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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】軌道チェーン及びブッシング回転方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/21 20060101AFI20240214BHJP
   B62D 55/28 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B62D55/21
B62D55/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021556831
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 US2020020250
(87)【国際公開番号】W WO2020190474
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】16/360,351
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アキンルア、テミトープ、オー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイクス、デイヴィッド、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハッセルブッシュ、マイケル、ディー.
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018795(JP,A)
【文献】特公昭45-013896(JP,B1)
【文献】実開昭55-165883(JP,U)
【文献】特表2012-512079(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0281880(US,A1)
【文献】特開2009-113807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/21
B62D 55/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道チェーンアセンブリ112の整備方法900であって、前記方法900は、
軌道ピン132を第2のボア220に固定結合して、軌道リンク202の第2の端部216で軌道リンク202に前記軌道ピン132を圧入すること、
前記第2のボア220の隣に隙間は形成されず、それによって、前記軌道リンク202の前記第2の端部216で前記軌道ピン132を前記軌道リンク202に圧入することを維持しながら、ファスナー150を緩めることによって、前記軌道リンク202の第1の端部214に設けられる軌道ブッシング134上の軌道リンク202のクランプ力を減少させることと、
前記軌道ブッシング134の摩耗した側面170が駆動スプロケット110に向かう第1の位置から、前記軌道ブッシング134の未摩耗の側面172が前記駆動スプロケット110に向かう第2の位置に前記軌道ブッシング134を回転させることと、
前記軌道ブッシング134上の前記クランプ力を増加させるために前記ファスナー150を締め付けることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記軌道チェーンアセンブリ112が軌道機械100の駆動システム(たとえば、110)に結合された状態を保持する間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ファスナー150を締め付けることは、第1のボア218に隣接して配置された第1のストラット226内の第1の隙間228を減少させ、前記軌道ブッシング134の少なくとも一部は前記第1のボア218内に配置される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道ブッシング134内に配置された前記軌道ピン132は、前記方法が行われる間に前記軌道リンク202に固定連結された状態を保持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ファスナー150は、前記軌道リンク202に軌道シュー114を取り付けるように構成された軌道シューファスナー150である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記軌道ブッシング134と軌道ピンとの間の相対移動を容易にする軸受170を含むオイルシール継手を露出させることなく行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
軌道チェーンアセンブリ112であって、
複数の軌道ピン132及び複数の軌道ブッシング134と、
複数のファスナー150と、
複数の軌道リンク202と、を含み、前記複数の軌道リンク202のそれぞれは、前記複数の軌道ブッシング134の少なくとも一つと、前記複数の軌道ピン132の少なくとも一つとによって、隣接した軌道リンク202に結合され、前記複数の軌道リンク202のそれぞれは、
上面206、底面208、これらの間の厚みを画定する第1の側面210及び第2の側面212を画定する本体204を含み、前記本体204は、第1の端部214から第2の端部216まで延び、
前記本体204は、前記第1の端部214に隣接した第1のボア218と、前記第2の端部216に隣接した第2のボア220とを画定し、
