(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240214BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240214BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G01C21/26 C
(21)【出願番号】P 2020192389
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康博
(72)【発明者】
【氏名】藤森 一憲
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈昌
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095460(JP,A)
【文献】特開2009-244032(JP,A)
【文献】特開2019-197406(JP,A)
【文献】特表2019-526850(JP,A)
【文献】特開2020-111223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両から車両データを受信することと、
前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定することと、
前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを推定することと、
前記推定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てることと、
を実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記第一の車両が前記第一の状態にある場合において、前記第一の車両が前記第二の状態にある場合と比較して、他の交通に与える支障の度合いがより低い位置に前記第一の車両の停車位置を割り当てる、
情報処理装置。
【請求項2】
停車位置ごとの、前記他の交通に対する阻害の度合いを記述したデータを記憶する記憶部をさらに有する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一の車両の目的地をさらに推定する、
請求項
1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一の車両が、前記第一の車両に対応する目的地の近傍に位置する場合に、前記割り当てを行う、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、目的地が前記第一の車両と同一である他の車両について停車位置の割り当てがある場合に、当該他の車両に割り当てられた停車位置を案内する情報を、前記第一の車両にさらに送信する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記停車位置を案内するための案内情報を、前記第一の車両に送信する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記車両に乗降する人に関連付いた携帯端末とさらに通信可能に構成され、
前記制御部は、前記車両と、前記携帯端末の位置情報をそれぞれ取得する、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記取得した位置情報のそれぞれに基づいて、前記第一の車両の停車時間を推定する、
請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車載装置と、サーバ装置と、を含む情報処理システムであって、
前記車載装置は、
前記サーバ装置に対して車両データを送信することと、
前記サーバ装置から受信した情報を出力することと、
を実行する第一の制御部を有し、
前記サーバ装置は、
前記車載装置から前記車両データを受信することと、
前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定することと、
前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを推定することと、
前記推定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てることと、
前記割り当ての結果を、前記車載装置に送信することと、
を実行する第二の制御部を有し、
前記第二の制御部は、前記第一の車両が前記第一の状態にある場合において、前記第一の車両が前記第二の状態にある場合と比較して、他の交通に与える支障の度合いがより低い位置に前記第一の車両の停車位置を割り当てる、
情報処理システム。
【請求項10】
前記第一の制御部は、前記割り当てられた停車位置を地図上にマッピングし、出力する、
請求項
9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の車両から車両データを受信するステップと、
前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定するステップと、
前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを推定するステップと、
前記推定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てるステップと、
を含み、
