(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ベアリングギャップの特定の部分において潤滑剤の特性を調整する潤滑スライドベアリング
(51)【国際特許分類】
F16C 17/00 20060101AFI20240214BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240214BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20240214BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F16C17/00 A
F16C17/02 A
F16C17/04 A
F16C33/10 C
(21)【出願番号】P 2020514654
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 NL2018050330
(87)【国際公開番号】W WO2018212657
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519411249
【氏名又は名称】ビフロスト・リサーチ・アンド・ディベロップメント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヘオルヘ・エミレ・ランパルト
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・アドリアヌス・ヨハネス・ファン・オスタイェン
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-022723(JP,A)
【文献】実開昭52-044943(JP,U)
【文献】実開平02-078814(JP,U)
【文献】特開平03-024316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00-17/26
F16C 32/00-32/06
F16C 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動圧ベアリングデバイス(10)であって、
第1のベアリング表面(12)と、
前記第1のベアリング表面(12)に面する第2のベアリング表面(14)と、
を備えており、
前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は、主回転軸線(30)周りで互いに対して回転するよう構成されており、
前記動圧ベアリングデバイスは、
前記第1のベアリング表面と前記第2のベアリング表面との間に画定されるベアリングギャップ(16)であって、前記ベアリングギャップは潤滑剤が充填されており、前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は滑らかであり、前記潤滑剤の圧力を高めるための表面テクスチャリングがないことを意味し、前記ベアリングギャップには前記表面テクスチャリングに関連する前記ベアリングギャップの高さの急激な変化がなく、前記潤滑剤は、磁気粘性液体または制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤である、ベアリングギャップ(16)と、
前記第1のベアリング表面または前記第2のベアリング表面に埋め込まれた複数の活性装置(20)であって、複数の閉塞領域(22)において前記潤滑剤の粘度を局所的に増加させるかまたは前記スリップ速度を局所的に低下させるよう構成されており、それによって、前記閉塞領域のそれぞれにおいて前記ベアリングギャップを通る前記潤滑剤の流れが阻止される、複数の活性装置と、
前記潤滑剤の流れが阻止されない複数の非閉塞領域(24)であって、前記第1のベアリング表面と前記第2のベアリング表面との間の相対移動方向において、前記閉塞領域および前記非閉塞領域が交互に設けられており、前記非閉塞領域のそれぞれは、関連付けられた前記閉塞領域の上流に配置される、複数の非閉塞領域と、
を備えており、
前記閉塞領域のそれぞれは、湾曲形状または角のある形状を有しており、
前記湾曲形状または前記角のある形状は、下流へ向けて方向付けられた頂部(36)を画定し、
前記閉塞領域は、前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面が互いに対して移動する際に、前記閉塞領域において局所的に前記粘度を増加させるかまたは局所的に前記スリップ速度を低下させて前記閉塞領域のそれぞれを横切る前記潤滑剤の流れを阻止することによって、前記頂部(36)それぞれのすぐ上流に位置されたピーク領域(38)における前記閉塞領域それぞれの上流に位置された前記非閉塞領域において、前記ベアリングギャップ内の前記潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすよう構成されていることを特徴とする動圧ベアリングデバイス。
【請求項2】
前記閉塞領域のそれぞれは、半径方向に対して所定の角度で延在する左セクション(42)および右セクション(40)を備えており、前記左セクションおよび前記右セクションは、前記潤滑剤を前記ピーク領域(38)へ向けて方向付けることを特徴とする請求項1に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項3】
前記頂部のそれぞれが、前記第1のベアリング表面または前記第2のベアリング表面の中央領域に配置されている請求項1または2に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項4】
前記頂部(36)は、前記第1のベアリング表面または前記第2のベアリング表面の内側ベアリング端部(26B)から所定の距離(A1)を置いて配置されており、
前記距離(A1)は、前記第1のベアリング表面または前記第2のベアリング表面の幅(W1)の30パーセントから70パーセントであることを特徴とする請求項2に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項5】
スラストベアリングデバイスであり、
前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は、平坦であり、かつ前記主回転軸線に直交するよう延在しており、
前記閉塞領域は、所定の半径方向の距離(Dr)にわたって延在することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項6】
前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は、環状であり、かつ前記ベアリングギャップは環状であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項7】
前記閉塞領域(22)は、V字形状またはU字形状を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の動圧ベアリングデバイス。
【請求項8】
シャフト(50)を備える駆動アセンブリ(100)であって、
前記シャフトは、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのベアリングデバイスによって支持されていることを特徴とする駆動アセンブリ。
【請求項9】
前記シャフトは、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の第1のベアリングデバイス(10A)であって、第1のジャーナルベアリングデバイスである第1のベアリングデバイス(10A)と、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の第2のベアリングデバイス(10B)であって、第2のジャーナルベアリングデバイスである第2のベアリングデバイス(10B)と、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の第3のベアリングデバイス(10C)であって、第3のスラストベアリングデバイスである第3のベアリングデバイス(10C)と、
によって支持されており、
前記第1のジャーナルベアリングデバイスおよび
前記第2のジャーナルベアリングデバイスは、2つの独立した半径方向(Y、Z)において前記シャフトを位置決めしかつ前記シャフトのための支持を提供し、
前記第3のスラストベアリングデバイスは、軸線方向(X)において前記シャフトを位置決めしかつ前記シャフトのための支持を提供することを特徴とする請求項8に記載の駆動アセンブリ。
【請求項10】
船体(106)と、エンジン(108)と、プロペラ(110)と、前記エンジンを前記プロペラに接続する請求項8または請求項9に記載の駆動アセンブリと、を備えることを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気粘性または磁気粘性の潤滑剤もしくは温度依存性粘度を有する潤滑剤を有し、かつ局所的に潤滑剤の粘度を増加させるための1つ以上の活性装置を備えるベアリングデバイスに関する。本発明は、また、電界を用いて制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤を有し、かつ潤滑剤のスリップ速度を局所的に低下させるための1つ以上の(電気)活性装置を備えるベアリングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤を用いる多くのさまざまなベアリングデバイスが存在する。これらのベアリングデバイスは、船舶、発電所、自動車などの他の車両、および他の機械装置などを含む機械装置で広く使用される。
【0003】
ベアリングデバイスは、静圧(静水圧)、動圧(動水圧)、またはハイブリッドに分類できる。これらの各々は、特有の利点および欠点を有する。本明細書の文脈における「ベアリングデバイス」との用語は、ボールベアリングなどのローラー要素のないベアリングデバイスに限定されることを意図していることに留意されたい。言い換えると、負荷がベアリングデバイスの固定部とベアリングデバイスの可動部との間で潤滑剤によって伝達される。
【0004】
