(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240214BHJP
H01L 31/107 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 F
H01L31/10 B
(21)【出願番号】P 2020548506
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2019036358
(87)【国際公開番号】W WO2020059702
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2018177893
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古見 孝治
(72)【発明者】
【氏名】萬田 周治
(72)【発明者】
【氏名】松本 良輔
(72)【発明者】
【氏名】平野 智之
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093126(JP,A)
【文献】特開2008-294454(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143531(WO,A1)
【文献】特開2018-137284(JP,A)
【文献】特開平08-130309(JP,A)
【文献】特開2014-225647(JP,A)
【文献】特開2018-088488(JP,A)
【文献】国際公開第2018/057975(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成された第1半導体層と
、前記第1半導体層上に形成された前記第1半導体層と逆導電型の第2半導体層と
の接合により形成されるフォトダイオードと、
前記第1半導体層及び前記第2半導体層を含む画素領域を画定する画素分離部と、
前記半導体基板の一方の面側から前記第1半導体層と接続され
、前記フォトダイオードのカソード電極となる第1電極と、
前記半導体基板の他方の面である光照射面側から前記第2半導体層と接続され、前記半導体基板の厚さ方向の少なくとも一部において前記画素分離部に埋め込まれた金属層と、
前記光照射面側から前記第2半導体層と接続され、前記画素分離部の位置に対応するように形成され、前記フォトダイオードのアノード電極となる第2電極と、
前記画素分離部及び前記光照射面に沿って形成された絶縁膜と
を備え
、
前記金属層は、前記第2電極を介して前記第2半導体層と電気的に接続され、
前記第2電極は前記第2半導体層に設けられた開口に埋め込まれ、前記絶縁膜の端部が前記開口の壁面よりも後退した領域が設けられ、前記領域に前記第2電極が充填されている、撮像装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記画素領域の周縁に沿って形成された、請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記画素領域の周縁の一部の領域に形成された、請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2電極は、矩形の前記画素領域の四隅の少なくとも1箇所に形成された、請求項
3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2電極は、前記第2半導体層に形成された孔に埋め込まれた、請求項
3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2電極と前記金属層が同一の材料で形成された、請求項
3に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画素分離部に沿って形成された絶縁膜を備え、
前記絶縁膜の端部が前記画素分離部の厚さ方向に後退した領域が設けられ、前記領域に絶縁膜が充填されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1電極と前記金属層の間に電子増倍のための電圧が印加される、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2半導体層上に形成された前記第2半導体層と同じ導電型の
光電変換部となる第3半導体層を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2電極は、前記画素分離部の上面に設けられた、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記画素分離部及び前記第2電極は、複数の前記画素領域を囲む格子状の平面形状を有する、請求項
1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1には、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)の構成において、第1の導電型を有する第1の埋め込み層である第1半導体層と、第1半導体層下に第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2半導体層と、を備え、第2半導体層はエピタキシャル層に埋め込まれ、バイアス電圧を印加することによって第2半導体層を完全に空乏層化させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SPADの技術では、高電圧のバイアス電圧を印加して電子増倍をすることにより光入射を大信号として抽出することができる。しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、高電圧を印加する1対の電極を基板の表面に並べて設けているため、ノイズの低減や光電変換効率の向上を図るためには、1対の電極間を確実に絶縁する必要がある。特に、微細化が進むほど1対の電極間の絶縁が困難になり、微細化と、ノイズの低減もしくは光電変換効率の向上等とを両立することは困難である。
【0005】
また、1対の電極を基板の表面側と裏面側に設けた場合は、光照射面に透明電極又は不純物層により形成した電極を設けることになるが、透明電極を設けた場合は、基板とのコンタクト部でノイズが発生する場合がある。また、電極を不純物層により形成した場合、高濃度の不純物を注入する必要があり、不純物層の領域には空乏層を形成することができないが、電極を低抵抗化するためには不純物層の厚さを確保する必要があり、その場合、特に短波長の光の感度が低下する問題がある。
【0006】
そこで、画素の微細化と低ノイズ化及び高量子効率を実現するとともに、画素間の干渉や画素毎のばらつきを抑制しつつ短波長の感度を改善することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、半導体基板に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された前記第1半導体層と逆導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層及び前記第2半導体層を含む画素領域を画定する画素分離部と、前記半導体基板の一方の面側から前記第1半導体層と接続された第1電極と、前記半導体基板の他方の面である光照射面側から前記第2半導体層と接続され、前記半導体基板の厚さ方向の少なくとも一部において前記画素分離部に埋め込まれた金属層と、を備える、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、画素の微細化と低ノイズ化及び高量子効率を実現するとともに、画素間の干渉や画素毎のばらつきを抑制しつつ短波長の感度を改善することが可能となる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】SPADフォトダイオードを裏面照射型とし、一方のアノード電極を裏面側に設け、高電圧を印加する構成例を示す模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る半導体装置(SPADフォトダイオード)を示す模式図である。
【
図3】本実施形態の他の構成例を示す模式図である。
【
図4】
図3に示す構成の埋め込み金属層が裏面側から埋め込まれている構成を示す模式図である。
【
図5】
図2に示す構成例に対して、画素領域の最表面にアノード電極と連なる補助電極を設けた例を示す模式図である。
【
図6】
図2に示す構成例に対して、光電変換部の最表面に絶縁層を設け、画素分離部上の範囲で、絶縁層上に遮光性を有する金属層を設けた例を示す模式図である。
【
図7】画素分離部上には絶縁膜を設けることなく、アノード電極上に遮光性を有する金属層を設けた例を示す模式図である。
【
図8】
図3に示した構成例において、遮光性を有する金属層を設けることなく、光照射面に絶縁層を設けた例を示す模式図である。
【
図9】
図3に示した構成例において、
図6に示した構成例と同様に、絶縁層と遮光性を有する金属層を設けた例を示す模式図である。