前記第一の車両が前記第一の状態にある場合において、前記第一の車両が前記第二の状態にある場合と比較して、他の交通に与える支障の度合いがより低い位置に前記第一の車
両の停車位置を割り当てる、
情報処理方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両ナビゲーション技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両による送迎を支援するための技術がある。例えば、特許文献1には、車両の走行目的が「送り」であるか「迎え」であるかを判定し、判定結果に基づいて、当該車両向けにサービスを提供するシステムが開示されている。当該システムによると、例えば、車両から降車した位置と、迎えの車両が到着した位置がどれほど離れているかといった情報を、当該車両に乗降する人に通知するといったことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
学校や学習塾といった施設の近傍において、人の乗降を目的とする複数の車両が集まることがある。これらの車両が路上において人を乗降させる場合、他の交通を阻害するおそれが生じうる。
【0005】
本開示は上記の課題を考慮してなされたものであり、人の乗降のために一時的に停車する車両に、適切な停車位置を割り当てることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、
複数の車両から車両データを受信することと、前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定することと、前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを判定することと、前記判定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てることと、を実行する制御部を有する。
【0007】
また、本開示の第二の態様に係る情報処理システムは、
複数の車両にそれぞれ搭載された複数の車載装置と、サーバ装置と、を含む情報処理システムであって、前記車載装置は、前記サーバ装置に対して車両データを送信することと、前記サーバ装置から受信した情報を出力することと、を実行する第一の制御部を有し、前記サーバ装置は、前記車載装置から前記車両データを受信することと、前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定することと、前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを判定することと、前記判定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てることと、前記割り当ての結果を、前記車載装置に送信することと、を実行する第二の制御部を有する。
【0008】
また、本開示の第三の態様に係る情報処理方法は、
複数の車両から車両データを受信するステップと、前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第
一の車両を特定するステップと、前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを判定するステップと、前記判定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てるステップと、を含む。
【0009】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、人の乗降のために一時的に停車する車両に、適切な停車位置を割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ナビゲーションシステムの概要を説明する図。
【
図2】ナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図。
【
図7】第一の実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【
図8】第一の実施形態において提示されるインタフェース画面の例。
【
図9A】停車領域ごとに与えられた評価値の第二の例。
【
図9B】停車領域ごとに与えられた評価値の第三の例。
【
図9C】停車領域ごとに与えられた評価値の第四の例。
【
図10】第二の実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【
図11】第二の実施形態において提示されるインタフェース画面の例。
【
図12】第三の実施形態におけるナビゲーションシステムの概要を説明する図。
【
図13】第三の実施形態における車両データベースの例。
【
図14】第三の実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、人の送迎のために一時的に停車する車両に対して、道路上における停車位置を割り当てる装置である。
【0013】
送迎のための車両が多く集まる施設の周辺においては、車両が路上に無秩序に止められる場合が多く、円滑な交通の流れを妨げる原因となっている。
本開示に係る情報処理装置は、これに対応するため、車両から送信されたデータに基づいて、当該車両についての好適な停車位置を決定する。
【0014】
