IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許-掴み装置および作業機 図1
  • 特許-掴み装置および作業機 図2
  • 特許-掴み装置および作業機 図3
  • 特許-掴み装置および作業機 図4
  • 特許-掴み装置および作業機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】掴み装置および作業機
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020147840
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042417
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森 裕也
(72)【発明者】
【氏名】松本 厚
(72)【発明者】
【氏名】景山 早人
(72)【発明者】
【氏名】打越 聡
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-144144(JP,U)
【文献】実開昭55-088442(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機に取り付けられる掴み装置であって、
基部と、
該基部に設けられた掴み部であって、対象物を掴む掴み部と、
前記基部に設けられた付与部であって、前記掴み部によって掴まれた前記対象物の一端部に当接する当接部と、該当接部を前記基部から離間する方向に駆動する駆動部と、を有し、前記対象物に前記基部から離間する方向の力を付与する付与部と、
前記付与部の動作を制御する制御部と、を備え
前記当接部は、前記掴み部によって掴まれた前記対象物から離間可能であり、
前記制御部は、前記付与部により前記対象物に力を付与する作業を行う場合に、前記当接部を前記掴み部によって掴まれた前記対象物に当接させる一方、前記付与部により前記対象物に力を付与する作業とは異なる作業を行う場合には、前記当接部が前記対象物に当接しないように前記当接部を前記掴み部によって掴まれた前記対象物から離間させる、掴み装置。
【請求項2】
前記対象物を吸着する吸着部と、
前記吸着部を前記対象物に当接させる当接状態と、前記吸着部を前記対象物から離間させる離間状態と、に駆動可能な吸着アームと、を備え、
前記吸着部は、前記掴み部によって前記対象物を掴んだ状態で、前記吸着アームによって前記対象物から離間可能である、請求項1に記載の掴み装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記付与部により前記対象物に力を付与する動作を行う前に、前記吸着アームの動作を制御して、前記吸着部を前記対象物から離間させる、請求項2に記載の掴み装置。
【請求項4】
前記当接部は、前記対象物の一端部の動きを規制する規制部を備える請求項に記載の掴み装置。
【請求項5】
前記付与部は、前記対象物に前記基部から離間する方向の力を周期的または断続的に付与する請求項1から4のいずれか1項に記載の掴み装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の掴み装置が取り付けられた作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホーなどの作業機に取り付けられる掴み装置と、当該作業機とに関する。
【背景技術】
【0002】
上記掴み装置の一例として、特許文献1に記載の矢板類打込み装置が挙げられる。該矢板類打込み装置は、作業機であるパワーショベルのアームの先端に取り付けられるものである。上記矢板類打込み装置は、横倒し状態に置かれた矢板、杭などの矢板類を固定板および揺動爪によって掴み、上記アームの操作によって、上記矢板類を直立状態とし、かつ所定の打込み位置まで移動させて打込み作業を行うものである。また、上記固定板には電磁石が取り付けられており、該電磁石の吸着面が上記揺動爪側に露出するようにしている。これにより、積層状態にある上記矢板類を、その最上層から順次掴みかつ打込みすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-41874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記打込み作業では、上記矢板類に鉛直下向きの力を付与する必要がある。しかしながら、一般に、パワーショベル、バックホーなどの作業機は、その構造上、鉛直下向きの力を精度よく付与することが困難である。このため、従来は、上記作業機が上記矢板類を所定の打込み位置に配置し、その後、別の作業機を用いたり、人がハンマーで叩いたりして、上記打込み作業を行っていた。
【0005】
本発明の一態様は、対象物の打込み作業を適切に行うことができる掴み装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る掴み装置は、作業機に取り付けられる掴み装置であって、基部と、該基部に設けられた掴み部であって、対象物を掴む掴み部と、前記基部に設けられた付与部であって、前記掴み部によって掴まれた前記対象物の一端部に当接して、前記対象物に前記基部から離間する方向の力を付与する付与部と、を備える。
【0007】
上記の構成によると、掴み装置は、掴み部が掴んだ対象物に対し、基部から離間する方向の力を付与部が付与することができる。従って、前記掴み装置を取り付けた作業機によって、前記基部から離間する向きが鉛直下向きとなるように前記掴み装置が配置される場合、前記付与部は、前記対象物に対し鉛直下向きの力を付与することができる。その結果、前記対象物の打込み作業を適切に行うことができる。
