(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車載カメラ、及び車載カメラシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20240214BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20240214BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240214BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240214BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240214BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240214BHJP
H04N 25/44 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
H04N23/50
H04N23/54
H04N7/18 J
G03B15/00 V
G03B30/00
G03B17/02
H04N25/44
(21)【出願番号】P 2020568143
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2020001821
(87)【国際公開番号】W WO2020153317
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2019009206
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓也
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-010115(JP,A)
【文献】特開2002-325191(JP,A)
【文献】特開2005-020377(JP,A)
【文献】特開2005-145428(JP,A)
【文献】特開2005-191962(JP,A)
【文献】特開2007-008200(JP,A)
【文献】特開2010-287163(JP,A)
【文献】特開2012-088436(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083228(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40 -23/76
H04N 7/18
G03B 15/00 -15/035
G03B 17/02
G03B 29/00 -30/00
H04N 25/20 -25/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部と、
前記レンズ部の光軸と直交する面内方向に沿って延び
る矩形の撮像面であって、前記光軸が通る第1位置と前記面内方向
における前記撮像面の中心の第2位置とが異なる、
前記撮像面を有する撮像素子と、
を具備する車載カメラ
であって、
前記撮像面は、バックミラーの代替のためのミラー画像を生成する第1撮像領域と、駐車支援のための近辺画像を生成する第2撮像領域と、を含み、
前記第1位置が前記第1撮像領域にあり、
前記第1撮像領域で生成された前記ミラー画像を第1表示装置に出力し、前記第2撮像領域で生成された前記近辺画像を第2表示装置に出力する出力部をさらに具備する
車載カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載カメラであって、
移動体の後部に後方へ向けて設置される
車載カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の車載カメラであって、
前記第1位置が前記第2位置よりも鉛直方向下側となるように設置される
車載カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の車載カメラであって、
前記光軸が後方へ向けて鉛直方向下方に傾くように設置される
車載カメラ。
【請求項5】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記第1表示装置はミラーの代替のための表示装置である