情報処理装置は、複数の車両から車両データを受信することと、前記車両データに基づいて、前記複数の車両の中から、所定の期間内において人の乗降のために停車することが予測される第一の車両を特定することと、前記車両データに基づいて、前記第一の車両が、人を乗車させるための停車を行うことが予測される第一の状態にあるか、人を降車させるための停車を行うことが予測される第二の状態にあるかを判定することと、前記判定の結果に基づいて、前記第一の車両に停車位置を割り当てることと、を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0015】
車両が人を送迎する場合、その目的によって、停車時間が異なる。例えば、人を送りに
来ている車両は、降車が済めばただちに発車することができる。一方、人を迎えに来ている車両は、対象者が現れるまで停車し続ける必要がある。よって、車両が第一の状態にあるか、第二の状態にあるかによって、適切な停車位置が異なりうる。
例えば、車両が第二の状態にある場合、当該車両は短時間で発車することが推定されるため、他の交通への妨げをある程度許容することができる。一方、車両が第一の状態にある場合、他の交通への影響が最低限になるような場所に停車させたほうが好ましい。
このように、車両の状態に基づいて、各車両の好ましい停車位置を決定することで、路上における交通整理を行うことができる。なお、決定した停車位置は、対象の車両に提供してもよいし、当該車両の周辺にいる他の車両に提供してもよい。
【0016】
また、前記車両データは、前記車両の乗車人数を含み、前記制御部は、前記乗車人数に基づいて、前記第一の車両が前記第一の状態にあるか、前記第二の状態にあるかを判定することを特徴としてもよい。
車両に乗車している人の数を利用して、状態の判定を行うことができる。例えば、乗車人数が一名である場合、人を迎えに行く途中であることが推定できる。また、乗車人数が複数名である場合、人を送りに行く途中であることが推定できる。
【0017】
また、前記車両データは、前記車両の乗車人数と、前記第一の車両の目的地を識別するための情報と、を含み、前記制御部は、前記目的地、および、前記乗車人数に基づいて、前記第一の車両が前記第一の状態にあるか、前記第二の状態にあるかを判定することを特徴としてもよい。
車両の目的地を識別するための情報とは、目的地そのものの識別子であってもよいし、目的地を推定するための間接的な情報(例えば、車両の識別子、曜日、時間帯、走行エリア、走行経路等)であってもよい。
例えば、車両がある目的地に向かう際に、「人を送りに行く際は2名、迎えに行く際は1名が乗車する」という事前情報がある場合、目的地と乗車人数によって、状態の判定を行うことができる。
【0018】
また、前記制御部は、停車した前記第一の車両が他の交通に与える支障の度合いに基づいて、前記停車位置の割り当てを行うことを特徴としてもよい。
また、前記制御部は、前記第一の車両が前記第一の状態にある場合に、前記第一の車両が前記第二の状態にある場合と比較して、前記支障の度合いがより低い場所を、前記停車位置として割り当てることを特徴としてもよい。
また、情報処理装置は、停車位置ごとの前記支障の度合いを記述したデータを記憶する記憶部をさらに有することを特徴としてもよい。
車両が第一の状態にある場合、当該車両が第二の状態にある場合と比較してより長い停車時間が見込まれるため、他の交通への支障がより低い場所を停車位置とすることが好ましいためである。
【0019】
また、情報処理装置は、前記制御部は、前記第一の車両の目的地をさらに推定することを特徴としてもよい。
人を送迎する際の状況(例えば、車両の乗車人数)は、目的地ごとに異なる場合がある。よって、目的地を推定することで、より適切な判定を行えるようになる。
【0020】
また、前記制御部は、前記第一の車両が、前記第一の車両に対応する目的地の近傍に位置する場合に、前記割り当てを行うことを特徴としてもよい。
かかる構成によると、適切なタイミングで情報提供を行うことができる。
【0021】
また、前記制御部は、前記第一の車両が第一の状態にある場合に、前記第一の車両が第二の状態にある場合と比較して、より前記目的地に近い場所を、前記停車位置として割り
当てることを特徴としてもよい。
第一の状態、すなわち、車両が対象者を迎えに来ている場合、当該対象者が車両を発見しやすいように、目的地により近い場所を案内するようにしてもよい。
【0022】
また、前記制御部は、前記第一の車両の近傍に位置する他の車両について停車位置の割り当てがある場合に、当該他の車両に割り当てられた停車位置を案内する情報を、前記第一の車両にさらに送信することを特徴としてもよい。
また、前記制御部は、目的地が前記第一の車両と同一である他の車両について停車位置の割り当てがある場合に、当該他の車両に割り当てられた停車位置を案内する情報を、前記第一の車両にさらに送信することを特徴としてもよい。
かかる構成によると、第一の車両の近傍にいる他の車両がすぐに発車するか否かを、第一の車両の運転者に認識させることができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記停車位置を案内するための案内情報を、前記第一の車両に送信することを特徴としてもよい。
かかる構成によると、第一の車両の運転者に対して好適な停車位置を教示することが可能になる。
【0024】
また、情報処理装置は、前記車両に乗降する人に関連付いた携帯端末とさらに通信可能に構成され、前記制御部は、前記車両と、前記携帯端末の位置情報をそれぞれ取得することを特徴としてもよい。
また、前記制御部は、前記取得した位置情報のそれぞれに基づいて、前記第一の車両の停車時間を推定することを特徴としてもよい。
