(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】温度センサ及びインジケータ
(51)【国際特許分類】
G01K 11/06 20060101AFI20240214BHJP
G01K 11/12 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
G01K11/06 Z
G01K11/12 A
(21)【出願番号】P 2021504147
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 CA2019051009
(87)【国際公開番号】W WO2020019065
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521030685
【氏名又は名称】アイエフディ テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IFD TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ザイデルフェーン、トーマス ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ホーン、ジェレミー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペッツィン、ジャスティン ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】リン、イェン-ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】シーバート-ティマー、オードリー ジョイ コリン
(72)【発明者】
【氏名】プライス、エリザベス サラ スミス
(72)【発明者】
【氏名】チザム、ジョン ポール
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202018102482(DE,U1)
【文献】実開昭54-124896(JP,U)
【文献】実開昭56-094936(JP,U)
【文献】特開平06-347340(JP,A)
【文献】特開2002-139386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 11/06,11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一チャンバ内に収容された感熱素子であって、所定の温度に対応する溶融温度を有する感熱素子と、
前記第一チャンバの表面の少なくとも一部を画定する選択的に透過性の要素であって、前記感熱素子が液体状態にある時は前記感熱素子に対して透過性であるとともに、前記感熱素子が固体状態にある時は前記感熱素子に対して不透過性であり、かつ前記感熱素子が前記固体状態にある時に前記感熱素子を前記第一チャンバ内に収容するとともに、前記感熱素子が前記液体状態にある時に前記感熱素子を受容するように、または前記感熱素子が前記第一チャンバから出ることを可能にするように構成された選択的に透過性の要素と、
前記感熱素子に圧力を加えるように前記第一チャンバに向かってバイアスされたバイアス部材であって、前記感熱素子が前記固体状態にある時は前記感熱素子によって最初に前記第一チャンバに向かって移動することを防止されるとともに、前記感熱素子が前記液体状態にある時は前記第一チャンバに向かって移動可能であるバイアス部材と、を備える温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、前記選択的に透過性の要素は、前記第一チャンバの第一エッジ部を画定する選択的に透過性の膜を含む、温度センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温度センサにおいて、前記選択的に透過性の要素を所定の位置に保持するためにはんだワッシャが提供され、前記はんだワッシャはそれを通る軸方向に延在するチャネルを含み、前記バイアス部材の近位端は前記はんだワッシャの前記軸方向に延在するチャネルを通って延在する、温度センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の温度センサにおいて、前記はんだワッシャの前記軸方向に延在するチャネルはテーパ面を含み、前記テーパ面は、前記はんだワッシャの前記軸方向に延在するチャネルの遠位端から前記はんだワッシャの前記軸方向に延在するチャネルの近位端まで半径方向内方に延在する、温度センサ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、前記バイアス部材は、前記第一チャンバの第二エッジ部に沿って提供された第二の膜に対してバイアス要素によっ
てバイアスされている、温度センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の温度センサにおいて、前記第二の膜は選択的に透過性の膜を含むか、前記第二の膜は可撓性の膜を含むか、またはその両方である、温度センサ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、前記選択的に透過性の要素は可撓性の膜を含む、温度センサ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、前記感熱素子ははんだを含む、温度センサ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、前記選択的に透過性の要素は、焼結ステンレス鋼、セラミック、微細メッシュ、多孔質膜、または多孔質発泡体を含む、温度センサ。
【請求項10】
シェルであって、その中に形成された少なくとも一つの角度付き保持面を備えた、概して軸方向に延在するボアを有するシェルと、
前記シェルの近位部に配置された、請求項1~9のいずれか一項に記載の温度センサと、
前記シェルの前記ボア内でのスライド運動のために配置されたインジケータであって、前記インジケータは、
少なくとも一つの弾性活性脚を有する近位部であって、前記少なくとも一つの弾性活性脚は角度付き解放面を含み、前記少なくとも一つの弾性活性脚の前記角度付き解放面は、前記温度センサの前記バイアス部材の遠位端が前記少なくとも一つの弾性活性脚に接触することにより、前記シェル上の対応する少なくとも一つの角度付き保持面に接触して最初に保持される、近位部と、
バイアス要素が前記インジケータに対して遠位バイアス力を加えるように、前記温度センサの前記バイアス要素に接触するための表面と、
前記インジケータが解放されたことの表示を提供するメカニズムと、
を含むインジケータと、備える温度センサ及びインジケータ。
【請求項11】
請求項10に記載の温度センサ及びインジケータにおいて、前記インジケータは、前記インジケータが解放位置に移動された時に電気回路を接続または切断して、前記温度センサが活性化されたことの表示を提供するように構成される、温度センサ及びインジケータ。
【請求項12】
請求項10または11に記載の第一及び第二の温度センサ及びインジケータを含む温度センサ及びインジケータにおいて、
前記第一の温度センサ及びインジケータは低温閾値で解放するように構成されており、
前記第二の温度センサ及びインジケータは高温閾値で解放するように構成されている、温度センサ及びインジケータ。
【請求項13】
所定の温度閾値を超える温度の上昇を感知する方法であって、前記方法は、
チャンバ内に
収容された感熱素子を提供するステップであって、前記感熱素子は、前記所定の温度閾値に対応する溶融温度を有するように選択されるステップと、
前記感熱素子に圧力を加えるようにバイアス部材を前記チャンバに向かってバイアスさせるステップと、
温度が前記所定の温度閾値を超えて上昇することを許容して、前記感熱素子を溶融させるステップと、
前記感熱素子が選択的に透過性の材料に入ることを可能にするステップであって、前記選択的に透過性の材料は、前記感熱素子が固体状態にある時は前記感熱素子を前記チャンバ内に収容するように前記感熱素子に対して不透過性であるとともに、前記感熱素子が液体状態にある時は前記バイアス部材が前記チャンバに向かって移動できるように前記感熱素子が前記チャンバから出ることを可能にするように、前記感熱素子に対して透過性であるように選択されるステップと、を含む方法。
【請求項14】
温度が所定の温度閾値を超えたことの表示を提供する方法であって、前記方法は、
請求項13に記載の所定の閾値を超える温度の上昇を感知する方法を実行するステップと、
前記バイアス部材が前記チャンバに向かって移動することを可能にするステップの間、前記バイアス部材がインジケータの少なくとも一つのインジケータ保持脚との係合から外れることを可能にするステップと、
前記バイアス部材が前記少なくとも一つのインジケータ保持脚との係合から外れた後、前記少なくとも一つのインジケータ保持脚上の面取り解放面が、前記インジケータが軸方向に移動可能なスライドチャネル上に提供された対応する面取り保持面を通過してスライドする時に、前記少なくとも一つのインジケータ保持脚が内方に移動することを可能にするステップと、
前記インジケータが最初のロックされた構成から解放構成に移動することを可能にするステップと、を含む方法。
