IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特許7436518ニコチン組成物、その製造方法、およびそれを備えたエアロゾル発生物品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ニコチン組成物、その製造方法、およびそれを備えたエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20240214BHJP
【FI】
A24B15/167
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021568750
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065731
(87)【国際公開番号】W WO2020245431
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】19178554.2
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ビアジオリ マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ファリーヌ マリー
(72)【発明者】
【氏名】フラウエンドルファー フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】クク ジャゴダ
(72)【発明者】
【氏名】ラナスペーゼ セバスティエン
(72)【発明者】
【氏名】ローエンシュタイン シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ミヴェラ ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ラフォ クリステル
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ツィムーリス スティーヴ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129679(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0106144(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105455190(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/00~15/42
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン組成物であって、非水性溶媒、前記ニコチン組成物の重量に基づいて少なくとも0.2重量パーセントのニコチン、0.25を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比、および5x10-4を超える(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100対(ニコチン)の第二の重量比を含む、ニコチン組成物。
【請求項2】
前記第一の重量比が、0.5を超え、より好ましくは1を超え、なおより好ましくは1.5を超え、最も好ましくは2を超え、例えば、2~10または2~5である、請求項1に記載のニコチン組成物。
【請求項3】
前記第二の重量比が8x10-4~9x10-3である、請求項1または2のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項4】
前記ニコチン組成物が、前記ニコチン組成物の重量に基づいて0.4重量パーセント~3.6重量パーセントのニコチンを含む、請求項1~3のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項5】
第三の重量比をさらに含み、前記第三の重量比が、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600))の重量比であり、前記第三の重量比が1.5を超える、請求項1~4のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項6】
前記ニコチン組成物が、バーレー種たばこおよびブライトたばこに由来する、請求項1~5のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項7】
前記ブライトたばこが、オリエント葉たばこおよびフルキュアたばこのうちの一つ以上である、請求項6に記載のニコチン組成物。
【請求項8】
前記非水性溶媒が、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物である、請求項1~7のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項9】
酢酸、バニリン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、3-メチル-2,4-ノナンジオン、2-メトキシフェノール、2-フェニルエタノール、オイゲノール、およびソトロンのうちの一つ以上をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項10】
前記ニコチン組成物が、前記ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも300マイクログラムの酢酸を含む、請求項1~9のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項11】
前記ニコチン組成物の重量に基づいて、約80重量パーセント~約90重量パーセントの前記非水性溶媒および約10重量パーセント~約15重量パーセントの水を含む、請求項8に記載のニコチン組成物。
【請求項12】
前記ニコチン組成物が、液体ニコチン組成物である、請求項1~11のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項13】
前記ニコチン組成物が、ゲルニコチン組成物である、請求項1~11のいずれかに記載のニコチン組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のニコチン組成物を含むカートリッジ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれかに記載のニコチン組成物を調製する方法であって、
たばこ出発材料を摂氏100度~摂氏160度の抽出温度で少なくとも90分間加熱する工程と、
前記加熱する工程中に、前記たばこ出発材料から放出される揮発性化合物を収集する工程と、
前記収集された揮発性化合物を含む液体たばこ抽出物を形成する工程と、
前記液体たばこ抽出物から前記ニコチン組成物を形成する工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体ニコチン組成物などの液体組成物から吸入可能なエアロゾルを発生させるように構成された霧化器を備える、エアロゾルをユーザーに送達するためのエアロゾル発生システムが知られている。一部の公知のエアロゾル発生システムは、液体組成物を加熱し気化させてエアロゾルを発生させるように構成されている、電気ヒーターなどの熱霧化器を備える。一つの人気があるタイプの電気加熱式エアロゾル発生システムは電子たばこである。他の公知のエアロゾル発生システムは、例えば、衝突噴流、超音波、または振動メッシュ技術を使用して、液体組成物からエアロゾルを発生させるように構成された非熱霧化器を備える。
【0003】
ニコチン組成物は、ニコチンおよび他の揮発性風味化合物がたばこ材料から抽出され、適切な溶媒中に収集されて液体たばこ抽出物を形成する抽出プロセスによって生成され得る。
【0004】
たばこ材料から液体たばこ抽出物を生成するための方法が公知である。
【0005】
液体たばこ抽出物は、ニコチンおよび他の揮発性風味化合物がたばこ材料から抽出され、適切な溶媒中に収集されて天然液体たばこ抽出物を形成する高温抽出プロセスによって生成され得る。
【0006】
一例として、たばこ材料を数時間または数日間、水中で実質的に煮て蒸気相を形成し、蒸気相の凝縮によって得られた蒸留物をベッセル内に収集する、代替プロセスが公知である。経時的に、高比率の無極性化合物を含有する油状のワックス状の層が蒸留物の表面に蓄積する。
【0007】
ワックス状の層が上方に蓄積し、かつニコチンおよび他の水溶性化合物を含有する水性部分は、ボイラーへとリサイクルされる。抽出収率を増加するために、無極性共溶媒を水性部分とともにボイラーに随意に供給してもよい。もう一方で、ワックス状の相が収集され、一つのこうした水蒸留プロセスの一次産物を最終的に形成する。こうした産物はしばしば「たばこ精油」と呼ばれ、たばこ中に存在する無極性化合物(脂肪酸、ネオフィタジエン等)を高い比率で含有する。一つのこうした方法によって得られたたばこ精油は典型的に、ニコチンを含有しない。
【0008】
また、揮発性無極性溶媒の使用を伴う抽出プロセスに、たばこ材料を供することも公知である。適切な溶媒の例としては、環状または非環状の短いアルカンだけでなく、ジクロロメタンのような塩素系溶剤も挙げられる。一つのこうしたプロセスにおいて、過剰な溶媒は、真空下で制御された加熱によって蒸発させてもよい。これは典型的に、抽出溶媒よりも高い沸点を有するエタノールの存在下で行われ、これによって微量の抽出溶媒であっても検出することができる。
【0009】
一つのこうした溶媒支援抽出プロセスの一次産物はしばしば、「たばこアブソリュート」と呼ばれ、微量のエタノールを含有してもよい。これはワックス状の産物であり、特定の溶媒を用いて抽出することができる大半の無極性化合物の高度に濃縮された混合物を含有し、一般的にニコチンを含み、ニコチンは概して、比較的に高濃度で存在する。
【0010】
代替的な抽出プロセスは、たばこ材料を超臨界条件下の溶媒(超臨界二酸化炭素など)と接触させることを伴う。一つのこうしたプロセスは、米国特許公開第2013/160777号に開示されていて、超臨界流体と接触した供給材料内の揮発性物質は超臨界相に分割され得るという原理に依存する。任意の可溶性材料の溶解後、溶解した物質を含有する超臨界流体を除去することができ、供給物質の溶解した構成成分を超臨界流体から分離して取り出すことができる。超臨界抽出プロセスの一次産物は、より低い温度および圧力で実行される溶媒支援抽出プロセスの「たばこアブソリュート」と実質的に類似していて、残留溶媒を含有せず、高レベルのワックス状の無極性化合物を典型的に有し、またニコチンを含み、ニコチンは概して、比較的に高い濃度で存在する。
【0011】
別のタイプの抽出プロセスでは、たばこ成分を溶媒中に抽出するために、たばこ材料は、室温以下で、エアロゾル形成体などの適切な溶媒に数週間浸漬される。冷浸軟プロセスとしばしば呼ばれる一つのこうしたプロセスでは、たばこ材料は、最大数週間または数か月もの期間、抽出液中に懸濁液で保持される。結果として得られたスラリーはその後濾過され、それ故に収集された液相は、エアロゾル発生システムで使用する液体組成物を製造するために使用することができる。しかしながら、一つのこうしたプロセスにおいて、抽出条件(例えば、温度および圧力)を制御することは一般的に困難である。さらに、冷浸軟プロセスの一次産物を表す、スラリーの濾過時に収集された液相は、高度に希釈されていて、無極性たばこ風味種のレベルが少ない傾向がある。加えて、液相は典型的に、ニコチンをほとんどまたは全く含有しない。そのため、冷浸軟法によって得られた液体抽出物は一般に、エアロゾル発生システムで使用する前に、ニコチン塩およびグリセリンなどの追加成分で補充される必要がある。
【0012】
こうした公知の抽出プロセスによって得られた液体たばこ抽出物およびニコチン組成物は、低レベルのニコチンを有し得る。さらに、こうした抽出プロセスによって得られたニコチン組成物は、特に、フラネオールなどの加熱されたたばこの風味に関連する化合物に関して、低レベルおよび低種類の風味種を有し得る。こうした抽出プロセスによって得られたニコチン組成物はまた、望ましくない化合物のレベルが高い場合もある。概して、このような抽出プロセスによって得られるニコチン、風味種、および望ましくない化合物の濃度が、出発材料として使用される一つまたは複数のたばこのタイプによって著しく影響を受ける場合がある。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、公知のプロセスによって得られたニコチン組成物の一つ以上の欠点を緩和することである。新規かつ改善されたニコチン組成物を生成することが特に好ましい。
【0014】
本開示は、ニコチン組成物に関する。ニコチン組成物は、少なくとも0.2重量%のニコチンを含むことが好ましい。ニコチン組成物は、非水性溶媒を含むことが好ましい。ニコチン組成物は、0.25を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比を含むことが好ましい。ニコチン組成物は、5x10-4を超える(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比を含むことが好ましい。
【0015】
本開示はさらに、ニコチン組成物を含むカートリッジに関する。本開示はまた、たばこ出発材料を摂氏100度~摂氏160度の抽出温度で少なくとも90分間加熱する工程を含む方法によって調製されるニコチン組成物に関する。
【0016】
本発明によると、非水性溶媒、ニコチン組成物の重量に基づいて少なくとも0.2重量パーセントのニコチン、0.25を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比、および5x10-4を超える(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の第二の重量比を含む、ニコチン組成物が提供されている。
【0017】
非水性溶媒、ニコチン、0.25を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比、および5x10-4を超える(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100)対(ニコチン)の第二の重量比を含むニコチン組成物は、たばこ出発材料を摂氏100度~摂氏160度の抽出温度で少なくとも90分間加熱する工程と、加熱する工程中に、たばこ出発材料から放出される揮発性化合物を収集する工程と、収集された揮発性化合物を含む液体たばこ抽出物を形成する工程と、随意に、液体たばこ抽出物を乾燥および濃縮して濃縮たばこ抽出物を形成する工程と、液体たばこ抽出物または濃縮たばこ抽出物からニコチン組成物を形成する工程とを含む方法によって調製され得る。
【0018】
ニコチン組成物は、液体ニコチン組成物またはゲルニコチン組成物であってもよい。
【0019】
ニコチン組成物は、エアロゾル発生システムで使用するためのものであってもよい。こうしたエアロゾル発生システムでは、ニコチン組成物は、典型的には、エアロゾル発生装置内で加熱される。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、本発明のニコチン組成物と相互作用してエアロゾルを生成するヒーター要素を備える装置を指す。使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってニコチン組成物から放出され、エアロゾル発生装置を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これを消費者が吸い込む。
【0021】
ニコチン組成物の加熱に伴い、抽出プロセス中にたばこ出発材料から収集された揮発性化合物を含有するエアロゾルが放出される。
【0022】
ニコチン組成物は、非水性溶媒、水、ニコチン、および風味剤化合物を含み得る。
【0023】
発明者らは、上述の既存の抽出プロセスの生成物とは対照的に、本発明による液体たばこ抽出物は、加熱されたたばこの風味に関連する化合物の含有量が著しくより高いことを見いだした。これらの風味剤化合物は、典型的にニコチンもほとんどまたは全く含まない、浸軟プロセスによって得られたたばこ抽出物中に、実質的に存在しないか、または微量にしか存在しない。これらの風味剤化合物はまた概して、超臨界条件下を含む、溶媒を使用して得られたたばこ抽出物中にも存在しないか、または微量にしか存在しない。同様に、蒸留プロセスによって得られたたばこ精油もまた典型的に、加熱されたたばこの風味に関連するこうした風味剤化合物を、(含まれていたとしても)非常に低い含有量しか有しない。
【0024】
ニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントの非水性溶媒の総含有量を含み得る。ニコチン組成物は、好ましくは、約50重量パーセント~約95重量パーセント、例えば、約65重量パーセント~約95重量パーセント、より好ましくは約70重量パーセント~約90重量パーセント、最も好ましくは約80重量パーセント~約90重量パーセントの非水性溶媒の総含有量を含む。非水性溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0025】
当業者であれば、本明細書において、特定の成分の重量割合は、ニコチン組成物、液体たばこ抽出物、または濃縮たばこ抽出物に関して開示されており、重量割合は、それぞれのニコチン組成物、液体たばこ抽出物、または濃縮たばこ抽出物の総重量に対する、特定の成分の重量に基づくことを理解するであろう。
【0026】
ニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントのプロピレングリコールの総含有量を含み得る。ニコチン組成物は、約20重量パーセント~約95重量パーセント、例えば約50重量パーセント~約95重量パーセント、または約65重量パーセント~約95重量パーセント、約70重量パーセント~約90重量パーセント、または約80重量パーセント~約90重量パーセントのプロピレングリコールの総含有量を含み得る。
【0027】
ニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントのトリアセチンの総含有量を含み得る。ニコチン組成物は、約20重量パーセント~約95重量パーセント、例えば約50重量パーセント~約95重量パーセント、約70重量パーセント~約90重量パーセント、または約65重量パーセント~約95重量パーセント、または約80重量パーセント~約90重量パーセントのトリアセチンの総含有量を含み得る。
【0028】
ニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントのグリセリンの総含有量を含み得る。ニコチン組成物は、約20重量パーセント~約95重量パーセント、例えば約50重量パーセント~約95重量パーセント、または約65重量パーセント~約95重量パーセント、約70重量パーセント~約90重量パーセント、または約80重量パーセント~約90重量パーセントのグリセリンの総含有量を含み得る。
【0029】
ニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントの1,3-プロパンジオールの総含有量を含み得る。ニコチン組成物は、約20重量パーセント~約95重量パーセント、例えば約50重量パーセント~約95重量パーセント、または約65重量パーセント~約95重量パーセント、または約80重量パーセント~約90重量パーセントの1,3-プロパンジオールの総含有量を含み得る。
【0030】
本発明のニコチン組成物は、少なくとも0.2重量パーセントのニコチンを含む。ニコチン組成物中のニコチン含有量は、少なくとも約0.4重量パーセントであることがより好ましい。ニコチン組成物は、約12重量パーセント以下、例えば約10重量パーセント以下、好ましくは約8重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、好ましくは約3.6重量パーセント以下のニコチン含有量を有し得る。最も好ましくは、ニコチン組成物は、ニコチン組成物の重量に基づいて、約0.4重量パーセント~3.6重量パーセントのニコチンを含む。
【0031】
ニコチン組成物は、1重量パーセント~85重量パーセントの水を含んでもよい。ニコチン組成物は、2重量パーセント~50重量パーセントの水を含んでもよい。ニコチン組成物は、3重量パーセント~30重量パーセントの水を含んでもよい。ニコチン組成物は、5重量パーセント~25重量パーセントの水を含んでもよい。ニコチン組成物は、8重量パーセント~20重量パーセントの水を含んでもよい。ニコチン組成物は、10重量パーセント~15重量パーセントの水を含むことが好ましい。
【0032】
一部の実施形態では、ニコチン組成物は、一つ以上の水溶性有機酸を含んでもよい。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「水溶性有機酸」という用語は、20℃で約500mg/ml以上の水溶性を有する有機酸を表す。
【0033】
一つ以上の水溶性有機酸は、有利なことに、一つまたは複数のニコチン塩の形成により液体たばこ抽出物中のニコチンに結合し得る。一つ以上のニコチン塩は、有利なことに、液体たばこ抽出物中または非水性溶媒中に存在する水中に溶解され、安定化され得る。これは、有利なことに、上気道内でのニコチン吸着を減少させ、肺ニコチン送達および保持を増強し得る。
【0034】
ニコチン組成物が一つ以上の水溶性カルボン酸を含むことがより好ましい。好適な水溶性カルボン酸には、酢酸、クエン酸、乳酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、およびピルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。ニコチン組成物が乳酸を含むことが最も好ましい。
【0035】
ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約2重量パーセント以上であることが好ましい。ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約3重量パーセント以上であることがより好ましい。
【0036】
水溶性有機酸は、酢酸であってもよい。抽出プロセスに由来する酢酸は、ニコチン組成物中に存在してもよく、または酢酸は、抽出プロセス後に添加されてもよい。追加の酢酸は、抽出プロセス後に添加される酢酸である。
【0037】
酢酸が液体たばこ抽出物に添加されてニコチン組成物を形成する場合、抽出プロセスに由来する酢酸と追加の酢酸の両方を含む、ニコチン組成物中の酢酸の総含有量は、好ましくは約0.01重量パーセント~約8重量パーセント、例えば約0.03重量パーセント~約8重量パーセント、約0.3重量パーセント~約8重量パーセント、約2重量パーセント~約8重量パーセント、または約3重量パーセント~約8重量パーセントである。より好ましくは、酢酸の総含有量は、約0.01重量パーセント~約6重量パーセント、例えば約0.03重量パーセント~約6重量パーセント、約0.3重量パーセント~約6重量パーセント、約2重量パーセント~約6重量パーセント、または約3重量パーセント~約6重量パーセントである。
【0038】
ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約8重量パーセント以下であることが好ましい。ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約6重量パーセント以下であることがより好ましい。
【0039】
ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約2重量パーセント~約8重量パーセントであることが好ましい。例えば、ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約2重量パーセント~約6重量パーセントであってもよい。
【0040】
ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約3重量パーセント~約8重量パーセントであることがより好ましい。例えば、ニコチン組成物の水溶性有機酸含有量は、約3重量パーセント~約6重量パーセントであってもよい。
【0041】
ニコチン組成物は、一つ以上の非たばこ由来風味剤を含んでもよい。好適な非たばこ由来風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
ニコチン組成物は、約4重量パーセント以下の非たばこ由来風味剤含有量を有することが好ましい。ニコチン組成物は、約3重量パーセント以下の非たばこ由来風味剤含有量を有することがより好ましい。
【0043】
ニコチン組成物がガスクロマトグラフィーで分析され、液体の含有量が決定される。ニコチン組成物内の各化合物の重量は、ニコチン組成物1グラム当たりのマイクログラムとして報告され得る。次いで、本明細書に記載のニコチン組成物内の化合物の重量比が計算され得る。
【0044】
本発明のニコチン組成物において、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比は0.25を超える。上記の比は、望ましい風味剤化合物β-イオノンおよびβ-ダマセノンの量が高い場合、またはフェノールの量が低い場合には高くなる。
【0045】
好ましくは、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比は、0.5を超え、より好ましくは1を超え、なおより好ましくは1.5を超え、最も好ましくは2を超え、例えば、2~10または2~5である。
【0046】
フラネオールおよび2,3-ジエチル-5-メチルピラジンは、本発明のニコチン組成物に含有される望ましい風味化合物である。例えば、フラネオールは、たばこ植物材料の本来備わっている還元糖含有量を他のたばこ植物成分で熱処理することに由来する望ましい化合物である。ブライト種たばこは典型的には、バーレー種たばこよりもはるかに高い還元糖含有量(最大25重量%)を有する。
【0047】
本発明のニコチン組成物において、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の第二の重量比は、5x10-4を超える。こうした比は、良好な感覚プロファイルを提供する。好ましくは、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の第二の重量比は、8x10-4~9x10-3、または1x10-3~5x10-3である。
【0048】
本発明のニコチン組成物は、1.5を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600))の重量比を有し得る。
【0049】
上記の比は、望ましい風味剤化合物β-イオノンおよびβ-ダマセノンの量が高い場合、またはTSNAおよび2-フランメタノールの量が低い場合には高くなる。
【0050】
(β-イオノン+β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600))の重量比は、0.2を超える、例えば0.5を超える、例えば1~10または約1.5~約6であってもよい。好ましくは、重量比は、約2~約4である。
【0051】
ニコチン組成物は、その多くが風味剤である、天然たばこに直接由来する他の望ましい化合物を含んでもよい。ニコチン組成物は、酢酸、バニリン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、3-メチル-2,4-ノナンジオン、2-メトキシフェノール、2-フェニルエタノール、オイゲノール、およびソトロンのうちの一つ以上を含み得る。
【0052】
ニコチン組成物はβ-イオノンを含む。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムのβ-イオノン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムのβ-イオノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムのβ-イオノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.400マイクログラムのβ-イオノンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムのβ-イオノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.600マイクログラムのβ-イオノン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムのβ-イオノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.800マイクログラムのβ-イオノンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.9マイクログラムのβ-イオノン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.00マイクログラムのβ-イオノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.10マイクログラムのβ-イオノン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.20マイクログラムのβ-イオノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.30マイクログラムのβ-イオノンを含む。(β-イオノン)対(フェノール)の重量比は、0.150を超え、例えば0.200を超え、好ましくは0.400を超え、より好ましくは0.600を超え、最も好ましくは0.800を超え、例えば、1.20を超えてもよい。(β-イオノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.300を超え、例えば0.500を超え、好ましくは0.750を超え、より好ましくは1.00を超え、最も好ましくは1.20を超え、例えば、1.80を超えてもよい。
【0053】
ニコチン組成物はβ-ダマセノンを含む。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムのβ-ダマセノン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.350マイクログラムのβ-ダマセノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.600マイクログラムのβ-ダマセノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.850マイクログラムのβ-ダマセノンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.10マイクログラムのβ-ダマセノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.35マイクログラムのβ-ダマセノン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.60マイクログラムのβ-ダマセノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.85マイクログラムのβ-ダマセノンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.10マイクログラムのβ-ダマセノン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.35マイクログラムのβ-ダマセノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.60マイクログラムのβ-ダマセノン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.75マイクログラムのβ-ダマセノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.90マイクログラムのβ-ダマセノンを含む。(β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は、0.250を超え、例えば0.300を超え、好ましくは0.700を超え、より好ましくは1.00を超え、最も好ましくは1.30を超え、例えば、1.60を超えてもよい。(β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.300を超え、例えば0.700を超え、好ましくは1.00を超え、より好ましくは1.50を超え、最も好ましくは2.20を超え、例えば、2.70を超えてもよい。
【0054】
(β-イオノン+β-ダマセノン)対(ニコチン)の重量比は、5.00x10-5を超え、例えば1.00x10-4を超え、好ましくは2.00x10-4を超え、より好ましくは4.00x10-4を超え、最も好ましくは6.00x10-4を超え、例えば、7.00x10-4を超えてもよい。
【0055】
ニコチン組成物はフラネオールを含む。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0100マイクログラムのフラネオール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムのフラネオール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムのフラネオール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムのフラネオールを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムのフラネオール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.900マイクログラムのフラネオール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.10マイクログラムのフラネオール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.30マイクログラムのフラネオールを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.50マイクログラムのフラネオール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.80マイクログラムのフラネオール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.00マイクログラムのフラネオール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.20マイクログラムのフラネオール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.40マイクログラムのフラネオールを含む。(フラネオール)対(フェノール)の重量比は、0.400を超え、例えば0.600を超え、好ましくは0.800を超え、より好ましくは1.00を超え、最も好ましくは1.10を超え、例えば、1.30を超えてもよい。(フラネオール)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.600を超え、例えば0.800を超え、好ましくは1.00を超え、より好ましくは1.50を超え、最も好ましくは2.00を超え、例えば、2.10を超えてもよい。
