(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コントローラ内部回路の自己検証
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240214BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01R31/00
G05B23/02 302Z
(21)【出願番号】P 2020570109
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019050123
(87)【国際公開番号】W WO2020060782
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】シリマン,ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】ホフスダル,ギルバート ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイザー,ダニエル エル.
(72)【発明者】
【氏名】シャピーロ,アリン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0214810(US,A1)
【文献】特開2013-192284(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158602(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0009648(US,A1)
【文献】特開2009-268201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路動作をテストするシステムであって、
電源、スイッチング素子及び負荷を含む回路と、
前記スイッチング素子と前記負荷の間に配置された感知素子であって、マイクロコントローラと通信可能に結合された前記感知素子とを含み、前記マイクロコントローラは、
前記感知素子から、前記スイッチング素子を作動させることに応答して、前記負荷と関連した第1のセンサデータであって、前記負荷と関連した電気的値を含む前記第1のセンサデータを、取得することと、
前記感知素子から、前記スイッチング素子の出力と関連した第2のセンサデータであって、前記スイッチング素子の出力と関連した電気的値を含む前記第2のセンサデータを、取得することと、
前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータを分析して前記回路の障害状態を判定することと
を含む前記回路の診断動作を実行するように構成され
、
前記第1のセンサデータを分析することが、前記負荷と関連した前記電気的値を前記負荷の動作範囲の値と比較することを含み、
前記第2のセンサデータを分析することが、前記スイッチング素子の前記出力と関連した前記電気的値を前記スイッチング素子の前記出力の動作範囲の値と比較することを含み、
前記回路の前記診断動作がさらに、
前記負荷と関連した前記電気的値が前記負荷の前記動作範囲外の値であるという判定と、
前記スイッチング素子の前記出力と関連した前記電気的値が前記スイッチング素子の前記出力の前記動作範囲内の値であるという判定と、
に基づいて前記障害状態を前記負荷と関連させることを含む、前記システム。
【請求項2】
前記感知素子が第1の感知素子であり、前記システムがさらに、
前記電源と前記スイッチング素子の間に配置される第2の感知素子であって、前記マイクロコントローラに通信可能に結合された前記第2の感知
素子を含み、前記回路の前記診断動作がさらに、
前記第2の感知素子から、前記電源と関連した第3のセンサデータであって、前記電源と関連した電気的値を含む前記第3のセンサデータを、取得することと、
前記電源と関連した前記電気的値を前記電源の動作範囲の値と比較することとを含む、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回路の前記診断動作がさらに、
前記スイッチング素子の前記出力と関連した前記電気的値が前記スイッチング素子の前記出力の前記動作範囲外の値であるという判定と、
前記電源と関連した前記電気的値が前記電源の前記動作範囲内の値であるという判定とに基づいて前記障害状態を前記スイッチング素子と関連させること
を含む、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記回路の前記診断動作がさらに、
前記電源と関連した前記電気的値が前記電源の前記動作範囲外の値であるという判定に基づいて前記障害状態を前記電源と関連させること
を含む、請求項
2に記載のシステム。
【請求項5】
前記回路の前記診断動作がさらに、
前記障害状態に基づいてアラートを生成することと、
