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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電気パルス工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20240214BHJP
   B25B 21/02 20060101ALI20240214BHJP
   G01L 5/24 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B25B23/14 610G
B25B21/02 B
G01L5/24
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021515007
(86)(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019073336
(87)【国際公開番号】W WO2020057953
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】1830263-8
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フリベルイ ヨン ロベルト クリスティアン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/137928(WO,A1)
【文献】特表2004-537432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 21/02
G01L 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジジョイントを締め付けるトルクをパルスで伝える締め付け動作を行う電気パルス工具(10)であって、
モータによって駆動される出力シャフト(12)と、
前記ネジジョイントの締め付けに関連するトルク値を決定するために配置されたトルクセンサ(25)と、
前記出力シャフト(12)の角度変位を決定するように構成された角度センサと、を備え、
これにより、前記電気パルス工具(10)が次のように作動可能である、
低トルク閾値に達するまで、前記出力シャフト(12)に前記電気パルス工具の最大トルク値の15%未満のトルク値の低トルクパルスを提供し、
前記低トルク閾値に達したとき、前記出力シャフト(12)の角度変位を測定し始め、
前記電気パルス工具の最大トルクの15%より大きいトルク値の締め付けトルクパルスを提供し、
前記締め付け動作の目標パラメータに達したとき、前記出力シャフトにトルクパルスを提供するのを停止する、
ことを特徴とする電気パルス工具(10)。
【請求項2】
前記モータは、前記出力シャフト(12)にパルスを提供するようにパルス的に駆動される、
請求項1に記載の電気パルス工具(10)。
【請求項3】
前記モータは、連続的に駆動され、前記パルスを前記モータと前記出力シャフトとの間に配置されたパルスユニットによって提供している、
請求項1に記載の電気パルス工具(10)。
【請求項4】
前記低トルク閾値が、前記電気パルス工具の最大トルク値の5から10パーセントの間である、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気パルス工具(10)。
【請求項5】
前記締め付けトルクパルスの前記トルク値が、前記電気パルス工具の最大トルク値である、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気パルス工具(10)。
【請求項6】
前記締め付け動作の前記目標パラメータが、トルクである、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気パルス工具(10)。
【請求項7】
ネジジョイントを締め付けるトルクをパルスで伝える締め付け動作を行う電気パルス工具(10)の方法であって、
前記電気パルス工具(10)は、
モータによって駆動される出力シャフト(12)と、
前記ネジジョイントの締め付けに関連するトルク値を決定するために配置されたトルクセンサ(25)と、
前記出力シャフトの角度変位(12)を決定するように構成された角度センサと、を備え、
これにより、前記方法が、
低トルク閾値に達するまで、前記出力シャフトに前記電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを提供する工程と、
前記低トルク閾値に達したとき、前記出力シャフト(12)の角度変位を測定し始める工程と、
前記出力シャフト(12)に前記電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルス提供する工程と、
