(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光学フィルター
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20240214BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240214BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240214BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
B32B7/023
B32B9/00 A
(21)【出願番号】P 2021564099
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2019130577
(87)【国際公開番号】W WO2020244223
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】201910487270.2
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520093458
【氏名又は名称】信陽舜宇光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 策
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲維▼▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】方 叶▲慶▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】肖 念恭
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504635(JP,A)
【文献】特開2018-155962(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217555(WO,A1)
【文献】特表2020-501182(JP,A)
【文献】国際公開第2018/102219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
B32B 7/023
B32B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板の第1面の外側に設置された第1膜系とを含む光学フィルターであって、
前記第1膜系は、高屈折率膜層と、低屈折率膜層と、マッチング膜層とを含み、
前記マッチング膜層の材料は、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物を含み、前記窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSi
xGe
1-xN
y
:H
z
であり、0≦x≦1、0<y≦0.1、
z≦1となり、
その少なくとも一部は非晶質水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物α‐Si
x
Ge
1-x
N
y
:H
z
であり、780nm~3000nmの波長範囲において、前記高屈折率膜層の屈折率は前記低屈折率膜層の屈折率より大きく、前記マッチング膜層の屈折率はその隣接する膜層の屈折率に等しくなく、
前記基板は、前記第1面と背中合わせの第2面をさらに含み、
前記光学フィルターは、前記基板の第2面の外側に配置された第2膜系をさらに含み、
前記第2膜系は、長波通過膜系または広帯域通過膜系であり、前記第1膜系は、狭帯域通過膜系であり、前記第2膜系の通過帯域は、前記第1膜系の通過帯域をカバー
し、
前記基板から外れた方向に沿って、前記第1膜系の構造形式は、
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、の構造形式の中の一つであり、
前記第1膜系の構造形式において、L1は高屈折率膜層を表し、L3は第1低屈折率膜層を表し、L2はマッチング膜層を表し、p、q、r、sは括弧内の構造形式の繰り返し数を表し、p、q、r、sは0以上の整数であることを特徴とする光学フィルター。
【請求項2】
前記光学フィルターは、780nm~1200nmの波長範囲に対応して通過帯域を有し、光の入射角が0°から30°に変化するときに、前記通過帯域の中心波長のドリフト量は16nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項3】
前記光学フィルターの通過帯域は、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長を有し、光の入射角が30°の場合に、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長との間のドリフト量は5nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルター。
【請求項4】
前記光学フィルターの通過帯域は、平均透過率が93%以上であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルター。