ディスプレイデバイスに前記アラートを表示することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記感知素子が電圧感知回路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記感知素子が電流感知回路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記感知素子が前記スイッチング素子の前記出力に結合された帰還抵抗器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロコントローラに通信可能に結合されたアナログデジタル変換器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記回路がトレーラ冷蔵ユニットのための制御システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
回路動作をテストする方法であって、
プロセッサによって回路の感知素子から、前記回路上の負荷と関連した第1のセンサデータを取得することであって、前記回路は電源及びスイッチング素子を含み、
前記第1のセンサデータは前記スイッチング素子の動作に応答して取得され、
前記第1のセンサデータは前記負荷と関連した電気的値を含む、
前記取得することと、
前記感知素子から、前記スイッチング素子の出力と関連した第2のセンサデータであって、前記スイッチング素子の前記出力と関連した電気的値を含む前記第2のセンサデータを、取得することと、
前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータを分析して前記回路の障害状態を判定することと
を含
み、
前記第1のセンサデータを分析することが、前記負荷と関連した前記電気的値を前記負荷の動作範囲の値と比較することを含み、
前記第2のセンサデータを分析することが、前記スイッチング素子の前記出力に関連した前記電気的値を前記スイッチング素子の前記出力の動作範囲の値と比較することを含み、
前記負荷と関連した前記電気的値が前記負荷の前記動作範囲外の値であるという判定と、
前記スイッチング素子の前記出力と関連した前記電気的値が前記スイッチング素子の前記出力の前記動作範囲内の値であるという判定と、
に基づいて前記障害状態を前記負荷と関連させることをさらに含む、前記方法。
【請求項12】
前記回路の第2の感知素子から、前記電源と関連した第3のセンサデータであって、前記電源と関連した電気的値を含む第3のセンサデータを、取得することと、
前記電源と関連した前記電気的値を前記電源の動作範囲の値と比較することと
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記スイッチング素子の前記出力と関連した前記電気的値が前記スイッチング素子の前記出力の前記動作範囲外の値であるという判定と、
前記電源と関連した前記電気的値が前記電源の前記動作範囲内の値であるという判定とに基づいて前記障害状態を前記スイッチング素子と関連させること
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記電源と関連した前記電気的値が前記電源の前記動作範囲外の値であるという判定に基づいて前記障害状態を前記電源と関連させること
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記障害状態に基づいてアラートを生成することと、
ディスプレイデバイスに前記アラートを表示することと
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、回路診断の技術、より具体的には、コンテナコントローラ内部回路の自己検証に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送用冷蔵ユニット(TRU)は、特定の温度または温度範囲内で生鮮食品の貨物の輸送を行うように設計されたコンテナである。TRUは、キャビン内で特定の温度を維持するための様々な冷蔵システムを装備することができる。通常、制御システムは冷蔵システムを動作して、キャビン内の温度を維持する。これらの制御システムは、時間の経過とともに誤動作する可能性のある回路素子で構成されている。さらに、制御システムのコンポーネント間の接続が低下したり、切断されたりする可能性がある。例えば、制御システムに負荷がかかると、制御システムのピンとの機械的な接続が失われる可能性がある。誤動作が発生したときに制御システムを単に交換するのではなく、誤動作の原因を特定するために、制御システムの回路内の様々な場所のテストプロセスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態によれば、システムが提供される。このシステムは、電源、スイッチング素子、及び負荷を含む回路を含む。感知素子はスイッチング素子と負荷の間に配置され、感知素子はマイクロコントローラに通信可能に結合され、マイクロコントローラは、感知素子から、スイッチング素子を作動することに応答した負荷と関連した第1のセンサデータであって、負荷と関連した電気的値を含む、第1のセンサデータを取得することと、感知素子から、スイッチング素子の出力と関連した第2のセンサデータであって、スイッチング素子の出力と関連した電気的値を含む第2のセンサデータを取得することと、第1のセンサデータ及び第2のセンサデータを分析して回路の障害状態を判定することとを含む診断動作を、回路に対して実行するように構成される。