前記締め付け動作の目標パラメータに達したとき、前記出力シャフト(12)にトルクパルスを提供するのを停止する工程と、を備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記モータは、前記出力シャフト(12)にパルスを提供するようにパルス的に駆動される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モータは、連続的に駆動され、前記パルスを前記モータと前記出力シャフトとの間に配置されたパルスユニットによって提供している、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記低トルクパルスのトルク値が、前記電気パルス工具の最大トルク値の10パーセント未満である、
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記締め付けトルクパルスのトルク値が、前記電気パルス工具の最大トルク値である、
請求項7ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記締め付け動作の前記目標パラメータが、トルクである、
請求項7ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
電気パルス工具(10)で実行されるとき、請求項7ないし12のいずれか1項に記載の方法を行うように電気パルス工具(10)を実行させるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気パルス工具と、電気パルス工具でネジジョイントを締め付ける及び/または緩めるためにトルクをパルスで伝える締め付け動作を行なう方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス工具がネジジョイントの締め付けに使用される締め付け動作の間、トルクは、電気パルス工具の内側に収容されたモータによってパルスでネジジョイントにかけられる。多くの場合、特定のトルクまたはクランプ力がこのジョイントにかけられるようにこの締め付けを制御することが望ましい。かけられたトルクは、トルクセンサによって監視されるのがよい。
【0003】
パルス工具を使用するとき、高い生産性及び精度を達成することが、多くの場合に重要である。例えばパルス工具が製品生産用であるとき、それは各ユニットを生産するために使用される時間を短縮するために重要である。したがってパルス工具は、多くの場合、ネジジョイントを可能な限り速く締め付けるように構成されている。
【0004】
精度を高めるための一つの対策は、締め付けの終わりに向かってトルクパルスの力を減少させることである。
【0005】
手持ち式の電動工具では、オペレータが受ける反力が可能な限り低く、最終的な締め付けの精度が可能な限り高いことが重要である。
【0006】
精密な締め付けは、典型的には、ネジジョイントにかけられるクランプ力が可能な限り精密であることを意味する。しかしながら、ネジジョイントのクランプ力は、典型的には、測定されない。代わりにトルクを測定し、これがジョイントにどれだけ大きなクランプ力がかけられたかを示す。
【0007】
しかしながら、いくつかのネジジョイントに関しては、トルクの測定は、クランプ力を推定する不精密な方法である。摩擦はジョイント毎に異なるので、したがってトルクの測定が、必ずしもクランプ力の精密な推定値を与えるとは限らない。
【0008】
したがって、多くの場合、ジョイントにかけられたクランプ力の推定値を得るためにネジジョイントの要素の角度変位を更に測定することが望ましい。しかしながら、ネジジョイントの角度変位を測定することは、パルス工具では困難である。これは、パルス工具からの各パルスが、ネジジョイントの実質的な角度変位をもたらすからである。
【0009】
したがって、締め付け動作中にネジジョイントの要素の角度変位を精密に測定するように構成されたパルス工具に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術のパルス工具に関する一つの問題は、ジョイントの要素の角度変位を精密に測定するためには高すぎる大きさのトルクパルスしか提供できないことである。これは、パルス工具からの各パルスがネジジョイントの実質的な角度変位をもたらすからである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の目的は、ネジジョイントを締め付けるためにトルクをパルスで伝える締め付け動作を行う電気パルス工具を提供することである。電気パルス工具は、出力シャフトと、ネジジョイントの締め付けに関連するトルク値を決定するために配置されたトルクセンサと、ネジジョイントの角度変位を決定するように構成された角度センサとを備える。これにより電気パルス工具は、低トルク閾値に達するまで出力シャフトに電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを提供するように作動可能である。次いで、低トルク閾値に達したとき、ネジジョイントの角度変位を測定し始める。そして、出力シャフトに電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを提供する。そして、締め付け動作の目標パラメータに達したとき、出力シャフトへのトルクパルスの提供を停止する。
【0012】