【0025】
携帯端末は、例えば、車両によって送迎される対象者が所持する端末とすることができる。携帯端末と車両それぞれの位置情報を参照することで、停車した車両が発車するまでの時間を推定することができる。
【0026】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るナビゲーションシステムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係るナビゲーションシステムは、道路上において車両が一時的に停車することができる複数の領域を管理するサーバ装置100と、車両に搭載された車載端末200と、を含んで構成される。
【0028】
本実施形態に係るナビゲーションシステムでは、道路上において車両が一時的に停車可能な領域を、「停車領域」として管理する。道路上における停車領域は、システムによって予め定義される。サーバ装置100は、車両に対して停車領域を割り当て、教示することで、道路上の好適な停車位置に当該車両を停車させる。また、サーバ装置100が停車領域を割り当てる対象である車両を、「対象車両」と称する。
【0029】
サーバ装置100は、システムの管理下にある車両が、出先において、人を乗降させるために一時的な停車を行うことを判定し、当該車両に対して、好適な停車位置を案内する装置である。
【0030】
道路上において車両が停車可能な場所は多い。しかし、学習塾への送迎などで、多くの車が一箇所に集まるような場合、交通の混乱を引き起こす可能性がある。そこで、サーバ
装置100は、車載端末200から収集した情報に基づいて、車両ごとの適切な停車位置を決定し、決定した停車位置を案内するための情報を、対象車両に搭載された車載端末200に送信する。これにより、車両を適切な場所に誘導することができ、交通の円滑化を図ることができる。
【0031】
車載端末200は、管理下にある複数の車両にそれぞれ搭載されたコンピュータである。車載端末200は、自車両から車両データを取得し、サーバ装置100に周期的に送信する。本実施形態では、車両データとは、(1)車両が所定の期間内において、人の乗降のために停車するか否か、および、(2)当該停車が、人を降車させるための停車であるか、人を乗車させるための停車であるか、を判断するために用いられるデータである。
【0032】
図2は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成要素をより詳細に示した図である。
車両プラットフォーム300は、車両を制御するコンピュータ(例えば、エンジンECU、ボディECU等)を含むプラットフォームである。車両プラットフォーム300は、車両内においてセンシングされた複数のセンサデータを取得可能に構成される。
【0033】
車載端末200は、車両に搭載されたコンピュータである。車載端末200は、制御部201、記憶部202、通信部203、入出力部204、および、車両通信部205を含んで構成される。車載端末200は、サーバ装置100および車両プラットフォーム300と通信可能に構成される。
【0034】
制御部201は、車載端末200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができる
。
制御部201は、車両データ取得部2011、車両データ送信部2012、および、ナビゲーション部2013の3つの機能モジュールを有して構成される。これらの機能モジュールは、後述する記憶部202に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0035】
車両データ取得部2011は、自車両に関するデータ(以下、車両データ)を取得する。本実施形態では、車両データは、車両の現在位置を表すデータ、車両の目的地に関するデータ、および、車両に乗車している人の数(乗車人数)を表すデータを含む。
車両の現在位置を表すデータは、車両が有するGPSモジュール等から取得することができる。
車両の目的地に関するデータは、目的地を直接表すもの(例えば、目的地の識別子)であってもよいが、対象車両の目的地を推定するためのデータであってもよい。例えば、車両の位置情報の履歴、車両が走行した経路、走行環境に関する情報(日付、曜日、時間帯等)などであってもよい。ナビゲーション部2013が、目的地までのナビゲーションを提供している場合、車両データ取得部2011は、ナビゲーション部2013から、目的地に関する情報を取得することができる。
【0036】
車両に乗車している人の数は、車両プラットフォーム300から取得することができる。例えば、車両プラットフォーム300が、シートセンサ、シートベルトセンサ、車内に設置された画像センサなどを有している場合、これらのセンサから取得したセンサデータに基づいて、乗車人数を判定することができる。
【0037】
車両データ送信部2012は、車両データ取得部2011によって取得された車両データを、サーバ装置100に周期的に送信する。
【0038】
ナビゲーション部2013は、車両の運転者に対してナビゲーション機能を提供する。具体的には、経路案内の提供、交通情報の提供などを行う。ナビゲーション部2013は、車両の現在位置を取得するためのユニット(GPSモジュール等)や、外部から交通情報を取得するためのユニット(通信モジュール等)と通信可能に構成されてもよい。これらのユニットは、車両ないし車載端末200に含まれていてもよい。