【0004】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、第1のセンサデータを分析することが、負荷に関連した電気的値を負荷の動作範囲の値と比較することを含む、ということを含み得る。
【0005】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、第2のセンサデータを分析することが、スイッチング素子の出力に関連した電気的値をスイッチング素子の出力の動作範囲の値と比較することを含む、ということを含み得る。
【0006】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、回路の診断動作が、負荷と関連した電気的値が負荷の動作範囲外の値であるという判定、及び、スイッチング素子の出力と関連した電気的値がスイッチング素子の出力の動作範囲内の値であるという判定に基づいて、障害状態を負荷と関連させることをさらに含む、ということを含み得る。
【0007】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、感知素子は第1の感知素子であり、システムは電源とスイッチング素子の間に配置される第2の感知素子をさらに含み、第2の感知素子はマイクロコントローラと通信可能に結合され、回路の診断動作は、第2の感知素子から、電源と関連した第3のセンサデータであって、電源と関連した電気的値を含む第3のセンサデータを取得することと、電源に関連した電気的値を電源の動作範囲の値と比較することとをさらに含む、ということを含み得る。
【0008】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、回路の診断動作が、スイッチング素子の出力と関連した電気的値がスイッチング素子の出力の動作範囲外の値であるという判定、及び、電源と関連した電気的値が電源の出力の動作範囲内の値であるという判定に基づいて、障害状態をスイッチング素子と関連させることをさらに含む、ということを含み得る。
【0009】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、回路の診断動作が、電源と関連した電気的値が電源の動作範囲外の値であるという判定に基づいて、障害状態を電源と関連させることをさらに含む、ということを含み得る。
【0010】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、回路の診断動作が、障害状態に基づいてアラートを生成することと、ディスプレイデバイスにアラートを表示することとをさらに含む、ということを含み得る。
【0011】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、感知素子が電圧感知回路を含む、ということを含み得る。
【0012】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、感知素子が電流感知回路を含む、ということを含み得る。
【0013】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、感知素子がスイッチング素子の出力に結合された帰還抵抗器を含む、ということを含み得る。
【0014】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、マイクロコントローラに通信可能に結合されたアナログデジタル変換器を含み得る。
【0015】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、システムのさらなる実施形態は、回路がトレーラ冷蔵ユニットのための制御システムであるということを含み得る。
【0016】
一実施形態によれば、方法が提供される。この方法は、回路の感知素子からプロセッサによって、回路上の負荷と関連した第1のセンサデータを取得することであって、回路は電源及びスイッチング素子を含み、第1のセンサデータはスイッチング素子の動作に応答して取得され、第1のセンサデータは負荷と関連した電気的値を含む、取得することと、感知素子から、スイッチング素子の出力と関連した第2のセンサデータであって、スイッチング素子の出力と関連した電気的値を含む第2のセンサデータを取得することと、第1のセンサデータ及び第2のセンサデータを分析して回路の障害状態を判定することとを含む。
