(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】撮影治具および撮影方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/26 20060101AFI20240214BHJP
F17D 5/00 20060101ALI20240214BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01B11/26 H
F17D5/00
H04N5/222 100
(21)【出願番号】P 2020213989
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】井戸本 靖史
(72)【発明者】
【氏名】原田 和眞
(72)【発明者】
【氏名】下村 正隆
(72)【発明者】
【氏名】日笠 大地
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-13436(JP,A)
【文献】特開2017-67455(JP,A)
【文献】特開2016-206044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G01N 21/84-21/958
F17D 5/00
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影するための撮影治具であって、
前記第1管の外周面に当接する周面当接部と、
前記受口の端面に当接する端面当接部と、
前記周面当接部が前記外周面に当接し、かつ、前記端面当接部が前記端面に当接した状態で、前記接合箇所に対して前記第1管の径方向にカメラを支持する支持部と、
を備える、撮影治具。
【請求項2】
前記周面当接部は、前記外周面に当接し、前記第1管の軸方向に沿って回転可能な複数のローラを含む、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項3】
前記複数のローラは、
前記第1管の周方向に配置される1対の第1ローラを含み、該1対の第1ローラの間隔が変更可能になっている、または、
前記第1管の周方向に配置される1対の第1ローラを複数含み、各1対の第1ローラの間隔が互いに異なっている、請求項2に記載の撮影治具。
【請求項4】
前記複数のローラは、
前記第1管の周方向に配置される1対の第1ローラと、
前記1対の第1ローラに対して、前記第1管の軸方向に間隔をあけて配置される1対の第2ローラと、
を含む請求項2または3に記載の撮影治具。
【請求項5】
前記支持部は、前記第1管の軸方向に対する長さを変更する長さ変更機構を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の撮影治具。
【請求項6】
前記支持部は、前記第1管の径方向に対する高さを変更する高さ変更機構を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の撮影治具。
【請求項7】
前記端面当接部を前記第1管の径方向に対して揺動可能に支持するヒンジ部をさらに備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の撮影治具。
【請求項8】
請求項1に記載の撮影治具を用いて、第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影する撮影方法であって、
前記第1管の外周面に前記撮影治具を載置する載置工程と、
前記外周面に載置した前記撮影治具の端面当接部を、前記受口の端面に当接させることにより、前記接合箇所に対して前記第1管の径方向にカメラを支持する位置決め工程と、
を含む撮影方法。
【請求項9】
前記位置決め工程にて、前記第1管の軸方向に沿って前記撮影治具を移動させることにより、前記端面当接部を前記受口の端面に当接させる、請求項8に記載の撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管同士の接合箇所を撮影するためのカメラを取り付ける撮影治具および該撮影治具を用いた撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道管または下水道管等には、一方の管の受口に他方の管の挿し口を挿入して、受口の内周面と挿し口の外周面との間でシール材を圧縮させた、所謂プッシュオンタイプの管継手構造が採用されている。
