(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ひげ剃り用カミソリカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20240214BHJP
B26B 21/22 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B26B21/14 A
B26B21/22 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021018443
(22)【出願日】2021-02-08
(62)【分割の表示】P 2019512212の分割
【原出願日】2017-08-30
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ポール ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ロバート ハリントン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン ガーディナー
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドロ カルロス リー
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-036972(JP,U)
【文献】特表2013-514145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0151772(US,A1)
【文献】特表平10-506813(JP,A)
【文献】米国特許第04831731(US,A)
【文献】特表2006-516464(JP,A)
【文献】米国特許第02505493(US,A)
【文献】特表平09-511939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B21/14;21/22;21/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)であって、
ハウジングの前部にある一次ガード(14、103、203)と、ハウジングの後部にある二次キャップ(16、105、205)とを有するハウジング(12、102、202)と、
一次キャップ表面(28、112、208)と、前記一次ガードと前記二次キャップとの間に配置された二次ガード表面(30、114、210)とを有するブリッジ部材(26、104、204)と、
前記一次ガードに最も近い刃先(22)を有する第1の刃(18)であって、前記一次ガードと前記一次キャップ表面との間で前記ハウジングに取り付けられた、第1の刃(18)と、
前記第1の刃の前記刃先と同じ方向に延び、前記二次キャップに最も近い刃先(24)を有する第2の刃(20)であって、前記二次ガード表面と前記二次キャップとの間で前記ハウジングに取り付けられた、第2の刃と、を備え、前記第1の刃の前記刃先と前記第2の刃の前記刃先との間の刃間スパン(S1)が3mm~6mmであり、
前記ブリッジ部材(204)が、前記第1の刃(18)の前記刃先(22)に対して横断方向に延びる、間隔を空けて配置された複数のリブ(206)を含み、
前記ブリッジ部材(204)が複数の開口部(214)を画定する、ひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項2】
前記刃間スパンが4.5mmよりも大きい、請求項1に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項3】
前記ブリッジ部材
の幅(W2、W3、W5)が2.5mm~4mmである、請求項1又は2に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項4】
前記刃間スパンが3.8mm~4.5mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項5】
前記ブリッジ部材(26、104、204)が、前記第1の刃(18)の刃支持部材(36)から間隔を空けて配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項6】