【0056】
ニコチン組成物は2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを含む。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00×10-3マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00×10-3マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00×10-3マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.50×10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.50x10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.50x10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00x10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも7.50x10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00x10-2マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.400マイクログラムの2,3-ジエチル-5-メチルピラジンを含む。(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)対(フェノール)の重量比は、0.0200を超え、例えば0.0300を超え、好ましくは0.300を超え、より好ましくは0.400を超え、最も好ましくは0.500を超え、例えば、0.600を超えてもよい。(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.0300を超え、例えば0.0400を超え、好ましくは0.100を超え、より好ましくは0.500を超え、最も好ましくは0.800を超え、例えば、0.900を超えてもよい。
【0057】
ニコチン組成物は酢酸を含み得る。好ましくは、酢酸は抽出プロセスに由来するが、本明細書に前述するように、抽出プロセスの後に追加の酢酸が添加されてもよい。酢酸は、発生されるエアロゾルを滑らかにして刺激を低減する望ましい化合物である。
【0058】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも300マイクログラムの酢酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも500マイクログラムの酢酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも700マイクログラムの酢酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも900マイクログラムの酢酸を含み得る。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1200マイクログラムの酢酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1500マイクログラムの酢酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2000マイクログラムの酢酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2500マイクログラムの酢酸を含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3000マイクログラムの酢酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3500マイクログラムの酢酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも4000マイクログラムの酢酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも4500マイクログラムの酢酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5000マイクログラムの酢酸を含む。(酢酸)対(フェノール)の重量比は、1500を超え、例えば2000を超え、好ましくは2500を超え、より好ましくは3000を超え、最も好ましくは3100を超え、例えば、5000を超えてもよい。(酢酸)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、2100を超え、例えば2800を超え、好ましくは3000を超え、より好ましくは4000を超え、最も好ましくは5500を超え、例えば、7500を超えてもよい。
【0059】
ニコチン組成物はバニリンを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00x10-2マイクログラムのバニリン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00x10-2マイクログラムのバニリン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも7.00x10-2マイクログラムのバニリン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00x10-2マイクログラムのバニリンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムのバニリン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムのバニリン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムのバニリン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.400マイクログラムのバニリンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムのバニリン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.600マイクログラムのバニリン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムのバニリン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.800マイクログラムのバニリン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.900マイクログラムのバニリンを含む。(バニリン)対(フェノール)の重量比は、1500を超え、例えば2000を超え、好ましくは2500を超え、より好ましくは3000を超え、最も好ましくは3100を超え、例えば、5000を超えてもよい。(バニリン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.110を超え、例えば0.150を超え、好ましくは0.160を超え、より好ましくは0.200を超え、最も好ましくは0.300を超え、例えば、0.500を超えてもよい。
【0060】
ニコチン組成物は2-エチル-3,5-ジメチルピラジンを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0800マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.900マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジンを含む。特に好ましい実施形態では、 ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.10マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.30マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.50マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.70マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.90マイクログラムの2-エチル-3,5-ジメチルピラジンを含む。(2-エチル-3,5-ジメチルピラジン)対(フェノール)の重量比は、0.100を超え、例えば0.400を超え、好ましくは1.00を超え、より好ましくは1.50を超え、最も好ましくは2.00を超え、例えば、2.50を超えてもよい。(2-エチル-3,5-ジメチルピラジン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.500を超え、例えば0.750を超え、好ましくは1.00を超え、より好ましくは2.00を超え、最も好ましくは3.00を超え、例えば、3.50を超えてもよい。
【0061】
ニコチン組成物は2-メチルブタン酸を含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00マイクログラムの2-メチルブタン酸を含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも6.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも7.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも8.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの2-メチルブタン酸を含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00マイクログラムの2-メチルブタン酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも10.0マイクログラムの2-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも12.0マイクログラムの2-メチルブタン酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも14.0マイクログラムの2-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも15.0マイクログラムの2-メチルブタン酸を含む。(2-メチルブタン酸)対(フェノール)の重量比は、7.00を超え、例えば9.00を超え、好ましくは15.0を超え、より好ましくは17.0を超え、最も好ましくは20.0を超え、例えば、21.0を超えてもよい。(2-メチルブタン酸)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、12.0を超え、例えば17.0を超え、好ましくは20.0を超え、より好ましくは25.0を超え、最も好ましくは30.0を超え、例えば、32.0を超えてもよい。
【0062】
ニコチン組成物は3-メチルブタン酸を含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.00マイクログラムの3-メチルブタン酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00マイクログラムの3-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも4.00マイクログラムの3-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00マイクログラムの3-メチルブタン酸を含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも6.00マイクログラムの3-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも8.00マイクログラムの3-メチルブタン酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも10.0マイクログラムの3-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの3-メチルブタン酸を含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも15.0マイクログラムの3-メチルブタン酸、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも20.0マイクログラムの3-メチルブタン酸、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも25.0マイクログラムの3-メチルブタン酸、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも30.0マイクログラムの3-メチルブタン酸、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも35.0マイクログラムの3-メチルブタン酸を含む。(3-メチルブタン酸)対(フェノール)の重量比は、11.0を超え、例えば15.0を超え、好ましくは20.0を超え、より好ましくは30.0を超え、最も好ましくは50.0を超え、例えば、51.0を超えてもよい。(3-メチルブタン酸)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、18.0を超え、例えば40.0を超え、好ましくは50.0を超え、より好ましくは60.0を超え、最も好ましくは65.0を超え、例えば、70.0を超えてもよい。
【0063】
ニコチン組成物は3-メチル-2,4-ノナンジオンを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも6.00x10-3マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも8.00x10-3マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00x10-3マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0100マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0300マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0500マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0700マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0900マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.150マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.250マイクログラムの3-メチル-2,4-ノナンジオンを含む。(3-メチル-2,4-ノナンジオン)対(フェノール)の重量比は、0.100を超え、例えば0.125を超え、好ましくは0.150を超え、より好ましくは0.250を超え、最も好ましくは0.225を超え、例えば、0.250を超えてもよい。(3-メチル-2,4-ノナンジオン)対4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.035を超え、例えば0.040を超え、好ましくは0.080を超え、より好ましくは0.090を超え、最も好ましくは0.100を超え、例えば、0.130を超えてもよい。
【0064】