【0003】
この種の管継手構造の管では、管同士の接合が適正であるか否かの検査が行われる。例えば、特許文献1には、複数のカメラが取り付けられた環状部を備え、この環状部を管の周囲を囲むように配置することにより、管の軸方向から受口の内部を撮影する管検査用の撮影治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、管同士の接合箇所においては、屈曲角が許容範囲内にあるように管同士が接合されている必要性がある。しかしながら、特許文献1の技術では、管の軸方向から撮影するため、接合箇所における屈曲角の検査への適用が困難な場合があった。
【0006】
本発明の一態様は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、管同士の接合箇所に対して径方向にカメラを位置決めし、該接合箇所を撮影することができる撮影治具および該撮影治具を用いた撮影方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮影治具は、第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影するための撮影治具であって、前記第1管の外周面に当接する周面当接部と、前記受口の端面に当接する端面当接部と、前記周面当接部が前記外周面に当接し、かつ、前記端面当接部が前記端面に当接した状態で、前記接合箇所に対して前記第1管の径方向にカメラを支持する支持部と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮影方法は、前記撮影治具を用いて、第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影する撮影方法であって、前記第1管の外周面に前記撮影治具を載置する載置工程と、前記外周面に載置した前記撮影治具の端面当接部を、前記受口の端面に当接させることにより、前記接合箇所に対して前記第1管の径方向にカメラを支持する位置決め工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、管同士の接合箇所に対して径方向にカメラを位置決めし、該接合箇所を撮影することができる撮影治具および該撮影治具を用いた撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る撮影治具の側面図である。
【
図5】
図1に示される端面当接部が受口の端面に当接した状態を示す拡大図である。
【
図6】
図1に示される撮影治具を用いた撮影方法の一例を示す側面図である。
【
図7】実施形態1に係る撮影治具の変形例を示す正面図である。
【
図8】実施形態1に係る撮影治具の他の変形例を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る撮影治具の側面図である。
【
図11】
図9に示される撮影治具を用いた撮影方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1から
図8を参照して説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る撮影治具の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0012】
(撮影治具の構成)
まず、
図1~
図5に基づいて、本実施形態に係る撮影治具3の構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る撮影治具3の側面図である。
図2は、
図1に示される撮影治具3の斜視図である。
図3は、
図1に示される撮影治具3の上面図である。
図4は、
図1に示される撮影治具3の背面図である。
【0013】
本実施形態において、
図1~
図4に矢印を付して示す3つの方向が、前後方向(軸方向)X、上下方向(径方向)Y、および左右方向(径方向)Zであり、これらの方向を用いて、撮影治具3について説明する。なお、
図1~
図4に示す3つの方向は、他の図面においても同様である。
【0014】