前記本体は、第1のアパーチャ222及び第2のアパーチャ224を画定し、前記第1のアパーチャ222は、前記第1のボア218と前記第2のボア220との間に配置され、前記第1のアパーチャ222は、前記第2のボア220よりも前記第1のボア218側により近く配置され、前記第1のボア218は、前記複数の軌道ブッシング134のいずれか一つを受け入れ、前記複数のファスナー150のそれぞれのファスナー150が締め付けられるときに前記複数の軌道ブッシング134のいずれか一つに解除可能なクランプ力を印加するように構成され、
前記本体204は、前記第1のボア218と前記第1のアパーチャ222との間に配置された第1のストラット226を含み、前記本体204は、前記第1のストラット226を第1の上部230と第1の下部232とに分割する第1の隙間228を画定し、
前記本体204は、前記第1のアパーチャ222と前記第2のアパーチャ224との間に配置された第2のストラット234を含み、前記本体204は、前記第2のストラット234を第2の上部238と第2の下部240とに分割する第2の隙間236を画定し、
前記軌道ピン132は、前記軌道リンク202の前記第2の端部216で前記軌道リンク202に前記軌道ピン132を圧入するために、それぞれの前記第2のボア220に固定結合され、
前記第2ボア220の隣に隙間は形成されず、それによって、前記軌道リンク202の前記第2の端部216で前記軌道ピン132を前記軌道リンク202に圧入することを維持しながら、前記ファスナー150を緩めることによって、前記軌道リンク202の前記第1の端部214に設けられる前記軌道ブッシング134上の前記軌道リンク202のクランプ力を減少させる、軌道チェーンアセンブリ112。
【請求項8】
前記各々のファスナー150が締め付けられるときに、前記各々の第1の隙間228は減少される、請求項7に記載の軌道チェーンアセンブリ112。
【請求項9】
前記複数の軌道ブッシング134のそれぞれは、前記各々のファスナー150を緩めて前記軌道ブッシング134上のクランプ力を減少させるときに機械100から前記軌道チェーンアセンブリ112を除去せずに回転されるように構成される、請求項7又は8に記載の軌道チェーンアセンブリ112。
【請求項10】
各軌道ピン132は、それぞれの第2のボア220に固定結合され、各軌道ピン132は、それぞれの軌道ブッシング134内に配置される、請求項7~9のいずれか一項に記載の軌道チェーンアセンブリ112。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、これらに限定されるものではないが、一般に軌道型機械用軌道チェーンに関し、特に軌道チェーンのブッシングを整備することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土工、建設、及び採鉱装備などは、荒地、オフロード地形で使用されることが多い。これらの機械は、障害物や不整地で推進させることができる軌道型機械の無端ドライブを使用することが多い。軌道型機械の無端ドライブは、通常軌道シューと知られた表面係合要素に連結される機械の両側の軌道チェーン(以下、チェーンという)を用いて機械を移動させる。シューを含め、チェーンは駆動スプロケット、アイドラー及び支持ローラによって支持される一連の互いに連結された軌道リンク、ピン、およびブッシングによって一緒に保持される。チェーンが平行移動するにつれて、軌道シューは機械の下方の表面(たとえば、地面)と係合して、スプロケットから表面へとトルクを伝達することで、表面に対して機械を推進する。
【0003】
通常、チェーンは、隣接したリンクに対して枢着するために相互に結合される複数の軌道リンクを含む。幾つかのチェーンでは、チェーン内のマスターリンクが、チェーンの分解によりチェーンの両端部が分離されるようにすることで、チェーンを機械から取り外すことができる。チェーンの寿命を延長すべく、チェーンを機械から取り外してブッシングなどの構成要素を整備する。
【0004】
このような前述したチェーンは、車輪のある車両の場合は難しいことである、荒地上での機械の移動時にかなりうまく働くが、短所もある。一つの短所は、スプロケット及び外部要素との接触によってブッシングの一側面が摩耗するということである。ブッシングの該側面は、他の構成要素よりも先に摩耗する。その後、ブッシングの未摩耗の他側面が軌道の残っている半減期に用いられることができる。しかし、ブッシングの未摩耗の側面を使用するためにブッシングを回転させることは、相当な費用、時間、手間を要する。もう一つの短所は、ブッシング回転を行うためには、機械からチェーンを取り外して特殊装備を備えているサービスセンターに送らなければならないことである。
【0005】
チェーンの整備、特にブッシングをより回転しやすくすることを含むブッシングの整備能力の向上が求められている。
【0006】
軌道チェーンを整備する問題を解決するための一つの試みは、2011年2月1日に許与されたJohannsenらの米国特許第7,877,977号に開示されている。‘977特許は、修理のためにサービスセンターに送られるように、機械からチェーンをより容易に取り外し可能にするチェーン用マスターリンクを開示している。‘977特許は、チェーンの端部をより分離しやすくする能力を提供するものの、‘977特許はブッシングの回転能力を向上させることはできなかった。
【0007】