【0017】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、第1のセンサデータを分析することが、負荷に関連した電気的値を負荷の動作範囲の値と比較することを含み、第2のセンサデータを分析することが、スイッチング素子の出力に関連した電気的値をスイッチング素子の出力の動作範囲の値と比較することを含む、ということを含み得る。
【0018】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、負荷と関連した電気的値が負荷の動作範囲外の値であるという判定、及び、スイッチング素子の出力と関連した電気的値がスイッチング素子の出力の動作範囲内の値であるという判定に基づいて、障害状態を負荷と関連させることを含み得る。
【0019】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、回路の第2の感知素子から、電源と関連した第3のセンサデータであって、電源と関連した電気的値を含む第3のセンサデータを取得することと、電源と関連した電気的値を電源の動作範囲の値と比較することとを含み得る。
【0020】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、スイッチング素子の出力と関連した電気的値がスイッチング素子の出力の動作範囲外の値であるという判定、及び、電源と関連した電気的値が電源の出力の動作範囲内の値であるという判定に基づいて、障害状態をスイッチング素子と関連させることを含み得る。
【0021】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、電源と関連した電気的値が電源の動作範囲外の値であるという判定に基づいて、障害状態を電源と関連させることを含み得る。
【0022】
上記の特徴の1つ以上に加えて、または、代替として、方法のさらなる実施形態は、障害状態に基づいてアラートを生成することと、ディスプレイデバイスにアラートを表示することとを含み得る。
【0023】
以下の説明は、いかなる形であれ制限的なものであるとみなされるべきではない。添付の図面に関し、同様の要素には同様の番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】例示的な実施形態における輸送用冷蔵ユニットを示す図である。
【
図3】1つ以上の実施形態による、内部回路を利用する自己検証を備えた制御システムのブロック図である。
【
図4】1つ以上の実施形態による、回路動作をテストするための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
より具体的に本開示の態様に関連する技術の概要にここで目を向けると、輸送用冷蔵ユニット(TRU)は、特定の温度または温度範囲内で生鮮食品の貨物の輸送を行うように設計されたコンテナである。海上、鉄道または道路を経て貨物を輸送するために利用される物などの冷蔵貨物トラックまたは冷蔵トラクタトレーラは、トラック、トレーラまたは貨物コンテナであり、通常、貨物室を定め、トラック、トレーラまたは貨物コンテナの一方の端に配置された冷蔵システムを含むように変更されている。冷蔵システムは、通常、周知の冷媒蒸気圧縮サイクルに従って閉冷媒回路の冷媒ラインによって直列に接続されたコンプレッサ、コンデンサ、膨張弁及び蒸発器を含む。燃焼機関などの動力装置は、冷蔵ユニットのコンプレッサを駆動し、ディーゼル動力、天然ガス動力または他のタイプのエンジンでもよい。TRUは、キャビン内で特定の温度を維持するための様々な冷蔵システムを装備することができる。通常、オンボードコントローラ回路が冷蔵システムの動作を管理する。時間の経過とともに、オンボードコントローラ回路にはメンテナンス及び/またはテストが必要になる。コントローラの出力の機能的動作を点検するために、出力状態は、出力を起動させて、種々のテストポイントで電圧または電流計テストによって負荷状態及び出力動作をモニタする訓練されたサービス担当者によって、手動でモニタされる。これらのサービステストポイントによって、サービス技術者がコントローラ回路のシステム故障をトラブルシュートすることができる。通常、コントローラには複数の出力があるため、この手動テストは複雑になる可能性がある。例えば、現在の冷蔵コントローラには29個の出力がある。これらのコントローラ回路のコストとスペースの制約を満たすために、これらのサービステストポイントを削除することができる。
【0026】
