(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】三尖弁閉鎖不全症を治療するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240214BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240214BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2020568467
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 IL2019050658
(87)【国際公開番号】W WO2019234755
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518281133
【氏名又は名称】イノベントリック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アミル・ダニノ
(72)【発明者】
【氏名】ヤイール・ピチャスキー
(72)【発明者】
【氏名】オリ・ニッサン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/137868(WO,A1)
【文献】特表2013-518696(JP,A)
【文献】特開2015-198914(JP,A)
【文献】国際公開第2016/008526(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三尖弁閉鎖不全症治療デバイスであって、
患者の大静脈の中への植え込みのために構成されているチューブ状部材であって、側壁部によって形成されている、チューブ状部材と、
前記側壁部に沿って円周方向に配置されている少なくとも2つの弁であって、それぞれの弁は、
前記側壁部の中に形成された開口部、および、
複数の開口部のそれぞれの開口部を遮断および遮断解除するように配置されている遮断部材
を含む、少なくとも2つの弁と
を備え、
それぞれの遮断部材は、フラップまたはカバーを含み、前記フラップまたは前記カバーは、それぞれの開口部の一部分にまたはそれぞれの開口部の一部分に近接して枢動可能に取り付けられており、前記開口部が前記フラップまたは前記カバーの取り付けの反対側の方向において遮断解除されるように、心室収縮期の間に前記開口部を遮断し、心室拡張期の間に前記開口部を遮断解除するように配置されており、
前記少なくとも2つの弁は、前記チューブ状部材の端部同士の間の第1の場所において第1の周囲部に沿って配置されて
おり、
前記チューブ状部材は、複数のセルを有する拡張可能なステントを含み、前記少なくとも2つの弁のそれぞれは、前記ステントの特定のセルに対応する、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス。
【請求項2】
前記第1の周囲部に配置されている前記2つの弁の端部よりも、前記チューブ状部材の前記端部のうちの一方の近くに間隔を置いて配置された第2の周囲部に配置されている第3の弁をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも2つの弁は、3つだけの弁を含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記チューブ状部材および前記弁の前記遮断部材は、それぞれの遮断部材がそれぞれの開口部を遮断しているときに、閉じた円筒形状の外側形状を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記チューブ状部材の少なくとも一部分をカバーするように構成されている被覆材をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記被覆材は、前記開口部をカバーしない、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
被覆材は、それぞれの遮断部材を
形成するように構成されている、請求項1または5に記載のデバイス。
【請求項8】
第1および第2の弁のそれぞれは、それぞれの遮断部材が他方の遮断部材から離れて開くように、反対側において前記チューブ状部材にヒンジ接続されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記
少なくとも2つの弁のうちの第3の弁は、前記遮断部材が第1および第2の遮断部材から離れて開くようにヒンジ接続されている、請求項2から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記開口部のそれぞれ、および、それぞれの開口部を収容する前記セルのそれぞれのうちの少なくとも1つは、ひし形形状を含む、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項11】
前
記ステントは、第1の下大静脈(IVC)部分と、第2の上大静脈(SVC)部分と、前記IVC部分と前記SVC部分との間に配置されている第3の中央部分とを含む、請求項
1または10に記載のデバイス。
【請求項12】
それぞれの遮断部材は、その中にまたはその
表面に形状記憶補強ワイヤーを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記補強ワイヤーは、前記遮断部材の周辺の少なくとも一部分にまたは前記遮断部材の周辺の前記少なくとも一部分の近くに配置されている、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記補強ワイヤーは、前記遮断部材の周辺の実質的に全体にまたは前記遮断部材の周辺の実質的に全体の近くに配置されている、請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記遮断部材の単一の側は、前記チューブ状部材に取り付けられている、請求項1から
14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
それぞれの遮断部材は、縫合により取り付けられている、請求項
15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記チューブ状部材の軸方向の第2の場所において、前記チューブ状部材の周囲に径方向に広がっている、スカートをさらに含む、請求項1から
16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記スカートは、前記チューブ状部材の一部分の上に配置され、取り付けられており、IVC部材のグラフトカバー率を冗長化するために、右心房(RA)から下大静脈(IVC)の中への逆流を防止すること、および、1つまたは複数の肝静脈の閉塞を防止することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項
17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記スカートは、布地および補強材のうちの少なくとも1つを含む、請求項
17または
18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記スカートは、布地および補強材を含む、請求項
17または
18に記載のデバイス。
【請求項21】
前記補強材は、形状記憶ワイヤーを含む、請求項
20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記ワイヤーは、前記スカートの周辺の少なくとも一部分に沿って配置されている、請求項
21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ワイヤーは、前記スカートの周辺の大部分に沿って配置される、請求項
21に記載のデバイス。
【請求項24】
被覆材は、複数の縫合糸により前記チューブ状部材および/またはステントに取り付けられている、請求項5から
23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