【0008】
本態様に係る掴み装置では、前記付与部は、前記対象物の一端部に当接する当接部と、該当接部を前記基部から離間する方向に駆動する駆動部と、を備えてもよい。この場合、前記駆動部により、前記基部から離間する方向に、前記当接部を移動させて前記対象物を押し出すことができる。なお、前記駆動部の駆動方式の一例としては、ブレーカ、油圧シリンダなどの駆動方式が挙げられる。
【0009】
本態様に係る掴み装置では、前記当接部は、前記対象物の一端部の動きを規制する規制部を備えてもよい。この場合、前記対象物の一端部の動きが規制されることにより、前記対象物の他端部の動きが規制される。その結果、前記打込み作業を精度よく行うことができる。
【0010】
本態様に係る掴み装置では、前記当接部は、前記掴み部によって掴まれた前記対象物から離間可能であってもよい。この場合、前記当接部は、前記打込み作業以外では前記対象物から離間させておき、前記打込み作業では前記対象物に当接させることができる。これにより、前記打込み作業以外において、前記対象物に外力が作用して、該外力が前記当接部に伝播し、その結果、前記外力によって前記当接部が破損することを防止できる。
【0011】
本態様に係る掴み装置では、前記付与部は、前記対象物に前記基部から離間する方向の力を周期的または断続的に付与してもよい。この場合、一度では、前記対象物を地中に打ち込めない場合であっても、周期的または断続的に幾度も打ち込むことで、地中に前記対象物を打ち込むことができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る作業機は、上記構成の掴み装置が取り付けられている。上記の構成によれば、上述の掴み装置と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、対象物の打込み作業を適切に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る掴み装置の概略構成を示す正面図であり、一部を切り欠いて示す図である。
図2】上記掴み装置の概略構成を示す側面図であり、一部を切り欠いて示す図である。
図3】上記掴み装置によって、矢板類を持ち上げる動作を説明する図であり、一部を切り欠いて示す図である。
図4】上記掴み装置によって、矢板類を打ち込む動作を説明する図であり、一部を切り欠いて示す図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る掴み装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
【0017】
(掴み装置の構成)
図1および図2は、それぞれ、本実施形態に係る掴み装置1の概略構成を示す正面図および側面図である。掴み装置1は、バックホーなどの作業機のアーム11の先端に着脱可能に取り付けられる作業具である。本実施形態では、掴み装置1は、横倒し状態に置かれた矢板、杭などの矢板類30(対象物)を掴み、アーム11の操作によって、矢板類30を直立状態とし、かつ所定の打込み位置まで移動させて打込み作業を行うものである。
【0018】
図1および図2に示すように、掴み装置1は、基部12、掴み部13、吸着アーム14、吸着部15、制御部16、および、押出部20(付与部)を備える。さらに、掴み装置1は、掴み部13および吸着アーム14をそれぞれ駆動するための油圧シリンダ131・141を備える。なお、図1および図2では、基部12の内部構成を明示するために、基部12の一部を切り欠いて示している。
【0019】
基部12は、作業機のアーム11の先端にクイックカプラ等の着脱機構により着脱可能に取り付けられる接続部材であると共に、掴み装置1の各部が取り付けられる取付部材でもある。
【0020】
掴み部13は、矢板類30を掴む機構を有しており、複数の爪を備えている。本実施形態では、掴み部13は、複数の油圧シリンダ131によって駆動されているが、これに限定されるものではなく、例えばモータによって駆動されてもよいし、1つの油圧シリンダ131とリンク機構とによって駆動されてもよい。また、掴み部13における対象物と当接する面は、対象物に密着し易いように対象物の形状に対応した形状(例えば平面形状、湾曲形状、あるいは凹凸形状等)を有していてもよい。なお、掴み部13は、公知のものを利用できるので、その詳細な説明を省略する。
【0021】
油圧シリンダ131が伸長状態である場合、掴み部13は閉じており、矢板類30を把持する把持状態となる。一方、油圧シリンダ131が収縮状態である場合、掴み部13は開いており、矢板類30を解放する解放状態となる。
【0022】
吸着アーム14は、矢板類30に対し吸着部15を当接または離間させるための機構である。油圧シリンダ141が伸長状態である場合、矢板類30に吸着部15が当接した当接状態となる。一方、油圧シリンダ141が収縮状態である場合、矢板類30から吸着部15が離間した離間状態となる。なお、本実施形態では、吸着アーム14は、基部12に取り付けられた油圧シリンダ141によって駆動されているが、これに限定されるものではなく、例えばモータによって駆動されてもよい。
【0023】
吸着部15は、矢板類30を吸着する部材であり、吸着アーム14の先端に設けられている。本実施形態では、吸着部15は、電磁石151を備え、電磁石151に通電することにより発生する磁気によって矢板類30を吸着することができる。なお、吸着部15における対象物と当接する面は、対象物に密着し易いように対象物の形状に対応した形状(例えば平面形状、湾曲形状、あるいは凹凸形状等)を有していてもよい。また、吸着部15は電磁石以外の方法により矢板類30を吸着するものであってもよい。
