(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】表面被覆蛍光体粒子の製造方法、複合体の製造方法および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20240214BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20240214BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240214BHJP
【FI】
C09K11/08 G
C09K11/64
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2020553071
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2019039348
(87)【国際公開番号】W WO2020085049
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2018200304
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】梶山 亮尚
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】三谷 駿介
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-265506(JP,A)
【文献】特表2011-503266(JP,A)
【文献】特開2009-256558(JP,A)
【文献】特開2013-229438(JP,A)
【文献】特開2016-108496(JP,A)
【文献】特開2014-197635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/08
C09K 11/64
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸窒化物蛍光体または窒化物蛍光体からなる蛍光体粒子と、
前記蛍光体粒子の表面に設けられ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムおよびハフニウムよりなる群より選ばれる1種以上の元素を含む金属水酸化物または金属酸化物により構成される被覆層と、
を備え、
以下に定義される熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下である、表面被覆蛍光体粒子
の製造方法であって、
金属水酸化物を含む物質を原料として用いて、前記蛍光体粒子表面に、金属水酸化物を含む物質による被覆層を形成する工程と、
加熱処理を施すことにより、前記金属水酸化物の少なくとも一部を金属酸化物に変化させるとともに被覆層を連続被覆層に変換し、金属酸化物を含む連続被覆層を備える表面被覆蛍光体粒子を得る工程と、を含む、表面被覆蛍光体粒子の製造方法。
(熱水抽出電気伝導指数の算出方法)
(1)25℃のイオン交換水の電気伝導率Ω
0を測定する。
(2)前記イオン交換水30mlに前記表面被覆蛍光体粒子1gを分散させ、耐圧容器に入れて150℃で16時間加熱した後、イオン交換水20mlを追加し25℃に冷却した状態で電気伝導率Ω
1を測定する。
(3)電気伝導率Ω
1と電気伝導率Ω
0との差分ΔΩ(=電気伝導率Ω
1-電気伝導率Ω
0)を熱水抽出電気伝導指数ΔΩとする。
【請求項2】
前記被覆層が前記蛍光体粒子の表面を連続的に被覆する連続被覆層である請求項1に記載の表面被覆蛍光体粒子
の製造方法。
【請求項3】
前記被覆層が水酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムにより構成される請求項1または2に記載の表面被覆蛍光体粒子
の製造方法。
【請求項4】
前記蛍光体粒子が、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体またはEuを含有するSCASN蛍光体からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表面被覆蛍光体粒子
の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
製造方法により製造された表面被覆蛍光体粒子と、前記表面被覆蛍光体粒子を封止する封止材と、
を混合して、前記表面被覆蛍光体粒子が封止された複合体を製造する、複合体の製造方法。
【請求項6】
励起光を発する発光素子と、
前記励起光の波長を変換する
、請求項5に記載の複合体
の製造方法により製造された複合体と、
を
組み合わせて、発光装置を製造する、発光装置