チューブ状部材は、長手方向軸線を含み、前記
少なくとも2つのの弁のうちの少なくとも1つ、または、前記デバイスの全体が、そこから流出する実質的にすべての血液が少なくとも前記長手方向軸線および前記大静脈に対して非垂直な方向に流れることを引き起こすように構成されている、請求項1から
24のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療用システム、装置、デバイス、および、その心臓の中への植え込みのための方法に関し、特に、機能不全のまたは逆流性の三尖弁(房室)弁を治療するためのステントベースのデバイスに関するが、これに限らない。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2018年6月8日に出願された米国仮特許出願第62/682948号の優先権および利益を主張し、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。また、本開示の実施形態は、「Treatment of Tricuspid Insufficiency」という標題の2017年2月1日に出願されたPCT出願第PCT/IB2017/050534号、および、2016年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/292422号に関し、これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
三尖弁は、三尖弁が心室収縮期の間に閉じているときに、右心室から右心房の中への血液の逆流を防止し、三尖弁が心室拡張期の間に開いているときに、血液が右心房から右心室の中へ流れることを可能にする。
【0004】
三尖弁逆流(TR)を引き起こす不十分な三尖弁は、三尖弁輪膨張および右心室拡大から生じる可能性がある。TRは、心筋のまたは心臓弁膜の原因からの左心不全、右心室容積または圧力過負荷および心室の膨張に続発することが多い。TRは、右心房過負荷を引き起こし、これは、上大静脈および下大静脈(SVC、IVC)ならびにそれらの支流に伝達される。最終的に、これは、肝鬱血、腹水、全身浮腫、末梢浮腫、および、鬱血性心不全の他の臨床症状につながる。治療されない場合には、重大な三尖弁逆流は、多くの場合、心不全および死につながる。
【0005】
TRに関して臨床的に利用可能な治療は、心臓切開手術または薬剤である。しかし、三尖弁の交換/修復のための心臓切開手術は、主にその高い死亡率および罹患率に起因して、滅多に実施されない。他方では、薬剤は、問題を解決しない可能性があり、病気が進行することを許し、生活の質および心機能の悪化を患者に残す。
【0006】
三尖弁交換/修復の高い外科的リスクに起因して、現在では、TR患者の圧倒的多数が、手術不可能であると見なされている。これは、重大なTRを患う極めて多数の未治療の患者を結果として生じさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、いくつかの実施形態では、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスが提供され、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスは、患者の大静脈の中への植え込みのために構成されているチューブ状部材を含み、チューブ状部材は、側壁部によって形成されている。また、デバイスは、側壁部に沿って円周方向に配置されている少なくとも2つの弁を含み、それぞれの弁は、側壁部の中に形成された開口部と、複数の開口部のそれぞれの開口部を遮断および遮断解除するように配置されている遮断部材とを含む。それぞれの遮断部材は、フラップまたはカバーを含み、フラップまたはカバーは、それぞれの開口部の一部分にまたはそれぞれの開口部の一部分に近接して枢動可能に取り付けられており、開口部がフラップまたはカバーの取り付けの反対側の方向に遮断解除されるように、心室収縮期の間に開口部を遮断し、心室拡張期の間に開口部を遮断解除するように配置されている。少なくとも2つの弁は、チューブ状部材の端部同士の間の第1の場所において第1の周囲部に沿って配置されている。
【0008】
そのような実施形態は、以下の追加的な構造体、特徴、ステップ、機能性、および/または明確化のうちの少なくとも1つ(および、いくつかの実施形態では、そのうちの複数、および、いくつかの実施形態では、そのうちの実質的にすべて)をさらに含むことが可能であり、さらなる他の実施形態を生み出す(そのうえ、下記のリストの中の項目のそれぞれ、および、下記に列挙されている項目の組み合わせは、スタンドアロンの実施形態であることが可能である):
- 第3の弁は、第1の周囲部に配置されている2つの弁のものよりも、チューブ状部材の端部のうちの一方の近くに間隔を置いて配置された第2の周囲部に配置され得る;
- 少なくとも2つの弁は、3つだけの弁であるように構成され得る;
- チューブ状部材および弁の遮断部材は、それぞれの遮断部材がそれぞれの開口部を遮断しているときに、閉じた円筒形状の外側形状を形成するように構成され得る;
- 被覆材は、チューブ状部材の少なくとも一部分をカバーするように構成され得る;
〇 被覆材は、開口部をカバーしないように構成され得る;
〇 被覆材は、それぞれの遮断部材を追加的にカバーするように構成され得る;
- 第1および第2の弁のそれぞれは、それぞれの遮断部材が他方の遮断部材から離れて開くように、反対側においてチューブ状部材にヒンジ接続され得るかまたはその他の方法で取り付けられ得る;
- 複数の弁のうちの第3の弁は、遮断部材が第1および第2の遮断部材から離れて開くようにヒンジ接続され得るかまたはその他の方法で取り付けられ得る;
- チューブ状部材は、複数のセルを有する拡張可能なステントを含むことが可能であり、複数の弁のそれぞれは、ステントの特定のセルに対応する;
- 開口部のそれぞれ、および、それぞれの開口部を収容するセルのそれぞれのうちの少なくとも1つは、ひし形形状を含む;
- ステントは、コロナステント(corona stent)を含むことが可能であり、
〇 コロナステントは、第1の下大静脈(IVC)部分と、第2の上大静脈(SVC)部分と、IVC部分とSVC部分との間に配置されている第3の中央部分とのうちの少なくとも1つを含む;
- それぞれの遮断部材は、その中にまたはその上に形状記憶補強ワイヤーを含むことが可能であり、補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の少なくとも一部分にまたは遮断部材の周辺の少なくとも一部分の近くに配置され得、補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の実質的に全体にまたは遮断部材の周辺の実質的に全体の近くに配置され得る;
- 遮断部材の単一の側は、たとえば、縫合により、チューブ状部材に取り付けられ得る;
- スカートであって、スカートは、チューブ状部材の一部分の上に配置されおよび/またはその他の方法でチューブ状部材の一部分に取り付けられ得、IVC部材のグラフト被覆材を冗長化する(redundify)ために、右心房(RA)から下大静脈(IVC)の中への逆流を防止すること、および、1つまたは複数の肝静脈の閉塞を防止することのうちの少なくとも1つを行うように構成され得る;
〇 スカートは、布地および補強材のうちの少なくとも1つを含むことが可能である;
〇 スカートは、布地および補強材を含むことが可能であり、補強材は、形状記憶ワイヤーを含むことが可能である;
〇 ワイヤーは、スカートの周辺の少なくとも一部分に沿って配置され得る;
〇 ワイヤーは、スカートの周辺の大部分に沿って配置され得る;
- 被覆材であって、被覆材は、複数の縫合糸によりチューブ状部材および/またはステントに取り付けられ得る;
- チューブ状部材は、長手方向軸線を含むことが可能であり、複数の弁のうちの少なくとも1つ、および/または、デバイスの全体が、そこから流出する実質的にすべての血液が少なくとも長手方向軸線および大静脈に対して非垂直な方向に流れることを引き起こすように構成され得る。