ここで本開示の態様の概要に目を向けると、本開示の1つ以上の実施形態は、コントローラが内部電流及び電圧感知入力を利用して自己検証を実行できるようにするためのシステム及び方法を提供することによって、上記の問題に対処する。コントローラは、コントローラ出力をモニタする3つの内界センサを利用して自己検証を実行することができる。コントローラ出力は、例えば、24VのA/C負荷及び12VのD/C負荷などのコントローラ上の負荷の混合を含むことができる。電源入力からの内部電圧フィードバック及びモニタされている各出力は、出力状態変化のため出力で期待される電圧変化と比較することができる。測定された電流の内部電流センサの読み取り値は、DC12V及びAC24V負荷の期待される電流と比較することができる。出力電圧と電流をモニタすることにより、コントローラで実行される正しい出力動作の自己診断をできる。
【0027】
上記のように、コントローラ(または制御システム)はTRUで利用される。
図1は、冷蔵トレーラを有する例示的な輸送用冷蔵システム50を示す。トレーラは、トラクタ52によって引っ張られてもよい。例示的なトレーラは、内部区画室56を定めているコンテナ54を含む。本明細書に記載の実施形態は、トラクタ52を使用せずに、鉄道または海上で輸送される輸送コンテナに適用され得ることが理解される。コンテナ54の前面に載置される器材ハウジング58は、電源を含んでもよい。冷蔵システムは電源に電気的に結合されて、電力を受信し得る。冷蔵システムは、当技術分野で知られているように、冷媒を循環させるための冷却回路を定めているコンプレッサ、コンデンサ、膨張弁及び1つ以上の蒸発器を含む。冷蔵システムには、凝縮器ファン、蒸発器ファンまたは換気ファンなどの1つ以上のファンも含まれる。本明細書に記載の実施形態が、鉄道、海上、航空または他の任意の適切なコンテナによって輸送される輸送コンテナに適用してもよく、したがって、輸送手段はトラック、列車、ボート、飛行機などでもよいことが理解される。
【0028】
冷蔵システム60の実施形態の概略図は、
図2に示される。冷蔵システム60は、電源96と、コンプレッサ76、コンデンサ78、冷媒調整器70、蒸発器82及びファン74、84により構成される冷蔵ユニット64、ならびに制御システム86(「コントローラ」)を含む。冷蔵ユニット64は、冷媒が閉ループパス88のコンプレッサ76、コンデンサ78、冷媒調整器70及び蒸発器82を通って進行するように構成される。ファン84は、交流(「ac」)モーターまたは直流(「dc」)モーターを備えており、
図1の内部区画室56から、及び/またはいくつかの実施形態では
図1の内部区画室56の外から、蒸発器82を通り、そして
図1の内部区画室56の中へと戻る空気80を、状態調節するように構成される。ファン74は、交流(「ac」)モーターまたは直流(「dc」)モーターを備えており、冷蔵システムからの熱を排除するために、コンデンサ78を通して、外気90を移動するように構成される。電源96は、冷蔵ユニット64のコンポーネント(例えば、コンプレッサ76、冷媒調整器70、ファン84、ファン74、コントローラ98など)の1つ以上に電力を供給するように適合されている。
【0029】
コントローラ回路86は、内部区画室内の環境パラメータ(例えば、温度、圧力、湿度など)を示す、内部区画室及び/または冷蔵ユニット64内に配置された1つ以上のセンサ40から1つ以上のフィードバック信号、及び/または冷蔵ユニット64の動作パラメータを示すフィードバック信号を受信するように適合されたプロセッサ98を含む。プロセッサ98はさらに、フィードバック信号、アルゴリズム、またはそれらのいくつかの組み合わせに基づいて、冷蔵ユニット64と通信するアクチュエータ92(例えば、スイッチ、バルブ、リレー、トライアック、FET、トランジスタ、及び他のパワースイッチングデバイス)を使用して、冷蔵ユニット64の動作モードを選択的に維持または変更するように適合されている。例えば、内部区画室内で感知された温度値は、コントローラ86に、動作していない冷蔵ユニット64を作動させて内部区画室に冷却空気を供給するように促してもよく、またはコントローラ86に、動作している冷蔵ユニット64を解放するように促してもよい。同様に、冷蔵ユニット64に関連する動作パラメータ値は、コントローラ86に、休止状態の冷蔵ユニット64を係合するように、または動作中の冷蔵ユニット64を解放するように促してもよい。プロセッサ98の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得ることに留意されたい。
【0030】
図3は、1つ以上の実施形態による、内部回路を利用する自己検証を備えた制御システムのブロック図を示す。制御システム300は、プロセッサ302及びアナログデジタル変換器(ADC)304を含む。マイクロコントローラ302は、1つ以上の電源スイッチ306a、306bを動作させるように構成される。制御システム200は、1つ以上の電源310、312及び1つ以上の負荷350、352を含む。負荷350、352は、例えば、