【
図10】
図3に示した構成例において、
図7に示した構成例と同様に、絶縁層と遮光性を有する金属層を設けた例を示す模式図である。
【
図11】
図4に示した構成例において、アノード電極を画素分離部よりも画素領域側に配置し、アノード電極と画素分離部上に設けた表面金属層を接続した例を示す模式図である。
【
図12】
図1に示した構成例に対し、埋め込み金属層の長さを画素領域の深さ方向で短くした例を示す模式図である。
【
図13】アノード電極と、アノード電極と接続される電極との位置関係を示す模式図である。
【
図14】アノード電極と、アノード電極と接続される電極との位置関係を示す模式図である。
【
図15】アノード電極と、アノード電極と接続される電極との位置関係を示す模式図である。
【
図16】アノード電極とコンタクト層との位置関係を示す平面図である。
【
図17】アノード電極とコンタクト層との位置関係を示す平面図である。
【
図18】
図12に示す構成において、光照射面の絶縁層上にカラーフィルタが設けられ、カラーフィルタの更に上にオンチップレンズが設けられた構成を示す概略断面図である。
【
図19】
図18に示す光電変換部と絶縁層との界面から光電変換部側の領域を見た状態を示す模式図である。
【
図20】本技術を適用した電子機器としての、カメラ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図21A】各バリエーションで共通する基本構成を示す概略断面図である。
【
図21B】
図21Aにおいて、金属層を
図18と同様の絶縁膜で覆った上で、カラーフィルタを設けた例を示す概略断面図である。
【
図22A】第1のバリエーションの撮像装置に関し、画素分離部の近傍を詳細に示す概略断面図である。
【
図22B】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22C】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22D】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22E】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22F】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22G】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図22H】第1のバリエーションに係る撮像装置の異なる態様を示す概略断面図である。
【
図23A】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23B】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23C】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23D】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23E】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23F】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図23G】第1のバリエーションに係る撮像装置の平面図である。
【
図24】第1のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【
図25】
図24に示した製造方法において、固相拡散等を用いて、表側から裏面側に形成した第2の埋め込み層を高濃度のP層で囲む場合の製造工程を示す模式図である。
【
図26】第2のバリエーションに係る撮像装置を示す概略断面図である。
【
図27】第3のバリエーションに係る撮像装置を示す概略断面図である。
【
図28】
図31に示す領域A1の範囲を拡大して示す模式図である。
【
図29】第3のバリエーションの別の例を示す概略断面図である。
【
図30】
図29に示す領域A2の範囲を拡大して示す模式図である。
【
図31】第3のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【
図32】
図31の工程(5)において、溝内の第1の埋め込み層の上に形成された絶縁膜が後退することに伴い、この部分に絶縁膜を更に形成する例を示す概略断面図である。
【
図33】
図32に示す工程(5-1)、工程(5-2)において、領域A3を拡大して示す断面図である。
【
図34】撮像装置を含む電子デバイスの構成を示す模式図である。
【
図35】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図36】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図37】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図38】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.前提となる技術
2.本実施形態に係る撮像装置の構成例
3.本実施形態に係る撮像装置の他の構成例
4.アノード電極の外部への引き出し
5.アノード電極とコンタクト層との位置関係
6.カラーフィルタ、レンズを含む構成例
7.本実施形態に係る撮像装置の適用例
8.本開示のバリエーション
8.1.共通する構造
8.2.第1のバリエーション
8.3.第2のバリエーション
8.4.第3のバリエーション
9.撮像装置以外への適用例
10.電子デバイスの構成例
11.移動体への応用例
12.内視鏡手術システムへの応用例
【0012】
1.前提となる技術
電子増倍をすることにより1光子レベルの読み出し感度を持ったフォトダイオードを実現するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)の技術がある。SPADでは、増倍を起こすために±数10V程度の高電圧が必要であるため、不純物の注入設計が難しく、微細化と、ノイズの低減もしくは光電変換効率の向上などを両立することが難しい。このため、
図1に示すように、SPADフォトダイオードを裏面照射型とし、一方のアノード電極1130を裏面側に設け、高電圧を印加することで横方向電界緩和の問題を解決しつつ、深い空乏層を作り出せるようにする技術がある。
図1に示す構成では、P型の光電変換部1160と接する高濃度のP型層(第2半導体層)1170とカソードのN型層(第1半導体層)1180との間で高電界になる増倍領域を形成している。カソード電極1100にはN型層1180が接続されている。カソード電極1100の表側には電極1102が接続されている。
【0013】
アノード電極1130は表面側に取り出されるが、表面側へのコンタクト部とカソード電極1100との間で電界を緩和するためには、コンタクト部とカソード電極1100との間を十分に離間する必要がある。このため、
図1に示す構成では、アノード電極1130と接続されてアノード電極1130を表面側に引き出すコンタクト層1140を画素アレイの外側に設けている。
【0014】
一方、
図1のように裏面構造にして、裏面側の照射面にアノード電極1130を形成するためには、アノード電極1130として透明電極を用いる必要がある。ITOなどの透明電極でアノード電極1130を形成して光電変換部1160に接触させる方法では、アノード電極1130と光電変換部1160との接触部でノイズが発生する。このため、フォトダイオード最表面、すなわち光電変換部1160の最表面に高濃度の不純物を注入した電極を形成する場合がある。しかし、光電変換部1160に高濃度の不純物注入を行うと、この部分には空乏層を形成できなくなり、フォトダイオード最表面で光電変換ができなくなるため、短波長光の量子効率が低下してしまう。このため、光電変換部1160の最表面に形成した高濃度の不純物部分を薄くする必要があるが、高濃度の不純物部分を薄くすると抵抗が高くなってしまう。特に、画素アレイの外側にコンタクト層1140を設けて裏面側のアノード電極1130へのコンタクトを行う場合、微細化には有利であるが、コンタクト層1140から画素までの電気抵抗が高くなり、SPADに特有の大きな増倍電流が流れた時に電圧が変動してしまう。この変動が他の画素にも影響し、他の画素の特性を変えてしまうような画素間干渉が起きてしまう。
【0015】
以上の点に鑑み、本実施形態では、微細画素を実現できる裏面電極構造を取りつつ、電極内での電圧変動による画素間干渉を抑制し、さらに、特に短波長側の量子効率を改善する。
【0016】
2.本実施形態に係る撮像装置の構成例
図2は本開示の一実施形態に係る撮像装置(SPADフォトダイオード)1000を示す模式図である。
図2に示す構成では、SPAD画素としての増倍領域と光電変換を行う光電変換部160を備え、カソード電極100とアノード電極130を有する。