【0009】
したがって、いくつかの実施形態では、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスまたはデバイス(これは、装置またはシステムとも称され得る)が提供され、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスは、患者の大静脈の中への植え込みのために構成されているチューブ状部材を含み、チューブ状部材は、ステントを含み、側壁部によって形成されており、ステントは、複数のオープンセルを含み、拡張可能である(いくつかの実施形態では、自己拡張可能である)。デバイスは、側壁部に沿って円周方向に配置されている少なくとも3つの弁をさらに含み、それぞれの弁は、側壁部の中に形成されている開口部(これは、フェネストレーションまたはアパーチャーとも称され得る)と、複数の開口部のそれぞれの開口部を遮断および遮断解除するように配置されている遮断部材とを含む。それぞれの遮断部材は、その中におよび/またはその上に配置されている補強ワイヤーを含み、フラップまたはカバーを含み、フラップまたはカバーは、それぞれの開口部の一部分にまたはそれぞれの開口部の一部分に近接して枢動可能に取り付けられており、開口部がフラップまたはカバーの取り付けの反対側の方向において遮断解除されるように、心室収縮期の間に開口部を遮断し、心室拡張期の間に開口部を遮断解除するように配置されている。また、デバイスは、少なくとも3つの弁のうちの第1および第2の弁を含み、少なくとも3つの弁のうちの第1の弁および第2の弁は、チューブ状部材の端部同士の間の第1の場所において第1の周囲部に沿って配置されており、3つの弁のうちの第3の弁は、第1の周囲部に配置されている2つの弁の端部よりも、チューブ状部材の端部のうちの一方の近くに間隔を置いて配置された第2の周囲部に配置されている。第1および第2の弁のそれぞれは、それぞれの遮断部材が他方の遮断部材から離れて開くように、反対側においてチューブ状部材にヒンジ接続されている。いくつかの実施形態では、ステントは、複数のセルを含み、複数の弁のそれぞれは、特定のセルに対応する。デバイスは、被覆材とスカートとをさらに含み、被覆材は、複数の縫合糸によりチューブ状部材に取り付けられており、開口部を除いて、側壁部およびステントのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分をカバーするように構成されており、スカートは、その中におよび/またはその上に補強ワイヤーを含む。スカートは、チューブ状部材の一部分の上に配置され、取り付けられており、IVC部材のグラフトカバー率を冗長化するために、右心房(RA)から下大静脈(IVC)の中への逆流を防止すること、および、1つまたは複数の肝静脈の閉塞を防止することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0010】
そのような実施形態は、以下の追加的な構造体、特徴、ステップ、機能性、および/または明確化のうちの少なくとも1つ(および、いくつかの実施形態では、そのうちの複数、および、いくつかの実施形態では、そのうちの実質的にすべて)をさらに含むことが可能であり、さらなる他の実施形態を生み出す(そのうえ、下記のリストの中の項目のそれぞれ、および、下記に列挙されている項目の組み合わせは、スタンドアロンの実施形態であることが可能である):
- 被覆材は、それぞれの遮断部材を追加的にカバーするように構成され得る;
- チューブ状部材および弁の遮断部材は、遮断部材が開口部を遮断しているときに、閉じた円筒形状の外側形状を形成するように構成され得る;
- 開口部のそれぞれ、および、それぞれの開口部を収容するセルのそれぞれのうちの少なくとも1つは、ひし形形状を含むことが可能である;
- ステントは、コロナステントを含むことが可能である;
〇 コロナステントは、第1の下大静脈(IVC)部分と、第2の上大静脈(SVC)部分と、IVC部分とSVC部分との間に配置されている第3の中央部分とを含むことが可能である;
- 補強ワイヤーは、形状記憶補強ワイヤーを含むことが可能である;
〇 補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の少なくとも一部分にまたはその近くに配置され得る;
〇 補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の実質的に全体にまたは遮断部材の周辺の実質的に全体の近くに配置され得る;
- それぞれの遮断部材の単一の側は、チューブ状部材に取り付けられ得る;
〇 遮断部材は、縫合により取り付けられ得る;
- スカートの補強材ワイヤーは、形状記憶ワイヤーを含むことが可能である;
〇 ワイヤーは、スカートの周辺の少なくとも一部分に沿って配置され得る;
〇 ワイヤーは、スカートの周辺の大部分に沿って配置され得る;
- 被覆材は、複数の縫合糸によりチューブ状部材および/またはステントに取り付けられ得る;
- チューブ状部材は、長手方向軸線を含むことが可能であり、複数の弁のうちの少なくとも1つ、または、デバイスの全体が、そこから流出する実質的にすべての血液が少なくとも長手方向軸線および大静脈に対して非垂直な方向に流れることを引き起こすように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスが提供され、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスは、チューブ状部材を含み、チューブ状部材は、患者の大静脈の中への植え込みのために構成されており、側壁部によって形成されている。また、デバイスは、側壁部に沿って円周方向に配置されている少なくとも3つの弁を含み、それぞれの弁は、側壁部の中に形成された開口部と、フラップまたはカバーを含む遮断部材であって、フラップまたはカバーは、それぞれの開口部の一部分にまたはそれぞれの開口部の一部分に近接して枢動可能に取り付けられており、開口部がフラップまたはカバーの取り付けの反対側の方向において遮断解除されるように、心室収縮期の間に開口部を遮断し、心室拡張期の間に開口部を遮断解除するように配置されている、遮断部材とを含む。少なくとも3つの弁のうちの第1の弁および第2の弁は、チューブ状部材の端部同士の間の第1の場所において第1の周囲部に沿って配置されており、3つの弁のうちの第3の弁は、第1の周囲部に配置されている2つの弁のものよりも、チューブ状部材の端部のうちの一方の近くに間隔を置いて配置された第2の周囲部に配置されている。
【0012】
そのような実施形態は、以下の追加的な構造体、特徴、ステップ、機能性、および/または明確化のうちの少なくとも1つ(および、いくつかの実施形態では、そのうちの複数、および、いくつかの実施形態では、そのうちの実質的にすべて)をさらに含むことが可能であり、さらなる他の実施形態を生み出す(そのうえ、下記のリストの中の項目のそれぞれ、および、下記に列挙されている項目の組み合わせは、スタンドアロンの実施形態であることが可能である):
- 少なくとも3つの弁は、3つだけの弁を含むことが可能である;
- チューブ状部材および弁の遮断部材は、それぞれの遮断部材がそれぞれの開口部を遮断しているときに、閉じた円筒形状の外側形状を形成することが可能である;
- 被覆材が含まれ、チューブ状部材の少なくとも一部分をカバーするように構成され得る;
〇 被覆材は、開口部をカバーする必要がない;
〇 被覆材は、それぞれの遮断部材を追加的にカバーするように構成され得る;
- 第1および第2の弁のそれぞれは、それぞれの遮断部材が他方の遮断部材から離れて開くように、反対側においてチューブ状部材にヒンジ接続され得るかまたはその他の方法で取り付けられ得る;
- 複数の弁のうちの第3の弁は、遮断部材が第1および第2の遮断部材から離れて開くことができるようにヒンジ接続され得るかまたはその他の方法で取り付けられ得る;
- チューブ状部材は、複数のセルを有する拡張可能なステントを含むことが可能であり、複数の弁のそれぞれは、ステントの特定のセルに対応することが可能である;
〇 開口部のそれぞれ、および、それぞれの開口部を収容するセルのそれぞれのうちの少なくとも1つは、ひし形形状になっていることが可能である;