ニコチン組成物は2-メトキシフェノールを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.150マイクログラムの2-メトキシフェノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムの2-メトキシフェノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムの2-メトキシフェノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.600マイクログラムの2-メトキシフェノールを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムの2-メトキシフェノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.800マイクログラムの2-メトキシフェノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.900マイクログラムの2-メトキシフェノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの2-メトキシフェノールを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.00マイクログラムの2-メトキシフェノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.50マイクログラムの2-メトキシフェノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.00マイクログラムの2-メトキシフェノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも2.50マイクログラムの2-メトキシフェノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00マイクログラムの2-メトキシフェノールを含む。(2-メトキシフェノール)対(フェノール)の重量比は、0.0900を超え、例えば1.00を超え、好ましくは1.50を超え、より好ましくは2.00を超え、最も好ましくは3.00を超え、例えば、4.50を超えてもよい。(2-メトキシフェノール)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、1.40を超え、例えばを超え、好ましくは1.80を超え、より好ましくは2.00を超え、最も好ましくは3.00を超え、例えば、6.00を超えてもよい。
【0065】
ニコチン組成物は2-フェニルエタノールを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも1.50マイクログラムの2-フェニルエタノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00マイクログラムの2-フェニルエタノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00マイクログラムの2-フェニルエタノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも7.00マイクログラムの2-フェニルエタノールを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00マイクログラムの2-フェニルエタノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも10.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも11.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムの2-フェニルエタノールを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも13.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも15.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも16.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも17.0マイクログラムの2-フェニルエタノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも18.0マイクログラムの2-フェニルエタノールを含む。(2-フェニルエタノール)対(フェノール)の重量比は、3.00を超え、例えば5.00を超え、好ましくは8.00を超え、より好ましくは9.00を超え、最も好ましくは10.0を超え、例えば、25.0を超えてもよい。(2-フェニルエタノール)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、10.0を超え、例えば13.0を超え、好ましくは14.0を超え、より好ましくは15.0を超え、最も好ましくは17.0を超え、例えば、35.0を超えてもよい。
【0066】
ニコチン組成物はオイゲノールを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0600マイクログラムのオイゲノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0650マイクログラムのオイゲノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0700マイクログラムのオイゲノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0800マイクログラムのオイゲノールを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0900マイクログラムのオイゲノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.100マイクログラムのオイゲノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.200マイクログラムのオイゲノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムのオイゲノールを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.300マイクログラムのオイゲノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.400マイクログラムのオイゲノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.500マイクログラムのオイゲノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.600マイクログラムのオイゲノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.700マイクログラムのオイゲノールを含む。(オイゲノール)対(フェノール)の重量比は、0.100を超え、例えば0.0500を超え、好ましくは0.150を超え、より好ましくは0.250を超え、最も好ましくは0.300を超え、例えば、1.20を超えてもよい。(オイゲノール)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.0200を超え、例えば0.0250を超え、好ましくは0.0300を超え、より好ましくは0.500を超え、最も好ましくは0.550を超え、例えば、1.50を超えてもよい。
【0067】
ニコチン組成物はソトロンを含み得る。ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも3.00x10-3マイクログラムのソトロン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも5.00x10-3マイクログラムのソトロン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも7.00x10-3マイクログラムのソトロン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも9.00x10-3マイクログラムのソトロンを含んでもよい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0100マイクログラムのソトロン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0200マイクログラムのソトロン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0300マイクログラムのソトロン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくともマイクログラムのソトロンを含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0400マイクログラムのソトロン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0500マイクログラムのソトロン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0600マイクログラムのソトロン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0700マイクログラムのソトロン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり少なくとも0.0800マイクログラムのソトロンを含む。(ソトロン)対(フェノール)の重量比は、0.0200を超え、例えば0.0400を超え、好ましくは0.150を超え、より好ましくは0.0450を超え、最も好ましくは0.0500を超え、例えば、0.0510を超えてもよい。(ソトロン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600)の重量比は、0.0300を超え、例えば0.0400を超え、好ましくは0.0500を超え、より好ましくは0.0600を超え、最も好ましくは0.0700を超え、例えば、0.0750を超えてもよい。
【0068】
フェノール、TSNA、NNK、NAT、NABおよびNNN、ならびに2-フランメタノールとは別に、ニコチン組成物に存在し得るが、本明細書に記載の抽出方法によって最小化される他の望ましくない化合物としては、ホルムアルデヒド(糖由来)およびアセトアルデヒド、フェノール化合物(カテコール、m-クレゾール、o-クレゾールおよびp-クレゾールなど)、および窒素含有化合物(アンモニア、アセトアミド、ピリジン、3-アミノビフェニル、4-アミノビフェニルおよびo‐トルディン(o-toludine)など)が挙げられる。
【0069】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大12.0マイクログラムのフェノール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大10.0マイクログラムのフェノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大8.00マイクログラムのフェノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大6.00マイクログラムのフェノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大4.00マイクログラムのフェノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大2.00マイクログラムのフェノールを含んでもよい。
【0070】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大0.045マイクログラムの4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大0.040マイクログラムのNNK、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.035マイクログラムのNNK、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.030マイクログラムのNNK、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.025マイクログラムのNNK、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.020マイクログラムのNNKを含んでもよい。
【0071】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大2.00マイクログラムの(R,S)-N-ニトロソアナタビン(NAT)、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのNAT、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.50マイクログラムのNAT、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.00マイクログラムのNAT、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.500マイクログラムのNAT、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.300マイクログラムのNATを含んでもよい。
【0072】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1.60マイクログラムの(R,S)-N-ニトロソアナバシン(NAB)、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのNAB、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.20マイクログラムのNAB、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.500マイクログラムのNAB、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.300マイクログラムのNAB、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.200マイクログラムのNABを含んでもよい。
【0073】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1.60マイクログラムのN-ニトロソノルニコチン(NNN)、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのNNN、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.20マイクログラムのNNN、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.500マイクログラムのNNN、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.300マイクログラムのNNN、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.200マイクログラムのNNNを含んでもよい。
【0074】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1500マイクログラムの2-フランメタノール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムの2-フランメタノール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1200マイクログラムの2-フランメタノール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1000マイクログラムの2-フランメタノール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大900マイクログラムの2-フランメタノール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大700マイクログラムの2-フランメタノールを含んでもよい。
【0075】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大60マイクログラムのホルムアルデヒド、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのホルムアルデヒド、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大50マイクログラムのホルムアルデヒド、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大40マイクログラムのホルムアルデヒド、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大30マイクログラムのホルムアルデヒド、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大20マイクログラムのホルムアルデヒドを含んでもよい。