【請求項15】
第一及び第二の温度感知及び表示ユニットを使用して、温度が第一及び第二の所定の温度閾値を超えたことの表示を提供する方法であって、前記第一の温度閾値は前記第二の温度閾値よりも低く、温度が前記第一の温度閾値を超えたことの表示を提供するために前記第一の温度感知及び表示ユニットを使用する、請求項14に記載の方法を実行するステップと、それと同時にまたはその後で、温度が前記第二の温度閾値を超えたことの表示を提供するために前記第二の温度感知及び表示ユニットを使用する、請求項14に記載の方法を実行するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施形態は、所定の閾値を超える温度の上昇を感知するための装置に関する。いくつかの実施形態は、所定の閾値を超えて温度が上昇したことを視覚的に示すための装置に関する。いくつかの実施形態は、所定の閾値を超える電気機器内の温度変化を感知し、所定の閾値を超える温度変化が電気機器内で発生したことを視覚的に示すための装置に関する。いくつかの実施形態は、二つの別個の所定の閾値を超える電気機器内の温度変化を感知し、低温閾値のみ、または低温閾値及び高温閾値の両方を超えたことを視覚的に示すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器は現代社会では当たり前のものとなっている。配電網には、変圧器、コンデンサ、リアクトル、及び電圧調整器等の様々な電気機器が使用されている。
変圧器等の電気機器の寿命は、電気機器の動作温度が高くなるにつれて短くなる可能性がある。例えば、変圧器等のいくつかの電気機器の場合、機器の寿命は、機器が経験する連続動作温度が約5℃~10℃高くなるごとに半分ほど短くなる可能性がある。
【0003】
電気機器が高温で定期的に、または一貫して動作している場合、電気機器は早期に(すなわち、電気機器の予測寿命が経過する前に)故障する可能性がある。そのような電気機器は、所望の動作温度よりも高い温度で定期的に、または一貫して動作している場合、より大きな負荷容量を有する電気機器と交換することが賢明である可能性がある。
【0004】
例として、変圧器の寿命低下は時間及び温度の両方についての関数を描くため、変圧器が過負荷の温度で動作している時間が長くなるほど、変圧器の予測寿命は短くなる。短時間の過負荷は、非常に極端な温度でない限り、予測寿命に大きな影響を与えることはない。しかしながら、頻繁な過負荷は、変圧器の予測寿命に大きな影響を及ぼす。よって、変圧器にわずかに過負荷がかかっている場合、ユーティリティはさらに監視を行い、これが定期的に発生しているのか偶然のイベントなのかを判断する。それが定期的に発生すると判断された場合、変圧器はより高い負荷を処理するように設計されたより大きなバージョンに置き換えられるかもしれない。変圧器に大きな過負荷がかかっている場合は、既に重大な寿命低下が発生している可能性があり、変圧器に定期的にいくらかの過負荷がかかっている可能性がある。
【0005】
いくつかのユーティリティは、機器の寿命とそれを維持するために必要な労力とを最適化するためのプラクティスを開発してきた。そのようなプラクティスは、基準温度に対する動作温度に基づいて過負荷の機器を分類し、そのような分類に基づいて異なるアクションを実行することを含み得る。例えば、変圧器が90℃の基準温度で動作するように設計されている場合、変圧器が110℃で動作している場合には「過負荷」に分類され、120℃で動作している場合には「極端に過負荷」に分類され得る。「過負荷」の機器は一定期間、より綿密に監視され、「極端に過負荷」の機器はすぐに交換され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気機器が「過負荷」または「極端に過負荷」の状態で動作しているか否かを判断するのを支援するために、電気機器内の温度変化を感知し、示すことが可能な装置を提供する必要がある。電気機器が「過負荷」または「極端に過負荷」の状態で動作しているか否かを判断するための電気機器内の温度変化の表示を、電気機器の外観から視覚的に容易に評価できるような装置を提供する必要もある。
【0007】
関連技術の前述の例及びそれに関連する制限は、例示を意図するものであり、排他的なものではない。関連技術の他の制限は、明細書を読み、図面を研究することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの態様では、温度センサが提供される。温度センサは、チャンバ内に収容された感熱素子であって、所定の温度で構成を第一構成から第二構成に変化させるように選択される感熱素子と、チャンバに向かってバイアスされたバイアス部材であって、感熱素子が第一構成にある時は最初にチャンバに入ることを防止されるとともに、感熱素子が第二構成にある時はチャンバ内に移動可能であるバイアス部材と、を有する。いくつかの態様では、感熱素子は、所定の温度に対応する溶融温度を有する材料であり、構成の変化は、固体状態から液体状態への相変化であり、チャンバは、感熱素子が固体状態にある時は感熱素子をチャンバ内に保持するが、感熱素子が液体状態にある時は感熱素子がチャンバから出ることを可能にする、選択的に透過性の要素から形成された部分を有する。いくつかの態様では、選択的に透過性の要素は、選択的に透過性の膜である。いくつかの態様では、選択的に透過性の膜は、バイアス部材及び感熱素子を介在させる。
【0009】
いくつかの態様では、インジケータは、温度センサと動作可能に係合して、所定の温度を超えたことの視覚的または他の知覚可能な表示を提供する。いくつかの態様では、インジケータは、バイアス部材と動作可能に係合するとともに、バイアス部材がチャンバ内に移動すると解放可能となる解放機構を有する。
【0010】
いくつかの態様では、温度センサ及びインジケータは、その中に形成された一つ以上の角度付き保持面を備えた、概して軸方向に延在するボアを備えたシェルと、上記の温度センサとを有するように提供される。シェルのボア内でのスライド運動のために配置されたインジケータは、角度付き解放面を有する少なくとも一つの弾性活性脚を備えた近位部であって、少なくとも一つの弾性活性脚のそれぞれの角度付き解放面は、温度センサのバイアス部材の遠位端が少なくとも一つの弾性活性脚に接触することにより、シェル上の対応する少なくとも一つの角度付き保持面に接触して最初に保持される、近位部と、バイアス要素がインジケータに対して遠位バイアス力を加えるように、温度センサのバイアス要素に接触するための表面と、インジケータが解放されたことの表示を提供するメカニズムと、を有する。
【0011】
いくつかの態様では、第一及び第二の温度センサ及びインジケータが一緒に提供され、第一の温度センサ及びインジケータは低温で解放するように構成され、第二の温度センサ及びインジケータは高温で解放するように構成される。いくつかの態様では、第一及び第二の温度センサ及びインジケータは、単一のハウジング内に提供されるとともに、ハウジングから独立して取り外して、例えば、異なる所定の温度閾値で活性化するように構成された別の温度センサ及びインジケータと交換することができる。
【0012】
いくつかの態様では、所定の温度閾値を超える温度の上昇を感知する方法が提供される。感熱素子がチャンバ内に提供され、感熱素子は、所定の温度閾値で第一構成から第二構成に変化するように選択される。バイアス部材はチャンバに向かってバイアスされ、感熱素子が第一構成にある時は最初にチャンバに入ることを防止される。温度が所定の温度閾値を超えて上昇した後、感熱素子が第二構成にある時に、バイアス部材はチャンバに入ることができる。いくつかの態様では、感熱素子は固体である第一構成及び液体である第二構成を有し、感熱素子が第二構成にある時に、バイアス部材がチャンバに入ることを可能にするステップは、感熱素子が選択的に透過性の要素または膜を通ってチャンバから流出することを可能にすることを含む。
【0013】
いくつかの態様では、温度が所定の温度閾値を超えたという表示が提供される。上記のように所定の温度閾値を超える温度の上昇が感知された後、バイアス部材は、インジケータの少なくとも一つのインジケータ保持脚との係合から外れて移動することができ、続いて、少なくとも一つのインジケータ保持脚の面取り解放面が、インジケータが軸方向に移動可能であるハウジングのスライドチャネル上に設けられた対応する面取り保持面を通過してスライドする時に、少なくとも一つのインジケータ保持脚は内方に移動することを許容され、インジケータが最初のロックされた構成から解放構成に移動することが可能となる。
【0014】
いくつかの態様では、温度が第一及び第二の所定の温度閾値を超えたことの表示は、二つの温度感知及び表示ユニットの組み合わせを使用することによって提供され、第一の温度感知及び表示ユニットは、温度が第一の所定の温度閾値を超えたことの表示を提供するように構成され、第二の温度感知及び表示ユニットは、温度が第二の所定の温度閾値を超えたことの表示を提供するように構成される。
【0015】
例示的な実施形態は、図面の参照図に示されている。本明細書に開示される実施形態及び図は、限定的ではなく例示的であるとみなされることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】外部ハウジングに設置された二つの温度センサ及びインジケータの例示的な実施形態の、両方が非活性化構成にある側面図である。
