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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】樹脂構造体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20240214BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240214BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240214BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H02G3/08 010
H05K5/03 B
B60R16/02 610A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021170386
(22)【出願日】2021-10-18
(65)【公開番号】P2023060668
(43)【公開日】2023-04-28
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】垣見 孝明
(72)【発明者】
【氏名】荘司 和輝
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-121880(JP,A)
【文献】実開昭61-189717(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/08- 3/20
H05K 5/00- 5/06
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域に区分けされた箱状の本体と、前記複数の前記領域の一つを覆うように前記本体に組み付けられる蓋体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記本体は、
隣接する一対の前記領域の間を仕切るように仕切方向に延びる第1仕切壁を有し、
前記蓋体は、
前記一対の前記領域の一方を覆うとともに、当該蓋体から前記一方の前記領域の内側に向かう内向きとは反対の向きを外向きとするとき、当該蓋体よりも前記外向き側に存在する前記第1仕切壁の一部に沿って前記仕切方向に延びるように当該蓋体の前記第1仕切壁に沿う縁部に設けられ且つ前記外向きに突出する第2仕切壁を有し、
前記第1仕切壁は、
当該第1仕切壁のうちの前記一方の前記領域よりも前記外向き側に存在する部分の前記仕切方向における端部に設けられて前記第2仕切壁に向けて突出し且つ前記内向き側の端部が前記一方の前記領域の周壁の前記外向き側の端部に連結する突起部であって、当該第1仕切壁から離れるにつれて前記仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜した第1傾斜面を有する、突起部を有し、
前記第2仕切壁は、
当該第2仕切壁の前記仕切方向における前記突起部に対応する端部に設けられて前記第1傾斜面に沿うように傾斜した第2傾斜面を有し、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられるとき、
前記第1傾斜面に前記第2傾斜面が対面することによって前記蓋体が案内されながら、前記本体に前記蓋体が組み付けられる、ように構成される、
樹脂構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂構造体において、
前記第1仕切壁は、
当該第1仕切壁の前記仕切方向における双方の前記端部に、前記突起部を有する、
樹脂構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂構造体において、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられたとき、前記第1仕切壁と前記第2仕切壁とが前記第1仕切壁の厚さ方向において重なるように配置されて多層壁構造を構成する、
樹脂構造体。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の樹脂構造体において、
前記第1仕切壁は、
前記第2仕切壁の少なくとも一部を収容して前記第2仕切壁が前記本体から分離する向きに移動することを規制する窪み状の規制部を有する、
樹脂構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される樹脂構造体が提案されている。例えば、従来の電気接続箱の一つは、電子部品等を格納する箱状の本体と、本体の開口部を塞ぐようにその開口部に対応した形状を有する蓋体と、を備え、本体に蓋体を組み付けるようになっている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-150595号公報