第1管1と第2管2とは、前後方向Xに沿って互いに接続される。第1管1および第2管2は、地表等を掘削して形成された布設溝等に、略水平、或いは所定の角度で屈曲させて布設される。第1管1の受口11に第2管2の挿口21が挿入されることにより、第1管1と第2管2とが接合される。
【0015】
図1~
図4に示すように、撮影治具3は、これらの管同士の接合箇所Rに対して、その上方(径方向)にカメラ9を支持するための治具である。カメラ9によって撮影された接合箇所Rの画像は、管同士の屈曲角が許容範囲内であるか否かを検査する管検査等に好適に利用され得る。本実施形態では、カメラ9として、スマートフォンが用いられる。ただし、撮影機能を有するものであればこれに限られない。
【0016】
撮影治具3は、土台4と、カメラ支持部(支持部)5と、ハンドル6と、位置決め部材7と、複数のローラ(周面当接部)8とを含む。
【0017】
土台4は、平面視略矩形の平板部材である。土台4は、例えばステンレス等の金属で構成される。本実施形態では、土台4は、平面視において前後方向Xに長手方向を有する長方形形状である。
【0018】
土台4の上面には、カメラ支持部5と、ハンドル6とが取り付けられる。カメラ支持部5は、土台4の上面に例えば溶接等によって取り付けられる。また、ハンドル6は、土台4の上面に設けられたハンドル取付部41を介して土台4に着脱可能に取り付けられる。さらに、土台4の上面には、前方の端部(以下、前端部と称する場合がある。)側に、位置決め部材7が取り付けられる。本実施形態では、位置決め部材7は、ヒンジ部42を介して土台4に取り付けられる。さらに、土台4の下面には、複数のローラ8が取り付けられる。各ローラ8は、ローラ8を回動可能に軸支するローラ支持部(フォーク)80を介して土台4に取り付けられる。なお、ローラ8とローラ支持部80とは、所謂キャスタであってよい。
【0019】
カメラ支持部5は、第1管1の上方にカメラ9を支持する支持部材である。カメラ支持部5は、例えばステンレス等の金属で構成される。カメラ支持部5は、支持アーム51と、カメラ保持部52とを含む。支持アーム51は、前方へ屈曲した略L字型形状を有する。この支持アーム51は、基端部側が土台4の上面に接続され、該基端部とは反対側の前端部にカメラ9を保持(挟持)するカメラ保持部52に設けられる。カメラ保持部52は、土台4よりも前方に位置する。カメラ保持部52は、カメラ9のレンズを下方へ向けて、カメラ9を略水平に保持(挟持)する。
【0020】
本実施形態では、カメラ支持部5の支持アーム51は、土台4の上面のうち左右方向Zの一方側(
図3の例では右側)に偏在して取り付けられている。これは、カメラ9として用いる一般的なスマートフォンでは、メインカメラのレンズがスマートフォンの背面の左右一方側に偏って配置されることが多いためである。これにより、カメラ支持部5は、接合箇所Rの真上、つまり、第1管の中心軸の上方にレンズが位置するように、スマートフォンを支持することが可能となる。なお、土台4に対する支持アーム51の取り付け位置は、カメラ9の仕様(例えば、スマートフォンのメインカメラの位置等)に合わせて適宜調整可能である。
【0021】
ハンドル6は、作業者が撮影治具3を操作するために把持する棒状部材である。ハンドル6は、例えばアルミ等の金属で構成される。ハンドル6は、土台4の上面の略中央部に設けられたハンドル取付部41に着脱可能に取り付けられる。ハンドル6が着脱可能になっていることにより、例えば撮影治具3を使用しないときには土台4からハンドル6を取り外しておくことで、撮影治具3の保管および搬送等が容易になる。
【0022】
位置決め部材7は、受口11の端面12に当接することにより、撮影治具3の前後方向Xの位置決めを行う棒状部材である。位置決め部材7は、例えばステンレス等の金属で構成される。位置決め部材7は、ヒンジ部42を介して土台4の前端部に取り付けられる。これにより、位置決め部材7は、ヒンジ部42を中心に上下方向Yに揺動可能になっている。位置決め部材7は、平棒部71と、端面当接部72とを含む。
【0023】
平棒部71は、土台4から前方へ延出する平担な棒状部材である。平棒部71の後端部は、ヒンジ部42に接続される。また、平棒部71の前端部には、下方へ突出した端面当接部72が設けられる。この端面当接部72が受口11の端面12に当接することにより、撮影治具3が前後方向Xに位置決めされる。
【0024】
図5は、端面当接部72が受口11の端面12に当接した状態を示す拡大図である。
