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特許7436507センサなどの信号を正確に検出するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】センサなどの信号を正確に検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/10 20060101AFI20240214BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H03M1/10 A
H03M1/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021563413
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2020059884
(87)【国際公開番号】W WO2020216611
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】102019206023.4
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス ベヴォト
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート レーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン メツガー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン バウマン
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-330962(JP,A)
【文献】特開2003-060505(JP,A)
【文献】特開2012-195773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M1/00-H03M1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラムダセンサ(200)の信号を、当該ラムダセンサ(200)に電気的に接続された評価及び制御ユニット(100)を用いて検出するための方法であって、
前記評価及び制御ユニット(100)は、マルチプレクサ(110)を備え、前記マルチプレクサ(110)の入力端(111,112,113,114,115,116)には、少なくとも、自身の電圧値(URef)が既知である基準電圧(U_R)、前記基準電圧の基準電位(GND_R)、前記ラムダセンサ(200)の測定信号(U_M)、及び、前記測定信号の基準電位(GND_M)が印加され、
前記マルチプレクサ(110)の下流側に、伝送区間(120)を介して、及び、自身の2つの入力端(131,132)の間に印加された電圧をデジタル値に変換するADC(130)を介して、計算機(140)が接続されており、
前記方法は、
それぞれ前記マルチプレクサ(110)のスイッチング状態が変更され、それぞれ前記マルチプレクサ(110)の下流側に続く前記ADC(130)の出力端からデジタル値が検出される複数の個別測定(E1,E2,E3,E4)を実施するステップと、
前記計算機(140)が前記デジタル値からオフセット補正及びゲイン補正された測定値を計算するステップと、
を含む方法において、
前記ADC(130)の前記入力端における2つのレベルが定常状態になる前に、デジタル値がそれぞれ検出され、又は、前記ADC(130)の前記入力端における2つのレベルが定常状態になる前に、AD変換が開始され、
前記定常状態は、前記マルチプレクサ(110)の入力端変数の変更後、前記マルチプレクサ(110)の出力端変数が、変更された前記入力端変数を用いた定常解に従って、結果として生じる変化の少なくとも86%又は63%を既に起こしている状態として定義され、
前記方法は、前記評価及び制御ユニット(100)が各個別測定(E1,E2,E3,E4)の前に同等の基本状態にリセットされた後(ステップS1,S4,S7,S10)、以下の個別測定(E1,E2,E3,E4)を実施し、即ち、
a) 前記評価及び制御ユニット(100)が前記基本状態にリセットされた後(ステップS1)、前記マルチプレクサ(110)が、前記基準電圧(U_R)を前記ADC(130)の第1の入力端(131)に切り替え、前記基準電圧の前記基準電位(GND_R)を前記ADC(130)の第2の入力端(132)に切り替え(ステップS2)前記ADC(130)の前記第1の入力端(131)及び前記第2の入力端(132)における2つのレベルが定常状態になる前に、前記ADC(130)の出力端(133)から基準電圧値(Z_UR)を特定し、前記基準電圧値(Z_UR)を前記計算機(140)に伝送する(ステップS3)、基準電圧測定(E1)