前記ひげ剃り用カミソリカートリッジが、同じ方向に延びる刃先(22、24)を有する2枚の刃(18、20)のみを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項7】
前記ブリッジ部材(26、104、204)の位置が、前記ハウジング(12、102、202)に対して固定され、前記第1及び第2の刃(18、20)が、前記ハウジング内の一対の対応するばね部材(60、62、64、66、124、126、128、130、216、218、220、222)上に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【請求項8】
前記ハウジング(12)に取り付けられた一対のクリップ(34a、34b)を更に備え、前記ブリッジ部材の上面(32、116、212)が、前記クリップの上面(48a、48b)と前記クリップの下面(50a、50b)との間の平面(P1)上に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載のひげ剃り用カミソリカートリッジ(10、100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひげ剃り用カミソリに関し、より詳細には、2つのガード、2つのキャップ、及び複数の刃を有するひげ剃り用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウェットシェービング式のひげ剃り用カミソリは、刃先を有する少なくとも1枚の刃を有するカートリッジ又は刃ユニットを有しており、このカートリッジ又は刃ユニットが、カートリッジが取り付けられたハンドルによってひげを剃る皮膚の表面にわたって動かされる。カートリッジは、刃の切れ味が不充分なレベルにまで低下した時点でカートリッジを新しいカートリッジに交換することができるようにハンドルに取り外し可能に取り付けるか、又は刃が鈍った時点でカミソリ全体を捨てることを意図してハンドルに永久的に取り付けることができる(すなわち使い捨てカミソリ)。カートリッジとハンドルとの接続は、カートリッジの角度が調節されてひげを剃る表面の輪郭を辿るように、ハンドルに対するカートリッジの枢動可能な取り付けを与える。そのようなシステムでは、カートリッジは、カートリッジハウジング上のカム表面に当てられてハンドル上に担持された、ばねで付勢されるプランジャー(カムフォロワー)の作用によって、静止位置の方へ向かって付勢され得る。
【0003】
カミソリカートリッジは通常、ひげ剃り中に刃の前方の皮膚と接触するガードと、刃の後方の皮膚と接触するキャップとを有している。キャップとガードは、いわゆる「ひげ剃りジオメトリ」、すなわち、ひげ剃り中の皮膚に対する刃の向き及び位置を決定するパラメータを確立する助けとなり、このパラメータはカミソリのひげ剃り性能及び効率に大きく影響する。キャップとガードは、刃の露出度を確立する助けとなり得る。刃の露出度は、刃先の前隣り及び後隣りの刃ユニットの要素の皮膚接触面に接する平面に対して測定される、刃先の垂直距離又は高さとして定義される。したがって、3枚刃の刃ユニットでは、1番目の刃又は第1の刃の露出度は、ガード及び2番目の刃に接する平面を基準として測定され、3番目の刃又は第3の刃の露出度は、第2の刃の刃先及びキャップに接する平面を基準として測定される。
【0004】
最小許容露出度は、ガードの皮膚係合面から第1の刃の刃先までの距離、すなわち、第1の刃の「スパン」のような他の刃ユニット寸法によって影響され得る。本明細書で言うところの「スパン」とは、刃先の直前の皮膚接触要素と刃先との間に延びる接線に沿って測定される、刃先からその刃先の直前の皮膚接触要素までの距離を意味する。ガードは、刃の支持を与えるハウジング又はプラットフォーム構造と一体に形成することが可能な、概ね剛性のガードバーを有することができる。ガードは、皮膚を引っ張り、かつ/又は刃の前方の毛髪を整列させることを意図した各種の弾性材料で形成された皮膚引っ張り要素を有してもよい。
【0005】