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面被覆蛍光体粒子、複合体および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDなどの半導体発光素子と、当該半導体発光素子からの光の一部を吸収し、吸収した光を長波長の波長変換光に変換して発光する蛍光体とを組み合わせた発光装置の開発が進められている。蛍光体としては、結晶構造が比較的安定な窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体が注目されている。
【0003】
特許文献1には、β型サイアロン蛍光体の輝度を向上させるために、βサイアロン蛍光体の表面に金属の水酸化物を被覆することが開示されている。
特許文献2には、硫化物を含む蛍光体が空気中の水分と反応して加水分解することを抑制する目的で蛍光体粒子の表面をガラス材料でコーティングすることを従来技術として挙げている。そして、蛍光体粒子の封止材への分散性に被膜が与える影響を指摘した上で、蛍光体の封止材への分散性を向上させるべく、蛍光体粒子の表面を金属酸化物を含むコーティング材料粒子で被覆する手法が開示されている。
特許文献3には、蛍光体粒子の表面に設けられた被覆層のガスバリア性を向上させるために、蛍光体粒子の表面に付着させたガラス粉を加熱により溶融することにより、蛍光体粒子の表面に連続な皮膜を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-197635号公報
【文献】特開2008-291251号公報
【文献】特開2009-13186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、蛍光体を封止材により封止した複合体をLEDとともに組み込んだ発光装置の特性を調べたところ、時間経過とともに発光強度がわずかながらに低下するという知見を得た。この現象の原因を検討したところ、封止材を経由して移動した水分が蛍光体に接触することにより、蛍光体中の金属成分がイオン化して水分中に溶出し、徐々に蛍光体の結晶構造が変化することで、蛍光体の波長変換効率が低下し、ひいては発光装置の発光強度の低下につながることを突き止めた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、酸窒化物蛍光体または窒化物蛍光体からなる蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面に設けられ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムおよびハフニウムよりなる群より選ばれる1種以上の元素を含む金属水酸化物または金属酸化物により構成される被覆層と、を備え、以下に定義される熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下である表面被覆蛍光体粒子が提供される。
(熱水抽出電気伝導指数の算出方法)
(1)25℃のイオン交換水の電気伝導率Ω0を測定する。
(2)前記イオン交換水30mlに前記表面被覆蛍光体粒子1gを分散させ、耐圧容器に入れて150℃で16時間加熱した後、イオン交換水20mlを追加し25℃に冷却した状態で電気伝導率Ω1を測定する。
(3)電気伝導率Ω1と電気伝導率Ω0との差分ΔΩ(=電気伝導率Ω1-電気伝導率Ω0)を熱水抽出電気伝導指数ΔΩとする。
【0007】
また、本発明によれば、上述した表面被覆蛍光体粒子と、前記表面被覆蛍光体粒子を封止する封止材と、を備える複合体が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、励起光を発する発光素子と、前記励起光の波長を変換する、上述した複合体と、を備える発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蛍光体粒子を構成する金属成分が水分に溶出することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
【
図1】実施形態に係る発光装置の構造を示す概略断面図である。
【
図2】実施例1の表面被覆蛍光体粒子のSEM像である。
【
図3】実施例2の表面被覆蛍光体粒子のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明者らは、蛍光体粒子を構成する金属成分が水分中にイオンとして溶出することを抑制するための技術を鋭意検討した結果、蛍光体粒子の表面に形成される被覆層の形態を高度に制御することが重要であり、特に、被覆層を構成する材料を選定することを見出し、本発明の完成に至った。以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
(表面被覆蛍光体粒子)
実施形態に係る表面被覆蛍光体粒子は、蛍光体粒子と、当該蛍光体粒子の表面に設けられた被覆層とを備える。以下、本実施形態の表面被覆蛍光体粒子の各構成について説明する。