【文献】特開2020-150596号公報
【文献】特開2021-045019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接続箱の仕様によっては、電気接続箱の本体の内部を複数の領域に分け、それら領域の各々に対応した複数の蓋体を用いて、各々の領域の開口部を塞ぐ場合がある。例えば、電気接続箱のメンテナンス性を向上する等の観点から、一の領域にはリレーを主として格納し、他の領域にはヒューズを主として格納するように、各々の領域が設計される場合がある。このように電気接続箱を複数の領域に区分けして個々の領域を蓋体で塞ぐ場合、本体の開口部に蓋体を位置合わせしながら蓋体を本体に取り付ける工程数が増大するため、本体が単一の領域のみを有する場合に比べ、電気接続箱の生産性を向上させることが困難である。なお、電気接続箱に限らず、複数の内部領域を有する本体に複数の蓋体を取り付ける構造を有する樹脂構造体は、上記同様、単一の内部領域のみを有する場合に比べて生産性を向上させ難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能な樹脂構造体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂構造体は、以下を特徴としている。
【0007】
複数の領域に区分けされた箱状の本体と、前記複数の前記領域の一つを覆うように前記本体に組み付けられる蓋体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記本体は、
隣接する一対の前記領域の間を仕切るように仕切方向に延びる第1仕切壁を有し、
前記蓋体は、
前記一対の前記領域の一方を覆うとともに、当該蓋体から前記一方の前記領域の内側に向かう内向きとは反対の向きを外向きとするとき、当該蓋体よりも前記外向き側に存在する前記第1仕切壁の一部に沿って前記仕切方向に延びるように当該蓋体の前記第1仕切壁に沿う縁部に設けられ且つ前記外向きに突出する第2仕切壁を有し、
前記第1仕切壁は、
当該第1仕切壁のうちの前記一方の前記領域よりも前記外向き側に存在する部分の前記仕切方向における端部に設けられて前記第2仕切壁に向けて突出し且つ前記内向き側の端部が前記一方の前記領域の周壁の前記外向き側の端部に連結する突起部であって、当該第1仕切壁から離れるにつれて前記仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜した第1傾斜面を有する、突起部を有し、
前記第2仕切壁は、
当該第2仕切壁の前記仕切方向における前記突起部に対応する端部に設けられて前記第1傾斜面に沿うように傾斜した第2傾斜面を有し、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられるとき、
前記第1傾斜面に前記第2傾斜面が対面することによって前記蓋体が案内されながら、前記本体に前記蓋体が組み付けられる、ように構成される、
樹脂構造体であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る樹脂構造体によれば、箱状の本体が有する複数の領域の一つを覆うように蓋体を組み付けるとき、本体に設けられて領域間を仕切る第1仕切壁の端部から突出する突起部が有する第1傾斜面に、蓋体が有する第2傾斜面が対面することにより、蓋体が案内される。ここで、第1傾斜面は、第1仕切壁から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜し、第2傾斜面は、第1傾斜面に沿うように傾斜している。よって、蓋体を本体に組み付けるとき、第1傾斜面に沿って第2傾斜面が案内される案内効果により、蓋体が対応する領域を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、突起部が第1仕切壁から突出して一方の領域の周壁に連結することで、本体自体の剛性が向上する。よって、本体の意図しない変形を抑制することができる。本体の変形が抑制されることも、蓋体を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本構成の樹脂構造体は、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能である。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る樹脂構造体(第2蓋体の図示は省略)の斜視図である。