複数の刃を備えたカートリッジを有する安全カミソリは近年、膨大な数が販売されており、1枚刃のカミソリと比較して、特に深剃りに関して、より質の高いひげ剃りを与えるものとして一般に認知されている。多くの刃を有する刃ユニットは、1枚又は2枚の刃のみを有する同様の刃ユニットよりも深剃りを与えることができる。しかしながら、得られるひげ剃りの深剃り度は、カミソリのユーザがカミソリの性能を判断するうえでの1つのパラメータに過ぎない。考慮される別の重要な特性として、快適性がある。例えば、多くの消費者は、自分が、傷、切り傷、及び刺激に弱い敏感肌を有するとしている。ひげを剃る人によって「引き攣れ」感としてしばしば述べられるひげ剃りにおける不快感は、刺激される毛包の周囲の神経によって引き起こされる。この神経の刺激は、毛髪を動かすこと、毛髪を引っ張る、かつ/又は切断すること、及び皮膚の表面上でカミソリカートリッジを引くことによって発生し得る。
【0006】
更に、多くの消費者が、ひげ剃りを不快なものとするニキビ及び/又は須毛部仮性毛包炎(PFB)を有している。PFBすなわちひげ剃り後のぶつぶつは、丘疹及び膿疱をともなう異物炎症反応である。これは、もともと硬い、又は強く巻いた毛髪を有する成人男性、特に普段から深剃りをする成人男性に主としてみられる一般的な皮膚科学的状態である。皮膚の表皮に再び入り込む、又は毛包の壁を横断する深剃りによって切り詰められた顔の毛髪の先端は、患部に局在化した炎症反応を生じる。このプロセスによって、皮膚の二次感染が生じ、重篤な場合では永久的な瘢痕が生じる場合がある。したがって、より快適なひげ剃り性を提供し、かつ/又は、顔及び身体を剃毛することにより生じる皮膚の問題(例えば、PFB、刺激、発赤、ひげ剃り後の毛穴のぶつぶつ、埋没毛、ニキビなど)を低減する、ひげ剃り用カミソリカートリッジが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は一般的に、ハウジングの前部にある一次ガードと、ハウジングの後部にある二次キャップとを有するハウジングを備えたひげ剃り用カミソリカートリッジに関する。一次キャップ表面と二次ガード表面とを有するブリッジ部材が、一次ガードと二次キャップとの間に配置される。第1の刃は刃先を有する。第1の刃は、一次ガードと一次キャップ表面との間でハウジングに取り付けられる。第1の刃の刃先と同じ方向に延びる刃先を有する第2の刃が、二次ガード表面と二次キャップとの間でハウジングに取り付けられる。ブリッジ部材の幅は、第1の刃の刃先と第2の刃の刃先との間の刃間スパンの50%よりも大きく、刃間スパンは3mmよりも大きい。
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の明細書に記述する。本発明の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ひげ剃り用カミソリカートリッジの平面図である。
【
図2A】
図1の2-2線に概ね沿ったひげ剃り用カミソリカートリッジの断面図である。
【
図2B】
図1の2-2線に概ね沿ったひげ剃り用カミソリカートリッジの斜視断面図である。
【
図3A】
図1のひげ剃り用カミソリカートリッジの組立図である。
【
図3B】ひげ剃り用カミソリカートリッジの別の可能な実施形態の組立図である。
【
図3C】ひげ剃り用カミソリカートリッジの別の可能な実施形態の組立図である。
【
図4】
図1のひげ剃り用カミソリカートリッジの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、ひげ剃り用カミソリカートリッジ10の平面図が示されている。ひげ剃り用カミソリカートリッジ10は、ハウジング12の前方に面した一次ガード14と、ハウジング12の後方に面した二次キャップ16とを有するハウジング12を含むことができる。特定の実施形態では、一次ガード14と二次キャップ16との間でハウジング12に取り付けられた第1の刃18及び第2の刃20があってよい。刃18及び20のそれぞれは、同じ方向(例えば、一次ガード14に向かう)に面したそれぞれの刃先22及び24を有することができる。刃18及び20はハウジング12内でばね上げされてよく、これにより、刃18及び20は1つ以上のクリップ34a及び34bに対して付勢されている。特定の実施形態では、クリップ34a及び34bは、刃18及び20がひげ剃りストロークの間に上下方向に動くことを許容することができる。
【0011】