- ステントが含まれている場合には、ステントは、コロナステントを含むことが可能であり、コロナステントは、第1の下大静脈(IVC)部分と、第2の上大静脈(SVC)部分と、IVC部分とSVC部分との間に配置されている第3の中央部分とのうちの任意の1つまたは複数を含むかまたはその他の方法で含むことが可能である;
- それぞれの遮断部材は、その中にまたはその上に形状記憶補強ワイヤーを含むことが可能であり;
〇 補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の少なくとも一部分にまたはその近くに配置され得る;
〇 補強ワイヤーは、遮断部材の周辺の実質的に全体にまたはその近くに配置され得る;
- 遮断部材の単一の側は、チューブ状部材に取り付けられ得る;
〇 それぞれの遮断部材は、縫合により取り付けられ得る;
- スカートが含まれ得、スカートは、チューブ状部材の一部分の上に配置され、取り付けられ得、IVC部材のグラフト被覆材を冗長化するために、右心房(RA)から下大静脈(IVC)の中への逆流を防止すること、および、1つまたは複数の肝静脈の閉塞を防止することのうちの少なくとも1つを行うように構成され得る;
〇 スカートは、布地および補強材のうちの少なくとも1つを含むことが可能であり、補強材は、形状記憶ワイヤーを含むことが可能であり、ワイヤーは、スカートの周辺の少なくとも一部分に沿って配置され得、または、ワイヤーは、スカートの周辺の大部分に沿って配置され得る;
- 被覆材が含まれる場合には、被覆材は、複数の縫合糸によりチューブ状部材および/またはステントに取り付けられ得る;
- チューブ状部材は、長手方向軸線を含むことが可能であり、いくつかの実施形態では、複数の弁のうちの少なくとも1つ、または、デバイスの全体が、そこから流出する実質的にすべての血液が少なくとも長手方向軸線および大静脈に対して非垂直な方向に流れることを引き起こすように構成され得る。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、三尖弁閉鎖不全症を治療するための方法に関する。具体的には、いくつかの実施形態では、三尖弁閉鎖不全症を治療するための方法が提供され、方法は、本明細書で開示されているデバイスのうちのいずれかによるデバイスを提供するステップと、一部分が上大静脈に隣接して配置され、反対側の部分が下大静脈に隣接して配置されるように、患者の右心房の中にまたは右心房に隣接してデバイスを位置決めするステップとを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、患者の血管系を介して位置決めされる。
【0014】
先述の概念および下記に追加的に詳細に議論されている追加的な概念のすべての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)、本明細書で開示されている本発明の主題の一部であるとして企図されているということが認識されるべきである。特に、本開示のどこかに出現する主題のあらゆる組み合わせが、本明細書で開示されている本発明の主題の一部として企図されている。また、参照により組み込まれている任意の開示において出現する可能性もある、本明細書で明示的に用いられている専門用語は、本明細書で開示されている特定の概念と最も一致する意味を与えられるべきであるということが認識されるべきである。
【0015】
図面は主に例示目的のためのものであり、本明細書で説明されている本発明の主題の範囲を限定することを意図していないということを、当業者は理解するであろう。図面は、必ずしも正しい縮尺になっているとは限らない。いくつかの場合では、本明細書で開示されている本発明の主題のさまざまな態様は、異なる特徴の理解を促進させるために、図面の中で誇張してまたは拡大して示されている可能性がある。図面において、同様の参照文字は、一般的に、同様の特徴(たとえば、機能的に同様のおよび/または構造的に同様のエレメント)を指す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】心臓拡張期における心臓の簡略化された説明図である。
【
図1B】心室収縮期における心臓の簡略化された説明図であって、心室収縮期の間に、三尖弁は、適正に閉じられておらず、三尖弁逆流が存在している、図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であって、いくつかの実施形態によるダイヤモンド/ひし形形状の弁のわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であり、いくつかの実施形態による円形/楕円形の弁のわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図2C】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であり、いくつかの実施形態による円形/楕円形の弁のわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図2D】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であり、いくつかの実施形態による(少なくとも)1対の長楕円形形状の弁のわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図2E】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であり、いくつかの実施形態による大きい円形の弁デバイスのわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図2F】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の弁を備えた三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された概略説明図であり、いくつかの実施形態によるダイヤモンド/ひし形形状の弁のわずかな開位置を図示することを含む図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、心臓拡張期において、血管系の中に植え込まれている三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された斜視説明図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、心臓収縮期において、血管系の中に植え込まれている三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された斜視説明図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された説明図であり、心臓拡張期の間の側面図を図示する図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された説明図であり、心臓拡張期の間の斜視図を図示する図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの簡略化された説明図であり、断面A-Aを図示する図である。
【
図5】本開示のデバイス実施形態の植え込みのための経皮的静脈経路の簡略化された説明図であり、いくつかの実施形態による、下肢または上肢を介した植え込みを図示する図である。
【
図6A】植え込み後の研究に関する生理学的な改善を図示するチャートである。
【
図6B】植え込み後の研究に関する生理学的な改善を図示するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1A~