軌道チェーンの整備問題を解決するための他の試みは、2018年10月4日に公開されたTroneらの米国公開特許公報第2018/0281880号に記載されている。‘880公開特許は、修理のためにサービスセンターに送られるように、機械からチェーンをより取り外しやすくする別のマスター軌道リンクについて開示している。‘977特許と同様に、マスター軌道リンクがチェーンの端部を切り離しやすくする能力を提供するものの、‘880公開特許はブッシングの回転能力を向上させることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、前述したような短所及び/または当該技術分野における他の短所のうち一つ以上を克服するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、軌道ブッシング上の軌道リンク本体のクランプ力を減少させるためにファスナーを緩めることを含む軌道チェーンアセンブリ整備方法に関する。前記方法は、軌道ブッシングの摩耗した側面が駆動スプロケットに向かう第1の位置から、軌道ブッシングの未摩耗の側面が駆動スプロケットに向かう第2の位置へと軌道ブッシングを回転させることを含む。ブッシングが回転すると、前記方法は軌道ブッシング上のクランプ力を増加させるためにファスナーを締め付けることを含む。
【0010】
他の態様において、本開示は、複数の軌道ピン、複数の軌道ブッシング、複数のファスナー、および複数の軌道リンクを含む軌道機械用軌道チェーンアセンブリに関する。複数の軌道リンクのそれぞれは、複数の軌道ブッシングの少なくとも一つと、複数の軌道ピンの少なくとも一つとによって、隣接した軌道リンクに結合される。複数の軌道リンクのそれぞれは、上面と、底面と、これらの間の厚みを画定する第1の側面及び第2の側面とを画定する本体を含む。本体は、第1の端部から第2の端部まで延びる。本体は、第1の端部に隣接した第1のボアと、第2の端部に隣接した第2のボアとを画定する。本体はまた、第1のアパーチャ及び第2のアパーチャを画定し、第1のアパーチャは第1のボアと第2のボアとの間に、第2のボアよりも第1のボアの側に近接して配置される。第1のボアは、複数の軌道ブッシングの一つを受け入れ、複数のファスナーのそれぞれのファスナーが締められるときに複数の軌道ブッシングの一つに解除可能なクランプ力を印加するように構成される。
【0011】
本体はまた、第1のボアと第1のアパーチャとの間に配置された第1のストラットを含み、本体は、第1のストラットを第1の上部と第1の下部とに分割する第1の隙間を画定する。本体はまた、第1のアパーチャと第2のアパーチャとの間に配置された第2のストラットを含み、本体は、第2のストラットを第2の上部と第2の下部とに分割する第2の隙間を画定する。
【0012】
また他の態様において、本開示は、複数の軌道ピン、複数の軌道ブッシング、複数の軌道リンク、および複数の軌道リンクに取り付ける複数の軌道シューファスナーを含む軌道チェーンアセンブリの他の整備方法に関する。
【0013】
複数の軌道リンクのそれぞれは、複数の軌道ブッシングの少なくとも一つと、複数の軌道ピンの少なくとも一つとによって、隣接した軌道リンクに連結される。複数の軌道リンクのそれぞれは、上面と、底面と、これらの間の厚みを画定する第1の側面及び第2の側面を画定する本体とを含み、本体は第1の端部から第2の端部まで延びる。本体は、第1の端部に隣接した第1のボアと、第2の端部に隣接した第2のボアとを画定する。本体はまた、第1のアパーチャ及び第2のアパーチャを画定し、第1のアパーチャは第1のボアと第2のボアとの間に、第2のボアよりも第1のボアの側に近接して配置される。
【0014】
本体はさらに、第1のボアと第1のアパーチャとの間に配置された第1のストラットと、該第1のストラットを第1の上部と第1の下部とに分割する第1の隙間とを含む。本体はまた、第1のアパーチャと第2のアパーチャとの間に配置された第2のストラットと、該第2のストラットを第2の上部と第2の下部とに分割する第2の隙間を含む。
【0015】
軌道ピンのそれぞれは、第2のボアに固定連結され、第1のボアのそれぞれは、各軌道ブッシングを受け入れ、各軌道シューファスナーが軌道ブッシングを第1の位置に保持するために締め付けられるときにそれぞれの軌道ブッシングにクランプ力を与えるように構成される。
【0016】
軌道チェーンアセンブリの整備方法は、前述した軌道チェーンアセンブリを提供、受容または製造することと、軌道シューファスナーの少なくとも一つを緩めることと、それぞれの軌道ブッシングを第2の位置に回転させることと、それぞれの軌道ブッシングを第2の位置に保持するために少なくとも一つの軌道シューファスナーを締め付けることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
必ずしも一定した比率で示されていない図面において、同一の符号は同じ構成要素を異なる観点から説明している。異なる文字接尾辞を有する同一の符号は、同じ構成要素の異なる事例を示している。図面は、一般的に限定するためのものではなく、例示するためのもので、本文書に説明されている多様な実施例を示す。
図1図1は、少なくとも一つの実施例による例示的な軌道チェーンにより駆動される機械の側面図である。
図2図2は、少なくとも一つの実施例による、図1の機械の軌道チェーンの一部の斜視図である。
図3図3は、少なくとも一つの実施例による、図2の斜視図のA-A´線による断面図である。
図4図4は、少なくとも一つの実施例による、図2の軌道チェーンの一部の平面図である。
図5図5は、少なくとも一つの実施例による、図2の軌道チェーンアセンブリの軌道リンクの側面図である。