【請求項5】
780nm~1200nmの波長範囲に対応して、前記高屈折率膜層の屈折率は3より大きく、前記低屈折率膜層の屈折率は3より小さく、前記マッチング膜層の屈折率は1.7~4.5の間にあることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項6】
前記高屈折率膜層の材料は、Si
wGe
1-w:H
vを含み、0≦w≦1、0≦v≦1となることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項7】
前記低屈折率膜層の材料は、SiO
2、Si
3N
4、Ta
2O
5、Nb
2O
5、TiO
2、Al
2O
3、SiCN、SiCのうちの1つまたは複数の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項8】
前記第1膜系の厚さと前記第2膜系の厚さの和は、12μmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項9】
前記第2膜系は長波通過膜系であり、350nm~1200nmの波長範囲に対応しており、前記狭帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記長波通過膜系は通過帯域とカットオフ帯域を有し、前記長波通過膜系の通過帯域は狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーし、
前記長波通過膜系のカットオフ帯域は、カットオフ度が前記狭帯域通過膜系の対応する波帯のカットオフ度以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【請求項10】
前記第2膜系は広帯域通過膜系であり、780nm~1200nmの波長範囲に対応しており、前記狭帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記広帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記広帯域通過膜系の通過帯域は前記狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーし、
780nmより小さい波長範囲に対応し、前記広帯域通過膜系の平均カットオフ度は、前記狭帯域通過膜系の平均カットオフ度以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2019年6月5日に中国国家知識産権局(CNIPA)に提出された出願番号が201910487270.2であり、発明の名称が「光学フィルター」である中国出願の優先権を主張し、その全文の内容を本出願に援用する。
【0002】
本発明は、光学素子の分野に関するもので、特に近赤外フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0003】
近赤外狭帯域フィルターは、顔認識システム、ジェスチャー認識システム、レーザーレーダ、スマート・アプライアンスなどに適用でき、上記これらのシステムや装置が動作するとき、近赤外狭帯域フィルターはしばしば斜め入射光を受信する。
【0004】
近赤外狭帯域フィルターは通常、基板を含み、基板の両面に複数の層膜をコーティングして膜系を形成し、近赤外狭帯域フィルターは対応する光の通過帯域を有し、通過帯域の波帯に対応する光の大部は近赤外狭帯域フィルターを通過することができ、非通過帯域の波帯の光の大部はカットオフされる。本分野では、画像の品質を向上させるために、優れたフィルター性能を有する光学フィルターが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における上記の欠陥を解決または部分的に解決するために、本出願の実施形態は、光学フィルター及び光学フィルターを製造する方法を提案する。本出願の実施形態は、光学系も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施形態は、光学フィルターを提供し、基板と、基板の第1面の外側に設置された第1膜系とを含み、前記第1膜系は、高屈折率膜層と、低屈折率膜層と、マッチング膜層とを含み、前記マッチング膜層の材料は、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物を含み、前記窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSixGe1-xNyであり、ここで、0≦x≦1、0<y≦0.1となり、780nm~3000nmの波長範囲において、前記高屈折率膜層の屈折率は前記低屈折率膜層の屈折率より大きく、前記マッチング膜層の屈折率はその隣接する膜層の屈折率に等しくないことを特徴とする。
【0007】
一実施形態において、前記光学フィルターは、780nm~1200nmの波長範囲に対応して通過帯域を有し、光の入射角が0°から30°に変化するときに、前記通過帯域の中心波長のドリフト量は16nm以下である。
【0008】
一実施形態において、前記光学フィルターの通過帯域は、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長を有し、光の入射角が30°の場合に、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長との間のドリフト量は5nm以下である。
