(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/22 20100101AFI20240214BHJP
H01L 33/10 20100101ALI20240214BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L33/22
H01L33/10
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2020546148
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 KR2019008410
(87)【国際公開番号】W WO2020013563
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0079626
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0119585
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122759
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,デ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】グウァク,ウ チョル
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ヨン ヒュン
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0340558(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0186857(US,A1)
【文献】国際公開第2011/058890(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0128961(KR,A)
【文献】特開2003-204079(JP,A)
【文献】特開2009-242130(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159844(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0087623(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0267025(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0251803(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127554(US,A1)
【文献】特許第5330040(JP,B2)
【文献】国際公開第2005/106977(WO,A1)
【文献】米国特許第10361339(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0334059(US,A1)
【文献】特開2010-219269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076505(US,A1)
【文献】米国特許第6657236(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0217460(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372643(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047871(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0993093(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0061910(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0093007(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1338698(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0000045(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から突出する複数の突出部のパターンと、
前記基板上に設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた活性層と、
前記活性層上に設けられた第2半導体層と、
を含み、
前記突出部の各々は、前記基板と一体かつ分離不能に形成され、かつ、前記基板の上面から突出する第1層と、前記第1層上に設けられ、前記第1層よりも小さい屈折率を有する材料で形成された第2層と、を含み、
平面視における前記第1層の直径は、前記第2層の直径よりも大きく、
隣り合う2つの突出部の中心間の間隔をピッチと呼ぶとき、前記突出部の直径と前記突出部のパターンの前記ピッチとの比は、約0.8~約1.0である、発光装置。
【請求項2】
前記突出部の各々の直径は、約2.5マイクロメートル~約3.5マイクロメートルであり、
前記ピッチは、約2.5マイクロメートル以上約3.5マイクロメートル以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記突出部の各々の直径は、約2.6マイクロメートル~約2.8マイクロメートルであり、
前記ピッチは、約2.9マイクロメートル~約3.1マイクロメートルである、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記突出部の各々の直径は、約2.8マイクロメートルである、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1層の高さと前記第2層の高さとの比が、約0.2~約1.5である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1層の高さと前記第2層の高さとの比が、約0.75~約1.5である、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2層の高さは、前記第1層の高さよりも大きい、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記突出部の直径は、前記ピッチ以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1層の側面の傾斜角度と前記第2層の側面の傾斜角度とが異なる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1半導体層は、前記突出部の側面に対応する領域の一部に空隙を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
基板と、
前記基板と一体かつ分離不能に形成され、前記基板の上面から突出する第1層と、前記第1層上に設けられ、前記第1層よりも小さい屈折率を有する材料で形成される第2層と、を含む複数の突出部のパターンと、
前記基板上に設けられ、発光する発光スタックと、
を含み、
平面視における前記第1層の直径は、前記第2層の直径よりも大きく、
前記発光スタックは、前記突出部の前記第1層の少なくとも1つの側面上に設けられた空隙を有し、
前記第1層の高さと前記第2層の高さとの比は2.5より大きく、9.5より小さい、発光装置。
【請求項12】
前記発光スタックが、基板上に設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2半導体層と、を含み、
前記空隙は、前記第1半導体層内に設けられている、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記基板からの前記空隙の最上部の高さと、前記基板表面からの前記第1層の最上部の高さとは、実質的に同じである、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記空隙は、前記第1層の上面が平面視で円形状である場合、前記第1層の上面の外縁に内接する正六角形の頂点に対応して設けられる、請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記基板の上面に垂直で前記第1層の上面の中心を通る平面に沿って切断した場合、空隙は、直角三角形であり、
前記直角三角形の斜辺は、第1層の側面である、請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記第1層の高さと前記第2層の高さとの比が、2.5より大きく、9.5より小さい、請求項11に記載の発光装置。
【請求項17】
前記第1層の高さは、約0.25以上約0.55以下であり、前記第1層と前記第2層の高さの合計は、約2.1マイクロメートルである、請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板と一体かつ分離不能に形成され、かつ、前記基板の表面から突出する第1層と、前記第1層上に設けられ、前記第1層よりも小さい屈折率を有する材料で形成される第2層と、を含む複数の突出部のパターンと、
前記基板上に設けられ、発光する発光スタックと、
を含み、
平面視における前記第1層の直径は、前記第2層の直径よりも大きく、
前記第1層は、上面と、前記基板の表面と前記第1層の上面とを接続する側面と、を含み、
前記第1層の上面は、粗面を有する、発光装置。
【請求項19】
前記第1層の前記上面の粗さにおいて、前記粗さの標準偏差Rqは、約0.300nm~約0.550nmであり、
前記粗さの算術平均Raは、約0.250nm~約0.400nmである、請求項18に記載の発光装置。
【請求項20】
発光スタックは、基板上に設けられ、前記突出部を覆う第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2半導体層と、を有し、
前記活性層から出射された光は、前記第1半導体層を通過して前記基板の方向に進行する、請求項18に記載の発光装置。
【請求項21】
前記第1層の屈折率が約1.6~約2.45であり、
前記第2層の屈折率が約1.3~約2.0である、請求項18に記載の発光装置。
【請求項22】
前記第1層及び前記第2層の屈折率は、前記第1半導体層の屈折率よりも小さい、請求項
20に記載の発光装置。
【請求項23】
前記第1半導体層の屈折率が、約2.0~約2.5である、請求項22に記載の発光装置。
【請求項24】
前記基板は、前記突出部が設けられていない領域に粗面を有する、請求項18に記載の発光装置。
【請求項25】
前記側面は、前記第1半導体層から前記側面に向かって進行する光の90%以上を反射する反射面である、請求項20に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は自己発光光源の一つとして近年使用されている。発光ダイオードは、化合物半導体の特性を利用して、電気信号を赤外光、可視光、紫外光などの光の形に変換する。発光装置の発光効率が高まるにつれて、発光装置は表示装置や一般照明を含む様々な分野に応用されるようになってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、高い光抽出効率及び信頼性を有する発光装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態による発光装置は、基板と、前記基板から突出する複数の突出部のパターンと、前記基板上に設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2半導体層とを含み、前記突出部の各々は、前記基板と一体かつ分離不能に形成され、かつ、前記ベース基板の上面から突出する第1層及び前記第1層上に設けられ、前記第1層とは異なる材料で形成された第2層を含み、隣り合う2つの突出部の中心間の間隔をピッチと呼ぶとき、前記突出部の直径と前記ピッチとの比は約0.8~約1.0である。
【0005】
例示的な実施形態によれば、突出部の各々の直径は、約2.5マイクロメートル~約3.5マイクロメートルとすることができ、ピッチは、約2.5マイクロメートル以上約3.5マイクロメートル以下とすることができる。
【0006】
例示的な実施形態によれば、突出部の各々の直径は、約2.6マイクロメートル~約2.8マイクロメートルとすることができ、ピッチは、約2.9マイクロメートル~約3.1マイクロメートルとすることができる。
【0007】
例示的な実施形態によれば、突出部の各々の直径は、約2.8マイクロメートルとすることができる。
【0008】
例示的な実施形態によれば、第1層の高さと第2層の高さとの比は、約0.2~約1.5であってもよく、約0.75~約1.5であってもよい。あるいは、第2層の高さは第1層の高さよりも高くてもよい。
【0009】
例示的な実施形態によれば、突出部の直径は、ピッチと等しいか、又はそれより小さくてもよい。
【0010】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記第1層の側面と前記第2層の側面との傾斜角度は異なってもよい。
【0011】
例示的な実施形態によれば、第1半導体層は、突出部の側面に対応する領域の一部に空隙が設けられてもよい。
【0012】
例示的な実施形態による発光装置は、基板と、前記基板と一体かつ分離不能に形成され、前記基板の上面から突出する第1層及び該第1層上に設けられ、該第1層とは異なる材料で形成される第2層を含む複数の突出部のパターンと、前記基板上に設けられ、発光する発光スタックと、を含んでもよく、該発光スタックは、前記突出部の前記第1層の少なくとも1つの側面上に設けられた空隙を有してもよく、前記第1層の高さと前記第2層の高さとの比は2.5より大きく、9.5より小さくてもよい。