図6図6は、少なくとも一つの実施例による、組み立てられた状態の図2の機械の軌道チェーンの一部の斜視図である。
図7図7は、少なくとも一つの実施例による、図2の機械の軌道チェーンの一部の斜視図の部分分解図である。
図8図8は、少なくとも一つの実施例による、駆動スプロケットとインターフェースする図2の軌道チェーンの一部の側面図である。
図9図9は、図1図8の軌道チェーンの例示的な整備方法である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで本開示の実施形態に対して詳細に参照されるが、これらの例は、添付図に示されている。すべての図面に亘って、同一の符号は、一般的に同一または類似の構成要素を指す。幾つかの場合、参照番号が本明細書に表示され、図面は文字の後に付してある参照番号、プライムが後続する参照番号、たとえば100’、100”などを示すことができる。符号の後に付してあるプライムまたは文字の使用は、しばしば幾何学的構造が複数の構成要素として提供されるか、対称平面に対してミラーリングされる場合のように、これらの特徴が類似した形状であり、類似した機能を有することができることを示すことを理解されたい。本明細書では説明の便宜上、プライム及び文字が本明細書に含まれないこともありうるが、本開示内で図示及び説明される類似または同一の機能または幾何学的構造を有する特徴の重複を表示するために図面に示していることもありうる。
【0019】
本開示において、「実質的に」のような相対的な用語は、明示された数値において、たとえば±10%の変動があり得ることを示すために使用される。本明細書で定義されたように、用語「または」や「及び」の使用は、「または」、「及び」、「及び/または」を含む。
【0020】
以下に、軌道チェーン、および軌道チェーンが機械上の元の位置に保持される間に、ブッシング回転を許容する軌道リンクを用いて軌道チェーンを整備する方法の多様な実施例を説明する。幾つかの実施例において、軌道リンクはオフセット軌道リンクを含んでもよい。
【0021】
本開示に説明された実施例は、顧客がブッシングを摩耗した側面から未摩耗の側面に回転するのに必要な作業の相当部分と軌道チェーンのオイルシール構成要素を分解及び再組立てすることに係るリスクを回避できるようにする。ブッシングの回転を容易にするために、ブッシングを整備し難くする、軌道リンクへのブッシングの圧入の代わりに、軌道リンクは正常使用中にブッシングが軌道リンクによってプランプできるようにする特徴を含むことができる。ブッシングに対するクランプは、ブッシングの未摩耗の側面への回転を行うために緩められることができる。一旦ブッシングが回転されれば、軌道チェーンをさらに使用するために、ブッシングが再びクランプされることができる。機械から軌道チェーンを取り外すことなく、すべてのプロセスが行われることができる。
【0022】
本明細書に記載された解決手段は、鋼の弾性を利用してブッシングを押圧して元の位置に保持しつつ、クランプ力が新たな位置へのブッシングの回転を許容するだけ十分に除去又は減少されることができるようにし、その後、クランプ力が再度印加されて回転されたブッシングを新しい位置に保持できるようにするクランプ型軌道リンクを提供することを含むことができる。
【0023】
図1は、作業を行うために協力する多数のシステム及び構成部品を有する例示的な機械100を示す。機械100は、鉱業、建設業、農業、輸送業、あるいは当業界によく知られた任意の他の産業のような産業と関連した一部類型の動作を行う可動機械を具現することができる。例えば、機械100は、掘削機、ドーザ、ローダ、バックホー、モータグレーダ、もしくは任意の他の土工機械のような土工機械であり得る。機械100は、動力源102と、及び動力源102によって駆動され、一つ以上の離間されたアイドラホイール106によって支持されることができるアンダーキャリッジアセンブリ104とを含み得る。
【0024】
アンダーキャリッジアセンブリ104は、機械100の両側に1つ又は複数ある2つの個別的な連続軌道108を含み得る(それらのうち一つだけを図1に示した)。各軌道108は、一つ以上の駆動スプロケット110を介して動力源102によって駆動されることができる。なお、各軌道108は、軌道チェーン112(以下、チェーン112)と複数の軌道シュー114とを含み得、各軌道シュー114は、表面(例えば、地面)と選択的に係合されるように構成される。支持ローラ116がチェーン112を支持するために軌道108の底部に提供され得る。幾つかの実施例では、各チェーン112は、複数のリンクサブアセンブリ200と、機械100に対するチェーン112の着脱を容易にするためにチェーン112の2つのリンクサブアセンブリ200を分離又は連結するためのマスターリンクサブアセンブリ300とを含むことができる。
【0025】
図2図4は、図1の機械100の例示的なチェーン112の一部の多様な図面を示している。多様な図面は、一緒にチェーンを構成する個別構成要素と、これらの構成要素が一緒に作動して無端軌道を形成する方法を理解するのに役立つ。特に、図2はチェーン112の一部斜視図を示し、図3は、図2の斜視図のA-A´線による断面図を示す。図4は、図2に示されたチェーン112の一部平面図を示す。図5は、本体204を有する例示的な軌道リンク202と、軌道シュー114とを含むチェーンのビルディングブロックを構成する一部の構成要素の側面図をより詳しく示している。
【0026】