図2図2は、本体と第1蓋体とを示す斜視図である。
図3図3は、本体に第1蓋体を組み付ける手順の前半を説明するための斜視図である。
図4図4は、本体に第1蓋体を組み付ける手順の後半を説明するための斜視図である。
図5図5は、図3のA部の上面図である。
図6図6は、図4のB部の上面図である。
図7図7は、図1に示す樹脂構造体の一部を別の角度からみた斜視図である。
図8図8は、本体の第1仕切壁及び第1蓋体の第2仕切壁からなる多層壁構造における、図4のC-C断面図である。
図9図9は、本体の係合部と第1蓋体の係合部との係合箇所における、図4のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載されてリレー等の電子部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)である。
【0012】
図1及び図2に示すように、樹脂構造体1は、リレー等の電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されることになる本体2と、本体2の内部の第1領域R1(図2参照)の上端開口部を塞ぐように本体2の上端部に組み付けられる第1蓋体3と、本体2の内部の第2領域R2(図2参照)の上端開口部を塞ぐように本体2の上端部に組み付けられる第2蓋体(図示省略)と、を含んで構成される。本体2、第1蓋体3及び第2蓋体の各々は、樹脂成形体である。本例では、車両搭載時にて第1蓋体3の上部に位置する部品(例えば、リザーバタンク等)と第1蓋体3との干渉防止のため、樹脂構造体1の組付完了状態にて、第1蓋体3が、第2蓋体より下方に位置している。以下、樹脂構造体1を構成する各部材について順に説明する。
【0013】
まず、本体2について説明する。本体2は、図1及び図2に示すように、上下方向からみて所定の形状を有して上下方向に延びる筒状の周壁11を有する。周壁11に囲まれた本体2の内部は、本体2の内部を所定方向に横断し且つ上下方向に延びる平板状の第1仕切壁12によって、第1領域R1と第2領域R2とに区分けされている。本例では、第1領域R1及び第2領域R2の各々に、リレー等の電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されている。
【0014】
以下、周壁11のうち、第1領域R1を囲う部分を第1周壁11aと呼び、第2領域R2を囲う部分を第2周壁11bと呼ぶこともある(図2を参照)。本例では、樹脂構造体1の組付完了状態にて第1蓋体3を第2蓋体より下方に位置させるため、第1周壁11aの上端縁が、第2周壁11bの上端縁及び第1仕切壁12の上端縁より下方に位置している。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1図9に示すように、「仕切方向」、「前後方向」及び「上下方向」を定義する。「仕切方向」、「前後方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。樹脂構造体1の車両搭載時において、「上下方向」は、車両の上下方向に対応している。「仕切方向」は、第1仕切壁12が本体2の内部を横断する前記所定方向に対応し、「前後方向」は、第1仕切壁12の板厚方向に対応している。
【0016】
図2及び図8に示すように、第1仕切壁12の後端面における、上端縁より所定距離だけ下側の位置より下側の領域には、前方に窪んだ凹部13が、仕切方向に亘って帯状に延びるように形成されている。第1仕切壁12の仕切方向両端部近傍の箇所(2箇所)には、凹部13の上側の縁部(凹部13の上端を画成する側壁の後端部)から下方に突出するリブ14がそれぞれ設けられている。樹脂構造体1の組付完了状態にて、凹部13及びリブ14は、第1蓋体3の第2仕切壁23(後述)と係合することになる(図4及び図8参照)。
【0017】
第1仕切壁12(より具体的には、凹部13)の仕切方向両端部には、後側に突出し且つ上下方向に延びる一対の突起部15が形成されている(図2等参照)。一対の突起部15の下端は、周壁11(より具体的には、第1周壁11a)の上縁と連結されている。一対の突起部15の仕切方向内側の側面(仕切方向に互いに対向する一対の側面)は、後方に移動するにつれて仕切方向外側に徐々に向かうように(第1仕切壁12から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように)傾斜した一対の第1傾斜面16となっている(図2及び図5等参照)。一対の第1傾斜面16を設けたことによる作用については後述する。
【0018】