ブリッジ部材26が、第1の刃18と第2の刃20との間に配置されていてもよい。ブリッジ部材26は、一次キャップ表面28及び二次ガード表面30を有することができる。したがって、一次ガード18と一次キャップ表面28とは、第1の刃先22のひげ剃り面を確立することができる。同様に、二次ガード表面30と二次キャップ16とは、第2の刃先24のひげ剃り面を確立することができる。一次キャップ表面28及び二次ガード表面30は、ブリッジ部材26及びハウジング12と一体成形された一体型部材とすることができる。ブリッジ部材26は、一次キャップ表面28と二次ガード表面30との間に上面32を有することができる。
【0012】
下記により詳細に説明するように、刃18及び20はハウジング12に固定することができ、少なくとも1つのクリップ34a及び34bをハウジング12の一部の周囲で折り曲げることができる。クリップ34a及び34bは、刃18及び20とブリッジ部材26をハウジング12に固定している2つの別々の要素として示されているが、クリップ34a及び34bは単一の部品の構成としてもよい。更に、ハウジング12に対して刃18及び20とブリッジ部材26を固定するために必ずしもクリップ34a及び34bをハウジング12の一部の周囲で折り曲げる、又は形成する必要がない場合もある。例えば、クリップ34a及び34bは、ハウジング12に対してスナップ嵌め、圧入、接着剤による接着、又は超音波溶着することができる。クリップ34a及び34bは、金属(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)、又はポリマー材料(例えばNoryl(商標)(General Electric Plastics、現在のSABIC Innovative Plasticsaが開発したポリフェニレンオキサイド(PPO)とポリスチレンのブレンド)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、ポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン、又はこれらの任意の組み合わせ)を含むことができる。クリップ34a及び34bは、それぞれの刃18及び20の刃先22及び24と接触してもよい。特定の実施形態では、クリップ34a及び34bは、一次キャップ表面28及び/又は二次ガード表面30から間隔を空けて配置することができる(すなわち接触しない)。クリップ34a及び34bをブリッジ部材26から間隔を空けて配置することによって、ブリッジ部材26並びに刃先22及び24の適当な皮膚との接触を促すことができる。例えば、クリップ34a及び34bがブリッジ部材26を覆うように、又はその周囲に延びている場合、クリップ34a及び34bは、刃先22及び24と皮膚及び毛髪との適当な接触を妨げる可能性がある。更に、ブリッジ部材26の位置はクリップ34a及び34bの下面によって限定されることになる。特定の実施形態では、ブリッジ部材26の一次キャップ表面28及び二次ガード表面30を、刃先22及び24の上側の平面上に配置することが有利となり得る。刃先は、クリップ34a及び34bの下面に対して予め負荷を掛けておくことができる。刃先22及び24の上側にブリッジ部材26を配置することにより、より快適なひげ剃りを可能とすることができる。
【0013】
理論に束縛されずに言うならば、毛髪を皮膚レベルの近くにまで切るが、ただし、皮膚の表面の下にまでは切らないことによって、皮膚の刺激及びPFBを最小限に抑えることが可能であると考えられる。複数刃のひげ剃り用カミソリカートリッジは、ヒステリシス効果として知られる効果を利用している。ヒステリシスは、ひげ剃り中に毛髪が切断された後に発生する準安定的な毛髪の伸張である。現行のカミソリでは、カートリッジの鋭い刃先がひげ剃りストロークの間に個々の毛髪と係合し、皮膚の表面にわたってカミソリが動かされる際に、毛髪に力を作用させて毛髪を毛包から外に持ち上げる。毛が切断され、力が除かれると、毛髪は皮膚内に引っ込む。しかしながら、複数刃システムでは、後方の刃(すなわち2番目の刃)が毛髪と係合し、毛髪が皮膚内に引っ込む前に毛髪を切断する。毛髪が皮膚内に完全に引っ込む前に毛髪を切断するこのような連続刃の概念は、「ヒステリシス切断」として知られている。第2の連続刃も更に毛髪に係合して、切断を行いながら毛髪を引っ張る場合には、1枚刃のカミソリを使用する場合よりも大幅な深剃りを行うことが可能になる。