【0009】
一実施形態において、前記光学フィルターの通過帯域は、平均透過率が93%以上である。
【0010】
一実施形態において、780nm~1200nmの波長範囲に対応して、前記高屈折率膜層の屈折率は3より大きく、前記低屈折率膜層の屈折率は3より小さく、前記マッチング膜層の屈折率は1.7~4.5の間にある。
【0011】
一実施形態において、前記窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物は更に、水素をドープすることができ、化学式はSixGe1-xNy:Hzであり、ここで、0≦x≦1、0<y≦0.1、z≦1となり、その少なくとも一部は非晶質水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物α‐SixGe1-xNy:Hzである。
【0012】
一実施形態において、前記窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物は、酸素、ホウ素またはリン素のうちの1つまたは複数を含む補助成分をさらに含み、前記補助成分の中の各原子数とシリコン原子数の比は10%より小さい。
【0013】
一実施形態において、前記高屈折率膜層の材料は、SiwGe1-w:Hvを含み、ここで、0≦w≦1、0≦v≦1となる。
【0014】
一実施形態において、前記低屈折率膜層の材料は、SiO2、Si3N4、Ta2O5、Nb2O5、TiO2、Al2O3、SiCN、SiCのうちの1つまたは複数の混合物を含む。
【0015】
一実施形態において、前記基板は、前記第1面と背中合わせの第2面をさらに含み、前記光学フィルターは、前記基板の第2面の外側に配置された第2膜系をさらに含み、前記第2膜系は、長波通過膜系または広帯域通過膜系であり、前記第1膜系は、狭帯域通過膜系であり、前記第2膜系の通過帯域は、前記第1膜系の通過帯域をカバーする。
【0016】
一実施形態において、前記第1膜系の厚さと前記第2膜系の厚さの和は、12μmより小さい。
【0017】
一実施形態において、前記第2膜系は長波通過膜系であり、350nm~1200nmの波長範囲に対応しており、前記狭帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記長波通過膜系は通過帯域とカットオフ帯域を有し、前記長波通過膜系の通過帯域は狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーし、前記長波通過膜系のカットオフ帯域は、カットオフ度が前記狭帯域通過膜系の対応する波帯のカットオフ度以上である。
【0018】
一実施形態において、前記第2膜系は広帯域通過膜系であり、780nm~1200nmの波長範囲に対応しており、前記狭帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記広帯域通過膜系は通過帯域を有し、前記広帯域通過膜系の通過帯域は前記狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーし、780nmより小さい波長範囲に対応し、前記広帯域通過膜系の平均カットオフ度は、前記狭帯域通過膜系の平均カットオフ度以上である。
【0019】
一実施形態において、前記基板から外れた方向に沿って、前記第1膜系の構造形式は、(L3-L1-L3-L2)s-L3-L1、(L1-L3)2-(L2-L3-L1-L3)s-L1-L3、(L1-L3)s-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L1-L3)rL1、(L3-L1)s-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L3-L1)rL3-L1-(L2-(L1-L3)t-L1-L2)n、(L3-L1)s-(L3-L1)rL3-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L3-L1)rL3-(L2-(L1-L3)t-L1-L2)n-(L3-L1)rの構造形式の中の一つであり、前記第1膜系の構造形式においては、L1は高屈折率膜層を表し、L3は第1低屈折率膜層を表し、L2はマッチング膜層を表し、p、q、r、sは括弧内の構造形式の繰り返し数を表し、p、q、r、sは0以上の整数である。
【0020】
他方、本出願の実施形態は、更に赤外線イメージセンサおよび前述の光学フィルターを含む光学系を提供し、光学フィルターは赤外線画像センサの感光側に配置される。
【0021】
本出願の実施形態に提供される光学フィルターの第1膜系は、高屈折率膜層と、マッチング膜層と、低屈折率膜層とを含み、マッチング膜層の材料は、この窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物であって高屈折率膜層または低屈折率膜層との整合に適合する。具体的には、シリコンゲルマニウム混合物に窒素原子をドープすることにより、ゲルマニウム元素(またはシリコン元素)と他の元素との結合方式を変化させ、その窒素元素のモル数はシリコン元素のモル数とゲルマニウム元素のモル数との和の10%に満たず、異なる窒素ドープ量は材料の屈折率に対しての影響が異なる。異なる製品または顧客の光学規格の要件に応じて、窒素のドープ数量を調整して、F-P構造の膜材料またはマッチング膜層の膜材料として使用される中屈折率材料を製造する。本出願に提供される光学フィルターは、マッチング膜層と他の膜層との配合により、異なる角度から光が入射する場合に、光学フィルターの通過帯域の帯域幅の変化が小さい。この光学フィルターが配置されている光学系は、信号対雑音比が高く、データの品質が高い、あるいは同じ信号対雑音比が要求される場合、光学系の他の部品はより高い設計マージンを有してもよい。