図2及び図4に示したように、チェーン112は複数のリンクサブアセンブリ200(たとえば、符号200、200’、200’’など)を含むことができる。しかし、図4の平面図において、軌道シュー114は、リンクサブアセンブリ200がよく見えるべく除去されている。リンクサブアセンブリ200のそれぞれは、オフセット軌道リンク202のそれぞれの対(たとえば、202と202’、202’’と202’’’、202’’’’と202’’’’’)を含むことができる。
【0027】
図2に示したように、隣接したリンクサブアセンブリ(たとえば、200、200’)は、ロッドアセンブリ130を通じて互いに連結されてチェーン112を形成することができる。図3及び図4に示されているように、各ロッドアセンブリ130は、実施的に円筒状ピン132の周りに配設された実質的に円筒状ブッシング134を含むことができる。
【0028】
図4及び図5は、連続的に連結されたリンクサブアセンブリ200が互いに回動可能に相互連結され、互いに対して枢着可能に各ロッドアセンブリ130が軌道リンク202、202’;202’’、202’’’)内の第1の及び図2のボア218、220とインターフェースし得る方法を示す。たとえば、リンクサブアセンブリ200は、別のリンクサブアセンブリ200’に枢着でき、かかる配置構成は、チェーン112が完成されるまで繰り返される。
【0029】
続いて図4及び図5を参照すると、幾つかの実施例において、2つの隣接したリンクサブアセンブリ200、200’の間に枢着を提供するために、ブッシング134は、例えばクランプ嵌め(clamp fit)が用いられる際に、第1のボア218内で解除可能な方式で第1対の軌道リンク202、202’(以下、「リンク」という)に結合可能である。第1対のリンク202、202’に固定結合されたブッシング134により、ピン132は第2のボア220において第2対のリンク202’’、202’’’に固定結合されることができる。前記固定結合は、たとえば圧入嵌め合いを含むことができる。このような配置構成において、ピン132は、ブッシング134内に配置されることができ、前記ピン132は、ピン132とブッシング134のボア135(図3に示されたボア135)との間に形成されたクリアランスによってブッシング134内で自由に回転できる。その結果、一対の隣接したリンクサブアセンブリ200、200’は、間接型チェーン112を形成するために互いに対して枢着するように構成されることができる。
【0030】
同様に、マスター軌道リンク300が設置される実施例(図1)において、マスター軌道リンクサブアセンブリ300は、例示的なロッドアセンブリ130、または任意の他の適宜のロッドアセンブリを通じて2つのリンクサブアセンブリ200、200’の間に配置されて連結されることができる。一つ以上のマスター軌道リンクサブアセンブリ300は、チェーン112がすべての複数のリンクサブアセンブリ200からなる場合よりも、機械100に対するチェーン112の着脱をより容易にする特徴を含むことができる。
【0031】
チェーン112から地面へのモーション伝達のために、軌道シュー114はリンク202、202’などに結合されることができる。図3に示すように、各軌道シュー114は、基部136、地面係合表面138、先端140、および後端142を含むことができる。一つ以上のグラウザまたはリブ144が地面と係合するように提供されて、牽引力を改善することができる。
【0032】
図4に(かつ図5にはより詳しく)示されているように、各リンク202は、リンクサブアセンブリ200のうち提供された一つに軌道シュー114(図2図3、および図5)を取り付けるためのファスナー(たとえば、ボルトまたはネジ)を受け入れるように構成されたクリアランスまたはネジ穴のような一つ以上のファスナー受け入れ孔250、252を含むことができる。
【0033】
図5は、図2のチェーン112のリンク202’のうち一つである軌道シュー114の一部及びファスナー150、152の側面図を示す。いくつかの実施例において、各リンク202’は、上面206と、底面208と、それらの間の厚みを画定する第1の側面210及び第2の側面212と、第1の端部214及び第2の端部216とを画定する本体204を含むことができる。さらに、本体204は、第1の端部214に隣接した第1のボア218と、第2の端部216に隣接した第2のボア220とを画定することができる。第1の及び第2のボア218、220は、一方もしくは両方の側面210、212から延びるか、それから少なくとも部分的に画定することができる。図示のごとく、ボア218、220は円筒状であるが、任意の他の適切な構成を有することができる。
【0034】
本体204は、第1のボア218と第2のボア220との間に配置された第1のアパーチャ222を含み得、第1のアパーチャ222は第2のボア220よりも第1のボア218により近接して配置される。同様に、本体204は、第1のアパーチャ222と第2のボア220との間に配置された第2のアパーチャ224をさらに画定することができる。第1の及び第2のアパーチャ222、224は、第1の側面210から本体を介して第2の側面212まで完全に延びる。
【0035】
第1の及び第2のボア218、220及び第1の及び第2のアパーチャ222、224の配置によって、本体204は、第1のアパーチャ222と第1のボア218との間に配置された第1のストラット226及び第1の及び第2のアパーチャ222、224の間の第2のストラット234を含み得る。第1の隙間228は、第1のストラット226を第1の上部230と第1の下部232とに分割するように設けられ得る。同様に、第2の隙間236は、第2のストラット234を第2の上部238と第2の下部240とに分割するように設けられ得る。