【0039】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部201で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部201によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
また、記憶部202は、ナビゲーション機能を提供するためのデータ(道路地図データ)などを記憶していてもよい。
【0040】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。
【0041】
通信部203は、車載端末200をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部203は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、サーバ装置100と通信可能に構成される。
入出力部204は、利用者が行った入力操作を受け付け、利用者に対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0042】
車両通信部205は、車両プラットフォーム300と通信を行うためのインタフェースユニットである。車両通信部205は、車両プラットフォーム300が取得したセンサデータを、車載ネットワーク経由で取得することができる。
【0043】
次に、サーバ装置100について説明する。
サーバ装置100は、車載端末200から車両データを受信する処理と、受信した車両データに基づいて、対象車両が、所定の期間内において人を乗降させるために停車すること、および、当該停車の目的(人を乗車させるための停車であるか、人を降車させるための停車であるか)を推定する。
さらに、推定した目的と、対象車両の目的地に基づいて、当該対象車両が停車すべき場所(停車領域)を決定し、これを案内する情報を、対象車両に搭載された車載端末200に送信する。
【0044】
サーバ装置100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、サーバ装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路に
よって実現されてもよい。
【0045】
制御部101は、サーバ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、データ取得部1011、停車判定部1012、および、領域決定部1013の3つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0046】
データ取得部1011は、システムの管理下にある対象車両に搭載された車載端末200から車両データを取得し、取得した車両データを、後述する記憶部102に記憶させる処理を実行する。
【0047】
停車判定部1012は、記憶された車両データに基づいて、対象車両が、所定の期間内において人を乗降させるために停車するか否かを判定し、さらに、当該停車の目的が、乗車のための停車であるか、降車のための停車であるかを判定する。
停車判定部1012が行った判定の結果は、領域決定部1013に送信される。
【0048】
領域決定部1013は、停車判定部1012が行った判定の結果と、車両の目的地に基づいて、対象車両に対して停車領域を割り当てる。
【0049】
ここで、
図3Aおよび
図3Bを参照して、停車領域について説明する。図中における対象施設とは、車両による送迎が多く発生する施設である。対象施設は、典型的には、学校、教育施設、スポーツ施設などであるが、これ以外であってもよい。このような施設の周辺においては、送迎のための車両が多く集まる場合が多い。
【0050】
図3Aに示した例では、施設の利用者は、符号Aで示したような、施設により近い場所に車を停める傾向がある。しかし、このような場所は交差点に近く、人を待つために長時間車両を停車させることは好ましくない。よって、人を待つために停車する車両は、符号Bや符号Cで示したような、より交差点から遠い場所に誘導することが好ましい。一方、人を降車させるために停車する車両は、短時間で発車できるため、この限りではない。
【0051】
図3Bに示した例でも同様に、施設の利用者は、符号Aで示したような、施設により近い場所に車を停める傾向がある。しかし、当該施設の前面道路は道幅が狭く、長時間停車すると交通の妨げになりうる。よって、人を待つために停車する車両は、符号Bや符号Cで示したような、より広い道路に誘導することが好ましい。
【0052】
このように、車両の好適な停車位置は、人を降車させるための停車であるか、人を乗車させるための停車であるかによって異なる。
領域決定部1013は、記憶された情報に基づいて、人を乗降させる予定のある複数の車両のそれぞれについて、誘導先となる領域(停車領域)を決定し、当該領域を教示するための情報を生成する。生成された情報は、車載端末200に送信される。
【0053】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0054】
さらに、記憶部102は、道路データベース102Aおよび車両データベース102Bを記憶する。
【0055】
道路データベース102Aは、道路ネットワークに関するデータが記憶されるデータベースである。
図4に示したように、道路データベース102Aには、車両が走行可能な道路のデジタル地図データ(道路地図データ)と、道路上において車両が停車可能な領域を定義するテーブル(停車領域テーブル)が含まれる。
【0056】