図2に示す構成は裏面照射型の画素であり、フォトダイオードの基板は10um以下に薄肉化されていて、高電圧が印加される1対の電極のうち、一方のアノード電極130は裏面側に設けられている。なお、半導体基板50の表面側とは、半導体基板50上に配線層が形成される側であり、本実施形態の撮像装置100では、半導体基板50の裏面側が光照射面とされている。裏面側のアノード電極130は、画素分離部150に対応して設けられている。アノード電極130の厚さは、一例として500nm以上とされ、低抵抗化な電極とされている。画素分離部150の間の画素領域に光電変換部160が設けられ、光電変換部160の裏面側の最表面は光が照射される光照射部とされている。画素領域は、画素分離部150の距離で規定され、縦横5μm以下の矩形の平面形状を有している。アノード電極130は、画素アレイ外で、深い不純物注入や金属の埋め込みなどによって形成されるコンタクト層140と接続され、表面側にその電位が取り出されている。表面側でコンタクト層140と接続された電極142に所定の電圧が印加されることで、アノード電極130には、コンタクト層140を介して所定の電圧が印加される。コンタクト層140は画素アレイを囲んで形成されているのが望ましい。コンタクト層140は、1か所でも良いし、複数に分割されていても良い。また、アノード電極140は、画素アレイ内で複数のコンタクト層140が形成されていても良い。電極取り出しのためのコンタクト層140が多いほど裏面側のアノード電極130内での電圧変動を抑えることができる。
【0017】
図2に示すように、画素アレイ内では画素分離部150によって画素が分離されている。
図2では、画素アレイ内の1画素を示している。画素分離部150は、光電変換部160と不純物の極性を変えることにより形成されている。裏面側のアノード電極130は、画素分離部150の位置に対応して設けられ、
図2では画素分離部150の直上に設けられている。画素分離部150は、高濃度の不純物注入により形成され、抵抗を十分に低くするために、アノード電極130は十分な厚さ、例えば500nm以上とされている。このような構造にすることで、光電変換部160の空乏層を画素裏面側の最表面まで形成することができ、短波長の感度を十分に保つことができる。
【0018】
図2では、表面側にN型の不純物層を形成してカソード電極100として、裏面側にP型の不純物層を形成してアノード電極130としている。カソード電極100にはN型層(第1半導体層)180が接続されている。また、カソード電極100の表側には電極102が接続されている。アノード電極130に接続されている光電変換部160は低濃度のP型であり、光電変換部(第3半導体層)160と接する高濃度のP型層(第2半導体層)170とカソードのN型層180との間で高電界になる増倍領域を形成している。また、画素分離部150として低濃度のN型層を用いている。なお、光電変換部160を設けずに、P型層170が光電変換部160の領域まで拡大されていても良い。
【0019】
なお、不純物層の導電型と濃度は一例であり、PとNを入れ替えてアノードとカソードを逆の導電型にしても良い。また、高電界になる増倍領域の作り方は他にも様々な方法が考えられる。更に、増倍領域を分離するための不純物注入領域を設けたり、画素分離部150として埋め込み絶縁膜などを設けても良い。
【0020】
以上のように、本実施形態では、裏面照射型のSPADにおいて、アノード電極130とカソード電極100を基板の表面と裏面に有する。裏面側のアノード電極130は画素間分離領域150に設けられている。これにより、空乏層からなる光電変換部160を光照射面の最表面まで拡大できるため、短波長感度を大幅に高めることができる。画素が比較的大きい場合はアノード電極130が画素端に位置するため、画素内の電界が一定にならず画素中央部では空乏層が光電変換部160の表面まで広がりにくい場合もあるが、微細画素では画素端からの電位が画素中央にも届くため、裏面側のアノード電極130を画素分離部150に設ける構造を採用できる。
【0021】
図3は本実施形態の他の構成例を示す模式図であり、裏面側の画素表面に画素分離部150として遮光性を有する金属層152を使用した例である。これにより光による画素間干渉を低減しつつ、裏面のアノード電極130の抵抗も下げることができ、電圧変動による画素干渉をさらに抑制できる。金属層152は、タングステン(W)などの金属で構成することができる。この金属層152の直下に
図2と同様の高濃度の不純物注入領域を設けてアノード電極130とする。金属層152と高濃度不純物領域からなるアノード電極130はコンタクトしていても良い。
図3に示す構成例の場合も、
図2と同様にアノード電極130は表面側に取り出されても良いが、裏面側でそのままボンディングパッドへ接続されても良い。
【0022】
画素分離部150は矩形の画素領域を囲むように格子状の平面形状を有する。このため、画素分離部150上に形成されるアノード電極130、アノード電極130上に形成される金属層152も、画素分離部150に倣った格子状の平面形状を有することができる。
【0023】
また、
図3に示す例では、画素分離部150に遮光性のある埋め込み金属層190が表面側から埋め込まれている。埋め込み金属層190は、金属層152と同様にタングステン(W)などの金属で構成することができる。この場合、埋め込み金属層190と光電変換部160は絶縁膜194で分離されており、埋め込み金属層190は隣接する画素領域間で絶縁膜194に囲まれている。この構造では、画素領域の深い領域で起こる画素間干渉を抑制でき、且つ裏面側にアノード電極130を設けた微細化に有利な構造を組み合わせることができる。埋め込み金属層190は表面側から光電変換部160の途中まで埋め込まれていて、この埋め込み金属層190の直上に高濃度不純物領域を作り、裏面側のアノード電極130とする。
【0024】
図4に示す例では、
図3に示す構成の埋め込み金属層190が裏面側から埋め込まれている。この場合、高濃度不純物領域からなるアノード電極130は埋め込み金属層190を囲むように画素領域内に形成されるが、埋め込み金属層190を設けたことによりアノード電極130の画素間での接続が遮断されるため、金属層152を画素分離部150上に設け、金属層152とアノード電極130をコンタクトして画素間でアノード電極130を接続する。金属152は、埋め込み金属層190とは絶縁されている。埋め込み金属層190は光電変換部160の一部のみに埋め込まれていても良いが、より好ましくは、画素領域の全体に埋め込まれている。この構造とすることで、光による画素間干渉を完全に遮断しつつ、電圧変動による画素間干渉も抑制して、微細化と高量子効率を達成でき、低ノイズな画素を実現することができる。
【0025】
以上のように、本実施形態では、アノード電極130が画素分離部150の位置に対応するように形成されている。なお、アノード電極130が画素分離部150の位置に対応するように形成されることは、
図2のようにアノード電極130が画素分離部150の直上に形成される場合、
図4のようにアノード電極130が画素分離部150の画素領域側に形成される場合、を含むものとする。また、アノード電極130は、画素分離部150の位置に対応するように形成されているが、画素分離部150の全てに対応して設けられていなくても良く、画素分離部150の一部のみに対応して設けられていても良い。
【0026】
3.本実施形態に係る撮像装置の他の構成例
以下では、
図2~
図4に示した構成例を基に、本実施形態の幾つかのバリエーションについて説明する。
図5に示す構成例は、
図2に示す構成例に対して、画素領域の最表面にアノード電極130と連なる補助電極132を設けた例を示している。補助電極132は、アノード電極130と同じ導電型で形成されている。補助電極132の厚さは、一例として50nm以下とされ、光電変換部160の領域を最大限確保できるようにしている。このように、画素内の裏面側の最表面には、高濃度の不純物注入により補助電極132を設けても良い。但し、画素内に不純物が注入された補助電極132の領域の厚さは十分に薄くし、例えば50nm以下とすることが好適である。
図5に示す例では、補助電極132上に絶縁層200が設けられており、絶縁層200を介して光電変換部160に光が照射される。補助電極132を設けることで、裏面側の光電変換部160の最表面の電位を一定にすることができ、空乏層の広がりや増倍領域の電界を画素内で均一化できる。この補助電極132は厚さが薄くて短波長感度には影響しない分、抵抗も高いが、画素分離部に設けたアノード電極130の抵抗が低いために、他の画素の電位変動は起きない。
【0027】
図6に示す構成例は、
図2に示す構成例に対して、光電変換部160の最表面(光照射面)に絶縁層200を設け、画素分離部150上の範囲で、絶縁層200上に遮光性を有する金属層152を設けた例を示している。また、
図7に示す構成例は、画素分離部150上には絶縁膜200を設けることなく、アノード電極130上に遮光性を有する金属層152を設けた例を示している。遮光性を有する金属層152を設けることで、光侵入経路を画素毎に区分することができる。
図7に示す構成例によれば、アノード電極130と遮光性を有する金属層152を同電位にすることができる。