図2の冷蔵ユニット64の要素のいずれかであり得る。電源310、312は、交流(AC)電源または直流(DC)電源であり得る。電源310、312は、電源310(ハイサイドパワースイッチングエレメント)またはグランド(ローサイドパワースイッチングエレメント)に接続されたスイッチングエレメント306a、306bに接続することができる。1つ以上の実施形態では、制御システム300は、
図2で説明したように、冷蔵ユニット64のコントローラ86であり得る。
【0031】
1つ以上の実施形態では、電源310、312からの電力入力は、ADC304によってモニタすることができるので、プロセッサ302は、負荷電力の存在または利用可能性を検出することができる。ADC304への入力を使用して、抵抗器322及び抵抗器324は電源310をモニタすることができ、抵抗器326及び抵抗器328は電源312をモニタすることができる。ADC304の出力は、プロセッサ302にルーティングされる前に、マルチプレクサ(MUX)を通過することができる。プロセッサ302は、ADC304出力を分析して、モニタされた電圧または電流が回路の通常の動作範囲内にあるかどうかを判定して、制御システム300に潜在的な問題があるかどうかを判定することができる。1つ以上の実施形態では、基準電圧(VREF1)は、AC電力信号にDCオフセットを提供して、完全なAC信号をADC304によって確実に読み取ることができるようにすることができる。電流センサ320は、電力出力に流れる負荷電流をモニタするために利用される。電流センサ320は、ACまたはDC電流センサであり得る。
【0032】
1つ以上の実施形態では、スイッチング素子306a、306bは、制御システム300の通常の動作またはシステムの診断テスト中の両方に必要に応じて、各素子を個別にまたは協調して制御できるプロセッサ302によって制御される。第1のスイッチング素子306aの出力は、入力チャネル経由でADC304に接続された第1の帰還抵抗器332を介してフィードバックすることができる。第2のスイッチング素子306bの出力は、ADC304に接続された第2の帰還抵抗器334を介してフィードバックすることができる。他の任意のスイッチング素子については、追加の帰還抵抗器336を利用することができる。1つ以上の実施形態では、加算ジャンクションは、基準電圧(VREF2)によってオフセットされて、AC信号がクリッピングすることなくモニタされることを可能にし得る。スイッチング素子306a、306bの出力は、オフ状態のスイッチング素子306a、306bからのアナログ信号が、浮動出力または潜在的な漏れ電流に起因するエラーを回避することによって期待される状態に従うことを確実にするために、プルアップ抵抗器334またはプルダウン抵抗器342を有し得る。1つ以上の実施形態では、帰還抵抗器332、334、336は、負荷350、352よりもはるかに大きくすることができ、その結果、フィードバックは、スイッチング素子306a、306bに有意な負荷を追加しない。また、共通電圧フィードバックノード(例えば、加算抵抗器)338に対する帰還抵抗器332、334、336の抵抗比は、分解能または範囲のいずれかに対して最適化することができる。すべての出力に共通の電圧フィードバックノード338を利用して、1つ以上の出力の出力状態の変化を表す電圧の変化を感知する。すべての出力に対して単一の電圧帰還ノード338とする利点は、最小数のコンポーネント及びADCリソース(1つのADCチャンネル)によってすべての出力のモニタリングを可能にする、サイズ及び複雑さの低減である。
【0033】
1つ以上の実施形態では、プロセッサ302を利用して、システム300の回路内の障害状態を識別するための診断動作を実行することができる。これは、ADC304を使用して電圧と電流の値をモニタすることによって実行される。制御システム300の問題が検出された場合、診断動作を自動的に開始することができ、技術者が手動でトラブルシューティングする必要がなくなる。診断動作中、プロセッサ302は、異なる負荷350、352及び電源310、312の既知の動作範囲の値にメモリからアクセスすることができる。例えば、各負荷350、352の公称電流は、プロセッサ302によってアクセスされるメモリに記憶することができる。
【0034】
1つ以上の実施形態では、プロセッサ302は、電源310、312をモニタしている対応するADC304チャネルを読み取ることによって、電源が存在し、動作範囲内の値にあることを検証することができる。プロセッサ302は、スイッチング素子306a、306bを作動させて、出力負荷350、352の1つ以上をオンにすることができる。プロセッサ302は、負荷電流及び/または負荷電圧の変化を検証し、これらの値を特定の負荷の動作範囲と比較することができる。負荷電流及び/または負荷電圧の変化が期待される値でない場合、プロセッサ302は、次に、スイッチング素子が状態を変化させているかどうかを検証することができる。スイッチング素子306a、306bが期待される値の範囲内で動作しており、負荷電流/電圧が期待される値の範囲内にない場合、負荷350は、制御システム300の問題の原因である可能性が高い。