b) 前記評価及び制御ユニット(100)が前記基本状態にリセットされた後(ステップS4)、前記マルチプレクサ(110)が、前記基準電圧の前記基準電位(GND_R)を前記ADC(130)の前記2つの入力端(131,132)に切り替え(ステップS5)、前記ADC(130)の前記第1の入力端(131)及び前記第2の入力端(132)における2つのレベルが定常状態になる前に、前記ADC(130)の前記出力端(133)から、基準オフセット電圧値(Z_URoffset)を特定し、前記基準オフセット電圧値(Z_URoffset)を前記計算機(140)に伝送する(ステップS6)、基準オフセット電圧測定(E2)
c) 前記評価及び制御ユニット(100)が前記基本状態にリセットされた後(ステップS7)、前記マルチプレクサ(110)が、測定電圧(U_M)を前記ADC(130)の前記第1の入力端(131)に切り替え、前記測定電圧の基準電位(GND_M)を前記ADC(130)の前記第2の入力端(132)に切り替え(ステップS8)前記ADC(130)の前記第1の入力端(131)及び前記第2の入力端(132)における2つのレベルが定常状態になる前に、前記ADC(130)の前記出力端(133)から測定電圧値(Z_UM)を特定し、前記測定電圧値(Z_UM)を前記計算機(140)に伝送する(ステップS9)、測定電圧測定(E3)、及び
d) 前記評価及び制御ユニット(100)が前記基本状態にリセットされた後(ステップS10)、前記マルチプレクサ(110)が、前記測定電圧の前記基準電位(GND_M)を前記ADC(130)の前記2つの入力端(131,132)に切り替え(ステップS11)前記ADC(130)の前記第1の入力端(131)及び前記第2の入力端(132)における2つのレベルが定常状態になる前に、前記ADC(130)の前記出力端から測定オフセット電圧値(Z_UMoffset)を特定し、前記測定オフセット電圧値(Z_UMoffset)を前記計算機(140)に伝送する(ステップS12)、測定オフセット電圧測定(E4)
を実施し、
前記オフセット補正及びゲイン補正された測定値(U_MuC)は、前記基準電圧値(Z_UR)、前記基準オフセット電圧値(Z_URoffset)、前記測定電圧値(Z_UM)及び前記測定オフセット電圧値(Z_UMoffset)と、基準電圧の既知の値U Ref とから、以下の式、
U_MuC=URef*(Z_UM-Z_UMoffset)/(Z_UR-Z_URoffset)
に従って前記計算機(140)により計算され(ステップS13)、ここで、
前記U_MuCは、オフセット補正及びゲイン補正された測定値(U_MuC)であり、
前記URefは、基準電圧の既知の電圧値(URef)であり、
前記Z_UMは、測定電圧値(Z_UM)であり、
前記Z_UMoffsetは、測定オフセット電圧値(Z_UMoffset)であり、
前記Z_URは、基準電圧値(Z_UR)であり、
前記Z_URoffsetは、基準オフセット電圧値(Z_URoffset)である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記個別測定(E1,E2,E3,E4)は、相互に同一のタイミングを有する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記マルチプレクサ(110)のスイッチ(P1,P2,P3,P4,M1,M2)は、相互に正確に一致している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記個別測定(E1,E2,E3,E4)並びに前記オフセット補正及びゲイン補正された測定値(U_MuC)の計算は、周期的に繰り返される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ラムダセンサ(200)は、広帯域ラムダセンサであり、前記評価及び制御ユニット(100)は、ASICとして構成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
従来技術からは、アナログ信号を伝送区間に沿って伝送し、その後にデジタル化して、その際に発生したオフセットエラー及びゲインエラーを補正する方法が既に公知である。これらの方法においては、伝送されたデジタル化すべき信号が、デジタル化の際に時間的に一定であること、即ち、定常状態にあることが常に前提とされ、それによって、アナログ信号からそのままオフセットエラー及びゲインエラーのない測定値を得ることが可能になる(例えば、米国特許第7710303号明細書参照)。これらの方法は、相応に時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】米国特許第7710303号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の利点
本発明は、請求項1の上位概念による方法において、各個別測定の際に、ADC(アナログデジタル変換器)の入力端における2つのレベルが定常状態になることなく、適正にオフセット補正及びゲイン補正された測定値も特定可能になるという本発明者らの驚くべき認識に基づくものである。