停車領域テーブルには、例示したように、停車領域の識別子、停車領域の位置情報、停車領域の評価値などが格納される。
評価値とは、対象の領域に車両が停車した場合に、他の交通(自動車、軽車両、歩行者など)の円滑さにどの程度の影響を与えるかを示した値である。例えば、交差点に近い、横断歩道に近い、曲がり角に近い、あるいは、道幅が狭いなど、長時間の停車が望ましくない領域については、より小さい評価値が与えられ得る。反対に、他の交通の円滑さに影響を与えにくい領域については、より大きい評価値が与えられ得る。
図5は、停車領域ごとに与えられた評価値の例である。本例では、交差点に近い領域であるほど小さい評価値が与えられている。
道路データベース102Aを参照することで、人の乗降のために停車しようとしている車両を、どの領域に誘導すべきかを判定することができる。
【0057】
車両データベース102Bは、車両に関するデータが記憶されるデータベースである。
図6に示したように、車両データベース102Bには、複数の車両(車載端末200)から送信された車両データを記録するテーブル(車両情報テーブル)と、各車両が行う送迎に関する情報を予め記録したテーブル(送迎条件テーブル)が含まれる。
【0058】
車両情報テーブルは、車両データを格納するテーブルである。当該テーブルには、車両の識別子、車両データが生成された日時、車両の位置情報、車両の目的地に関する情報、センシングによって得られた乗車人数などが格納される。車両情報テーブルは、車載端末200から周期的に受信した車両データに基づいて随時更新される。
【0059】
送迎条件テーブルは、車両が行う送迎の詳細に関するデータを格納するテーブルである。当該テーブルには、送迎が発生する条件、目的地、運行種別、送迎の際に車両に乗車する人の数などが予め格納される。
【0060】
条件フィールドには、送迎が発生する条件が格納される。例えば、特定の曜日の特定の時間帯に送迎が発生する場合、該当する曜日および時間帯を示すデータが条件フィールドに格納される。
目的地フィールドには、送迎の目的地が格納される。目的地は、緯度や経度によって表されてもよいし、施設等を一意に識別するIDなどによって表されてもよい。なお、車両データに基づいてサーバ装置100が車両の目的地を推定する形態をとる場合、サーバ装置100が、受信した車両データに基づいて目的地の推定を行い、推定した目的地を当該フィールドに格納してもよい。
運行種別フィールドには、「送り」または「迎え」が格納される。当該フィールドが「送り」である場合、人を送るための運行であることを表す。また、当該フィールドが「迎え」である場合、人を迎えに行くための運行であることを表す。
乗車人数フィールドには、車両に乗車する人の数が格納される。運行種別が「送り」である場合と、「迎え」である場合とで、通常、車両に乗車する人の数は異なる。よって、人数を予め定義しておくことで、運行種別の判定に利用することができる。
【0061】
道路データベース102Aおよび車両データベース102Bは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、記憶装置に記憶されるデータを管理することで構築される。道路データベース102Aおよび車両データベース102Bは、例えばリレーショナルデータベースである。
【0062】
通信部103は、サーバ装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信モジュールを含んで構成される。
【0063】
なお、
図2に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0064】
図7は、サーバ装置100が実行する処理を示したフローチャートである。
図7に示したフローチャートは、システムの稼働中において、管理下にある複数の車両のそれぞれを対象として、周期的に実行される。
【0065】
ステップS11では、データ取得部1011が、対象車両に搭載された車載端末200から車両データを受信する。受信した車両データは、車両データベース102Bに反映される。
【0066】
次に、ステップS12で、停車判定部1012が、取得した車両データに基づいて、対象車両が、現在、人の送迎を行うために走行しているか否かを判定する。
本ステップでは、まず、車両IDを用いて送迎条件テーブルを検索し、得られた条件の一致/不一致を判定する。
図6の例によると、例えば、車両データが生成された日時が火曜日の16時台である場合、対象車両は、人を送迎するために走行していると判定することができる。ここで、対象車両の状態が「送迎中」であると判定された場合(ステップS13-Yes)、処理はステップS14へ遷移する。それ以外の場合(ステップS13-No)、処理はステップS11へ戻る。
【0067】
ステップS14では、対象車両が目的地に接近したか否かを判定する。本ステップで肯定判定がなされた場合、処理はステップS15に進む。本ステップで否定判定がなされた場合、所定の時間だけ待機し、処理を反復する。目的地に接近していない段階で停車領域を案内した場合、当該停車領域が他車両によって利用されてしまうおそれがあるためである。
【0068】
ステップS15では、停車判定部1012が、状態の判定結果が「第一の状態」であるか「第二の状態」であるかを判定する。
第一の状態とは、対象車両が、所定の期間内に、人を乗車させるための停車を行うと推定される状態である。第一の状態にある車両は、乗車待ちのため、ある程度の時間停車することが予想される。
第二の状態とは、対象車両が、所定の期間内に、人を降車させるための停車を行うと推定される状態である。第二の状態にある車両は、人を降車させるため、短時間の停車を行うことが予想される。