車載カメラ。
【請求項6】
請求項5に記載の車載カメラであって、
前記第1表示装置はバックミラーの代替のための表示装置である
車載カメラ。
【請求項7】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記第2表示装置は駐車支援のための表示装置である
車載カメラ。
【請求項8】
請求項1に記載の車載カメラであって、
前記第1表示装置と前記第2表示装置とが相互に異なる表示装置である
車載カメラ。
【請求項9】
車載カメラと、第1表示部と、第2表示部と、を含む車載カメラシステムであって、
前記車載カメラは、
レンズ部と、
前記レンズ部の光軸と直交する面内方向に沿って延びる矩形の撮像面であって、前記光軸が通る第1位置と前記面内方向における前記撮像面の中心の第2位置とが異なる、前記撮像面を有する撮像素子と、
を具備し、
前記撮像面は、バックミラーの代替のためのミラー画像を生成する第1撮像領域と、駐車支援のための近辺画像を生成する第2撮像領域と、を含み、
前記第1位置が前記第1撮像領域にあり、
前記車載カメラは、前記第1撮像領域で生成された前記ミラー画像を前記第1表示部に出力し、前記第2撮像領域で生成された前記近辺画像を前記第2表示部に出力する出力部をさらに具備する
車載カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、移動体の外部環境を撮像可能な車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の後方の外部環境を撮像するリアビューカメラが知られている。特許文献1には、自動車の後方を遠方まで撮像し、バックミラーの代替として利用可能な画像を生成するリアビューカメラが記載されている。また、特許文献2には、自動車の後方近辺を撮像し、駐車支援のための画像を生成するリアビューカメラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-171982号公報
【文献】特開2018-099935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアビューカメラでは、遠方の撮像に適した光軸の向きと、近辺の撮像に適した光軸の向きと、が大きく異なる。この一方で、自動車では、後部に2つのリアビューカメラを設置すると、審美性が大きく損なわれる。このため、自動車の遠方から近辺まで一括して良好に撮像可能なリアビューカメラが求められる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、遠方から近辺まで一括して良好に撮像可能な車載カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る車載カメラは、レンズ部と、撮像素子と、を具備する。
上記撮像素子は、上記レンズ部の光軸と直交する面内方向に沿って延び、上記光軸が通る第1位置と上記面内方向の中心の第2位置とが異なる、矩形の撮像面を有する。
この車載カメラでは、遠方を含む撮像視野における解像度を損なうことなく、近辺の撮像視野を拡張することができる。これにより、遠方から近辺まで一括して良好に撮像可能な車載カメラを提供することができる。
【0007】
上記車載カメラは、移動体の後部に後方へ向けて設置されてもよい。
この場合、上記車載カメラは、上記第1位置が上記第2位置よりも鉛直方向下側となるように設置されてもよい。
また、上記車載カメラは、上記光軸が後方へ向けて鉛直方向下方に傾くように設置されてもよい。
更に、上記撮像面は、バックミラーの代替のためのミラー画像を生成する第1撮像領域と、駐車支援のための近辺画像を生成する第2撮像領域と、を含み、上記第1位置が上記第1撮像領域にあってもよい。
この構成では、遠方を含む撮像視野の高解像度の画像と、移動体の近辺のより広い撮像視野の画像と、を一括して生成可能なリアビューカメラを提供することができる。
【0008】
上記車載カメラは、移動体の側部に後方へ向けて設置されてもよい。
この場合、上記車載カメラは、上記第1位置が上記第2位置よりも外側となるように設置されてもよい。
また、上記車載カメラは、上記光軸が後方へ向けて外側に傾くように設置されてもよい。
更に、上記車載カメラは、サイドミラーの代替の画像を生成可能なように設置されてもよい。