【0022】
本開示の他の特徴、目的、および利点は、以下の添付図面を参照して行われる非限定的な実施形態の詳細な説明を読むことにより、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る光学フィルターの概略的な構造図である。
【
図2】
図2Aと2Bは、それぞれ、本発明の実施形態に係る整合層の屈折率の曲線と消衰係数の曲線を示す。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る透過率波長の曲線を示す。
【
図4】本発明の第2の実施例に係る透過率波長の曲線を示す。
【
図5】本発明の第3の実施例に係る透過率波長の曲線を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る光学システムの概略的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願をよりよく理解するために、図面を参照して、本出願の様々な態様についてより詳細に説明する。これらの詳細な説明は、本出願の範囲をいかなる形で限定することなく、ただ本出願の例示的な実施形態の説明にすぎないことを理解すべきである。明細書の全文において、同じ図面符号は同じ元件を表す。「および/または」という表現は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数の任意およびすべての組み合わせを含む。
【0025】
なお、本明細書では、第1、第2、第3などの表現は、特徴に対する制限を表すものではなく、特徴を他の特徴と区別するためにのみに用いられることを注意すべきである。したがって、本出願の教示を離反することなく、以下で説明する第1膜系を第2膜系とも呼ぶことができる。その逆もまた同様である。
【0026】
図面においては、説明を容易にするために、部品の厚さ、サイズ、形状を若干調整している。図面はただの一例であって、厳密に比例に従って描かれていない。例えば、第一膜系の厚みと第二膜系の厚みは、実際の生産における比例を従っていない。本出願で使用されるように、「大体」、「およそ」という用語、および類似の用語は、程度を表す用語ではなく、近似を表す用語として使用され、一般的な当業者によって認識される測定値または計算値における固有の偏りを説明することを意図する。
【0027】
「包括」、「包括する」、「有する」、「含む」および/または「含める」という用語は、本明細書で使用される際、述べられた特徴、素子、および/または部品が存在することを示すが、1つ以上の他の特徴、要素、部品、および/またはそれらの組み合わせの存在または付加されることは排除されていないことも理解すべきである。また、リストされた特徴のリストの後に「…のうちの少なくとも1つ」などの表現が現れると、リストされた特徴の全体が修飾され、リスト内の個々の要素が修飾されない。さらに、本出願の実施形態を説明する場合、「…ことができる」を使用して「本出願の一つまたは複数の実施形態」を表す。さらに、「例示的」という用語は、一例または例示することを表すことを意図する。
【0028】
特に限定されない限り、本出願で使用されるすべての用語(工学用語および科学技術用語を含む)は、本出願の属する技術分野の一般的な当業者の通常の理解と同じ意味を持つ。本出願に明示的な説明がない限り、常用辞書で定義される用語は、それらの関連技術の文脈における意味と一致して解釈されるべきであり、理想化または過剰形式化された意味で解釈されてはならないことも理解されるべきである。
【0029】
なお、本出願の実施形態および実施形態のうちの特徴は、矛盾しない場合、互いに組み合わせてもよい。また、明示的に定義されていない限り、または文脈と矛盾していない限り、本明細書に記載されている方法に含まれる具体的なステップは、記載された順序に限定されるものではなく、任意の順序で実行または並列で実行されてもよい。以下、図面を参照しながら、実施形態に関連して本出願を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る光学フィルターの概略的な構造図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態に提供される光学フィルター5は、基板51と第1膜系52とを含み、基板51は背中合わせの上面と下面とを含む透明な基板であり、基板51の上面が第1面であり、下面が第2面であると、第1膜系52は基板51の第1面の外側に設けられる。第1膜系52は、高屈折率膜層と、低屈折率膜層と、マッチング膜層とを含む。
【0031】
例示的な実施形態において、基板51の形状は、例えばプリズムなどの他の光学構造を有し、基板51の入射面は、第1面と見なすことができ、出射面は第2面と見なすことができる。