電気パルス工具は、低トルク閾値に達するまで、出力シャフトの電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを提供するように作動するので、ネジジョイントの実質的な角度変位の前にネジジョイントの角度変位を測定し始めることができる。
【0013】
本開示の第2の形態は、ネジジョイントを締め付けるトルクをパルスで伝える締め付け動作を行う電気パルス工具の方法に関し、その電気パルス工具は、出力シャフトと、ネジジョイントの締め付けに関連するトルク値を決定するように構成されたトルクセンサと、ネジジョイントの角度変位を決定するように構成された角度センサとを備える。それによって、本方法は、低トルク閾値に達するまで出力シャフトに電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを提供する工程を有する。低トルク閾値に達したとき、ネジジョイントの角度変位を測定し始める。電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを出力シャフトに提供する。次に、締め付け動作の目標パラメータに達したとき、出力シャフトにトルクパルスを提供するのを停止する。
【0014】
本開示の更なる目的、特徴、及び利点は、本開示のいくつかの形態が添付の図面を参照して詳細に説明されている以下の詳細な説明で、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の例示の実施形態による電気パルス工具の概略図である。
図2】電気パルス工具によって行われる締め付けの一例の動作時間の関数としたトルクパルスの概略図である。
図3】電気パルス工具で実行される方法の例示の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の形態を添付図面を参照して以下でより十分に説明する。しかしながら、本明細書に開示された装置、方法及びコンピュータプログラムは、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された形態に限定されると見なされるべきではない。図面での同一の参照番号は、全体を通して同一の要素を示す。
【0017】
本明細書で使用される用語は、本開示の特定の形態を説明する目的のためだけであり、本開示を制限することを意図しない。本明細書で使用されるように、複数形で表されない名詞も、文脈が明確に示さない限り複数形も含むことが意図される。
【0018】
図1では、本開示の特定の実施形態による電気パルス工具10が概略的に示されている。電気パルス工具10は、ネジジョイントを締め付けるトルクをパルスで伝える締め付け動作を行うように構成されている。この目的のために電気パルス工具10は、2つの反対の回転方向、即ち時計回り及び反時計回りにトルクを伝えるように構成された双方向電気モータ11を備える。
【0019】
図示の実施形態では、手持ち式電気パルス工具10は、ピストルタイプであるハンドル22を更に有する。しかしながら、本開示は任意のタイプのパルス工具を包含することが意図される。バッテリのような電源24が、ハンドルの下部に配置されており、トリガ23は、電動モータ11に電力を提供するためにオペレータの操作用に配置されている。電源は、電気ケーブルに連結することもできる。
【0020】
更に、電気パルス工具は、出力シャフト12と、ネジジョイントの締め付けに関連するトルク値を決定するよう構成されたトルクセンサ25とを備える。電気パルス工具10は、更に、ネジジョイントの角度変位を決定するように構成された角度センサを備える。
【0021】
図示の実施形態は、更に、ピストン作動回転子19を収容する慣性体18を有するパルスユニット13を備える。慣性体18は入力シャフト17に強固に連結され、モータ11のロータ20によって駆動される。図示の実施形態では、ロータ20は、モータ11のステータ21の内側に同軸に配置されている。回転子19を付勢し、当業界で周知の従来の方法で回転するように、慣性体18の内側のカム面(図示せず)がピストンと相互作用すると、パルスが生成される。
【0022】
しかしながら、本開示はパルスユニットを有する電気パルス工具に限定されない。パルスは、モータと出力シャフトとの間の直接連結を有する電気パルス工具で電気パルス工具のモータの出力をパルス化することによって生成されてもよい。本開示は、このような電気パルス工具も包含している。
【0023】
本開示の目的は、締め付け動作中にネジジョイントの要素の角度変位を精密に測定することができる電気パルス工具10を提供することである。この目的は、低トルク閾値に到達するまで、電気パルス工具10の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを出力シャフトに提供するように作動可能である電気パルス工具10によって達成される。次いで、低トルク閾値に達したとき、電気パルス工具10は、ネジジョイントの角度変位を測定し始める。電気パルス工具10の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを最初に提供することによって、ネジジョイントの要素の大きな角度変位が生じない。ネジジョイントの要素は各低トルクパルスによってあまり回転しないので、低トルク閾値を外すことはない。したがって、ネジジョイントの要素が大きく回転される前にネジジョイントの要素の角度変位を測定し始めることができる。低トルクパルスは、電気パルス工具10の最大トルク値の15パーセント未満の一トルク値であるので、低トルクパルスは、ネジジョイントの要素を大きく回転させない。したがって、高トルクパルスが直接使用された場合と比較して、ネジジョイントの要素の角度変位を大きな角度間隔にわたって測定することができる。