【0013】
例示的な実施形態によれば、発光スタックは、基板上に設けられた第1半導体層と、第1半導体層上に設けられた活性層と、活性層上に設けられた第2半導体層とを含んでもよく、前記空隙が第1半導体層内に設けられてもよい。
【0014】
例示的な実施形態によれば、基板表面からの空隙の最上部の高さと、基板表面からの前記第1層の最上部の高さとは、実質的に同じであってもよい。
【0015】
本開示の例示的な実施形態によれば、前記空隙は、前記第1層の上面が平面視で円形である場合、前記円に内接する正六角形の頂点に対応して設けられてもよい。
【0016】
例示的な実施形態によれば、基板の上面に垂直で円の中心を通る平面に沿って切断した場合、空隙は直角三角形であってもよく、直角三角形の斜辺は第1層の側面であってもよい。
【0017】
例示的な実施形態によれば、第1層の高さと第2層の高さの比は、2.5より大きく、9.5より小さくてもよい。
【0018】
例示的な実施形態によれば、第1層の高さは約0.25以上かつ約0.55以下であってもよく、第1層と第2層の高さの合計は約2.1マイクロメートルであってもよい。
【0019】
上述した例示的な実施形態による発光装置の製造方法は、複数の突出部のパターンを基板上に形成する工程であって、前記突出部の各々が、基板の上面から突出する第1層と、前記第1層上に設けられ、前記第1層とは異なる材料で形成される第2層とを含む工程と、基板上に、第1半導体層、活性層、及び第2半導体層を順次形成する工程と、含んでもよく、前記第1半導体層を形成する工程は、前記基板上に前記第1半導体層の材料を三次元(3D)成長させる工程と、前記基板上に前記第1半導体層の材料を二次元(2D)成長させる工程と、を含んでもよい。
【0020】
例示的な実施形態による発光装置は、基板と、前記基板と一体かつ分離不能に形成され、かつ、前記基板の表面から突出する第1層及び前記第1層上に設けられ、前記第1層とは異なる材料で形成される第2層をそれぞれ含む複数の突出部のパターンと、前記基板上に設けられ、発光する発光スタックと、を含んでもよく、前記第1層は、上面及び前記基板の表面と前記第1層の上面とを接続する側面を含んでもよく、前記第1層の上面は、粗面を有していてもよい。
【0021】
例示的な実施形態によれば、前記第1層の上面の粗面化された表面において、粗さの標準偏差Rqは、約0.300nm~約0.550nmであってもよく、粗さの算術平均Raは、約0.250nm~約0.400nmであってもよい。
【0022】
例示的な実施形態によれば、前記発光スタックは、前記基板上に設けられ、突出部のパターンを覆う第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2半導体層とを含んでもよく、前記活性層から放射された光は、前記第1半導体層を介して前記基板の方向に進んでもよい。
【0023】
例示的な実施形態によれば、前記第1層の屈折率は、前記第2層の屈折率より大きくてもよい。
【0024】
例示的な実施形態によれば、前記第1層の屈折率は、約1.6~約2.45であってもよく、前記第2層の屈折率は、約1.3~約2.0であってもよい。
【0025】
例示的な実施形態によれば、前記第1層及び前記第2層の屈折率は、前記第1半導体層の屈折率より小さくてもよい。例示的な実施形態によれば、前記第1半導体層の屈折率は、約2.0~約2.5であってもよい。
【0026】
例示的な実施形態によれば、前記基板は、前記複数の突出部が設けられていない領域に粗面を有してもよい。
【0027】
例示的な実施形態によれば、前記側面は、前記第1半導体層から前記側面に向かって進行する光の90%以上を反射する反射面であってもよい。
【0028】
例示的な実施形態によれば、上述の構造を有する発光装置の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上面に粗面を形成する工程と、前記基板の屈折率とは異なる屈折率を有する材料の絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上にフォトレジストを形成し、フォトリソグラフィを用いてフォトレジストをパターニングする工程と、前記フォトレジストをリフローする工程と、前記フォトレジストをマスクとして用いて前記絶縁層及び前記基板をエッチングする工程と、前記基板上に発光スタックを形成する工程と、を含んでもよい。
【0029】
例示的な実施形態によれば、粗面化された表面は、ウェットエッチング、ドライエッチング、及び研削のうちの少なくとも1つによって形成されてもよい。
【0030】
例示的な実施形態によれば、前記絶縁層及び前記基板をエッチングする工程は、異方的に実行されてもよい。
【発明の効果】
【0031】
例示的な実施形態は、高い光抽出効率及び信頼性を有する発光装置及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】例示的な実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【
図2】
図1の発光装置の要素のうち、その上に突出パターンが設けられた基板の平面図である。
【
図4a】例示的な実施形態による発光装置において、突出部が設けられた基板と当該基板の成長方向を示す図である。
【
図4b】突出部を伴って基板上に実際に成長している第1の半導体層を示す写真である。
【
図5a】
図4aに点線で示された矩形の拡大図である。
【
図6】横型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【
図7】フリップチップ型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【
図8】表1の突出パターンのピッチに応じた発光効率を示すグラフである。
【
図9】表2の突出パターンのピッチに応じた発光効率を示すグラフである。
【
図10】表3~6の直径に応じた発光効率を示すグラフである。
【
図11】例示的な実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【
図12】
図11の発光装置の要素のうち、その上に突出パターンが設けられた基板の平面図である。
【
図15a】空隙が設けられていない発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図15b】空隙が設けられていない発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図15c】空隙が設けられていない発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図15d】空隙が設けられていない発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図16a】空隙が設けられた発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図16b】空隙が設けられた発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図16c】空隙が設けられた発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図16d】空隙が設けられた発光装置の突出部の構造を示す図である。
【
図17】表11におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図18a】突出パターンを製造する工程のいくつかを示す断面図である。
【
図18b】突出パターンを製造する工程のいくつかを示す断面図である。
【
図19】上述した手法で製造された例示的な実施形態による突出パターン及び第1半導体層の写真である。
【
図20a】空隙が設けられていない構造を有する発光装置の光路及び光強度の写真である。
【
図20b】空隙が設けられている構造を有する発光装置の光路及び光強度の写真である。
【
図21】例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【
図22】例示的な実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【
図23】
図22の発光装置の要素のうち、その上に突出パターンを設けられた基板の平面図である。
【
図26a】従来の発光装置の第1層の上面の写真である。
【
図26b】本開示の例示的な実施形態による発光装置の第1層の上面の写真である。
【
図27a】例示的な実施形態に従って発光装置を製造する際の、
図24の部分P2に対応する部分の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図27b】例示的な実施形態に従って発光装置を製造する際の、
図24の部分P3に対応する部分の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図28a】第1層の側面の形状に依存する光路を示すPhETシミュレーション写真である。
【
図28b】第1層の側面の形状に依存する光路を示すPhETシミュレーション写真である。
【
図29a】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29b】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29c】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29d】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29e】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29f】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図29g】例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【
図30】横型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【
図31】フリップチップ型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【
図32】比較例1、比較例3、及び本実施例による発光装置の波長に依存する発光強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の概念は様々な変更に適用することができ、様々な形態を有することができ、具体的な例示的な実施形態を図面に示し、以下の説明で詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、本発明の概念を本開示の特定の形態に限定することを意図するものではなく、本開示の精神及び技術的範囲に含まれる全ての変更例、均等物、及び代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0034】
以下、本開示の望ましい実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、例示的な一実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【0036】
図1を参照すると、例示的な実施形態による発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた発光スタックとを含む。
【0037】
発光スタックは、基板10上に連続的に設けられた、第1半導体層20、活性層30、及び第2半導体層40を含む。
【0038】
基板10は、透過性又は非透過性基板であってもよく、導電性又は絶縁性基板であってもよい。また、基板10は、半導体単結晶、例えば窒化物単結晶を成長させる成長基板であってもよい。
【0039】
基板10としては、サファイア基板を用いることができる。しかし、本発明の概念はこれに限定されず、基板10は、SiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、Ga2O3などの多様な物質で形成されることができる。特に、サファイアは、六角ロンボ型(Hexa-Rhombo R3c)の対称性を有する結晶構造を有していてもよい。サファイアの場合、c軸方向とa軸方向の格子定数は13.001Åと4.758Åであり、サファイアはc(0001)面、a(1120)面、r(1102)面を持つ。サファイアのc面は窒化物薄膜を成長させるのが比較的容易で高温で安定であるため、窒化物半導体を成長させる基板として用いてもよい。
【0040】
本開示の例示的な実施形態では、基板10はパターン化され、その上面に複数の突出部11のパターンが設けられる。つまり、突出部11は、基板10の上面から上方に突出した形態で設けられている。例示的な実施形態では突出部11がその幅が上方向に向かって減少する逆円錐状に設けられてもよく、そのため、突出部11を基板10に垂直な面で切断する場合、突出部11の断面はほぼ三角形であってもよい。
【0041】
突出部11は、基板10の上面から連続的に積層された第1層13及び第2層15を有する。第1層13は基板10上に設けられ、第2層15は第1層13上に設けられる。
【0042】
第1層13は、基板10と一体的に、かつ分離不能に形成される。このように、第1層13は、基板10と同じ物質からなる。第1層13の上面は、突出部11の形状が円錐である場合に円形状を有することができる。
【0043】
第2層15は、第1層13とは異なる材料で形成されている。第2層15の材料は第1層13の材料とは異なる屈折率を有する材料であってもよく、本開示の例示的な実施形態では、第1層13の屈折率が第2層15の屈折率よりも大きくてもよい。この場合、第1層13よりも屈折率の低い様々な絶縁材料、例えば屈折率が約1.0~約1.7の絶縁材料を第2層15の材料として用いることができる。第2層15は、例えば、SiOx、SiOxNy、SiNxなどの、反射率を有する材料として含むことができる。例示的な実施形態では、第1層13は、サファイアから構成されてもよく、第2層15は、SiO2から構成されてもよい。ここで、第1層13の屈折率は、約1.76であり、第2層15の屈折率は、約1.46であり、基板10の屈折率より小さい。