【0024】
図2に示すように、掴み部13および吸着アーム14は相互に干渉しないように配置されている。従って、掴み部13および吸着アーム14は互いに独立して動作することができる。
【0025】
制御部16は、掴み装置1における各部を制御するものである。制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各部の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。
【0026】
押出部20は、基部12に設けられ、矢板類30の一端部に当接して、基部12から離間する向きに押し出すものである。具体的には、押出部20は、基部12に配置された油圧機構21(駆動部)と、油圧機構21と矢板類30との間に配置された当接部22とを備える。
【0027】
油圧機構21は、基部12から離間する向きに当接部22を押し出すように駆動するものである。油圧機構21の駆動方式の一例としては、ブレーカ、油圧シリンダなどの駆動方式が挙げられる。すなわち、油圧機構21は、当接部22に基部12から離間する方向の力を連続的に付与するものであってもよいし、上記力を周期的に付与するものであってもよいし、上記力を断続的に付与するものであってもよい。上記力を周期的または断続的に付与する場合、一度では、矢板類30を地中に打ち込めない場合であっても、周期的または断続的に幾度も打ち込むことで、地中に矢板類30を打ち込むことができる。
【0028】
なお、油圧機構21は、公知のものを利用できるので、その詳細な説明を省略する。また、油圧機構21の代わりにモータを設けてもよい。
【0029】
当接部22は、矢板類30の一端部に当接するものである。油圧機構21の駆動によって当接部22が押し出され、これにより矢板類30が押し出されることになる。
【0030】
また、当接部22は、掴み部13によって掴まれた矢板類30から離間可能となっている。これにより、当接部22は、上記打込み作業以外では矢板類30から離間させておき、上記打込み作業では矢板類30に当接させることができる。従って、上記打込み作業以外において、矢板類30に外力が作用して、該外力が当接部22に伝播し、その結果、上記外力によって当接部22が破損することを防止できる。
【0031】
また、当接部22は、矢板類30の一端部が差し込み可能な溝部221(規制部)を備える。これにより、矢板類30の一端部の動きが規制されることになり、打込みの先端となる矢板類30の他端部の動きを規制することができる。その結果、上記打込み作業を精度よく行うことができる。なお、溝部221の代わりに、矢板類30の一端部が嵌合する凹部を当接部22に設けてもよい。
【0032】
(矢板類の持ち上げ作業)
図3は、掴み装置1によって、矢板類30を持ち上げる動作を説明する図であり、一部を切り欠いて示している。図3に示すように、矢板類30の持ち上げ動作開始時、掴み装置1は、掴み部13を解放状態とし、吸着部15を当接状態とする。そして、吸着部15にて矢板類30を吸着し、積み重ねられた矢板類30の一枚のみを、作業機のアーム11によって持ち上げる。この時、矢板類30は、吸着部15の吸着力のみで保持されている。
【0033】
次に、図1に示すように、掴み部13を把持状態にして、矢板類30を掴む。この時、矢板類30は、吸着部15の吸着力に加え、掴み部13の把持力によって掴まれている。
【0034】
(矢板類30の打込み作業)
図4は、掴み装置1によって、矢板類30を地中に打ち込む動作を説明する図であり、一部を切り欠いて示している。作業機の操作者は、矢板類30を鉛直方向に立てた状態として、所定位置に配置するよう操作し、掴み装置1に打込み作業を指示する。
【0035】
このとき、掴み装置1の制御部16の制御によって、図4に示すように、吸着部15を離間状態とし、当接部22を矢板類30の一端部に当接した状態とする。そして、油圧機構21によって当接部22を、基部12から離間する方向に押し出す。これにより、矢板類30が鉛直下向きに押し出されて、打込み作業が行われる。
【0036】
以上のように、本実施形態では、吸着部15および掴み部13が矢板類30に対する接離(接触(当接)および離間)をそれぞれ独立して行うことができる。これにより、吸着部15が吸着した矢板類30を掴み部13が掴み、掴み部13が矢板類30を掴んだ状態で吸着部15を矢板類30から離間させることができる。その結果、打込み作業などの各種作業によって矢板類30に加わる衝撃が吸着部15に伝播することを抑制することができる。
【0037】
また、制御部16は、押出部20の油圧機構21を動作させる前に、吸着部15を矢板類30から離間させるように制御するので、打込み作業によって矢板類30に加わる衝撃が吸着部15に伝わることを確実に抑制することができる。
【0038】
また、押出部20の油圧機構21および当接部22によって、矢板類30に対し鉛直下向きの力を付与することができ、矢板類30を鉛直下向きに押し出すことができる。その結果、矢板類30の打込み作業を適切に行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、吸着部15、掴み部13、および押出部20の動作を制御部16が制御するものとしたが、これに限らず、これら各部の動作の一部または全部をオペレータが図示しない操作手段により手動操作するようにしてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、押出部20の油圧機構21が当接部22を押し出すように駆動することにより矢板類30を地中に打ち込むものとしたが、これに限らず、作業機によるアーム11の押し下げと押出部20による当接部22の押し出しとの併用により矢板類30を地中に打ち込むようにしてもよい。すなわち、押出部20は、対象物に当該対象物を地中に打ち込むための力を付与するものであってもよく、当該対象物の地中への打込みを補助するための力を付与するものであってもよい。また、押出部(付与部)20は、対象物に振動を与えることにより矢板類30を打ち込むものであってもよい。