【0076】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大60マイクログラムのアセトアルデヒド、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのアセトアルデヒド、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大55マイクログラムのアセトアルデヒド、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大45マイクログラムのアセトアルデヒド、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大35マイクログラムのアセトアルデヒド、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大30マイクログラムのアセトアルデヒドを含んでもよい。
【0077】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大5.00マイクログラムのカテコール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大マイクログラムのカテコール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大4.00マイクログラムのカテコール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大3.00マイクログラムのカテコール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大2.00マイクログラムのカテコール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.00マイクログラムのカテコールを含んでもよい。
【0078】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1.00マイクログラムのヒドロキノン、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大0.950マイクログラムのヒドロキノン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.900マイクログラムのヒドロキノン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.850マイクログラムのヒドロキノン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.800マイクログラムのヒドロキノン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.700マイクログラムのヒドロキノンを含んでもよい。
【0079】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1.30マイクログラムのm-クレゾール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大1.20マイクログラムのm-クレゾール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.00マイクログラムのm-クレゾール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.800マイクログラムのm-クレゾール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.600マイクログラムのm-クレゾール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.500マイクログラムのm-クレゾールを含んでもよい。
【0080】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大1.60マイクログラムのo-クレゾール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大1.30マイクログラムのo-クレゾール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.10マイクログラムのo-クレゾール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.800マイクログラムのo-クレゾール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.600マイクログラムのo-クレゾール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.400マイクログラムのo-クレゾールを含んでもよい。
【0081】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大2.10マイクログラムのp-クレゾール、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大1.50マイクログラムのp-クレゾール、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.20マイクログラムのp-クレゾール、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大1.00マイクログラムのp-クレゾール、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.900マイクログラムのp-クレゾール、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大0.700マイクログラムのp-クレゾールを含んでもよい。
【0082】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大350マイクログラムのアンモニア、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大300マイクログラムのアンモニア、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大275マイクログラムのアンモニア、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大250マイクログラムのアンモニア、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大200マイクログラムのアンモニア、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大175マイクログラムのアンモニアを含んでもよい。
【0083】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大250マイクログラムのアアセトアミド、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大225マイクログラムのアセトアミド、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大200マイクログラムのアセトアミド、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大150マイクログラムのアセトアミド、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大100マイクログラムのアセトアミド、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大70マイクログラムのアセトアミドを含んでもよい。
【0084】
ニコチン組成物は、ニコチン組成物1グラム当たり最大45マイクログラムのピリジン、例えばニコチン組成物1グラム当たり最大35マイクログラムのピリジン、好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大25マイクログラムのピリジン、より好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大20マイクログラムのピリジン、なおより好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大15マイクログラムのピリジン、最も好ましくはニコチン組成物1グラム当たり最大10マイクログラムのピリジンを含んでもよい。
【0085】
ニコチン組成物は、単一のタイプの天然たばこからなるたばこ出発材料からの液体たばこ抽出物から生成され得る。たばこ出発材料は、二つ以上のタイプの天然たばこのブレンドを含んでもよい。別の方法として、ニコチン組成物は、第一の抽出物を形成するために抽出される第一の単一のタイプの天然たばこからなる第一のたばこ出発材料、および第二の抽出物を形成するために抽出される第二の単一のタイプの天然たばこからなる第二のたばこ出発材料から生成されるブレンドからの液体たばこ抽出物から生成されてもよく、第一の抽出物および第二の抽出物がブレンドされて液体たばこ抽出物が形成される。二つ以上の抽出物を、この様態でブレンドして、液体たばこ抽出物を形成してもよい。異なるたばこのタイプの比は、ニコチン組成物から発生されるエアロゾルの所望の特徴に応じて適合され得る。例えば、比較的高レベルのニコチンを提供することが所望される場合、バーレー種たばこの割合は増加し得る。
【0086】
ニコチン組成物は、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物であってもよく、液体たばこ抽出物は、非水性溶媒、水、ニコチン、および風味剤化合物を含む。液体たばこ抽出物は、有利なことに、電子たばこまたは他のエアロゾル発生システムで使用するためのニコチン組成物を提供するのに直接使用され得る。ニコチン組成物は、追加のニコチンの添加なしに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物であってもよい。ニコチン組成物は、追加の風味化合物の添加なしに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物であってもよい。ニコチン組成物は、追加の非水性溶媒の添加なしに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物であってもよい。ニコチン組成物は、追加の水の添加なしに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物であってもよい。
【0087】
例えば、抽出プロセスによって生成される液体たばこ抽出物を使用して、ニコチンの添加を必要とせずに、1ミリリットル当たり10~20mgのニコチンを含むニコチン組成物を作製し得る。「液体たばこ抽出物」という用語は、たばこ材料からの抽出プロセスの直接産物を説明する。それ故に、液体たばこ抽出物は典型的に、たばこ抽出処理条件および技法を使用して、天然たばこ材料から分離された、天然たばこ材料から除去された、または天然たばこ材料に由来する天然構成成分の混合物を含む。それ故に、一つのこうしたプロセスにおいて、抽出されたたばこ構成成分は、天然たばこ材料から除去され、また抽出されていないたばこ構成成分から分離される。したがって、液体たばこ抽出物は、たばこ出発材料に由来し、抽出プロセス中に抽出または形成された天然たばこ構成成分の混合物から成り、典型的には、たばこ出発材料以外の一つ以上の材料、例えば抽出プロセス中に使用される抽出溶媒などと組み合わせられる。抽出溶媒は、エアロゾル形成体であることが好ましい。
【0088】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつ好ましくはエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置の動作温度にて熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を指す。適切なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0089】
ニコチン組成物は、追加のニコチンを添加した抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物を含んでもよい。本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中のニコチン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中のニコチン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中のニコチン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0090】
ニコチン組成物は、追加の非水性溶媒を添加した抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物を含んでもよい。本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中の非水性抽出溶媒含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中の非水性抽出溶媒含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中の非水性抽出溶媒含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0091】
ニコチン組成物は、追加の水を添加した抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物を含んでもよい。本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中の含水量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中の含水量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中の含水量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中のニコチン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて100重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0092】
ニコチン組成物は、追加の風味剤化合物を添加した抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物を含んでもよい。本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中の所望のたばこ風味種含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中の所望の風味種含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。より好ましくは、ニコチン組成物中の所望の風味種含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中の所望の風味種含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて100重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0093】
一例として、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。より好ましくは、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて100重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0094】
別の例としては、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。より好ましくは、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。なおより好ましくは、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて100重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、液体たばこ抽出物から得られる。
【0095】
ニコチン組成物は、さらに処理された、特に濃縮された液体たばこ抽出物を含み得る。好ましくは、ニコチン組成物は、本明細書に記載の乾燥工程などの乾燥工程で液体たばこ抽出物を乾燥させることによって得られる、濃縮液体たばこ抽出物である。前述の追加の非水性溶媒、水、ニコチン、および風味剤化合物を、液体たばこ抽出物または濃縮たばこ抽出物に添加して、ニコチン組成物を形成してもよい。
【0096】
一例として、本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得られる。さらにより好ましくは、ニコチン組成物中のフラネオール含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得られる。
【0097】