【0014】
(蛍光体粒子)
【0015】
蛍光体粒子は、酸窒化物蛍光体または窒化物蛍光体からなる。
酸窒化物蛍光体として、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体などが挙げられる。
【0016】
Euを含有するα型サイアロン蛍光体は、一般式:MxEuySi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-nで表される。上記一般式中、MはLi、Mg、Ca、Yおよびランタニド元素(ただし、LaとCeを除く)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
【0017】
Euを含有するβ型サイアロン蛍光体は、一般式:Si6-zAlzOzN8-z(z=0.005~1)で表されるβ型サイアロンに発光中心として二価のユーロピウム(Eu2+)を固溶した蛍光体である。
【0018】
窒化物蛍光体として、Euを含有するCASN蛍光体、Euを含有するSCASN蛍光体などが挙げられる。
【0019】
Euを含有するCASN蛍光体は、たとえば、式CaAlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。なお、本明細書におけるEuを含有するCASN蛍光体の定義では、Euを含有するSCASN蛍光体が除かれる。
【0020】
Euを含有するSCASN蛍光体は、たとえば、式(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。
【0021】
本実施形態の蛍光体粒子は、上述した、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体またはEuを含有するSCASN蛍光体からなることが好ましい。
【0022】
なお、蛍光体粒子の粒径は特に限定されず、後述する封止材に対する分散性や所望の波長変換効率を得られるように適宜調整される。
【0023】
(被覆層)
本実施形態では、上記蛍光体粒子の表面に、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムおよびハフニウムよりなる群より選ばれる1種以上の元素を含む金属水酸化物または金属酸化物により構成される被覆層が設けられている。当該金属水酸化物または金属酸化物は、透明性や安定性に優れており、この中でも、水分遮断性、コスト抑制性、蛍光体粒子に対する被覆性などの点から水酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムが好ましく用いられる。
当該被覆層は、金属水酸化物または金属酸化物からなる複数の粒子が凝集して形成される集合体であってもよいが、金属水酸化物または金属酸化物により構成され、蛍光体粒子を連続的に被覆する連続被覆層であることが好ましい。ここで、連続被覆層は、金属水酸化物または金属酸化物が連続膜となって形成される層状の構造であり、特許文献2に記載の発明のような複数の粒子が密に凝集して形成される集合体とは異なる構造である。連続被覆層は、未貫通凹部が多数形成された凹凸構造を有してもよい。
【0024】
被覆層による蛍光体粒子の表面被覆率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。被覆層による表面被覆率を上記のようにすることにより、蛍光体粒子の金属成分がイオンとして溶出する量をより一層抑制することができる。なお、被覆層は、蛍光体粒子の表面全体を被覆することが好ましい。
【0025】
被覆層による表面被覆率は、X線光電子分光(XPS)測定によって評価することができる。具体的には、蛍光体粒子に含まれ、被覆層を構成する金属水酸化物または金属酸化物中に含まれない元素であるSiに着目し、XPS測定により、当該Siの蛍光体粒子表面における含有率(atm%:原子パーセント)を得る。後述する表面処理を行わず、金属水酸化物または金属酸化物による被覆が存在しない蛍光体粒子におけるSiの含有率をA1とし、表面被覆率の算出対象となる蛍光体粒子におけるSiの含有率をA2としたとき、以下の式により被覆層による表面被覆率を算出することができる。
表面被覆率(%)=(A1-A2)/A1×100
【0026】
被覆層の厚みの下限は0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、被覆層の厚みの上限は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。被覆層の厚みを0.01μm以上とすることにより、蛍光体粒子に含まれる金属成分がイオンとして溶出する量をより一層抑制することができる。また、被覆層の厚みを10μm以下とすることにより、表面被覆蛍光体粒子の波長変換効率の低下を抑制することができる。
【0027】
(熱水抽出電気伝導指数)