【
図2】明確性のために外部ハウジングが省略された、温度センサ及びインジケータの例示的な実施形態の構成要素の分解図である。
【
図3】
図1の実施形態の断面図であり、外部ハウジングに設置された一つの温度センサ及びインジケータを示す図である。
【
図4B】第一チャンバを画定する構成要素の例示的な実施形態の分解図である。
【
図4C】組み立てられた構成における構成要素の断面図である。
【
図5A】明確性のために外部ハウジングが省略された、温度センサ及びインジケータの例示的な実施形態の側面図である。
【
図5B】非活性化構成にある、
図5Aの線B-Bに沿った断面図である。
【
図5C】インジケータピンが活性化構成に移動したが、インジケータ脚がまだロック位置にあり、シェルの面取り保持面に対してまだスライドし始めていない時の断面図である。
【
図6A】活性化構成の温度センサ及びインジケータの例示的な実施形態の断面図であり、インジケータは解放位置にあり、外部ハウジングは明確性のために省略されている図である(インジケータ脚は、
図6Aにおいてシェルに干渉するものとして示されているが、これは使用された図面モデルのアーティファクトであり、実際の構造ではインジケータ脚には弾力性があり、シェルに柔軟に押し付けられて接触するであろうが、シェルを貫通することはない)。
【
図6B】
図6Aの実施形態の断面図であり、インジケータの完全な排出を防止するための、シェルの内面のハードストップとインジケータの突起との係合を示す図である。
【
図7】アクチュエータピンの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図8】温度センサ及びインジケータが取り付けられた変圧器の例示的な実施形態である。
【
図9】完全に非活性化構成で外部ハウジングに設置された、二つの別個の温度閾値を超えたことを感知及び表示することが可能な温度センサ及びインジケータの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図10】低温閾値を超えたことを示すインジケータは解放構成にあるが、高温閾値を超えたことを示すインジケータは非活性化構成にある、
図9の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図11】低温閾値インジケータ及び高温閾値インジケータの両方が解放構成にある、
図9の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図12】低温閾値インジケータ及び高温閾値インジケータの両方が解放構成にある、
図11に示される温度センサ及びインジケータの断面図である。
【
図13】
図9に示される温度センサ及びインジケータの分解図である。
【
図14】温度が所定の温度閾値を超えたことを感知及び表示する方法の例示的な実施形態である。
【
図15】温度が二つの別個の所定の温度閾値の一方または両方を超えたことを感知及び表示する方法の例示的な実施形態である。
【
図16A】温度センサの代替構成の実施形態を示している。
【
図16B】温度センサの代替構成の実施形態を示している。
【
図16C】温度センサの代替構成の実施形態を示している。
【
図17A】温度感知素子として形状記憶材料を使用する温度センサの例示的な実施形態を概略的に示しており、非活性化構成における温度センサを示している。
【
図17B】温度感知素子として形状記憶材料を使用する温度センサの例示的な実施形態を概略的に示しており、活性化構成であるが、インジケータを解放するアクチュエータピンがまだロック位置にある温度センサを示している。
【
図17C】温度感知素子として形状記憶材料を使用する温度センサの例示的な実施形態を概略的に示しており、解放位置でインジケータを解放するアクチュエータピンを備えた活性化構成における温度センサを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明を通して、当業者により完全な理解を提供するために、特定の詳細が示されている。しかしながら、開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の要素が詳細に示されていなかったり、説明されていなかったりする可能性がある。よって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で解釈されるべきである。
【0018】
本発明者らは、温度が所定の値をいつ超えたかを判定するための温度センサを開発した。センサには感熱素子が含まれている。いくつかの実施形態では、感熱素子は、所定の温度値で固体から液体に相を変化させる。感熱素子は、チャンバによって画定された空間を占める。感熱素子が固体状態にある間、感熱素子をチャンバ内の所定の位置に固定するために、選択的に透過性の保持膜が提供される。固体状態では、感熱素子は選択的に透過性の膜を通過することができない。液体状態では、感熱素子は選択的に透過性の膜を通過してチャンバを出ることができる。
【0019】
一実施形態では、バイアスピン等のバイアス部材が、固体の感熱素子によってその初期位置で支持される。感熱素子が溶融すると、バイアスピンが、以前は感熱素子によって占められていたチャンバの内部に入る。よって、バイアスピンは、感熱素子が溶融したこと、従って感熱素子の融点に対応する所定の温度値を超えたことを視覚的に示すための機械的インジケータのトリガーを提供することができる。
【0020】
一実施形態では、インジケータは、温度センサのバイアスピンによって、ロックされた、非活性化構成で最初に保持される。インジケータは、弾力性があり、かつシェル上の対応する面取り保持面に係合する面取りされたエッジを有する、少なくとも一つまたは複数の活性脚を有する。ばね駆動ピンが非活性化位置にある時、ばね駆動ピンは、複数の活性脚を介在させ、活性脚が一緒に内方に移動することを防止する。
【0021】
非活性化構成において、バイアスピンが複数の脚を介在させる時、活性脚の面取りされたエッジは、シェル上の対応する面取り保持面に対してロックされた構成を維持する。バイアス部材は、インジケータを遠位方向外方にバイアスさせる。しかしながら、インジケータの運動は、活性脚がシェルに係合することによって妨げられる。感熱素子の溶融により温度センサが活性化されると、ピンはチャンバに入ることができ、これにより複数の活性脚の間から取り外される。ピンが複数の活性脚の間から取り外されると、複数の活性脚が内方に移動することができ、これは、インジケータを遠位方向に強制するバイアス部材のバイアス力によって生じるシェル上の面取り保持面によって生成された内向きの力に応答して行われる。これにより、活性脚の面取りされたエッジがシェルの面取り保持面を通過してスライドできるため、インジケータが遠位方向かつ長手方向にバイアスされて解放構成に移動し、温度センサが活性化されたことの視覚的な表示が提供される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、例えば使用中の変圧器の内側のような、電気機器の内側に配置される温度センサ及びインジケータの端に向かう方向を意味し、「遠位」という用語は、近位の反対、すなわち、電気機器の外側に配置される温度センサ及びインジケータの端に向かう方向を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「内側」または「内方」という用語は、温度センサ及びインジケータの内側に向かう方向を意味し、「外側」または「外方」という用語は、反対の方向、すなわち、温度センサ及びインジケータの外面に向かう方向を意味する。以下でより詳細に説明するように、問題の構成要素の相対的な向きに応じて、内向きは温度センサ及びインジケータの軸方向中心線に向かって半径方向内向きの方向、または温度センサ及びインジケータの軸方向中心線を通って延在する中心面に向かって横方向の方向を意味し得る。
【0024】
図1、
図3、
図4A、及び
図5Bを参照すると、温度センサ及びインジケータ100の例示的な実施形態が、非活性化構成において示されている。温度センサ及びインジケータ100は、以下でより詳細に説明するように、熱的に活性化される要素102、インジケータ解放機構104、及びインジケータ106を有する。外部ハウジング108は、温度センサ及びインジケータ100の様々な構成要素を含んで支持するとともに、以下でより詳細に説明するように、使用のために電気機器に固定することができる。
【0025】
図2、
図4B、
図4C、及び
図5Bに最も明確に見られるように、熱活性要素102は、第一チャンバ112の容積を占める感熱素子110を有する。チャンバ112の一方のエッジの少なくとも一部は、選択的に透過性の膜116によって画定される。第一チャンバ112は、最初は完全にシールされているので、感熱素子110は固体状態にある時、第一チャンバ112から流れ出たり、クリープしたりすることができない。第二チャンバ118は、選択的に透過性の膜116の反対側に提供される。図示の実施形態では、第二チャンバ118は、はんだワッシャ119内に画定されている。
【0026】