【0014】
複数の間隔の近い刃を有するカミソリカートリッジでは、1本の毛髪が1回の切断動作の間に複数の刃と係合し得るため、神経の刺激及び不快感が増幅される。それほど間隔が近くない刃は、1回の切断動作で同じ毛髪と係合する確率が低くなることから、神経刺激及び不快感を増幅させる傾向は低くなる。理論に束縛されずに言うならば、1本の毛髪が切断動作の間に複数の刃と係合する確率を低くすることで、不快な神経刺激を低減することができると考えられる。更に、1本の毛髪が切断動作の間に複数の刃と係合する確率を低くすることにより、毛髪が皮膚の表面に近すぎるところまで、又はその下にまで切断されること(これにより、毛髪が皮膚の表皮に再び入り込んだ毛髪から生育することが制限され得る)を防止する助けとなる。
【0015】
図2A及び2Bを参照すると、
図1の2-2線に概ね沿った、ひげ剃り用カミソリカートリッジ10の断面図が示されている。
図2Aは側面断面図を示し、
図2Bは斜視断面図を示す。刃18及び20は、対応する刃支持部材36及び38を有することができる。刃支持部材36及び38は刃18及び20の一体部分とすることもでき、あるいは、刃18及び20を、対応する刃支持部材36及び38に取り付けることもできる。刃支持部材36及び38は、ハウジング12の対応する刃スロット40及び42内に配置することができる。特定の実施形態では、第1の刃18(例えば刃支持部材36)をブリッジ部材26から間隔を空けて配置することで、その間にすすぎ通路44を画定することができる(
図2Bを参照)。これにより、第2の刃20が毛髪と係合してこれを切断する時に存在するひげ剃り破片を少なくすることができ、より効率的かつ快適なひげ剃りにつながる。
【0016】
一次キャップ表面28及び二次ガード表面30は、円弧状とすることで快適な皮膚支持表面を与えることができる。一次キャップ表面30と二次ガード表面28との間のブリッジ部材26の上面32は、平坦とすることができる。ブリッジ部材26は、平坦な長方形として示されているが、丸みを帯びた表面、又は他の形状など、他の多くの形状も可能である点は理解されよう。ブリッジ部材26の上面32は、クリップ34bの上面48bと下面50bとの間の平面P1上に配置することができる。
図2A及び2Bには1つのみのクリップ34bが示されているが、クリップ34aも、対応する上面及び下面を有することができる点は理解されよう。下記でより詳細に説明するように、ブリッジ部材26(例えばブリッジ部材の上面32)をクリップ34a及び34bから間隔を空けて配置する(すなわち接触していない)ことで、適正なひげ剃りジオメトリが促進され、ひげ剃りストロークにおいてクリップ34a及び34bが閉塞することを抑制することができる。したがって、ブリッジ部材26の位置(例えば、刃18及び20の刃先22及び24に対するブリッジ部材26の高さ)は、クリップ34a及び34bとは独立したものとすることができる。例えば、ブリッジ部材26の上面32は、クリップ34bの上面48b及び刃先22及び24の上側に配置することができる。ブリッジ部材26の上面32も同様にクリップ34aの上面48a(図に示されていない)の上側に配置することができる点は理解されよう。
【0017】
ブリッジ部材26は、ブリッジ部材26の上面32の下側にキャビティ52を画定することができる。キャビティ52は、ハウジング12の製造性を向上させることができる。ブリッジ部材26の位置は、一次ガード14に対して固定することができる。例えば、ブリッジ部材26と一次ガード14を、ハウジング12の一部として一体形成することができる。しかしながら、刃先22及び24は、クリップ34b(及びクリップ34a、図に示されていない)の下面50bに対して予め負荷を掛けておくことができる。したがって、刃先22及び24は、ブリッジ部材26の位置が固定された状態でひげ剃りストロークの間に浮動する(すなわち、クリップ34a及び34bに近づく、及び離れるように上下方向に動く)ことができる。理論に束縛されずに言うならば、浮動する刃とひげ剃り面を確立する固定された表面(例えば、一次ガード14、一次キャップ28、二次ガード表面30、及び二次キャップ16)との組み合わせによって、より安定した快適なひげ剃りを提供することができると考えられる。