【0004】
特に、個別測定によって得られたデジタル値の各々は、ADCの入力端に印加されたレベルの定常状態事象の待機後に得られるはずの値に比較して変化するが、いずれにせよ、この変化は、総てのデジタル値にとって基本的に同様に起こるため、デジタル値からのオフセット補正及びゲイン補正された測定値の計算におけるこれらの変化は、少なくとも部分的に互いに補償し合う。
【0005】
従って、本発明は、例えばセンサの信号などの信号を正確にかつ同時に、特に迅速に検出することができる。ただし、任意の他の信号であるものとすることもできる。
【0006】
本出願の枠内においては、システムは、自身の入力端変数の変更後、特に、自身の出力端変数が、自身にとって、変更された入力端変数を用いた定常解に従って、結果として生じる変化の少なくとも86%を既に起こしている場合にのみ、定常状態であるものとみなされる。
【0007】
発展形態においては、システムは、自身の入力端変数の変更後、特に、自身の出力端変数が、自身にとって、変更された入力端変数を用いた定常解に従って、結果として生じる変化の少なくとも63%を既に起こしている場合にのみ、定常状態であるものとみなされる。
【0008】
本方法は、以下の個別測定、即ち、
a) マルチプレクサが、基準電圧をADCの第1の入力端に切り替え、基準電圧の基準電位をADCの第2の入力端に切り替え、ADCの出力端から基準電圧値を特定する、基準電圧測定、及び/又は、
b) マルチプレクサが、基準電圧の基準電位をADCの2つの入力端に切り替え、ADCの出力端から基準オフセット電圧値を特定する、基準オフセット電圧測定、及び/又は、
c) マルチプレクサが、測定電圧をADCの第1の入力端に切り替え、測定電圧の基準電位をADCの第2の入力端に切り替え、ADCの出力端から測定電圧値を特定する、測定電圧測定、及び/又は、
d) マルチプレクサが、測定電圧の基準電位をADCの2つの入力端に切り替え、ADCの出力端から測定オフセット電圧値を特定する、測定オフセット電圧測定
を実施することが想定可能である。
【0009】
基準電圧の基準電位が測定電圧の基準電位と物理的に同一であるならば、個別測定a)及びd)は、単一の個別測定によって同時に実現することができ、その結果、基準オフセット電圧値と測定オフセット電圧値とが同時に供給される。
【0010】
続いて、特に、オフセット補正及びゲイン補正された測定値は、以下の式に従って計算することが可能である。
U_MuC=URef*(Z_UM-Z_UMoffset)/(Z_UR-Z_URoffset)
ここで、
U_MuCは、オフセット補正及びゲイン補正された測定値であり、
Refは、基準電圧の既知の電圧値であり、
Z_UMは、測定電圧地であり、
Z_UMoffsetは、測定オフセット電圧値であり、
Z_URは、基準電圧値であり、
Z_URoffsetは、基準オフセット電圧値である。
【0011】
デジタル値からのオフセット補正及びゲイン補正された測定値の計算における上記で説明した変化が、少なくとも部分的に互いに補償し合うという本発明の基礎となる効果は、評価及び制御ユニットが、各個別測定の前に同等の基本状態に至らしめられる場合、特に多大に奏される。この目的のために、評価及び制御ユニットの個々の若しくは総てのエネルギー蓄積器、機能値、デジタルメモリ及び/又は機能ブロックは、各個別測定の前に、同等の、定義された、ただし必ずしも安定状態ではない基本状態にリセットすることが想定されるものとしてもよい。
【0012】
従って、デジタル値からのオフセット補正及びゲイン補正された測定値の計算における上記で説明した変化が、少なくとも部分的に互いに補償し合うという本発明の基礎となる効果は、個別測定が相互に同一のタイミングを有する場合、即ち、特に、これらの測定の直前に、常に同一又は同様の他の測定が評価及び制御ユニットによって同一の時間間隔で行われる場合にも多大に奏され、及び/又は、マルチプレクサのスイッチが相互に正確に一致している場合、即ち、特に、これらのスイッチが閉じた状態で同等の抵抗値を有している場合、これらのスイッチが開いた状態で同等の抵抗値を有している場合、及び/又は、これらのスイッチの切り替え時間が同等である場合にも多大に奏される。同等との概念には、例えばプラス/マイナス2%といった非常に狭い変動範囲しか含まれない。
【0013】
好適には、センサの動作のために、個別測定並びにオフセット補正及びゲイン補正された測定値の計算が周期的に繰り返されることが想定されるものとしてもよい。
【0014】
センサは、ラムダセンサ、例えば広帯域ラムダセンサであり得る。ラムダセンサの信号は、例えば、自身の供給線路間において測定可能な電圧であり得る。評価及び制御ユニットは、ASICによって実現されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る方法を実施し得る例示的な電気回路を示した図である。
図2】本発明に係る方法をフローチャートに示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例の説明