負荷の問題のいくつかの実施例としては、ワイヤまたはピンがコントローラから負荷に適切に接続されていない、または負荷のコンポーネントが誤動作している(たとえば、冷蔵ユニットのコンプレッサが不良であるなど)が含まれる。負荷電流/電圧値が期待される値の範囲内にあるが、スイッチング素子306a、306bの出力には電圧がない場合、スイッチング素子は、システム300の問題の原因であり得る。しかしながら、スイッチング素子が問題の考えられる原因であることを確認するために、プロセッサ302は、電源をモニタして、電源310、312が電源の期待される値の範囲内の電圧値を有するかどうかを判定する。電源310、312が期待される範囲内の電圧値を有し、負荷が期待される範囲内の電圧/電流値を有する場合、スイッチング素子306a、306bが問題の原因であり、交換する必要があるであろう。例えば、制御システムは通常、冷蔵制御ボード上のより小型のパワースイッチングデバイスよりも高い電流及び/または電圧の定格である接触器を使用して、冷蔵システムの負荷を制御する。例えば、コンテナシステムでは、制御システムはAC24V出力(トライアック/リレー)をオンにし、次にAC460V電源をコンプレッサに接続する高圧接触器に通電する。実施形態は、内部リレー/トライアックから高電圧接触器コイルに印加される24VAC電圧/電流を測定する制御システムの診断を参照するが、接触器接点を通過する460VAC電圧または電流は直接モニタされない。一次電圧及び電流信号をモニタするために使用してもよい別個のオプションの外部電圧及び電流逓降変圧器がある。本明細書の1つ以上の実施形態は、制御システムの、外部電源装置ではなく、内部電源制御装置の動作をモニタすることに関する。
【0035】
1つ以上の実施形態では、プロセッサ302は、電源、スイッチング素子、及び負荷の電圧/電流値をモニタすることに基づいて、アラートを生成することができる。このアラートは、システム300に接続されて技術者がアクセスするディスプレイデバイスに表示することができる。いくつかの実施形態では、アラートは、ネットワークを介してデバイスに送信され、ユーザに表示され得る。
【0036】
図4は、1つ以上の実施形態による、回路動作をテストするための方法の流れ図を示す。方法400は、ブロック402に示されるように、プロセッサによって回路内の感知素子から、回路上の負荷に関連した第1のセンサデータを取得することを含み、回路は、電源及びスイッチング素子を含み、第1のセンサデータは、スイッチング素子の動作に応答して取得され、第1のセンサデータは、負荷に関連した電気的値を含む。方法400は、ブロック404で、感知素子から、スイッチング素子の出力に関連した第2のセンサデータを取得することを含み、第2のセンサデータは、スイッチング素子の出力に関連した電気的値を含む。そして、ブロック406において、方法400は、第1のセンサデータと第2のセンサデータとを比較して、回路に障害状態が存在するかどうかを判定することを含む。
【0037】
追加のプロセスも含まれる場合がある。
図4に示されるプロセスは例証を表すということ、そして、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、他のプロセスを追加してもよく、または既存のプロセスを削除、修正、または再配置してもよいということが理解されるべきである。
【0038】
開示される装置の1つ以上の実施形態の詳細な説明が、図面を参照して、限定ではなく例証として本明細書において提示される。
【0039】
「約」という用語は、出願時に利用可能な装置に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことを意図している。例えば、「約」には、所与の値の±8%、5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0040】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段に明示されていない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、記載された機能、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0041】
本開示は、例示の1つ以上の実施形態を参照して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行ってもよく、等価物がその要素の代わりをする場合もあることは当業者によって理解されるであろう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況または材料を適合させるために、多くの修正を行ってもよい。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図されている。