感熱素子110は、感熱素子110が、熱活性要素102を活性化させることが望まれる所定の温度で溶融するか、または溶融し始めるように選択された溶融温度を有する材料から作製される。いくつかの実施形態では、感熱素子110は、はんだの溶融温度が所定の温度になるように選択された組成を有するはんだのブロックである。はんだの組成を変更することにより、溶融温度を変更することができる。よって、所定の温度の溶融温度をもたらす組成を有するはんだを選択することにより、熱活性要素102は、所望の所定の温度で活性化するように設計することができる。
【0027】
異なる溶融温度を有するはんだが市販されており、当業者は、所望の所定の温度で溶融するのに適した組成を有するはんだを選択することができる。例えば、52.2wt%のIn(インジウム)/46wt%のSn(スズ)/1.8wt%のZn(亜鉛)の組成を有するはんだは108℃の固相温度及び108℃の液相温度を有しており、51.6wt%のBi(ビスマス)/41.4wt%のPb(鉛)/7.0wt%のSn(スズ)の組成を有するはんだは98℃の固相温度及び112℃の液相温度を有しており、52wt%のIn(インジウム)/48wt%のSn(スズ)の組成を有するはんだは118℃の固相温度及び118℃の液相温度を有しており、57wt%のBi(ビスマス)/43wt%のSn(スズ)の組成を有するはんだは139℃の固相温度及び139℃の液相温度を有しており、95.5wt%のSn(スズ)/3.8wt%のAg(銀)/0.7wt%のCu(銅)の組成を有するはんだは217℃の固相温度及び217℃の液相温度を有している。
【0028】
固相温度(solidus temperature)は、組成物が完全に固体になる最高温度である。液相温度(liquidus temperature)は、組成物が完全に液体になる最低温度である。いくつかの実施形態では、はんだは共晶はんだである。いくつかの実施形態では、はんだは非共晶はんだである。
【0029】
図示の実施形態では、第一チャンバ112は略円筒形であり、ベースインサート111内に画定される。感熱素子110は、最初の固体形態において対応する略円筒形で提供される。感熱素子110が溶融するまで感熱素子110がアクチュエータピン120をロック構成に保持し、次に、感熱素子110が溶融した時にアクチュエータピン120が第一チャンバ112に入ることを可能にするという条件で、第一チャンバ112及び感熱素子110の両方の代替形状を代替の実施形態で使用できることが当業者によって理解されるであろう。
【0030】
選択的に透過性の膜116は、第一チャンバ112を画定するためにベースインサート111とシール係合している。図示の実施形態では、選択的に透過性の膜116は、はんだワッシャ119とベースインサート111との間の位置に挟まれている。代替の実施形態では、選択的に透過性の膜116をベースインサート111とシール係合するように固定して第一チャンバ112をシールする任意の適切な方法を使用することができる。
【0031】
図示の実施形態では、
図4B及び
図4Cに最もよく示されているように、はんだワッシャ119の近位面にシールリング117が設けられている。シールリング117は、はんだワッシャ119及び膜116を介在させる概して近位に突出する突起であり、これにより、はんだワッシャ119及びベースインサート111がシェル114内で一緒に圧縮されて、膜116とベースインサート111との間の良好なシールを維持する時に圧縮シールを形成する。図示の実施形態では、シールリング117は、はんだワッシャ119と一体的に形成されている。代替の実施形態では、シールリング117は、任意の適切な方法ではんだワッシャ119に結合された別個の要素として提供されるか、またはシールリング117は、一体的に形成されるか、またはベースインサート111に固定された別個の要素として形成される、ベースインサート111の遠位面上の遠位に延在する突起として提供されてもよい。
【0032】
代替の実施形態では、膜116とベースインサート111との間にシール係合を提供して第一チャンバ112を画定する代替メカニズム、例えば、適切な接着剤、超音波溶接等を使用することができる。
【0033】
図示の実施形態では、はんだワッシャ119は一対の開口142を備えており、ベースインサート111は、組み立てられた時に開口142内で係合可能な対応する一対の突起144を備えており、これらの構成要素の正しい向きにおける係合を容易にするのを助ける。代替の実施形態では、開口142/突起144を省略してもよく、またはシェル114内のさねはぎ継ぎ等の他のメカニズムを使用することもできる。
【0034】
選択的に透過性の膜116は、感熱素子110が固体状態にある時は感熱素子110に対して不透過性であるが、感熱素子110が液体状態にある時は感熱素子110に対して透過性であるように選択される。選択的に透過性の膜116に使用される材料の性質は、感熱素子110の性質に応じて変化し得る。選択的に透過性の膜116に使用される材料は、感熱素子110が固体状態にある時は選択的に透過性の膜116を通る感熱素子110の流れまたはクリープを防止するが、感熱素子110が液体状態にある時は選択的に透過性の膜116を通る感熱素子110の流れが許容されるのに適した細孔サイズを有するように選択されるべきである。
【0035】
選択的に透過性の膜116に使用される材料はまた、感熱素子110に使用される材料と化学的に適合性があるように選択されるべきである(例えば、望ましくない化学反応または選択的に透過性の膜116と感熱素子110との間の化学要素、イオン、または分子の拡散を回避するため)。選択的に透過性の膜116に使用される材料はまた、例えば選択的に透過性の膜116が、温度センサ及びインジケータ100の予想される動作温度の範囲内で溶融または劣化しないように、耐熱性でなければならない。
【0036】
様々な実施形態において選択的に透過性の膜116を提供するために使用できる材料の例には、焼結ステンレス鋼、セラミック、またはプラスチック、ナイロン、または金属等の適切な材料から作られた微細メッシュまたは多孔質膜が含まれる。いくつかの実施形態では、透過性の膜116は、感熱素子110が液体形態でそこを通って流れることを可能にするのに十分な量の連続細孔を発泡体が有するという条件で、多孔質発泡体から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、選択的に透過性の膜116はプラスチックから作られ、プラスチックはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標))である。
【0037】
いくつかの実施形態では、選択的に透過性の膜116の細孔サイズは、例えば0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5μmの間の任意の値を含む、0.2~10μmの範囲内である。選択的に透過性の膜116がプラスチック膜である実施形態では、膜は、例えば0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5μmの間の任意の値を含む、0.2~10μmの範囲内の細孔サイズを有し得る。
【0038】
アクチュエータピン120が第一チャンバ112に入ることを許容するように選択的に透過性の膜116が変形される、
図1~
図7に示されるような実施形態では、選択的に透過性の膜116は、アクチュエータピン120が第一チャンバ112内に移動することを許容するように十分な可撓性を有していなければならない。代替の実施形態では、選択的に透過性の膜116は、感熱素子110がそれを通って流れ始めた後に変形し始めると破裂することを許容されるものであって、従って選択的に透過性の膜116は、そのような実施形態では非可撓性材料から作製され得る。
【0039】
例として、感熱素子110がはんだである実施形態では、選択的に透過性の膜116は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標))であり得る。いくつかの実施形態では、ポリテトラフルオロエチレンは、例えば0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5μmの間の任意の値を含む、0.2~10μmの範囲内の細孔サイズを有する。
【0040】
熱活性要素102は、感熱素子110に対してバイアスされたアクチュエータピン120をさらに備える。図示の実施形態では、膜116は、アクチュエータピン120及び感熱素子110を介在させる。図示の実施形態では、アクチュエータピン120は、コイルばね122によって感熱素子に対してバイアスされている。接触面123は、アクチュエータピン120の近位端に向かって突起に設けられてコイルばね122に接触するとともに、コイルばね122がアクチュエータピン120を第一チャンバ112に向かってバイアスさせることを可能にする。代替の実施形態では、重力下のピンの重量、伸長ばね、または引き伸ばされた弾性材料等の任意の適切なバイアス機構を使用して、アクチュエータピン120を第一チャンバ112に向かってバイアスさせることができる。
【0041】