【0044】
突出部11が設けられた基板10には、複数の化合物半導体層が設けられていてもよい。複数の化合物半導体層は、種々の方法、例えば、電子ビーム蒸着、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマレーザー蒸着(PLD)、デュアル型熱蒸着、スパッタリング、有機金属化学蒸着法(MOCVD)等によって形成されてもよい。しかしながら、本発明の概念は、これに限定されるものではない。
【0045】
第1半導体層20は、基板10上に設けられてもよい。第1半導体層20は、第1導電型ドーパントをドープした半導体層である。第1導電型ドーパントは、n型ドーパントであってもよい。第1導電型ドーパントは、Si、Ge、Se、Te又はCであってもよい。
【0046】
本開示の例示的な実施形態において、第1半導体層20は、窒化物ベースの半導体材料を含んでもよい。例えば、第1半導体層20は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体材料から成る。例示的な実施形態において、前記組成式を有する半導体材料は、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN、AlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、AlGaInP等を含んでもよい。第1半導体層20は、Si、Ge、Sn、Se、Teなどのn型ドーパントを含むように成長する半導体材料を用いて形成してもよい。
【0047】
本開示の例示的な実施形態では、第1半導体層20は、異なるバンドギャップを有する2種類の層を交互に積層した構成であってもよい。異なるバンドギャップを有する2種類の層を交互に積層することによって形成される構造は、超格子構造であってもよく、したがって、第1半導体層20は、電流の拡散を改善し、応力を緩和することができる。
【0048】
異なるバンドギャップを有する2種類の層が交互に形成されるが、異なる薄膜結晶層を含んでもよい。この場合、異なるバンドギャップを有する2つの層を交互に積層すると、基本単位格子よりも長い結晶格子で周期構造が形成される場合がある。異なるバンドギャップを有する2つの層は、広いバンドギャップを有する層と狭いバンドギャップを有する層である。例示的な実施形態では、広いバンドギャップを有する層がAlaGabIn(1-a-b)N(0≦a<1、0<b≦1)、例えばGaN層であってもよい。狭いバンドギャップを有する層は、AlaGabIn(1-a-b)N(0≦a<1、0<b≦1)、例えばGabIn(1-b)N(0<b≦1)であってもよい。
【0049】
本開示の例示的な実施形態では、広いバンドギャップ層及び狭いバンドギャップ層の少なくとも一方がn型不純物を含んでもよい。
【0050】
活性層30は、第1半導体層20上に設けられ、発光層に対応する。
【0051】
活性層30は、第1導電型半導体層を介して注入された電子(又は正孔)と、第2半導体層40を介して注入された正孔(又は電子)とが互いにぶつかり、活性層30の形成物質に応じたエネルギーバンドのバンドギャップの違いによって発光する層である。活性層30は、紫外、青、緑、及び赤のうち少なくとも1つのピーク波長を放出してもよい。
【0052】
活性層30は、化合物半導体で形成されてもよい。活性層30は、例えば、3族元素と5族元素との組合せ、又は2族元素と6族元素との組合せによる化合物半導体のうちの少なくとも1つによって実現されてもよい。活性層30には量子井戸構造を採用することができ、活性層30は、量子井戸層と隔壁層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有することができる。しかし、これに限定されず、活性層30の構造は、量子細線構造、量子ドット構造などであってもよい。
【0053】
本開示の例示的な実施形態では、量子井戸層は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する材料で構成されてもよい。隔壁層は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体材料で形成されていてもよく、井戸層とは異なる組成比で提供されていてもよい。ここで、前記隔壁層は、前記井戸層よりも広いバンドギャップを有することができる。
【0054】
井戸層及び隔壁層は、例えば、AlGaAs/GaAs、InGaAs/GaAs、InGaN/GaN、GaN/AlGaN、AlGaN/AlGaN、InGaN/AlGaN、InGaN/InGaN、InGaP/GaP、AlInGaP/InGaP、InP/GaAsの少なくとも1つの対を含んでもよい。例示的な実施形態において、活性層30の井戸層は、InGaNから構成されてもよく、隔壁層は、AlGaN系半導体から構成されてもよい。本開示の例示的な実施形態において、前記井戸層のインジウム組成物は、前記隔壁層のインジウム組成物よりも高い組成比を有し、前記隔壁層は、前記インジウム組成物を有さなくてもよい。また、井戸層はアルミニウムを含まなくてもよく、隔壁層はアルミニウムを含んでもよい。ただし、井戸層及び隔壁層の組成物は、これに限定されない。
【0055】
例示的な実施形態によれば、隔壁層は、井戸層の厚さよりも厚い厚さを有することができる。しかし、井戸層の厚さが薄すぎると、キャリアの閉じ込め効率が低下し、厚すぎると、キャリアが過度に閉じ込められることがある。隔壁層の厚さが薄すぎると電子の阻止効率が低下し、厚すぎると電子が過度に阻止されることがある。
【0056】
このように、隔壁層及び井戸層の厚さを適切に調整することにより、光の波長及び量子井戸の構造に応じて、それぞれのキャリアを井戸層に効果的に閉じ込めることができる。
【0057】
本開示の例示的な実施形態では、各井戸層の厚さは特に限定されず、各厚さは実質的に同じであっても異なっていてもよい。各井戸層の厚さが実質的に同じである場合、量子準位が実質的に同じであるため、各井戸層における発光波長は実質的に同じであってもよい。この場合、半値幅の狭い発光スペクトルが得られることがある。各井戸層の厚さが異なる場合、各井戸層の発光波長を変化させ、それに応じて、発光スペクトルの幅を広げることができる。
【0058】
本発明の例示的な実施形態では、複数の隔壁層のうちの少なくとも1つはドーパントを含むことができ、例えば、n型ドーパント及びp型ドーパントのうちの少なくとも1つを含むことができる。n型ドーパントを添加する場合、隔壁層はn型半導体層であってもよい。隔壁層がn型半導体層である場合には、活性層30に注入される電子の注入効率を高めることができる。
【0059】
本発開示の例示的な実施形態において、隔壁層は多様な厚さを有することができるが、最上部の隔壁層は他の隔壁層と実質的に同一の厚さ又はより大きい厚さを有していてもよい。
【0060】
活性層30が多重量子井戸構造を有する場合、量子井戸層及び隔壁層の組成は、発光装置に必要な発光波長に応じて設定されてもよい。例示的な実施形態では、複数の井戸層の組成物の全ては実質的に同じであってもよいし、同じでなくてもよい。例えば、下側の井戸層は不純物を含んでいてもよいが、上側の井戸層は不純物を含んでいなくてもよい。
【0061】
第2半導体層40は、活性層30上に設けられている。
【0062】
第2半導体層40は、第1導電型ドーパントとは逆極性の第2導電型ドーパントを有する半導体層である。第2導電型ドーパントは、p型ドーパントであってもよく、第2導電型ドーパントは、例えば、Mg、Zn、Ca、Sr、Baなどを含んでもよい。
【0063】
本開示の例示的な実施形態において、第2半導体層40は、窒化物ベースの半導体材料を含んでもよい。第2半導体層40は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体材料で形成されてもよい。例示的な実施形態において、前記組成式を有する半導体材料は、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN、AlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、AlGaInP等を含んでもよい。第2半導体層40は、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba等のp型ドーパントを含むように半導体材料を成長させて形成してもよい。
【0064】
図示しないが、基板10、第1半導体層20、活性層30、及び第2半導体層40に加えて、バッファ層及び/又は電子ブロック層のような機能層をさらに設けてもよい。
【0065】
例えば、バッファ層は、基板10上及び第1半導体層20上に設けることができる。バッファ層は単層で形成されていてもよいし、多層で形成されていてもよい。例示的な実施形態では、バッファ層がInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で形成されてもよく、例えば、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN、AlGaAs、GaP、GaAsP、AlGaInP、ZnOなどの材料の少なくとも1つを含んでもよい。
【0066】
バッファ層は、異なった半導体層を交互に配置することにより超格子構造を有するように形成することができる。バッファ層は、基板10と窒化物系半導体層との間の格子定数の違いを緩和するように配置することができ、欠陥制御層として定義することができる。バッファ層の格子定数は、基板10の格子定数と窒化物系半導体層の格子定数との間の数値を有していてもよい。バッファ層は形成されなくてもよいが、本発明の概念はこれに限定されない。
【0067】
さらに、電子ブロック層は、第2半導体層40と活性層30との間にさらに配置されてもよい。電子ブロック層は、第2半導体層40内のドーパントによる結晶性の低下を低減し、第2半導体層40内のドーパントの活性層30内への拡散を阻止することができる。さらに、電子ブロック層は、活性層30からの電子が第2半導体層40に進むのを阻止し、それによって、電子ブロック層と第2半導体層40との間の電流の拡散を阻止することができる。例示的な実施形態では、電子ブロック層がInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体材料で形成されてもよい。電子ブロック層は、例えば、GaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN、及びAlInNのうちの少なくとも1つから形成されてもよい。
【0068】
電子ブロック層は、活性層30の隔壁層よりも広いバンドギャップを有してもよい。電子ブロック層のバンドギャップは、電子ブロック層を構成する材料の組成に応じて変化し得る。例えば、電子ブロック層がAlGaNからなる場合には、アルミニウムの組成比を変えてバンドギャップを異ならせて設定してもよく、バンドギャップが広がるにつれて電子ブロック効果が向上する場合がある。
【0069】
本開示の例示的な実施形態では、電子ブロック層が単層又は多層に配置されてもよく、第2導電型ドーパント、例えば、p型導電型ドーパントを含んでもよい。このように、電子ブロック層は、例えば、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba等のp型ドーパントを有するp型半導体層であってもよく、電子ブロック層は、p型ドーパントを含むGaN、AlGaN、InGaNのうちの少なくとも1つであってもよい。例示的な実施形態では、電子ブロック層は、少なくとも2つの異なる層が交互に配置された超格子構造で形成されてもよい。
【0070】
本実施の形態ではバッファ層及び電子ブロック層を例に挙げて説明したが、バッファ層及び電子ブロック層の少なくとも一方を省略してもよい。また、発光装置に、バッファ層及び電子ブロック層以外の機能層をさらに追加してもよいことは言うまでもない。
【0071】
以上説明したように、本開示の例示的な実施形態による発光装置では、複数の突出部11のパターンが基板10に設けられている。突出部11について詳細に説明する。
【0072】
図2は、
図1の発光装置の要素のうち突出部11が設けられた基板10の平面図であり、
図3は、
図2のI-I’線に沿った断面図である。
【0073】
図2及び
図3を参照すると、突出部11は基板10の上面に設けられており、各突出部11は、第1層13及び第2層15を有する。
【0074】
突出部11の各々は、平面上で見ると円形状を有していてもよい。突出部11が円錐状に設けられている場合には、円錐の頂点部分が中心となる。
【0075】
突出部11は、所定の直径DM及び高さHTを有する大きさに設けることができる。ここで、直径DMとは断面視における突出部11の最下端の幅をいい、高さHTとは基板10の上面から突出部11の頂点までの距離をいう。例示的な実施形態では、突出部11の各々が互いに同じ直径DM及び同じ高さHTを有することができる。しかしながら、各突出部11は全く同じ直径DM及び全く同じ高さHTを有していなくてもよく、その直径DM及び高さHTは所定の範囲内で変化してもよい。
【0076】
第1層13と第2層15は平面上で見ると直径が異なっていてもよいが、同じ中心を有する同心円状に設けられていてもよい。突出部11が円錐状に設けられている場合には、第1層13の直径は、第2層15の直径よりも大きくなる。ここで、第1及び第2層13,15の直径は、断面上で見た場合、第1及び第2層13,15の最下端の幅とする。
【0077】
本開示の例示的な実施形態において、突出部11は、基板10の上面に様々な形態で配置されることができる。例えば、突出部11は正方格子パターンの四角形の各頂点に配置されてもよいし、又は、六方格子パターンの六角形の各頂点に配置されてもよい。本開示の例示的な実施形態では、突出部11が正方格子パターンの四角形の各頂点に配置されることが例示されている。