この構成では、後方において高解像度が得られ、かつ後方から側方にわたって広い撮像視野の画像を生成可能なサイドビューカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本技術の一実施形態に係る車載カメラの断面図である。
【
図3】上記実施形態に係る車載カメラのシステム構成例を示すブロック図である。
【
図4】リアビューカメラの撮像要求視野を示す図である。
【
図7】一般的な車載カメラの撮像素子の撮像面の平面図である。
【
図9】一般的な車載カメラの撮像素子の撮像面の平面図である。
【
図10】上記実施形態に係る車載カメラの断面図である。
【
図11】上記実施形態に係る車載カメラの撮像面の平面図である。
【
図12】上記実施形態に係る車載カメラのリアビューカメラとしてのシステム構成例を示すブロック図である。
【
図13】サイドビューカメラの撮像要求視野を示す図である。
【
図15】一般的な車載カメラのサイドビューカメラとしての撮像視野及び光軸の向きを示す図である。
【
図16】上記実施形態に係る車載カメラの断面図である。
【
図17】上記実施形態に係る車載カメラのサイドビューカメラとしての撮像視野及び光軸の向きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[車載カメラ10]
(全体構成)
図1は、本技術の一実施形態に係る車載カメラ10の断面図である。
図2は、一般的な車載カメラ110の断面図である。
図1,2には、相互に直交するx軸、y軸及びz軸が示されている。x軸、y軸及びz軸は、車載カメラ10,110に対して固定された固定座標系を規定する。
【0011】
まず、本実施形態に係る車載カメラ10と一般的な車載カメラ110との共通の構成について説明する。車載カメラ10,110はいずれも、筐体11と、レンズ部12と、基板13と、撮像素子14と、を備える。筐体11は、その内部空間に車載カメラ10,110の各構成を収容する収容部として構成される。
【0012】
筐体11には、その内部空間をx軸正方向に開放する開口部11aが設けられている。レンズ部12は、x軸に平行な光軸Pを有し、筐体11の開口部11aに取り付けられている。レンズ部12の構成は適宜決定可能である。例えば、レンズ部12は、光軸Pを共通とする複数のレンズで構成されていてもよい。
【0013】
基板13は、y-z平面に沿って延びる平板状であり、レンズ位置に対して筐体11の内部空間におけるx軸負方向側に配置されている。基板13は、x軸正方向を向いた実装面13aを有する。基板13の実装面13aには、撮像素子14を始めとする電子部品が実装される。なお、基板13のx軸負方向を向いた実装面にも電子部品を実装可能である。
【0014】
撮像素子14は、y-z平面に沿って延びる平板状である。撮像素子14は、x軸正方向を向いた撮像面14aを有する。撮像面14aは、y軸に平行な二辺及びz軸に平行な二辺を含む矩形の輪郭を有する。撮像素子14には、撮像面14aの全領域にわたって画素を構成する光電変換素子が配列されている。
【0015】
これにより、撮像素子14は、撮像面14aに入射する光から画像を生成可能である。車載カメラ10,110に用いる撮像素子14は、特定の種類に限定されない。撮像素子14としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを用いることができる。
【0016】
車載カメラ10,110は、外部環境からレンズ部12に入射する光の一部が、撮像素子14の撮像面14aに入射するように構成されている。したがって、車載カメラ10,110では、レンズ部12に入射する光のうち撮像面14aに入射する光の範囲が、撮像可能な領域である撮像視野Qとなる。
【0017】
図1,2には、車載カメラ10,110の撮像視野Qがドットパターンで示されている。本実施形態に係る車載カメラ10と一般的な車載カメラ110とでは撮像視野Qが異なる。以下、本実施形態に係る車載カメラ10の撮像視野Qについて、一般的な車載カメラ110の撮像視野Qと比較しながら説明する。
【0018】
(撮像視野Q)
図1,2には、車載カメラ10,110のレンズ部12に外部環境から入射する光が、光線R1,R2,R3として一点鎖線で模式的に示されている。光線R1,R2,R3は、光軸Pに対してz軸方向外側に傾いた方位からレンズ部12に入射し、この順番で光軸Pに対するz軸方向外側への傾きが大きくなる。