感熱素子110がはんだである実施形態を含むいくつかの実施形態では、感熱素子110はその溶融温度よりも低い温度でさえ、アクチュエータピン120によって加えられる圧力のためにゆっくりとした変形または「クリープ(creep)」を経験し得る。そのような実施形態では、膜116は、感熱素子110によって経験される変形またはクリープの量を防止または最小化するように作用し、特に、感熱素子110が固体状態にある限り、第一チャンバ112の容積が感熱素子110によって占有され続けるように、第一チャンバ112内に感熱素子110を保持する。第一チャンバ112の容積は感熱素子110によって占められているので、アクチュエータピン120は、コイルばね122によって加えられた力にもかかわらず、第一チャンバ112に入ることができない。
【0042】
図7に示される例示された実施形態を含むいくつかの実施形態では、アクチュエータピン120´は、膜116に接触するアクチュエータピン120´の表面積(従って感熱素子110に対して力を加えているアクチュエータピン120´の表面積)を最大化するための構造的特徴を備えているが、感熱素子110が液相にある時、感熱素子110がアクチュエータピン120´の近位部を通過して流れることを可能にする。
図7の例示された実施形態では、アクチュエータピン120´は、その近位端121´に一つ以上の表面隆起124を備えている。表面隆起124は、それらの間に一つ以上の流体流路126を画定し、感熱素子110が液体状態にある時に、感熱素子110がアクチュエータピン120を通過して第二チャンバ118内に流れることを可能にする。代替の実施形態では、例えば、
図2に示されるように、アクチュエータピン120には、流体流路や表面隆起が存在しない。
【0043】
所定の温度閾値に達すると、感熱素子110が溶融し、固相から液相に変化する。選択的に透過性の膜116は、液体形態の感熱素子110に対して透過性である。いくつかの実施形態では、アクチュエータピン120を第一チャンバ112内に押し込むコイルばね122によってバイアス圧力が加えられ、膜116は、アクチュエータピン120を第一チャンバ112内に移動させるのに十分な可撓性があり、アクチュエータピン120は、第一チャンバ112内に近位方向に移動し始めて、液体形態の感熱素子110を膜116を通って流し、流体流路126(存在する場合)から第二チャンバ118内に流す。流体流路126が存在しない実施形態では、液体形態の感熱素子110は、アクチュエータピン120とはんだワッシャ119との間のギャップ及び公差を通って、第一チャンバ112から第二チャンバ118内に流れる。第一チャンバ112からの液体形態の感熱素子110の排出は、アクチュエータピン120が第一チャンバ112内に移動することを可能にし、従って熱活性要素102を、
図5C、
図6A、及び
図6Bに示すような活性化構成に配置する。
【0044】
図示の実施形態では、第二チャンバ118は、はんだワッシャ119によって少なくとも部分的に画定される。図示の実施形態では、第二チャンバ118は、はんだワッシャ119を通って延在する略円筒形の内部開口によって画定され、アクチュエータピン120の近位端121は、円筒状の第二チャンバ118を通って延在する。これにより、はんだワッシャ119はアクチュエータピン120の第一チャンバ112に対する位置合わせを維持するのに役立つ。図示の実施形態では、
図4Cに最もよく見られるように、第二チャンバ118を画定するはんだワッシャ119の内壁は、近位方向において半径方向内方に向けて先細になるテーパ面119Aを有する。いくつかの実施形態では、はんだワッシャ119の内壁のテーパ面119Aは、組み立てを容易にする。いくつかの実施形態では、はんだワッシャ119の内壁は先細ではなく、すなわち、真っ直ぐなサイドを有する略円筒形である。第二チャンバ118は、アクチュエータピン120によって膜116を通って移動される液体の感熱素子110の体積を受容するのに十分な容積を有するべきである。
【0045】
図3、
図5B、
図5C、
図6A、及び
図6Bを参照すると、インジケータ解放機構104がより詳細に説明されている。インジケータ106は、シェル114内に画定されたスライドチャネル113内における軸方向のスライド運動のために配置されている。
図3及び
図5Bに示される非活性化位置において、アクチュエータピン120の遠位端128は、複数の活性脚130の内側に位置し、それらを介在させる。図示の実施形態では、横方向に対向する一対の活性脚130がインジケータ106の近位部に設けられている。インジケータ解放機構104が活性化されると、各活性脚130は、反対側の活性脚130に向かって横方向内方に移動させられる。代替の実施形態では、例えば1、2、3、4、またはそれ以上の任意の所望の数の活性脚を使用することができる。いくつかの実施形態では、活性脚130を横方向に対向させるのではなく、インジケータ106の近位部の周囲に分散させてもよい。そのような実施形態では、インジケータ解放機構104が活性化されると、各活性脚は、インジケータ106の軸方向中心線に向かって半径方向内方に移動させられる。
【0046】
各活性脚130はその外縁に面取り解放面132を有しており、これは、その遠位部から近位部に向かって外向きに先細になっている。インジケータ脚は
図6Aにおいてシェルに干渉するものとして示されているが、これは使用された図面モデルのアーティファクトである。実際の構造ではインジケータ脚には弾力性があり、シェルに柔軟に押し付けられて接触するであろうが、シェルを貫通することはない。
【0047】
例えば
図5Bに示されるように、図示の実施形態におけるインジケータ解放機構104の活性脚130の間に画定される空間は鍵穴形状を有し、概して丸い遠位部146と、その近位部に概して真っ直ぐなエッジ148とを有する。図示の実施形態に示される鍵穴形状は、一対の活性脚130の間の応力集中を低減し、さらに、形状を変更して、活性脚130の可撓性を調整することができる。
【0048】
面取り解放面132は、シェル114の対応する面取り保持面134との係合によって所定の位置に保持される。面取り保持面134は、面取り解放面132との相補的な方法において、その遠位部から近位部に向かって外向きに先細になっている。よって、面取り解放面132及び面取り保持面134は、以下でより詳細に説明されるように、温度センサ及びインジケータ100が活性化されると、互いにすれ違ってスライドするように構成される。表面132、134が最初に非活性化構成においてインジケータ解放機構104を保持し、熱活性要素102が活性化された時にインジケータ解放機構104を活性化構成に移動させることが可能である限り、表面132、134の他の形状及び構成を代替の実施形態で使用することができる。
【0049】
非活性化位置では、コイルばね122等のバイアス機構は、例えばインジケータ解放機構104の近位に面する表面に設けられた接触面136との係合を介して、遠位方向に活性脚130に対して軸方向バイアス力を加える。アクチュエータピン120の遠位端128は活性脚130が内方に偏向することを防止するので、面取り解放面132は面取り保持面134に対して所定の位置にロックされた状態を維持し、アクチュエータピン120が非活性化構成にある時、活性脚130は移動することができない。
【0050】
熱活性要素102が感熱素子110の溶融によって活性化されると、インジケータ解放機構104がまだロックされた構成にある、すなわち、活性脚130がロックされた構成で示されている
図5Cに示されるように、温度センサ及びインジケータ100は活性化構成に移動する。活性化構成では、アクチュエータピン120は近位方向において軸方向に十分遠くまで移動するため、その遠位端128は、もはや活性脚130を介在させない。よって、コイルばね122によって加えられるバイアス力に応答して活性脚130は遠位方向にスライドし始めることができ、アクチュエータピン120がそれらの間から取り外されるので、活性脚130は互いに向かって内方に偏向し始めることができる。面取り解放面132が面取り保持面134を通過してスライドするにつれて、活性脚130が一緒に内方に向けて、遠位方向において長手方向に移動し続けることで、コイルばね122がインジケータ解放機構104、ひいてはインジケータ106を解放位置にバイアスさせることを可能にする。
【0051】
解放されると、活性脚130は、インジケータ106上に提供される突起139がハードストップ138に到達するまで、シェル114内で遠位方向にスライドし続ける。図示の実施形態では、ハードストップ138は、シェル114の内側側壁に形成された半径方向内方に延在する突起であり、突起139は、インジケータ106の一部に形成された半径方向外方に延在する突起である。図示の実施形態では、突起139は、活性脚130の間のインジケータ106の一部に形成されている。しかしながら、突起139は、ハードストップ138が突起139に接触するように配置されている限り、代替の実施形態において任意の所望の位置に提供することができる。これにより、インジケータ106の完全な排出が防止され、コイルばね122によって加えられるバイアス力により、インジケータ106が完全に拡張された位置に留まることを保証し、目視検査時に視認可能となるようにする。
【0052】
代替の実施形態では、インジケータ106の遠位運動を停止するのに適した任意の他の構造要素を使用することができる。インジケータ106を完全に排出することが望まれる代替の実施形態では、ハードストップ138のような停止機構を省略することができる。
【0053】