図1は、広帯域ラムダセンサ200を動作させるための評価及び制御ユニット100を示している。この評価及び制御ユニット100は、複数の端子(これらの端子のうち図1においては主に2つの端子A1,A2が示されている)を介して広帯域ラムダセンサ200の電気的線路201,202に接続されている。これらの線路201,202は、例えば、広帯域ラムダセンサ200の電気化学セル210に接続され、それによって、この電気化学セル210に、広帯域ラムダセンサ200の測定電圧UMとその基準電位GND_Mとが印加される。評価及び制御ユニット100は、2つのさらなる端子A3,A4を介して、基準電圧源300とその基準電位GND_Rとに接続されている。代替的に、基準電圧源300とその基準電位GND_Rとが、評価及び制御ユニット100の一部であるものとしてもよい。基準電圧源300から提供される電圧の実際の値URefは、非常に正確に知られており、これについては時間的にも一定である。
【0017】
広帯域ラムダセンサ200の可能な詳細は、例えば、独国特許出願公開第102011007068号明細書に示されている。
【0018】
評価及び制御ユニット100は、本発明の理解のために必要な範囲においてのみ示されている。評価及び制御ユニット100の可能な詳細は、例えば、欧州特許第2277035号明細書に示されている。
【0019】
図1に例示的に示されたマルチプレクサ110は、6つの入力端111,112,113,114,115,116を有し、ここで、これらの入力端のうち第1の入力端111は、基準電圧U_Rに接続され、これらの入力端のうち第2及び第5の入力端112,115は、基準電圧の基準電位GND_Rに接続され、これらの入力端のうち第3の入力端113は、測定電圧U_Mに接続され、これらの入力端のうち第4及び第6の入力端114,116は、測定電圧の基準電位GND_Mに接続されている。
【0020】
マルチプレクサ110の第1の入力端111に割り当てられている、マルチプレクサ110の第1のスイッチP1を介して、及び、マルチプレクサ110のさらなる入力端112,113,114,115,116に割り当てられている、マルチプレクサ110のさらなるスイッチP2,P3,P4,M1,M2を介して、マルチプレクサ110の第1、第2、第3及び第4の入力端111,112,113,114は、マルチプレクサ110の第1の出力端118に接続可能であり、マルチプレクサ110の第5及び第6の入力端115,116は、マルチプレクサ110の第2の出力端119に接続可能である。マルチプレクサ110のスイッチP1,P2,P3,P4,M1,M2は、互いに正確に一致しており、即ち、開いた状態でのそれらの内部抵抗、閉じた状態でのそれらの内部抵抗、及び/又は、それらの切り替え時間は、わずかしか相違せず、例えば、2%以下でしかない。
【0021】
マルチプレクサ110の2つの出力端118,119の下流側には、例えば、1つ以上のフィルタと1つ以上の増幅器と場合によってはさらなる機能ブロックとを有し、全体として例えばローパス特性を示す伝送区間120を介して、アナログデジタル変換器130の入力端131,132が接続され、このアナログデジタル変換器130は、自身の2つの入力端131,132の間に印加される電圧をデジタル値に変換し、これらのデジタル値をデジタル計算機140に転送する。
【0022】
本発明に係る方法は、例えば、ステップS1乃至S13において実行され(図2参照)、これらのステップは、例えば、外部から評価及び制御ユニットに印加されるクロックT又は評価及び制御ユニット自身が生成するクロックTによって、時間的に定義される。
【0023】
ステップS1:総ての機能ブロック、エネルギー蓄積器及びデジタルメモリを定義された基本状態にリセットする。
【0024】
ステップS2:ADC130の入力端131,132を、基準電圧U_Rとその基準電位GND_Rとに切り替える。この目的のために、第1のスイッチP1と第5のスイッチM1とが閉じられる。
【0025】
ステップS3:ADC130の出力端133から基準電圧値Z_URを検出する、それも、時間的に見て、ADC130の入力端131,132における2つのレベルが定常状態となる前に既に検出する。この基準電圧値Z_URは、デジタル計算機140に伝送される。
【0026】
ステップS4:総ての機能ブロック、エネルギー蓄積器及びデジタルメモリを、ステップ1のように定義された基本状態にリセットする。
【0027】
ステップS5:ADC130の2つの入力端131,132を、基準電圧の基準電位GND_Rに切り替える。この目的のために、第2のスイッチP2と第5のスイッチM1とが閉じられる。
【0028】
ステップS6:ADC130の出力端133から基準オフセット電圧値Z_URoffsetを検出する、それも、時間的に見て、ADC130の入力端131,132における2つのレベルが定常状態となる前に既に検出する。この基準オフセット電圧値Z_URoffsetは、デジタル計算機140に転送される。