【0019】
また、
図1,2には、車載カメラ10,110の撮像素子14の撮像面14a上の第1位置D1及び第2位置D2が示されている。第1位置D1は、撮像面14aにおける光軸Pが通る位置として規定される。第2位置D2は、撮像面14aの面内方向の中心にあり、つまり矩形の撮像面14aにおける対角線の交点として規定される。
【0020】
図2に示す一般的な車載カメラ110では、撮像素子14が基板13の実装面13aの中央部に配置されている。これにより、車載カメラ110では、撮像面14aにおける第1位置D1と第2位置D2とが一致している。このため、車載カメラ110では、撮像視野Qが光軸Pに対して対称となる。
【0021】
具体的に、車載カメラ110では、z軸正方向側及びz軸負方向側のいずれの領域からも、光軸Pに対する傾きが比較的小さい範囲にある光線R1,R2が撮像面14aに入射する。この一方で、車載カメラ110では、光軸Pに対する傾きが最も大きい光線R3が撮像面14aに入射しない。
【0022】
つまり、車載カメラ110では、光軸Pに対して大きく傾いた方位を撮像することができない。車載カメラ110の構成において、撮像視野Qを外側に拡張するためには、撮像素子14の撮像面14aを拡大する必要がある。しかし、撮像面14aの拡大には撮像素子14の大型化が伴うため、車載カメラ110の製造コストが増大する。
【0023】
これに対し、
図1に示す本実施形態に係る車載カメラ10では、撮像素子14の位置が基板13の実装面13aの中央部からz軸正方向にずれている。これにより、車載カメラ10では、第2位置D2が第1位置D1に対してz軸正方向にずれている。このため、車載カメラ10では、撮像視野Qが光軸Pに対して非対称となる。
【0024】
具体的に、車載カメラ10では、撮像視野Qが光軸Pに対してz軸負方向に傾いている。このため、車載カメラ10では、z軸正方向側において光軸Pに対する傾きが最も小さい光線R1のみしか撮像面14aに入射しないものの、z軸負方向側において光軸Pに対する傾きが最も大きい光線R3まで撮像面14aに入射する。
【0025】
つまり、本実施形態に係る車載カメラ10では、撮像視野Qをz軸負方向に偏らせることにより、光軸Pに対してz軸負方向に大きく傾いた方位を撮像することができる。このように、車載カメラ10では、撮像素子14の大型化を伴うことなく、撮像視野Qをz軸負方向に拡張可能である。
【0026】
車載カメラ10では、撮像視野Qにおける遠方の領域ほど、撮像面14aに入射する像が小さくなるため、高解像度が求められる。この一方で、車載カメラ10では、撮像視野Qにおける近辺の領域では、撮像面14aに充分に大きい像が入射するため、高解像度が求められない。
【0027】
撮像素子14の撮像面14aでは、MTF(Modulation Transfer Function)の観点から、光軸Pが通る第1位置D1に近い撮像領域ほど高い解像度が得られる。このため、車載カメラ10では、撮像視野Qにおける遠方の情報が必要な領域に対して、撮像面14aにおける第1位置D1に近い撮像領域を割り当てる。
【0028】
また、車載カメラ10では、上記のように撮像視野Qをz軸負方向に傾けた構成により、光軸Pが向けられる領域とは大きく異なる向きにある領域まで撮像可能である。つまり、本実施形態に係る車載カメラ10は、遠方において高解像度が得られ、かつ遠方から近辺にわたって広い撮像視野Qの画像を良好に生成可能である。
【0029】
(システム構成例)
図3は、本実施形態に係る車載カメラ10を用いたシステム構成例を示すブロック図である。車載カメラシステムSは、車載カメラ10と、表示部20と、を有する。また、車載カメラ10は、撮像素子14以外に、処理部15と、出力部16と、を有する。処理部15及び出力部16は、例えば、基板13の実装面13aの反対側の面(裏面)に実装される。
【0030】
処理部15は、撮像素子14で生成された画像の画像処理を実行する。具体的に、処理部15が実行する画像処理には、ひずみ補正や物体検知などが含まれる。出力部16は、処理部15によって画像処理された画像を表示部20に出力する。表示部20は、一般的なモニタとして構成され、出力部16から出力された画像を表示する。
【0031】
[リアビューカメラ]
(リアビューカメラの撮像要求視野F1,F2)