別の例としては、本発明によるニコチン組成物において、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得ることができる。好ましい実施形態では、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも80重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得られる。さらにより好ましくは、ニコチン組成物中の2,3-ジエチル-5-メチルピラジン含有量の、ニコチン組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントは、抽出後に添加されるのではなく、たばこ抽出物から得られる。
【0098】
ニコチン組成物は、液体たばこ抽出物から生成されることが好ましい。液体たばこ抽出物は、望ましい化合物と望ましくない化合物の著しく改善されたバランスを有する、改善された液体たばこ抽出物、したがって改善されたニコチン組成物を有利なことに提供する、具体的に定められた加熱持続時間と組み合わせた、特定の範囲内の抽出温度による抽出方法を使用して生成されることが好ましい。特に、抽出方法は、たばこ出発材料にとって望ましくない化合物に対して最大化された比率の望ましい化合物を有する、液体たばこ抽出物およびニコチン組成物を提供する。例えば、定義された通りの抽出温度および時間の特定の組み合わせの使用は、ニコチン化合物および風味剤化合物のレベルを最適化することを可能にする一方で、フラン、フェノールおよびフェノール化合物、およびたばこ特異的ニトロソアミン(TSNA)などの望ましくない化合物のレベルを最小化する。
【0099】
それ故に、一つのこうした方法によって得られた液体たばこ抽出物およびニコチン組成物は、既存の抽出プロセスによって得られたたばこ抽出物およびニコチン組成物に関して著しい組成差を示し、また加熱された時に、現在利用可能なeリキッドと比較して別個の組成物および風味特性を有するエアロゾルを発生するeリキッドとして、またはeリキッドの調製のために使用することができる。特に、本発明による方法によって得られる液体たばこ抽出物およびニコチン組成物は、既存の液体ニコチン組成物から生成される利用可能なエアロゾルと比較して、従来の紙巻たばこによって、または加熱非燃焼式装置内のたばこの加熱に伴い発生したエアロゾルにより厳密に似ている加熱されたたばこの味覚を提供するエアロゾルを発生するために使用されてもよい。
【0100】
ニコチン組成物は、液体ニコチン組成物またはゲルニコチン組成物であってもよい。
【0101】
ニコチン組成物は、液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0102】
ニコチン組成物は、少なくとも約10重量パーセントの液体たばこ抽出物を含んでもよい。好ましくは、ニコチン組成物は、少なくとも約20重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。より好ましくは、ニコチン組成物は、少なくとも約30重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、少なくとも約40重量パーセントの液体たばこ抽出物、より好ましくは少なくとも約50重量パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは少なくとも約60重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、少なくとも約65重量パーセントの液体たばこ抽出物、より好ましくは少なくとも約70重量パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは少なくとも約75重量パーセントの液体たばこ抽出物、最も好ましくは少なくとも約80重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。
【0103】
一部の実施形態では、ニコチン組成物は、液体たばこ抽出物を含んでもよく、液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物である。濃縮たばこ抽出物は、本明細書に記載の乾燥工程などの乾燥工程で濃縮された液体たばこ抽出物である。ニコチン組成物は、少なくとも約10重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、少なくとも約20重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、少なくとも約30重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、少なくとも約40重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、少なくとも約50重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、好ましくは少なくとも約60重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、より好ましくは少なくとも約70重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、なおより好ましくは少なくとも約75重量パーセントの濃縮たばこ抽出物、最も好ましくは少なくとも約80重量パーセントの濃縮たばこ抽出物を含み得る。
【0104】
一部の実施形態では、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。より好ましくは、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。なおより好ましくは、ニコチン組成物は、約50重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。最も好ましくは、ニコチン組成物は、約60重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。一部の特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、約70重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは約80重量パーセント~約95重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物であってもよい。
【0105】
一部の実施形態では、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。より好ましくは、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。なおより好ましくは、ニコチン組成物は、約50重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。最も好ましくは、ニコチン組成物は、約60重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。一部の特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、約70重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは約80重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物であってもよい。
【0106】
一部の実施形態では、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約85重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。より好ましくは、ニコチン組成物は、約40重量パーセント~約85重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。なおより好ましくは、ニコチン組成物は、約85重量パーセント~約90重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。最も好ましくは、ニコチン組成物は、約60重量パーセント~約85重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。一部の特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、約70重量パーセント~約85重量パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは約80重量パーセント~約85重量パーセントの液体たばこ抽出物を含む。液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物であってもよい。
【0107】
ニコチン組成物は、最大約100重量パーセントの液体たばこ抽出物を含んでもよい。一部の実施形態では、ニコチン組成物は、追加の非水性溶媒、風味剤、またはニコチンの添加を必要とせずに、液体たばこ抽出物から直接形成され得る。つまり、ニコチン組成物は、100重量パーセントの液体たばこ抽出物を含んでもよい。一部の実施形態では、液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物であり、ニコチン組成物が100重量パーセントの濃縮たばこ抽出物を含み得る。ニコチン組成物が、100重量パーセントの液体たばこ抽出物または100重量パーセントの濃縮たばこ抽出物を含む実施形態では、追加の非水性溶媒は存在しない。
【0108】
別の方法として、一部の実施形態では、液体たばこ抽出物を含むニコチン組成物は、追加の非水性溶媒を含んでもよい。追加の非水性溶媒は、抽出工程後に添加された非水性溶媒である。追加の非水性溶媒は、液体たばこ抽出物中に存在する非水性抽出溶媒を補足する溶媒である。液体たばこ抽出物が濃縮たばこ抽出物である実施形態では、濃縮たばこ抽出物を含むニコチン組成物は、追加の非水性溶媒を含んでもよい。ニコチン組成物中の非水性溶媒の総含有量は、上述したように、非水性抽出溶媒、および存在する場合には追加の非水性溶媒を含む。
【0109】
追加の非水性溶媒は、エアロゾル形成体であってもよい。追加の非水性溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0110】
ニコチン組成物が追加の非水性溶媒を含む実施形態では、ニコチン組成物は、90重量パーセント以下の追加の非水性溶媒を含み得る。ニコチン組成物は、80重量パーセント以下の追加の非水性溶媒を含むことが好ましい。ニコチン組成物は、70重量パーセント以下の追加の非水性溶媒を含むことがより好ましい。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、約60重量パーセント以下の追加の非水性溶媒、より好ましくは約50重量パーセント以下の追加の非水性溶媒、なおより好ましくは約40重量パーセント以下の追加の非水性溶媒を含む。特に好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、約35重量パーセント以下の追加の非水性溶媒、より好ましくは約30重量パーセント以下の追加の非水性溶媒、なおより好ましくは約25重量パーセント以下の追加の非水性溶媒、最も好ましくは約20重量パーセント以下の液体たばこ抽出物を含む。
【0111】
一つの例示的な実施形態では、ニコチン組成物は、84重量パーセントのプロピレングリコール、12.5重量パーセントの水、1.2重量パーセントのニコチン、0.5重量パーセントの酢酸、および本明細書に記載の抽出プロセスに由来する望ましい風味剤化合物を含む、1.8重量パーセントの他の成分のバランスを含む濃縮たばこ抽出物である。
【0112】
一つの例示的な実施形態では、ニコチン組成物は、80重量パーセントの濃縮たばこ抽出物と、20重量パーセントの追加の非水性溶媒とを含む。この例示的な実施形態ではニコチン組成物は、追加の非水性溶媒として20重量パーセントのグリセリンと、80重量パーセントの濃縮たばこ抽出物とを含み、濃縮たばこ抽出物は、84重量パーセントのプロピレングリコール、12.5重量パーセントの水、1.2重量パーセントのニコチン、0.5重量パーセントの酢酸、および本明細書に記載の抽出プロセスに由来する望ましい風味剤化合物を含む、1.8重量パーセントの他の成分のバランスを含む。したがって、この例示的な実施形態のニコチン組成物は、20重量パーセントのグリセリン、67.2重量パーセントのプロピレングリコール、10重量パーセントの水、0.96重量パーセントのニコチン、0.4重量パーセントの酢酸、および明細書に記載の抽出プロセスに由来する望ましい風味剤化合物を含む、1.44重量パーセントの他の成分のバランスを含む。この組成物は、87.2重量パーセントの非水性溶媒の総含有量を含み、非水性溶媒は、グリセリンおよびプロピレングリコールを含む。
【0113】
ニコチン組成物は、ゲルニコチン組成物であってもよい。ニコチンは皮膚を刺激する可能性があるため、室温でゲル内にニコチンを閉じ込めることによって可能性のあるニコチンの漏れを防ぐことが望ましい。こうしたゲルは、例えば、WO2018/019543A1に記載されている。
【0114】
有利なことに、ゲルニコチン組成物は熱可逆性ゲルを含む。これは、ゲルが溶解温度に加熱された時に流体になり、ゲル化温度で再びゲルになることを意味する。ゲル化温度は、室温以上であり、かつ大気圧以上であることが好ましい。大気圧は1気圧の圧力を意味する。溶融温度は、ゲル化温度より高いことが好ましい。ゲルの溶解温度は、摂氏50度または摂氏60度または摂氏70度より高いことが好ましく、摂氏80度より高いことがより好ましい。この文脈において溶融温度は、ゲルがもはや固体ではなくなり、流れ始める温度を意味する。
【0115】
ゲルニコチン組成物は、適切なゲル化剤を含み得る。ゲルニコチン組成物は、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、またはジェランガムを含むことが好ましい。ゲルニコチン組成物は、寒天を含むことが最も好ましい。ゲルニコチン組成物は、約0.5重量パーセント~約5重量パーセントのゲル化剤を含むことが好ましく、約0.8重量パーセント~約1重量パーセントのゲル化剤を含むことがより好ましい。
【0116】
ゲルニコチン組成物は、液体たばこ抽出物を含み得る。好ましくは、ゲルニコチン組成物は、約50パーセント~約99.5パーセントの液体たばこ抽出物、より好ましくは約60パーセント~約99.5パーセントの液体たばこ抽出物、なおより好ましくは約70パーセント~約99.5パーセントの液体たばこ抽出物、最も好ましくは約80パーセント~約99.5パーセントの液体たばこ抽出物を含む。
【0117】
液体たばこ抽出物は、ゲルニコチン組成物が濃縮たばこ抽出物を含み得るように、濃縮たばこ抽出物であってもよい。好ましくは、ゲルニコチン組成物は、約50パーセント~約99.5パーセントの濃縮たばこ抽出物、より好ましくは約60パーセント~約99.5パーセントの濃縮たばこ抽出物、なおより好ましくは約70パーセント~約99.5パーセントの濃縮たばこ抽出物、最も好ましくは約80パーセント~約99.5パーセントの濃縮たばこ抽出物を含む。
【0118】
ゲルニコチン組成物は、追加の非水性溶媒を含み得る。好ましくは、ゲルニコチン組成物は、約5パーセント~約49.5パーセント、より好ましくは約10パーセント~約40パーセント、なおより好ましくは約15パーセント~約30パーセント、最も好ましくは約20パーセント~約30パーセントの追加の非水性溶媒を含む。追加の非水性溶媒は、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0119】
ゲルニコチン組成物中の非水性溶媒の総含有量は、非水性抽出溶媒、および存在する場合には追加の非水性溶媒を含む。ゲルニコチン組成物は、約10重量パーセント~約95重量パーセントの非水性溶媒の総含有量を含み得る。ゲルニコチン組成物は、好ましくは、約50重量パーセント~約95重量パーセント、例えば、約65重量パーセント~約95重量パーセント、より好ましくは約70重量パーセント~約90重量パーセント、最も好ましくは約80重量パーセント~約90重量パーセントの非水性溶媒の総含有量を含む。非水性溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0120】
ゲルニコチン組成物は、1重量パーセント~85重量パーセントの水を含んでもよい。ゲルニコチン組成物は、2重量パーセント~50重量パーセントの水を含んでもよい。ゲルニコチン組成物は、3重量パーセント~30重量パーセントの水を含み得ることが好ましい。ゲルニコチン組成物は、8重量パーセント~20重量パーセントの水を含んでもよい。ゲルニコチン組成物は、10重量パーセント~15重量パーセントの水を含んでもよい。
【0121】
ゲルニコチン組成物は、少なくとも0.2重量パーセントのニコチンを含む。ゲルニコチン組成物中のニコチン含有量は、少なくとも約0.4重量パーセントであることがより好ましい。ゲルニコチン組成物は、約12重量パーセント以下、例えば約10重量パーセント以下、好ましくは約8重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、好ましくは約3.6重量パーセント以下のニコチン含有量を有し得る。最も好ましくは、ゲルニコチン組成物は、約0.4重量パーセント~3.6重量パーセントのニコチンを含む。
【0122】