【0036】
第1の及び第2の隙間228、236の両方とも、本体204を通じて第1の側面210から第2の側面まで延びることができ、本明細書でより詳しく説明されるように本体204に可撓性を提供する。本体204は、第2のアパーチャ224と第2のボア220との間に配置されたブリッジ242を含み得る。第3のストラット、単一のストラット、又は未分割ストラットとも呼ばれることができるこのブリッジ242は、リンク202’の第2のボア220近傍に必要な剛性を提供する。
【0037】
図2図5の実施例において、リンク202はオフセット軌道リンク202である。オフセットは、リンク202形状のジョグを表す。例えば、図4のリンク202””’で記されているように、第1のボア218は第1の長手方向軸L218を画定し、第2のボア220は第2の長手方向軸L220を画定し、本体204はジョグ(jog)して、第1のボア218及び第2のボア220が第1の又は第2の長手方向軸L218、L220に沿って互いからオフセットされるか又は離間されるようにオフセット軌道リンク202””’を形成する。本開示の範囲を外れることなく、直線リンク構成を含む他のリンクの構成が可能である。オフセット軌道リンクの代わりに直線軌道リンクを含む他の実施例では、各対のオフセット軌道リンクの代わりに、各対の内部及び外部軌道リンクが提供されうる。
【0038】
図5に示されたように、各軌道シュー114は、ファスナー150、152を受け入れるための2対のシュー穴148を含むことができる。各対のシュー穴148は、一対のファスナー受け入れ孔250、252と整列されるように構成されることができる。幾つかの実施例において、シュー穴148およびファスナー受け入れ孔250、252は、クリアランスホール、ネジ穴、またはクリアランスホールとネジ穴との任意の組み合わせであることがある。
【0039】
各軌道シュー114は、対向する対の軌道リンク(たとえば、202、202’)にそれぞれ連結されることができる。ボルト又はキャップネジのようなねじ式ファスナー150、152が各シュー穴148内に配置され、ファスナー受け入れ孔250、252内に延びて、軌道シュー114を対向するオフセットリンク部材(たとえば、202、202’)のそれぞれの対に固定させることができる。幾つかの実施例において、各リンク(202、202’など)に対するファスナー受け入れ孔250、252の間隔は、実質的に類似することができ、各軌道シュー114がリンク(202、202’など)のそれぞれに連結可能に構成されることができ、各軌道シュー114は類似又は同一に構成されうる。
【0040】
いくつかの実施例において、第1のボア218は第1の直径D218を画定し、第2のボア220は第2の直径D220を画定する。第1の直径は、ブッシング134と整合するように構成されることができ、第2の直径D220は、ピン132と整合するように構成されることができる。実施例に示したように、第1の直径は第2の直径よりも大きいことができる。
【0041】
第1のボア218内でブッシング134のクランプ嵌めを可能にするクランプ作用について、第1の及び第2の隙間228、236の大きさは、印加されたクランプ力に寄与する。例えば、第1の隙間228は、第1の最小距離d228を画定し、第2の隙間236は第2の最小距離d236を画定する。なお、第1の最初距離d228に対する第2の最小距離d236の比率は、3~10の範囲であることができる。時には、この比率は6~7の範囲であることができる。第1の最小距離d228対第2の最小距離d236の例示的な値は、それぞれ0.75mm~5mmである。この比率の値又は距離は、他の実施例で必要や所望に応じて変更され得る。
【0042】
第1の軌道シューファスナー150及び第2の軌道シューファスナー152のようなファスナーは、ブッシング134に印加されたクランプ力の量を制御することにより、第1の及び第2の隙間228、236の大きさを制御するのに用いられることができる。図4に示したように、第1のアパーチャ222と連通する第1のファスナー受け入れ孔250または第2のアパーチャ224と連通する第2のファスナー受け入れ孔252は、軌道シューファスナーのようなファスナー150、152を受け入れるために本体204に設けられることができる。ファスナー150、152上のトルクは、ブッシング134に印加されたクランプ力を制御するように調整され得る。実施例において、ファスナー150、152は、軌道シューファスナーとして示されているが、幾つかの実施例では軌道シューファスナーとは異なるファスナーを含むことができる。幾つかの実施例において、ファスナー150、152は、単一のファスナーであってもよく、及び/またはファスナー150、152は、ブッシング134のクランプ専用であり、軌道シュー114をも取り付けるように構成されないように配置されることができる。
【0043】
幾つかの実施例において、第1のファスナー受け入れ孔250は、クリアランスホールである第1のアパーチャ222の上部と、第1のファスナー150を受け入れるためのネジ穴である第2のアパーチャ222の下部とを含むことができる。幾つかの実施例において、第2のファスナー受け入れ孔252は、クリアランスホールである第2のアパーチャ224の上部と、第2のファスナー152を受け入れて固定するために第2のアパーチャ224に取り付けられたネジ山を有する溶接ナット225とを含むことができる。図5は、単にブッシング134上にクランプ力を誘導するためのファスナー150、152の一例を示す。ファスナー150、152の他の配置構成及びリンク202とのインターフェースは、ブッシング134上に適切なクランプ力を誘導することができる。