静圧ベアリングデバイスの利点は、可動部が動くかどうかにかかわらず、使用中に固定部と可動部との間の接触が決して生じないことである。静圧ベアリングデバイスの欠点は、静圧ベアリングデバイスが外部加圧源による潤滑剤の連続供給を必要とすることである。外部加圧源が故障すると、ベアリング内の潤滑剤の圧力が失われる。部品同士が接触する可能性があり、その結果としてベアリングは損傷されるかまたは摩耗することがある。
【0005】
静圧ベアリングデバイスのさらなる欠点は、性能を向上させるためにより高い静圧を獲得して維持するべく、ベアリングギャップの端部における表面同士をより近接するよう間隔をあけてともに配置する必要があることである。これは一般的に、山部およびパッドの形態のいわゆる「表面テクスチャリング」を用いて実行される。この表面テクスチャリングは、所望の表面仕上げを達成するために非常に正確な機械加工を必要とする。さらに、非常に正確な機械加工が必要なため、表面テクスチャリングはまた、可動部と固定部とが互いに接触する場合の摩耗および裂けに弱い。
【0006】
動圧ベアリングデバイスの利点は、表面のテクスチャリングを必要としないことである。固定部および可動部の表面を完全に滑らかにすることができ、そうした表面は製造が容易である。さらなる利点は、動圧ベアリングデバイスが潤滑剤の加圧源を必要としないことである。これによって、故障のリスクが軽減される。
【0007】
動圧ベアリングの欠点は、その動作が動圧の形成に左右されることである。この圧力は、可動部が固定部に対して移動する場合にのみ形成される。可動部が動かないか動きが遅すぎる場合、可動部と固定部との間の物理的な接触が発生し、その結果、部品の摩耗および裂けが生じる。これは、特に、部品の相対速度が低い機械の始動時または減速時に発生する。言い換えると、動圧ベアリングは作動のために十分な速度を有する必要がある。
【0008】
また、動圧ベアリングデバイスは、一般的に、ベアリングデバイスが空になるのを防ぐために潤滑剤の供給源を有することに留意されたい。しかしながら、動圧ベアリングデバイスに関して、潤滑剤がベアリングに入る圧力は非常に低く、動圧ベアリングの耐荷重能力に大きく寄与しない。代わりに、耐荷重能力は、固定部に対する回転部の回転によって作り出される動圧によって形成される。
【0009】
静圧ベアリングおよび動圧ベアリングの利点のいくつかを組み合わせたハイブリッドベアリングが存在する。しかしながら、ハイブリッドベアリングの性能は限定される。一般的に、ハイブリッドベアリングは、限定的な表面テクスチャリングを有する。少量の表面テクスチャリングは、動的な作動体制での性能を向上させるが、静的な作動体制での性能を制限する。また、静的な作動体制はポンプを必要とするが、ポンプは故障しやすい。
【0010】
ベアリングデバイスは、それらの形状とそれらベアリングデバイスが許容する動作とに従って分類することもできる。ジャーナルベアリングは、典型的には、回転シャフトを包囲して半径方向における支持を提供する。ジャーナルベアリングは、ラジアルベアリングと称されることがある。スラストベアリングはまた、回転シャフトを包囲するが、シャフトの軸線方向における支持を提供する。スラストベアリングは、アキシャルベアリングと称されることがある。フラットベアリングは、平坦なベアリング表面を有しており、平坦なベアリング表面に直交する方向における支持を提供する。スラストベアリングは、フラットベアリングの一例である。コニカルベアリングも存在する。コニカルベアリングは、ジャーナルベアリングとスラストベアリングとの間のハイブリッドを形成し、かつ軸線方向負荷および半径方向負荷の両方を伝達できる。多くの場合、コニカルベアリングはペアで提供され、第1および第2のコニカルベアリングは相対する方向において先細形状になされている。
【0011】
ベアリングデバイスのさまざまな部品の摩耗および裂けを低減するために潤滑性を改善することが長年の目標である。過去では、電気粘性特性または磁気粘性特性を有する潤滑剤を使用するベアリングデバイスが開示されている。電気粘性潤滑剤(ERL)は、液体中に分散された電気分極可能な粒子を備える潤滑剤である。磁気粘性潤滑剤(MRL)は、流体中に分散された磁性粒子を備える潤滑剤である。
【0012】
これらベアリングデバイスは、ベアリングデバイスの潤滑性を改善するために、潤滑剤の粘度を増加させるための活性装置を備える。
【0013】
そうした開示の1つが特許文献1である。この文献は、活性装置を有する動圧ベアリングデバイスを開示する。この活性装置を用いて、潤滑剤の粘度を局所的に増加できる。このようにして、潤滑剤を特定の領域に留まるように操ることができ、それによって潤滑性と、ベアリングデバイスが担持できる負荷とが改善される。
【0014】
特に、特許文献1の
図14に開示される実施形態は興味深い。
図14は、動圧ジャーナルベアリングデバイスを示す。活性装置200、2001は、細長く、かつシャフトの主軸線に平行に延在している。活性装置は、一方のベアリング端部から反対側のベアリング端部まで延在する。活性装置は、シャフト周りにおいて円周方向に間隔をあけて配置される。活性装置は、活性装置の近くのベアリングギャップ内の閉塞領域で潤滑剤の粘度を増加させる。回転シャフトが回転すると、回転シャフトは、潤滑剤をシャフトの回転方向と同じ方向に流れるよう付勢する。ベアリングギャップ内の各活性装置において各閉塞領域で粘度が増加された潤滑剤は、潤滑剤が各閉塞領域を横切るのを防止する。その結果、ベアリングギャップ内の潤滑剤の圧力は、各活性装置のすぐ上流で増加される。これによって、ベアリングの動圧効果が向上する。
【0015】
図14の実施形態の欠点は、活性装置から遠く離れておりかつ活性装置による影響を受けないギャップ内の領域に関して、圧力の増加がないかまたは比較的小さい圧力の増加しか生じないことである。活性装置はベアリング表面全体の一部にしか作用しないため、活性装置の複合効果は限られる。
【0016】
特許文献1で提案される解決案は、第20欄の第31行目から第41行目を参照すると、固定部の内面全体をカバーするために多数の活性装置を設けることである。しかしながら、本発明では、この解決案はかなり複雑かつ高価であると認識される。
【0017】
本発明は、限られた数の活性装置を用いてベアリングギャップ全体またはベアリングギャップの大部分に効果を拡張できるとの見識に基づいている。
【0018】
この分野における別の発表は、非特許文献1である。非特許文献1は、
図1および
図3を参照すると、山部およびパッドを有する静圧ベアリングデバイスを開示している。静圧ベアリングデバイスは、入口と、外部圧力供給源と、を備える。コイルの形態の活性装置が、潤滑剤の粘度を局所的に増加させるために設けられる。コイルはベアリング周りに延在しており、
図3で見ることができる。このベアリングデバイスの欠点は、山部およびパッドを作るために非常に正確な機械加工が依然として要求されることである。山部およびパッドの摩耗および裂けに関連する脆弱性も依然として存在する。
【0019】
同じ趣旨に対するさらなる改善案が、非特許文献2に開示される。非特許文献2に開示されるデバイスもまた、精密な機械加工を必要とし、かつさらに脆弱である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【非特許文献】
【0021】
【文献】Hesselbach著、「Active hydrostatic bearing with magnetorheological fluid」、Journal of applied physics、2003年5月15日、第93巻、p.8441-8443
【文献】GuldbakkeおよびHesselbach著、「Development of bearings and a damper based on magnetically controllable fluids」、IOP Publishing、2006年9月8日、第38巻、第18号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、静圧ベアリングデバイスおよび動圧ベアリングデバイスの多くの利点、特に固定部と可動部との間の接触がさまざまな部品の移動中および停止中の両方で回避される静圧ベアリングデバイスの利点と、特に表面テクスチャリングが存在しないという動圧ベアリングデバイスの利点と、を組み合わせたベアリングデバイスを提供することである。表面テクスチャリングがないことは、関連して脆弱性が低減されるという利点を有する。
【0023】
本発明の目的は、電気粘性潤滑剤または磁気粘性潤滑剤を使用する従来技術のベアリングデバイスよりも大きな負荷を担持できるベアリングデバイスを提供することである。本発明は、温度依存性粘度または制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤とともに使用されてもよい。
【0024】
本発明のさらなる目的は、改良された動圧ベアリングを提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、従来技術の動圧ベアリングデバイスと比較してベアリングギャップからの潤滑剤の漏出が低減される改良された動圧ベアリングを提供することである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、従来技術に取って代わるベアリングデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
これら目的の少なくとも1つを達成するために、本発明は、
- 互いに対して移動可能であり、かつ互いに向かい合う第1の表面および第2の表面であって、第1の表面および第2の表面は、潤滑剤が充填されるベアリングギャップによって離間されており、潤滑剤は磁気粘性液体または電気粘性液体、温度依存性粘度を有する潤滑剤、もしくは制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤である、第1の表面および第2の表面と、
- 第1の表面または第2の表面における1つ以上の供給入口であって、供給入口は、潤滑剤を加圧液体供給源からベアリングギャップに供給するよう構成される、供給入口と、