図1Bは、それぞれ、心臓拡張期および心室収縮期における心臓の簡略化された説明図を提供しており、心室収縮期の間に、三尖弁4は、いくつかの実施形態によれば、適正に閉じられておらず、三尖弁逆流が存在している。上大静脈1は、上半身から血液を戻し、無弁のオリフィスを介して右心房2の上側部および後部の中へ開口しており、無弁のオリフィスは、下向きにおよび前向きに方向付けられている。下大静脈3は、典型的に、上大静脈よりも大きく、下大静脈3は、下半身から血液を戻し、心房中隔の近くの心房2の最下部の中へ開口している。そのオリフィスは、上向きにおよび後ろ向きに方向付けられており、下大静脈弁(ユースタキオ弁と呼ばれる)によって保護されている。三尖弁4は、右心房2と右心室5との間に位置付けされている。
【0018】
冠状静脈洞6は、下大静脈のオリフィスと房室開口部との間で右心房2の中へ開口している。それは、心臓の内部から血液を戻し、半円形の弁、すなわち、冠状静脈洞の弁(テベシウス弁とも呼ばれる)によって保護されている。僧帽弁7は、左心室8と左心房9との間にある。
【0019】
心室収縮期は、右心室5および左心室8の中の圧力の上昇を含む。心室の中の圧力は、心房2および9のものを上回るレベルまで上昇し、したがって、三尖弁4および僧帽弁7を閉じる。
図1Bは、三尖弁4が適正に閉じられていないことを示しており、三尖弁逆流が存在することとなる。
【0020】
図2A~
図2Fは、いくつかの実施形態による、三尖弁閉鎖不全症治療デバイスの例示的な概略説明図を示している。それぞれは、大静脈の中への植え込みのために構成されているチューブ状部材/構造体10(それは、大静脈部材12またはチューブ状部材12とも称され得る。いくつかの実施形態では、デバイス10の本体部はチューブ状になっていなくてもよいということが認識されるであろう)を含み、チューブ状部材/構造体10は、1つまたは複数の弁を含むことが可能であり、1つまたは複数の弁は、たとえば、遮断部材16および開口部/開口部/開口部14(そのような用語は相互交換可能に使用される)をそれぞれ含む。遮断部材は、フラップ(それは、カバーとも称され得る)であることが可能であり、フラップは、デバイス10/チューブ状部材12の側壁部の中の開口部を開けるように、および、開口部(たとえば、少なくともそれを通過する流体に対して)を閉じるようにそれぞれ構成されている。遮断部材/開口部弁の組み合わせは、デバイスが大静脈の中へ植え込まれているときに、心室拡張期の間に血液が開口部から流出することを可能にするように構成されている(血液は大静脈からデバイスの端部によって受け入れられる)。
【0021】
述べられているように、治療デバイス10は、上大静脈(SVC)および/または下大静脈(IVC)の中に植え込み可能なチューブ状部材12を含む。チューブ状部材12の側壁部は、開口部14(たとえば、右心房開口部)とともに形成され得、また、遮断部材16を含み、遮断部材16は、開口部14を遮断および遮断解除するように配置されている。また述べられているように、たとえば、遮断部材16は、フラップ弁であることが可能であり、ここで、遮断部材16は、開口部を遮断/遮断解除するためにチューブ状部材12の一部分に枢動されるフラップまたはカバーである。いくつかの実施形態では、遮断部材は、好ましくは(いくつかの実施形態では)、遮断部材の周辺の一部分の上の、開口部にまたは開口部の近くに配置されているかまたはその他の方法で固定されている。そのような固定は、縫合糸により行われ得る(たとえば、参照番号19、
図2D、
図2Fを参照)。遮断部材は、チューブ状部材の側壁部から離れるように外向きに開くことが可能であり、または、他の実施形態では、横方向にまたは他の方向に開くことが可能である。
【0022】
遮断部材16は、それぞれの開口部14に関して通常開になっているか(たとえば、
図2A)または通常閉になっていることが可能である。通常開のまたは通常閉の遮断部材のメカニズムは、それぞれ、逆流または狭窄の程度を制御することにさらに役立つことが可能である。たとえば、通常開の遮断部材は、特定の測定可能で制御された閉鎖力を必要とする。したがって、通常開の遮断部材は、測定可能で制御されたレベルの逆流を生成させる可能性がある。逆に、通常閉の遮断部材は、測定可能で制御されたレベルの狭窄を生成させる可能性がある。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、デバイスは、開口部14がSVCのオリフィスと整合させられるか(SVCのオリフィスの方向に面する)もしくはIVCのオリフィスと整合させられるように植え込まれ得、または、それが他の方向に(たとえば、横方向に(前方に/後方に)など)面することができるように植え込まれ得る。したがって、遮断部材16は、右心房の上部、下部、前部、または後部に向けて方向付けられたそのオープン部分(開口部14)を有することが可能である。
【0024】
図2Aにおいて、複数の(いくつかの実施形態では、2つの、いくつかの実施形態では、2つ以上の、いくつかの実施形態では、3つの、およびいくつかの実施形態では、3つ以上の)開口部14および対応する遮断部材16が提供されている。たとえば、遮断部材16は、遮断部材16がそれぞれの開口部14の中にフィットすることができるように、および、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10が閉位置にあるときには、開口部を遮断できるように構成され得る(たとえば、サイズ決めおよび形状決めされ得る)。
【0025】
いくつかの実施形態では(たとえば、
図2B~
図2Cを参照)、単一の開口部は、1つまたは(いくつかの実施形態では)複数の遮断部材と関連付けられ得、それぞれの遮断部材は、単一の開口部の一部分をカバーするように構成されている。そのような実施形態では、閉位置になっている三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10は、複数の遮断部材に対応しており、複数の遮断部材は、互いにフィットするように構成されており、組み合わせられた遮断部材が単一の開口部の少なくとも実質的な部分(たとえば、単一の開口部の全体を含む)を遮断またはカバーする。換言すれば、遮断部材のうちの1つまたは複数は、互いに一体的になっており、1つ(または、複数の)開口部を単一的に遮断するように構成され得る。たとえば、
図2A~
図2Fおよび
図3A~
図3Bに示されている遮断部材は、単一の開口部14を遮断するように構成され得(たとえば、3つの遮断部材16)、または、そのような遮断部材は、複数の開口部を遮断するように構成され得る。説明図において、それぞれの開口部は、たとえば、平行四辺形/ダイヤモンド/ひし形として形状決めされ得、たとえば、いくつかの実施形態では、3つの遮断部材が、(いくつかの実施形態では)1つの大きい開口部を生成させるようにスイングオープンするか、または、(いくつかの実施形態では)3つの個々の開口部を開ける。単一開口部または1つの開口部の実施形態では、遮断部材は、一緒になり、互いにフィットし、ユニットとして開口部全体を遮断する(たとえば、
図2C、2E)。したがって、いくつかの実施形態では、開口部は、任意の数の遮断部材と関連付けられ得、いくつかの実施形態では、遮断部材は、任意の種類の形状を含むことが可能であり、特に、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10が血管系の中に植え込まれているときに、心臓収縮期の間に開口部を閉鎖するのに適切な形状を含むことが可能であるということが留意される。
【0026】
たとえば、複数のフラップ/遮断部材弁を備える、いくつかの実施形態による治療デバイスは、組織内部成長、血栓、または、デバイス劣化の他の原因に関して、効率的で安全な血液フローの可能性を著しく改善する。
【0027】