【0018】
特定の実施形態では、第1の刃18の刃先22と第2の刃20の刃先24との間の刃間スパン(S1)は、3.0mmよりも大きくすることができる。例えば、第1の刃18の刃先22と第2の刃20の刃先24との間の刃間スパン(S1)は、約3mm~約6mmとすることができる。特定の実施形態では、刃間スパンS1は約4.0mm~約5mmとすることができる。一次ガード14と第1の刃18の刃先20との間のスパン(S2)は、約0.5mm~約0.8mmとすることができる。二次ガード表面28と第2の刃20の刃先22との間のスパン(S3)は、約0.3mm~約0.7mmとすることができる。刃間スパンS1は、不快感及び毛髪の皮膚表面よりも下までの切断につながり得る毛髪の2回の係合及びヒステリシスを最小に抑える助けとなり得る。
【0019】
一次ガード14は、約0.35mm~約0.85mmの幅(W1)を有することができる。ブリッジ部材26は、W1よりも大きい幅(W2)を有することができる。幅(W2)は、刃先22及び24に接する平面P2(例えば、平面P2はクリップ34bの下面50bに位置し得る)で測定される、ブリッジ部材26の(前後方向の)全体の幅として測定することができる。特定の実施形態では、W2は、約1.75mm~約4mm、好ましくは約2mm~約3mmとすることができる。ブリッジ部材26の幅は、適正なひげ剃りジオメトリの確立を助け、毛髪が皮膚表面よりも下にまで切断されることを防止することができる。例えば、ブリッジ部材26の幅W2は、刃先22と24との間に充分な間隔を与えることで、毛髪が第1の刃18の刃先22により切断された後、第2の刃20の刃先24が係合する前に毛包内に再び引っ込むことを可能とし得る。更に、ブリッジ部材26の幅及び間隔は、毛髪が2回係合する(例えば、刃先22及び24が同じ毛髪と同時に係合する場合)ことを低減することができる。刃間スパンS1が大きくなるにしたがって(
図2を参照)、刃先22と24との間での皮膚の膨らみも大きくなり、これにより傷及び切り傷が増える結果につながり得る。ブリッジ部材26の幅は、特に刃間スパンS1が大きくなる場合に、傷、切り傷、及び不快感につながり得る皮膚の膨らみを最小限に抑えるうえで充分な皮膚の支持を与えることができる。
【0020】
特定の実施形態では、ブリッジ部材26の幅(W2)は、刃間スパンS1の45%よりも大きくすることができる。例えば、ブリッジ部材26の幅(W2)は、刃間スパンS1の約50%~約75%とすることができる。したがって、刃間スパンS1が4.0mmであった場合、ブリッジ部材26の幅W2は2.0mmよりも大きくすることができる。特定の実施形態では、ブリッジ部材26の幅(W2)は刃間スパンS1の約60%~約70%とすることができる。大きな幅を有するブリッジ部材26は、皮膚の膨らみを低減させる一方で同時に毛髪の2回の係合及びヒステリシスを最小限に抑えることにより、より快適なひげ剃りにつながる高い皮膚の支持を与えることができる。
【0021】
図3Aを参照すると、ひげ剃り用カミソリカートリッジ10の組立図が示されている。ブリッジ部材26は、ハウジング12の一部として一体成形することができる。刃18は、一対のばね部材60及び62上でハウジング12に取り付けることができる。同様に、刃20は、一対のばね部材64及び66上でハウジング12に取り付けることができる。ばね部材60、62、64、及び66は、対応するクリップ34a及び34bの下面50a及び50bに対して刃先22及び24に予め負荷を掛けておくことができる。ブリッジ部材26の一対の側端部54及び56(例えば、一次キャップ26の側端部及び二次ガード表面30の側端部)をクリップ34a及び34bから間隔を空けて(すなわち、接触させずに)配置することができる。これにより、クリップ34a及び34bを、ブリッジ部材26とは独立した深さでハウジング12に取り付けることができる。例えば、クリップ34a及び34bがハウジング12に取り付け及び固定される時、クリップ34a及び34bの上面48a及び48bは、ブリッジ部材26の上面32とほぼ同じ高さとなり得るため、より均一なひげ剃り表面が与えられる。
【0022】