- 第1の表面または第2の表面に埋め込まれた1つ以上の活性装置であって、ベアリングギャップにおける少なくとも1つの閉塞領域で潤滑剤の粘度を局所的に増加させるかまたは潤滑剤のスリップ速度を局所的に減少させるよう構成され、それによって、閉塞領域におけるベアリングギャップを通る潤滑剤の流れを局所的に阻止する、1つ以上の活性装置と、を
備え、
ベアリングギャップは、潤滑剤の流れが阻止されない少なくとも1つの非閉塞領域を備えており、非閉塞領域は、関連する供給入口を包囲しており、
ベアリングギャップを通る潤滑剤の流路が画定されており、当該流路は、少なくとも1つの供給入口で始まり、少なくとも1つの非閉塞領域に沿って延在し、閉塞領域を横断し、かつベアリングギャップ端部で終端し、
第1の表面および第2の表面は、特に山部およびパッドの形態の表面テクスチャリングがなく、滑らかで連続的であり、ベアリングギャップの高さの急激な変化を伴わず、
少なくとも1つの閉塞領域は、それ自体でまたは他の閉塞領域と協働して、少なくとも1つの非閉塞領域を取り囲み、
閉塞領域で粘度が増加されたかまたはスリップ速度が低下された潤滑剤は、流路の閉塞物として機能し、かつそれ自体でまたは他の閉塞領域において粘度が増加されたかまたはスリップ速度が低下された潤滑剤と協働して、潤滑剤が、非閉塞領域から流出すること、およびベアリングギャップ端部を通ってベアリングギャップから流出することを阻止し、それによって、非閉塞領域内の潤滑剤の圧力を、ベアリングデバイスにかかる負荷を担持するのに十分なレベルまで高め、かつ同時に第1の表面と第2の表面との間の接触を防ぐ、ベアリングデバイスを提供する。
【0028】
活性装置が稼働されると、閉塞領域内の閉塞物は、潤滑剤が閉塞領域を通って流れるのを阻止し、かつ活性装置の非稼働状態と比較して非閉塞領域内の圧力を上昇させる。
【0029】
実際には、閉塞領域は、静圧ベアリングデバイスのパッド(表面テクスチャリングとも称される)として機能し、かつ静圧ベアリングデバイスのパッドに取って代わる。これは、動圧ベアリングデバイスの利点を、山部およびパッド構成を伴わずに、言い換えると表面テクスチャリングを伴わずに実現できるという利点を有する。したがって、本発明に基づくベアリングデバイスは、表面の急激な変化を伴わずに、滑らかでありかつ連続的な第1および第2の表面を有する。
【0030】
このため、活性装置の適切に選択されるパターンは、「仮想」表面テクスチャを生成する。特定の分布を伴う静電界、磁界、または温度場は、流体に特定の空間的な粘度変化をもたらす。この空間的な粘度の変化は、物理的な表面テクスチャを有するベアリング内を流れる一定の粘度を有する流体で観察される流れと同様のパターンで、流体を強制的に流す。
【0031】
加えて、この仮想テクスチャは、出現されたり消したりされてもよく、または異なる仮想テクスチャを画定するべく変更されてもよく、幅広い範囲の動作条件で、最適な効率でベアリングを機能させることができる。
【0032】
ベアリングの性能は、稼働される活性装置の選択と、これらの活性装置が稼働される程度とに影響される。この選択および稼働の程度が、さまざまなスライド方向またはさまざまな負荷などのさまざまな動作条件に最適なベアリングの動作を可能にする。
【0033】
本発明に基づくベアリングデバイスは、制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤とともに使用されてもよい。これは、電気双極子を備える潤滑剤であってもよい。(一般的には電気的な)活性装置の稼働は、双極子が閉塞領域内で所定の方向に向けられるとの効果を有する。これは、スリップ速度が局所的につまり閉塞領域で低下するという効果を有しており、結果として、潤滑剤の分子が第1および第2の表面に良好に付着する傾向があるとの効果を有する。これによって、閉塞領域内のベアリング表面における潤滑剤のスリップ角が増加し、閉塞領域内の潤滑剤の流れが妨げられる。
【0034】
理論的には、流体力学では一般的に、スリップのない境界条件がその境界面において想定される。しかしながら、実際には、潤滑剤のスリップ速度が高い場合、当該境界条件は必ずしも完全に適用されるとは限らない場合がある。本発明では、スリップ角とも称される境界条件は、潤滑剤のスリップ速度を変更することによって影響され得る。実際にはベアリングギャップは非常に薄い(数十マイクロメートル)ため、スリップ角が増加する効果は、閉塞領域内の流れが阻害されることである。
【0035】
双極子は、正の電荷を有する側と負の電荷を有する側とを有してもよい。これらの側の1つは境界面に引き付けられることがあり、他の側は境界面に反発されることがある。活性装置が、境界面に引き付けられる側が当該境界面に面するように双極子を配向する場合、これらの双極子は境界面に付着されることがある。このようにして、スリップ角は増加されてもよく、かつゼロ速度の境界条件が完全に実現されてもよい。境界条件は、潤滑剤の粘度を変更することなく、局所的に変更されてもよい。したがって、それは、電気粘性または磁気粘性の潤滑剤もしくは温度依存性粘度を有する潤滑剤を本発明に基づいて使用した場合と比べて、同じ結果を達成するための異なる方法である。
【0036】
非閉塞領域が閉塞領域によって完全に取り囲まれているため、潤滑剤は非閉塞領域に閉じ込められる。閉塞領域は閉塞物として機能する。当業者は、この閉じ込めは実際には絶対的なものではないこと、およびある程度の潤滑剤が閉塞領域を通過し続けてベアリングギャップ端部に到達することを理解するだろう。しかしながら、実際にはそれは主要な問題ではない。
【0037】
当業者はまた、1つ以上の活性装置が効果を持たない少なくとも1つの非閉塞領域において、「効果がない」との用語は、理論的には電界の磁界は終わりがないが徐々に強度が低下することを決定する物理法則に従って解釈されるべきであることを理解するだろう。「影響がない」との用語は、粘性に対する閉塞領域の影響が無視できることを意味する。
【0038】
非閉塞領域内の潤滑剤の圧力は、ベアリングデバイスにかかる負荷を担持して第1の表面と第2の表面との間の接触を防止するのに十分なレベルまで高められる。閉塞領域内の潤滑剤もまた、圧力下にありかつ負荷の一部を担持して第1の表面と第2の表面との間の接触を防止する役に立つことを理解されたい。
【0039】
ベアリングデバイスの一実施形態では、活性装置は、磁界を作り出す電磁石または永久磁石であるか、または電界を作り出すように帯電可能な電気活性装置である。代替実施形態では、活性装置は、少なくとも1つの閉塞領域内の潤滑剤を冷却するよう構成される冷却要素であってもよい。
【0040】
一実施形態では、ベアリングデバイスは、複数の非閉塞領域、特に3つの非閉塞領域であって、各非閉塞領域がそれぞれ入口を有する非閉塞領域と、複数の閉塞領域であって、各閉塞領域が関連する非閉塞領域を包囲して当該関連付けられた非閉塞領域から潤滑剤が流出するのを阻止する複数の閉塞領域と、を備える。
【0041】
ベアリングデバイスの一実施形態では、非閉塞領域は、パイ形、円形、正方形、長方形、三角形、多角形または楕円形、もしくはよりおおまかには閉塞領域によって包囲され得る任意の形状である。多角形の場合、非閉塞領域は六角形であってもよい。他の形状が使用されてもよく、異なる形状の組み合わせが使用されてもよい。
【0042】
ベアリングデバイスの一実施形態では、第1の表面および第2の表面は、円筒形または円錐形、球形または平坦であり、かつ主回転軸線周りに延在する。
【0043】
ベアリングデバイスの一実施形態では、第1および第2の表面は、円筒形、円錐形、球形または平坦であり、ベアリングデバイスは、複数の非閉塞領域を備えており、各非閉塞領域は閉塞領域によって包囲されており、各閉塞領域は、所定の軸線方向距離にわたって延在する第1の軸線方向部分および第2の軸線方向部分と、所定の円周方向距離にわたって延在する第1の円周方向部分および第2の円周方向部分とを備えており、各閉塞領域は、第1および第2の軸線方向部分と第1および第2の円周方向部分とを相互接続する4つの角部を備える。
【0044】
一実施形態では、ベアリングデバイスは、少なくとも、リング形状の第1の閉塞領域と、リング形状の第2の閉塞領域とを備えており、第1の閉塞領域は、円筒形、円錐形、球形または平坦なベアリングの第1の端部に配置されており、第2の閉塞領域は、円筒形、円錐形、球形または平坦なベアリングの第2の反対側の端部に配置されており、非閉塞領域は、第1の閉塞領域と第2の閉塞領域との間に設けられており、第1および第2の閉塞領域は、非閉塞領域から、そしてベアリングギャップ端部を介して円筒形、円錐形、球形または平坦なベアリングギャップから潤滑剤が流出するのを阻止するシールとして機能する。
【0045】
ベアリングデバイスの一実施形態では、第1および第2の表面は、円筒形、円錐形、球形または平坦な表面セクションの組み合わせである。
【0046】
一実施形態では、ベアリングデバイスは、内側閉塞領域を包囲する少なくとも1つの外側閉塞領域を備える。これによって、全体的な構成がより安定する。
【0047】
一実施形態では、ベアリングデバイスは、軸線方向において負荷を担持するよう構成されるスラストベアリングであり、第1および第2の表面は環状でありかつベアリングデバイスの主回転軸線周りに延在しており、主回転軸線は第1の表面および第2の表面に直交するよう延在しており、ベアリングデバイスは外周ベアリング端部および内周ベアリング端部を備えており、ベアリングデバイスは、少なくとも1つの非閉塞領域から外周ベアリング端部への潤滑剤の流れを阻止する少なくとも1つの外側閉塞領域と、少なくとも1つの非閉塞領域から内周ベアリング端部への潤滑剤の流れを阻止する少なくとも1つの内側閉塞領域と、を備えており、少なくとも1つの非閉塞領域(24)は、内側閉塞領域と外側閉塞領域との間に配置される。
【0048】
ベアリングデバイスの一実施形態では、第1の表面および第2の表面は平坦または球状であり、ベアリングデバイスは、外側ベアリングギャップ端部、および、潤滑油が当該外側ベアリングギャップ端部を通ってベアリングギャップから流出するのを阻止する環状閉塞領域によって取り囲まれた非閉塞領域のみを備える。
【0049】