一つの例示的な実施形態では、ゲルニコチン組成物は、80重量パーセントの液体たばこ抽出物、19重量パーセントの追加の非水性溶媒、および1パーセントの寒天を含む。この例示的な実施形態では、ニコチン組成物は、追加の非水性溶媒として19重量パーセントのグリセリン、および80重量パーセントの液体たばこ抽出物を含み、液体たばこ抽出物は、59重量パーセントのグリセリン、37.5重量パーセントの水、1.2重量パーセントのニコチン、0.5重量パーセントの酢酸、および本明細書に記載の抽出プロセスに由来する望ましい風味剤化合物を含む、1.8重量パーセントの他の成分のバランスを含む。したがって、本例示的実施形態のニコチン組成物は、66.2重量パーセントのグリセリン、30重量パーセントの水、0.96重量パーセントのニコチン、0.4重量パーセントの酢酸、1パーセントの寒天、および本明細書に記載の抽出プロセスに由来する望ましい風味剤化合物を含む、1.44重量パーセントの他の成分のバランスを含む。
【0123】
本発明によるニコチン組成物は、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ内に提供されてもよい。カートリッジは、ニコチン組成物からエアロゾルを発生させるように構成された霧化器を備えてもよい。霧化器は、ニコチン組成物を加熱してエアロゾルを発生するように構成された熱霧化器であってもよい。熱霧化器は、例えばヒーターと、ニコチン組成物をヒーターに移動するように構成された液体搬送要素とを備えてもよい。液体搬送要素は毛細管芯を備えてもよい。別の方法として、霧化器は、加熱以外の手段によってニコチン組成物からエアロゾルを発生するように構成されている非熱霧化器であってもよい。例えば、非熱霧化器は、衝突噴流霧化器、超音波霧化器、または振動メッシュ霧化器であってもよい。
【0124】
ニコチン組成物を含むカートリッジは、カートリッジの少なくとも一部分を受容するように構成されたハウジングを含む、任意の適切なエアロゾル発生装置と併せて使用されてもよい。エアロゾル発生装置は、電池および制御電子機器を備えてもよい。
【0125】
ニコチン組成物は、エアロゾル発生システムで使用するための、本明細書に記載のゲルニコチン組成物または液体ニコチン組成物であってもよい。
【0126】
ニコチン組成物、ならびにニコチン組成物から生成され消費者に送達される、結果として得られるエアロゾルの特徴を、抽出プロセスのパラメータの制御を介して調整することが可能である。
【0127】
本発明によれば、たばこ出発材料を摂氏100度~摂氏160度の抽出温度で少なくとも90分間加熱する工程と、加熱する工程中に、たばこ出発材料から放出される揮発性化合物を収集する工程と、収集された揮発性化合物を含む液体たばこ抽出物を形成する工程と、液体たばこ抽出物からニコチン組成物を形成する工程とを含む方法によって調製される、非水性溶媒、ニコチン、および0.25を超える(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の第一の重量比、および5x10-4を超える(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100)対(ニコチン)の第二の重量比を含むニコチン組成物が提供されている。
【0128】
上で論じたように、ニコチン組成物は、単一のタイプの天然たばこからなるたばこ出発材料からの液体たばこ抽出物から生成され得る。たばこ出発材料は、二つ以上のタイプの天然たばこのブレンドを含んでもよい。別の方法として、ニコチン組成物は、第一の抽出物を形成するために抽出される第一の単一のタイプの天然たばこからなる第一のたばこ出発材料、および第二の抽出物を形成するために抽出される第二の単一のタイプの天然たばこからなる第二のたばこ出発材料から生成されるブレンドからの液体たばこ抽出物から生成されてもよく、第一の抽出物および第二の抽出物がブレンドされて液体たばこ抽出物が形成される。二つ以上の抽出物を、この様態でブレンドして、液体たばこ抽出物を形成してもよい。異なるたばこのタイプの比は、ニコチン組成物から発生されるエアロゾルの所望の特徴に応じて適合され得る。例えば、比較的高レベルのニコチンを提供することが所望される場合、バーレー種たばこの割合は増加し得る。
【0129】
「天然たばこ」という用語は本明細書において、本発明に関連して、葉、中肋、茎および葉柄を含むがこれらに限定されない、ニコチアナ属の任意の植物メンバーの任意の部分を説明するために使用される。特に、天然たばこは、フルキュアたばこ材料、バーレー種たばこ材料、オリエント葉たばこ材料、メリーランド種たばこ材料、ダークたばこ材料、ダークファイヤードたばこ材料、ルスティカ種たばこ材料、ならびに他の稀なたばこまたは特殊たばこ由来の材料、またはこれらのブレンドを含んでもよい。以下でより詳細に説明する通り、たばこ材料は、そのままのもの(例えば、そのままのたばこの葉)、細断したもの、切断したもの、または粉に挽いたものであってもよい。
【0130】
二つ以上の異なるたばこのタイプの組み合わせからニコチン組成物を生成して液体たばこ抽出物を形成することが所望される場合、たばこのタイプは、摂氏100度~摂氏160度の定義された範囲内で異なる抽出温度で別々に加熱されてもよく、またはたばこのタイプの混合物は、その範囲内で単一の抽出温度で一緒に加熱されてもよい。
【0131】
たばこ出発材料は、粉末、葉のスクラップもしくは断片、または無傷の葉などの固体のたばこ材料であってもよい。別の方法として、たばこ出発材料は、ドウ、ゲル、スラリー、または懸濁液などの液体たばこ材料であってもよい。
【0132】
たばこ出発材料は、たばこ葉、たばこ茎、再構成たばこ、キャストたばこ、押出成形たばこ、またはたばこ由来ペレットを含むがこれらに限定されない、任意の適切なたばこ材料に由来してもよい。
【0133】
たばこ出発材料を調製する工程において、たばこは、たばこ出発材料内のたばこ粒子のサイズを減少させるために粉砕または切断されることが好ましい。これは有利なことに、たばこ出発材料の加熱の均質性、および抽出の効率を改善する場合がある。
【0134】
たばこ出発材料は、たばこ出発材料の含水量を減少させるために、加熱する工程の前に随意に乾燥してもよい。たばこ出発材料の乾燥は、任意の適切な化学的または物理的乾燥プロセスによって実行されてもよい。別の方法として、たばこ出発材料の含水量を増加させるために、加熱する工程の前にたばこ出発材料に水を添加してもよい。
【0135】
たばこ出発材料を調製する工程は、たばこ出発材料をエアロゾル形成体で含浸させる工程を含み得る。たばこ出発材料のこの含浸が、加熱する工程の前に実行される場合、これは有利なことに、加熱に伴いたばこ出発材料から放出される特定の望ましいたばこ化合物の量を増加させる場合がある。例えば、たばこ出発材料のグリセリンを用いた含浸は有利なことに、たばこ出発材料から抽出されるニコチンの量を増加させることが分かっている。別の実施例において、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-プロパンジオール、トリアセチン、またはそれらの混合物などのエアロゾル形成体でもある非水性抽出溶媒を用いたたばこ出発材料の含浸は有利なことに、たばこ出発材料から抽出される風味化合物の量を増加させることが分かっている。
【0136】
天然たばこ材料を調製する工程において、たばこは、たばこのpHを変化させるように適合されたいかなる処理にも供されないことが好ましい。特に、天然たばこ材料を調製する工程において、たばこは、たばこのpHを著しく増加させるために適合されたいかなる処理にも供されない。例えば、天然たばこ材料は、アルカリまたはアルカリ土類金属の塩を含有する水溶液とは接触されない。有利なことに、たばこ材料をより少ししか修正されていない状態に維持することは、消費者によって認識される場合がある、より真正な、またはより自然な風味プロファイルを提供する場合があることが分かっている。さらに、抽出プロセスの一部としてたばこ材料を加熱する前に、アルカリ処理などのたばこのpHを増加させるよう適合された処理に天然たばこ材料を供することが、液体たばこ抽出物中の所望の加熱されたたばこ風味化合物のレベルの低下につながることを発明者らは見いだした。一例として、天然たばこ材料をアルカリ処理に供しないことは、相当するアルカリ処理天然たばこ材料と比較して、液体たばこ抽出物中の(β-イオノン+β-ダマセノン)と(フェノール)との重量比の著しい増加との関連付けられることが分かっている。
【0137】
好ましい実施形態では、たばこ出発材料は天然たばこからなる。このように、たばこ出発材料の含水量は、約11重量パーセント(通常、天然たばこ材料に見られる含水量)であり得る。
【0138】
他の実施形態では、たばこ出発材料は、例えば、非水性溶媒もしくは添加水またはその両方などの、一つ以上の追加成分を含んでもよい。適切な溶媒の例としては、プロピレングリコールが挙げられる。
【0139】
したがって、たばこ出発材料は、少なくとも約40重量パーセントの天然たばこ材料、または少なくとも約60重量パーセントの天然たばこ材料、または少なくとも約80重量パーセントの天然たばこ材料、または少なくとも約90重量パーセントの天然たばこ材料、または少なくとも約95重量パーセントの天然たばこ材料を含み得る。
【0140】
一部の実施形態では、たばこ出発材料の含水量は、約3重量パーセント~約60重量パーセント、より好ましくは約3重量パーセント~約20重量パーセント、なおより好ましくは約3重量パーセント~約12重量パーセントであり得る。他の実施形態では、たばこ出発材料の含水量は、約5重量パーセント~約60重量パーセント、より好ましくは約5重量パーセント~約20重量パーセント、なおより好ましくは約5重量パーセント~約12重量パーセントであり得る。さらなる実施形態では、たばこ出発材料の含水量は、約8重量パーセント~約60重量パーセント、より好ましくは約8重量パーセント~約20重量パーセント、なおより好ましくは約8重量パーセント~約12重量パーセントであり得る。
【0141】
一部の実施形態では、非水性溶媒含有量は、少なくとも約5重量パーセント、または少なくとも約10重量パーセント、または少なくとも約15重量パーセント、または少なくとも約20重量パーセント、または少なくとも約25重量パーセント、または少なくとも約30重量パーセント、または少なくとも約35重量パーセント、または少なくとも約40重量パーセントであってもよい。
【0142】
随意に、たばこ出発材料は、加熱する工程の前に酵素的に消化されてもよい。これは、たばこ出発材料からの特定の風味化合物の収率の著しい増加を提供することが分かっている。
【0143】
たばこ出発材料は、組成物、例えば、アルカロイドの還元糖の含有量を決定するために、加熱する工程の前に随意に分析されてもよい。組成物に関するこの情報は、適切な抽出温度を選択するために有用に使用され得る。
【0144】
抽出温度および加熱の持続時間は、たばこのタイプ、たばこ出発材料の他の可能性のある成分、ニコチンの所望のレベル、または液体たばこ抽出物から形成されたニコチン組成物の所望の組成物などの因子に応じて、上記に定義された範囲内で選択され得る。抽出温度と時間の組み合わせを制御することによって、液体たばこ抽出物は、ニコチン組成物から発生されるエアロゾルの所望の特性に応じて、調整されることができる。特に、ニコチン組成物内の特定のたばこ化合物の比率は、液体たばこ抽出物およびニコチン組成物内の望ましいたばこ化合物と望ましくないたばこ化合物との比を最大化するために、抽出パラメータの選択を通して、ある程度調整されることができる。
【0145】
特定のたばこ化合物の場合、抽出プロセス中の抽出温度を有する化合物の放出のレベルの変動は、任意の所与のたばこ出発材料について容易に決定することができる。例えば、たばこ出発材料から放出されるニコチンのレベルは、抽出温度の上昇と共に典型的には増加することが明らかにされている。増加率は、異なるたばこのタイプによって変化することが分かっている。
【0146】
また、たばこ材料から放出されるβ-ダマセノンおよびβ-イオノンなどの望ましいたばこ風味化合物のレベルが、ある特定のピーク抽出温度までの抽出温度の上昇とともに増加し、その後これらのレベルが減少し始めることが見いだされた。こうした風味化合物のピーク抽出温度は、抽出方法において望ましい風味化合物のレベルが効果的に最適化されることができるように、典型的には、摂氏100度~摂氏160度の範囲内である。
【0147】
たばこ成分を溶媒中に抽出するために、たばこ材料を、室温以下で、エアロゾル形成体などの適切な液体溶媒に数週間浸漬する方法では、典型的には、本発明の組成物の含有量よりもはるかに低い成分含有量が得られる。たばこ材料が、室温以下でエアロゾル形成体などの適切な溶媒に浸漬される抽出プロセスは、たばこ中には存在しないが、メイラード反応が起こった後に熱によって発生される化合物を発生しない。メイラード反応が起こった後に熱によって発生される一つのこうした化合物は、フラネオールである。フラネオールは、たばこ植物材料の本来備わっている還元糖含有量を他のたばこ植物成分で熱処理することに由来する。
【0148】
ブライトたばこは、典型的には、バーレー種たばこよりもはるかに高い還元糖含有量(最大25重量%)を有し、ブライトたばこの加熱に伴い放出されるフラネオールの量は、抽出温度に応じて著しく変化し、抽出温度と放出されたフラネオールのレベルとの間には直接的な相関があることが見いだされる。本明細書に記載されるように、こうした風味化合物のピーク抽出温度は、典型的には、抽出方法においてこうした望ましい風味化合物のレベルが効果的に最適化されることができるように、摂氏100度~摂氏160度の範囲内である。
【0149】
数多くの望ましくないたばこ化合物は、閾値温度までの抽出温度の上昇とともにゆっくりと増加することが見いだされていて、それを超えると急速な増加が観察される。これは、例えば、フェノール、他のフェノール化合物、およびTSNAのレベルに当てはまり、ブライトたばこの場合において、フランおよびホルムアルデヒドのレベルに当てはまる。多くの場合、閾値温度は、摂氏100度~摂氏160度の範囲内であり、したがって、望ましくない化合物のレベルは、抽出方法において効果的に制御され得る。
【0150】
特定のたばこのタイプについて、抽出中に放出されるTSNAなどの特定の望ましくない窒素化合物のレベルが抽出温度に依存することが本発明の発明者らによって見いだされた。ブライトたばこについて、窒素化合物の含有量は典型的には非常に低く、抽出温度の上昇は、抽出プロセス中に放出されるTSNAの量にほとんど影響しない。一方、バーレー種たばこは、典型的には窒素化合物の含有量がはるかに高く、加熱に伴い放出されるTSNAの量は、抽出温度に応じて著しく変化し、抽出温度と放出されるTSNAのレベルとの間に直接的な相関があることが見いだされる。
【0151】
また、特定のたばこのタイプについて、抽出中に放出される特定の望ましくないフランである2-フランメタノールのレベルが抽出温度に依存することも本発明の発明者らによって見いだされた。バーレー種たばこについて、還元糖含有量は、典型的には非常に低く(2重量%未満)、抽出温度の上昇は、抽出プロセス中に放出される2-フランメタノールのレベルにほとんど影響を与えない。一方、ブライトたばこは、典型的には、はるかに高い還元糖含有量(最大25重量%)を有し、加熱に伴い放出される2-フランメタノールの量は、抽出温度に応じて著しく変化し、抽出温度と放出された2-フランメタノールのレベルとの間に直接的な相関があることが見いだされる。抽出温度の上昇による、ブライトたばこから放出される2-フランメタノールのレベルの増加の程度は、各たばこのタイプごとに異なり得る。
【0152】
本明細書に記載されるように、抽出プロセスにおける加熱する工程中、たばこ出発材料を摂氏約100度~摂氏約160度の抽出温度に加熱する。たばこ出発材料がこの範囲を超える温度に加熱された場合、結果として得られる組成物では、β-イオノンおよびβ-ダマセノンに対するフェノールの重量はずっと高く、より低いβ-イオノンおよびβ-ダマセノン対フェノールの重量比がもたらされる。
【0153】
4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、(R,S)-N-ニトロソアナタビン(NAT)、(R,S)‐N-ニトロソアナバシン(NAB)およびN-ニトロソノルニコチン(NNN)は、TSNAである。本明細書に記載するように、こうした望ましくない化合物は、比較的高い量で、バーレー種たばこなどの窒素化合物が高いたばこに由来し、加熱に伴い放出されるTSNAの量は、抽出温度に応じて著しく変化し、抽出温度と放出されるTSNAのレベルとの間に直接的な相関があることが見いだされる。
【0154】
本明細書に記載するように、2-フランメタノールは、比較的高い量で、ブライトたばこなどの還元糖含有量が高いたばこに由来し、加熱に伴い放出される2-フランメタノールの量は、抽出温度に応じて著しく変化し、抽出温度と放出される2-フランメタノールのレベルとの間に直接的な相関があることが見いだされる。
【0155】
本明細書に記載されるように、抽出プロセスにおける加熱する工程中、たばこ出発材料を摂氏約100度~摂氏約160度の抽出温度に加熱する。たばこ出発材料がこの範囲を超えて加熱される場合、結果として得られる組成物において、β-イオノンおよびβ-ダマセノンの重量に対するTSNAおよび2-フランメタノールの重量ははるかに高く、より低い(β-イオノン+β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン(NAB)およびN-ニトロソノルニコチン(NNN)+(2-フランメタノール)/600)の重量比がもたらされる。
【0156】