【0078】
それぞれの突出部11は、互いに所定のピッチPT及び距離DTをもって配置されていてもよい。ピッチPTとは平面上で見たときに隣り合う2つの突出部11の中心間の距離であり、距離DTとは平面上で見たときに隣り合う2つの突出部11のエッジ間の距離である。
【0079】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11の直径DMは、ピッチPT以下であってもよい。突出部11の直径DMがピッチPTよりも大きい場合には、突出部11が平面上で重なり合い、突出部11が設けられていない箇所の基板10の上面の面積が過度に小さくなる。突出部11で覆われていない基板10の上面は、その後に第1半導体層20の成長が生じる場所である。従って、突出部11の径DMがピッチPTよりも大きい場合には、第1半導体層20(
図1参照)の成長が十分に起こらず、発光装置の製造上不利となる。
【0080】
例示的な実施形態によれば、ピッチPT及び距離DTは、配置の方向に応じて異なる値を有してもよい。例示的な実施形態では、ピッチPT及び/又は距離DTがともに同一であるものとして図示しているが、これは説明の便宜上のものであり、ピッチPT及び距離DTは全て同一である必要はなく、所定の範囲内で若干の差異を有していてもよい。
【0081】
本開示の例示的な実施形態では突出部11のパターンのピッチPTは、直径DMに従って所定の範囲内の値を有し、突出部11の直径DMとピッチPTの比は、約0.8~約1.0の範囲であってもよい。例えば、突出部11の直径DMが2.5マイクロメートル~3.5マイクロメートルである場合、ピッチPTは、2.5マイクロメートル以上3.5マイクロメートル未満であってもよい。あるいは突出部11の直径DMが2.6マイクロメートル~2.8マイクロメートルである場合、ピッチPTは2.9マイクロメートル~3.1マイクロメートルであってもよい。
【0082】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11において、第1層13及び第2層15は様々な高さ比で形成されてもよい。ここで、第1層13の高さH1は、所定値以上に形成される。第1層13の高さH1が0である場合、基板10からの第1半導体層20の成長は、処理中に基板10の上面に残留する不純物によって阻害される。例示的な実施形態では、第1層13の高さH1と第2層15の高さH2との比は0.2~1.5とすることができる。別の例示的な実施形態では、第1層13の高さH1と第2層15の高さH2との比は0.75~1.5であってもよく、又は、第1層13の高さH1と第2層15の高さH2との比は1を超えてもよい。例示的な実施形態では、第1層13の高さH1と第2層15の高さH2との比は0.75であり、第1層13の高さは0.9μmであり、第2層15の高さは1.2μmであり、突出部11の直径DMは約2.7~約2.9μm、例えば2.8μmである。
【0083】
本開示の例示的な実施形態において、第2層15の高さH2が第1層13の高さH1より大きい値を有するように形成される場合、第1層13の側面方向への結晶成長が減少し、結晶の品質が向上する。
【0084】
本開示の例示的な実施形態において、第1層13及び第2層15の側面の傾斜角度は少なくとも部分的に同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。図面において、第1層13及び第2層15の傾斜角度は同一の値を有するが、本発明の概念はこれに限定されず、第1層13及び第2層15の側面の傾斜角度は少なくとも部分的に同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。特に、第1層13と第2層15とが互いに接触する部分における傾斜角度は、互いに異なっていてもよい。第1層13と第2層15の材料は互いに異なるので、その側面の傾き度合いは、エッチング処理時の工程条件に応じて異なるように設定すればよい。例示的な実施形態では、第1層13及び第2層15の傾斜角度が異なるように形成され、従って、発光装置から放射される光の散乱度が増大し、発光効率を向上させることができる。
【0085】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11の配置が図示されるように規則的であってもよいが、本発明の概念はこれに限定されない。例えば、突出部11は、不規則に配置されてもよい。この場合であっても、基板10上で全体を見たときに、1面積当たりの突出部11における間隔PT及び間隔DTは所定の範囲内であり、この場合には、その密度を実質的に同程度にすることができる。
【0086】
本開示の例示的な実施形態では、説明の便宜上、突出部11が円錐形状のみを有するように示されているが、突出部11は本開示の概念から逸脱することなく、制限内で様々な形状に変更されてもよい。例えば、突出部11の形状は、多角錐形状であってもよい。加えて、円錐形状に設けた場合であっても、側面を形成する曲面の形状を部分的に変更してもよい。
【0087】
以上のように構成された発光装置について、
図1~
図3を参照して説明すると、次の通りである。
【0088】
まず、基板10を作製し、基板10上に第2層15を形成するための物質を用いて絶縁層を積層する。上述したように、基板10はSiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、Ga2O3などの物質を含むことができ、絶縁層は、SiOx、SiOxNy、SiNxなどを含むことができる。
【0089】
次に、絶縁層上にフォトレジストを塗布し、露光・現像によりフォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをマスクとして絶縁層と基板10の一部をエッチングする。このように、第2層15は、突出部11が形成される部分を除いて絶縁層をエッチングすることにより形成されている。第2層15が形成されていない部分では、基板10の上面が露出している。ここで、第1層13は、付加的なエッチングを介して基板10の上面を元の基板10の上面よりもオーバーエッチングすることによって形成される。第2層15のみを形成し、基板10の本来の上面が露出するようにエッチングを行うと、理論的には基板10の上面が露出した後に半導体層の成長が容易に起こることが予想されるが、実際にはその後、基板10の上面に存在するエッチング残渣や不純物により、第1半導体層20の成長が適切に起こらない。このようにして、追加のエッチングが行われ、基板10上のエッチング残渣、不純物等が完全に除去される。これにより、第1層13が形成される。
【0090】
第1層13及び第2層15を形成するためのエッチングは、材料に応じて様々な方法を用いて様々な条件で行うことができる。例えば、絶縁層及び基板10の部分は、ドライエッチングを用いてパターニングされてもよい。
【0091】
上述した方法では、第2層15及び第1層13を連続的に形成してもよく、同一又は異なるエッチングガスを用いてパターニングしてもよい。
【0092】
第1半導体層20は、突出部11が形成された基板10上に形成されている。第1半導体層20は、まず基板10の露出面から上方向に成長し、次いで上方向及び側面の方向に成長する。
【0093】
図4aは、例示的な実施形態による発光装置において、突出部11が設けられた基板10と当該基板10の成長方向を示し、
図4bは、突出部を伴って基板上に実際に成長している第1半導体層20を示す写真である。
図5aは、
図4aに点線で示された矩形の拡大図であり、
図5bは、
図5aの一部の写真である。
図4a及び
図5aでは、説明の便宜上、半導体層を成長させる主な方向を矢印で示している。
【0094】
図4a、
図4b、
図5a、及び
図5bを参照すると、まず、第1半導体層20が上方に形成される。
【0095】
第1半導体層20は、様々な材料の半導体層、例えば、n型窒化物ベースの半導体層で形成することができ、有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー(MBE)又はハイライド気相成長(HVPE)方法を用いて形成することができる。
【0096】
第1半導体層20の初期成長は、主に基板10の露出面から上方向に生じ、成長は第2層15の上面では生じない。
【0097】
第1半導体層20が上方向に部分的に成長した後、第1半導体層20は上方向及び側面の方向に成長する。図では、説明の便宜上、主に上側方向に成長する第1成長パターン21と、上方向及び側面方向に成長するが、側面方向に優位に成長する第2成長パターン23とを分けて示している。
【0098】
本開示の例示的な実施形態において、第1半導体層20の側面(図中の水平方向)の方向への成長については、エピタキシャル横方向過成長(ELOG)法を有機金属化学蒸着(MOCVD)法として用いてもよい。第1半導体層20は、側面方向と上方向に連続的に成長することで第2層15の表面を含む基板10の全面を覆うように結合する。このように、第1半導体層20は、基板10の全面を覆う板形状となる。
【0099】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11を形成する際に、突出部11の直径DMとピッチの比率が約0.8~約1.0に形成され、これは第1半導体層20の成長時の欠陥を減少させるためである。
【0100】
本開示の例示的な実施形態において、突出部11の間の露出された基板10の上面は、実質的な成長核となる部位であり、第1成長パターン21のように基板10の上面から上方向に成長する。その後、第1半導体層20を第2成長パターン23のようにELOG法により側方に沿って成長させる。第1半導体層20の成長において、上方向に成長する第1半導体層20の表面を上面、横方向に成長する第1半導体層20の表面を側面と呼ぶことがある。第1半導体層20をELOG法によりエピタキシャル成長させる場合、ELOG法により、側面の成長が上面の成長よりも優位に起こり、m軸とc軸の成長比率はおよそ2:1である。成長時、第1半導体層20の側面は第1半導体層20の上面に垂直であってもよいが、これに限定されず、第1半導体層20の上面に対して傾斜したファセット面であってもよい。例示的な実施形態において、第1半導体層20の上面は(0001)面に対応してもよく、第1半導体層20の側面は(10-11)面に対応してもよい。
【0101】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11間のピッチが上記範囲内であることにより、第1半導体層20の成長が容易であり、最終的な発光装置の光抽出効率が向上する。
【0102】
ピッチが上記の範囲よりも小さい場合には、互いに隣り合う突出部11の間の間隔が十分でないため、結晶の成長が遅くなる。また、成長が生じても、その後、成長させる面積が少ない状態で側面方向の成長が生じるため、側面にボイドVDが形成される。ここで、ボイドVDは、結晶面の成長方向に対応して形成され、突出部11の中心を基準として六角形の各頂点に対応する辺に形成される。ボイドVDが大きく形成されると、ボイドVDが形成された部分(図中点線楕円で示す部分)に対応する第1層13の突出部11の側面において、全体の成長方向とは異なる方向にも結晶が成長し、これが欠陥として現れる。欠陥は、最終的に発光装置の光抽出効率の低下をもたらす。ピッチが上記の範囲より大きい場合には、互いに隣り合う突出部11の間の間隔が十分に広くなるので、結晶の成長が速くなる。これにより、ボイドの大きさが小さく、突出部側面の欠陥の発生は少なくなるが、突出部11の間の距離が減少するので、突出部11による光散乱効果が小さくなり、光抽出効率が低下する。
【0103】
第1半導体層20を側方に成長させて完全に形成した後、選択的に、第1半導体層20を、HVPEを用いてさらに上方に成長させてもよい。MOCVDを用いて第1半導体層20を形成する場合、その成膜速度がHVPEよりも遅いため、十分な厚さを有するように第1半導体層20を速やかに成長させる場合にはHVPEを用いてもよい。
【0104】
図1乃至
図3に戻って参照すると、本開示の例示的な実施形態において、第1半導体層20を形成する前に、基板10上にバッファ層をさらに形成することができる。例示的な実施形態において、超格子構造は、第1半導体層20上に異なるバンドギャップを有する2種類の層を交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30は、第1半導体層20上に形成される。例示的な実施形態において、量子井戸構造は、量子井戸層及び隔壁層を活性層30として交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30上に電子ブロック層を形成した後、活性層30上に第2半導体層40を形成して、発光スタックを製造することができる。
【0105】
上記構造の発光装置は欠陥を低減することにより、高い光抽出効率と高い信頼性を有している。
【0106】
上述の構造を有する発光装置は、様々な種類の半導体チップに実装されてもよい。
【0107】
図6は、横型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【0108】
図6を参照すると、半導体チップは、発光装置と、発光装置に接続された第1電極110及び第2電極120とを含む。発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた第1半導体層20と、活性層30と、第2半導体層40とを含む。
【0109】
例示的な実施形態では、第1電極110は、活性層30及び第2半導体層40が設けられていない第1半導体層20上に配置され、第2電極120は、第2半導体層40上に配置される。
【0110】
第1電極110及び/又は第2電極120は、単層又は多層の金属からなってもよい。第1電極110及び/又は第2電極120の材料は、Al、Ti、Cr、Ni、Au、Ag、Cr、Cu、Ti、Ru、Rh、Ir、Mg、Zn、Al、In、Ta、Pd、Co、及びこれらの多様な金属及び合金を含むことができる。