本実施形態に係る車載カメラ10は、自動車Mの後方を視認可能な画像を生成するためのリアビューカメラとして利用可能である。以下、車載カメラ10をリアビューカメラとして利用した例について説明する。まず、本題に入る前に、リアビューカメラの第1及び第2撮像要求視野F1,F2について説明する。
【0032】
図4は、自動車Mにおけるリアビューカメラの撮像要求視野F1,F2を示す図である。
図4には、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。X軸、Y軸及びZ軸は、実空間に固定された実空間座標系を規定する。X軸は水平方向前後に延び、Y軸は水平方向側方に延び、Z軸は鉛直方向上下に延びる。
【0033】
車載カメラ10は、自動車MのX軸方向後部にX軸方向後方へ向けて設置される。撮像要求視野F1,F2は、リアビューカメラによる画像の生成が求められる視野である。撮像要求視野F1は、X軸方向後方へ水平に向いている。撮像要求視野F2は、X軸方向後方に向けてZ軸方向下方に傾いている。
【0034】
撮像要求視野F1は、バックミラーの代替として利用可能なミラー画像を生成するために必要となる。したがって、撮像要求視野F1は、通常のバックミラーによって視認可能な視野に対応する。撮像要求視野F1には、撮像面14aに入射する像が小さくなる遠方の領域を鮮明に撮像するために高解像度が求められる。
【0035】
撮像要求視野F2は、駐車支援のために利用可能な近辺画像を生成するために必要となる。つまり、撮像要求視野F2の近辺画像では、駐車エリアの白線や縁石などが視認可能である必要がある。したがって、撮像要求視野F2は、自動車Mに近接する領域、典型的には自動車MのX軸方向後部のZ軸方向直下の領域まで広がっている。
【0036】
(一般的な車載カメラ110)
図5は、
図2に示す一般的な車載カメラ110を、撮像要求視野F1を優先させて自動車Mに設置した状態を示す断面図である。
図5に示す車載カメラ110では、光軸PがX軸と平行である。このため、
図5に示す車載カメラ110は、撮像面14aにおける位置D1に近い撮像領域において高解像度のミラー画像を生成することができる。
【0037】
この一方で、
図5に示す車載カメラ110では、撮像要求視野F2の一部を撮像することができるものの、撮像要求視野F2における自動車Mから近接する領域が撮像視野Qから外れる。このため、
図5に示す車載カメラ110は、駐車支援機能の実現のために求められる近辺画像を生成することができない。
【0038】
図6は、
図2に示す一般的な車載カメラ110を、撮像要求視野F2を優先させて自動車Mに設置した状態を示す断面図である。
図6に示す車載カメラ110では、光軸PがZ軸方向下方に傾けられている。このため、
図6に示す車載カメラ110は、撮像要求視野F2における自動車Mに近接する領域まで撮像することができる。
【0039】
図7は、
図6に示す車載カメラ110の撮像面14aの平面図である。
図7には、撮像要求視野F1から光が入射する第1撮像領域G1と、撮像要求視野F2から光が入射する第2撮像領域G2と、が破線で示されている。
図6に示す車載カメラ110では、撮像面14aにおいて光軸Pが通る第1位置D1が撮像領域G2にある。
【0040】
つまり、
図6に示す車載カメラ110では、撮像要求視野F1から光が入射する撮像領域G1が第1位置D1から離れた位置にある。このため、
図6に示す車載カメラ110は、撮像領域G1においてバックミラーの代替とすることができるような高解像度のミラー画像を生成することができない。
【0041】
図8は、
図2に示す一般的な車載カメラ110を、
図6よりも光軸Pの傾きを抑えて自動車Mに設置した状態を示す断面図である。つまり、
図8に示す車載カメラ110における光軸Pの向きは、
図5に示す車載カメラ110における光軸Pの向きと
図6に示す車載カメラ110における光軸Pの向きとの中間である。
【0042】
図9は、
図8に示す車載カメラ110の撮像面14aの平面図である。
図8に示す車載カメラ110では、撮像面14aにおいて光軸Pが通る第1位置D1が撮像領域G1にある。このため、車載カメラ110は、第1位置D1を含む撮像領域G1において高解像度のミラー画像を生成可能である。
【0043】
しかしながら、
図8に示す車載カメラ110では、
図7に示すように撮像領域G2が撮像面14aに入りきらず、つまり撮像要求視野F2における自動車Mから近接する領域が撮像視野Qから外れる。このため、