【0024】
したがって、本目的は、低トルク閾値に到達するまで、電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを出力シャフトに提供するように作動可能である電気パルス工具によって達成される本開示の例示の実施形態による。そして、電気パルス工具は、電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを出力シャフトに提供するように作動可能である。次に、締め付け作動の目標パラメータに達したとき、電気パルス工具は、出力シャフトへのトルクパルスの提供を停止するように作動可能である。
【0025】
異なる実施形態によると、作動可能である手持ち式電気パルス工具によって、締め付け作動中にオペレータがアクチュエータを押しつける及び解放することなく、トリガが作動されたときに手持ち式電気パルス工具は、自動的に低トルクパルス及び締め付けパルスを提供することを意味する。
【0026】
本開示の例示の実施形態では、電気パルス工具10は、更に、出力シャフト12にパルスを提供するようにパルス的にモータを駆動させるように作動可能である。本開示の別の例示の実施形態によると、モータを連続的に駆動させ、パルスをモータと出力シャフトとの間のパルスユニットによって提供している。
【0027】
本開示のさらなる別の例示の実施形態では、低トルク閾値は、電気パルス工具の最大トルク値の10パーセント未満である。電気パルス工具10の最大トルク値の10パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを最初に提供することにより、ネジジョイントの要素の角度変位を更に小さくする。ネジジョイントの要素は各低トルクパルスによってより少なく回転されるので、低トルク閾値を外すことはない。したがって、より高い値のトルクパルスを使用した場合と比べて、ネジジョイントの要素の角度変位をより早く測定し始めることができる。即ち、より高いトルクでトルクパルスが使用された場合と比較して、ネジジョイントの要素の角度変位は、総角度変位の大きな角度間隔にわたって測定することができる。
【0028】
本開示の別の例示の実施形態では、低トルクのトルク値は、電気パルス工具の最大トルク値の5パーセント未満である。電気パルス工具10の最大トルク値の5パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを最初に提供することによって、ネジジョイントの要素のさらに小さい角度変位になる。ネジジョイントの要素は、各低トルクパルスによって更に小さく回転されるので、総合角度変位をより精密に測定することができる。したがって、より高いトルクを有するトルクパルスが使用された場合と比較してより高いトルクを有するトルクパルスが使用された場合と比較してより早くネジジョイントの要素の角度変位を測定し始めることができる。
【0029】
本開示のさらなる別の例示の実施形態では、締め付けトルクパルスのトルク値は、電気パルス工具の最大トルク値である。
【0030】
例示の一実施形態によると、締め付け動作の目標パラメータは、トルクである。
【0031】
図1に戻ると、電気パルス工具10は、更に、電動モータ11を制御するように構成されたプロセッサ16を有する。電気パルス工具10は、プロセッサ16によって実行可能な命令を記憶したメモリ26を更に備える。プロセッサ16は、中央処理装置、CPU、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサ、DSP、またはコンピュータプログラムコードを実行することができる任意の他の適切なタイプのプロセッサである。メモリ26は、ランダムアクセスメモリ、RAM、読み出し専用メモリ、ROM、または、永続的記憶装置、例えば、磁気メモリ、光メモリ、または固体メモリあるいは均一遠隔搭載メモリの一つまたはその組合せである。
【0032】
一形態によると、本開示は、更に、コンピュータが読み取り可能なコードを備える前述のコンピュータプログラムに関し、このコードは、手持ち式電気パルス工具10で実行したとき、本明細書で説明した本開示の形態のうちのいずれかを手持ち式電気パルス工具10、32に実行させる。
【0033】
前述のコンピュータプログラムコードが電気パルス工具10のプロセッサ16で実行されるとき、低トルク閾値に達するまで電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを電気パルス工具10が出力シャフトに提供するように作動させる。そして、更に、低トルク閾値に達したとき、ネジジョイントの角度変位を測定し始める。そして、電気パルス工具の最大トルクの15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを出力シャフトに提供する。次いで、締め付け動作の目標パラメータに達したとき、出力シャフトへのトルクパルスの提供を停止する。