【0111】
ここでは、発光効率を高めるために基板10の上面に複数の突出部11を設けている。突出部は、上記例示的な実施形態で説明したように、第1層13及び第2層15を含む円錐状に基板10に設けられてもよい。
【0112】
第1電極110及び第2電極120の上には絶縁層130が設けられており、絶縁層130上には第1電極110及び第2電極120を露出させるコンタクトホールが設けられている。絶縁層130は、第2半導体層40の上面及び半導体層の側面に配置することができ、第1電極110及び第2電極120と選択的に接触させることができる。絶縁層130は、Al、Cr、Si、Ti、Zn、Zrの少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物の少なくとも一つからなる絶縁材料、又は絶縁性樹脂を含むことができる。絶縁層130は例えば、SiO2、Si3N4、Al2O3、TiO2から選択的に形成することができる。絶縁層130は単層又は多層で形成されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0113】
本開示の例示的な実施形態において、第1電極110及び第2電極120は、コンタクトホールを介して他の要素と接続されてもよい。例えば、第1電極110及び第2電極120に、コンタクトホールを介して接続された第1パッド及び第2パッドを設けてもよい。また、本開示の例示的な実施形態では、発光装置について、図面を用いて簡単に説明するが、上述した層に加えて、付加機能を有する要素をさらに含んでいてもよい。例えば、光を反射する反射層、特定の要素を絶縁するための付加的な絶縁層、及びはんだの拡散を阻止する抗はんだ層(anti-solder layer)などの種々の層をさらに含むことができる。
【0114】
また、横型の発光装置を形成する際には、メサを様々な形態で形成し、第1電極110及び第2電極120の位置や形状も様々に変更することができる。
【0115】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120に信号を印加することによってオン状態にされることによって発光し、発光した光は第1半導体層20の下方に進んでもよく、又は第2半導体層40の上方に進んでもよい。
【0116】
上述した例示的な実施形態による発光装置を含む半導体チップは、横型で図示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、例示的な実施形態による発光装置は、垂直型又はフリップチップ型の半導体チップに適用されてもよい。
【0117】
図7は、フリップチップ型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。フリップチップ型半導体は、基板10上に形成された後、反転されて他の要素上に実装されるので、フリップチップ型半導体は図中に反転された形態で示されている。
【0118】
図7を参照すると、半導体チップは、発光装置と、発光装置に接続された第1電極110及び第2電極120とを含む。発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた第1半導体層20と、活性層30と、第2半導体層40とを含む。
【0119】
例示的な実施形態において、発光装置は、活性層30及び第2半導体層40を含む少なくとも一つのメサを含んでもよい。メサは複数の突出部11を含んでもよく、複数の突出部11は、互いに離間していてもよい。絶縁層130はメサ上に設けられ、絶縁層130は、メサの間にて第1半導体層20が露出されるとともに第2半導体層40の一部が露出されるコンタクトホールを有する。第1電極110は、メサの間のコンタクトホールを介して露出された第1半導体層20に接続され、第2電極120は、第2半導体層40上のコンタクトホールを介して露出された第2半導体層40に接続される。
【0120】
以下、上述した例示的な実施形態による発光装置の発光効率について説明する。
【0121】
表1は、発光装置において基板上の突出部の直径と高さを一定としたときのピッチの変化に応じた発光効率を示すデータである。
図8は、表1の突出パターンのピッチによる発光効率を示すグラフである。
【0122】
以下の例示的な実施形態において、光量の増減率とは、例示的な実施形態による発光装置の光量に対する、従来技術による第2層を有さない第1層のみからなる発光装置の光量の増減率を示す。従来技術による発光装置の突出パターンは、ピッチ3μm、全高さ1.7μm、直径2.7μmであった。
【0123】
【0124】
表2は、発光装置において基板上の突出部の直径と高さを一定としたときのピッチの変化に応じた発光効率を示すデータである。
図9は、表2の突出パターンのピッチによる発光効率を示すグラフである。
【0125】
【0126】
上述のように、高さと直径が一定の場合には、ピッチによって光量に差が生じ、突出部の直径とピッチの比が約0.8~約1.0の範囲にある場合には、光量の増加率が最も大きかった。特に、表1及び表2に示すように、第1層の高さと第2層の高さとによって若干の差異はあるもの、光量の増加率は3μmで最も高かった。表3~6は、発光装置において、基板上の突出部のピッチと高さが一定である場合の直径の変化に応じた発光効率を示すデータである。
図10は、表3~6の直径に応じた発光効率を示すグラフである。
図10において、実施例1~4として示したグラフは、それぞれ表3~6のデータを示している。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
表3~5、及び
図10に示すように、突出部の直径が2.8μmの場合、ピッチや高さによらず発光効率は相対的に高く、特に第1層と第2層の比率が0.75の場合に最も大きな発光効率を示した。表7~表10は、発光装置において、基板上の突出部のピッチと直径が一定である場合における第1層と第2層の高さの変化に応じた発光効率を示すデータである。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
表7及び表8を参照すると、第1層及び第2層の高さによって光量の増減率に差があり、全体的に、第2層の高さが第1層の高さより高い場合、光量の増減率は大きいが、一部はそうではなかった。以上のように、本開示は、基板上の突出部の直径、突出部の高さ、及び突出パターンのピッチを異なるように設定することにより、格段に高い発光効率を有する発光装置を提供するものである。
【0137】
[図示された例示的な実施形態の詳細な説明]
図11は、本開示の例示的な実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【0138】
以下の実施の形態では繰り返しの説明を避けるために、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、上述した実施の形態や当業者に自明な事項については説明を省略する。
【0139】
図11を参照すると、例示的な実施形態による発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた発光スタックとを含む。発光スタックは、基板10上に連続的に設けられる第1半導体層20、活性層30、及び第2半導体層40を含む。本開示の例示的な実施形態では、基板10はパターン化され、その上面に複数の突出部11のパターンが設けられる。第1半導体層20は、基板10上に設けられてもよい。第1半導体層20は、基板10上の突出部11を覆っていてもよい。このためには第1半導体層20を基板10の上面からエピタキシャル成長させてもよく、この場合には第1半導体層20が突出部11の側面及び上面を完全に覆うように上方向に成長させてもよい。第1半導体層20は、突出部11の側部に対応する位置に複数の空隙を有する。これについては後述する。
【0140】
図12は、
図11の発光装置の要素のうち、その上に突出部を設けた基板の平面図であり、
図13は
図12のI-I’線に沿って切り取られた断面図であり、
図14は、
図13のP1の拡大断面図である。
【0141】
図12乃至
図14を参照すると、基板10の上面に第1層13及び第2層15を含む突出部11が設けられ、突出部11に隣接する複数のボイドVDが設けられている。
【0142】
本開示の例示的な実施形態において、突出部11のパターンのピッチPTは、直径DMに応じて所定の範囲内の値を有することができる。例えば、ピッチPTに対する突出部11の直径DMの比は、約0.3~約2.0の範囲であってもよい。ただし、ピッチPTに対する突出部11の直径DMの比率は、これに限定されず、他の数値であってもよい。
【0143】
本開示の例示的な実施形態において、複数のボイドVDは突出部11の側面、すなわち、突出部11と第1半導体層20との間に形成される。特に、ボイドVDは、突出部11の第1層13と第2層15との界面の端部近傍に形成される。ボイドVDは、第1層13と第2層15との間の界面の延長された表面に対して延長された表面の下方向に延在する形状、すなわち基板10に向かう方向を有する。このように、ボイドVDは、第1層13の最上部の外縁部に沿って少なくとも一辺に形成される。
【0144】
ここで、ボイドVDは、結晶面の成長方向に対応して形成され、突出部11の中心を基準として六角形の各頂点に対応する辺に形成される。ボイドVDの各々は、平面上で見ると三角形の形状を有していてもよい。具体的には突出部11が円錐形状である場合、第1層13の上面は円形であり、この場合、平面視において、ボイドVDは円に内接する正六角形の頂点に対応して設けられる。また、ボイドVDは、基板10の上面に垂直で、かつ円の中心を通る面に沿って切断されたときに、直角三角形状を有していてもよい。この場合、直角三角形の斜辺が第1層13の側面であってもよい。また、各ボイドVDにおいて、ボイドVDの最上部を形成する面は、第1層13の上面に延在する面と略同一面であってもよい。すなわち、第1層13の上面の外側に対応する第1半導体層20にはそれぞれのボイドVDが形成されており、第1層13の上面は、それぞれのボイドVDを形成する構造の上面である。
【0145】
本開示の例示的な実施形態によれば、第1半導体層20は、基板10の上面から上部方向及び/又は側面方向に成長する過程で一つのクリスタルに融合する過程を経る。ボイドVDは、突出部11の第1層13の側面に密着しない部分がマージ処理で形成されるように、意図的に制御して形成されてもよい。
【0146】
ボイドVDは、第1層13及び第1半導体層20が設けられていない空隙である。そのように、ボイドVDは、第1層13及び第1半導体層20の屈折率とは異なった屈折率を有する。光屈折、散乱、反射等は第1層13と各々のボイドとの間の界面で発生し、従って、ボイドによる光抽出効率が向上する。しかしながら、通常、光の屈折、散乱、反射等の増大は光抽出効率を向上させるが、ボイドVDが発生する箇所が基板10の上面に近すぎたり、遠すぎたりすると、光抽出効率が低下するおそれがある。
【0147】
本開示の例示的な実施形態によれば、ボイドVDによる光抽出効率を向上させるために、突出部11内の第1層13及び第2層15の高さは、所定の範囲内に維持される。上述したように、ボイドVDの位置は、第1層13と第2層15との界面に対応する位置に設けられているので、第1層13と第2層15との位置を特定の範囲に調整することによっても、ボイドの位置を調整することができる。ここで、第1層13の高さH1は、所定値以上に形成される。第1層13の高さH1が0である場合、基板10からの第1半導体層20の成長は、工程中に基板10の上面に残留する不純物によって阻害される。また、第2層15の高さH2が第1層13の高さH1よりも大きい値を有する場合には、第1層13の側面の方向に結晶の成長を減少させることによって結晶の品質を向上させることができるので、第2層15の高さは第1層13の高さよりも大きな値を有することができる。
【0148】
すなわち、ボイドVDによる光抽出効率を十分に向上させるためには、第1層13及び第2層15の高さ、並びに第1層13と第2層15との界面に対応するボイドVDの位置が所定の範囲内であればよい。例えば、第1層13の高さと第2層15の高さとの比は約2.5より大きく、約9.5未満であってもよく、例示的な実施形態では第1層13の高さと第2層15の高さとの比は約4.25であってもよい。具体的には、例えば、第1層13と第2層15の高さの合計が約2.1マイクロメートルである場合、第1層13は約0.2マイクロメートルを超え、約0.6マイクロメートル未満の高さを有することができる。別の例示的な実施形態では、第1層13と第2層15の高さの合計が約2.1マイクロメートルである場合、第1層13は約0.25マイクロメートル以上約0.55マイクロメートル以下の高さを有することができ、別の例示的な実施形態では、第1層13が約0.3マイクロメートル以上約0.5マイクロメートル以下の高さを有することができる。
【0149】
第1層13の高さが基板10面からの上記範囲よりも低いと、ボイドVDが十分に形成されず、ボイドVDが形成されても、ボイドVDによる光の散乱作用が十分に発揮されないおそれがある。また、ボイドVDの大きさが小さく、ボイドVDが十分に形成されず、欠陥として影響を及ぼすため、ボイドVDを通過する光の透過率を低下させるおそれがある。このとき、その結果、第1半導体層20から基板10の内部の向きへの光の入射率が低下することがある。
【0150】
第1層13の高さが基板10の表面から上述した範囲内にあると、ボイドVDが十分に形成され、ボイドVDによる散乱効果が増大し、第1半導体層20からボイドVDを介して基板10の方向に入射する光の割合が増大する。特に、第1半導体層20から基板10に直接入射する光に加えて、ボイドVDを通過した後に基板10の表面を追加的に光が通過して屈折されるため、総合的な発光効率が向上する。
【0151】
第1層13の高さが基板10の面から上記範囲より高い場合、第1半導体層20から基板10に向かう方向に進行する光に対して、基板10の内部に進行する光の経路が増加するため、基板10における光の吸光率が増加し、基板10を通過する光量が減少する。また、この場合、第1層13の高さが比較的高くなるため、第1層13の側面方向に結晶の成長が生じ、結晶の品質が低下し、光効率が低下するおそれがある。