【0069】
図6の例によると、例えば、車両データが生成された日時が火曜日の19時30分であって、対象車両に1名が乗車している場合、対象車両は、人を迎えに行く途中である(第一の状態にある)と判定することができる。
また、車両データが生成された日時が火曜日の16時30分であって、対象車両に2名が乗車している場合、対象車両は、人を送っている途中である(第二の状態にある)と判定することができる。
【0070】
ここで、判定結果が「第一の状態」であった場合、処理はステップS16へ遷移する。
ステップS16では、領域決定部1013が、第一の状態に対応する停車位置を決定する。対象車両が第一の状態にあった場合、対象車両の目的地から所定の範囲内にあり、評価値(すなわち、他の交通に対する支障度)が所定の閾値よりも低い停車領域を、当該対象車両の停車領域として決定する。
【0071】
判定結果が「第二の状態」であった場合、処理はステップS17へ遷移する。
ステップS17では、領域決定部1013が、第二の状態に対応する停車位置を決定する。対象車両が第二の状態にあった場合、対象車両の目的地から所定の範囲内にあり、評価値が所定の閾値よりもより高い停車領域を、当該対象車両の停車領域として決定する。
【0072】
すなわち、領域決定部1013は、対象車両が第一の状態にある場合に、当該対象車両が第二の状態にある場合と比較して、他の交通に対する支障度がより低い場所を、停車領域として決定する。
【0073】
なお、候補となる停車領域のうち、既に車両が停車している領域がある場合、当該領域を除外してもよい。管理下にある停車領域に現在車両が停車しているか否かは、車両情報テーブルを参照することで判定することができる。
【0074】
ステップS18では、領域決定部1013が、決定した停車領域を教示するための案内情報を生成し、当該案内情報を車載端末200に送信する。案内情報は、車載端末200の入出力部204を介して出力される。
【0075】
案内情報は、
図8に示したように、割り当てられた停車領域の場所を地図上にマッピングした画像であってもよい。なお、画像の生成は、サーバ装置100が行ってもよいし、車載端末200が行ってもよい。
前者の場合、サーバ装置100が、マッピング後の画像を車載端末200に送信し、車載端末200がこれを出力してもよい。後者の場合、サーバ装置100が、停車領域の詳細を表すデータを車載端末200に送信し、車載端末200が、当該データに基づいてマッピングを行い、画像を生成してもよい。
【0076】
以上説明したように、第一の実施形態に係るサーバ装置100は、車載端末200から受信した車両データに基づいて、対象車両が、所定の期間内において人の乗降を目的とする停車を行うか否かを判定する。さらに、停車の目的が乗車であるか降車であるかを推定し、推定結果に基づいて、車両が停車すべき位置を案内する。かかる構成によると、停車時間の長短に応じて、より適切な位置に車両を誘導することができ、交通の円滑に資することができる。
【0077】
なお、第一の実施形態では、他の交通に与える支障度に基づいて停車領域に評価値を与えたが、他の基準によって評価値を与えることもできる。
例えば、
図9Aに示したように、長時間停車する車両であるほど進行方向の奥側に停車させるよう、各停車領域に対して評価値を割り当ててもよい。かかる形態によると、後続車両が停車しやすくなるという効果が得られる。
また、
図9Bに示したように、大きい評価値を持つ停車領域と、小さい評価値を持つ停車領域を交互に配置してもよい。かかる形態によると、第一の状態にある車両と、第二の状態にある車両を交互に配置することができ、車両の密集を避けることができる。
また、
図9Cに示したように、より目的地に近い停車領域に、より小さい評価値を与えてもよい。かかる形態によると、人を迎えに来ている車両を、対象施設により近い場所に誘導することができ、スムーズな乗車が可能になる。
【0078】
また、第一の実施形態では、対象車両が目的地の近傍に接近した場合に、ステップS1
5以降の処理を開始したが、対象車両が目的地の近傍に接近したことを条件として、ステップS18の処理を開始するようにしてもよい。
【0079】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、対象車両に対して、当該車両に割り当てられた停車領域のみを案内する情報を送信した。これに対し、第二の実施形態は、対象車両の周辺に位置し、対象車両と目的地が同一である他の車両に関する情報を、対象車両にさらに送信する実施形態である。
【0080】
第二の実施形態においては、サーバ装置100が、ステップS18において、目的地が同一である他の車両に関する情報をさらに含む案内情報を生成する。
図10は、第二の実施形態におけるステップS18の処理を説明するフローチャートである。
【0081】
まず、ステップS181で、対象車両と目的地が実質的に同一である(目的地が同一、または、同一とみなせる程度に近い)他の車両を特定する。「他の車両」とは、対象車両の目的地の近傍において、同一の時間帯に、人の乗降のために停車する車両である。当該他の車両は、サーバ装置100から案内情報を別途受信する車両であってもよい。また、当該他の車両は、複数であってもよい。
【0082】
次に、ステップS182で、他の車両に関する情報を含む案内情報を生成する。すなわち、本ステップでは、(1)自車両に割り当てられた停車領域を案内する情報と、(2)他の車両に割り当てられた停車領域を案内する情報、の双方を含む案内情報が生成される。