図8に示す車載カメラ110は、駐車支援機能の実現のために求められる近辺画像を生成することができない。
【0044】
(本実施形態に係る車載カメラ10)
図10は、
図1に示す本実施形態に係る車載カメラ10を自動車Mに設置した状態を示す断面図である。
図10に示す車載カメラ10は、撮像面14aにおける第1位置D1が第2位置D2よりもZ軸方向下側となり、かつ光軸Pが
図8に示す車載カメラ110と同程度にZ軸方向下方にやや傾けられた状態で設置されている。
【0045】
図11は、
図10に示す車載カメラ10の撮像面14aの平面図である。
図10に示す車載カメラ10では、撮像面14aにおいて光軸Pが通る第1位置D1が撮像領域G1にある。このため、車載カメラ10は、第1位置D1を含む撮像領域G1において高解像度のミラー画像を生成可能である。
【0046】
また、
図10に示す車載カメラ10では、撮像要求視野F2が車載カメラ10の撮像視野Qに含まれ、つまり
図11に示すように撮像領域G2の全体が撮像面14aに入る。このため、
図10に示す車載カメラ10は、駐車支援機能の実現のために求められる近辺画像を生成することができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る車載カメラ10は、単一の撮像視野Qにおいて、バックミラーの代替のための高解像度のミラー画像と、駐車支援のための自動車Mから近接する領域まで視認可能な近辺画像と、を一括して生成可能である。つまり、一台の車載カメラ10によって、バックミラーの代替機能と、駐車支援機能と、を実現可能である。
【0048】
(システム構成例)
図12は、本実施形態に係る車載カメラ10をリアビューカメラとして用いたシステム構成例を示すブロック図である。車載カメラシステムSでは、処理部15が第1及び第2処理部15a,15bを含み、出力部16が第1及び第2出力部16a,16bを含み、表示部20が第1及び第2表示部20a,20bを含む。
【0049】
第1処理部15a、第1出力部16a、及び第1表示部20aは、バックミラーの代替機能の実現のために用いられる。つまり、撮像素子14の撮像面14aの撮像領域G1で生成されたミラー画像が、第1処理部15aによって画像処理され、第1出力部16aによって出力され、第1表示部20aによって表示される。
【0050】
また、第2処理部15b、第2出力部16b、及び第2表示部20bは、駐車支援機能の実現のために用いられる。つまり、撮像素子14の撮像面14aの撮像領域G2で生成された近辺画像が、第2処理部15bによって画像処理され、第2出力部16bによって出力され、第2表示部20bによって表示される。
【0051】
なお、車載カメラ10では、第1及び第2処理部15a,15bの機能を単一の処理部15で実現してもよく、第1及び第2出力部16a,16bの機能を単一の出力部16で実現してもよい。また、車載カメラシステムSは、ミラー画像及び近辺画像を単一の表示部20で表示してもよい。
【0052】
[サイドビューカメラ]
本実施形態に係る車載カメラ10は、後方から側方にかけての視認を目的とするサイドミラーの代替として利用可能な画像を生成するサイドビューカメラとして利用可能である。以下、車載カメラ10をサイドビューカメラとして利用した例について説明する。まず、本題に入る前に、サイドビューカメラの撮像要求視野Fについて説明する。
【0053】
図13は、サイドビューカメラの撮像要求視野Fを示す図である。車載カメラ10は、自動車MのY軸方向側部にX軸方向後方へ向けて設置される。撮像要求視野Fは、サイドビューカメラによる画像の生成が求められる視野であり、通常のサイドミラーによって視認可能な視野に対応する。
【0054】
したがって、撮像要求視野Fは、X軸方向後方からY軸方向側方にわたって広がっている。撮像要求視野FにおけるX軸方向後方の領域には、撮像面14aに入射する像が小さくなる遠方の領域を鮮明に撮像するために高解像度が求められる。また、撮像要求視野Fは、周囲を幅広く視認可能とするためにY軸方向側方の領域まで広がっている。
【0055】
なお、
図13には、自動車MのY軸方向左方の撮像要求視野Fのみが示されているが、自動車MにはY軸方向右方にも同様に撮像要求視野Fが存在する。以下の説明では、自動車MのY軸方向左側に車載カメラ10を設置する例について説明するが、自動車MのY軸方向右側にも同様の要領で車載カメラ10を設置することができる。