【0041】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5を参照して説明する。
【0042】
図5は、本実施形態に係る掴み装置1における概略構成を示すブロック図である。本実施形態の掴み装置1は、図1図4に示す掴み装置1に比べて、吸着部15において電磁石151に代えて真空吸着パッド152が設けられている点と、真空ポンプ31、圧力センサ32(検出部)、および点灯部33(報知部)が新たに設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
【0043】
真空吸着パッド152は、矢板類30に当接して真空吸着するための部材である。真空ポンプ31は、矢板類30と真空吸着パッド152との間を真空(低圧)にするためのものである。なお、真空吸着パッド152および真空ポンプ31は、公知のものを利用できるので、その詳細な説明を省略する。
【0044】
圧力センサ32は、真空吸着パッド152と真空ポンプ31との間に設けられ、矢板類30と真空吸着パッド152との間の圧力を検出するものである。圧力センサ32は、検出信号を制御部16に送信する。
【0045】
点灯部33は、報知用の点灯を行うものであり、作業機の操作者が視認し易い位置に設けられる。従って、点灯部33は、作業機の本体、ブーム、またはアームに設けられてもよい。また、点灯部33は、吸着状態に応じて点灯状態と消灯状態とに切り替わるものであってもよく、吸着状態に応じて点灯色が変化するものであってもよい。また、点灯部33の代わりに、各種情報を表示するディスプレイを設けてもよい。この場合、吸着状態を示すアイコン等の表示/非表示を切り替えるようにしてもよく、アイコン等の表示色を変更するようにしてもよい。
【0046】
図5に示すように、制御部16は、圧力取得部161と点灯制御部162とを備えている。圧力取得部161は、圧力センサ32からの検出信号を取得し、取得した検出信号から、上記圧力の値を算出するものである。圧力取得部161は、算出した圧力の値を点灯制御部162に送出する。点灯制御部162は、圧力取得部161からの圧力の値が、矢板類30を持ち上げるのに十分低い値である場合に、点灯部33が点灯するように制御するものである。
【0047】
上記の構成によると、作業機の操作者は、点灯部33を参照することにより、真空吸着パッド152が矢板類30を確実に吸着しているかを判断することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、吸着部15が真空吸着パッド152を備え、圧力取得部(検出部)161が圧力センサ32による矢板類30と真空吸着パッド152との間の圧力の検出結果に基づいて、矢板類30の吸着状態を判断する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、吸着部15が電磁石151を備え、検出部(図示せず)が電磁石151による磁束の変化に基づいて矢板類30の吸着状態を検出するようにしてもよい。より具体的には、例えば、電磁石151のコイルを直流電源により励磁したときの起磁力で発生する磁束を、ホール素子、磁気抵抗素子などの磁気センサ、あるいは探りコイル(サーチコイル)等で計測することにより、吸着状態を検出するようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、矢板類30の吸着状態を点灯部33の点灯状態によって報知する構成について説明したが、これに限らず、例えば、音声によって報知するようにしてもよく、点灯部33の点灯状態と音声との両方によって報知するようにしてもよい。
【0050】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
例えば、上記実施形態では、当接部22に溝部221が設けられているが、当接部22は、矢板類30が当接する面が平坦な面であってもよい。この場合、当接部22は、種々の形状の矢板類30に対応することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、掴み装置1の各部を制御する制御部16が掴み装置1の基部12に設けられているが、制御部16の一部または全部の機能が、作業機の本体に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、矢板類30に力を付与する押出部20を備えている構成について説明したが、これに限らず、押出部20を省略し、掴み部13と吸着部15とを備える構成としてもよい。また、上記実施形態では、矢板類30を吸着する吸着部15を備えている構成について説明したが、これに限らず、吸着部15を省略し、掴み部13と押出部20とを備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 掴み装置
11 アーム
12 基部
13 掴み部
14 吸着アーム
15 吸着部
16 制御部
20 押出部(付与部)
21 油圧機構(駆動部)
22 当接部
30 矢板類(対象物)
31 真空ポンプ
32 圧力センサ(検出部)
33 点灯部(報知部)
131・141 油圧シリンダ
151 電磁石
152 真空吸着パッド
161 圧力取得部
162 点灯制御部
221 溝部(規制部)
図1
図2
図3
図4
図5