いくつかの実施形態では、チューブ状部材10は、ステント15であるかステント15を含むことが可能であり、ステント15は、自己拡張型であるか(たとえば、形状記憶合金およびポリマーなど)またはバルーン拡張式であることが可能である(たとえば、スチール合金およびポリマーなど)。遮断部材16は、(たとえば、ステントをカバーする)チューブ状部材と同じ材料、または、他のグラフト材料(たとえば、心膜、ブタ弁材料、PE材料)から作製され得る。たとえば、開口部14は、カットされた側壁部の任意のパーツを除去することなく、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10の側壁部が半円形の様式で切開されるときに形成される開口部であることが可能である。そのような実施形態では、切開に起因して形成されている(および、側壁部自体の一部を介して三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10に取り付けられているかまたは連結されているままになっている)フラップ弁は、開口部14のための遮断部材16としての役割を果たすことが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、ステントは、複数のオープンセルを含み、複数のオープンセルは、(チューブ状部材および/またはその側壁部を形成している)材料によってカバーされている。セルのうちの少なくとも1つは、開口部として機能するように構成され得、被覆材(または、他の適切な材料)は、その周辺の少なくとも一部分に沿ってヒンジ接続されるかまたはその他の方法で取り付けられており、少なくとも1つのセルをカバーするための遮断部材として機能し(たとえば、上記の切開の実施形態を参照)、心臓周期の中のそれぞれのポイントの間に血液が少なくとも1つのセルから流出することを可能にする。
【0029】
いくつかの実施形態では、ステントは、布地または他の材料(たとえば、心膜)18によってカバーされ得、そのような実施形態では、遮断部材16は、布地弁であることが可能である(および/または、同様に心膜であることが可能である)。たとえば、
図2Cに示されているように、遮断部材16は、フラット弁22であることが可能であり、フラット弁22は、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス20が血管系の中に植え込まれているときに心臓収縮期の間に開くように構成されている。いくつかの実施形態では、遮断エレメント22は、開口部14全体をカバーする単一のエレメントであることが可能であり、または、それは、複数のエレメントから構成され得、複数のエレメントが、心臓収縮期の間に一緒になってフィットし、開口部を全体的にまたは少なくとも実質的に全体的にカバーする。繰り返しになるが、いくつかの実施形態によれば(たとえば、
図2C)、遮断部材は、1つまたは複数の開口部/開口部(たとえば、ステントの中の1つまたは複数のセル)をカバーすることが可能であり、また、たとえば、17において中央に取り付けられ得る((たとえば)開口部の中央内)。したがって、遮断部材の周辺の一部分および(いくつかの実施形態では)実質的な部分(または、すべて)は、複数の角度から開くことが可能であり、血液がそこから流出することを可能にする。
【0030】
いくつかの実施形態では、遮断部材は、ワイヤー、ロッド、チューブ、縫合糸、またはメッシュなどのような、補強16a構造体を含まないかまたは含むことが可能である。被覆材(遮断部材のために使用される材料を含む)は、抗凝固剤、抗血小板剤、組織成長促進剤または阻害剤、抗生物質、スタチン、抗炎症剤、および、他の材料または薬剤によって、浸漬されるか、スプレーされるか、またはカバーされ得る。ステント構造体は、限定することなく、ステントリング(独立したものまたは相互接続されたもの)、編み組みされたまたはレーザーカットされたメッシュ、編み組みされたまたはレーザーカットされたチューブ状の構造体、および/またはストラット(および/または同様のもの)を含むことが可能である。いくつかの実施形態による閉鎖不全症デバイス/デバイスは、たとえば、拡張可能な部材、バーブ、発散しているチューブ状部材の端部、支流の中に留置されるステントもしくは他の部材、または他の適切な手段の半径方向の力によって、現場で固定され得る。また、デバイスの上での任意の後続の組織成長は、固定に役立つ可能性がある。
【0031】
遮断部材は、たとえば、それに限定されないが、縫合糸、接着剤、ポリマー包埋、溶着、超音波溶着、統一されたグラフトおよび遮断部材の材料、およびその他など、任意の適切な手段(たとえば、それと一体的になることを含む。段落[0032]を参照)によって大静脈/チューブ状部材に接続され得る。いくつかの実施形態では、遮断部材は、デバイス10が血管系の中に植え込まれているときに、心臓拡張期および心臓収縮期の間の三尖弁閉鎖不全症治療デバイスのシームレスな開閉をそれぞれ可能にする様式で、三尖弁閉鎖不全症治療デバイス/デバイス(または、その側壁部)に連結または取り付けられ得る。たとえば、遮断部材は、接続またはジョイントタイプのうちの任意の1つまたは複数を介して、デバイス10の側壁部に接続され得る。たとえば、遮断部材16と側壁部との間の連結、ジョイントまたは取り付けは、ヒンジ(リングまたは同様のエレメントを介して)、ピボットなどの形態になっていることが可能である。いくつかの実施形態では、ジョイントは、遮断部材と側壁部との間の弱められた関節であることが可能であり、それは、軸線としての役割を果たし、遮断部材が、心臓拡張期の間にその軸線の周りでスイングオープンすることが可能である。
【0032】
チューブ状部材は、概して円筒形状になっていることが可能であり、それは、記載されてきたようにチューブ状と称され得るが(両方の用語が、全体を通して相互交換可能に使用される)、代替的に、非円筒形状であってもよい。明細書および特許請求の範囲の全体を通して使用されているような「円筒形状の」という用語は、円形断面だけでなく、楕円形および他の湾曲した断面も含む。いくつかの実施形態によれば、チューブ状部材の直径は、その軸線方向の長さにわたって均一になっていることが可能である。代替的に、いくつかの実施形態によれば、チューブ状部材の直径は、その軸線方向の長さにわたって変化することが可能である。いくつかの実施形態によれば、遮断部材は、示されているような丸みを帯びた角部を備えた三角形の形状を有することが可能である。代替的に、それは、長円形、長方形、円形、または他の形状、たとえば、ひし形形状(いくつかの実施形態によれば)を有することが可能である。
【0033】
図3A~
図3Bは、いくつかの実施形態による、それぞれ心臓拡張期および心臓収縮期において、血管系(たとえば、大静脈)の中に植え込まれている三尖弁閉鎖不全症治療デバイス10の簡略化された説明図である。
図3Aは、心臓拡張期を示しており、心臓拡張期では、右心室の中の圧力が降下し(たとえば、いくつかの実施形態では、約0mmHgまで)、大静脈の中の血液圧力が、遮断部材16が開くことを引き起こし、開口部14を通るフローを可能にする。心臓収縮期が
図3Bに示されており、
図3Bでは、右心室の中の圧力が増加している。デバイス10の使用は、いくつかの実施形態では、右心室から右心房の中への血液の逆流を完全には防止しない不十分な三尖弁(すなわち、それが完全に閉じることができないためである)に起因している。したがって、いくつかの実施形態によるデバイスによって、心臓収縮期圧力は、遮断部材が閉じて右心房開口部を通るフローを防止することを引き起こす(
図3Bを参照)。これは、右心室および右心房から静脈系の中への血液の逆流を実質的に減少させる。いくつかの実施形態では、および、
図3Bに示されているように、遮断部材16が開口部14を遮断しているときには、チューブ状部材および遮断部材は、一緒になって、閉じた円筒形状の外側形状を含み、それは、送達カテーテルの中にデバイスを出し入れするのに有利である。
【0034】
図4A~
図4Cは、本開示の三尖弁閉鎖不全症デバイスのいくつかの実施形態を図示している。示されているように、デバイス10は、チューブ状部材12と、被覆材18と、複数の弁とを含み、チューブ状部材12は、ステント15を含むことが可能であり、ステント15は、複数のセル15aを含むことが可能であり、複数の弁は、開口部14を遮断および遮断解除するための遮断部材16を含む。いくつかの実施形態では、弁のうちの1つまたは複数のための開口部は、(たとえば、示されているように)ステントのセル15aのエリアの一部分だけに対応することが可能である。図に示されているように、ステントの端部は、大静脈の内部表面との相互作用を回避するために、わずかに湾曲していることが可能である。
【0035】
追加的に:
- 被覆材18は、ステントの実質的にすべてまたは一部分をカバーすることが可能である。したがって、たとえば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の端部(図示されているように、両方の端部)におけるステントの一部分は、被覆材なしのままにされ得る
;および/または
- 放射線不透過性マーカー28(
図4A~
図4B参照)が、体腔の中での軸線方向のおよび回転方向の位置決めのために、デバイスの上に提供され得る。典型的に、放射線不透過性マーカーは、文字「L」、「E」、または「C」の形状になっており、デバイスの回転方向位置をマークすることが可能であり、これらのまたは他のマーカーが、デバイスの上のさまざまな軸線方向の位置に設置され得、植え込んでいるオペレーターが、デバイス軸線方向の位置を理解して制御することができる。
【0036】
また、
図4A~
図4Cに図示されているデバイスは、スカート24を含むことが可能であり、スカート24は、補強ワイヤー26をその中におよび/またはその上に含むことが可能である(それは、たとえば、いくつかの実施形態では、起伏のある/正弦波の構成で配置され得る)。スカートは、チューブ状部材の一部分の上に配置され、取り付けられ得、また、右心房(RA)から下大静脈(IVC)の中への逆流を防止することおよび1つまたは複数の肝静脈の閉塞を防止することのうちの少なくとも1つを行うように構成され得る。
【0037】
デバイスは、経皮的にまたは外科的手段によって送達され得る。たとえば、
図5の例示的な実施形態に示されているように、デバイスは、経カテーテル大腿骨/腸骨アプローチにおいて、IVCを通して経皮的に送達され得、または、経カテーテル頸部/橈骨/鎖骨下アプローチにおいて、SVCを通して経皮的に送達され得る。
【0038】
図6A~
図6Bは、植え込み後の研究に関する生理学的な改善を図示するチャートである。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態では、血液フローの方向(進入および退出のうちのいずれかまたは両方)は、特定の(たとえば、単一の)方向になっている必要がないということは、特に注目に値する。たとえば、いくつかの実施形態では、血液は、1つの方向からデバイスの中へ流れ、次いで別の方向に退出する必要はない(たとえば、デバイスの中への血液フローに対して垂直方向のデバイスから外へのフロー)。いくつかの実施形態では、血液の進入方向と退出方向との間の比較的に小さい角度は、より大きい有効性を患者に提供する。
【0040】
具体的には、フロー方向の急激な変化(血管(または、血液がそれを通って流れるデバイス)の幾何学形状に主に起因する)は、乱流および流れの剥離につながる可能性がある。乱流は、流体フローの非効率的な形態であり、急速に変化する圧力および速度によって特徴付けられる。生理学的な設定において、乱流は、血液がその自然な進路で移動することを防止し、所与の断面積を横切る血液の流動の減少を結果として生じさせることとなる。血液供給レートの低減は、血液圧力/速度の増加によって克服され得るが、乱流は流体の速度によって直接的に影響を与えられるので、血液速度の増加がさらなる乱流を結果として生じさせることとなり、以下同様に続く。
【0041】
そのうえ、流れの剥離(流体が壁部から引き離され、それと関連付けられる低減された流量を含む領域を結果として生じさせるとき)は、血管分岐、動脈瘤、狭窄、および他の血液フロー干渉においてよく起こることであるので、遅い流れの領域の中の血液は、典型的に、再循環パターンを形成し、再循環パターンにおいて、血液がそのエリアの中に捕捉される(すなわち、血液は流れている流体圧力に打ち勝って主流フローに再進入することができないため、それは再循環ゾーンの中に捕捉される)。一般に、主流体フロー方向と壁部との間の角度が比較的に大きいときに、これが起こる。
【0042】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、1つまたは複数のフラップ/カバー/遮断部材および1つまたは複数の開口部を含む1つまたは複数の弁は、大静脈の中の自然なフローの方向に比較的に近いフロー方向に、血液がチューブ状部材(すなわち、デバイス)を退出することを許容するような様式で開くように構成されている。これは、血液フロー方向の突然の変化を強制するデバイスと比較して、乱流および流れの剥離の低減または(多くのケースでは)排除を結果として生じさせる。
【0043】
また、三尖弁が、典型的に数分の1秒の持続期間にわたって心臓拡張期の間に開くということも注目に値する。この目的のために、心臓拡張期ごとに三尖弁を通って右心室に進入するべき血液の量は、典型的に、50ミリリットルを超える。追加的に、心臓拡張期の間に三尖弁を横切る圧力勾配(それは、血液フロー駆動力)は、数ミリメートルの水銀に過ぎず、典型的に、10mmHg未満である。したがって、三尖弁は、当然ながら、小さい持続期間および駆動力の下で比較的に大きい流入レートを可能にする。したがって、三尖弁は(同様の条件を経験する僧帽弁とともに)、典型的に、大きい流入断面積によって特徴付けられる。したがって、いくつかの実施形態は、この原則に従い、比較的に大きい開口面積を継続する高流量弁を提供する。
【0044】
また、この目的のために、いくつかの実施形態では、三尖弁閉鎖不全症デバイス/デバイスおよび含まれている弁構造体は、圧力勾配を変化させることを可能にする(それは、数分の1秒の中で著しく変化することが可能である)ということが、特に注目に値する。したがって、そのような実施形態は、先行技術のデバイスはできないが、かなりの量(たとえば、50ml以上)の血液がそれを横切って流れることを可能にする。これは、弁が開いている残りの数分の1秒において、弁を通る逆流を止めるために弁が急速に閉じなければならないからであり、それは、本開示の実施形態のうちのいくつかにおいて起こるものである(その理由は、そのような実施形態を通る血液の流入がわずか数mmHgの圧力勾配によって駆動されるからである)。「スリット弁」を通るそのような小さい持続期間におけるそのようなフローは可能ではない(たとえば)。
【0045】
したがって、いくつかの実施形態では、開示されているデバイスは、高フロー弁(それは、たとえば、スリット弁によって提供され得ない)を提供し、それは、比較的に大量の血液が少量の時間の中でそれを横切って流れることを可能にし、それは、小さい圧力勾配(たとえば、約10mmHg未満)によって駆動される。いくつかの実施形態によれば、そのようなものは、大きい(たとえば、2平方cmよりも大きい)開口(オープン)面積を構成する1つの弁または複数の弁を含むデバイスを構成することによって実現される。
【0046】
さまざまな本発明の実施形態が本明細書で説明および図示されてきたが、当業者は、機能を果たすための、ならびに/または、結果および/もしくは本明細書で説明されている利点のうちの1つもしくは複数を取得するための、さまざまな他の手段および/または構造体を容易に想像することとなり、そのような変形例および/または修正例のそれぞれは、本明細書で説明されている本発明の実施形態の範囲の中にあると見なされる。より一般的には、本明細書で説明されているすべての構造体、パラメーター、寸法、材料、機能性、および構成は、例であるということを意味しているということ、ならびに、実際の構造体、パラメーター、寸法、材料、機能性、および構成は、本発明の教示が使用される1つまたは複数の特定の用途に依存することとなるということを、当業者は容易に認識するであろう。当業者は、本明細書で説明されている特定の本発明の実施形態に対する多くの均等物を認識することとなり、または、単なる日常的な実験を使用してそれを確認することができる。したがって、先述の実施形態は単なる例として提示されているということ、ならびに、本開示によってサポートされている特許請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲の中で、本発明の実施形態は、具体的に説明および特許請求されているもの以外の方法で実践され得るということが理解されるべきである。また、本開示の本発明の実施形態は、本明細書で説明されているそれぞれの個々の特徴、システム、物品、構造体、材料、キット、機能性、ステップ、および方法に関する。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、構造体、材料、キット、機能性、ステップ、および方法の任意の組み合わせは、そのようなものが相互に矛盾しない場合には、本開示の本発明範囲の中に含まれる。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の特徴/エレメント/機能性が具体的に欠けているために(すなわち、そのような実施形態に関する特許請求の範囲は、否定的な限定を含むことが可能である)、先行技術から区別可能であり得る。