本実施形態の表面被覆蛍光体粒子は、以下に定義される熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下である。
(熱水抽出電気伝導指数の算出方法)
(1)25℃のイオン交換水の電気伝導率Ω0を測定する。
(2)上記イオン交換水30mlに表面被覆蛍光体粒子1gを超音波分散機などの分散装置を用いて分散させ、耐圧容器に入れて150℃で16時間加熱した後、イオン交換水20mlを追加し、25℃に冷却した状態で電気伝導率Ω1を測定する。
(3)電気伝導率Ω1と電気伝導率Ω0との差分ΔΩ(=電気伝導率Ω1-電気伝導率Ω0)を熱水抽出電気伝導指数ΔΩとする。
上記熱水抽出電気伝導指数は、値が小さいほど、蛍光体粒子から水へ溶出した金属イオンの量が少ないことを示す指標となる。
【0028】
(表面被覆蛍光体粒子の製造方法)
金属酸化物で構成される被覆層を備える表面被覆蛍光体粒子の製造方法の一例として、(1)蛍光体粒子表面に金属水酸化物を含む物質(粒子など)による被覆層を形成する工程と、(2)加熱処理を施すことにより、金属水酸化物を金属酸化物に変化させるとともに被覆層を連続被覆層に変換し、金属酸化物を含む連続被覆層を備える表面被覆蛍光体粒子を得る工程と、を含む製造方法が挙げられる。この製造方法においては加熱処理によって連続被覆層に変換できるように、金属水酸化物を含む粒子による被覆層を緻密な被覆とすることが重要となる。
このような表面被覆蛍光体粒子の製造方法として、以下、製造方法例1乃至3の3例を挙げて説明する。
【0029】
[製造方法例1]
製造方法例1は、スラリー調製工程、攪拌工程、pH調整工程、撹拌・洗浄・濾過工程、乾燥工程および加熱工程を有する。各工程の詳細を以下に説明する。
【0030】
(スラリー調製工程)
蛍光体粉末、イオン交換水、および金属水酸化物を含む物質をそれぞれ適量混合し、蛍光体含有スラリーを調製する。ここで得られるスラリーのpHは、蛍光体粒子の表面電位と金属水酸化物を含む物質の表面電位が共に正の値をとる範囲内とすることが好ましい。蛍光体粒子および金属水酸化物を含む物質の各表面電位は、たとえば、ゼータ電位測定装置により測定することができる。なお、金属水酸化物を含む物質として水酸化アルミニウムを用いる場合には、ゾル状態の水酸化アルミニウム(慣習的にアルミナゾルと呼ばれる場合がある)や水酸化アルミニウム水溶液の形態で使用することができる。
【0031】
(攪拌工程)
スラリー調製工程で得られたスラリーを、スターラーなどの攪拌手段や攪拌装置を用いて、蛍光体粉末および金属水酸化物を含む物質が十分に分散するように攪拌する。
【0032】
(pH調整工程)
pH調整工程では、得られたスラリーにアルカリ剤を所定の滴下速度で滴下することにより、pHが9以上になるように調整される。アルカリ剤としては、NH3水溶液、NaOH水溶液などのアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ剤の添加によりpH値が増加する過程で、金属水酸化物を含む物質の表面電位が正となり、蛍光体粒子の表面電位が負となる。このことにより、蛍光体粒子の表面に金属水酸化物を含む物質が緻密に付着しやすくなる。
具体的には、蛍光体粒子としてβ型サイアロン蛍光体粒子を用い、金属水酸化物を含む物質としてアルミナゾルを用いた場合には、pHが6.5以上で水酸化アルミニウムの表面電位が正となり、β型サイアロン蛍光体粒子の表面電位が負となる。このことにより、両者の間に静電引力が働くため、β型サイアロン蛍光体粒子の表面に水酸化アルミニウムを含む物質が密に付着しやすくなる。
【0033】
なお、pH調整工程において、アルカリ剤としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、アルカリ性水溶液の濃度、滴下速度や滴下時間を調節することにより、蛍光体粒子の表面に付着する金属水酸化物を含む物質の厚さや表面被覆率を制御することができる。
【0034】
(撹拌・洗浄・濾過工程)
上記pH調整工程により得られたスラリーを、スターラーなどの攪拌手段を用いて蛍光体粒子が十分に分散するように攪拌し、イオン交換水などの洗浄液を用いて洗浄する。その後、吸引濾過などの濾過手段により、蛍光体粉末(金属水酸化物を含む物質で被覆された蛍光体粒子)を取り出す。
【0035】
(乾燥工程)
得られた蛍光体粉末が十分に乾燥するように所定時間の加熱処理を実行し、表面が金属水酸化物を含む物質で密に被覆された複数の蛍光体粒子からなる蛍光体粉末を得る。
【0036】
(加熱工程)
得られた蛍光体粉末に加熱処理を施すことにより、蛍光体粒子の表面を密に被覆する金属水酸化物を含む層を酸化して金属酸化物に変えるとともに、金属酸化物で構成される連続被覆層という連続的な膜状の形態を作り出す。蛍光体粉末を加熱する際の温度は、500℃以上1000℃以下が好ましく、特に、金属水酸化物を含む物質としてアルミナゾルを用いる場合には、加熱温度を500℃以上600℃以下とすることが好ましい。以上の工程により、蛍光体粒子の表面に金属酸化物で構成される連続被覆層が形成された表面被覆蛍光体粒子が製造される。