【0152】
上記構造の発光装置では、突出パターンやボイドにより光抽出効率が向上する。
【0153】
表11は、ボイドが設けられていない構造の発光装置と、ボイドが設けられた構造の発光装置との光抽出効率を示すシミュレーション結果である。各発光装置は、ボイドの有無を除いて、同じ構造と大きさを対にして設けた。ここで、発光装置はフリップチップ型で用意される。基板を通過する光の輝度を測定して光抽出効率を測定し、光の進行方向を活性層から第1半導体層を通過するように設定した。
【0154】
ここでは、発光装置の抽出効率を、突出パターンの構造、すなわち第1層と第2層の高さをそれぞれ変化させながら測定した。ボイドのない装置の突出部の構造は
図15a~15dに示されており、ボイドが設けられた突出部の構造は、
図16a~16dに示されている。
図15a~15d、及び
図16a~16dにおける図面は、実際のシミュレーション条件のスケールと完全には一致せず、いくつかの図面は、説明の都合上誇張されるか、又は削減されている。
図17は、表11におけるシミュレーション結果を示すグラフである。説明の便宜上、
図15aから
図15bの構造を比較例1から4に、
図16aから
図16dの構造を実施例1から4に示す。
【0155】
【0156】
表11を参照すると、比較例1及び実施例1の場合、第1層の高さは0.2μmであり、これは、第1層の上面が基板面に非常に近接して配置された場合に相当する。比較例1及び実施例1をみると、ボイドが設けられていない従来の発光装置に比べ、ボイドが設けられている発光装置では、基板を透過する光量が少なくなり、特に、総合的な光効率が-3.6%とかえって低下していた。第1層の高さが低いためにボイドが十分に形成されず、ボイドが形成されてもボイドによる光の散乱効果が十分に発揮されないことが原因と思われる。比較例3と実施例3、及び比較例4と実施例4では、ボイドのない従来の発光装置と比較して、ボイドが設けられた発光装置において、基板を透過する光量も減少し、特に、総合光効率が-4.8%、-4.2%とかえって低下した。これは、第1層の高さが基板面から上述の範囲よりも大きい場合には、第1半導体層からボイドを通って基板に進む光に対して、基板を進む光の光路が増大し、したがって基板中の光の吸収率が増大するためと思われる。これに対し、比較例2及び実施例2では、ボイドを設けた発光装置ではボイドを設けない従来の発光装置に比べて、基板を透過する光量が4.4%増加した。これは、第1層の高さが充分であるためにボイドが充分に形成されているためと考えられ、第1層が高すぎると、結晶性の低下や、基板の光路の増大による光吸収の増大などの副作用が生じることがある。従って、本実施例2のようにボイドが形成された場合には、第1半導体層から基板に直接入射した光に加えて、ボイドを通過した後に基板面を追加的に光が通過して屈折するため、総合的な発光効率が向上する。
【0157】
以上のことから、突出部側にボイドを設け、第1層及び第2層の高さが上記範囲内であると、光効率が著しく向上することがわかる。特に、突出部の側面にボイドが設けられ、第1層と第2層の高さの合計が2.1マイクロメートルであり、第1層の高さが0.2マイクロメートルと0.6マイクロメートルとの間である場合、光効率が著しく増加することが分かる。
【0158】
また、上述した例示的な実施形態による構造の発光装置は、第1半導体層を形成する際に、突出部の側面に複数のボイドが形成されるように工程条件を調整して製造することができる。
【0159】
図18a及び
図18bは上述した構造の突出パターンを製造する工程の一部を示す断面図であり、ボイドが形成されるようにその突出パターンを形成した基板を示し、連続的に第1半導体層を成長させる向きを示す。
図18a及び
図18bでは、説明の便宜上、半導体層を成長させる主な方向を矢印で示している。
【0160】
【0161】
第1半導体層20は様々な材料の半導体層、例えば、n型窒化物ベースの半導体層で形成することができ、有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー法(MBE)又はハイライド気相成長法(HVPE)を用いて形成することができる。
【0162】
第1半導体層20の初期成長は、主に基板10の露出面から上方に発生する3D成長(例えば、Volmer-Weber成長)であり、成長は、第2層15の上面では発生しない。3D成長の条件は、成長が主に水平方向に起こる2D成長(例、Frank van der Merwe成長)の条件と比較して、相対的に低い成長温度及び高い成長圧力を有する。
【0163】
第1半導体層20が上方向に部分的に成長した後、第1半導体層20は上方向及び横方向に成長する。図では説明の便宜上、主に上方向に成長する第1成長パターン21と、上方向及び横方向に成長するが、横方向に主に成長する第2成長パターン23とを分割して示している。このとき、第2成長パターン23の場合には、上記3D成長よりも成長温度を高く、成長圧力を低く維持することで、主に水平方向に成長する2D成長を実現することができる。
【0164】
本開示の例示的な実施形態において、第1半導体層20の横方向(図中の水平方向)への成長のために、エピタキシャル横方向過成長(ELOG)を有機金属化学蒸着(MOCVD)法として使用してもよい。
【0165】
第1半導体層20は、側面方向と上方向に連続的に成長することで第2層15の表面を含む基板10の全面を覆うように結合する。第1半導体層20は、基板面及び/又は側面の方向から上方向に成長する過程で1つの結晶に合体する過程を経て、突出部11の第1層13の側面に密着していない部分が合体過程で形成されるように意図的に制御してボイドVDを形成してもよい。ここで、特に、3D成長及び2D成長のそれぞれの成長に応じた第1半導体層20の厚さ比率を調節することにより、第1半導体層20に形成されるボイドVDの大きさ及び位置を意図的に調節することができる。
【0166】
本開示の例示的な実施形態において、突出部11の間の露出された基板10の上面は、実質的な成長核となる部分であり、第1成長パターン21のように基板10の上面から上方向に成長する。その後、第1半導体層20を第2成長パターン23のようにELOG方法により側方に沿って成長させる。第1半導体層20の成長において、上方向に成長する第1半導体層20の表面を上面、横方向に成長する第1半導体層20の表面を側面と呼ぶことがある。第1半導体層20をELOG法によりエピタキシャル成長させる場合、ELOG法により、側面の成長が上面の成長よりも優位に起こり、m軸とc軸の成長比率は約2:1である。成長時、第1半導体層20の側面は、第1半導体層20の上面に垂直であってもよいが、これに限定されず、第1半導体層20の上面に対して傾斜したファセット面であってもよい。例示的な実施形態において、第1半導体層20の上面は(0001)面に対応してもよく、第1半導体層20の側面は(10-11)面に対応してもよい。
【0167】
第1半導体層20を側方に成長させて完全に形成した後、選択的に、第1半導体層20を、HVPEを用いてさらに上方に成長させてもよい。MOCVDを用いて第1半導体層20を形成する場合、その成膜速度がHVPEよりも遅いため、十分な厚さを有するように第1半導体層20を速やかに成長させる場合にはHVPEを用いてもよい。
【0168】
以上のように形成された第1半導体層20は、ボイドが形成された状態で基板10及び突出部11の表面を覆っている。
【0169】
本開示の例示的な実施形態において、前記第1半導体層20を形成する前に、前記基板10上にバッファ層をさらに形成してもよい。例示的な実施形態において、超格子構造は、第1半導体層20上に異なるバンドギャップを有する2種類の層を交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30は、第1半導体層20上に形成される。例示的な実施形態において、量子井戸構造は、量子井戸層及び隔壁層を活性層30として交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30上に電子ブロック層を形成した後、活性層30上に第2半導体層40を形成して発光スタックを製造してもよい。
【0170】
図19は、上述の方法で製造された例示的な実施形態に係る突出部及び第1半導体層を示す写真である。
図19に示すように、本開示の例示的な実施形態による発光装置は、基板上に複数の突出部が形成され、突出部ごとに6個のボイドが設けられる。各ボイドは、半導体層の結晶成長方向に関連する六角形の頂点に対応する位置に設けられている。
【0171】
図20a及び
図20bはそれぞれ、ボイドが設けられていない構造の発光装置と、ボイドが設けられた構造の発光装置の光路及び光強度を示す写真である。
図20a及び
図20bにおいて、図中の突出部の頂点を上側とした場合、光の進行方向は上側から下側となる。
【0172】
図20a及び
図20bを参照すると、上側から下側に進む光は、突出部及び基板面の傾斜面を通って基板の下側に入射される。
図20bを参照すると、突出部の側面にボイドを設けた場合には、ボイドを介して屈折散乱した光が基板の下方に入射し、ボイドが設けられていない
図20aよりもその程度が著しく大きいことが明らかである。
【0173】
以上のように、突出部の側面に対応する領域の第1半導体層にボイドを形成することにより、下方に進行する光量を大幅に増加させることができ、その結果、光効率の高い発光装置を製造することができる。
【0174】
本開示の例示的な発光装置は、様々な種類の半導体チップに用いることができ、例えば、
図6及び
図7に示す種類の半導体チップに用いてもよいし、以下に説明する種類の半導体チップに用いてもよい。
【0175】
図21は、フリップチップ型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。フリップチップ型半導体は、基板上に形成された後、反転されて他の要素上に実装されるので、フリップチップ型半導体は、図中において、反転された形で示されている。
【0176】
図21を参照すると、発光装置は、基板10と、基板10の上面10Rに設けられた発光スタックと、発光スタックに接続された第1電極110及び第2電極120とを含む。
【0177】
本発明の例示的な実施形態では、基板10はパターン化され、その上面に複数の突出部及びボイドが設けられる。
【0178】
この発光スタックは、基板10の上面10Rに連続的に積層された第1半導体層20、活性層30、及び第2半導体層40を含む。例示的な実施形態では、発光スタックが活性層30及び第2半導体層40を含む少なくとも1つのメサ形態で提供されてもよい。発光スタックがメサの形態で設けられる場合、発光スタックは複数の突出部のパターンを含んでもよく、突出部は互いに離間してもよい。
【0179】
発光スタック上には絶縁層130aが設けられている。活性層30、第2半導体層40、及び絶縁層130aを通過して第1半導体層20の一部を露出させる少なくとも一つのコンタクトホールCHが発光スタックに設けられている。第1電極110は、コンタクトホールCHを介して露出された第1半導体層20に接続される。第2電極120は、絶縁層130aに形成された開口部を介して露出した第2半導体層40に接続されている。追加の絶縁層130bは、発光スタックの側面にさらに設けられてもよい。追加の絶縁層130bは、活性層30から放出された光が発光スタックの側面の方向に放出されないように、様々な種類のミラー(例えば、金属ミラー又は誘電体ミラー)で形成することができる。
【0180】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120が同一面に配置され、小型であるため、基板10の配線に容易に実装することができる。
【0181】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120に信号を印加してオン状態にされることによって発光する。出射光は、第1半導体層20及び基板10を通ってより低い方向に進み、基板10に設けられた突出部11及びボイドにより下方への光抽出効率が高くなる。
【0182】
本開示の例示的な実施形態では、説明の便宜上、突出部は、円錐形状のみで示されているが、突出部は、本開示の概念から逸脱することなく、制限内で様々な形状に変更されてもよい。例えば、突出部の形状は、多角錐形状であってもよい。また、円錐形状に設けても、側面を形成する曲面の形状を一部変更してもよい。また、突出部の断面は、半楕円球に近接していてもよい。
【0183】
図22は、本開示の例示的な実施形態による発光装置を示す概略断面図である。
【0184】
図22を参照すれば、本開示の例示的な実施形態による発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた発光スタックとを含む。
【0185】
本発明の例示的な実施形態では、基板10はパターン化され、その上面に複数の突出部11のパターンが設けられる。つまり、突出部11は、基板10の上面から上方に突出した形態で設けられている。例示的な実施形態において、突出部11は、その幅が上方向に向かって狭くなる形状に設けられていてもよいので、突出部11を基板10に垂直な面で切断する場合、突出部11の断面は略半楕円球状であってもよく、ある場合には三角形に近い形状であってもよい。
【0186】
突出部11は、基板10の上面から連続的に積層された第1層13及び第2層15を有する。第1層13は、基板10上に設けられ、第2層15は、第1層13上に設けられる。
【0187】
第1半導体層20は、基板10上に設けられてもよい。第1半導体層20は、基板10上の突出部11を覆っていてもよい。このためには第1半導体層20を基板10の上面からエピタキシャル成長させてもよく、この場合には第1半導体層20を突出部11の側面及び上面を完全に覆うように上方向に成長させてもよい。
【0188】