第1仕切壁12の仕切方向の中央部(1箇所)の後端面には、図2に示すように、後方に突出する係止突起17が設けられている。樹脂構造体1の組付完了状態にて、係止突起17は、第2蓋体のロックアーム(後述)と係合することになる。
【0019】
第2周壁11bにおける周方向の複数の所定箇所(本例では、2箇所)には、図2に示すように、係合部18がそれぞれ設けられている。複数の係合部18は、第2蓋体の複数の係合部(後述)と係合することになる。第1周壁11aにおける周方向の複数の所定箇所(本例では、2箇所)には、図2に示すように、係合部19がそれぞれ設けられている。複数の係合部19は、第1蓋体3の複数の係合部24(後述)と係合することになる。
【0020】
次いで、第1蓋体3について説明する。第1蓋体3は、図2に示すように、上下方向からみて本体2の第1周壁11aに対応する形状を有して上下方向に延びる周壁21と、周壁21により囲われる上端開口部を塞ぐ天壁部22と、天壁部22における第1仕切壁12に対応して仕切方向に延びる前端縁から上方に突出し且つ仕切方向に延びる第2仕切壁23と、を一体に有する。周壁21の周方向における本体2の複数の係合部19に対応する複数の箇所(2箇所)にはそれぞれ、係合部19と係合可能な係合部24が設けられている。
【0021】
第2仕切壁23の仕切方向両端部には、本体2の一対の突起部15に対応して、一対の傾斜壁25が形成されている(図2等参照)。一対の傾斜壁25は、第2仕切壁23の仕切方向両端から、後方に移動するにつれて仕切方向外側に徐々に向かうように(第2仕切壁23から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように)傾斜し、且つ、上下方向に延びている。一対の傾斜壁25の仕切方向外側の側面(仕切方向に互いに対向する一対の側面と反対側の一対の側面)は、本体2の一対の第1傾斜面16に沿うように傾斜した一対の第2傾斜面26となっている(図2及び図5等参照)。即ち、一対の傾斜面26は、後方に移動するにつれて仕切方向外側に徐々に向かうように(第2仕切壁23から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように)傾斜している。一対の傾斜壁25の下端は、第1蓋体3の天壁部22の上面と連結されている。一対の傾斜面26を設けたことによる作用については後述する。
【0022】
次いで、第2蓋体について説明する。第2蓋体(図示省略)は、上下方向からみて本体2の第2周壁11bに対応する形状を有して上下方向に延びる周壁と、当該周壁の周方向両端部を繋ぐように第1仕切壁12に対応して仕切方向に延び且つ上下方向に延びる第3仕切壁と、当該周壁及び第3仕切壁により囲われる上端開口部を塞ぐ天壁部と、を一体に有する。第2蓋体の周壁の周方向における本体2の複数の係合部18に対応する複数の箇所(2箇所)にはそれぞれ、係合部18と係合可能な係合部が設けられている。
【0023】
第3仕切壁の仕切方向における本体2の係止突起17に対応する箇所(1箇所)には、第3仕切壁から下方に延びる片持ち梁状のロックアームが設けられている。このロックアームは、所定範囲内にて前後方向に弾性変形可能となっている。このロックアームには、前後方向に貫通する矩形の開口が形成されている。この開口の下端縁部は、本体2の係止突起17に係止されることになる。以上、樹脂構造体1を構成する各部材について説明した。
【0024】
次いで、図2図4を参照しながら、本体2に第1蓋体3及び第2蓋体を組み付ける手順について説明する。まず、本体2に第1蓋体3を組み付ける。このため、まず、第1蓋体3が本体2の第1領域R1の上方に位置するように、本体2及び第1蓋体3を配置する(図2参照)。次いで、図3に示すように、第1蓋体3を前端部が後端部より下方に位置する向きに傾斜させた状態で、第1蓋体3の第2仕切壁23の上端縁部を本体2の凹部13に向けて近づけて(図3の矢印参照)、第2仕切壁23の上端縁部が一対のリブ14の前側に位置するように、第2仕切壁23の上端縁部を凹部13に収容し、次いで、第2仕切壁23の上端縁部を、仕切方向全域に亘って、凹部13の上側の隅部(凹部13の上端を画成する側壁と凹部13の前端を画成する底壁との交差部)に係止させる(図8も参照)。
【0025】
ここで、第1蓋体3の本体2への組み付け時、第1蓋体3の一対の傾斜壁25が仕切方向において本体2の一対の突起部15に挟まれながら、且つ、第1蓋体3の一対の第2傾斜面26が本体2の一対の第1傾斜面16に対面することで案内されながら(図5参照)、第2仕切壁23が凹部13へ収容される。このように第1傾斜面16に沿って第2傾斜面26が案内される案内効果により、仕切方向における第1蓋体3の本体2に対する位置ズレが抑制され、第1蓋体3が第1領域R1を塞ぐ適正な仕切方向の位置に自然に配置される。