ベアリングデバイスの一実施形態では、1つの以上の活性装置が一次活性装置と称されており、ベアリングデバイスはさらに、電磁石または永久磁石もしくは電気活性装置あるいは加熱要素である1つ以上の反活性装置(anti-activators)を備えており、反活性装置は、非閉塞領域の少なくとも一部において一次活性装置によって作り出された磁界または電界を打ち消すための逆磁界または逆電界を作り出すか、もしくは非閉塞領域または非閉塞領域の少なくとも一部で潤滑剤を加熱するための加熱要素である。代替実施形態では、反活性装置は、加熱要素を備えてもよい。
【0050】
ベアリングデバイスの一実施形態では、反作動装置は、非閉塞領域の一部に作用し、この部分は、耐閉塞領域(anti-obstruction zone)と称されており、非閉塞領域は、一次活性装置または反活性装置の影響下にない非影響領域をさらに備えており、少なくとも1つの耐閉塞領域は、閉塞領域に隣接して当該閉塞領域と非影響領域との間に配置される。
【0051】
ベアリングデバイスの一実施形態では、活性装置は電磁石であり、ベアリングデバイスは、電磁界を増大させるよう構成される少なくとも1つの受動的な強磁性部材をさらに備える。
【0052】
ベアリングデバイスの一実施形態では、電磁活性装置は、主軸線を有するコイルであり、コイルは、第1または第2の表面の下に配置され、コイルの端部は、その下にコイルが配置される表面から所定の距離を置いて配置され、少なくとも1つの強磁性部材が、コイル内に配置される内側部材と、コイルの外側に配置される外側部材とを備えており、内側部材および外側部材は、コイルの端部を越えて当該第1または第2の表面へ向けて延在する内側突起および外側突起をそれぞれ備えており、前記内側突起と外側突起との間には開口が設けられる。
【0053】
ベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングデバイスは、ボールまたは円筒形ローラー要素などのローラー要素を含まない。
【0054】
ベアリングデバイスの一実施形態では、1つ以上の活性装置は、少なくとも1つの活性装置をカバーして第1または第2の表面を形成する材料層の下に位置される。
【0055】
ベアリングデバイスの一実施形態では、閉塞領域は、所定の線に沿って互いに隣接して配置される複数の活性装置によって画定される。この線は、1つまたは2つの曲率面内で湾曲されてもよく、かつ/または角を有してもよい。
【0056】
ベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングギャップは、入口とベアリングギャップ端部との間で均等な高さを有する。
【0057】
動圧ベアリングデバイス
さらなる実施形態では、本発明は、動圧ベアリングデバイスに関し、
- 第1のベアリング表面と、
- 第1のベアリング表面に面する第2のベアリング表面と、
を備えており、
第1および第2のベアリング表面は、主回転軸線周りで互いに対して回転するよう構成されており、
- 第1のベアリング表面と第2のベアリング表面との間に画定されるベアリングギャップであって、第1および第2のベアリング表面は滑らかでありかつ表面テクスチャリングがなく、ベアリングギャップは、ベアリングギャップの高さの急激な変化がなく、ベアリングギャップは潤滑剤が充填され、潤滑剤は、磁気粘性液体または電気粘性液体、温度依存性粘度を有する潤滑剤、または制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤である、ベアリングギャップと、
- 第1または第2のベアリング表面に埋め込まれた複数の活性装置であって、複数の活性装置は、複数の閉塞領域内で潤滑剤の粘度を局所的に増加させるかまたは潤滑剤のスリップ速度を低下させるよう構成されており、それによって各閉塞領域においてベアリングギャップを通る潤滑剤の流れを阻止する、複数の活性装置と、
- 潤滑剤の流れが阻止されない複数の非閉塞領域であって、第1のベアリング表面と第2のベアリング表面との間の相対移動方向において、閉塞領域および非閉塞領域が交互に設けられ、各非閉塞領域は関連付けられた閉塞領域の上流に配置される、複数の非閉塞領域と、
を備えており、
各閉塞領域は、湾曲形状または角のある形状を有しており、湾曲形状または角のある形状は、下流へ向けて方向付けられた頂部を画定し、閉塞領域は、第1および第2の表面が互いに対して移動する場合に、閉塞領域において局所的に粘度を増加するかまたはスリップ速度を低下させて各閉塞領域を横切る潤滑剤の流れを阻止することによって、各閉塞領域の上流に配置された非閉塞領域において、かつ特に各頂部のすぐ上流に配置されたピーク領域において、ベアリングギャップ内の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすよう構成されている。
【0058】
閉塞領域は、動圧ベアリングにおける表面テクスチャリングとして機能する。一般的に、従来技術の動圧ベアリングのそうした表面テクスチャリングは、溝の形態で設けられる。従来技術では、そうした溝は、動圧の増加を最適化するよう設計される入り組んだ形を有することがある。溝は、正確な機械加工を必要とし、また摩耗および裂けに対して脆弱である。これらの溝がないことによって、有利なことに、ベアリングの製造が容易となりかつ脆弱性が少なくなる。その結果、ベアリングデバイスの耐用期間がより長くなり得る。
【0059】
動圧ベアリングデバイスの一実施形態では、各閉塞領域は、半径方向に対して所定の角度で延在する左セクションおよび右セクションを備えており、左セクションおよび右セクションは、潤滑剤をピーク領域へ向けて方向付ける。
【0060】
動圧ベアリングデバイスの一実施形態では、各頂部は、第1または第2の表面の中央領域に配置されており、頂部は、特に、第1または第2の表面の内側ベアリング端部から所定の距離を置いて位置しており、この距離は、第1または第2の表面の幅の40パーセントから60パーセントである。外側ベアリング端部までの距離も、第1または第2の表面の幅の40パーセントから60パーセントであってもよい。
【0061】
一実施形態では、動圧ベアリングデバイスはスラストベアリングデバイスであり、第1および第2の表面は、平坦であり、かつ主回転軸線に直交するよう延在しており、閉塞領域は、所定の半径方向距離にわたって延在する。
【0062】
動圧ベアリングデバイスの一実施形態では、第1および第2の表面は環状であり、かつベアリングギャップは環状である。
【0063】
動圧ベアリングデバイスの一実施形態では、閉塞領域はV字形状またはU字形状を有する。
【0064】
動圧ベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングはジャーナルベアリングまたはコニカルベアリングであり、湾曲したまたは角のある閉塞領域は、第1または第2の表面外周の周りに間隔を置いて配置され、かつ所定の軸線方向距離にわたって延在する。
【0065】
一般的に傾動パッドベアリングと称される特別な種類の動圧ベアリングが存在することに留意されたい。この実施形態では、ベアリングデバイスは傾動パッドベアリングデバイスであり、ピボット軸線周りで傾斜可能な複数の傾動パッドを備えており、第1の表面は複数の第1の表面セクションを備え、各第1の表面セクションは傾動パッドに関連付けられ、ベアリングギャップは複数のベアリングギャップセクションを備え、各ベアリングギャップセクションは傾動パッドに関連付けられ、
各第1の表面セクションは、滑らかでありかつ表面テクスチャリングがなく、傾動パッドと反対側の第2の表面との間の個々のベアリングギャップセクションそれぞれは、ベアリングギャップの高さの急激な変化がなく、
各第1の表面セクションは、湾曲形状または角のある形状を有する閉塞領域を備えており、湾曲形状または角のある形状は、下流に向けて方向付けられた頂部を画定し、閉塞領域は、第1および第2の表面が互いに対して移動する場合に、閉塞領域において局所的に粘度を増加するかまたは局所的にスリップ速度を低下させて各閉塞領域を横切る潤滑剤の流れを阻止することによって、各閉塞領域の上流に配置された非閉塞領域において、かつ特に各頂部のすぐ上流に配置されたピーク領域において、ベアリングギャップ内の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすよう構成されている。
【0066】
傾動パッド同士の間には、第1の表面と第2の表面との間での力の伝達に実質的に寄与しないために、ベアリングギャップの一部とは見なされずかつ第1の表面の一部と見なされない非支持領域が存在し得ることに留意されたい。
【0067】
各傾動パッドの閉塞領域の形状は、一般的にU字形状であるが、V字形状などの角のある形態を有してもよく、あるいは湾曲形態を有してもよい。また、単一の傾動パッドに複数の閉塞領域が並んで設けられてもよい。
【0068】
本発明はさらに、動圧ジャーナルベアリングデバイスに関し、
- シャフト周りに延在する円筒形ベアリング部材であって、内側に面する第1の表面を備える円筒形ベアリング部材と、
- 外側に面する第2の表面を備えるシャフトと、
を備えており、
動圧ジャーナルベアリングデバイスは、所定のベアリング長さを有し、かつ第1の端部および反対側の第2の端部を有しており、
- 第1の表面と第2の表面との間に存在するベアリングギャップであって、ベアリングギャップは、第1のベアリング端部における第1のベアリングギャップ端部と、第2のベアリング端部における第2のベアリングギャップ端部と、を有しており、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、滑らかでありかつ連続的であり、ベアリングギャップは潤滑剤が充填されており、潤滑剤は、磁気粘性液体または電気粘性液体、温度依存性粘度を有する潤滑剤、または制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤である、ベアリングギャップと、
- 第1または第2の表面に埋め込まれた少なくとも第1の活性装置および第2の活性装置であって、ベアリングギャップにおける第1の閉塞領域および第2の閉塞領域内で潤滑剤の粘度を局所的に増加させるかまたは潤滑剤のスリップ速度を局所的に低下するよう構成されており、第1の活性装置および第2の活性装置が稼働された場合に、第1の活性装置および第2の活性装置は、第1および第2の閉塞領域内の潤滑剤の粘度を増加させるかまたは潤滑剤のスリップ速度を低下させて、潤滑剤が第1および第2の閉塞領域を横切って流れるのを阻止する、第1の活性装置および第2の活性装置と、