【0028】
図8に示す構成例は、
図3に示した構成例において、遮光性を有する金属層152を設けることなく、光照射面に絶縁層200を設けた例を示している。また、
図9に示す構成例は、
図3に示した構成例において、
図6に示した構成例と同様に、絶縁層200と遮光性を有する金属層152を設けた例を示している。また、
図10に示す構成例は、
図3に示した構成例において、
図7に示した構成例と同様に、絶縁層200と遮光性を有する金属層152を設けた例を示している。
【0029】
また、
図11に示す構成例は、
図4に示した構成例において、アノード電極130を画素分離部150よりも画素領域側に配置し、アノード電極130と画素分離部150上に設けた表面金属層220を接続した例を示している。アノード電極130は、隣接する画素領域のアノード電極130と表面金属層220によって接続される。このため、表面金属層220は、画素分離部150を跨ぐように形成されている。また、
図12に示す構成例は、
図1に示した構成例に対し、埋め込み金属層190の長さを画素領域(光電変換部160)の深さ方向で短くした例を示している。
【0030】
4.アノード電極の外部への引き出し
図13~
図15は、アノード電極130と、アノード電極130と接続される電極142との位置関係を示す模式図である。ここで、電極142は画素アレイ外に設けられ、ボンディングパッド(引き出し電極)として機能する。
図13は、
図2と同様にコンタクト層140を設けることで、コンタクト層140を介してアノード電極130を表面側に引き出し、コンタクト層140と表面側の電極142を接続した例を示している。なお、コンタクト層140は、画素アレイ周辺の回路に接続されていても良い。
【0031】
図14に示す例は、アノード電極130と同じ裏面側に電極142を設け、アノード電極130と電極142を直接的に接続した例を示している。
図14に示す例では、ボンディングパッドとしての電極142が裏面側に設けられる。また、
図14において、アノード電極130上に遮光性を有する金属層152を設け、金属層152とボンディングパッドとしての電極142を接続しても良い。
【0032】
図15に示す例は、
図13に示す例と同様に表面側に電極142を設けた例であるが、アノード電極130と接続される電極152を設け、電極152を介してコンタクト層140との接続を行った例を示す模式図である。
【0033】
5.アノード電極とコンタクト層との位置関係
図16及び
図17は、アノード電極130とコンタクト層140との位置関係を示す平面図であって、光照射面側(裏面側)から見た状態を示している。
図16及び
図17において、一点鎖線Rの内側は画素アレイ内の領域であり、一点鎖線Rの外側は画素アレイ外の領域である。
図16に示すように、画素アレイ内では、アノード電極130は画素分離部150に沿って設けられるため、アノード電極130は格子状の形状とされている。遮光性を有する金属層152を設ける場合は、
図16に示す格子状のアノード電極130に倣った形状の金属層152をアノード電極130上に設けることができる。遮光性を有する金属層152は、画素アレイ内の周辺に行くほどその位置を画素分離部150からずらすことで、瞳位置に応じた補正を行うことができ、遮光効果を高めることができる。特に、
図6のように絶縁層200を介してアノード電極130上に遮光性を有する金属層152を形成した場合は、金属層152とアノード電極130が一体化されていないため、画素アレイ内の周辺に行くほど金属層152の位置を画素分離部150(アノード電極130)からずらすことができる。画素アレイ外には、画素アレイを囲むようにコンタクト層140が設けられ、
図2に示したように、アノード電極130はコンタクト層140を介して表面側に引き出されている。コンタクト層140を画素アレイ外の全周に設けることで、アノード電極130内での電圧変動を確実に抑えることができる。
【0034】
図17は、
図16の構成に加えて、画素アレイ内にもコンタクト層140を設けた例を示している。
図17に示すように、画素アレイ内にもコンタクト層140を設けることで、アノード電極130の電位を更に安定させることが可能である。
【0035】
6.カラーフィルタ、レンズを含む構成例
図18は、
図12に示す構成において、光照射面の絶縁層200上にカラーフィルタ300a,300b,300cが設けられ、カラーフィルタ300a,300b,300cの更に上にオンチップレンズ400が設けられた構成を示す概略断面図である。オンチップレンズ400及びカラーフィルタ300a,300b,300cを透過した光は、光電変換部160に照射される。なお、
図18において、
図12に示す画素分離部150の絶縁膜194は、光照射面の絶縁層200と共通に設けられている。
【0036】
図19は、
図18に示す光電変換部160と絶縁層200との界面から光電変換部160側の領域を見た状態を示す模式図である。
図19に示すように、埋め込み金属層190と絶縁層200(絶縁膜194)から画素分離部150が設けられ、画素分離部150によって光電変換部160からなる画素領域が画定されている。
図19に示す各光電変換部160において、アノード電極130は画素分離部150に沿って画素領域を囲むように設けられている。
【0037】
7.本実施形態に係る撮像装置の適用例
図20は、本技術を適用した電子機器としての、カメラ装置2000の構成例を示すブロック図である。
図20に示すカメラ装置2000は、レンズ群などからなる光学部2100、上述した撮像装置(撮像デバイス)1000、およびカメラ信号処理装置であるDSP回路2200を備える。また、カメラ装置2000は、フレームメモリ2300、表示部(表示装置)2400、記録部2500、操作部2600、および電源部2700も備える。DSP回路2200、フレームメモリ2300、表示部2400、記録部2500、操作部2600および電源部2700は、バスライン2800を介して相互に接続されている。
【0038】
光学部2100は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置1000の撮像面上に結像する。撮像装置1000は、光学部2100によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0039】
表示部2400は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置1000で撮像された動画または静止画を表示する。DSP回路2200は、撮像装置1000から出力された画素信号を受け取り、表示部2400に表示させるための処理を行う。記録部2500は、撮像装置1000で撮像された動画または静止画を、ビデオテープやDVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に記録する。
【0040】
操作部2600は、ユーザによる操作の下に、撮像装置1000が有する様々な機能について操作指令を発する。電源部2700は、DSP回路2200、フレームメモリ2300、表示部2400、記録部2500および操作部2600の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0041】
8.本開示のバリエーション
以下では、本開示を具体的に実施した場合に生ずる課題と、課題を解決するための実施例のバリエーションについて説明する。
【0042】
8.1.共通する構造
最初に、各バリエーションで共通する基本構成について説明する。
図21Aは、各バリエーションで共通する基本構成を示す概略断面図である。
図21Aに示す撮像装置1000は、SPAD画素としての増倍領域と光電変換を行う光電変換部(N-領域)160を備え、光電変換部160の裏面側の最表面は光が照射される光照射部とされている。
【0043】
図21Aに示すように、アノード電極130として機能する金属層152は、P領域760と電気的に接続されている。P領域760は、下層ほど不純物濃度が低くなるように構成されている。また、P領域760から画素分離部150に沿ってP領域700、P-領域710が形成され、P領域760からアバランシュ部720までが電気的に接続されている。アバランシュ部720はP+領域730とN+領域740が接合されて構成されている。P領域700は、アバランシュ部720で読み出したい電荷(電子)が通過するように、逆の電荷(ホール)を蓄積させることで構成されている。P-領域710は、アバランシュ部720に電荷が通過するよう、中央の電位を高くするため、低濃度の領域とすることが望ましい。
【0044】
N+領域740は、N+領域750を介して電極102と接続されている。また、P+領域730とN+領域740の側面には、N-領域780が形成されている。また、N+領域740及びN-領域780と電気的に接続されるP+層790が設けられ、P+層790は電極800を介して接地(GND)されている。なお、P+層790は、N層であっても良い。また、P+層790接続される配線層820などの電極が形成されていなくても良い。電極102は、入射した光に対応した信号を出力する電極である。一方、電極800は、正孔(ホール)の排出用の電極である。なお、P+層790及び電極800は、設けられていなくても良い。電極102、電極800、画素分離部150に設けられた埋め込み金属層190は、それぞれ配線層820と接続されている。なお、配線層820は、