図5に示すように、端面当接部72は、受口11の端面12の上端側に当接する。撮影治具3では、各ローラ8が第1管1の外周面13に当接し、かつ、受口11の端面12に端面当接部72が当接した状態でカメラ支持部5によって支持されたカメラ9が接合箇所Rの上方に位置するように、カメラ支持部5および位置決め部材7の前後方向Xの長さがそれぞれ設定されている。
【0025】
ローラ8は、その周面で第1管1の外周面13に当接する回転部材である。本実施形態では、4つのローラ8が、土台4の下面の四隅に取り付けられる。各ローラ8は、第1管1の軸方向、つまり前後方向Xに沿って撮影治具3が移動(走行)可能なように、土台4に取り付けられる。本実施形態では、各ローラ8は、各々の車軸が左右方向Zと略平行になるように土台4に取り付けられる。ただし、各ローラ8の車軸は、ローラ8の周面と第1管1の外周面13との接触面積が大きくなるように、左右方向Zに対して斜めに傾いていてもよい。これにより、第1管1の外周面13に撮影治具3をより安定して載置することができる。
【0026】
本実施形態では、ローラ8は、第1管1の周方向に配置される1対の第1ローラ81と、1対の第1ローラ81に対して後方へ間隔をあけて、第1管1の周方向に配置される1対の第2ローラ82とを含む。撮影治具3は、1対の第1ローラ81と1対の第2ローラ82との少なくとも4つのローラ8で第1管の外周面13に当接する。これら4つのローラの各々は、第1管1の周方向および軸方向に対して互いに間隔をあけて配置される。このため、第1管1の外周面13に撮影治具3を安定して載置することができ、撮影治具3の位置ずれ、カメラ支持部5の傾き等を低減することができる。
【0027】
上述した構成の撮影治具3では、複数のローラ8が第1管1の外周面13に当接し、かつ、端面当接部72が受口11の端面12に当接することにより、接合箇所Rに対して第1管1の上方(径方向)にカメラ9が支持される。従って、撮影治具3によれば、接合箇所Rに対してその上方にカメラ9を容易に位置決めすることができる。
【0028】
また、撮影治具3は、従来のように管の周囲を囲む環状構造ではなく、第1管1の外周面13上に載置された状態でカメラ9を位置決めする。従って、従来のように環状部の拡径構造を設ける必要性がないため、左右方向Zの幅が狭い布設溝等に布設された管の撮影にも適用することができる。また、構造を簡略化して、撮影治具3の製造コストを低減することができる。
【0029】
なお、カメラ支持部5は、前後方向(軸方向)Xに対する長さが変更可能になっていてもよい(長さ変更機構)。これにより、口径(呼び径)等が異なる複数種類の第1管1に合わせて、カメラ支持部5の長さを変更することが可能となる。また、カメラ支持部5は、上下方向Yに対する高さが変更可能になっていてもよい(高さ変更機構)。これにより、口径等が異なる複数種類の第1管1に合わせて、カメラ支持部5の高さを変更することが可能となる。従って、撮影治具3は口径等が異なる複数種類の第1管1に対応可能となるため、撮影治具3の汎用性を高めることができる。
【0030】
また、ヒンジ部42は、上下方向Yに対する高さが変更可能なように土台4に取り付けられていてもよい。これにより、口径等が異なる複数種類の第1管1に合わせて位置決め部材7の高さを変更することが可能となる。従って、撮影治具3は口径等が異なる複数種類の第1管1に対応可能となるため、撮影治具3の汎用性をさらに高めることができる。
【0031】
(撮影治具を用いた撮影方法)
次に、
図6に基づいて、本実施形態に係る撮影治具3を用いた撮影方法の一例について説明する。撮影治具3を用いた撮影方法は、布設溝等に布設された第1管1と第2管2との接合箇所Rを、作業者が地表から撮影治具3を操作することにより行われる。
【0032】
本実施形態に係る撮影方法は、第1管1の外周面13に撮影治具3を載置する載置工程と、位置決め部材7の端面当接部72を受口11の端面12に当接させて、接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラ9を支持する位置決め工程と、カメラ9によって接合箇所Rを撮影する撮影工程とを含む。
【0033】
図6は、
図1に示される撮影治具3を用いた撮影方法の一例を示す側面図である。
図6の符号6001は、撮影治具3を第1管1の外周面13に載置する載置工程の一例を示す側面図である。