【0032】
例示的な実施形態おいて、マッチング膜層の材料は、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物を含む(水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSixGe1-xNy:H)(0≦x≦1、0<y≦0.1)。例示的に、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式であるSixGe1-xNyにおいては、0≦x≦0.5、0<y<0.1(例えば窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSi0.5Ge0.5N0.05)となる。例示的に、0≦x≦0.3、0<y<0.1(窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSi0.1Ge0.9N0.02:H0.7)となる。例示的に、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式はSiN0.1:Hである。
【0033】
例示的な実施形態おいて、マッチング膜層の少なくとも一部の材料は非晶質窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物(α‐SixGe1-xNy)である。例示的に、非晶質窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の体積はそのマッチング膜層の体積の20%を占めている。マッチング膜層は分子層の蓄積によって形成されており、例示的に、マッチング膜層はいくつかの非晶質窒素ドープシリコンゲルマニウム混合層といくつかの単結晶窒素ドープシリコンゲルマニウム混合層を含み、ここで、すべての非晶質質窒素ドープシリコンゲルマニウム混合層の厚さの和とそのマッチング膜層の厚さとの比は16%から20%の間である。例示的に、マッチング膜層の材料には、多結晶窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物、微結晶窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物、およびナノ結晶窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物のうちの一つまたは複数を含む。そのマッチング膜層の光学定数は、大きな範囲での正確な設定に適しており、複雑な動作環境において、それを通過するp光とs光の状態を安定させ、その第1膜系のp光中心波長とs光中心波長との間のドリフトを小さくすることができる。
【0034】
例示的な実施形態においては、780nm~1200nmの波長範囲において、高屈折率膜層の屈折率が低屈折率膜層の屈折率より大きく、マッチング膜層の屈折率がその隣接する膜層の屈折率に等しくない。
【0035】
本出願の実施形態に提供される光学フィルターは、光学定数を精確に設定して、広い範囲内で特別に指定された光学特性を実現することができる。例えば、特定の帯域幅の狭帯域フィルターとなる。本出願に提供される光学フィルターは、光起電池において特定の光学バンドギャップの通過を実現するために使用されてもよく、または特定の波帯の光に対して高い吸収または高いカットオフを実現するためなどに使用されてもよい。
【0036】
例示的な実施形態において、780nm~1200nmの波長範囲に対応して、光学フィルター5は通過帯域を有し、光の入射角が0°から30°に変化する時に、その通過帯域の中心波長のドリフト量が16nm以下である。例示的に、光の入射角が0°から30°に変化する時に、その通過帯域の中心波長のドリフト量は13nm以下であり、例えば11nm以下である。中心波長のドリフト量を制御することにより、その通過帯域の帯域幅を高め、信号対雑音比を向上させることができる。
【0037】
例示的な実施形態において、光学フィルター5の通過帯域は、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長とを有し、光の入射角が30°の時に、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長との間のドリフト量が5nm以下である。例示的に、p光の中心波長とs光の中心波長との間のドリフト量は4.2nm以下である。p光の中心波長とs光の中心波長との間のドリフト量を制御することにより、その通過帯域の帯域幅を高め、その光学フィルターを使用するデバイスや回路がより高い設計マージンを持つようになる。
【0038】
例示的な実施形態において、光学フィルター5の通過帯域の平均透過率は93%以上である。例示的に、光学フィルター5の通過帯域の平均透過率は94%以上である。通過帯域の平均透過率を制御することにより、その光学フィルター5を透過する光の中の、通過帯域に対応する波帯の光の強さが高くなり、信号対雑音比を向上させることもできる。
【0039】