【0044】
図5に係わって説明されたリンク202’のような個別リンク202は、リンクサブアセンブリ200内に一緒に結合されてチェーン112を形成する。図6はまた、図2の機械100のチェーン112の一部斜視図を組み立てられた状態で示している。図7は、図2のチェーン112の一部斜視図を部分分解図として示している。図6及び図7ではリンク202の特徴がより明らかに示されるように、軌道シュー114が取り除かれている。
【0045】
図6に示したように、チェーン112は、それぞれのピン132の周りに配置されたブッシング134によって互いに連結される複数のリンクサブアセンブリ200、200’、200’’を含む。たとえば、図6のチェーン112において、ブッシング134は本体204と固定された関係で第1のボア218内にクランプされ、ピン132は本体204と固定された関係で第2のボア220内に圧入される。
【0046】
図7は、図6のチェーンの分解斜視図である。チェーン112の組み立ては、一般的に製造社で行われる。組み立ての間、第1のブッシング134は第1組の対向するオフセット軌道リンク(たとえば、202、202’、以下、第1組のリンク202、202’という)の第1のボア218内にクランプされることができる。第2組の対向するオフセット軌道リンク(たとえば、202’’、202’’’、以下、第2組のリンク202’’、202’’’という)の第2のボア220は、第1組のリンク202、202’の第1のボア218と同軸に整列される。ピン132は、第2組のリンク202、202’の第2のボア220および第1組のリンク202、202’のブッシング134を通じて挿入される。ピン132は、たとえば圧入によって固定された関係で第2組のリンク202’’、202’’’に結合される。ピン132とブッシング134との間の相対移動を容易にするために、ピン132とブッシング134との間にクリアランスが形成されることができる。
【0047】
ピン132とブッシング134との間の円滑な移動を容易にするために、軸受160及びシール162が関節型継手に含まされることができる。ピン132に対して回転自在な一対の軸受160(図7)、及び一対のシール162(図7)も提供されて、潤滑損失を防止するとともに移動の自由を提供することができる。幾つかの実施例において、軸受160及びシール162は、同一のアセンブリで機能的に組み合わせられ、ロッドアセンブリ130またはリンク202、202’に組み込まれることができる。幾つかの実施例において、軸受160及びシール162は、オイルシール継手(図7)を生成する。
【0048】
所望する数のリンクサブアセンブリ202が所望する長さのチェーン112を達成するために一緒に結合されたとき、チェーン112の端部は互いに連結されて図1に示したチェーン112のような無端ドライブを形成することができる。
【0049】
図8は、駆動スプロケット110とインターフェースする図2のチェーン112の一部の側面図を示す。図8では、駆動スプロケット110がより詳しく示されるように軌道シュー114及びリンク202の半分が除去されている。図8はまた、ブッシング134の第1の側面170(たとえば、摩耗した側面)と、ブッシング134の第2の側面172(たとえば、未摩耗の側面)との間の違いを示している。機械100(図1)が新しいものであり、最初に整備を受けるときにブッシング134は第1の位置(図示のとおり)に配向されることができる。機械100が駆動されるにつれ、ブッシング134の第1の側面170は駆動スプロケット110と接触して摩耗する。すると、未摩耗の第2の側面172が前記スプロケット110とインターフェースするようにブッシング134を第2の位置に回転させることで、チェーン112の寿命が延長されることができる。幾つかの実施例において、ブッシング134を第1の位置から第2の位置に回転させることは、ブッシング134を180度(たとえば、略180度)回転させることを含むことができる。
【産業上利用可能性】
【0050】
一般的に、前述した開示は、軌道型機械100のような多様な産業応用分野において有用性が見出されている。本明細書に説明されたチェーン112は、機械100からチェーン112を取り外すことなくブッシング134が回転されて未摩耗の側面172を使用するようにブッシング134の向上した整備性能を提供することができる。次にブッシング134の回転を含めて、向上した整備性能について説明する。
【0051】
図9は、図1図8のチェーンを整備する方法900を示す。実際に、本明細書に説明された実施例のようなチェーン112アセンブリは、OEM(original equipment manufacturer)またはアフターマーケットの脈絡で、部分的に若しくは全体的に販売、購買、製造又は他の方式で得られる。
【0052】