そして、ステップS183で、生成した案内情報を対象車両に送信する。
【0083】
図11は、第二の実施形態における案内情報を例示する図である。図示したように、案内情報には、第一の状態にある他の車両、または、第二の状態にある他の車両が、複数の停車領域のうちのどこに割り当てられているかを示す情報が含まれる。
例えば、第一の状態にある他の車両が、ある停車領域に割り当てられていた場合、当該領域に、乗車のための車両が割り当てられている旨を案内するグラフィックが生成される。また、第二の状態にある他の車両が、ある停車領域に割り当てられていた場合、当該領域に、降車のための車両が割り当てられている旨を案内するグラフィックが生成される。
【0084】
なお、停車領域に割り当てられた車両が現地にまだ到着していない場合、到着時刻を予測してもよい。例えば、「降車のための車両が2分後に到着する」といった情報を、対象車両の運転者に通知することも可能である。
【0085】
第二の実施形態によると、対象車両の目的地に近接する複数の停車領域について、他の車両への割り当てがあるか否かを、当該対象車両の乗員に通知することができる。これにより、対象車両の乗員は、道路上における車両の発着状況を把握することが可能になる。
【0086】
(第三の実施形態)
第三の実施形態は、停車領域に停車している車両の、発車時刻をさらに推定する実施形態である。
【0087】
図12に示したように、第三の実施形態に係るナビゲーションシステムは、携帯端末400をさらに含んで構成される。携帯端末400は、車両による送迎を受ける人(以下、対象者)が所持する端末(例えば、スマートフォン)である。サーバ装置100は、車載端末200、および、携帯端末400とそれぞれ通信可能に構成される。
携帯端末400は、サーバ装置100に対して位置情報を周期的に送信する機能を有する。サーバ装置100は、携帯端末400と車載端末200との関連付けを記憶しており、受信した位置情報に基づいて、関連付いた車両の発車時刻を推定する。
【0088】
図13は、第三の実施形態における送迎条件テーブルの例である。図示したように、第三の実施形態では、送迎条件テーブルに、携帯端末IDフィールドが追加されている。当該フィールドには、車両によって送迎を受ける対象者が所持する携帯端末400の識別子が格納される。
【0089】
第三の実施形態では、対象車両が、割り当てられた停車領域に停車した後で、サーバ装置100が、
図14に示した処理を実行する。
まず、ステップS21で、対象車両に関連付いた携帯端末400を特定し、当該携帯端末400から位置情報を取得する。対象車両に関連付いた携帯端末400の識別子は、送迎条件テーブルを参照することで取得することができる。
次に、ステップS22で、携帯端末400と、対象車両との間の相対距離を取得する。具体的には、携帯端末400から取得した位置情報と、対応する車載端末200から送信された車両データに含まれる位置情報を参照し、両者の相対距離を算出する。
【0090】
そして、ステップS23で、取得した相対距離に基づいて、対象車両の発車時刻を推定する。
例えば、対象車両が第一の状態にある場合であって、ステップS22で取得した相対距離が閾値(例えば、20メートル)を下回った場合、対象者がまもなく迎えの車両に乗車すると判定することができる。また、対象車両が第二の状態にある場合であって、ステップS22で取得した相対距離が閾値(例えば、5メートル)を上回った場合、対象者が車両を降りたと判定することができる。
すなわち、これらの判定結果に基づいて、対象車両の発車時刻(換言すると、対象車両が発車するまでの残り時間)を推定することができる。なお、相対距離が閾値を満たさない場合、発車時刻を「未定」としてもよい。
ステップS21~S23の処理は、相対距離が所定の閾値を満たす、または、対象車両が発車するまで、反復して実行してもよい。
【0091】
サーバ装置100は、推定した発車時刻を、対象車両の近傍に位置する他の車両に通知してもよい。これにより、他の車両の運転者は、近傍において現在停車している車両がいつ発車するのかを認識することができる。
さらに、サーバ装置100は、相対距離が所定の条件を満たしたことをトリガとして、対象者向けの通知を生成してもよい。例えば、相対距離が所定値(例えば、100m)を下回った場合に、携帯端末400に対して、迎えの車両が到着した旨を通知してもよい。
【0092】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0093】
また、実施形態の説明では、停車領域ごとの評価値をデータベースに予め定義したが、停車した車両が他の交通に与える支障の度合いを都度算出してもよい。例えば、目的地の周辺におけるリアルタイムの交通状況を取得したうえで、当該交通状況を加味して、停車領域ごとの評価値を算出するようにしてもよい。
また、実施形態の説明では、矩形の領域である停車領域を定義したが、道路上において車両が停車する位置を指定できれば、必ずしも閉じた領域を定義する必要はない。
【0094】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0095】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0096】
100・・・サーバ装置
101,201・・・制御部
102,202・・・記憶部
103,203・・・通信部
200・・・車載端末
204・・・入出力部
205・・・車両通信部
300・・・車両プラットフォーム