【0034】
本開示の一形態によると、プロセッサ16は、次の一つまたはいくつかを備える。低トルク閾値に達するまで電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを出力シャフトに提供するように構成された第1の提供モジュール161。低トルク閾値に達したときにネジジョイントの角度変位を測定し始めるように構成された起動モジュール162。電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを出力シャフトに提供するように構成された第2の提供モジュール163。締め付け動作の目標パラメータに達したときに出力シャフトへのトルクパルスの提供を停止するように構成されている停止モジュール164。
【0035】
第1の提供モジュール161と、起動モジュール162と、第2の提供モジュール163と、停止モジュール164とは、ハードウェアあるいはソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実施される。一形態によると、モジュール161、162、163、164は、プロセッサ16上で実行されるメモリ26に保存されているコンピュータプログラムとして実施される。電動工具10は、更に、本明細書で説明した本開示の全ての形態を実施するように構成されている。
【0036】
一実施形態による電気パルス工具10によって行われる締め付けの一例を図2に示す。図2では、トルクパルスのトルク値を時間tの関数として示す。この例では、締め付け動作は、1-6の6トルクパルス1-6を有して示されている。しかしながら、この締め付け動作は、より少ないまたはより多いトルクパルスを必要とすることができる。各トルクパルスは、トルクを加え、即ち、ネジジョイントの締め付けに関連するパラメータを増やす。図2に示すように、電気パルス工具10は、低トルク閾値に達するまで電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルス1から3を出力シャフト12に提供する。次に、電気パルス工具10は、ネジジョイントの要素の角度変位を測定し始め、次いで、電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値のトルクパルス4から6を出力シャフト12へ提供する。したがって、図2に示す締め付けでは、まず、手持ち式電気パルス工具10は、低トルク閾値に到達するまで低トルクパルスを提供する。次いで、締め付け動作の目標パラメータに達するまで締め付けトルクパルスを提供する。
【0037】
図3は、上述の例示の実施形態による電気パルス工具10で実行される方法のステップを示す図である。
【0038】
第1のステップS10では、電気パルス工具10は、低トルク閾値に達するまで電気パルス工具の最大トルク値の15パーセント未満のトルク値の低トルクパルスを出力シャフトに提供する。次のステップS20では、電気パルス工具10は、低トルク閾値に達したときにネジジョイントの角度変位を測定し始める。その後、次のステップS30では、電気パルス工具10は、電気パルス工具の最大トルク値の15パーセントより大きいトルク値の締め付けトルクパルスを出力シャフトに提供する。次のステップS40では、電気パルス工具10は、締め付け動作の目標パラメータに達したときにトルクパルスを出力シャフトに提供するのを停止する。
【0039】
この方法の例示の一実施形態によると、モータは、出力シャフト12にパルスを提供するようにパルス式で駆動される。
【0040】
この方法の別の例示の実施形態では、モータは、連続的に駆動され、パルスはモータと出力シャフトとの間のパルスユニットによって提供される。
【0041】
この方法の別の例示の実施形態によると、低トルク閾値は、電気パルス工具の最大トルク値の5と20パーセントの間である。この方法の更なる別の例示の実施形態では、低トルクのトルク値は、電気パルス工具の最大トルク値の10パーセント未満である。この方法の別の例示の実施形態によると、締め付けトルクパルスのトルク値は、電気パルス工具の最大トルク値である。
【0042】
本開示の形態は、図面、例えば、ブロック図及び/またはフローチャートを参照して説明される。図面の数単位、例えば、ブロック図のブロック、及び図中の単位の組み合わせも、更に、指示をコンピュータで読み取り可能なメモリに保存できるコンピュータプログラム指示によって実施できることが理解される。
【0043】
図面及び明細書では、本開示の例示の形態が開示されている。しかしながら、本開示の原理から実質的に逸脱することなく、多くの変形及び変更をこれらの形態に行うことができる。したがって、本開示は、限定的というよりも事例として、且つ前述した特定の形態に制限されないとしてみなされるべきである。したがって、特定の用語が用いられているが、それらは限定の目的ではなく、包括的かつ説明的な意味で使用される。
図1
図2
図3