【0026】
次いで、図4に示すように、凹部13の上側の隅部に係止された第2仕切壁23の上端縁部(即ち、第1蓋体3の前端部)を中心として、第1蓋体3の後端部が下方に移動する向き(第1蓋体3を水平に戻す向き)に、第1蓋体3を回動させながら(図4の矢印参照)、第1蓋体3の周壁21が本体2の第1周壁11aの外側に重なるように、本体2に第1蓋体3を組み付ける(図4参照)。これにより、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了する。
【0027】
本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、図8に示すように、第2仕切壁23が凹部13に収容されている。このため、第2仕切壁23の上端面と、凹部13の上端を画成する側壁の内壁面とが係合することで、第1蓋体3の前端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。換言すれば、固定用のロック構造等を別途設けることなく、第1蓋体3の前端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。更に、第2仕切壁23の上端縁部の後端面と、リブ14の前端面とが係合することで、第1仕切壁12から離れる向き(後向き)に第2仕切壁23が移動することが防止されている。これにより、本体2と第1蓋体3とが一旦組み付けられた後、第1蓋体3が本体2から意図せず外れることが、より強固に抑制される。更に、本体2の係合部19に設けられた係止部19a(図9参照)と第1蓋体3の係合部24に設けられた係止部24a(図9参照)とが係合することで(図1図2及び図9参照)、第1蓋体3の後端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。
【0028】
更に、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、図8に示すように、本体2の第1仕切壁12と第1蓋体3の第2仕切壁23とが、前後方向に重なり合うことで(積層されることで)、多層壁構造(具体的には、二重壁構造。いわゆるラビリンス状の構造)が構成されている。この結果、単に第1仕切壁12及び第2仕切壁23が付き合わされている場合に比べて沿面距離が長くなり、隣接する領域R1,R2間から水が本体2の内部に侵入することが抑制され得る。
【0029】
更に、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、図6及び図7に示すように、一対の第2傾斜面26が一対の第1傾斜面16と対面接触している(又は、僅かな距離をあけて向かい合った状態で配置されている)。よって、一対の第2傾斜面26と一対の第1傾斜面16との位置関係を目視することで、第1蓋体3が本体2に対して適正な位置に配置されているか否かを容易に識別することができる。加えて、本体2の第1仕切壁12から突出する一対の突起部15が本体2の第1周壁11aに連結されていることで、本体2自体の剛性が向上している。更に、第1蓋体3の第2仕切壁23から延びる一対の傾斜壁25が第1蓋体3の天壁部22に連結されていることで、第1蓋体3自体の剛性が向上している。この結果、第1蓋体3を本体2へ組み付けるとき等において、本体2及び第1蓋体3の変形を抑制することができる。
【0030】
次いで、図4に示すように、第1蓋体3の組み付けが完了した本体2に第2蓋体を組み付ける。このため、まず、第2蓋体が本体2の第2領域R2の上方に位置するように、本体2及び第2蓋体を配置する。次いで、第2蓋体を水平に維持した状態で、本体2及び第2蓋体を上下方向に互いに近づけて、第2蓋体の第3仕切壁が本体2の第1仕切壁12の後側に重なるように、且つ、第2蓋体の周壁が本体2の第2周壁11bの外側に重なるように、本体2に第2蓋体を組み付ける。これにより、本体2への第1蓋体3及び第2蓋体の組み付けが完了し、組み付けが完了した樹脂構造体1が得られる。
【0031】
本体2への第2蓋体の組み付けが完了した状態(樹脂構造体1の組付完了状態)では、第2蓋体のロックアームの開口の下端縁部と本体2の係止突起17とが係合し、且つ、本体2の係合部18と第2蓋体の係合部とが係合することで、本体2と第2蓋体との上下方向への分離が防止されている。
【0032】
<作用・効果>