図6の符号6002は、撮影治具3を前方へ移動させる位置決め工程の一例を示す側面図である。
図6の符号6003は、撮影治具3を後方へ移動させ、端面当接部72を受口11の端面12に当接させる位置決め工程の一例を示す側面図である。
【0034】
撮影治具3を用いた撮影方法では、作業者は、ハンドル6を把持して、
図6の符号6001に示すように、撮影治具3を第1管1の外周面13に載置する(載置工程)。これにより、4つのローラ8が第1管1の外周面13に当接し、第1管1の外周面13に撮影治具3が安定して載置される。このとき、端面当接部72が受口11の端面12よりも後方に位置していてもよい。
【0035】
次に、作業者は、ハンドル6を操作して、
図6の符号6002に示すように、撮影治具3を前方へ移動(走行)させる。このとき、端面当接部72が受口11の端面12を越えて前方へ移動し、位置決め部材7がヒンジ部42を中心に下方へ回動する。これにより、端面当接部72が受口11の端面12と対向する。そして、作業者は、ハンドル6を操作して、
図6の符号6003に示すように、撮影治具3を後方へ移動(走行)させ、端面当接部72を受口11の端面12に当接させる。これにより、接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラPが支持される(位置決め工程)。
【0036】
このように、位置決め工程にて、第1管1の外周面13上を、第1管1の軸方向(前後方向X)に沿って撮影治具3を移動(走行)させることにより、カメラ9を容易に位置決めすることができる。
【0037】
次に、作業者は、カメラ9を操作し、カメラ9によって接合箇所Rを撮影する(撮影工程)。これにより、第1管1の上方から接合箇所Rを撮影することができる。なお、撮影工程にて、作業者は、カメラ9を遠隔操作することにより、接合箇所Rを撮影してもよい。
【0038】
このように、本実施形態に係る撮影方法では、撮影治具3を第1管1の外周面13に載置した後、受口11の端面12に端面当接部72を当接させることにより、接合箇所Rに対して上方にカメラ9が支持される。従って、本実施形態に係る撮影方法によれば、管同士の接合箇所Rに対して上方にカメラ9を容易に位置決めして、接合箇所Rを撮影することができる。
【0039】
(撮影治具の効果)
以上のように、本実施形態に係る撮影治具3は、第1管1と該第1管1の受口11に挿入される第2管2との接合箇所Rを撮影するための治具である。撮影治具3は、第1管1の外周面13に当接するローラ8と、受口11の端面12に当接する端面当接部72と、ローラ8が外周面13に当接し、かつ、位置決め部材7の端面当接部72が端面12に当接した状態で、接合箇所Rに対して第1管1の上方(径方向)にカメラ9を支持するカメラ支持部5と、を備える。
【0040】
撮影治具3では、ローラ8が第1管1の外周面13に当接し、かつ、端面当接部72が受口11の端面12に当接することにより、第1管1と第2管2との接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラ9が位置決めされる。
【0041】
従って、本実施形態によれば、接合箇所Rに対して上方にカメラ9を容易に位置決めして、接合箇所Rを撮影することができる撮影治具3を提供することができる。
【0042】
(変形例)
次に、
図7および
図8に基づいて、撮影治具3の変形例を説明する。なお、
図7および
図8では、説明の便宜上、撮影治具3の一部の構成のみを図示している。また、以下では1対の第1ローラ81を例に挙げて説明するが、1対の第2ローラ82についても同様である。
【0043】
図7は、
図1に示される撮影治具3の変形例を示す正面図である。
図7に示すように、撮影治具3は、左右方向Zに対する1対の第1ローラ81の間隔が変更可能になっていてもよい。例えば、撮影治具3は、第1ローラ81を回動可能に軸支するローラ支持部80が土台4に対してスライド可能になっていてもよい。
【0044】
これにより、口径等が異なる複数種類の第1管1に合わせて1対の第1ローラ81の間隔を変更することが可能となる。従って、撮影治具3は口径等が異なる複数種類の第1管1に対応可能となるため、撮影治具3の汎用性を高めることができる。
【0045】
図8は、
図1に示される撮影治具3の他の変形例を示す正面図である。
図8の符号8001は、小径の第1管1の外周面13に撮影治具3を載置した状態を示す正面図である。