本開示の例示的な実施形態において、第1半導体層の屈折率は、第1層13及び第2層15の屈折率より大きくてもよい。例えば、第1層13の屈折率は、約1.6~約2.45であってもよく、第2層15の屈折率は、約1.3~約2.0であってもよい。
【0189】
図23は、
図22の発光装置の要素のうち、その上に突出パターンを設けた基板の平面図である。
図24は、
図23のI-I’線に沿った断面図である。
図25aは、
図24におけるP1の拡大断面図であり、
図25bは、
図25aにおけるP4の拡大断面図である。
【0190】
図23、
図24、
図25a、及び
図25bを参照すると、第1層13及び第2層15を含む突出部11が、基板10の上面に設けられる。
【0191】
第1層13は、基板10と一体的に、かつ分離不能に形成される。このように、第1層13は、基板10と同じ物質からなる。第1層13の上面は、円形状を有していてもよい。
【0192】
第2層15は、第1層13とは異なる材料で形成されている。第2層15の材料は、第1層13の材料とは異なる屈折率を有する材料であってもよく、本開示の例示的な実施形態では、第1層13の屈折率が第2層15の屈折率よりも大きくてもよい。この場合、第1層13及び第2層15の材料として、異なる屈折率を有する種々の絶縁材料を用いることができる。
【0193】
例えば、第1層13と第2層15とで屈折率の異なる材料を用いる範囲内で、第1層13の材料として屈折率が約1.6~約2.45の材料を用いてもよく、第2層15の材料として屈折率が約1.3~約2.0の材料を用いてもよい。このような反射率を有する材料として、第1層13は、サファイアを含むことができ、第2層15は例えば、SiOx、SiOxNy、SiNx等を含むことができる。例示的な実施形態では、第1層13はサファイアから構成されてもよく、第2層15はSiO2から構成されてもよい。この場合、第1層13の屈折率は約1.76であり、第2層15の屈折率は約1.46である。
【0194】
突出部11の各々は、平面上で見ると円形状を有していてもよい。突出パターン11が円錐状又は楕円球状である場合、円錐状又は楕円球の頂点部分が中心となる。
【0195】
突出部11は、所定の直径DM及び高さHTを有する大きさに設けることができる。ここで、直径DMとは断面視における突出部11の最下端の幅をいい、高さHTとは基板10の上面から突出部11の頂点までの距離をいう。例示的な実施形態では、突出部11の各々が互いに同じ直径DM及び同じ高さHTを有してもよい。しかしながら、各突出部11は、全く同じ直径DM及び全く同じ高さHTを有していなくてもよく、その直径DM及び高さHTは、所定の範囲内で変化してもよい。
【0196】
本開示の例示的な実施形態では、第1層13の高さH1が所定値以上に形成される。第1層13の高さH1が0である場合、基板10からの第1半導体層20の成長は、処理中に基板10の上面に残留する不純物によって阻害される。また、第2層15の高さH2が第1層13の高さH1よりも大きい値を有する場合には、第1層13の側面の方向に対する結晶の成長を減少させることによって結晶の品質を向上させることができるので、第2層15の高さは第1層13の高さよりも大きな値を有することができる。
【0197】
本開示の例示的な実施形態において、第1層13の高さが基板10の面から上記範囲より高い場合、第1半導体層20から基板10に向かう方向に進行する光に対して、基板10の内部に進行する光路が増加するため、基板10内の光の吸収率が増加し、基板10を通過する光量が減少する。また、この場合、第1層13の高さが相対的に高くなるため、第1層13の側面方向に結晶の成長が生じ、結晶の品質が低下し、光効率が低下するおそれがある。
【0198】
本開示の例示的な実施形態において、第1層13及び第2層15の側面の傾斜角度は少なくとも部分的に同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。図面において、第1層13及び第2層15の傾斜角度は同一の値を有するが、本発明の概念はこれに限定されず、第1層13及び第2層15の側面の傾斜角度は少なくとも部分的に同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。特に、第1層13と第2層15とが互いに接触する部分における傾斜角度は、互いに異なっていてもよい。第1層13と第2層15の材料は互いに異なるので、その側面の傾斜角度は、エッチング処理時の工程条件に応じて異なるように設定すればよい。例示的な実施形態では、第1層13及び第2層15の傾斜角度が異なるように形成され、したがって、発光装置から放射される光の反射率を増加させ、それによって、発光効率を改善することができる。
【0199】
本開示の例示的な実施形態では、突出部11の配置が図示のように規則的であってもよいが、本発明の概念はこれに限定されない。例えば、突出部11は、不規則に配置されてもよい。この場合であっても、基板10上で見たときに、1面積当たりの突出部11におけるピッチPT及び距離DTは所定の範囲内であり、この場合、その密度は、略同程度とすることができる。
【0200】
本開示の例示的な実施形態では、説明の便宜上、突出部11が円錐形状のみを有するように示されているが、突出部11は本開示の概念から逸脱することなく、制限内で様々な形態に変更されてもよい。例えば、突出部11の形状は、多角錐形状であってもよい。加えて、円錐形状に設けた場合であっても、側面を形成する曲面の形状を部分的に変更してもよい。
【0201】
本開示の例示的な実施形態において、突出部11のパターンのピッチPTは、直径DMに応じて所定の範囲内の値を有することができる。例えば、突出部11のピッチPTに対する直径DMの比は、約0.3~約2.0の範囲であってもよい。ただし、突出部11のピッチPTに対する直径DMの比率は、これに限定されず、他の数値であってもよい。
【0202】
本開示の例示的な実施形態では、第1層13と第2層15との界面が基板面、すなわち、基板10の上面と実質的に並行に形成され、その表面は粗さを有する。
【0203】
このことは、以下により詳細に説明される。
【0204】
第1層13を参照して見ると、第1層13は、その上面が平坦なほぼ円錐台形状を有してもよい。したがって、第1層13は、基板面と実質的に並行な上面と、基板面と上面とを連結する側面とを有することができる。第1層13の上面は、基板10の方向(図中、下方向)に第1半導体層20から入射する光ができるだけ基板10に入射できるように粗面(すなわち、突起や窪み)となっている。言い換えれば、第1層の上面には、基板面の上方向に突出する凸部と、基板面の下方向に窪む凹部とを設けた突起及び窪みを有する。第1層13の上面、すなわち第2層15と第1層13との界面に突起や窪みがない平坦面では、突起や窪みがある面に比べて光の反射率が高くなるため、基板10の下方に進む光量が少なくなる。第1層13の上面に突起及び窪みが形成されていると、突起及び窪みが形成されている部分で光が反射するのではなく、光が散乱又は屈折するため、光が基板10内に進行しやすくなる。第1基板10に入射した光は、基板10を通過して基板10の裏面に出射される。
【0205】
第1層と第2層との間の突起及び窪みは、
図25a及び
図25bに示されている。また、
図26a及び
図26bは、それぞれ、従来の発光装置の第1層の上面及び本開示の例示的な実施形態による発光装置の上面の写真を示す。
図26a及び
図26bにおいて、各写真は、原子間力顕微鏡(AFM)写真であり、第1層の上面に対応する試料は、それぞれ、2μm幅及び2μm長さで製造される。
【0206】
図26aに示すように、従来技術の場合、第1層の上面は、突起及び窪みが設けられておらず、平坦に設けられている。従来技術の粗さの場合、粗さの標準偏差Rqは0.200nm~0.300nmであってもよく、粗さの算術平均Raは0.140nm~0.190nmであってもよく、例えば、Rqは0.216nm、Raは0.169nmであってもよい。
【0207】
本開示の例示的な実施形態の場合、
図26bに示されるように、粗面化された表面、すなわち、突起及び窪みが、第1層の上面に提供される。ここで、粗さは多様な度合いで提供されてもよいが、本発明による粗さは標準偏差Rqが約0.300nm~約0.550nm、算術平均粗さRaが約0.250nm~約0.400nm、例えば、標準偏差Rqが0.447nm、算術平均Raが0.327nmでもよい。
【0208】
以上説明したように、本開示の例示的な実施形態による発光装置は、基板に突出パターンが設けられており、突出パターンによって所定方向の光が透過される場合、光抽出効率が著しく向上する。特に、活性層で発生した光は、第1半導体層を通過して基板を通過する方向に進行するため、光が基板を通過する際に、突出パターンによる光拡散や光散乱が発生し、基板後方への光抽出効果が著しく高まる。突出パターンによる光拡散や光散乱は、主に第1層と第2層との界面に設けられた粗面により増大するため、下方に進行する光量が増大する。また、本開示の場合、第1層と第2層との界面に突起及び窪みを設けることにより、第1層及び第2層を通過する光の反射を最小限に抑えることができる。特に、本開示の例示的な実施形態では、第1層、第2層、及び第1半導体層の屈折率が異なるように形成されているため、屈折率は、第1半導体層、第1層、及び第2層の順に低下し、第1半導体層、第1層、及び第2層を通過する光の屈折又は反射は、下方への発光を最大にすることができる。
【0209】
本実施形態では、第1層において、上面を除く側面には粗面が実質的に設けられていない。側面は、実質的により少ない光が側面を通過する反射面として提供されてもよい。本実施形態において、側面は、後述する第1半導体層から第1層の側面に向かう光の80%以上、例えば90%以上、好ましくは95%以上を反射する反射面であってもよい。本発明の例示的な実施形態では、突出部が設けられていない基板面の領域に粗面を設けなくてもよい。
【0210】
図27a及び
図27bは、それぞれ、例示的な実施形態による発光装置を製造する場合の、
図24の部分P2及びP3に対応する部分の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【0211】
図27aを参照して、白色で示される部分が第2層15であり、第2層15の下に配置される部分が第1層13に相当する。図示するように、第1層13の上面には突起及び窪みが不規則に形成されていてもよい。
【0212】
図27bを参照して、第1層13の上面を除く側面には粗面が実質的に設けられておらず、第1層13は突起及び窪みのない実質的に平坦面として設けられている。
【0213】
また、基板面、すなわち基板10の上面を、突起及び窪みのない実質的に平坦面としてもよい。
【0214】
しかし、本開示の例示的な実施形態では、基板10の上面の場合、突起及び窪みが形成されていない平面として提供されてもよいが、本発明の概念はこれに限定されず、下方向への光の入射率を向上させるために、第1層13の上面と同様に基板の上面に突起及び窪みが形成されてもよい。すなわち、突出部が設けられていない基板面に粗面を設け、突出部が設けられていない箇所を下向きに進行する光の散乱率を増大させてもよい。その結果、発光装置における光抽出効果を高めることができる。
【0215】
図28a及び
図28bは、第1層の側面の形状に依存する光路を示すPhETシミュレーション写真である。なお、
図28a及び
図28bでは、基板上に第1層を形成した後に第1半導体層を成長させた構成について、光の進行方向を示したが、第1層の側面の形状を除いて全ての条件は同一とした。
図28aでは第1層の側面に突起及び窪みが形成されるように設定され、
図28bでは第1層の側面に突起及び窪みのない平坦な反射面が形成されるように設定された。
【0216】
図28aを参照すると、光が第1半導体層から第1層の側面に進むとき、光は、第1層の側面に形成された突起及び窪みによって、様々な方向に散乱及び反射される。発光装置の光抽出効率は第1半導体層及び基板を通って活性層から基板の裏面にどれだけ光が進むかによって決まるため、
図28aに示すように、放射状に光が反射又は散乱されると、より低い方向の光効率が著しく低下するという問題が生じる。
【0217】
逆に、
図28bを参照すると、光が第1半導体層から第1層の側面に進むと、第1層の側面が反射面として作用する場合には反射面が平坦であることから、第1層の側面から特定の方向にほとんどの光が反射されるが、反射光は基板に入射し、下方に進む光は著しく増加することが分かる。
【0218】
上述したように、突出パターン、特に、第1層の上面に粗面を有しかつ反射面からなる側面を有する突出パターンを有する発光装置の光抽出効率は、従来に比べて著しく高くなっている。
【0219】
上記構造の突出パターンは、次のようにして製造することができる。
【0220】
図29a~
図29gは、本開示の例示的な実施形態による発光装置の突出パターンの製造法を順に示す断面図である。
【0221】
まず、
図29aを参照して、基板10を準備する。上述したように、基板10は、SiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、Ga
2O
3などの物質を含むことができ、絶縁層は、SiOx、SiOxNy、SiNxなどからなることができる。
【0222】
図29bを参照すると、粗面、すなわち、突起及び窪みPRが、基板10の上面に形成される突起及び窪みPRは、ウェットエッチング、ドライエッチング、研削、又はこれらの組み合わせなどの様々な方法によって形成することができるが、本発明の概念はこれに限定されない。
【0223】
図29cを参照すると、基板10上に、第2層を形成するための物質を用いて、絶縁層15iが積層される。絶縁層15iは、基板10上に第2層を形成することができる物質で形成され、基板10とは別の屈折率を有する物質で形成されてもよい。
【0224】
図29dを参照すると、次に、フォトレジスト50のパターンが、フォトレジスト50を絶縁層15i上に塗布し、露光及び現像を含むフォトリソグラフィを行うことによって形成される。
【0225】
図29eを参照すると、フォトレジスト50のパターンがリフローされる。フォトレジスト50をリフローさせることにより、領域によってフォトレジスト50の厚さが変化するため、その後、絶縁層15i及びその下の基板10のエッチング形状が変化する。