例示的な実施形態においては、780nm~1200nmの波長の範囲において、高屈折率膜層の屈折率が3より大きく、低屈折率膜層に対応する屈折率が3より小さく、マッチング膜層に対応する屈折率が1.7から4.5の間に位置する。例示的に、高屈折率膜層の屈折率が4より大きく、マッチング膜層の屈折率が3から4.5の間に位置し、低屈折率膜層の屈折率が3より小さい。例示的に、高屈折率膜層の屈折率が4.5であり、低屈折率膜層の屈折率が2.8であり、複数のマッチング膜層がそれぞれ異なる屈折率を有し、例えば、屈折率がそれぞれ3、3.5、4である。マッチング膜層の屈折率、高屈折率膜層の屈折率、及び低屈折率膜層の屈折率を制御して、光が各膜層を通過した後の状態を制御し、例えば、通過した後の状態におけるp光とs光の光学特性の差を小さくし、これにより、第1膜系52の特定の光学的特徴を実現する。
【0040】
例示的な実施形態において、マッチング膜層の屈折率が高屈折率膜層の屈折率より小さく、マッチング膜層の屈折率が低屈折率膜層の屈折率より大きい。
【0041】
例示的な実施形態において、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物が水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物であり、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の化学式がSixGe1-xNy:Hz であり、ただし、0≦x≦1、0<y≦0.1、z≦1となる。例示的に、SixGe1-xNy:Hzにおいて、0≦x≦0.5、0<y<0.1、z≦1となり、例えば、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム系材料の化学式がSi0.5Ge0.5N.05:H0.5である。
【0042】
例示的な実施形態において、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム系材料の化学式であるSixGe1-xNy:Hzにおいて、0≦x≦0.3、0<y<0.1、0.8<z≦1となる。例示的に、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム系材料の化学式はSi0.1Ge0.9N0.02:H0.7である。例示的に、水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム系材料の化学式はSiN0.1:Hであり、すなわち水素化窒素ドープシリコン系材料である。
【0043】
例示的な実施形態において、前記水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物の少なくとも一部は非晶質水素化窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物α‐SixGe1-xNy:Hzである。
【0044】
例示的な実施形態において、窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物は補助成分をさらに含み、補助成分が窒素、ホウ素またはリン素のうちの1つまたは複数を含み、補助成分の各原子数とシリコンの原子数との比が0.1より小さい。
【0045】
図2を参照して、条件式:a<0.1bが満たされると、より少量の窒素および補助成分を使用し、しかも狭い区間で変化することで、屈折率の調整が広範囲になれる。対応するマッチング膜層の物理化学性能が安定であることにより、広い範囲内で特別指定された光学特性を持つことができる。
【0046】
例示的な実施形態において、高屈折率膜層の材料はSiwGe1-w:Hvを含み、ここで、0≦w≦1、0≦v≦1となる。例示的に、wは0.2または0.37である。
【0047】
例示的な実施形態において、低屈折率膜層の材料は、SiO2、Si3N4、Ta2O5、Nb2O5、TiO2、Al2O3、SiCN、SiCのうちの1つまたは複数の混合物を含む。
【0048】
例示的な実施形態において、基板の材料はガラスを含む。具体的に、D263T、AF32、EagleXG、H‐ZPK5、H‐ZPK7などであることができる。
【0049】
例示的な実施形態において、基板は、第1面と背中合わせる第2面をさらに含む。光学フィルターは、基板の第2面の外側に設置された第2膜系を含む。第2膜系が長波通過膜系または広帯域通過膜系であり、第1膜系が狭帯域通過膜系である。第2膜系の通過帯域は第1膜系の通過帯域をカバーする。第2膜系を設けることにより、光学フィルター5は、光に対してより良い透過増やし効果およびカットオフ効果を有することができ、光学フィルター5を透過した光がより高い信号対雑音比を有する
【0050】
例示的な実施形態において、第1の膜系の厚さと第2膜系の厚さとの和は、15μmより小さいであり、例えば、12μmより小さいである。二つの膜系の厚さを制御することにより、p光に対応する中心波長とs光に対応する中心波長のオフセット量を小さくすることができ、製造コストを低減することができる。
【0051】
例示的な実施形態において、第2膜系は長波通過膜系であり、350nm~1200nmの波長範囲に対応しており、狭帯域通過膜系が通過帯域を有し、長波通過膜系が通過帯域とカットオフ帯域を有し、長波通過膜系の通過帯域が狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーする。長波通過膜系のカットオフ度は狭帯域通過膜系の対応する波帯のカットオフ度を下回らない。長波通過膜系のカットオフ度を制御することにより、この光学フィルター5のカットオフ度がより良くなり、対応する波帯の光の透過率が低くなり、この光学フィルター5を通過した光で形成される画像においてノイズ信号が弱い。