を備えており、
第1の表面および第2の表面には、表面テクスチャリングがなく、滑らかで連続的であり、かつベアリングギャップの高さの急激な変化を伴っておらず、
ベアリングギャップは、潤滑剤の流れが阻止されない少なくとも1つの非閉塞領域を備えており、
第1および第2のベアリングギャップ端部は、環状であり、シャフト周りに延在しており、かつ長手方向ベアリング軸線に直交する平面内に延在しており、
第1および第2の閉塞領域は、リング形状になされており、ジャーナルベアリングの両端部に配置されており、非閉塞領域は、第1の閉塞領域と第2の閉塞領域との間に配置され、
第1の閉塞領域は、潤滑剤が第1のベアリングギャップ端部に到達することを阻止し、第2の閉塞領域は、潤滑剤が第2のベアリングギャップ端部に到達することを阻止し、
第1の閉塞領域および第2の閉塞領域はともに、潤滑剤が非閉塞領域から流出しかつベアリングギャップの端部を通ってベアリングギャップから流出することを阻止する。
【0069】
本発明のこの実施形態は、動圧ジャーナルベアリングデバイスのための非常に単純な全体構造を提供する。潤滑剤がベアリングギャップの端部から流出することが効果的に防止される。
【0070】
動圧ジャーナルベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングギャップの高さは、軸線方向において一定である。
【0071】
動圧ジャーナルベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングギャップの高さは、円周方向において変化する。シャフトは必要なラジアル力を作り出すために一般的にわずかに中心がずれているため、これは、動圧ジャーナルベアリングに関しては慣習的なものである。
【0072】
動圧ジャーナルベアリングデバイスの一実施形態では、ベアリングデバイスは所定の長さを有しており、各閉塞領域は所定の幅を有しており、各閉塞領域の幅は、その長さの10パーセント未満である。有利なことに、ベアリングデバイスの大部分が、負荷の担持に寄与する。
【0073】
本発明はさらに、シャフトを備える駆動アセンブリに関し、当該シャフトは、本発明に基づく少なくとも1つのベアリングデバイスによって支持される。
【0074】
駆動アセンブリの一実施形態では、シャフトは、ジャーナルベアリングデバイスに関する限りにおいて本発明に基づく第1のベアリングデバイスと、ジャーナルベアリングデバイスに関する限りにおいて本発明に基づく第2のベアリングデバイスと、スラストベアリングデバイスに関する限りにおいて本発明に基づく第3のベアリングデバイスと、によって支持されており、第1および第2のジャーナルベアリングデバイスは、2つの独立した半径方向(Y、Z)においてシャフトを位置決めしかつシャフトを支持し、第3のスラストベアリングデバイスは、軸線方向(X)においてシャフトを位置決めしかつシャフトのための支持を提供する。この構成によって、すべての必要な方向におけるシャフトのための支持が提供される。
【0075】
本発明はさらに、船体と、エンジンと、プロペラと、エンジンをプロペラに接続する本発明に基づく駆動アセンブリと、を備える船舶に関する。本発明は、堅牢でありかつ信頼性のある全体構成を提供するため、船舶に特に適していることが判明している。なお、本発明は、他の車両、発電所、風力タービン、エンジン一般を含む機器および他のタイプの機器を含むあらゆる種類の機器で使用されてもよい。
【0076】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されかつ同様の参照符号が同様の部分を示す添付の図面に関連して説明されるため、より容易に認識され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図3】本発明に基づく第3の実施形態の等角図である。
【
図5】
図3および
図4の実施形態の変形例の下からの等角図である。
【
図12】本発明のさらに別の実施形態の等角図である。
【
図13A】本発明に基づく3つのベアリングデバイスを有する駆動アセンブリの等角図である。
【
図13B】本発明に基づく3つのベアリングデバイスを有する駆動アセンブリを備える船舶の等角図である。
【
図14】本発明に基づく線形ベアリングデバイスの上面図である。
【
図15】本発明に基づく平面ベアリングデバイスの上面図である。
【
図16】本発明の別の実施形態の側方断面図である。
【
図21】傾動パッドを備える本発明の実施形態の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態が示されている。ベアリングデバイス10が提供されている。ベアリングデバイスは、互いに対して移動可能な第1の表面12および第2の表面14を備える。この実施形態では、第1および第2の表面の両方が平坦である。第1の表面および第2の表面は互いに面している。第1の表面および第2の表面は、潤滑剤が充填されるベアリングギャップ16によって離間されている。ベアリングギャップは、数十マイクロメートルほどの高さを有してもよいが、ベアリングデバイスのサイズに応じて明らかに他の高さも用いることができる。第1の表面12は第1の部材13によって形成され、かつ第2の表面14は第2の部材15によって形成される。
【0079】
潤滑剤は液体である。潤滑剤は、磁気粘性液体または電気粘性液体、もしくは温度依存性粘度を有する潤滑剤、あるいは制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤である。
【0080】
ベアリングデバイスは、第1の表面または第2の表面に1つ以上の供給入口18を備える。この実施形態では、供給入口は第1の表面12に設けられるが、入口が第2の表面に設けられることが想定されてもよい。各供給入口18は、加圧液体供給源からベアリングギャップに潤滑剤を供給するよう構成される。加圧液体供給源は、静圧ベアリングデバイスの場合に設けられるが、本発明の一部としてみなされるものではない。
【0081】
ベアリングデバイスは、1つ以上の活性装置20を備えており、活性装置20は、第1の表面12に埋め込まれ、かつベアリングギャップ内の少なくとも1つの閉塞領域22において潤滑剤の粘度を局所的に増加させるよう構成されており、それによって、閉塞領域においてベアリングギャップを通る潤滑剤の流れが阻止される。ベアリングギャップは、潤滑剤の流れが阻止されない非閉塞領域24を備える。非閉塞領域24は、より低い粘度を有する、影響のない潤滑剤を備える。非閉塞領域24は、供給入口18を包囲する。この実施形態では、非閉塞領域24は円形状を有する。
【0082】
閉塞領域は、所定の線に沿って互いに隣接して配置される複数の活性装置によって画定されてもよい。各活性装置20と、同様に各閉塞領域24とは、半径方向に延在する2つの半径方向部分29A、29Bと、円周方向に延在する円周セクション33と、を備える。流出領域35が、隣接する閉塞領域の半径方向部分29の各対の間に画定される。
【0083】
ベアリングギャップを通る潤滑剤の流路が画定されている。流路は、少なくとも1つの供給入口18から始まり、少なくとも1つの非閉塞領域24に沿って延在し、閉塞領域22を横断して、ベアリングギャップ端部26で終端する。
【0084】
従来の静圧ベアリングデバイスとは対照的に、第1の表面12および第2の表面14は、山部およびパッドの形態の表面テクスチャリングがなく、滑らかで連続的であり、ベアリングギャップの高さの急激な変化を伴わない。活性装置20の上面は、第1の表面12の残りと同一平面になされている。これによって、ベアリングデバイスはその製造が比較的簡単となりかつ比較的堅牢となる。
【0085】
閉塞領域22は、少なくとも1つの非閉塞領域26を包囲しており、かつ潤滑剤が、閉塞領域22を越えてベアリングギャップ端部26へ流れてベアリングギャップ端部26を介してベアリングギャップから流出することによって、非閉塞領域26から出るのを阻止する。
【0086】
図1Bを参照すると、この包囲によって、外部圧力源が、圧力を、従来の表面テクスチャリングを伴わずに、ベアリングデバイスが負荷を担持して第1のベアリング表面と第2のベアリング表面との間の接触を防止できるレベルまで上昇させることが可能となる。言い換えると、閉塞領域は表面テクスチャリングとして機能し、特にパッドとして機能する。
図1Bでは、流路25が、ベアリングギャップ内において矢印で示されている。流路に沿った移動距離xの関数p(x)としての圧力が、破線で示されている。非閉塞領域24では、圧力勾配p’(x)は比較的小さい。閉塞領域では、圧力勾配p’(x)は急激に変化し、圧力はベアリングギャップ端部26でゼロまで低下する。
【0087】
ベアリングギャップ端部26は円周状であり、ベアリングギャップ16の周りに延在する。この実施形態では、ベアリングデバイスは、外側ベアリングギャップ端部26および非閉塞領域24のみを備えており、非閉塞領域24は、潤滑剤がベアリングギャップから外側ベアリングギャップ端部を通って流出するのを阻止する環状閉塞領域22に取り囲まれている。他の実施形態を参照して説明されるように、ベアリングデバイスは複数のベアリングギャップ端部を有してもよい。
【0088】
閉塞領域22で増加された粘度を有する潤滑剤は、流路の閉塞物として作用し、かつそれ自体によってまたは他の閉塞領域で粘度が増加された潤滑剤と協働して、潤滑剤が少なくとも1つの非閉塞領域26から出るのを阻止し、これによって、非閉塞領域内の潤滑剤の圧力を、ベアリングデバイスにかかる負荷を担持しかつ第1の表面と第2の表面との間の接触を防止するのに十分なレベルまで増加させる。
【0089】
活性装置は、磁界を作り出す電磁石または永久磁石を備えてもよい。別の実施形態では、活性装置は、電界を作り出すために帯電可能な電気活性装置を備えてもよい。別の実施形態では、活性装置は、少なくとも1つの閉塞領域22内の潤滑剤を冷却するよう構成される冷却要素である。制御可能なスリップ速度を有する潤滑剤とともに使用される別の実施形態では、活性装置は、電界を作り出す電気活性装置であり、それによって潤滑剤中の双極子を配向して、潤滑剤のスリップ速度を制御する。
【0090】