図18に示す配線層のうち、最上層の一部の配線層を示している。なお、P+層790は、N層であっても良い。また、P+層790接続される配線層820などの電極は無くても良い。
【0045】
画素分離部150の側面とP領域760の上層には、絶縁膜(固定電荷膜)810が設けられている。絶縁膜810は、例えば負に帯電している。また、P領域760の上層の構成は、基本的に
図18に示した構成と同様である。なお、
図21Aに示した構成において、P型とN型の導電型を入れ換えて撮像装置1000を構成することもできる。
【0046】
以上のように構成された
図21Aの撮像装置2000において、N+領域740及びN+領域750は、
図2に示したN型層180に対応する。また、P領域760、P領域700、及びP-領域710は、光電変換部(第3半導体層)160、P型層170に対応する。
【0047】
以下で説明する各バリエーションにおいては、基本的に
図21Aに示したSPAD画素の構成を備えるものとし、これらの構成を基本構成として、図示は適宜省略する。また、各バリエーションにおいては、基本構成以外の構成を一部示すが、基本構成に適宜置き換えることが可能である。
図21Bは、
図21Aにおいて、金属層152を
図18と同様の絶縁膜200で覆った上で、カラーフィルタ300a,300b,300cを設けた例を示す概略断面図である。
【0048】
8.2.第1のバリエーション
図3に示したように、画素分離部150に埋め込み金属層190を埋め込むことで、隣接する画素領域間の遮光性を高めることができ、画素領域の深い領域で起こる画素間干渉を抑制できる。第1のバリエーションは、アノード電極130を金属層152とし、埋め込み金属層190とアノード電極130(金属層152)を電気的に接続した構成に関する。
【0049】
図22Aは、第1のバリエーションの撮像装置1000に関し、画素分離部150の近傍を詳細に示す概略断面図である。
図22Aに示すように、画素分離部150を貫通するように埋め込み金属層190が設けられている。埋め込み金属層190は、金属層152を介して裏面側のP領域760と電気的に接続されている。埋め込み金属層190とアノード電極130としての金属層152を電気的に接続したことで、アノード電極の寄生抵抗を低下することができ、特に画素エリア中央部での電圧降下を低減することが可能となる。
【0050】
図22B~
図22Hは、第1のバリエーションに係る撮像装置1000の異なる態様を示す概略断面図である。
図22B~
図22Hのいずれの態様においても、埋め込み金属層190と金属層152とが電気的に接続されている。
【0051】
図22Bは、画素分離部150上を金属層152で覆った例を示している。
図22Cは、
図22Aに示すような表面側の埋め込み絶縁膜510を形成せずに、裏面から表面に至る画素分離部150の幅を一定にした例を示している。また、
図22Dは、
図22Aに示す埋め込み絶縁膜510を掘り込んで凹部520を形成し、凹部520内に埋め込み金属層190と接続される埋め込み金属層530を形成した例を示している。また、
図22Eは、
図22Aに示す構成において、絶縁膜194を設けずに埋め込み金属層190を形成した例を示す模式図である。
図22Eに示す構成では、埋め込み金属層190の上側の端面は絶縁膜810の上面よりも上に突出しているが、埋め込み金属層190の上側の端面が絶縁膜810の上面と同じ位置であっても良い。また、
図22Fは、
図22Aに示す構成において、埋め込み金属層190が配線層820に接続されていない構成を示している。また、
図22Gは、
図22Aに示す構成において、絶縁膜810を埋め込み絶縁膜510の下部まで延ばした構成を示している。また、
図22Hは、
図22Aに示す構成において、埋め込み金属層190の側方に絶縁膜810を設けずに、高濃度のP層830を設けた構成を示している。高濃度のP層830は、後述する
図25の製造工程に示すP層544に対応する。
図22Hに示すように、絶縁膜810の代わりに高濃度のP層830を形成しても良い。なお、
図22Hにおいて、P領域760上に形成されている絶縁膜810を設けなくても良い。
図22A~22C,22E,22G,22Hでは、金属層152の反対側で、埋め込み金属層190が配線層820に接続されている。埋め込み金属層190と配線層820を接続することで、アノード配線としての面積が拡大し、よりアノードの抵抗を下げることができる。
また、埋め込み金属層190と配線層820を接続することで、隣接画素での光の漏れ込み、混色を更に抑制することができる。また、横方向に延在する配線層820または基板よりも深く形成された配線層820と埋め込み金属層190が接続されることで、下層の配線層820で反射して隣接画素に光が入射してしまうことを抑制できる。また、埋め込み金属層190と接続された横方向の配線層820で、斜めに入射した光を反射させることができ、検出したい画素に光を再入射させることもできる。
また、光の入射面側(上側)で電荷(P型が収集する正孔(ホール))を排出することもできるし、下側で配線層820と接続していれば下側又は上下両方から電荷を排出することもできる。平面視では、上側の配線レイアウトと同様、下側の配線層820も任意に形成できる。
【0052】
図23A~
図23Gは、第1のバリエーションに係る撮像装置1000の平面図である。
図23Aに示す例は、
図22Aの構成に対応し、金属層152は、埋め込み金属層190よりも広い幅で画素分離部150に沿って形成されている。
図23A~
図23Gでは、金属層152の領域にドットを付して示しており、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを示している。
図23Aに示す例は、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを1画素につき4箇所とした構成を示している。
図23Bに示す例は、
図22Aの構成において、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを1画素につき1箇所とした構成を示している。
図23Cに示す例は、
図22Aの構成において、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを埋め込み金属層190に沿った四辺に沿って設け、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cをリング状にした構成を示している。なお、
図23Cにおいて、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを埋め込み金属層190に沿った1辺のみとしても良い。
図23Dに示す例は、
図22Bの構成に対応している。
図23Dに示す例では、
図23Aと同様に金属層152は埋め込み金属層190よりも広い幅で画素分離部150に沿って形成され、画素の四隅に、埋め込み金属層190と隣接してP領域760と電気的に接続される部位Cが設けられている。
図23Eに示す例は、
図23Dにおいて、P領域760と電気的に接続される部位Cを1画素に1箇所のみ設けた構成を示している。
図23Fに示す例は、
図23Dにおいて、P領域760と電気的に接続される部位Cの平面形状を三角形にした構成を示している。
図23Fの構成によれば、光が入射する金属層152の開口をより拡げることができる。なお、P領域760と電気的に接続される部位Cの平面形状は、三角形以外の形状であっても良く、例えば円形であっても良い。
図23Gに示す例は、
図23Dにおいて、P領域760と電気的に接続される部位Cを埋め込み金属層190に沿って設けた例を示す模式図である。なお、
図23Gにおいて、金属層152がP領域760と電気的に接続される部位Cを埋め込み金属層190に沿った1辺のみとしても良い。なお、
図23A~
図23Gでは、平面構成において、金属層152は、P領域760と電気的に接続される部位C以外は、画素分離部150よりも光電変換部側に突出していない。
【0053】
以下、
図24に基づいて、第1のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
図24は、第1のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0054】
先ず、工程(1)では、Si基板520にイオン注入と熱処理等を用いて必要なN層、P層を形成し、成膜等で所望の構造を形成し、画素を囲うように埋め込み絶縁膜の絶縁膜を埋め込んだ第1の層528を形成する。これにより、
図21Aに示した各N領域、各P領域が形成される。なお、