【0052】
例示的な実施形態において、第2膜系は広帯域通過膜系であり、780nm~1200nmの波長範囲に対応しており、狭帯域通過膜系が通過帯域を有し、広帯域通過膜系が通過帯域を有し、広帯域通過膜系の通過帯域は狭帯域通過膜系の通過帯域をカバーする。780nmより小さい波長範囲に対応して、広帯域通過膜系の平均カットオフ度は、狭帯域通過膜系の平均カットオフ度を下回らない。広帯域通過膜系のカットオフ度を制御することにより、この光学フィルター5のカットオフ度がより良くなり、対応する波帯の光の透過率が低くなり、この光学フィルター5を通過した光で形成される画像においてノイズ信号が弱い。
【0053】
例示的な実施形態において、基板から外れた方向に沿って、第1膜系の構造形式は、以下のような構造形式の中の一つである:(L3-L1-L3-L2)s-L3-L1、(L1-L3)2-(L2-L3-L1-L3)s-L1-L3、(L1-L3)s-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L1-L3)rL1、(L3-L1)s-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L3-L1)rL3-L1-(L2-(L1-L3)t-L1-L2)n、(L3-L1)s-(L3-L1)rL3-(L2-(L1-L3)p-L1-L2)q-(L3-L1)rL3-(L2-(L1-L3)t-L1-L2)n-(L3-L1)r。前記第1膜系の構造形式では、L1は高屈折率膜層を表し、L3は第1の低屈折率膜層を表し、L2はマッチング膜層を表し、p、q、r、sは括弧内の構造形式の繰り返し数を表し、p、q、r、sは0以上の整数である。
【0054】
以下、
図3~5に関連しながら、本出願に提供される3つの実施例を詳細に説明する。
【0055】
[実施例1]
本実施例の光学フィルター5は基板51を含み、基板51の第1面の外側にはスパッタコーティングで形成された第1膜系52が配置され、第1膜系52は、表1から提供される狭帯域通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は基板51に最も近い膜層である。基板51の第2面外側にはスパッタコーティングで形成された第2膜系53が配置され、第2膜系53は、表2から提供される長波通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は、基板51に最も近い膜層である。
図3を参照し、光の入射角が0°から30°に変わる時に、この光学フィルター5の通過帯域の中心波長のドリフト量は12nm以下である。
【0056】
本開示の表1は、狭帯域通過膜系を提供し、表1の中の同じ列の膜層の材質は同じである。表1において、シリアル番号1~22は、基板51から外れた方向に沿って第1膜系52の各膜層が積層される順序を示している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0057】
【0058】
この狭帯域通過膜系において、高屈折率膜層の材料はα‐Si:Hであり、低屈折率膜層の材料はSiO2であり、マッチング膜層の材料はα‐SiNy:Hzである。
【0059】
表2は、長波通過膜系を提供し、表2の中の同じ列の膜層の材質は同じである。表2において、シリアル番号1~27は、基板51から外れた方向に沿って第2膜系53の各膜層が積層される順序を示している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0060】
【0061】
この光学フィルター5は厚さが薄く、製作が容易であり、通過帯域の透過率が高く、この光学フィルター5を通過する光において必要な光の強度が高い。
【0062】
[実施例2]
本実施例に提供される光学フィルター5は基板51を含み、基板51の第1面の外側にはスパッタコーティングで形成された第1膜系52が配置され、基板51の第2面の外側には蒸発コーティングで形成された第2膜系53が配置され、第1膜系52は、表3から提供される狭帯域通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は基板51に最も近い膜層である。第2膜系53は、表4から提供される長波通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は、基板51に最も近い膜層である。
図4を参照し、光の入射角が0°から30°に変わる時に、この光学フィルター5の通過帯域の中心波長のドリフト量は13より小さいである。
【0063】
表3は、狭帯域通過膜系を提供し、表3において、シリアル番号1~23は、基板51から外れた方向に沿って第1膜系52の各膜層が積層される順序を示している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0064】
【0065】
この狭帯域通過膜系において、高屈折率膜層の材料はα‐Si:Hであり、低屈折率膜層の材料はSiO2であり、マッチング膜層の材料はα‐SiNy:Hzである。第11層はマッチング膜層であり、膜層とは概ね11層対称に設置されている。