ブリッジ部材26の上面32は、ブリッジ部材26上にブランド名を表記することを可能とすることができる。例えば、記号又はロゴ58を、機械加工、エッチング、成型仕上げ、塗装、パッド印刷などにより、上面32上に配置することができる。特定の実施形態では、ブリッジ部材26の上面32は、光沢表面(例えば、6000グリットのダイヤモンドバフ~1200グリットのダイヤモンドバフ)を有することでひげ剃りストロークの間の滑りをよくすることができる。ブリッジ部材26は、コーティング(ポリ-para-キシリレン又はPTFE)又はめっき(例えばクロームめっき)することで潤滑性を高めることができる。また、ブリッジ部材26の上面32は、ひげ剃りストロークの間に皮膚を剥落させるために極めて粗い表面を有してもよい(例えば600グリット以下のストーン)。
【0023】
図3Bを参照すると、水滲出性のひげ剃り補助要素を含むブリッジ部材104を備えたハウジング102を有する、ひげ剃り用カミソリカートリッジ100の第2の可能な実施形態の組立図が示されている。
図3Aのひげ剃り用カートリッジ10のブリッジ部材26を、ブリッジ部材104に置き換えることができる。例えば、ブリッジ部材104は、ブリッジ部材26に関して上記に述べたように、ハウジングの一次ガード103と二次キャップ105との間にハウジング102の一部として一体成形することができる。ブリッジ部材104は、潤滑部材110を受容するように構成された開口部108を画定する上面106を含むことができる。開口部108は凹部であってよく、又はブリッジ部材104を完全に貫通していてもよい。しかしながら、潤滑部材110は任意選択的である点は理解されたい。例えば、特定の実施形態では、開口部108は、洗い流し及び破片の除去性を高めるために開放した状態とすることができる。潤滑部材110は、1つ以上の水滲出性ひげ剃り補助要素を含むことができる。水滲出性ひげ剃り補助要素は、射出成形、押出成形、又は熱/超音波圧縮製造プロセスにより形成することができる。ブリッジ部材104(例えば潤滑部材110)は、一次キャップ表面112及び二次ガード表面114を与えることができる。したがって、潤滑部材110は、第1の刃18の後面及び第2の刃20の前面に潤滑性を与え、これにより、刺激を低減し、又はひげ剃り剤の必要性をなくすことができる。一次キャップ表面112及び/又は二次ガード表面114は、円弧状とすることで快適な皮膚支持表面を与えることができる。ブリッジ部材104の潤滑部材110は、一次キャップ表面112と二次ガード表面114との間に上面116を有することができる。上面116は、上記に述べたように、ブランド名を表記することを可能とすることができる。例えば、上面116にロゴ118を配置することができる。
【0024】
クリップ34a及び34bがハウジング102に固定される時、クリップ34a及び34bは、潤滑部材110の上面116及び/又は一次キャップ表面112並びに二次ガード表面114とほぼ同じ高さとなるため、より均一なひげ剃り表面を与えることができる。
図3Aのひげ剃り用カミソリカートリッジ10と同様、クリップ34a及び34bは、ブリッジ部材104及び/又は潤滑部材110から間隔を空けて配置することができる。ブリッジ部材104は、一次キャップ表面112から二次ガード表面114まで約1.5mm~約4mmの前縁部120から後縁部122までの幅(W3)を有することができる。潤滑部材110は、約1.5mm~約4mmの幅(W4)を有することができる。ブリッジ部材104及び/又は潤滑部材110の幅は、毛髪の2回の係合を最小限に抑え、毛髪が皮膚表面よりも下にまで切断されることを防止する、適正なひげ剃りジオメトリを可能とすることができる。
【0025】
刃18及び20は、それぞれ、一対の対応したばねフィンガ124、126、128及び130上に取り付けることができる。
図3Aのひげ剃り用カミソリカートリッジ10について上記に述べたように、クリップ34a及び34bは刃18及び20に掛かるがブリッジ部材104には掛からないように取り付けることができる。次いで、クリップ34a及び34bをハウジング102に固定することができる。ばねフィンガ124、126、128及び130は、クリップ34a及び34bに対してそれぞれの刃18及び20を持ち上げることができる。ブリッジ部材104に対する刃18及び20の独立した運動によって、より安定したひげ剃りジオメトリが与えられることにより、より快適なひげ剃りを与えることができる。