活性脚130の解放の結果として、インジケータ106はシェル114から離れて、遠位方向において軸方向に排出されて、解放構成となる。いくつかの実施形態では、インジケータ106は、その外面140上に明るい色を提供することができ、これは、ロックされた構成では視認できないが、解放構成では視認可能である。よって、電気機器を検査する作業者は、温度センサ及びインジケータ100が活性化されているか否かを容易に判断することができる。代替の実施形態では、インジケータ106は、外面140の明るい色の代わりに、独特のパターン、テクスチャ、または形状を備えた表面を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、外部ハウジング108から突出しているインジケータ106の相対的な長さは、インジケータ106が解放されたことの視覚的評価を提供するために使用される。さらなる代替の実施形態では、表面140の可視化に加えて、インジケータ106が解放されたことを示す信号を提供する他の方法を使用することができる。例えば、インジケータ106の一部と温度センサ及びインジケータ100の別の部分との間の電気回路の遮断または接続は、インジケータ106が解放されたことを示す電気信号を提供するために使用することができ、及び/または、例えば警告音または警告灯の作動等、可聴または可視の表示のトリガー生成に使用することができる。
【0054】
図示の実施形態では、温度センサ及びインジケータ100は、例えば変圧器のような電気機器に、外部ハウジング108を介して固定されている。外部ハウジング108は、半径方向に延在するカラー150及びねじ面152を備えている。使用中、外部ハウジング108の遠位端は、電気機器の内側から、
図8のエンクロージャ23として示される電気機器のエンクロージャに設けられた適切な開口を通過することができ、ねじ面152が電気機器のエンクロージャの外面の外側に延在して、カラー150がエンクロージャの内面で電気機器のエンクロージャに隣接して延在するようにする。いくつかの実施形態では、ワッシャ154は、カラー150及び電気機器のエンクロージャを介在させて、カラー150と電気機器のエンクロージャとの間にシールを形成するために提供される。
【0055】
温度センサ及びインジケータ100を所定の位置に固定するために、内側ねじ面158を有するナット156が、外部ハウジング108上のねじ面152にねじ的に係合され、締め付けられる。代替の実施形態では、例えば適度にタイトな摩擦ばめ、適切な接着剤、超音波溶接等の任意の他の適切な係合機構を使用して、ナット156を外部ハウジング108上の所定の位置に固定することができる。図示の実施形態では、外部ハウジング108内にシェル114を固定するためにカバー160が提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、
図8に概略的に示されるように、温度センサ及びインジケータ100は、インジケータ106が解放構成にある時に電気機器を検査するユーザにインジケータ106を視認できるようにするのを助けるために、それが設置される電気機器21のエンクロージャ23のサイドに取り付けられる。いくつかの実施形態では、温度センサ及びインジケータ100は、温度センサ及びインジケータ100が油で満たされた変圧器内に含まれる油の温度を測定するように、適切な高さで油で満たされた変圧器に取り付けられる。いくつかのそのような実施形態では、温度センサ及びインジケータ100は、油の上部領域、または変圧器の上部の油の温度を測定する。いくつかの例示的な実施形態では、油面より約5cm以上下への温度センサ及びインジケータ100の取り付けは、油温が測定されていることを確実にするための許容可能な位置である。
【0057】
代替の実施形態では、気温と流体温度とはわずかに異なる可能性があるため、流体の温度を測定するために取り付けられた同等の温度センサ及びインジケータ100と比較して温度センサ及びインジケータ100の構成を調整する必要はあるかもしれないが、温度センサ及びインジケータ100を、流体で満たされた変圧器内の流体レベルよりも上の空間に取り付けることも可能である。温度センサ及びインジケータ100が乾式変圧器とともに使用される代替の実施形態では、流体温度対気温の測定に関する考慮事項は存在しないであろう。所望の展開位置に適合するように温度センサ及びインジケータを調整することは、当業者の期待される能力の範囲内である。
【0058】
いくつかの実施形態では、
図9~
図13に示されるように、温度センサ及びインジケータ200は、単一の外部ハウジング208に一緒に提供される一対の温度センサ及びインジケータ200A、200Bを備える。温度センサ及びインジケータ100の構成要素に対応する温度センサ及びインジケータ200A、200Bの構成要素は、100ずつ増加された参照番号によって参照される。温度センサ及びインジケータ200A、200Bのそれぞれは、概して、温度センサ及びインジケータ100と同様である。
【0059】
いくつかの実施形態では、温度センサ及びインジケータ200A、200Bのそれぞれは、それ自体のシェル214A、214B内において自己完結型であるため、温度センサ及びインジケータ200A、200Bはそれぞれ、外部ハウジング208内で独立して交換可能な自己完結型モジュールである。図示の実施形態では、分離シールド215A、215Bが、シェル214A、214Bのそれぞれの内部構成要素として提供される。分離シールド215A/215Bは、コイルばね222A/222Bの干渉を防止するのに役立つ。温度センサ及びインジケータ200A、200Bはそれぞれ、概して対称である半円筒形状を備えているので、外部ハウジング208の略円筒形状内に容易に設置することができる。
【0060】
図示の実施形態では、スナップリング262及びカプセルカバー260が提供され、シェル214A、214Bは、外部ハウジング208に挿入するための単一のモジュールとして容易に一緒に係合することができる。カプセルカバー260が取り外されると、シェル214A、214Bのいずれかまたは両方をスナップリング262からスナップアウトして交換することができる。そのため、例えば異なる所定の温度で活性化される別の温度センサ及びインジケータユニットを外部ハウジング208に容易に設置することができる。いくつかの実施形態では、200A、200Bのような温度センサ及びインジケータは、個別のユニットとして販売されているため、購入者は活性化された温度センサ及びインジケータ200A、200Bを容易に交換し、及び/または、異なる所定の温度で活性化される温度センサ及びインジケータ200A、200Bを設置することができる。
【0061】
温度センサ200A、200Bはそれぞれ、所望の所定の温度閾値で活性化される熱活性要素202A、202Bを有するように独立して選択することができ、温度センサ200A、200Bはそれぞれ、外部ハウジング208において独立して設置及び交換することができる。これにより、ユーザは、特定の用途のために正しい所定の温度で作動する一対の温度センサ200A、200Bを、例えば現場で決定し、設置することができる。これはまた、例えばユーザが、外部ハウジング208をそれが取り外された電気機器に再設置する前に、活性化されていない温度センサ及びインジケータ200Bを外部ハウジング208内において手付かずでそのままの状態にしておきながら、活性化された第一の温度センサ及びインジケータ200Aを取り外して交換することを可能にする。
【0062】
温度センサ及びインジケータ200Aは、第一の所定の温度(本明細書では「低温閾値」と呼ばれる)で活性化するように構成され、温度センサ及びインジケータ200Bは、第一の所定の温度よりも高い第二の所定の温度(本明細書では「高温閾値」と呼ばれる)で活性化するように構成される。すなわち、温度センサ及びインジケータ200Aの感熱素子210Aは、第一の所定の温度で溶融するように選択され、温度センサ及びインジケータ200Bの感熱素子210Bは、第二の所定の温度で溶融するように選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、低温閾値は、温度センサ及びインジケータ200が設置されている電気機器が過負荷であるとオペレータが考える温度になるように選択される。いくつかの実施形態では、高温閾値は、温度センサ及びインジケータ200が設置されている電気機器が極端に過負荷であるとオペレータが考える温度になるように選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、温度センサ200A及び温度センサ200Bは二つの異なるインジケータ206A、206Bを備えており、これは温度センサ及びインジケータ200Aまたは温度センサ及びインジケータ200Bのいずれかが活性化されたことを知覚できるほど明確な視覚的表示をもたらす。例えば、図示の実施形態において、
図9は、完全に非活性化位置にある温度センサ及びインジケータ200を示している。
【0065】
図10に示されるように、低温閾値を超えると、第一のインジケータ206Aが解放され、外部ハウジング208の遠位端の遠位に、第一の距離180(
図12)だけ延在する。これにより、第一のインジケータ206Aの外面240Aが視認可能になる。
【0066】
図11及び
図12に示されるように、高温閾値を超えると、第二のインジケータ206Bが解放され、外部ハウジング208の遠位端の遠位に、第二の距離182だけ延在する。これにより、第二のインジケータ206Bの外面240Bが視認可能になる。