【0037】
[製造方法例2]
製造方法例2は、スラリー調製工程、攪拌工程、撹拌・洗浄・濾過工程、乾燥工程および加熱工程を有する。製造方法例1では、攪拌工程の後にアルカリ剤を添加してpHを調整したが、製造方法例2では、スラリー調製工程においてアルカリ剤を添加してpHを調整する。
【0038】
製造方法例1のように、攪拌工程の後にアルカリ剤を添加してpHを調整すれば、金属水酸化物を含む物質による被覆層を、より緻密な被覆層とすることができる。アルカリ剤を添加する速度を調整することもでき、これにより、被覆の緻密性をさらに向上させることも可能である。このような緻密な被覆層とすることで、その後の加熱処理によって連続被覆層を安定的に得ることができる。
一方、製造方法例2のように、スラリー調製工程においてpHを調整すれば、製造工程の短縮化を図ることができる。
【0039】
[製造方法例3]
製造方法例3は、スラリー調製工程、攪拌工程、pH調整工程、撹拌・洗浄・濾過工程、乾燥工程および加熱工程を有する。各工程の詳細を以下に説明する。
製造方法例1および製造方法例2では、連続被覆層の出発原料として金属水酸化物を含む物質が用いられているが、製造方法例3では、連続被覆層の出発原料として、金属水酸化物の前駆物質が用いられる。
【0040】
(スラリー調製工程)
本例では、蛍光体粉末、イオン交換水、および金属水酸化物の前駆物質をそれぞれ適量にて混合し、蛍光体含有スラリーを調製する。金属水酸化物が水酸化アルミニウムである場合には、その前駆物質としてアルミン酸Naが用いられる。得られるスラリーは、通常は強アルカリ性であり、具体的には、pH12以上が好ましく、pH13以上がより好ましい。このスラリーに、塩酸、硫酸などの酸を添加することにより、金属水酸化物を析出させる。これにより、蛍光体粉末、イオン交換水、および金属水酸化物を含む蛍光体含有スラリーが得られる。ここで得られる蛍光体含有スラリーのpHは、蛍光体粒子の表面電位と金属水酸化物の表面電位が共に負の値をとる範囲内であり、具体的には、pH11以上が好ましく、pH12以上がより好ましい。
【0041】
(攪拌工程)
スラリー調製工程で得られたスラリーを、スターラーなどの攪拌手段や攪拌装置を用いて、蛍光体粉末および金属水酸化物が十分に分散するように攪拌する。
【0042】
(pH調整工程)
pH調整工程では、得られたスラリーに塩酸、硫酸などの酸を所定の滴下速度で滴下することにより、pHが9以下になるように調整される。酸の添加によりpH値が低下する過程で、金属水酸化物の表面電位および蛍光体粒子の表面電位のうち、一方の表面電位が正となり、他方の表面電位が負となることにより、蛍光体粒子の表面に金属水酸化物が緻密に付着しやすくなる。
具体的には、蛍光体粒子としてβ型サイアロン蛍光体粒子を用い、アルミン酸Naを含むスラリーから水酸化アルミニウムを析出させた場合には、pHが10以下で水酸化アルミニウムの表面電位が正となり、β型サイアロン蛍光体粒子の表面電位が負となる。このことにより、両者の間に静電引力が働くため、β型サイアロン蛍光体粒子の表面に水酸化アルミニウムが密に付着しやすくなる。
なお、pH調整工程において、スラリーに滴下する酸の濃度、滴下速度や滴下時間を調節することにより、蛍光体粒子の表面に付着する金属水酸化物の厚さや表面被覆率を制御することができる。
【0043】
pH調整の後、製造方法例1と同様に、攪拌工程、pH調整工程、撹拌・洗浄・濾過工程、乾燥工程および加熱工程を実施することにより、蛍光体粒子の表面に金属酸化物で構成される連続被覆層が形成された表面被覆蛍光体粒子が製造される。
なお、製造方法例3では、スラリー調製工程(前駆物質から金属水酸化物を析出させる工程)での酸の添加の後、攪拌工程を実施し、さらに酸を添加してpHを調整している。これとは別の方法として、スラリー調製工程と攪拌工程を並行して行い、スラリー調製工程から連続的に酸を添加してpHを調整することにより、金属水酸化物の表面電位および蛍光体粒子の表面電位のうち、一方の表面電位を正とし、他方の表面電位を負としてもよい。
【0044】
ここで、たとえば、金属酸化物の種類や量、金属酸化物を蛍光体粒子の表面に付着させる方法等を適切に選択することにより、上記熱水抽出電気伝導指数を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、蛍光体粒子の表面に金属水酸化物を含む物質を密に付着させるためのpH調整条件、蛍光体粒子の表面に密に付着した金属水酸化物を含む物質を金属酸化物に変換するための加熱条件等が、上記熱水抽出電気伝導指数を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
【0045】