図2を参照すると、同様の実施形態が示されており、活性装置は、少なくとも1つの活性装置をカバーしかつ第1の表面または第2の表面を形成する材料の層28の下に配置される。これによって、第1の表面および第2の表面を完全に滑らかにすることが容易となる。
【0091】
図1および
図2に示される実施形態では第1および第2の表面は平坦であるが、別の実施形態では第1および第2の表面は球状であってもよく、あるいは半球などの球体の一部の形状を有してもよい。この時、ベアリングギャップも球状または半球状となる。ベアリングデバイスは、球体の「スライス」の形態を有する第1および第2の表面を有するスイングアームベアリングであってもよい。
【0092】
図1および
図2のベアリングデバイスは、2つの独立した移動方向X、Yにおける第2の表面に対する第1の表面の移動を可能にし、同時に第3の移動方向における支持を提供する。
図1および
図2の実施形態はまた、第2の表面に対する第1の表面のZ軸線周りでの回転を可能にする。
図1および
図2の実施形態は、軸線Xおよび軸線Y周りの回転を防止する。
【0093】
ベアリングデバイスには、ボールまたは円筒形ローラー要素などのローラー要素が存在しなくてもよい。
【0094】
図3および
図4を参照すると、別の実施形態が示されている。第1および第2の表面12、14は平坦である。第1および第2の表面は円形である。ベアリングデバイスは、複数の非閉塞領域24A、24B、24C(共通して24で示される)、特に3つの非閉塞領域を備える。各非閉塞領域は、それぞれの入口18を有する。ベアリングデバイスは、複数の閉塞領域22A、22B、22C(共通して22で示される)を備える。各閉塞領域は、関連する非閉塞領域を包囲し、かつ関連する非閉塞領域から潤滑剤が流出するのを抑制する。
【0095】
図3および
図4の実施形態における非閉塞領域は、パイ形状(すなわち円弧の形状)である。なお、非閉塞領域が異なる形状、例えば円形、正方形、長方形、三角形、多角形(例えば六角形)、楕円形、またはこれらの形状の組み合わせを有し得るよう実現することもできる。
【0096】
これら閉塞領域は、中心31の周りおよび/または中心軸線30の周りに規則的な角度間隔で、特に約120度の角度間隔で離間されている。
【0097】
図3および
図4の実施形態は、
図1および
図2の実施形態と同じ動作および支持能力を提供するが、
図3および
図4の実施形態は、X軸線およびY軸線周りでの第1の表面に対する第2の表面の傾斜に対する支持をより良好に提供できるという点で異なる。したがって、X軸線およびY軸線に対する第2の表面の向きを維持するのにより適している。これの背景は、ベアリングギャップが非閉塞領域24A、24B、24Cである3つの独立した圧力領域に仕切られていることである。
【0098】
圧力供給源は、異なる非閉塞領域に独立した圧力を提供するよう構成されてもよい。異なる圧力を制御するために、制御ユニット101が提供されてもよい。また、センサ102が提供されてもよい。センサは、異なる非閉塞領域のための圧力センサを含んでもよい。センサ102は、入口開口18内または入口開口18に配置されてもよい。圧力差がある場合、制御ユニット101は、圧力平衡状態を回復するために、入口開口18の1つへの流れを増加させてもよい。また、位置センサまたは方位センサが設けられてもよい。第2の表面が傾斜する場合、傾斜はセンサによって感知されてもよく、かつ非閉塞領域の1つ以上における圧力の増加が、制御ユニット101によってもたらされてもよく、その結果、傾斜の反転と、第1の表面および第2の表面の再整列が行われる。
【0099】
ベアリングデバイスは、2つの独立した方向X、Yにおける移動を可能にし、第3の方向Zにおける支持を提供してもよい。ベアリングデバイスは、Z軸線の周りでの回転を可能にし、かつX軸線およびY軸線の周りでの回転を防止してもよい。
【0100】
当業者であれば、この実施形態が拡張されてもよいことおよび閉塞領域に包囲された多数の非閉塞領域を備えてもよいことを理解するであろう。
図3および
図4のベアリングデバイスは円形形状を有するが、正方形または長方形の形状もしくは直線的な形状などの異なる全体形状を有することも可能である。ベアリングデバイスはかなりのサイズを有し、3つ以上の非閉塞領域を有してもよい。
【0101】
図14を参照すると、ベアリングデバイスがリニアベアリングデバイスである変形例が示される。非閉塞領域24A、24B、24C、24Dなどは、例えばX軸線に沿って直線構造で配置され、かつX軸線のみに沿う第1の表面に対する第2の表面の移動を可能にする一方で、Z方向において第2の表面を支持し、かつY方向におけるガイド面などの別の手段を介して支持する。異なる非閉塞領域24はまた、Y軸線の周りでの第1の表面に対する第2の表面の傾斜に対する支持を提供し、かつX軸線の周りでの傾斜に対する支持も提供してもよい。別のガイドが、Z軸線周りでの回転に対する支持を提供してもよい。
【0102】
非閉塞領域24は、正方形または長方形の形状を有するが、異なる形状が可能である。
【0103】
図15を参照すると、
図15Aの変形例は、平坦表面をカバーするように拡張されてもよく、このベアリングデバイスは、複数の非閉塞領域24の多数の列130を有する。そうした実施形態では、ベアリングデバイスは、Z軸線周りでのX方向およびY方向の両方における相対運動を可能にする一方で、X軸線およびY軸線周りでの傾斜を防止する。全体形状は正方形または長方形として示されるが、円形であっても、もしくは異なる形状を有してもよい。
【0104】
図5、
図6、および
図7を参照すると、
図4および
図5の実施形態の変形が示されている。その変形例では、活性装置20は、
図2の変形例と同様に、第1の表面を形成する材料の層の下に配置されている。これによって、完全に均一な(つまり滑らかな)第1の表面がもたらされ、製造プロセスが容易となる。付加的な利点は、ベアリングの脆弱性が小さくかつ摩耗および裂けに対する耐性が高いことである。
図6では、閉塞領域22A、22B、22Cおよび非閉塞領域24A、24B、24Cは、活性装置20A、20Bおよび20Cが第1の表面12の下に配置されるため視認できないので、破線で示されている。
【0105】
ジャーナルベアリング
図8を参照すると、本発明の別の変形例が示されており、当該変形例において、ベアリングデバイスは、ラジアルベアリングとも称されるジャーナルベアリングである。
図8は、ジャーナルベアリングデバイスの外側部分を示している。内側部分は、明確にするために図示されないシャフトであってもよい。外側部分は、第1の表面として画定される内面12を有する。シャフトは、第2の表面を形成する外面を有する。ベアリングギャップは、内面12と外面との間に画定される。ベアリングデバイスは主回転軸線30を有する。第1の表面12および第2の表面は円筒形であり、かつ主回転軸線30周りに延在する。
【0106】
別の実施形態では、ベアリングデバイスは円錐形であってもよく、そうした変形例では、第1の表面および第2の表面も円錐形である。
【0107】
ベアリングデバイスは、複数の、特に5つの非閉塞領域24A、24B、24C、24D、24Eを備える。5との数は、異なる非閉塞領域における圧力を独立して制御することによって半径方向軸線Y、Z周りでの軸線の傾斜をサポートできる点において利点を有する。なお5以外の数も可能である。各非閉塞領域は、閉塞領域22A、22B、22C、22D、22Eによって包囲されている。
【0108】
各閉塞領域は、所定の軸線方向距離D1にわたって延在する第1の軸線方向部分A1および第2の軸線方向部分A2と、所定の円周方向距離D2にわたって延在する第1の円周方向部分C1および第2の円周方向部分C2と、を備える。各閉塞領域は、第1および第2の軸線方向部分と第1および第2の円周方向部分を相互接続する4つの角部32を備える。これは、閉塞領域22Dのみに関して図示されるが、他の閉塞領域についても同様であることは明らかである。
【0109】
ベアリングデバイスが円錐形である場合、閉塞領域と非閉塞領域が先細形状になるという違いがあるが、同様の構成が適用されてもよい。
【0110】
一実施形態では、制御ユニット101が提供されてもよく、かつ半径方向軸線Y、Z周りでの軸線の傾斜を感知するためにセンサ102が提供されてもよい。制御ユニットは、非閉塞領域内側の圧力を個別に制御するために、加圧流体の供給源にまたは加圧流体供給源から入口まで延在する導管内の制御バルブに、連結されてもよい。付加的または代替的に、内面に対するシャフトの位置および/または向きを測定するセンサが設けられてもよく、制御ユニットは、内面に対するシャフトの位置および/または向きを制御するために個々の非閉塞領域内の圧力を制御するよう構成されてもよい。
【0111】
スラストベアリング
図9Aを参照すると、本発明に基づくスラストベアリングデバイスが図示されている。スラストベアリングは、軸線方向における負荷を担持するよう構成されており、アキシャルベアリングと呼ばれることがある。第1の表面12の1つのみが図示される。
【0112】
第1の表面12および第2の表面は環状であり、ベアリングの主回転軸線30周りに延在している。主回転軸線30は、第1の表面12および第2の表面に直交するよう延在している。
【0113】
ベアリングデバイス10は、外周ベアリング端部26Aと内周ベアリング端部26Bとを備えている。ベアリングデバイスは、円周方向に延在しかつ外側閉塞領域22Aを画定する少なくとも1つの外側活性装置20Aを備えており、外側活性装置20Aは、少なくとも1つの非閉塞領域24から外周ベアリング端部26Aへの潤滑剤の流れを抑制する。
【0114】
ベアリングデバイスは、円周方向に延在しかつ内側閉塞領域22Bを画定する少なくとも1つの内側活性装置20Bを備えており、内側活性装置20Bは、少なくとも1つの非閉塞領域24から内周ベアリング端部26Bへの潤滑剤の流れを抑制する。
【0115】
少なくとも1つの非閉塞領域24は、環状であり、かつ内側閉塞領域と外側閉塞領域との間に配置される。
【0116】
ベアリングデバイスは、第1の表面12に複数の供給入口18を備える。この実施形態は静圧ベアリングデバイスであり、当該ベアリングデバイスでは、負荷を担持して第1の表面と第2の表面との間の接触を防止するのに必要な圧力が、静圧によって作り出される。円周方向閉塞領域22A、22Bは、潤滑剤がベアリングギャップ端部26A、26Bを介して環状非閉塞領域から出るのを阻止する。