以上より、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、箱状の本体2が有する複数の領域のR1,R2うち領域R1を覆うように第1蓋体3を組み付けるとき、本体2に設けられて領域R1,R2間を仕切る第1仕切壁12の端部から突出する突起部15が有する第1傾斜面16に、第1蓋体3が有する第2傾斜面26が対面するように、第1蓋体3が案内される。ここで、第1傾斜面16は、第1仕切壁12から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜し、第2傾斜面26は、第1傾斜面16に沿うように傾斜している。よって、第1蓋体3を本体2に組み付けるとき、第1傾斜面16に沿って第2傾斜面26が案内される案内効果により、第1蓋体3が領域R1を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、突起部15が第1仕切壁12から突出して領域R1の周壁11aに連結することで、本体2自体の剛性が向上する。よって、本体2の意図しない変形を抑制することができる。本体2の変形が抑制されることも、第1蓋体3を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、複数の内部領域R1,R2を有する本体2に第1蓋体3を容易に取り付け可能である。
【0033】
更に、第1仕切壁12の仕切方向における双方の端部に、上述した突起部15が設けられる。そのため、本体2に第1蓋体3を組み付けるとき、第1蓋体3が仕切方向においてそれら2つの突起部15に挟まれながら、第1蓋体3が領域R1を塞ぐ適正な位置に案内される。よって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、本体2に第1蓋体3を更に容易に取り付け可能である。
【0034】
更に、樹脂構造体1を構成する本体2に第1蓋体3を組み付けたとき、本体2が有する第1仕切壁12と、第1蓋体3が有する第2仕切壁23と、が重なり合うことで、多層壁構造(いわゆるラビリンス状の構造)が構成されることになる。この多層壁構造により、本体2と第1蓋体3との間の沿面距離が長くなることで、隣接する領域R1,R2間の境界箇所から水が樹脂構造体1の内部に侵入することを抑制することができる。即ち、樹脂構造体1の防水性を向上できる。
【0035】
更に、本体2の第1仕切壁12に設けられる窪み状の凹部13が、第1蓋体3の第2仕切壁23が本体2から分離する向きに移動することを規制するようになっている。そのため、例えば、本体2に第1蓋体3を組み付ける際、本体2の凹部13と第1蓋体3との接触点を中心として回動させながら、第1蓋体3を本体2に組み付けることができる。更に、凹部13によって第1蓋体3の移動が規制されるため、固定用のロック構造等を別途設けることなく、第1蓋体3が本体2から外れることを抑制できる。よって、そのようなロック構造を省略できる分、本体2の内部空間を拡大して樹脂構造体1の格納性能を高められる。また、そのようなロック構造を本体2の周壁11に設ける必要がないため、樹脂構造体1の小型化を図り得る。
【0036】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を発揮できるものであれば任意であり、限定されない。
【0037】
上記実施形態では、本体2の第1仕切壁12の仕切方向両端部にそれぞれ、第1傾斜面16を有する突起部15が設けられている。これに対し、本体2の第1仕切壁12の仕切方向の一方の端部のみに、第1傾斜面16を有する突起部15が設けられてもよい。
【0038】
ここで、上述した本発明に係る樹脂構造体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0039】
[1]
複数の領域(R1,R2)に区分けされた箱状の本体(2)と、前記複数の前記領域の一つ(R1)を覆うように前記本体(2)に組み付けられる蓋体(3)と、を備える、樹脂構造体(1)であって、
前記本体(2)は、
隣接する一対の前記領域(R1,R2)の間を仕切るように仕切方向に延びる第1仕切壁(12)を有し、
前記蓋体(3)は、
前記一対の前記領域の一方(R1)を覆うとともに、前記第1仕切壁(12)に沿って前記仕切方向に延びるように当該蓋体(3)の縁部に設けられる第2仕切壁(23)を有し、
前記第1仕切壁(12)は、
当該第1仕切壁(12)の前記仕切方向における端部に設けられて前記第2仕切壁(23)に向けて突出し且つ前記一方の前記領域(R1)の周壁(11a)に連結する突起部(15)であって、当該第1仕切壁(12)から離れるにつれて前記仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜した第1傾斜面(16)を有する、突起部(15)を有し、
前記第2仕切壁(23)は、
当該第2仕切壁(23)の前記仕切方向における前記突起部(15)に対応する端部に設けられて前記第1傾斜面(16)に沿うように傾斜した第2傾斜面(26)を有し、