本実施形態の表面被覆蛍光体粒子によれば、熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下となるように、蛍光体粒子の表面に金属酸化物によって構成される被覆層を形成することで、表面被覆蛍光体粒子の周囲に水分が存在する場合に、当該水分が蛍光体粒子内部に侵入することが抑制される。この結果として、水分により溶出するイオン量が低下し、蛍光体粒子の劣化が抑制される。
【0046】
(発光装置)
図1は、実施形態に係る発光装置の構造を示す概略断面図である。
図1に示すように、発光装置10は、発光素子20、ヒートシンク30、ケース40、第1リードフレーム50、第2リードフレーム60、ボンディングワイヤ70、ボンディングワイヤ72および複合体80を備える。
【0047】
発光素子20はヒートシンク30上面の所定領域に実装されている。ヒートシンク30上に発光素子20を実装することにより、発光素子20の放熱性を高めることができる。なお、ヒートシンク30に代えて、パッケージ用基板を用いてもよい。
【0048】
発光素子20は、励起光を発する半導体素子である。発光素子20としては、たとえば、近紫外から青色光に相当する300nm以上500nm以下の波長の光を発生するLEDチップを使用することができる。発光素子20の上面側に配設された一方の電極(図示せず)が金線などのボンディングワイヤ70を介して第1リードフレーム50の表面と接続されている。また、発光素子20の上面に形成されている他方の電極(図示せず)は、金線などのボンディングワイヤ72を介して第2リードフレーム60の表面と接続されている。
【0049】
ケース40には、底面から上方に向かって孔径が徐々に拡大する略漏斗形状の凹部が形成されている。発光素子20は、上記凹部の底面に設けられている。発光素子20を取り囲む凹部の壁面は反射板の役目を担う。
【0050】
複合体80は、ケース40によって壁面が形成される上記凹部に充填されている。複合体80は、発光素子20から発せられる励起光の波長を長波長化する波長変換部材である。複合体80として、本実施形態の複合体が用いられ、樹脂などの封止材84中に本実施形態の表面被覆蛍光体粒子82が分散されている。発光装置10は、発光素子20の光と、この発光素子20の光を吸収し励起される表面被覆蛍光体粒子82から発生する光との混合色を発する。発光装置10は、発光素子20の光と表面被覆蛍光体粒子82から発生する光との混色により白色を発光することが好ましい。
【0051】
本実施形態の発光装置10では、上述したように、熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下である表面被覆蛍光体粒子82を用いることにより、水分よって封止材84中に蛍光体粒子からイオンが溶出することを抑制することができ、ひいては、発光装置10の発光強度の低下を抑制することで、発光装置10の信頼性の向上を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、
図1では、実施形態に係る発光装置として表面実装型のLEDが例示されているが、実施形態に係る発光装置は砲弾型のLEDとしてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
酸窒化物蛍光体または窒化物蛍光体からなる蛍光体粒子と、
前記蛍光体粒子の表面に設けられ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムおよびハフニウムよりなる群より選ばれる1種以上の元素を含む金属水酸化物または金属酸化物により構成される被覆層と、
を備え、
以下に定義される熱水抽出電気伝導指数ΔΩが2.0mS/m以下である、表面被覆蛍光体粒子。
(熱水抽出電気伝導指数の算出方法)
(1)25℃のイオン交換水の電気伝導率Ω
0
を測定する。
(2)前記イオン交換水30mlに前記表面被覆蛍光体粒子1gを分散させ、耐圧容器に入れて150℃で16時間加熱した後、イオン交換水20mlを追加し25℃に冷却した状態で電気伝導率Ω
1
を測定する。
(3)電気伝導率Ω
1
と電気伝導率Ω
0
との差分ΔΩ(=電気伝導率Ω
1
-電気伝導率Ω
0
)を熱水抽出電気伝導指数ΔΩとする。
2.
前記被覆層が前記蛍光体粒子の表面を連続的に被覆する連続被覆層である1.に記載の表面被覆蛍光体粒子。
3.
前記被覆層が水酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムにより構成される1.または2.に記載の表面被覆蛍光体粒子。
4.
前記蛍光体粒子が、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体またはEuを含有するSCASN蛍光体からなる1.乃至3.のいずれか1つに記載の表面被覆蛍光体粒子。
5.
1.乃至4.のいずれか1つに記載の表面被覆蛍光体粒子と、前記表面被覆蛍光体粒子を封止する封止材と、
を備える複合体。
6.