【0056】
図14は、
図2に示す一般的な車載カメラ110を自動車Mに設置した状態を示す断面図である。
図14に示す車載カメラ110は、光軸PがX軸方向後方に向けてY軸方向外側に傾けられている。これにより、車載カメラ110では、X軸方向後方からY軸方向側方にわたる撮像視野Qが得られる。
【0057】
図15は、
図14に示す車載カメラ110における撮像視野Q及び光軸Pを示す図である。
図14に示す車載カメラ110は、撮像視野Qを
図13に示す撮像要求視野Fに合わせて設置されている。このため、
図14に示す車載カメラ110では、撮像要求視野Fが撮像視野Qに含まれる。
【0058】
しかしながら、
図14に示す車載カメラ110では、光軸PがY軸方向外側に大きく傾いているため、X軸方向後方からレンズ部12に入射する光が撮像面14aにおける光軸Pが通る第1位置D1から離れた位置に入射する。このため、
図14に示す車載カメラ110は、X軸方向後方の領域の高解像度の画像を生成することができない。
【0059】
図16は、
図1に示す本実施形態に係る車載カメラ10を自動車Mに設置した状態を示す断面図である。
図16に示す車載カメラ10は、撮像面14aにおける第1位置D1が第2位置D2よりもY軸方向外側となり、かつ光軸PがX軸方向後方に向けてY軸方向外側にやや傾けられた状態で設置されている。
【0060】
図17は、
図16に示す車載カメラ10における撮像視野Q及び光軸Pを示す図である。
図16に示す車載カメラ10でも、
図14に示す車載カメラ110と同様に、撮像要求視野Fが撮像視野Qに含まれる。この一方で、
図16に示す車載カメラ10では、
図14に示す車載カメラ110よりも光軸PがX軸方向後方を向いている。
【0061】
このため、
図16に示す車載カメラ10では、X軸方向後方の領域を撮像面14aの第1位置D1により近い撮像領域で撮像することができる。したがって、
図16に示す車載カメラ10は、X軸方向後方において高解像度が得られ、かつX軸方向後方からY軸方向側方にわたって広い撮像視野Qの画像を生成可能である。
【0062】
[車載カメラ10の他の構成例]
車載カメラ10は、自動車Mに限らず、様々な移動体に適用可能である。車載カメラ10を適用可能な移動体としては、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などが挙げられる。
【0063】
[その他の実施形態]
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0064】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
レンズ部と、
前記レンズ部の光軸と直交する面内方向に沿って延び、前記光軸が通る第1位置と前記面内方向の中心の第2位置とが異なる、矩形の撮像面を有する撮像素子と、
を具備する車載カメラ。
(2)
上記(1)に記載の車載カメラであって、
移動体の後部に後方へ向けて設置される
車載カメラ。
(3)
上記(2)に記載の車載カメラであって、
前記第1位置が前記第2位置よりも鉛直方向下側となるように設置される
車載カメラ。
(4)
上記(3)に記載の車載カメラであって、
前記光軸が後方へ向けて鉛直方向下方に傾くように設置される
車載カメラ。
(5)
上記(3)又は(4)に記載の車載カメラであって、
前記撮像面は、バックミラーの代替のためのミラー画像を生成する第1撮像領域と、駐車支援のための近辺画像を生成する第2撮像領域と、を含み、
前記第1位置が前記第1撮像領域にある
車載カメラ。
(6)
上記(1)に記載の車載カメラであって、
移動体の側部に後方へ向けて設置される
車載カメラ。
(7)
上記(6)に記載の車載カメラであって、
前記第1位置が前記第2位置よりも外側となるように設置される
車載カメラ。
(8)
上記(7)に記載の車載カメラであって、
前記光軸が後方へ向けて外側に傾くように設置される
車載カメラ。
(9)
上記(6)から(8)いずれか1つに記載の車載カメラであって、
サイドミラーの代替の画像を生成可能なように設置される
車載カメラ。
【符号の説明】
【0065】
10…車載カメラ
11…筐体
11a…開口部
12…レンズ部
13…基板
13a…実装面
14…撮像素子
14a…撮像面
P…光軸
Q…撮像視野
G1,G2…第1及び第2撮像領域
D1,D2…第1及び第2位置