図24において、各N領域、各P領域の図示は省略する。そして、絶縁膜を埋め込んだ第1の層528上にメタル層530を形成し、更に絶縁膜を形成することで第1の層528の中にメタル層530を埋め込んだ構造を得る。第1の層528の埋め込みは、酸化膜、窒化膜、酸化膜と窒化膜の積層等、色々なバリエーションが考えられる。メタル層530はタングステン(W)等で形成するのが望ましい。なお、メタル層530を形成しなくても良い。
【0055】
次に、工程(2)では、必要な配線層を形成した上で、貼り合わせ等の手法により表裏面を反転させ、不要な層を除去する。次の工程(3)では、埋め込み絶縁膜に到達するようにSi基板520をエッチングした上で、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)等からなる絶縁膜532と、酸化膜等からなる絶縁膜534を成膜する。成膜はカバレッジの良い膜種を用いることが好適である。そして、工程(4)では、第1の埋め込み層528を貫通し、メタル層530に到達する溝(トレンチ)を形成し、メタル膜536を埋め込む。メタル膜536はタングステン(W)等で形成するのが望ましい。なお、Si層526と第1の埋め込み層528を貫通させた後、絶縁膜532と絶縁膜534を成膜し、メタル層536を埋め込んでも良い。最後に、工程(5)では、絶縁膜200を形成した後、裏面コンタクトを取る電極538を形成する。これらの工程により、裏面電極を備えた素子を製造する。なお、N層、P層が反転しても構わない。その場合は、絶縁膜532の種類を変更する。そして、絶縁膜200及び電極538上に、
図21Aに示したようなカラーフィルタ300a,300b,300c及びオンチップレンズ400(
図24において不図示)を形成する。
【0056】
図24に示した製造方法において、絶縁膜532の形成ではなく、表面側形成時に、固相拡散等を用いて、表側から裏面側に形成した第2の埋め込み層を高濃度のP層で囲んでも良い。
図25は、この場合の製造工程を示す模式図である。工程(1)において、Si基板520にイオン注入と熱処理等を用いて必要なN層、P層を形成し、成膜等で所望の構造を形成する。これにより、
図21Aに示した各N領域、各P領域が形成される。そして、Si基板520に第2の層540を埋め込み、第2の層540の中にメタル膜542を埋め込む。第2の層540を埋め込む際に、固相拡散等を用いて第2の層540と隣接するSi基板520に高濃度のP層544を形成する。
【0057】
次の工程(2)では、表裏面を反転させ、不要な層を除去する。その後、Si基板520上に所定の絶縁膜を形成した後、
図24の工程(5)と同様に、裏面コンタクトを取る電極538を形成する。そして、絶縁膜200及び電極538上に、
図21Aに示したようなカラーフィルタ300a,300b,300c及びオンチップレンズ400(
図24において不図示)を形成する。
【0058】
図24及び
図25に示す工程図において、絶縁膜532は
図22A~
図22Fの絶縁膜810に相当し、メタル層536は
図22A~
図22Fの埋め込み金属層190に相当し、電極538は金属層152(アノード電極)に相当する。埋め込み金属層190と金属層152は同一の材料で形成しても良く、例えばタングステン(W)などの金属で形成することができる。
【0059】
第1のバリエーションによれば、アノード電極130として機能する金属層152が、光電変換部160のP領域760と電気的に接続されていることにより、アノード配線の寄生抵抗を低減することが可能となる。アノード電極130として機能する金属層152が、光電変換部160のP領域760と電気的に接続されていることにより、画素領域の中央での電圧降下を抑制することができる。
【0060】
8.3.第2のバリエーション
第1のバリエーションにおいて、P領域760と接続される金属層152(アノード電極)は、
図23に示したように、画素分離部150に沿って形成されている。このため、P領域760と金属層152との接触面積を十分に確保することができ、P領域760と金属層152との間のコンタクト抵抗を低減することができる。一方、この構成の場合、各画素の光電変換部は、画素分離部150の内側に形成された配線層500によって縮小される。
【0061】
第2のバリエーションでは、第1のバリエーションと同様に、埋め込み金属層190と金属層152を電気的に接続する。そして、金属層152とP領域760との接続部において、P領域760を掘り込むことでコンタクト面積が増大し、コンタクト抵抗を低減できる。また、P領域760を掘り込むことでコンタクト面積が増大した分だけ画素分離部150の内側における配線層500の占有面積を抑え、各画素の光電変換部の領域を最大限確保すれば、コンタクト抵抗が増大することなく撮像装置1000の感度をより向上することができる。
【0062】
図26は、第2のバリエーションに係る撮像装置1000を示す概略断面図である。
図26において、P領域760と接続される金属層152のコンタクト部152aは、P領域760に堀られた領域に充填されている。これにより、コンタクト領域がコンタクト部152aの側壁にも形成されるため、コンタクト面積が増大し、コンタクト抵抗を低減することができる。P領域760に掘られた領域は、溝形状、ホール形状、画素間に彫り込んで形成された溝と繋がっている形状など、複数の形状が考えられる。平面構成において、金属層152は、コンタクト部152aが形成された領域以外は、画素分離部150よりも光電変換部側に突出していない。コンタクト部152aの長さをより長くすることで、コンタクト部152aとP領域760との接触面積が増大し、コンタクト抵抗を低減できる。
【0063】
第2のバリエーションによれば、金属層152とP領域760との接続をコンタクト部152aによって行うことで、光電変換部の領域をより広く確保することが可能となる。
【0064】
8.4.第3のバリエーション
第3のバリエーションでは、埋め込み金属層190と接続された金属層152をP領域760に接続する際に、画素分離部150の絶縁膜810を後退させることで、金属層152とP領域760のコンタクト抵抗を低減する。
【0065】
図27は、第3のバリエーションに係る撮像装置1000を示す概略断面図である。
図27に示す構成において、画素分離部150の絶縁膜194に沿って絶縁膜810が形成されている。画素分離部150に沿った絶縁膜810の上端の位置は、画素分離部150の絶縁膜194の上端よりも低い位置まで後退している。
図27に示す距離d1は、絶縁膜700の下方向への後退量を示している。
【0066】
図28は、
図27に示す領域A1の範囲を拡大して示す模式図であって、金属層152の充填前と充填後の状態をそれぞれ示している。
図28では、絶縁膜810の近傍をより詳細に示している。絶縁膜810と隣接して、タンタルオキサイド(Ta
2O
5)等から形成される膜193と絶縁膜192が形成されている。膜193は、スパッタ法により形成されるため、カバレッジが比較的低く、溝701の側壁には形成されていない。一方、絶縁膜192はCVD等により形成され、カバレッジが良好であるため、溝701の側壁にも形成される。
図28の左側に示す金属層152の充填前の状態は、画素分離部150に埋め込み金属層190を充填する溝701を形成し、画素分離部150の上部に開口702を形成した状態を示している。この状態では、溝701に埋め込み金属層190は充填されておらず、また、開口702に金属層152は充填されていない。
図28に示す破線は、絶縁膜810を後退させる前の開口702の範囲を示している。破線に示す範囲で開口702を形成した後、洗浄工程により絶縁膜810を後退させる。絶縁膜700は垂直方向に距離d1だけ後退し、水平方向に距離d2だけ後退する。一例として、後退量は、数nmから数十nm程度である。
【0067】
その後、
図28の右側に示す充填後の状態に示すように、溝701を充填するように埋め込み金属層190を形成し、開口702を充填するように金属層152を形成する。これにより、P領域760と接続される金属層152の領域は、絶縁膜810が後退した分だけ広がることになり、P領域760と金属層152との間のコンタクト抵抗を低減することができる。なお、
図27及び
図28に示す例では、金属層152と埋め込み金属膜190は一体的に形成される。
【0068】
以上のように、絶縁膜810を後退させたことにより、P領域760と金属層152の接触領域を拡大することができる。従って、
図27に示す第3のバリエーションの構成によれば、P領域760と金属層152との間のコンタクト抵抗をより低減することが可能となる。
【0069】
図29は、第3のバリエーションの別の例を示す概略断面図である。
図29に示す構成では、金属層152のP領域760とのコンタクトが、画素分離部150から離間した位置で行われている。
【0070】
図30は、
図29に示す領域A2の範囲を拡大して示す模式図である。
図30に示す破線は、絶縁膜810を後退させる前の開口704の範囲を示している。破線に示す範囲で開口704を形成した後、洗浄工程により絶縁膜810を距離d2だけ水平方向に後退させる。
【0071】
その後、開口704を充填するように金属層152を形成する。これにより、金属層152とP領域760とが接触する領域は、絶縁膜810が水平方向に後退した分だけ広がることになり、金属層152とP領域760との間のコンタクト抵抗を低減することができる。