励起光を発する発光素子と、
前記励起光の波長を変換する5.に記載の複合体と、
を備える発光装置。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
(製造例1:β型サイアロン)
宇部興産社製α型窒化ケイ素粉末(SN-E10グレード、酸素含有量1.0質量%)95.43質量%、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(Fグレード、酸素含有量0.8質量%)3.04質量%、大明化学社製酸化アルミニウム粉末(TM-DARグレード)0.74質量%、信越化学工業社製酸化ユーロピウム粉末(RUグレード)0.79質量%をV型混合機(筒井理化学器械社製S-3)を用い混合し、さらに目開き250μmの篩を全通させ凝集を取り除き、原料混合粉末を得た。ここでの配合比(質量%)は、β型サイアロンの一般式:Si6-zAlzOzN8-zにおいて、酸化ユーロピウムを除いて、Si/Al比から算出してz=0.25となるように設計したものである。
【0056】
上記配合比の組成を有する原料混合粉末200gを、内径10cm、高さ10cmの蓋付きの円筒型窒化ホウ素容器(デンカ社製、N-1グレード)に充填し、カーボンヒーターの電気炉で0.8MPaの加圧窒素雰囲気中、2000℃で12時間の加熱処理を行った。加熱処理後の試料は緩く凝集した塊状となっていたので、この塊をハンマーにより、粗砕した後、超音速ジェット粉砕器(日本ニューマチック工業株式会社製、PJM-80SP)により粉砕した。粉砕条件は、試料供給速度を50g/分、粉砕エア圧力を0.3MPaとした。この粉砕粉末を目開き45μmの篩を通過させた。尚、篩の通過率は95%であった。
【0057】
上記篩を通過した粉砕粉末20gを、内径5cm、高さ3.5cmの蓋付き円筒型窒化ホウ素容器に充填し、カーボンヒーターの電気炉で、大気圧アルゴン雰囲気中、1500℃で8時間のアニール処理を行った。アニール処理を行った粉末に対して、50%フッ化水素酸と70%硝酸の1:1混酸中、75℃で30分間浸す酸処理を行った。そのまま酸処理後の粉末を沈殿させ、上澄み液と微粉を除去するデカンテーションを溶液のpHが5以上で上澄み液が透明になるまで繰り返し、最終的に得られた沈殿物をろ過、乾燥し、製造例1の蛍光体粒子(β型サイアロン蛍光体粉末)を得た。粉末X線回折測定を行った結果、存在する結晶相はβ型サイアロン単相であった。ICP発光分光分析により、測定したSi、Al及びEu含有量は、それぞれ57.7、2.29、0.62質量%であった。Si、Al含有量から算出したz値は0.24であった。製造例1の配合比は、表1に記載した。
【0058】
【0059】
(実施例1)
製造例1の蛍光体粒子(β型サイアロン蛍光体粉末)に以下の手順により表面処理を実施した。
【0060】
[表面処理]
(1)製造例1の蛍光体粒子10g、イオン交換水150ml、アルミナゾル(アルミナゾル520-A、日産化学社製)7.11gを混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーのpHは4.1であった。pH4.1における、水酸化アルミニウムの表面電位および蛍光体粒子の表面電位をそれぞれゼータ電位測定装置を用いて測定したところ、水酸化アルミニウムの表面電位が44mV、蛍光体粒子の表面電位が16mVであった。
(2)スターラーを用いて、上記スラリーを15分間攪拌した。
(3)上記スラリーに0.05重量%アンモニア水を徐々に滴下し、滴下時間3分後にpHが9になるように調整した。pHが9における、水酸化アルミニウムの表面電位および蛍光体粒子の表面電位をそれぞれゼータ電位測定装置を用いて測定したところ、水酸化アルミニウムの表面電位が13mV、蛍光体粒子の表面電位が-25mVであった。
(4)スターラーを用いて、上記スラリーを60分間攪拌し、イオン交換水を用いて洗浄した後、吸引濾過を行い、蛍光体粉末を得た。
(5)得られた蛍光体粉末を105℃で15時間乾燥した。
(6)乾燥処理後の蛍光体粉末に、電気炉を用いて600℃、1時間の加熱処理を施し、実施例1の表面被覆蛍光体粒子を得た。
実施例1の表面被覆蛍光体粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行った。