【0029】
ステップS7:総ての機能ブロック、エネルギー蓄積器及びデジタルメモリを、ステップ1及びステップ4のように定義された基本状態にリセットする。
【0030】
ステップS8:ADC130の入力端131,132を、測定電圧U_Mとその基準電位GND_Mとに切り替える。この目的のために、第3のスイッチP3と第6のスイッチM2とが閉じられる。
【0031】
ステップS9:ADC130の出力端133から測定電圧値Z_UMを検出する、それも、時間的に見て、ADC130の入力端131,132における2つのレベルが定常状態となる前に既に検出する。この測定電圧値Z_UMは、デジタル計算機140に転送される。
【0032】
ステップS10:総ての機能ブロック、エネルギー蓄積器及びデジタルメモリを、ステップ1、4、7のように定義された基本状態にリセットする。
【0033】
ステップS11:ADC130の2つの入力端131,132を、測定電圧の基準電位GND_Mに接続する。この目的のために、第4のスイッチP4と第6のスイッチM2とが閉じられる。
【0034】
ステップS12:ADC130の出力端133から測定オフセット電圧値Z_UMoffsetを検出する、それも、時間的に見て、ADC130の入力端131,132における2つのレベルが定常状態となる前に既に検出する。この測定オフセット電圧値Z_UMoffsetは、デジタル計算機140に転送される。
【0035】
ステップS13:事前に得られたデジタル値Z_UM、Z_UMoffset、Z_UR及びZ_URoffsetと、基準電圧の既知の値URefとから、以下の式、
U_MuC=URef*(Z_UM-Z_UMoffset)/(Z_UR-Z_URoffset)
に従って、オフセット補正及びゲイン補正された測定値U_MuCを計算する。
【0036】
そのように得られたオフセット補正及びゲイン補正された測定値U_MuCは、技術的に再使用することができる。例えば、この測定値U_MuCは、評価及び制御ユニット100内に不揮発性方式により格納したり、及び/又は、電気化学セル210に印加される電圧の実測値として、評価及び制御ユニット100のコントローラに転送したりすることができ、このコントローラ自体は、対応する電圧及び電流によって広帯域ラムダセンサ200を物理的に駆動制御する。
【0037】
基準電圧値Z_URの測定(E1;方法ステップS1,S2,S3)は、基準オフセット電圧値Z_URoffsetの測定(E2;方法ステップS4,S5,S6)に時間的に近接して行われるため、評価及び制御ユニット100の温度及び/又は経年劣化による一時的かつ物理的な実質的変化は排除される。
【0038】
基準電圧値Z_URの測定(E1;方法ステップS1,S2,S3)は、基準オフセット電圧値Z_URoffsetの測定(方法ステップE2;S4,S5,S6)と同一のタイミングで行われるため、両測定については、ADCの入力端131,132におけるレベルの定常状態を待たずに、同様の動的効果が結果として生じる。
【0039】
それらの特定の相違を除いて、2つの個別測定E1,E2は、評価及び制御ユニット100の同様のシステム状態で行われ、例えば、これらの個別測定E1,E2の間は、さらなる電流及び電圧への切り替えは、それらが測定に影響を及ぼす可能性がある限りは見送られる。
【0040】
測定電圧値Z_UMの測定(E3;方法ステップS7,S8,S9)は、測定オフセット電圧値Z_UMoffsetの測定(E4;方法ステップS4,S5,S6)に時間的に近接して行われるため、評価及び制御ユニット100の温度及び/又は経年劣化による一時的かつ物理的な実質的変化は排除される。
【0041】
測定電圧値Z_UMの測定(E3;方法ステップS10,S11,S12)は、測定オフセット電圧値Z_UMoffsetの測定(E4;方法ステップS4,S5,S6)と同一のタイミングで行われるため、両測定については、ADCの入力端131,132におけるレベルの定常状態を待たずに、同様の動的効果が結果として生じる。
【0042】
それらの特定の相違を除いて、2つの個別測定E3,E4は、評価及び制御ユニット100の同様のシステム状態で行われ、例えば、これらの個別測定E3,E4の間は、さらなる電流及び電圧への切り替えは、それらが測定に影響を及ぼす可能性がある限りは見送られる。
【0043】
本実施例の場合においては、総ての個別測定E1,E2,E3,E4は、それらの特定の相違を除いたとしても、評価及び制御ユニット100の同様のシステム状態において、同一のタイミングで、相互に時間的に近接して行われる。
【0044】
本発明は、例えば、以下の技術的利点も利用する。マルチプレクサ110、伝送区間120及びADC130からなる測定パスの伝達関数は、総ての個別測定E1,E2,E3,E4において同一であり、それゆえ、測定電圧値の測定におけるエラーは、基準電圧値の測定における測定エラーに比例して同一である。それゆえ、オフセット補正及びゲイン補正された測定値U_MuCを計算する際、これらのエラーは、十分に補償される。
図1
図2