【0117】
複数の非閉塞領域を有するスラストベアリング
図9Bを参照すると、別の実施形態では、スラストベアリングデバイスは、複数の非閉塞領域24A、24B、24C、特に3つの非閉塞領域を有してもよく、これら非閉塞領域は、主回転軸線30周りにおいて円周方向に間隔をあけて配置される。各非閉塞領域24A、24B、24Cは入口18を有する。各閉塞領域は、
- 内側ベアリングギャップ端部の一部に沿って延在する内周セクション(33A)と、
- 外側ベアリングギャップ端部の一部に沿って延在する外周セクション(33B)と、
- 所定の半径方向距離(Dr)にわたって延在しかつ内周セクションと外周セクションを相互接続する第1の半径方向部分(29A)および第2の半径方向部分(29B)と、
を備える。この実施形態では、非閉塞領域は、弓形状を有する。この実施形態は、異なる非閉塞領域24における個々の圧力制御を可能にする。
【0118】
動圧ベアリング
図10Aを参照すると、ベアリングデバイスが動圧ベアリングデバイスとして構成されている別の実施形態が図示されている。ベアリングデバイスは、第1のベアリング表面12と第2のベアリング表面とを有するが、第2のベアリング表面は第1のベアリング表面12をより良く表示するために図示されていない。第2のベアリング表面は第1のベアリング表面に面している。第1および第2のベアリング表面は、主回転軸線30周りで互いに対して回転するよう構成されている。第1および第2のベアリング表面は平坦かつ環状であり、主回転軸線30に直交するよう延在している。
【0119】
ベアリングギャップは、第1のベアリング表面と第2のベアリング表面との間に画定される。第1および第2のベアリング表面は滑らかであり、表面テクスチャリングがない。ベアリングギャップ16は、ベアリングギャップの高さの急激な変化がない。ベアリングギャップは潤滑剤が充填されており、潤滑剤は、磁気粘性液体または電気粘性液体、もしくは温度依存性粘度を有する潤滑剤である。
【0120】
複数の活性装置20が、第1の(または第2の)のベアリング表面12に埋め込まれており、かつ複数の閉塞領域22内の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるよう構成されている。これの効果は、ベアリングギャップを通る潤滑剤の流れが各閉塞領域22で阻止されることである。
【0121】
ベアリングデバイスは、潤滑剤の流れが阻止されない複数の非閉塞領域24を備える。円周方向において、閉塞領域と非閉塞領域とが交互に設けられており、各非閉塞領域24は、2つの閉塞領域22の間に配置される。
【0122】
閉塞領域の効果は、閉塞領域22に対する潤滑剤の(矢印で示される)流れ方向34を考慮した場合に、閉塞領域の上流にある非閉塞領域24において顕著となる。例えば、閉塞領域22Jの効果は、閉塞領域22Jの上流に配置された非閉塞領域24Jで感じられる。
【0123】
各閉塞領域は、湾曲形状または角のある形状である。各閉塞領域は、所定の半径距離Drにわたって延在しており、半径距離Drは、環状の第1または第2の表面の幅W1に等しくてもよい。
【0124】
角のある形状の場合、
図10Aに示されるヘリンボーンパターンが有利であることが見いだされた。ヘリンボーンパターンは、溝の形態の表面テクスチャリングを有する動圧ベアリングから公知となっている。これらのベアリングでは、ヘリンボーンパターンは表面テクスチャリングによって作られる。これは非常に正確な機械加工を必要とする。結果として生じるベアリングは、摩耗および裂けに非常に敏感である。第1の表面と第2の表面との間の接触の結果としての表面テクスチャの破損は、ベアリングデバイスの機能不良を容易に引き起こす可能性がある。本発明は、この点において重要な利点を提供する。
【0125】
湾曲形状または角のある形状は、下流へ向けて方向付けられた頂部36を画定する。閉塞領域は、第1および第2の表面が互いに対して移動する場合に、閉塞領域内の粘度を局所的に増加させて各閉塞領域を横切る潤滑剤の流れを阻止することによって、各閉塞領域の上流に配置された非閉塞領域24において、かつ特に各頂部36のすぐ上流に配置された各閉塞領域24のピーク領域38において、ベアリングギャップ内の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすよう構成されている。
【0126】
閉塞領域24の湾曲形状または角のある形状によって、潤滑剤は、
図9において矢印40によって示されるように、ピーク領域へ向けて半径方向に付勢される。閉塞領域22の左側42および右側43は、潤滑剤をピーク領域に向けて付勢する。より詳細には、潤滑剤の流れはピーク領域38である程度収縮し、ピーク領域38において潤滑剤のより高い動圧をもたらす。明らかなことに、湾曲形状も同様に機能する。別の実施形態では、頂部36は開放されていてもよく、構成領域の単独の左側42と構成領域の単独の右側43とをもたらす。この左側および右側はさらに、ずらして配置されてもよい。これは、閉塞領域の左側が右側に対して傾斜され、さらに半径方向に対しても傾斜されているため、依然として角のある形状と見なされる。
【0127】
各頂部36は、第1の表面12の中央領域に配置されており、頂部38は、特に、内側ベアリング端部26Bから所定の距離(A1)をおいて配置されており、距離(A1)は、第1の表面12または第2の表面の幅(W1)の30パーセントから70パーセント、より具体的には40パーセントから60パーセントである。
【0128】
閉塞領域は、
図10Aに示すようにV字形状(ヘリンボーン構成)を有してもよく、あるいはU字形状を有してもよい。
【0129】
図10Bを参照すると、動圧ベアリングデバイス10の直線的な変形例が示されている。直線的な変形例は、
図10Aの環状変形例とほぼ同じように機能する。
【0130】
図11を参照すると、活性装置20によって画定される閉塞領域22が第1または第2の表面の周囲に間隔をあけて配置されかつ主軸線30の方向において所定の軸線方向距離(Da)にわたって延在する動圧ジャーナルベアリングが示されている。閉塞領域は湾曲されるかまたは角のあるものとなっている。湾曲形状の場合、その曲率は懸垂線、放物線形状、おおむねU字の形状、または異なる曲率であってもよい。角のある形状の場合、閉塞領域は単一の角度付き頂部(V形状)を有してもよく、あるいは複数の角度、例えば3つの角度(または角部)を有してもよく、1つの中心角が頂部と左右の角度とを規定する。
【0131】
図12を参照すると、本発明の別の実施形態が示されており、これは動圧ジャーナルベアリングデバイス10である。ベアリングデバイスは、第1の表面12を有する円筒形ベアリング部材13を備えており、当該第1の表面12は、内側に面しておりかつシャフトの周りに延在する。シャフトは、外側に面する第2の表面を備える。シャフトは、第1の表面12をより明確に示すために、
図12には図示されない。
【0132】
動圧ジャーナルベアリングデバイスは所定のベアリング長さ(L1)を有する。ベアリングデバイスは、ベアリングギャップを有し、かつ第1のベアリングギャップ端部26Aと反対側の第2のベアリングギャップ端部26Bとを有する。第1のベアリングギャップ端部26Aおよび第2のベアリングギャップ端部26Bは、対向する第1および第2のベアリング端部40A、40Bに配置される。
【0133】
ベアリングギャップは、内向きの第1のベアリング表面と外向きの第2のベアリング表面との間に存在する。第1の表面12および第2の表面は滑らかでありかつ連続的である。ベアリングギャップは潤滑剤が充填される。潤滑剤は、磁気粘性液体、電気粘性液体、または温度依存性粘度を有する潤滑剤である。
【0134】
少なくとも第1の活性装置20Aおよび第2の活性装置20Bは、第1または第2の表面に埋め込まれており、かつベアリングギャップにおける第1および第2の閉塞領域22A、22B内の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるよう構成される。第1および第2の活性装置は、稼働された場合、第1および第2の閉塞領域内の潤滑剤の粘度を増加させ、潤滑剤が第1および第2の閉塞領域を越えて流出するのを阻止する。
【0135】
第1の表面12および第2の表面は、山部およびパッドの形態の表面テクスチャリングがなく、滑らかでありかつ連続的であり、ベアリングギャップの高さの急激な変化を伴わない。ベアリングギャップは、潤滑剤の流れが阻止されない少なくとも1つの非閉塞領域24を備える。
【0136】
第1および第2のベアリングギャップ端部26A、26Bは環状であり、シャフトの周りに延在しており、かつ長手方向ベアリング軸線30に直交する平面内に延在する。
【0137】
第1および第2の閉塞領域22A、22Bは、リング形状であり、かつジャーナルベアリングの両端部40A、40Bに配置される。非閉塞領域24は、第1の閉塞領域22Aと第2の閉塞領域22Bとの間に配置される。
【0138】
第1の閉塞領域22Aは、潤滑剤が第1のベアリングギャップ端部26Aに到達するのを阻止し、第2の閉塞領域22Bは、潤滑剤が第2のベアリングギャップ端部26Bに到達するのを阻止する。第1の閉塞領域22Aおよび第2の閉塞領域22Bはともに、潤滑剤が非閉塞領域24から流出することおよびベアリングギャップ端部26A、26Bを通ってベアリングギャップから流出することを阻止する。
【0139】
ほとんどの動圧ジャーナルベアリングと同様に、ベアリングギャップの高さは円周方向において変化することがある。軸線が円筒形ベアリング部材13と整列される場合、ベアリングギャップの高さは軸線方向において一定となる。しかしながら、実際には、軸線にかかる負荷の結果として、小さなずれが発生することがある。
【0140】
ベアリングは長さL1を有しており、各閉塞領域は幅Wozを有する。各閉塞領域の幅Wozは、ベアリングの長さL1の10パーセント未満である。これは、ベアリングの長さの少なくとも80パーセントを形成する非閉塞領域24をもたらす。
【0141】
図13Aを参照すると、シャフト50を備える駆動アセンブリ100が図示されており、シャフトは、少なくとも1つのベアリングデバイス10、特に本発明に基づく3つのベアリングデバイス10によって支持されている。
【0142】