図2は、実施例1の表面被覆蛍光体粒子のSEM像である。
図2に示すように、蛍光体粒子の表面に酸化アルミニウムが点在することなく、酸化アルミニウムが連続的に被覆することにより連続被覆層が形成されていることが確認された。
【0061】
(実施例2)
製造例1の蛍光体粒子について、上記表面処理のうち(1)のアルミナゾルの代わりにAERODISP W 630(Evonik Resource Efficiency GmbH社製)4.74gを添加し、得られたスラリーのpHが5.0になったことを除いて、実施例1と同様な表面処理を実施したものを実施例2の表面被覆蛍光体粒子とした。pH5.0における、水酸化アルミニウムの表面電位および蛍光体粒子の表面電位をそれぞれゼータ電位測定装置を用いて測定したところ、水酸化アルミニウムの表面電位が42mV、蛍光体粒子の表面電位が11mVであった。
実施例2の表面被覆蛍光体粒子について、SEMを用いて観察を行った。
図3は、実施例1の表面被覆蛍光体粒子のSEM像である。
図3に示すように、蛍光体粒子の表面に酸化アルミニウムが点在することなく、酸化アルミニウムが連続的に被覆することにより連続被覆層が形成されていることが確認された。
【0062】
(比較例1)
製造例1の蛍光体粒子について、上記表面処理を実施しないものを比較例1とした。比較例1の蛍光体粒子について、SEMを用いて観察を行った。
図4は、比較例1の蛍光体粒子のSEM像である。
図4に示すように、比較例1の蛍光体粒子は表面が全て露出している。
【0063】
[熱水抽出電気伝導指数の算出方法]
各実施例の表面被覆蛍光体粒子および比較例1の蛍光体粒子の熱水抽出電気伝導指数を以下の要領で算出した。熱水抽出電気伝導指数について得られた結果を表2に示す。
(1)25℃のイオン交換水の電気伝導率Ω0を測定した。
(2)上記イオン交換水30mlに表面被覆蛍光体粒子(または蛍光体粒子)1gを超音波分散機により分散させ、耐圧容器に入れて150℃で16時間加熱した後、イオン交換水20mlを追加し25℃に冷却した状態で電気伝導率Ω1を測定した。
(3)電気伝導率Ω1と電気伝導率Ω0との差分ΔΩ(=電気伝導率Ω1-電気伝導率Ω0)を熱水抽出電気伝導指数ΔΩとした。
【0064】
[信頼性試験]
各実施例の表面被覆蛍光体粒子および比較例1の蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージの信頼性試験を以下の要領で評価した。信頼性試験によって得られた結果を表2に示す。
LEDパッケージは
図1に示した発光装置の構造に準じたものを用いた。
蛍光体のLEDパッケージへの搭載は、ケース凹型の底部に設置されたLED上面の電極とリードフレームとをワイヤボンディングした後、液体状のシリコーン樹脂(OE6656、東レダウコーニング株式会社製)に混合した蛍光体粒子をマイクロシリンジからケース凹部に注入して行った。蛍光体粒子の搭載後、120℃で硬化させた後、110℃×10時間のポストキュアを施して封止した。LEDは、発光ピーク波長448nmで、チップ1.0mm×0.5mmの大きさのものを用いた。
【0065】
上述の要領にて得られた、各実施例の表面被覆蛍光体粒子および比較例1の蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージについて、光束を測定し、初期値L0とした。また、85℃、85%RHで500時間放置後、取り出して室温で乾燥した際の光束L1を測定し、信頼係数M(=L1/L0×100)を算出した。信頼性試験の合格条件は、信頼係数Mが95%以上である。これは高信頼性の蛍光体粒子でなくては達成できない値である。実施例1および実施例2の表面被覆蛍光体粒子を搭載したLEDパッケージでは、上記合格条件を満たすことが確認された。この結果は、実施例1および実施例2の表面被覆蛍光体粒子では、蛍光体粒子の表面に形成された被覆層により、蛍光体粒子を構成する金属成分が水分に溶出することが抑制されたことに起因すると推測される。
【表2】
【0066】
この出願は、2018年10月24日に出願された日本出願特願2018-200304号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。