なお、当該ボルト軸Bと係合部材Eとは、当該ボルト軸Bの雄ねじ部と、当該係合部材Eの部分雌ねじ部33との螺合と、押圧部材Gによるボルト軸Bに対する係合部材Eの押圧力Fとの相乗により、一体性が確保されている。この結果、ボルト軸Bに対して挟圧されている設置体取着板Pと係合部材Eとは、いずれも当該ボルト軸Bに対する一体性がそれぞれ独立した構造で確保されているので、設置体取着具Aを構成する設置体取着板Pと、自身の中空部29に係合部材Eの一部に挿入配置された押圧部材Gとがボルト軸Bに挟圧されて、設置体取着板Pに設置体Kが取着された状態において、当該ボルト軸Bに対する設置体取着具Aの回動は抑制されて、経年使用によっても、当該ボルト軸Bに対して設置体取着具Aが回動される恐れは、殆どなく、設置体取着具Aを介してボルト軸に取着された設置体Kは、長期間に亘って当初の取着姿勢が維持される。
【0036】
また、押圧部材Gの回転の最終時におけるねじ込みにより、ボルト軸Bに対する係合部材Eの押圧力Fを確保しているが、当該押圧部材Gがねじ込み後に逆回転されると、前記押圧力Fは、低減される。この現象を防止するための押圧部材Gの逆回転防止構造が、図12に示されている。即ち、設置体取着板Pのビス螺着用突部7の前端面7aに形成されたビス下孔7bには、ストッパビス41が螺入されていて、押圧部材Gの回転時には、図12(a)に示されるように、当該押圧部材Gのストッパ片23とストッパビス41の頭部41aとの干渉を回避すべく、当該ストッパビス41をビス下孔7bに対して最大に螺入させておき、当該押圧部材Gを最大にねじ込んだ後には、図12(b)に示されるように、ストッパビス41を逆回転させて、その頭部41a が押圧部材Gの複数のストッパ片23のいずれか端面と干渉させることで、当該押圧部材Gの逆回転を防止している。
【0037】
上記した設置体取着具Aにより、建物内に垂直配置されたボルト軸Bに対して設置体Kを取着する方法を図1及び図2を用いて説明する。設置体Kの裏面側の上下方向に沿った端部には、一対の取着フランジ板部51が設けられて、各取着フランジ板部51には、固定ボルト挿通孔52が形成されている。上記したようにして、ボルト軸Bに一対の設置体取着具Aを、設置体Kの一対の取着フランジ板部51の間隔に対応させて挟圧させておき、設置体取着具Aの各固定ボルト挿通長孔14及び設置体Kの各固定ボルト挿通孔52に挿通された固定ボルト53を固定ナット54に螺合させて、固定ボルト53の頭部53aと固定ナット54とで、設置体取着板Pの取着板部1と設置体Kの取着フランジ板部51とを挟み込むことで、一対の設置体取着具Aを介して設置体Kがボルト軸Bに取着される。なお、設置体取着板Pに対して設置体をビスを用いて固定する場合には、当該設置体取着板Pに設けられた長孔状の複数のビス下孔15のいずれかを選択して、設置体のフランジ部をビス固定する。なお、上記設置体Kは、テレビジョンの分配ユニットである。
【0038】
また、ボルト軸Bに対して設置体取着具Aを取着した後において、即ち、設置体取着板Pと押圧部材Gとでボルト軸Bを挟圧した後において、当該ボルト軸Bに対する取着位置が正しくないと気付いた場合には、以下の2つの方法のいずれかで対処して設置体取着具Aを正しい位置に取着し直す。第1の対処方法は、押圧部材Gが回転可能となる位置までストッパビス41をねじ込んだ状態で、前記挟圧は解除されるが、ボルト軸Bと押圧部材Gの部分雌ねじ部33との螺合は維持される程度に、当該押圧部材Gを挟圧時と逆方向に僅かに回転させた後に、設置体取着具Aの全体をボルト軸Bに対して正しい位置まで回転させ、その正しい位置において、押圧部材Gを正方向に回転させて、設置体取着板Pと押圧部材Gとでボルト軸Bを挟圧する。第2の対処方法は、ボルト軸Bと押圧部材Gの部分雌ねじ部33との螺合が解除されるまで、当該押圧部材Gを逆回転させた後に、ボルト軸Bに対して設置体取着具Aの全体を正しい位置までスライドさせて、当該正しい位置において、押圧部材Gを正方向に回転させて、設置体取着板Pと押圧部材Gとでボルト軸Bを挟圧して、設置体取着具Aの挟圧位置をずらす。