図2Bにおいて上記に示し、述べたように、刃20をブリッジ部材104から間隔を空けて配置することで洗い流し性を向上させることができる。
【0026】
図3Cを参照すると、刃18及び20の刃先22及び24に対して横断方向に延びる、間隔を空けて配置された複数の平行なリブ206を含むブリッジ部材204を備えたハウジング202を有する、ひげ剃り用カミソリカートリッジ200の第3の可能な実施形態の組立図が示されている。ハウジング202は、ブリッジ部材26をブリッジ部材204で置き換えることができる点以外は、
図3Aで上記に示し、述べたようなハウジング12と同様であってよい。ブリッジ部材204は、上記に述べたブリッジ部材26と同様の効果を与えることができる。間隔を空けて配置された平行なリブ206は、第2の刃20の前方で毛髪を揃えて切断効率を向上させる、更なる効果を与えることができる。間隔を空けて配置された複数の平行なリブ206は、一次キャップ表面208及び二次ガード表面210を与えることができる。ブリッジ部材204は、一次キャップ表面208と一次ガード表面210との間に延びる上面212を有することができる。ブリッジ部材204は、約1.5mm~約4mmの一次キャップ表面208から二次ガード表面210までの幅(W5)を有することができる。ブリッジ部材204の幅は、毛髪の2回の係合を最小限に抑え、毛髪が皮膚表面よりも下にまで切断されることを防止する、適正なひげ剃りジオメトリを可能とすることができる。間隔を空けて配置された複数の平行なリブ206は、ブリッジ部材204を貫通して延びる複数の対応した洗い流し開口部214を画定することにより、切断された毛髪及び余分なひげ剃り剤又は石鹸の除去を助けることができる。
【0027】
刃18及び20は、それぞれ、一対の対応したばねフィンガ216、218、220及び222上に取り付けることができる。
図3Aのひげ剃り用カミソリカートリッジ10について上記に述べたように、クリップ34a及び34bは刃18及び20に掛かるがブリッジ部材204には掛からないように取り付けることができる。他の実施形態について上記に述べたように、刃20をブリッジ部材204から間隔を空けて配置することで洗い流し性を向上させることができる。次いで、クリップ34a及び34bをハウジング12に固定することができる。ばねフィンガ216、218、220及び222は、クリップ34a及び34bに対してそれぞれの刃18及び20を持ち上げることができる。ブリッジ部材204に対する刃18及び20の独立した運動によって、より安定したひげ剃りジオメトリが与えられることにより、より快適なひげ剃りを与えることができる。
【0028】
図4を参照すると、
図1のひげ剃り用カミソリカートリッジ10の概略図が示されている。刃に関連した牽引力に影響し得る別の因子として、刃接線角度すなわちBTAがある。ひげ剃り用カミソリカートリッジ10は、一次ガード14及び一次キャップ表面28に接する第1のひげ剃り平面70を有することができる。第1のひげ剃り平面70は、第1の刃接線角度β1で第1の刃18の刃面72と交差することができる。ひげ剃り用カミソリカートリッジ10は、二次ガード表面30及び二次キャップ16に接する第2のひげ剃り平面74を有することができる。第2のひげ剃り平面74は、第2の刃接線角度β2で第2の刃20の第2の刃面76と交差することができる。刃接線角度が小さいほど、ひげ剃り用カミソリカートリッジ10でより快適なひげ剃りを行うことができる。特定の実施形態では、第1の刃接線角度β1は、約15°、例えば10°~25°とすることができる。刃18及び20が両方とも同じ刃接線角度を有する必要はない。例えば、第2の刃接線角度β2は、第1の刃18の刃接線角度β1よりも、例えば約10°小さくすることができる。
図3B及び3Cに示されるひげ剃り用カミソリカートリッジ100及び200はそれぞれ、
図4で述べたものと同じ刃接線角度を有することができる点は理解されたい。
【0029】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。更に、寸法は、典型的な製造許容差による食い違いを許容しない、不可能なほど高い形而上学的識別基準に固執されるべきではない。したがって、用語「約」は、典型的な製造の許容誤差の範囲内であることと解釈されるべきである。