【0067】
図示の実施形態では、第二のインジケータ206Bは、第二の距離182が第一の距離180よりも長くなるように構成される。すなわち、インジケータ206Bは、解放構成においてインジケータ206Aよりも外部ハウジング208から遠くに突出するように構成される。これにより、ユーザはインジケータ206A及び206Bの両方が解放されたことを容易に視覚的に判断することができ、電気機器内の温度が高温閾値を超えたことが示される。あるいは、低温閾値のみを超えた場合、インジケータ206Aのみが視認可能となる。図示の実施形態では、インジケータ206A/206B上の突起239A/239Bの配置は、それぞれのインジケータが突出する距離を変更するために使用される。すなわち、突起239Aは、突起239Bがインジケータ206Bの近位端に対して配置されるよりもインジケータ206Aの近位端から遠くに配置される。これにより、インジケータ206Aは、突起239Aが対応するハードストップに接触しており、かつ突起239Bが対応するハードストッにと接触している時、インジケータ206Bよりも解放構成でさらに延在するであろう。
【0068】
いくつかの実施形態では、外部ハウジング208が電気機器に設置される方向は、ユーザが目視検査時にインジケータ206Aのみ、またはインジケータ206A及び206Bの両方が解放されているか否かを判断できることを確実にするように選択されるべきである。例えば、インジケータ206Aと206Bとの間に延在する平面が地面に対して垂直に延在するように外部ハウジング208が設置されている場合、ユーザは、インジケータ206A及び206Bの両方を同時に視認することができる。対照的に、インジケータ206Aと206Bとの間に延在する平面が地面に対して水平に延在するように外部ハウジング208が設置されている場合、ユーザはインジケータ206A及び206Bのうちの一方のみを容易に視認することができ、インジケータ206Bの延長はインジケータ206Aを不明瞭にする可能性があるため、ユーザはインジケータの一方または両方が解放されているか否かについて不確かとなる可能性がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、外部ハウジング208が設置される方向は、外部ハウジング208の形状によって調整することができる。例えば、外部ハウジング208は一つの平坦なエッジを備えていてもよく、これは、外部ハウジング208が電気機器に設置される開口部に設けられた対応する平坦なエッジと係合することができる。図示の実施形態では、外部ハウジング208は一つ以上のガセット209を備えており、これは、外部ハウジング208を円形開口への設置中に正しく位置合わせするのを助けるために使用され得る。いくつかの実施形態では、ガセット209は、充填レベルゲージとしても機能し得る。
【0070】
代替の実施形態では、インジケータ206A及び206Bを区別する他の方法を使用して、ユーザがインジケータ206Aのみが解放されたか、またはインジケータ206A、206Bの両方が解放されたかを判断できるようにすることができる。例えば、第一のインジケータ206Aは、例えば黄色等の第一の色で明るく着色された外面240Aを有することができ、第二のインジケータ206Bは、例えば赤色等の第二の色で明るく着色された表面240Bを有することができる。代替の実施形態では、色とは異なる視覚的インジケータを使用して、インジケータ206A、206Bを区別することができる。例えば、異なる色が提供されることに加えて、またはその代わりとして、二つの構成要素が異なる形状(例えば、一方が正方形で他方が円形)、異なるテクスチャ(例えば、滑らかなテクスチャと粗いテクスチャ)、及び/または異なるパターン(例えば、異なる厚さまたは方向を有するストライプ)、異なる温度定格、またはインジケータ206A、206Bの遠位端上の他のプリントされた表示(例えば、各インジケータが活性化される所定の温度、または「低(LOW)」及び「高(HIGH)」等の文言)とともに提供されることにより、ユーザは、インジケータが解放されていないか、第一のインジケータ206Aのみが解放されているか、またはインジケータ206A、206Bの両方が解放されているかを目視検査によって容易に判断することができる。
【0071】
代替の実施形態では、インジケータ206A、206Bはそれぞれ、インジケータ206A、206Bがそれぞれ解放された時に別個の電気回路を遮断または接続するように構成することができ、これにより、インジケータ206Aが解放された時に第一の、インジケータ206Bが解放された時に第二の、二つの別個の電気信号を生成することが可能になる。
【0072】
図13の例示的な実施形態では、インジケータ206A、206Bはそれぞれ、エンドキャップ207A、207Bを備えている。いくつかの実施形態では、第一の所定の温度閾値をエンドキャップ207Aにプリントすることができ、第二の所定の温度閾値をエンドキャップ207Bにプリントすることができる。これにより、ユーザは関連する温度閾値を読み取って、一つ以上の温度を超えたことを確認することができる。
【0073】
図14を参照すると、温度センサ及びインジケータを使用して所定の閾値を超える温度の上昇を感知及び表示する方法300の例示的な実施形態が示されている。ステップ302において、温度が所定の閾値に到達するか、またはそれを超える。ステップ304において、チャンバ内に収容された感熱素子が溶融し、それによって固体から液体に変化する。ステップ306において、液体状態の感熱素子は、固体状態の感熱素子には不透過性であるが液体状態の感熱素子には透過性である選択的な透過性の膜を通過する。ステップ308において、膜及び感熱素子に対してバイアスされるとともに、固体状態の感熱素子によって最初に定位置に保持されていた活性ピンが、液相の感熱素子が選択的に透過性の膜を通って流れるにつれてチャンバ内に移動することを許容され、それによって温度センサが活性化構成に配置される。
【0074】
温度センサがインジケータと動作可能に係合する実施形態では、方法300は、温度が所定の閾値を超えて上昇したことの表示を提供することをさらに含む。そのような実施形態では、ステップ310において、チャンバ内への活性ピンの移動によって、活性ピンがインジケータ解放機構の複数の活性脚を介在させる初期構成から、活性ピンが変位される。これにより、活性脚を一緒に内方に圧縮することができる。ステップ312において、活性脚の内向きの移動は、活性脚の面取り活性面が、温度センサ及びインジケータのシェルの内面に提供された対応する面取り保持面に対して遠位方向に、軸方向にスライドすることを可能にする。ステップ314において、インジケータ解放機構の長手方向の移動は、インジケータを遠位方向に解放する。いくつかの実施形態では、ステップ316において、インジケータが移動するスライドチャネルの内面のハードストップが、インジケータの外面に形成された対応する突起と係合して、インジケータの完全な排出を防止する。代替の実施形態では、ステップ316は省略されている。
【0075】
図15を参照すると、二つの別個の温度感知及び表示ユニットを有する温度センサ及びインジケータを使用して、二つの別個の所定の温度閾値の一方または両方を超える温度の上昇を感知及び表示する方法400の例示的な実施形態が示されている。第一の所定の温度閾値は、第二の所定の温度閾値よりも低い温度である。
【0076】
ステップ402において、温度は、第一の所定の温度閾値に到達するか、またはそれを超える。ステップ404において、第一の温度感知及び表示ユニットのチャンバ内に収容された感熱素子が溶融し、それによって固体から液体に変化する。ステップ406において、液体状態の第一の温度感知及び表示ユニットの感熱素子は、固体状態の感熱素子に対して不透過性であるが液体状態の感熱素子に対して透過性である選択的に透過性の膜を通過する。ステップ408において、膜及び感熱素子に対してバイアスされるとともに、固体状態の感熱素子によって最初に定位置に保持されていた活性ピンが、液相の感熱素子が第一の温度感知及び表示ユニットの選択的に透過性の膜を通って流れるにつれてチャンバ内に移動することを許容され、それによって第一の温度センサが活性化構成に配置される。
【0077】
ステップ410において、チャンバ内への活性ピンの移動によって、活性ピンが第一の温度感知及び表示ユニットのインジケータ解放機構の複数の活性脚を介在させる初期構成から、活性ピンが変位される。これにより、活性脚を一緒に内方に圧縮することができる。ステップ412において、活性脚の内向きの移動は、活性脚の面取り活性面が、第一の温度感知及び表示ユニットの内面に提供された対応する面取り保持面に対して遠位方向に、軸方向にスライドすることを可能にする。ステップ414において、インジケータ解放機構の長手方向の移動は、第一の温度感知及び表示ユニットのインジケータを遠位方向に解放する。いくつかの実施形態では、ステップ416において、第一のインジケータが移動するスライドチャネルの内面のハードストップが、第一のインジケータの外面に形成された対応する突起と係合することによって、第一の温度感知及び表示ユニットのインジケータはインジケータの完全に拡張された位置で停止され、第一のインジケータの完全な排出が防止される。いくつかの実施形態では、ステップ416は省略されている。