【0047】
また、述べられているように、さまざまな発明概念は、1つまたは複数の方法として具現化されており、その例が提供されてきた。方法の一部として実施される行為は、任意の適切な方式で順序付けされ得る。したがって、図示されているものとは異なる順序で行為が実施される実施形態が構築され得、それは、例示目的の実施形態においてシーケンシャルな行為として示されていたとしても、同時にいくつかの行為を実施することを含むことが可能である。
【0048】
本出願のどこかで提示されている刊行物または他の文献(それに限定されないが、特許、特許出願、記事、ウェブページ、本などを含む)に対する任意のおよびすべての参照は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。そのうえ、本明細書で定義および使用されているようなすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献の中の定義、および/または、定義される用語の通常の意味を支配するということが理解されるべきである。
【0049】
明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用されているような不定冠詞「a」および「an」は、反対のことが明確に示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味することが理解されるべきである。明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用されているような「および/または」という語句は、そのように等位接続されているエレメント(すなわち、いくつかのケースでは結合的に存在し、他のケースでは選言的に存在しているエレメント)の「いずれかまたは両方」を意味することが理解されるべきである。「および/または」を伴って列挙されている複数のエレメントは、同じ方式で解釈されるべきである(すなわち、そのように等位接続されているエレメントのうちの「1つまたは複数」)。他のエレメントは、「および/または」節によって具体的に識別されているエレメント以外に、具体的に識別されているそれらのエレメントに関係付けられるかどうかに関わらず、随意的に存在している可能性がある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのような開放型の言語とともに使用されているときには、1つの実施形態では、Aのみ(随意的に、B以外のエレメントを含む)を指すことが可能であり、別の実施形態では、Bのみ(随意的に、A以外のエレメントを含む)を指すことが可能であり、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意的に、他のエレメントを含む)を指すことなどが可能である。
【0050】
明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用されているように、「または」は、上記に定義されているような「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リストの中の項目を分離するときに、「または」または「および/または」は、包含的であるとして解釈されるものとする(すなわち、複数のまたはリストのエレメントのうちの少なくとも1つ(しかし、2つ以上も含む)、および、随意的に、追加的な列挙されていない項目を包含する)。反対のことが明確に示されている用語のみ、たとえば、「のうちの1つのみ」もしくは「のうちの正確に1つ」、または、特許請求の範囲の中で使用されときには、「からなる(consisting of)」などは、複数のまたはリストのエレメントのうちの正確に1つのエレメントを含むことを表すこととなる。一般的に、本明細書で使用されているような「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」などのような、排他性の用語によって先行されるときに、排他的な代替(すなわち「一方または他方、しかし、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の中で使用されるときには、特許法の分野において使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0051】
明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用されているように、1つまたは複数のエレメントのリストに関連する「少なくとも1つの」という語句は、エレメントのリストの中のエレメントのうちの任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つのエレメントを意味することが理解されるべきであるが、必ずしも、エレメントのリストの中に具体的に列挙されているそれぞれのおよびすべてのエレメントのうちの少なくとも1つを含むとは限らず、また、エレメントのリストの中のエレメントの任意の組み合わせを除外しない。また、この定義は、具体的に識別されているそれらのエレメントに関係しているかどうかに関わらず、「少なくとも1つ」という語句が参照するエレメントのリストの中に具体的に識別されているエレメント以外にエレメントが随意的に存在する可能性があるということを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、均等的に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、均等的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、Bが存在していない状態で(および、随意的にB以外のエレメントを含む)少なくとも1つのA(随意的に、2つ以上のAを含む)を指すことが可能であり、別の実施形態では、Aが存在していない状態で(および、A以外のエレメントを随意的に含む)少なくとも1つのB(随意的に、2つ以上のBを含む)を指すことが可能であり、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのA(随意的に、2つ以上のAを含む)および少なくとも1つのB(随意的に、2つ以上のBを含む)(および、他のエレメントを随意的に含む)などを指すことが可能である。
【0052】
特許請求の範囲において、および、上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、および「から構成される(composed of)」などのようなすべての移行句は、開放型であると理解されるべきであり、すなわち、「~を含むが、それに限定されない」と意味すると理解されるべきである。「からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句だけは、米国特許庁特許審査手続きマニュアルのセクション2111.03に記載されているように、それぞれ、閉鎖型または半閉鎖型の移行句であるものとする。
【符号の説明】
【0053】
1 上大静脈
2 右心房
3 下大静脈
4 三尖弁
5 右心室
6 冠状静脈洞
7 僧帽弁
8 左心室
9 左心房
10 三尖弁閉鎖不全症治療デバイス
12 大静脈部材、チューブ状部材
14 開口部
15 ステント
15a セル
16 遮断部材
16a 補強構造体
18 被覆材
20 三尖弁閉鎖不全症治療デバイス
22 フラット弁、遮断エレメント
24 スカート
26 補強ワイヤー
28 放射線不透過性マーカー