【0039】
ここで、請求項1,の受け部である設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに形成されて、ボルト軸Bのねじ山Baが喰い込む「被喰込み部」に関して、上記実施例の被喰込み突条部4は、ボルト軸Bの軸心に対して平行な直線状に形成されているが、図13に示されるように、当該ボルト軸Bのねじ山Baに対して直交又は直交に近くなるように、螺旋状の被喰込み突条部4’にしてもよい。複数の螺旋状の被喰込み突条部4’は、ボルト軸Bのねじ山Baに対して直交又は直交に近くなっているので、当該ねじ山Baが喰い込み易い。
【0040】
更に、前記「被喰込み部」の他の形態としては、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aの全面に点在的に設けられた多数の凸部(突起部)でも可能である。
【0041】
また、上記実施例は、ボルト軸Bに挟圧された設置体取着具Aを構成する設置体取着板Pに固定ボルト又はビスを介して設置体Kを取着する構造であるが、図14の模式図に示される別の実施例のように、ボルト軸Bに対して受け部材Qと押圧部材G’が挟圧して取付けされて、当該受け部材Qに、取付け物の一つである配線ボックス43が一体に設けられた構成にすることも可能である。この別の実施例では、取付け物である配線ボックス43は、一体に設けられた受け部材Qを介してボルト軸Bに直接に取り付けられる例である。
【0042】
上記実施例では、受け部材である設置体取着板Pと押圧部材Gとが、独立した部材で構成されて、当該設置体取着板Pと押圧部材Gとで、ボルト軸に対する一つの「取付け物」となった例であるが、一つの部材に受け部と押圧部とが対向して設けられた構成の取付け物に対しても実施可能である。本発明は、例えば、請求項1,の「受け部」と「押圧部」とが1つの部材である前記特許文献2に開示のピンセット状の連結固定具100に対しても実施可能であり、4分円凹状の第1挟持部107aと、半円凹状の第2挟持部108aとの曲面状の内端面に、それぞれボルト軸状の棒材Pの雄ねじ部が喰込み可能な被喰込み突部を周方向に沿って所定間隔をおいて設けてもよい。
【0043】
上記実施例では、設置体取着具Aを構成する受け部材として機能する設置体取着板P、押圧部材G及び係合部材Eは、いずれも樹脂の射出成形により形成されているが、設置体取着板Pのボルト軸部分収容凹部3の内周面3aに形成された被喰込み突条部4に対してボルト軸の雄ねじ部のねじ山Baが損傷されないで、喰い込むことが可能な材質であれば、材料硬度の観点から換言すると、ボルト軸Bの材質よりも硬度の小さな材質であれば、上記各部材P、G、Eの材質は、樹脂に限定されず、ボルト軸Bよりも硬度の低い金属、或いは樹脂に対して金属をインサートすることで、樹脂と金属との異種材料の併用により形成することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
A:設置体取着具(取付け物)
B:ボルト軸
Ba :ボルト軸のねじ山
E:係合部材
F:押圧力
G:押圧部材(押圧部)
K:設置体
P:設置体取着板(受け部,受け部材)
Q:受け部材(受け部)
3:ボルト軸部分収容凹部
3a :収容凹部の内周面
4,4’:被喰込み突条部(被喰込み部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-A】
図10-B】
図11
図12
図13
図14