図8の符号8002は、大径の第1管1の外周面13に撮影治具3を載置した状態を示す正面図である。
【0046】
図8の符号8001および符号8002に示すように、撮影治具3は、ローラ8として、互いに第1管1の周方向に配置される、1対の第1ローラ81Aと1対の第1ローラ81Bとを含んでいてもよい。1対の第1ローラ81Aと1対の第1ローラ81Bとは、各々のローラの間隔が互いに異なっている。
図8の例では、1対の第1ローラ81Bの間隔が1対の第1ローラ81Aの間隔よりも大きく設定され、かつ、1対の第1ローラ81Bは1対の第1ローラ81Aよりも下方に配置されている。
【0047】
図8の符号8001に示すように、比較的小径の第1管1の外周面13に撮影治具3を載置した場合、1対の第1ローラ81Aが外周面13に当接し、1対の第1ローラ81Bは外周面13に当接しない。また、
図8の符号8002に示すように、比較的大径の第1管1の外周面13に撮影治具3を載置した場合、1対の第1ローラ81Bが外周面13に当接し、1対の第1ローラ81Aは外周面13に当接しない。このように、口径等が異なる複数種類の第1管1に合わせて、1対の第1ローラ81Aと1対の第1ローラ81Bとを使い分けることが可能となる。従って、撮影治具3は口径等が異なる複数種類の第1管1に対応可能となるため、撮影治具3の汎用性を高めることができる。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0049】
(撮影治具の構成)
図9は、本実施形態に係る撮影治具30の側面図である。
図10は、
図9に示される撮影治具30の斜視図である。
図9および
図10に示すように、撮影治具30は、撮影治具30は、カメラ支持部50と、ハンドル6と、1対の位置決め部材70と、ローラ8と、連結部40と、を含む。本実施形態では、ローラ8として、1対の第1ローラ83と1対の第2ローラ84とを含む。
【0050】
連結部40は、1対の位置決め部材70を接続する、左右方向Zに延在する連結部材である。連結部40の上面に、ハンドル取付部41が取り付けられる。
【0051】
カメラ支持部50は、第1管1の上方にカメラ9を支持する支持部材である。カメラ支持部50は、延出部53と、カメラ保持部52とを含む。延出部53は、ハンドル取付部41の途中から前方へ延出するように設けられる。この延出部53の上方に、カメラ保持部52が設けられる。
【0052】
1対の位置決め部材70は、側面視において後方側が開口した略矩形形状を有するフレーム部材である。1対の位置決め部材70の各々は、前後方向Xへ延在する上側水平部73と、上側水平部73の前端部から下方へ延在する鉛直部74と、鉛直部74の下端部から後方へ延在する下側水平部75とを含む。
【0053】
1対の上側水平部73と1対の下側水平部75とは、上下方向Yに互いに対向して配置される。下側水平部75の各々には、その上面に第1ローラ83が、ローラ支持部80およびバネ10を介して取り付けられる。また、上側水平部73の各々には、その下面に第2ローラ84が、ローラ支持部80およびバネ10を介して取り付けられる。第1ローラ83と1対の第2ローラ84とは、上下方向Yに互いに対向する位置に取り付けられる。
【0054】
バネ10は、第1ローラ83および第2ローラ84を第1管1の外周面13に付勢する弾性部材である。バネ10は、例えば圧縮バネ等で構成される。バネ10によって第1ローラ83および第2ローラ84を第1管1の外周面13に付勢することにより、撮影治具30を第1管1に安定して取り付けることができる。
【0055】
1対の第1ローラ83は、第1管1の受口11における下方側の外周面13に当接する。また、1対の第2ローラ84は、第1管1の受口11における上方側の外周面13に当接する。1対の第1ローラ83と1対の第2ローラ84とが第1管1の外周面13に当接した状態において、1対の鉛直部74は受口11の左右方向Zに位置する端面12に当接する。このとき、カメラ支持部50によって支持されたカメラ9が接合箇所Rの上方に位置するように、カメラ支持部50の前後方向Xの長さが設定されている。
【0056】
なお、本実施形態では、上側水平部73および下側水平部75に設けられたバネ10によって第1ローラ83および第2ローラ84を第1管1の外周面13に付勢する構成である。ただし、この構成に代えて、上側水平部73および下側水平部75に板バネ(周面当接部)を設け、該板バネが第1管1の外周面13に当接させることで、撮影治具30を第1管1に取り付けてもよい。