前記本体(2)と前記蓋体(3)とが組み付けられるとき、
前記第1傾斜面(16)に前記第2傾斜面(26)が対面することによって前記蓋体(3)が案内されながら、前記本体(2)に前記蓋体(3)が組み付けられる、ように構成される、
樹脂構造体(1)。
【0040】
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、箱状の本体が有する複数の領域の一つを覆うように蓋体を組み付けるとき、本体に設けられて領域間を仕切る第1仕切壁の端部から突出する突起部が有する第1傾斜面に、蓋体が有する第2傾斜面が対面することにより、蓋体が案内される。ここで、第1傾斜面は、第1仕切壁から離れるにつれて仕切方向における末端側に徐々に向かうように傾斜し、第2傾斜面は、第1傾斜面に沿うように傾斜している。よって、蓋体を本体に組み付けるとき、第1傾斜面に沿って第2傾斜面が案内される案内効果により、蓋体が対応する領域を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、突起部が第1仕切壁から突出して一方の領域の周壁に連結することで、本体自体の剛性が向上する。よって、本体の意図しない変形を抑制することができる。本体の変形が抑制されることも、蓋体を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本構成の樹脂構造体は、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能である。
【0041】
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1仕切壁(12)は、
当該第1仕切壁(12)の前記仕切方向における双方の前記端部に、前記突起部(15)を有する、
樹脂構造体(1)。
【0042】
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、第1仕切壁の仕切方向における双方の端部に、上述した突起部が設けられる。そのため、本体に蓋体を組み付けるとき、蓋体が仕切方向においてそれら2つの突起部に挟まれながら、蓋体が対応する領域を塞ぐ適正な位置に案内される。よって、本構成の樹脂構造体は、本体に蓋体を更に容易に取り付け可能である。
【0043】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記本体(2)と前記蓋体(3)とが組み付けられたとき、前記第1仕切壁(12)と前記第2仕切壁(23)とが前記第1仕切壁(12)の厚さ方向において重なるように配置されて多層壁構造を構成する、
樹脂構造体(1)。
【0044】
上記[3]の構成の樹脂構造体によれば、樹脂構造体を構成する本体に蓋体を組み付けたとき、本体が有する第1仕切壁と、蓋体が有する第2仕切壁と、が重なり合うことで、多層壁構造(いわゆるラビリンス状の構造)が構成されることになる。この多層壁構造により、本体と蓋体との間の沿面距離が長くなることで、隣接する領域間の境界箇所から水が樹脂構造体の内部に侵入することを抑制することができる。即ち、樹脂構造体の防水性を向上できる。
【0045】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1仕切壁(12)は、
前記第2仕切壁(23)の少なくとも一部を収容して前記第2仕切壁(23)が前記本体(2)から分離する向きに移動することを規制する窪み状の規制部(13)を有する、
樹脂構造体(1)。
【0046】
上記[4]の構成の樹脂構造体によれば、本体の第1仕切壁に設けられる窪み状の規制部が、蓋体の第2仕切壁が本体から分離する向きに移動することを規制するようになっている。そのため、例えば、本体に蓋体を組み付ける際、本体の規制部とその蓋体との接触点を中心として回動させながら、その蓋体を本体に組み付けることができる。更に、規制部によってその蓋体の移動が規制されるため、固定用のロック構造等を別途設けることなく、その蓋体が本体から外れることを抑制できる。よって、そのようなロック構造を省略できる分、本体の内部空間を拡大して樹脂構造体の格納性能を高められる。また、そのようなロック構造を本体の周壁に設ける必要がないため、樹脂構造体の小型化を図り得る。
【符号の説明】
【0047】
1 樹脂構造体
2 本体
3 第1蓋体(蓋体)
11a 第1周壁(周壁)
12 第1仕切壁
13 凹部(規制部)
15 突起部
16 第1傾斜面
23 第2仕切壁
26 第2傾斜面
R1 領域
R2 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9