シャフトは、第1のジャーナルベアリングデバイス10Aおよび第2のジャーナルベアリングデバイス10Bと、軸線方向Xにおける支持を提供する第3のスラストベアリングデバイス10Cとによって支持されており、第1および第2のベアリングデバイスは、ジャーナルベアリングデバイスであり、かつ半径方向Y、Zにおける支持を提供する。
【0143】
駆動アセンブリは、さまざまな用途で使用されてもよい。
【0144】
図13Bを参照すると、1つの用途において、駆動アセンブリ100は船舶104に搭載されて使用され、船舶104は、船体106、エンジン108、プロペラ110、およびエンジンをプロペラに接続する駆動アセンブリ100を備える。
【0145】
シャフトは、第1のジャーナルベアリングデバイス10Aおよび第2のジャーナルベアリングデバイス10Bによって、かつ軸線方向Xにおける支持を提供する第3のスラストベアリングデバイスによって、支持されており、第1および第2のジャーナルベアリングデバイスは、2つの独立した半径方向Y、Zにおける支持を提供する。
【0146】
エンジンは、ギアボックス112、船外シール114および船内シール115をさらに備える。シール114、115は、海水116の侵入を防止する。エンジン108およびギアボックス112は、エンジンルーム118内に配置され、かつ1つ以上のブルヘッド120によって船舶の内部容積の残りから分離されてもよい。シャフト50は、一般的に、船尾管122内に配置される。船尾管122とシャフト50との間の環状空間124は、オイルを充填されてもよい。
【0147】
さらなる実施形態
図16および
図17を参照すると、別の実施形態が示されている。1つ以上の活性装置20は、一次活性装置と称される。ベアリングデバイスは、電磁石または永久磁石もしくは電気活性装置あるいは加熱要素である1つ以上の反活性装置44をさらに備える。反活性装置は、非閉塞領域24の少なくとも一部において一次活性装置20によって作り出された磁界または電界を打ち消すために、あるいは非閉塞領域におけるまたは非閉塞領域の少なくとも一部において潤滑剤を加熱するために、反対向きの磁界または電界を作り出す。
【0148】
この実施形態では、一次活性装置20は、入口18周りに延在するコイルである。コイルは、主軸線30を有する。反活性装置44もまた、入口18周りに延在するコイルであり、当該コイルは同じ主軸線30を有する。(コイルの軸線30に平行に延在する)X方向に見た場合に、一次活性装置20および反活性装置44は同心円を形成する。
【0149】
反作動装置44は、非閉塞領域の一部に作用し、その部分は、耐閉塞領域46と称される。非閉塞領域24は、一次活性装置または反活性装置の影響下にない非影響領域48をさらに備えており、少なくとも1つの耐閉塞領域が、閉塞領域に隣接して当該閉塞領域と非影響領域との間に配置される。
【0150】
活性装置20は電磁石である。そのベアリングデバイスは、電磁界を増大させるよう構成される少なくとも1つの受動的な強磁性部材60をさらに備える。
【0151】
コイル20、44は、第1の表面12の下および材料層28の下に配置されている。コイルの端部62は、第1の表面12から所定の距離(Dc)をおいて配置されており、第1の表面12の下にはコイルが配置される。少なくとも1つの強磁性部材は、コイル内に配置される内側部材64と、コイルの外側に配置される外側部材66とを備える。内側部材64および外側部材66はそれぞれ、第1の表面12へ向けてコイルの端部62を越えて延在する内側突起65および外側突起67を備えており、開口70が、内側突起と外側突起との間に設けられる。開口70の上方におけるベアリングギャップ16の領域は、閉塞領域22である。少なくとも1つの閉塞領域22は、少なくとも1つの非閉塞領域24を完全に包囲している。
【0152】
非閉塞領域内に閉塞領域を備える実施形態
図18、
図19および
図20を参照すると、内側閉塞領域22Mを包囲する非閉塞領域24を有する本発明に基づく静圧ベアリングデバイスの実施形態が示されている。非閉塞領域24はまた、外側の環状閉塞領域22によって包囲されている。
【0153】
内側閉塞領域22Mは、第1の表面12に直交する方向において互いに対して移動する2つのベアリング表面に生じることがある振動(または共振)を減衰させるという有益な効果を有する。ベアリング表面が互いへ向けて移動する場合、いわゆる「スクイーズ流れ」が生成される。スクイーズ流れは、内側閉塞領域22Mから非閉塞領域24へ、かつ非閉塞領域24から閉塞領域22を通ってベアリングギャップ端部26へ、そしてベアリングギャップから外方への潤滑剤の流れである。
【0154】
スクイーズ流れ自体は、ベアリングデバイスの分野で公知となっている。しかしながら、この実施形態では、中央閉塞領域22Mにおけるベアリングギャップ内の潤滑剤は、粘度が増加される(またはスリップ角が増加する)。その結果、スクイーズ流れが妨げられ、ベアリングギャップから絞り出される潤滑剤が少なくなる。その結果、振動または共振のより良い減衰がもたらされる。
【0155】
図21、
図22、
図23を参照すると、傾動パッド80を備える動圧ベアリングデバイスの実施形態が示されている。傾動パッドを備えるベアリングデバイスは公知である。傾動パッドは、ピボット軸線84を規定するヒンジ82を介してベアリングデバイスの外側部分に接続されている。傾動パッドは、例えば球状ヒンジを介して、互いに対して直角に延在する2つのピボット軸線周りで枢軸回動可能であると考えられる。
【0156】
この実施形態では、第1の表面12に対する潤滑剤の流れの方向が、矢印34で示されている。閉塞領域22の形状は、
図10A、
図10B、および
図11の実施形態に関して説明したものと同じであるが、傾動パッドがおおむね正方形または長方形であるという違いがある。傾動パッドの閉塞領域22はU字形状を有してもよい。U字形状の閉塞領域は、傾動パッドの3つの側面88に沿って延在している。閉塞領域は、V字形状などの角のある形態を有してもよく、あるいは湾曲形態を有してもよい。また、単一の傾動パッドに複数の閉塞領域が並んで設けられてもよい。
【0157】
矢印34は、第1の表面に対する潤滑剤の流れの方向を示すだけでなく、第1の表面に対する第2の表面の移動方向も示す。
【0158】
閉塞領域22は、U字形状の「底部」である頂部36を有する。頂部36のすぐ上流において、ピーク領域38が非閉塞領域に形成される。ピーク領域38では、潤滑剤の圧力が最大値に達する。
【0159】
1つのみの傾動パッド80が図示されているが、完成したベアリングデバイスでは、回転軸線周りに間隔をあけて配置される複数の傾動パッドが存在することは明らかであろう。例えば、3、4、6、または8個の傾動パッドが設けられてもよいが、異なる数も可能である。傾動パッドの第1の表面12は平坦であってもよいが、傾動パッドについて公知のように湾曲していても、特に凹形であってもよい。
【0160】
スラストベアリングの場合、傾動パッドはリング形状の一部の形状を有してもよい。これら傾動パッドは、ともに、リング形状を形成する。
【0161】
当業者は、2つの隣接する傾動パッドの間には一般的に非支持領域(つまり非支持ギャップ)が存在することを理解するであろう。本明細書の目的上、これらの非支持領域はベアリングギャップの一部とは見なされない。第1および第2の表面の特徴的な均一性は、傾動パッドの個別の第1の表面セクションに適用される。「表面テクスチャリングのない」および「ベアリングギャップの高さの急激な変化がない」との特徴は、傾動パッドによって形成される個別のセクションにも適用される。
【0162】
傾動パッドは、正確に正方形または長方形である必要はない。台形形状も可能である。傾動パッド80は、丸みをおびた角を有してもよい。
【0163】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている;しかしながら、開示される実施形態は、本発明の単なる例示であり、様々な形態で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ本発明を事実上任意の適切な詳述された構造で様々に使用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定することを意図するものではなく、むしろ本発明の理解可能な説明を提供することを意図している。
【0164】
「a」または「an」との用語は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数として規定される。「複数」との用語は、本明細書で使用される場合、2つまたは2つ以上として規定される。「別の」との用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも2番目以降として規定される。「含む」および/または「有する」との用語は、本明細書で使用される場合、備える(すなわち他の要素またはステップを除外しないオープンな言葉)として規定される。請求項中の参照符号は、特許請求の範囲または本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0165】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0166】
10 ベアリングデバイス
12 第1の表面
12A、12B、12C 第1の表面セクション
14 第2の表面
16 ベアリングギャップ
18 供給入口
20 活性装置
22、22A、22B、22C、22D、22E 閉塞領域
24、24A、24B、24C、24D、24E 非閉塞領域
25 流路
26 ベアリングギャップ端部
26A 外周ベアリング端部
26B 内周ベアリング端部
28 材料層
30 主回転軸線
32 角部
36 頂部
38 ピーク領域
40 第2のベアリング端部
42 左セクション
43 右セクション
44 反活性装置
46 耐閉塞領域
48 非影響領域
50 シャフト
60 強磁性部材
62 コイルの端部
64 内側部材
65 内側突起
66 外側部材
67 外側突起
70 開口
80 傾動パッド
100 駆動アセンブリ
101 制御ユニット
102 センサ
104 船舶
106 船体
108 エンジン
110 プロペラ
112 ギアボックス
114 船外シール
114 シール
115 船内シール
115 シール