【0072】
以下、
図31に基づいて、第3のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
図31は、第3のバリエーションに係る半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0073】
図24の工程(1)~(2)と同様の工程を行った後、
図31の工程(4)では、埋め込み絶縁膜に到達するようにSi層926をエッチングした上で、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)等からなる絶縁膜810と、酸化膜等からなる絶縁膜934を成膜する。成膜はカバレッジの良い膜種を用いることが好適である。
【0074】
次に、工程(5)では、第1の埋め込み層928を貫通し、メタル層930に到達する溝を形成する。更に、工程(5)では、開口702を形成した後、洗浄を行う。これにより、
図28で説明したように、絶縁膜810が下方向及び水平方向に後退する。例えば、絶縁膜810を酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ハフニウム(HfO
2)等で形成した場合、DHFの無機薬液や加工後洗浄で使用する一般的な有機薬液を用い、絶縁膜810を数nm~数十nm程度後退させる。
【0075】
次に、工程(6)では、メタル膜936を埋め込む。メタル膜936はタングステン(W)等で形成するのが望ましい。メタル成膜の形成方法としてスパッタやCVD等を用いることができるが、CVD(Chemical Vapor Deposition)の方がカバレッジには有利である。これにより、工程(5)で形成した溝内、開口702内を含む領域にメタル層936が充填される。メタル層936は、絶縁膜810を後退させた部分にも充填される。充填されたメタル層936は、埋め込み金属層190及び金属層152に相当する。また、P層924は
図27のP領域760に相当する。その後、
図21Aに示したようなカラーフィルタ300a,300b,300c及びオンチップレンズ400(
図31において不図示)を形成する。
【0076】
以上のように、工程(5)の洗浄工程で絶縁膜810が下方向及び水平方向に後退する。そして、工程(6)でメタル層936を充填することにより、絶縁膜810を後退させた部分にメタル層936が充填されるため、メタル層936とP領域760との接触面積が拡大され、コンタクト抵抗が低減される。なお、
図29に示す構成の場合、工程(5)において、開口704を画素分離部150から離間した位置に形成すれば良い。
【0077】
図32は、
図31の工程(5)において、溝内の第1の埋め込み層928の上に形成された絶縁膜810が後退することに伴い、この部分に絶縁膜を更に形成する例を示す概略断面図である。
【0078】
図33は、
図32に示す工程(5-1)、工程(5-2)において、領域A3を拡大して示す断面図である。第1の埋め込み層928を貫通し、メタル層930に到達する溝を形成した後、洗浄工程を行うことにより、第1の埋め込み層928上に絶縁膜810が露出しているため、
図33の左側の図に示すように、第1の埋め込み層928上で絶縁膜810が後退する。この後退により画素分離部150の耐圧が低下する可能性があるため、
図32では、工程(5-2)において、コンタクトホール内に絶縁膜950を形成し、第1の埋め込み層928上でコンタクトホール内に露出している絶縁膜810を絶縁膜950で覆う。この際、ALD(Atomic Layer Deposition)などの手法を用い、耐圧の高い絶縁膜950を形成することが好適である。これにより、
図33の右側の図に示すように、第1の埋め込み層928上で絶縁膜810が絶縁膜950で覆われた状態となる。ドライエッチング等によるエッチバックを行うことで、絶縁膜810が後退した部位の絶縁膜950を残し、不要な部位の絶縁膜を除去することができる。
【0079】
その後、工程(5-3)では、開口702を形成して洗浄工程を行うことにより、
図31に示す工程(5)と同様に、絶縁膜810を下方向及び水平方向に後退させる。その後の工程は、
図31と同様である。
【0080】
以上のように、第3のバリエーションによれば、絶縁膜810を後退させることにより、金属層152とP領域760との接触面積を拡大することができ、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。また、
図32及び
図33に示したように、コンタクト部ではない画素分離部150の側壁の絶縁膜810を後退させ、絶縁膜を埋め込むことで、耐圧を向上することが可能である。
【0081】
9.撮像装置以外への適用例
本開示は、例えば、TOF(Time Of Flight)センサーなど、光を検出する他の装置へ適用することもできる。TOFセンサーへ適用する場合は、例えば、直接TOF計測法による距離画像センサー、間接TOF計測法による距離画像センサーへ適用することが可能である。直接TOF計測法による距離画像センサーでは、フォトンの到来タイミングを各画素において直接時間領域で求めるため、短いパルス幅の光パルスを送信し、高速に応答する受信機で電気的パルスを生成する。その際の受信機に本開示を適用することができる。また、間接TOF法では、光で発生したキャリアーの検出と蓄積量が、光の到来タイミングに依存して変化する半導体素子構造を利用して光の飛行時間を計測する。本開示は、そのような半導体構造としても適用することが可能である。TOFセンサーへ適用する場合は、
図18に示したようなカラーフィルタ300a,300b,300cとオンチップレンズ400を設けることは任意であり、これらを設けなくても良い。
【0082】
10.電子デバイスの構成例
図34は、上述した撮像装置1000を含む電子デバイス3000の構成を示す模式図である。
図34に示す電子デバイス3000は、複数の光電変換部160が配置されて成るセンサ部3010を有する第1半導体チップ3100と、光電変換部160によって取得された信号を処理する信号処理部3020を有する第2半導体チップ3200と、を備えている。第1半導体チップ3100と第2半導体チップ3200とは積層されている。また、信号処理部3020と近接して、電子デバイス3000を制御する制御部3030、光電変換部160によって取得された信号を記憶するメモリ部3040が設けられている。制御部3030は、信号処理部3020の制御以外にも、例えば光電変換部160の近傍に、他の駆動や制御の目的で配置することができる。制御部3030は、図示した配置以外にも、第1半導体チップ3100と第2半導体チップ3200の任意の領域に、任意の機能を有するように設けることができる。なお、複数の光電変換部160は、2次元マトリクス状(行列状)に配置されている。また、
図34においては、説明の関係上、第1半導体チップ3100と第2半導体チップ3200とを分離した状態で図示している。
【0083】
11.移動体への応用例
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0084】
図35は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0085】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図35に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0086】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0087】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0088】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0089】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0090】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0091】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0092】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0093】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0094】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図35の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0095】
図36は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0096】