【0057】
(撮影治具を用いた撮影方法)
次に、
図11に基づいて、本実施形態に係る撮影治具30を用いた撮影方法の一例について説明する。撮影治具30を用いた撮影方法は、布設溝等に布設された第1管1と第2管との接合箇所Rを、作業者が地表から撮影治具30を操作することにより行われる。
【0058】
本実施形態に係る撮影方法は、第1管1の外周面13に1対の第1ローラ83を当接させる第1ローラ当接工程と、第1管1の外周面13に1対の第2ローラ84を当接させる第2ローラ当接工程と、鉛直部74を受口11の端面12に当接させて、接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラ9を支持する位置決め工程と、カメラ9によって接合箇所Rを撮影する撮影工程とを含む。
【0059】
図11は、
図9に示される撮影治具30を用いた撮影方法の一例を示す側面図である。
図11の符号1101は、第1管1の外周面13に1対の第1ローラ83を当接させる第1ローラ当接工程の一例を示す側面図である。
図11の符号1102は、第1管1の外周面13に1対の第2ローラ84を当接させる第2ローラ当接工程の一例を示す側面図である。
図11の符号1103は、鉛直部74を受口11の端面12に当接させる位置決め工程の一例を示す側面図である。
【0060】
撮影治具30を用いた撮影方法では、作業者は、ハンドル6を把持して、
図11の符号1101に示すように、バネ10を圧縮させながら1対の第1ローラ83を第1管1の下方の外周面13に当接させる(第1ローラ当接工程)。
【0061】
次に、作業者は、ハンドル6を操作して、
図11の符号1102に示すように、1対の第2ローラ84を中心に撮影治具30を回動させて、1対の第2ローラ84を第1管1の外周面13の上方に当接させ、第1管1に撮影治具30を取り付ける(第2ローラ当接工程)。これにより、バネ10の付勢力により1対の第1ローラ83および1対の第2ローラ84が第1管1の外周面13を押圧するため、第1管1の外周面13に撮影治具3が安定して取り付けられる。
【0062】
次に、作業者は、ハンドル6を操作して、
図11の符号1103に示すように、位置決め部材7の鉛直部74を受口11の端面12に当接させる(位置決め工程)。これにより、接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラ9が支持される。
【0063】
次に、作業者は、カメラ9を操作し、カメラ9によって接合箇所Rを撮影する(撮影工程)。これにより、第1管1の上方から接合箇所Rを撮影することができる。
【0064】
(撮影治具の効果)
以上のように、本実施形態に係る撮影治具30は、第1管1と該第1管1の受口11に挿入される第2管2との接合箇所Rを撮影するための治具である。撮影治具30は、第1管1の外周面13に当接するローラ8と、受口11の端面12に当接する鉛直部74と、ローラ8が外周面13に当接し、かつ、位置決め部材70の鉛直部74が端面12に当接した状態で、接合箇所Rに対して第1管1の上方(径方向)にカメラ9を支持するカメラ支持部50と、を備える。
【0065】
撮影治具30では、ローラ8が第1管1の外周面13に当接し、かつ、位置決め部材7の鉛直部74が受口11の端面12に当接することにより、第1管1と第2管2との接合箇所Rに対して第1管1の上方にカメラ9が位置決めされる。
【0066】
従って、本実施形態によれば、接合箇所Rに対して上方にカメラ9を容易に位置決めして、接合箇所Rを撮影することができる撮影治具30を提供することができる。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 第1管
2 第2管
3、31 撮影治具
4 土台
5 カメラ支持部(支持部)
6 ハンドル
7 位置決め部材
8 ローラ(周面当接部)
9 カメラ
11 受口
12 端面
13 外周面
42 ヒンジ部
70 位置決め部材
72 端面当接部
74 鉛直部(端面当接部)
81,81A、81B、83 第1ローラ(周面当接部)
82,84 第2ローラ(周面当接部)
R 接合箇所
X 前後方向(軸方向)
Y 上下方向(径方向)
Z 左右方向(径方向)