図1に関連して既に図示及び説明されたように、チェーン112は工場で組み立てられ機械100に設置されるか取り替え部品として販売されて機械100に設置されることができる。時間経過及び使用に伴い、チェーン112の部品が摩耗または損傷して、取り替えや調整が必要となる。特に、チェーン112のブッシング134は取り替えなければならないことがある。幾つかの場合に、ブッシング134を交替する代わりに、ブッシング134の未摩耗の半分を利用するためにブッシング134が180度回転されることができる。ブッシングの未摩耗の半分(たとえば、符号172)は、スプロケット110と接触しないブッシング134の半分を含むことができる。通常、ブッシング134を回転させるためには、ブッシング134の整備に必要な多数の段階を経なければならない。チェーン112アセンブリ上のブッシング134を回転させるために現在取られている段階は、1)機械100からチェーン112を取り外すこと、2)分解・再組立て可能な軌道プレスを備えた、最寄りの代理店へチェーン112を輸送すること、3)すべての構成要素を分解し、ブッシング134を回転させて、オイルシール継手を再組立てすること、および4)機械100への再取付けのためにチェーン112を顧客宛てに返送すること、を含む。これは、高費用でありかつ手間取るプロセスである。ブッシング134を回転させる際に、機械100からチェーン112を取り外す必要をなくすために、図1図8の実施例によるチェーン112が提供されることができる。
【0053】
ブッシング134を回転させることのようなチェーン112の整備方法900は、チェーン112が機械100のアンダーキャリッジ104上に位置付けられた状態を保つ間に行われることができる。例示的な方法900は、機械100のアンダーキャリッジ104上に位置付けられた状態を保つチェーン112、並びに無端ドライブの配置構成(たとえば、図1)に連続的に連結されるリンクアセンブリ200、200’と関連して説明される。つまり、チェーン112は軌道機械100の駆動スプロケット110及び他のアンダーキャリッジ構成要素104に結合された状態を保持する。しかし、幾つかの実施例において、方法900はまた、機械100からチェーン112を取り外してブッシング134を回転された後、機械にチェーン112を再取付けすることを含めて行われてもよい。たとえこのように取り外し及び再取付けが有利に作られているが、図1図8のチェーン112の設計によって不要となる
【0054】
方法900は、顧客がブッシング134を摩耗した側面(たとえば、符号170)から未摩耗の側面(たとえば、符号172)に回すのに必要な作業の相当部分と、オイルシール構成要素を分解及び再組立てすることに係わるすべてのリスクを回避可能にする。
【0055】
方法900によれば、(チェーン112アセンブリが機械100上に保持される間)一つ以上の第1のボア118に配置された一つ以上のブッシング134を回転させるために、段階902は、ブッシング134上に軌道リンク本体204の第1のボア118によって誘導されたクランプ力を解除するために軌道シューファスナー(たとえば、符号150、152)を緩めることを含むことができる。段階902で軌道シューファスナー150を緩めると、第1のボア218に隣接して配置された第1のストラット226内の第1の隙間228が増加するようになる。幾つかの実施例において、段階902はさらに、第2のストラット234内の第2の隙間236を増加させるために軌道シューファスナー152を緩めることを含むことができる。
【0056】
段階904は、ブッシングが第1のボア218の内部に配置された状態を保持する間、ブッシング134を第1の位置(図8)から第2の位置(図8から180度回転される)に回転させることを含むことができる。第1の位置において、ブッシング134の摩耗した側面170は駆動スプロケット110に向かうことができる。摩耗した側面170は、前半部、またはブッシング134の略180度であると称されることができる。第2の位置において、ブッシング134の未摩耗の側面172は、駆動スプロケット110に向かうことができる。未摩耗の側面172は、後半部、またはブッシング134の残りの略180度と称されることができる。
【0057】
段階906は、ブッシング134にクランプ力を生成(たとえば、誘導、再生成)するために、軌道シューファスナー150、152を締め付けること(たとえば、再度締め付けること)を含むことができる。段階906において軌道シューファスナー150、152のいずれか一つ以上を締め付けることは、第1のボア218に隣接して配置された第1のストラット226内の第1の隙間228を減少させるようになる。第1の隙間228の減少は、第1のボア218がブッシング134に対して収縮及びクランプされるようにする。第2の隙間236もこのプロセスによって減少されることができる。ブッシング134が元の位置にクランプされて回転が制限されることにより、チェーン112は駆動スプロケット110とインターフェースするように構成された新たなブッシング134の表面(たとえば、未摩耗の側面)と一緒に再度使用される準備が整えられる。この方法900は、リンクサブアセンブリ200のそれぞれに対して繰り返されることができる。
【0058】
幾つかの実施例において、方法900は、ブッシング134内に配置されるピン132がチェーン112の軌道リンク本体204に固定連結された状態を保持する間に行われることができる。幾つかの実施例において、方法900は、ブッシング134とピン132との間の相対移動を容易にする軸受160及びシール162が軌道リンク本体204に結合された状態を保持する間、軸受160を元の位置に保持するシール継手(たとえば、オイルシール継手)を破壊することなく行われることができる。
【0059】
開示の除雪機に様々な修正および変形を加えることは当業者には明らかであろう。本明細書および開示した機械の実施を考慮することから、他の実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書および具体例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、真の範囲が特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9