【0078】
ステップ402と同時か、または異なる時間であり得るステップ418において、温度は、第二の所定の温度閾値に到達するか、またはそれを超える。ステップ420において、第二の温度感知及び表示ユニットのチャンバ内に収容された感熱素子が溶融し、それによって固体から液体に変化する。ステップ422において、液体状態の第二の温度感知及び表示ユニットの感熱素子は、固体状態の感熱素子に対して不透過性であるが液体状態の感熱素子に対して透過性である選択的に透過性の膜を通過する。ステップ424において、膜及び感熱素子に対してバイアスされるとともに、固体状態の感熱素子によって最初に定位置に保持されていた活性ピンが、液相の感熱素子が第二の温度感知及び表示ユニットの選択的に透過性の膜を通って流れるにつれてチャンバ内に移動することを許容され、それによって第二の温度センサが活性化構成に配置される。
【0079】
ステップ426において、チャンバ内への活性ピンの移動によって、活性ピンが第二の温度感知及び表示ユニットのインジケータ解放機構の複数の活性脚を介在させる初期構成から、活性ピンが変位される。これにより、活性脚を一緒に内方に圧縮することができる。ステップ428において、活性脚の内向きの移動は、活性脚の面取り活性面が、第二の温度感知及び表示ユニットの内面に提供された対応する面取り保持面に対して遠位方向に、軸方向にスライドすることを可能にする。ステップ430において、インジケータ解放機構の長手方向の移動は、第二の温度感知及び表示ユニットのインジケータを遠位方向に解放する。いくつかの実施形態では、ステップ432において、第二のインジケータが移動するスライドチャネルの内面のハードストップが、第二のインジケータの外面に形成された対応する突起と係合することによって、第二のインジケータの完全な排出を防止する。いくつかの実施形態では、ステップ432は省略されている。
【0080】
図16A~
図16Cを参照すると、熱活性要素202A、202B、及び202Cの代替の実施形態が示されている。熱活性要素102の構成要素と同様の機能を有する熱活性要素202A、202B、及び202Cの要素は、100ずつ増加された参照番号で説明されている。
【0081】
図16Aを参照すると、熱活性要素202Aは感熱素子210を有しており、これは、感熱素子110について説明された材料のいずれかであり得る。感熱素子210は、インサート211内に画定された第一チャンバ212内に配置されている。第一チャンバ212は、感熱素子が固体状態にある時は感熱素子210に対して不透過性であるが、感熱素子が液体状態にある時は感熱素子210に対して透過性である選択的に透過性の膜216によって、その近位端の少なくとも一部にわたってシールされる。選択的に透過性の膜116について記載された材料及び特性のいずれも、選択的に透過性の膜216に使用することができる。
【0082】
第二チャンバ218は、選択的に透過性の膜216の近位に画定される。第二チャンバ218は、第二チャンバ218が液体状態で感熱素子210を受容することを可能にする任意の適切な方法で定義することができる。図示の実施形態では、周囲の支持体170が提供されて、選択的に透過性の膜216を所定の位置に固定して、第一チャンバ212をシール的に画定する、すなわち、選択的に透過性の膜216が第一チャンバ212をシールする。第二チャンバ218は、周囲の支持体170の内部空間内に画定されている。
【0083】
第一チャンバ212の遠位端もまた、膜172によってシールされている。膜172は選択的に透過性の膜であり得るが、図示の実施形態では、膜172は不透過性であるが可撓性の膜である。膜172に適した材料には、選択的に透過性の膜116に使用される任意の材料が含まれるが、非多孔性ゴムまたはプラスチックを含むゴムまたはプラスチック等の不透過性の可撓性材料も含まれる。代替の実施形態では、膜172は、感熱素子210が選択的に透過性の膜216を通過し始めた後、アクチュエータピン220によって加えられる力のために破裂する材料から作製され得る。アクチュエータピン220は膜172に対してバイアスされており、感熱素子が固体状態にある時は第一チャンバ212に入ることができない。
【0084】
熱活性要素202Aの活性化は、感熱素子210が溶融する時、それが選択的に透過性の膜216を通って第二チャンバ218内に近位方向に通過することを除いて、前述の熱活性要素102の活性化と同様である。アクチュエータピン220は膜172に対してバイアスされており、膜172は可撓性であるため、アクチュエータピン220は第一チャンバ212に入ることができ、それによって、熱活性要素202を活性化させる。
【0085】
いくつかの実施形態では、
図16Bに示されるように、熱活性要素の例示的な実施形態202Bとして、固体状態にある時、感熱素子210を初期位置に保持するのを助けるために補助支持体174が提供される。例えば、選択的に透過性の膜216が可撓性である実施形態では、補助支持体174のような補助的保持要素を使用して、固体状態にある時に感熱素子210を所定の位置に保持することができる。感熱素子210は、補助支持体174が存在するにもかかわらず、液体状態にある時、第二チャンバ218内に流れ込むことができる。よって、熱活性要素202Bは、補助支持体174が存在することを除いて、熱活性要素202Aと同様である。
【0086】
代替の実施形態では、感熱素子210を初期位置に保持するための補助支持体174を提供するのではなく、選択的に透過性の膜216を、可撓性の低い材料から作製し、及び/または厚くすることができる。これにより、選択的に透過性の膜216は、感熱素子210が固体状態にある時、初期位置で感熱素子210を支持することができる。代替の実施形態では、支持要素と、より厚い、及び/またはより可撓性の低い選択的に透過性の膜216との組み合わせを使用して、感熱素子210が固体状態にある時、初期位置で感熱素子210を支持する。
【0087】
図16Cを参照すると、熱活性要素202Cのさらなる代替の例示的な実施形態が示されている。熱活性要素202Cは、選択的に透過性の膜216の代わりに、液体状態にある時に感熱素子210を受容するために、選択的に透過性の材料216Bのブロックが感熱素子210の近位に提供されることを除いて、熱活性要素202Aと概して類似している。選択的に透過性の材料216Bは、感熱素子210が固体状態にある時、感熱素子210に対して不透過性であり、従って、感熱素子210が固体状態にある時、バイアスピン220によって加えられる力に対して感熱素子210を所定の位置に保持する。所定の温度閾値を超えて、感熱素子210が液体状態に変化すると、感熱素子210は選択的に透過性の材料216Bに入ることができ、バイアスピン220が第一チャンバ212に入ることを可能にする。選択的に透過性の材料216Bに適した材料の例には、感熱素子210と化学的に適合性のある任意の材料で作られた多孔質フォームが含まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、熱活性要素102の代わりに熱活性要素202A、202B、または202Cが使用される。
図17A、
図17B、及び
図17Cを参照すると、熱活性要素302の代替の実施形態が概略的に示されている。熱活性要素102と同様の機能を実行する熱活性要素302の要素は、200ずつ増加された参照番号で示されている。
【0089】
図17Aを参照すると、熱活性要素302は、ベースインサート311と、第一チャンバ312を画定するガイドワッシャ319と、最初に第一チャンバ312を占有する形状記憶材料310とを有する。形状記憶材料310は、最初に第一チャンバ312を占有するように、任意の適切な方法で固定される。アクチュエータピン120と概して同じように機能して、所定のレベルを超える温度の上昇によって熱活性要素302が活性化された後、インジケータの活性脚の内方への移動を可能にするアクチュエータピン320は、第一チャンバ312に向かってバイアスされているが、形状記憶材料310の存在のために、第一チャンバ312に入ることができない。
【0090】
形状記憶材料310は、所定の温度閾値に達すると変形するように選択される。形状記憶材料310が作られる材料は、当業者によって所定の温度閾値で変形するように選択することができ、その結果、所定の温度閾値を任意の所望の温度で提供することができる。
【0091】
所定の温度閾値に達すると、
図17Bに示すように、形状記憶材料310が変形する。これにより、熱活性要素302が活性化構成となり、アクチュエータピン320に対して加えられたバイアス力によって、
図17Cに示すように、アクチュエータピン320の近位端を第一チャンバ312内に移動させることができる。よって、インジケータの解放は、温度センサ及びインジケータ100について説明したのと同じ方法で行うことができる。
【0092】
いくつかの例示的な態様及び実施形態が上で論じられてきたが、当業者は、それらの特定の改変、順列、追加、及びサブコンビネーションを認識するであろう。よって、以下の添付の特許請求の範囲及び以下に導入される特許請求の範囲は、全体として明細書の最も広い解釈と一致するようなすべてのそのような改変、順列、追加、及びサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図される。