【0226】
図29e及び
図29fを参照すると、フォトレジスト50をマスクとして絶縁層15i及び基板10をエッチングして第1層13及び第2層15を有する突出部11が形成されている。そして、フォトレジストパターンをマスクとして絶縁層15i及び基板10の一部をエッチングし、突出部11が形成される部分を除いて絶縁層15iをエッチングして第2層15を形成する。第2層15が形成されていない部分では、基板10の上面が露出している。ここで、第1層13は、付加的なエッチングを介して基板10の上面を元の基板10の上面よりもオーバーエッチングすることによって形成される。第2層15のみを形成し、基板10の本来の上面が露出するようにエッチングを行うと、理論的には基板10の上面が露出した後に半導体層の成長が容易に起こることが予想されるが、実際にはその後、基板10の上面に存在するエッチング残渣や不純物により、第1半導体層20の成長が適切に起こらない。このようにして、追加のエッチングが行われ、基板10上のエッチング残渣、不純物等が完全に除去される。これにより、第1層13が形成される。
【0227】
第1層13及び第2層15を形成するためのエッチングは、材料に応じて様々な方法を用いて様々な条件で行うことができる。例えば、絶縁層及び基板10の部分は、ドライエッチングを用いてパターニングされてもよい。
【0228】
上述した方法では、第2層15及び第1層13を連続的に形成し、同一又は異なるエッチングガスを用いてパターニングしてもよい。
【0229】
なお、絶縁層15i及び基板10は鉛直方向のエッチングを行う異方性であってもよいが、左右方向のエッチングは相対的に行わなくてもよい。
【0230】
図29gを参照すると、発光装置は、突出部11が形成された基板上に、第1半導体層20を含む発光スタックを連続的に形成することによって形成されてもよい。まず、突出部11が形成された基板10上に第1半導体層20が形成される。第1半導体層20は、まず基板10の露出面から上方向に成長し、次いで上方向及び側面の方向に成長する。第1半導体層20が成長した後、活性層30(
図22参照)及び第2半導体層40(
図22参照)が、第1半導体層20上に連続的に形成されてもよい。
【0231】
より詳細には、まず、上方に第1半導体層20が形成される。第1半導体層20は様々な材料の半導体層、例えば、n型窒化物ベースの半導体層から形成されてもよく、有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー法(MBE)又はハイライド気相成長法(HVPE)を用いて形成されてもよい。
【0232】
第1半導体層20の初期成長は、主に基板10の露出面から上方に発生する3D成長(例えば、Volmer-Weber成長)であり、成長は、第2層15の上面では発生しない。第1半導体層20が上方向に部分的に成長した後、第1半導体層20は、上方向及び側面の方向に成長する。例示的な実施形態において、第1半導体層20の側面(図中、水平方向)の方向への成長については、エピタキシャル横方向過成長(ELOG)を有機金属化学蒸着法(MOCVD)法として使用することができる。
【0233】
第1半導体層20は、側面方向と上方向に連続的に成長することで第2層15の表面を含む基板10の全面を覆うように結合する。第1半導体層20は、基板面からの上方向及び/又は側面の方向に成長する過程で、一つの結晶に結合する過程を経る。
【0234】
第1半導体層20を側方に成長させて完全に形成した後、選択的に、第1半導体層20を、HVPEを用いてさらに上方に成長させてもよい。MOCVDを用いて第1半導体層20を形成する場合、その成膜速度がHVPEよりも遅いため、十分な厚さを有するように第1半導体層20を速やかに成長させる場合にはHVPEを用いてもよい。
【0235】
以上のように形成された第1半導体層20は、ボイドが形成された状態で基板10及び突出部11の表面を覆っている。
【0236】
本開示の例示的な実施形態において、前記第1半導体層20を形成する前に、前記基板10上にバッファ層をさらに形成することができる。例示的な実施形態において、超格子構造は、第1半導体層20上に異なるバンドギャップを有する2種類の層を交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30は、第1半導体層20上に形成されている。例示的な実施形態において、量子井戸構造は、量子井戸層及び隔壁層を活性層30として交互に積層することによって形成されてもよい。活性層30上に電子ブロック層を形成した後、活性層30上に第2半導体層40を形成して発光スタックを製造してもよい。
【0237】
以上のように、第1層の上面に突起及び窪みを形成することにより、下方に進行する光量を大幅に増加させることができ、その結果、光効率の高い発光装置を製造することができる。
【0238】
上述の構造を有する発光装置は、様々な種類の半導体チップに実装されてもよい。
【0239】
図30は、横型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。
【0240】
図30を参照すると、半導体チップは、発光装置と、発光装置に接続された第1電極110及び第2電極120とを含む。発光装置は、基板10と、基板10上に設けられた第1半導体層20と、活性層30と、第2半導体層40とを含む。
【0241】
例示的な実施形態では、第1電極110が活性層30及び第2半導体層40が設けられていない第1半導体層20上に配置され、第2電極120が第2半導体層40上に配置される。
【0242】
第1電極110及び/又は第2電極120は、単層又は多層の金属からなっていてもよい。第1電極110及び/又は第2電極120の材料は、Al、Ti、Cr、Ni、Au、Ag、Cr、Cu、Ti、Ru、Rh、Ir、Mg、Zn、Al、In、Ta、Pd、Co、及びこれらの多様な金属及び合金を含むことができる。
【0243】
ここでは、発光効率を高めるために基板10の上面に複数の突出部11を設けている。突出部11は、上述した例示的な実施形態で説明したように、第1層13と第2層15とを含む円錐状に、基板10上に設けられ、第1層と第2層との界面付近にボイドが設けられていてもよい。
【0244】
第1電極110及び第2電極120には、絶縁層130が設けられており、絶縁層130上には、第1電極110及び第2電極120を露出させるコンタクトホールが設けられている。絶縁層130は、第2半導体層40の上面及び半導体層の側面に配置することができ、第1電極110及び第2電極120と選択的に接触させることができる。絶縁層130は、Al、Cr、Si、Ti、Zn、Zrのうち少なくとも1つを有する酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物のうち少なくとも1つからなる絶縁材料又は絶縁樹脂を含んでいてもよい。絶縁層130は、例えば、SiO2、Si3N4、Al2O3、TiO2から選択的に形成することができる。絶縁層130は、単層又は多層で形成されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0245】
本開示の例示的な実施形態において、第1電極110及び第2電極120は、コンタクトホールを介して他の要素と連結されてもよい。例えば、第1電極110及び第2電極120に、コンタクトホールを介して接続された第1パッド及び第2パッドを設けてもよい。また、本開示の例示的な実施形態では、発光装置について、図面を用いて簡単に説明するが、上述した層に加えて、付加機能を有する要素をさらに含んでいてもよい。例えば、光を反射する反射層、特定の要素を絶縁するための付加的な絶縁層、及びはんだの拡散を阻止する抗はんだ層などの種々の層をさらに含むことができる。
【0246】
また、横型の発光装置を形成する際には、メサを様々な形態で形成し、第1電極110及び第2電極120の位置や形状も様々に変更することができる。
【0247】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120に信号を印加してオン状態にすることによって発光する。出射光は、第1半導体層20及び基板10を通ってより低い方向に進み、基板10に設けられた突出部11及びボイドにより下方への光抽出効率が高くなる。
【0248】
上述した例示的な実施形態による発光装置を含む半導体チップは、横型で図示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、例示的な実施形態による発光装置は、垂直型又はフリップチップ型の半導体チップに適用されてもよい。
【0249】
図31は、フリップチップ型半導体チップを示す、例示的な実施形態による半導体チップを示す断面図である。フリップチップ型半導体は、基板上に形成された後、反転されて他の要素上に実装されるので、フリップチップ型半導体は、図中において、反転された形で示されている。
【0250】
図31を参照すると、発光装置は、基板10と、基板10の上面10Rに設けられた発光スタックと、発光スタックに接続された第1電極110及び第2電極120とを含む。
【0251】
本発明の例示的な実施形態では、基板10はパターン化され、その上面に複数の突出部及びボイドが設けられる。
【0252】
この発光スタックは、基板10の上面10Rに連続的に積層された第1半導体層20、活性層30、及び第2半導体層40を含む。例示的な実施形態では、発光スタックが活性層30及び第2半導体層40を含む少なくとも1つのメサ形態で提供されてもよい。発光スタックがメサの形態で設けられる場合、発光スタックは複数の突出部を含んでもよく、複数の突出部は、互いに離間されていてもよい。
【0253】
発光スタック上には絶縁層130aが設けられている。活性層30、第2半導体層40、及び絶縁層130aを通過して第1半導体層20の一部を露出させる少なくとも一つのコンタクトホールCHが発光スタックに設けられている。第1電極110は、コンタクトホールCHを介して露出された第1半導体層20に接続される。第2電極120は、絶縁層130aに形成された開口部を介して露出した第2半導体層40に接続されている。追加の絶縁層130bは、発光スタックの側面にさらに設けられてもよい。追加の絶縁層130bは、活性層30から放出された光が発光スタックの側面の方向に放出されないように、様々な種類のミラー(例えば、金属ミラー又は誘電体ミラー)で形成することができる。
【0254】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120が同一面に配置され、小型であるため、基板10の配線に容易に実装することができる。
【0255】
本開示の例示的な実施形態による発光装置は、第1電極110及び第2電極120に信号を印加してオン状態にすることによって発光する。出射光は、第1半導体層20及び基板10を通ってより低い方向に進み、基板10に設けられた突出部11及びボイドにより下方への光抽出効率が高くなる。
【0256】
上記構造の発光装置は、光抽出効率が高いため、本開示の例示的な発光装置の発光効率と従来技術の発光装置の発光効率とを比較する実験を行った。
【0257】
以下の実験では、まず、比較例1、2は、全高がそれぞれ1.7μm、2.1μmの第1層のみからなる突出部が形成された基板を用いた発光装置であり、比較例3は、第1層と第2層とからなる突出部が形成された基板を用いた発光装置であり、比較例1~3の光抽出効率を調べた。本実験では、基板と第1層をサファイアで形成し、第2層をSiO2で形成した。比較例1~3において、突出パターン以外の要素は同様である。比較例3では、第1層の高さは0.4μmであり、第2層の高さは1.7μmであった。
【0258】
表12に、比較例1~比較例3の発光効率を示す。
【0259】
【0260】
表12を参照して、第1層のみで突出部が形成された比較例1及び比較例2を見ると、比較例1よりも突出部の高さが高い比較例2では、比較例1に比べて発光効率が2.2%向上した。突出部の高さを2.1μmに固定した場合、第1層及び第2層で形成された比較例3の発光効率は第1層のみで形成された比較例2の発光効率よりも有意に高く、比較例2の発光効率は、比較例1に比べて2.2%向上し、比較例3の発光効率は比較例1に比べて5.7%有意に向上した。このように、第1層と第2層とで突出部を形成した場合には、他の場合に比べて発光効率が著しく高くなることが確認された。
【0261】
次に、第1層と第2層との界面に粗面を有する突出パターンが形成された発光装置を実施例として用い、比較例1及び比較例3と併せて、本実施例の発光効率を測定した。
図32は、比較例1、比較例3、及び本実施例による発光装置の波長による発光強度を示すグラフである。
図32において、本実施例の発光装置は、突出部を除いて、比較例3と同様の条件で作製した。本実施例の突出部の場合、比較例3とは異なり、第1層と第2層との界面に突起及び窪みが形成されていた。
【0262】
図32を参照すると、比較例3の方が比較例1よりも発光効率が高く、上記表12の結果とほぼ同じであることが分かる。また、
図30を参照すると、比較例3と比較して、本実施例の発光効率は、ほとんどの波長帯域、特に約450nm~約460nmの範囲でかなり高かった。比較例3及び本実施例では、本実施例の第1層の上面の突起及び窪みを除いて他の部分は全て同一に形成されているため、発光効率の差は、第1層の上面の突起及び窪みによるものと解釈された。
【0263】
本明細書では特定の例示的な実施形態及び実施例を説明したが、他の実施形態及び変形例は、この説明から明らかである。したがって、本発明の概念は、そのような実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲のより広い範囲、ならびに当業者には明らかであろう様々な自明な変形例及び同等の構成に限定される。
【0264】
したがって、本開示の技術的範囲は、本明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義されるべきである。