図36では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0097】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0098】
なお、
図36には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0099】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0100】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0101】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0102】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0103】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。
【0104】
12.内視鏡手術システムへの応用例
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0105】
図37は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0106】
図37では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0107】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0108】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0109】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0110】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0111】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0112】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0113】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0114】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0115】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0116】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0117】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0118】
図38は、
図37に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0119】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0120】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0121】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0122】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0123】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0124】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0125】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0126】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0127】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0128】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0129】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0130】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0131】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0132】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0133】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0134】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0135】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。
【0136】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0137】
本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0138】
例えば、本明細書に記載された材料例の化学式は一例であって、化学式が記載のものから変更されても良い。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0139】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1) 半導体基板に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された前記第1半導体層と逆導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層及び前記第2半導体層を含む画素領域を画定する画素分離部と、
前記半導体基板の一方の面側から前記第1半導体層と接続された第1電極と、
前記半導体基板の他方の面である光照射面側から前記第2半導体層と接続され、前記半導体基板の厚さ方向の少なくとも一部において前記画素分離部に埋め込まれた金属層と、
を備える、撮像装置。
(2) 前記光照射面側から前記第2半導体層と接続され、前記画素分離部の位置に対応するように形成された第2電極を備え、
前記金属層は、前記第2電極を介して前記第2半導体層と電気的に接続された、請求項1に記載の撮像装置。
(3) 前記第2電極は、前記画素領域の周縁に沿って形成された、前記(2)に記載の撮像装置。
(4) 前記第2電極は、前記画素領域の周縁の一部の領域に形成された、前記(2)に記載の撮像装置。
(5) 前記第2電極は、矩形の前記画素領域の四隅の少なくとも1箇所に形成された、前記(4)に記載の撮像装置。
(6) 前記第2電極は、前記第2半導体層に形成された孔に埋め込まれた、前記(4)又は(5)に記載の撮像装置。
(7) 前記第2電極と前記金属層が同一の材料で形成された、前記(2)~(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8) 前記画素分離部及び前記光照射面に沿って形成された絶縁膜を備え、
前記第2電極は前記第2半導体層に設けられた開口に埋め込まれ、前記絶縁膜の端部が前記開口の壁面よりも後退した領域が設けられ、前記領域に前記第2電極が充填されている、前記(2)~(7)のいずれかに記載の撮像装置。
(9) 前記画素分離部に沿って形成された絶縁膜を備え、
前記絶縁膜の端部が前記画素分離部の厚さ方向に後退した領域が設けられ、前記領域に絶縁膜が充填されている、前記(1)~(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10) 前記第1電極と前記第2電極の間に電子増倍のための電圧が印加される、前記(2)に記載の撮像装置。
(11) 前記第2半導体層上に形成された前記第2半導体層と同じ導電型の第3半導体層を備える、前記(1)~(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12) 前記第2電極は、前記画素分離部の上面に設けられた、前記(2)に記載の撮像装置。
(13) 前記画素分離部及び前記第2電極は、複数の前記画素領域を囲む格子状の平面形状を有する、前記(2)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0140】
100 カソード電極(第2電極)
130 アノード電極(第1電極)
132 補助電極
140 コンタクト層
150 画素分離部
152 金属層
160 光電変換部(第3半導体層)
170 P型層(第2半導体層)
180 N型層(第1半導体層)
190 埋め込み金属層
760 P領域