【0066】
表4は、長波通過膜系を提供し、表4の中の同じ列の膜層の材質は同じである。表4において、シリアル番号1~47は、基板51から外れた方向に沿って第2膜系53の各膜層が積層される順序を表している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0067】
【0068】
この光学フィルター5は厚さが薄く、p光の中心波長とs光の中心波長の間のオフセットが小さく、カットオフ領域のカットオフ度が高い。
【0069】
[実施例3]
本実施例に提供される光学フィルター5は基板51を含み、基板51の第1面の外側にはスパッタコーティングで形成された第1膜系52が配置され、基板51の第2面の外側にはスパッタコーティングで形成された第2膜系53が配置され、第2膜系52は、表5から提供される狭帯域通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は基板51に最も近い膜層である。第2膜系53は、表6から提供される長波通過膜系を含むことができ、ここでの第1層は、基板51に最も近い膜層である。
図5を参照し、光の入射角が0°から30°に変わる時に、この光学フィルター5の通過帯域の中心波長のドリフト量は11nmより小さいである
【0070】
表5は、狭帯域通過膜系を提供し、表5において、シリアル番号1~30は、基板51から外れた方向に沿って第1膜系52の各膜層が積層される順序を示している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0071】
【0072】
この狭帯域通過膜系において、高屈折率膜層の材料はSiwGe1-w:Hzであり、低屈折率膜層の材料はSiO2であり、マッチング膜層の材料はα‐SiNy:Hzである。第5層から第28層までの構造形式は、(L2-L3-L1-L3)6である。
【0073】
表6は、長波通過膜系を提供し、シリアル番号1~35は、基板51から外れた方向に沿って第2膜系53の各膜層が積層される順序を表している。例えば、「1」は、上述した、基板51に最も近い膜層である第1層を表している。
【0074】
【0075】
この光学フィルター5の通過帯域の幅は狭く、通過帯域の中心波長のドリフト量は小さく、通過帯域の透過率は高い。
【0076】
しかしながら、当業者は、上記の実施例は単なる例であり、光学フィルター5の第1膜系52及び第2膜系53は他の膜層の構造を有してもよく、各実施例の第1膜系52または第2膜系53は他の例示的な実施例に適用されてもよいことを理解すべきである。また、光学フィルター5の第1面の外側および第2面の外側には、更にエアキャビティなどの他の透明層が配置られてもよい。
【0077】
本出願の実施形態はさらに、光学フィルターを製造する方法を提供し、この方法は、次のステップを含む。
【0078】
(1)堆積室内の対応する位置にコーティング物とターゲット材を放置し、コーティング層がマッチング膜層である時に、ターゲット材の材料がシリコン成分とゲルマニウム成分とを含み、堆積室内を真空引きし、蒸着室内の真空度は予め設定した値である。
【0079】
(2)堆積室内にアルゴンガスを導入し、アルゴンガスの流量は予め設定された値である
【0080】
(3)堆積室内に水素ガスおよび酸素ガスを導入し、水素ガスの流量は予め設定された値であり、酸素ガスの流量は60sccm未満であり、膜層はコーティング層の上に形成され、膜層の材料には前述の窒素ドープシリコンゲルマニウム混合物が含まれている。
【0081】
例示的な実施形態では、堆積室内の真空度は5×10-5torr未満であり、アルゴンガスの流量は10sccm~300sccmの間であり、水素ガスの流量は80sccm未満である。
【0082】
本発明の実施形態は、更に赤外線イメージセンサおよび前述の光学フィルター5を含む光学系を提供し、光学フィルター5は赤外線画像センサの感光側に配置される。
【0083】
図6を参照し、光学系は、赤外線(Infreard Radiation)光源2、第1レンズアセンブリ3、第2レンズアセンブリ4、光学フィルター5、および三次元センサ6を含む。赤外線光源2からの光は、第1レンズアセンブリ3を介して測定対象物1の表面に照射され、測定対象物1の表面から反射された光は、第2レンズアセンブリ4を介して光学フィルター5に照射され、環境光は光学フィルター5でカットオフされながら、赤外線または部分の赤色光は光学フィルター5を透過して三次元センサ6の感光側に照射されて、処理可能な画像データを形成する。光学フィルター5は、異なる方向の傾斜光線に対応してより低い中心波長のオフセットを有し、透過した赤外線の対雑音比が高くて、形成される画像の品質が良い。
【0084】
以上の説明は、本出願のより良い実施形態および運用される技術原理についての説明のみである。当業者は、本出願に係る保護範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせから成る技術的な態様に限定されるものではなく、上記技術的な概念から逸脱することなく、上記技術的特徴またはその等同な特徴による任意の組み合わせによって形成される他の技術的な態様、例えば、上記の特徴と、本出願に開示されている(ただし、これらに限定されない)類似の機能を有する技術的特徴とを相互に置換して形成される技術的な態様を包含してもよいことを理解すべきである。