ニコチンは、典型的には、ブライトたばこと比較して、バーレー種たばこから生成される抽出物においてより高い重量割合で存在するが、TSNAなどの特定の望ましくない窒素化合物は、典型的には、ブライトたばこと比較して、より高い割合でバーレー種たばこに由来する。フラネオールなどの特定の望ましい風味剤化合物は、還元糖に由来し、典型的には、ブライトたばこの還元糖がより高いために、バーレー種たばこに比較して、ブライトたばこにおいて高い量で存在するが、2-フランメタノールなどの特定の望ましくない化合物もまた、還元糖に由来し、典型的には、バーレー種たばこと比較して、ブライトたばこにおいて高い量で存在する。したがって、本発明のニコチン組成物は、異なるたばこのタイプのブレンドから生成されることが好ましい。ニコチン組成物は、バーレー種たばこおよびブライトたばこに由来することが好ましい。ブライトたばこは、オリエント葉たばこおよびフルキュアたばこのうちの一つ以上であり得る。
【0157】
加熱する工程中、たばこ出発材料を摂氏約100度~摂氏約160度の抽出温度に加熱する。この範囲を下回ると、不十分な濃度のニコチンおよびある特定の風味化合物がたばこ出発材料から放出され、これによって結果として得られた液体たばこ抽出物は所望の風味特性を欠く。その一方で、たばこ出発材料がこの定義された範囲を上回る温度に加熱される場合、許容できないほど高いレベルの、フェノール、TSNAおよび2-フランメタノールなどの特定の望ましくないたばこ化合物が放出される可能性がある。
【0158】
抽出温度は少なくとも摂氏約110度であることが好ましく、少なくとも摂氏約115度であることがより好ましく、少なくとも摂氏約120度であることがより好ましく、少なくとも摂氏約125度であることがより好ましい。
【0159】
抽出温度は、摂氏約150度以下であることが好ましく、摂氏約145度以下であることがより好ましく、摂氏約140度以下であることがより好ましく、摂氏約135度以下であることが最も好ましい。
【0160】
例えば、抽出温度は、摂氏約110度~摂氏150度、または摂氏約120度~摂氏約140度、または摂氏約125度~摂氏約135度、または摂氏約130度であってもよい。摂氏約130度の抽出温度は、液体たばこ抽出物中の望ましい化合物と望ましくない化合物との特に最適化された比を提供することが見いだされた。
【0161】
たばこ出発材料は、抽出温度にて、少なくとも約30分、または少なくとも約60分、または少なくとも約90分、より好ましくは少なくとも約120分の間加熱される。この抽出時間は、所望のたばこ風味化合物を効率的に抽出して、所望の風味特性を有するエアロゾルを生成することができるニコチン組成物を提供することができるほどに十分に長い。
【0162】
たばこ出発材料は、抽出温度にて、好ましくは約270分以下、より好ましくは約180分以下の間加熱される。
【0163】
例えば、たばこ出発材料は、約90分~約270分、または約120分~約180分の間加熱されてもよい。
【0164】
上記に示した加熱時間は、たばこ出発材料が抽出温度にて加熱される時間の持続時間に対応し、たばこ出発材料の温度を抽出温度まで上昇させるのにかかる時間を含まない。
【0165】
一般に、天然たばこ材料の加熱に伴い、天然たばこ材料中に存在する任意の水分も、蒸気の形態の揮発性種とともに放出される。
【0166】
加熱する工程は、不活性雰囲気中で実行されることが好ましい。例えば、天然たばこ材料は、不活性気体の流れの中で、または不活性気体と水または蒸気との組み合わせの流れの中で加熱されてもよい。窒素などの不活性気体の流れは、加熱する工程中にたばこ出発材料を通過することが好ましい。代替として、加熱する工程は、真空下で実行されてもよい。
【0167】
発明者らは、揮発性たばこ化合物が加熱する工程中に不活性気体の流れ中に放出され、その結果、不活性気体が揮発性成分の担体として作用するため、不活性雰囲気中で天然たばこ材料を加熱することが有利であることを見いだした。不活性気体の流れは、天然たばこ材料の水分含有量の蒸発によって発生した蒸気、および抽出設備からの揮発性種(特にニコチン、または風味関連化合物、またはその両方を含む)を運ぶのに役立つ。
【0168】
さらに、抽出設備内の軽い過圧下での不活性気体(窒素など)の流れの使用は、抽出設備内の酸素の存在を防止するという利点がある。これはまた、真空下で加熱する工程を実施することによっても達成することができる。こうした利点は、加熱する工程中に天然たばこ材料の任意の燃焼のリスクを(たとえ部分的な燃焼であっても)防止するという点で望ましい。天然たばこ材料の制御されていない燃焼は、製造環境内の主要な安全上のリスクを呈することになるため、明らかに望ましくないことになる。しかしながら、発明者らは、天然たばこ材料の限定的かつ部分的な燃焼でさえ、本方法によって得ることができるたばこ抽出物の品質の低下につながる場合がある(これは望ましくないであろう)ことを見いだした。
【0169】
理論に束縛されることを望むものではないが、天然たばこ材料の燃焼を防止することによって、あらゆる望ましくない燃焼副産物の形成も防止されることが理解される。さらに、天然たばこ材料の燃焼を助長することになる条件が防止されると、天然たばこ材料は、たばこ含有基体(例えば、均質化したたばこ材料)が典型的に「加熱非燃焼式」物品中で加熱される条件を、ある程度模倣する条件下で効果的に加熱される。結果として、消費者が加熱式たばこで連想する味を担う風味付与揮発性種の選択的な抽出が有利なことに好まれる。
【0170】
従って、第二の加熱する工程を不活性雰囲気中で実行することによって、抽出効率、製品品質、および製造安全性が有利なことに強化される。
【0171】
不活性気体流量は、抽出チャンバーの規模および幾何学的形状に基づいて最適化されてもよい。不活性気体の比較的に高い流量は有利なことに、たばこ出発材料からの抽出の効率をさらに改善する場合がある。
【0172】
抽出中のたばこへの水または蒸気の添加は、抽出された構成成分の収率を増加させることが見いだされた。しかしながら、水または蒸気の過剰な添加は、処理の難題(たばこ材料の粘着性など)につながる。
【0173】
たばこ出発材料の加熱を実行するための適切な加熱方法は、当業者に公知であり、限定されるものではないが、乾留、水蒸気蒸留、真空蒸留、フラッシュ蒸留、および薄膜水蒸気蒸留を含む。
【0174】
随意に、たばこ出発材料は、加熱する工程の前に酵素的に消化されてもよい。これは、たばこ出発材料からの特定の風味化合物の収率の著しい増加を提供することが分かっている。
【0175】
たばこ出発材料は、組成物、例えば、アルカロイドの還元糖の含有量を決定するために、加熱する工程の前に随意に分析されてもよい。組成物に関するこの情報は、適切な抽出温度を選択するために有用に使用され得る。
【0176】
たばこ出発材料の加熱中、たばこ出発材料から放出される揮発性化合物は、任意の適切な技術を使用して収集される。上述のように、たばこ出発材料が不活性気体の流れの中で加熱される場合、揮発性化合物は、不活性気体の流れから収集される。異なる収集方法は、当業者に公知であろう。
【0177】
揮発性化合物を収集する工程は、揮発性化合物が非水性溶媒中に閉じ込められる吸収技術を使用するのが好ましい。例えば、揮発性化合物を含有する不活性気体の流れは、非水性抽出溶媒の容器に向けられてもよい。非水性抽出溶媒は、エアロゾル形成体であることが好ましい。非水性溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。非水性抽出溶媒は、多価アルコールであってもよい。非水性抽出溶媒としてのエアロゾル形成体の使用は、最終液体たばこ抽出物およびニコチン組成物中の希釈剤としてエアロゾル形成体を保持することができるため、有益である可能性がある。これは、非水性抽出溶媒を除去するための追加の工程が必ずしも必要でないことを意味する。
【0178】
好ましい実施形態では、揮発性化合物は、凝縮によって収集され、得られた凝縮物は、液体エアロゾル形成体、好ましくはPGに添加される。
【0179】
液体エアロゾル形成体の添加、特にPGの添加は有利なことに、凝縮された揮発性化合物が二つの相に分離する、またはエマルションを形成する(一部のたばこ成分はそうなる傾向がある)のを防止する場合がある。理論に束縛されることを望むものではないが、水性抽出物(すなわち、液体の天然由来のたばこ抽出物の水性画分)中のたばこ成分の溶解度は、主にその極性、その濃度、および水性抽出物のpHに依存し、これはたばこのタイプによって変化する場合があることを発明者らは観察した。結果として、エアロゾル形成体の量が十分でない場合、液体の天然由来のたばこ抽出物の表面に油状の層が形成される傾向がある。こうした油性材料は、捕捉装置上の異なる位置に凝集し、収集工程が実行される。PGなどの液体エアロゾル形成体の添加は、こうした層の形成の防止に役立ち、かつ液体の天然由来のたばこ抽出物の均質化に有利に働く。これは次に、望ましい風味関連化合物が望ましくないことに設備の表面に堆積する場合がある第四の(乾燥)工程中に、こうした化合物が損失することを防止するのに役立つ。
【0180】
加えて、液体エアロゾル形成体は有利なことに、その極性および揮発性とは無関係に、風味関連化合物を捕捉するのに役立つ。さらに、第四の(乾燥)工程中、液体エアロゾル形成体は、大半の揮発性画分の損失を防止するのに役立つだけでなく、濃縮たばこ抽出物を得るために、液体の天然由来のたばこ抽出物からの過剰な水分の選択的な除去に有利に働く。
【0181】
凝縮・収集工程のためのエアロゾル形成体としてのPGの使用は、水溶液の水分活性を低減することによってPGが抗菌活性を発揮するというさらなる利点を有する。従って、液体の天然由来のたばこ抽出物中のPGの含有量を調整することによって、抽出物が実質的にいかなる微生物活動も経ないことを確実にすることも可能である。
【0182】
収集工程の終了時に得られる液体の天然由来のたばこ抽出物は、典型的には均質な液体である。こうした均質な液体は、随意の乾燥工程を受ける前に、限定的な期間(最大約4週間)の保持期間にわたって保存されてもよい。液体の天然由来のたばこ抽出物の組成は、数多くの可変要素に依存し、それらの可変要素には、天然たばこ材料の性質、天然たばこ材料中の水分含有量、天然たばこ材料を調製するために使用されるエアロゾル形成体の量(存在する場合)が含まれる。
【0183】
非水性抽出溶媒は、揮発性化合物の非水性抽出溶媒への移動を最適化するために、摂氏0度未満の温度で保持されることが好ましい。非水性抽出溶媒は、摂氏-10度以上の温度で保持されることが好ましい。こうした値を下回る温度は、望ましくない凍結現象をもたらし得る。
【0184】
吸収技術の代替として、揮発性化合物を収集する工程は、揮発性化合物が凝縮され、かつ凝縮物が収集される凝縮技術を使用して実行されてもよい。揮発性化合物の凝縮は、例えば、冷却カラム内の任意の適切な装置を使用して実行されてもよい。揮発性化合物が凝縮によって収集される場合、液体たばこ抽出物を形成する工程は、エアロゾル形成体などの非水性抽出溶媒に凝縮物を添加することを含んでもよい。
【0185】
さらなる代替として、揮発性化合物を収集する工程は、揮発性化合物が、活性炭などの固体吸着材料の表面上に吸着される吸着技術を使用して実行され得る。次いで、吸着された化合物を非水性抽出溶媒中に移動させる。
【0186】
随意に、液体たばこ抽出物を形成する工程は、濾過工程を含む。
【0187】
随意に、液体たばこ抽出物を形成する工程は、異なるたばこ出発材料に由来する抽出物が組み合わされるブレンドする工程を含む。
【0188】
本方法において、次の工程は、収集された揮発性化合物から液体たばこ抽出物を形成することである。この工程の性質は、収集方法に依存する場合がある。「収集された揮発性化合物」は典型的に、非水性抽出溶媒中のたばこ由来の揮発性化合物の溶液を含む。
【0189】
抽出方法は、液体たばこ抽出物の重量に基づいて、約20重量パーセントを超える水を含む液体たばこ抽出物を提供する。概して、液体たばこ抽出物は、少なくとも約40重量パーセントの水を含んでもよい。液体たばこ抽出物は、約40重量パーセント~約70重量パーセントの水を含んでもよい。
【0190】
本明細書に記載の抽出方法は、少なくとも0.2重量パーセントのニコチン含有量を有する液体たばこ抽出物を提供する。液体たばこ抽出物中のニコチン含有量は、少なくとも約0.4重量パーセントであることがより好ましい。液体たばこ抽出物は、約10重量パーセント以下、より好ましくは約8重量パーセント以下、より好ましくは約5重量パーセント以下、最も好ましくは約3.6重量パーセント以下のニコチン含有量を有し得る。液体たばこ抽出物は、液体たばこ抽出物の重量に基づいて、約0.4重量パーセント~3.6重量パーセントのニコチンを含むことが最も好ましい。
【0191】
本明細書に記載の抽出方法は、約25重量パーセント~約65重量パーセント、好ましくは約30重量パーセント~60重量パーセント、最も好ましくは約35重量パーセント~約55重量パーセントの非水性抽出溶媒含有量を有し得る液体たばこ抽出物を提供する。非水性抽出溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0192】
本方法において、次の工程は、液体たばこ抽出物からニコチン組成物を形成することを伴う。
【0193】
ニコチン組成物は、有利なことに、さらなるニコチンの添加を必要とせずに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物から直接形成することができる。ニコチン組成物は、有利なことに、さらなる風味化合物の添加を必要とせずに、抽出プロセスから生じる液体たばこ抽出物から直接形成することができる。ニコチン組成物は、有利なことに、追加の非水性溶媒の添加を必要とせずに、液体たばこ抽出物から直接形成することができる。例えば、抽出プロセスによって生成される液体たばこ抽出物を使用して、ニコチンの添加を必要とせずに、1ミリリットル当たり10~20mgのニコチンを含むニコチン組成物を作製し得る。
【0194】
別の方法として、液体たばこ抽出物は、ニコチン組成物を形成するために追加の処理工程に供されてもよい。こうした追加の工程に供される場合でも、ニコチン組成物は、さらなるニコチン化合物または風味化合物を追加する必要なく形成され得る。好ましくは、液体たばこ抽出物は、本明細書の乾燥工程で濃縮されて、濃縮たばこ抽出物を形成してもよく、濃縮たばこ抽出物を使用してニコチン組成物を形成してもよい。好ましくは、追加の非水性溶媒を、液体たばこ抽出物または濃縮たばこ抽出物に添加して、ニコチン組成物を形成してもよい。
【0195】
上述のように、揮発性化合物が非水性抽出溶媒における吸収によって収集される場合、液体溶媒が非水性抽出溶媒および水の両方を含み得るため、溶液を濃縮するために、液体たばこ抽出物を形成する液体溶媒中の揮発性化合物の溶液を乾燥させることが好ましい。これは、例えば、ニコチンまたは風味化合物の所望の濃度に到達するために実行され得る。乾燥は、乾燥(desiccation)、分子ふるい、凍結乾燥、相分離、蒸留、膜透過、水の制御された結晶化および濾過、逆吸湿性、超遠心分離、液体クロマトグラフィー、逆浸透または化学乾燥を含むがこれらに限定されない、任意の適切な手段を使用して実行され得る。
【0196】
液体たばこ抽出物を形成する液体溶媒中の揮発性化合物の溶液は、乾燥工程で乾燥により濃縮されて濃縮たばこ抽出物を形成することが好ましい。濃縮たばこ抽出物を使用して、ニコチン組成物を形成してもよい。
【0197】
乾燥工程では、液体溶媒中の揮発性化合物の溶液を加熱して、少なくとも一部の水を蒸発させて濃縮たばこ抽出物を得る。この目的のために、たばこ抽出物中の含水量が少なくとも約60パーセントだけ減少するように、液体溶媒中の揮発性化合物の溶液は、ある温度に、かつある時間の間加熱されてもよい。
【0198】
一実施形態では、液体溶媒中の揮発性化合物の溶液は、真空下で、好ましくは少なくとも摂氏約70度の温度で加熱される。別の実施形態では、液体溶媒中の揮発性化合物の溶液は、空気流下で、好ましくは比較的に低い湿度を有する空気流下で、少なくとも摂氏約35度の温度にて加熱される。こうして濃縮たばこ抽出物が得られ得る。一つのこうした濃縮たばこ抽出物は、典型的には、約20重量パーセント未満の水を含有する。
【0199】
乾燥工程では、液体たばこ抽出物は、摂氏約35度~摂氏約95度、より好ましくは摂氏約35度~摂氏約90度、なおより好ましくは摂氏約35度~摂氏約85度、最も好ましくは摂氏約35度~摂氏約80度に加熱され得る。
【0200】
乾燥工程では、液体たばこ抽出物を減圧で加熱してもよい。液体たばこ抽出物は、約200mbar以下の圧力で加熱されてもよい。乾燥工程では、液体たばこ抽出物は、少なくとも約20mbarの圧力で加熱されてもよい。
【0201】
別の方法として、乾燥工程において、液体たばこ抽出物は、空気の流れ下で加熱されてもよい。液体たばこ抽出物は、少なくとも約10kg/hの空気の流れ下で加熱されてもよい。液体たばこ抽出物は、少なくとも約15kg/hの空気の流れ下で加熱されてもよい。空気の流れの相対湿度は、約50パーセント以下、好ましくは約25パーセント以下であってもよい。
【0202】
乾燥工程の後、液体たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物と呼ばれる。濃縮たばこ抽出物は、約20重量パーセント以下の水を含む。好ましくは、濃縮たばこ抽出物は、濃縮たばこ抽出物の重量に基づいて、8重量パーセント~15重量パーセントの水を含む。
【0203】
乾燥工程は、約65重量パーセント~約95重量パーセント、好ましくは約65重量パーセント~85重量パーセント、最も好ましくは約75重量パーセント~約85重量パーセントの非水性抽出溶媒含有量を有し得る濃縮たばこ抽出物を提供する。非水性抽出溶媒は、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0204】
乾燥工程は、少なくとも約0.2重量パーセントのニコチン、好ましくは約0.5重量パーセント~約12重量パーセントのニコチン、最も好ましくは約2重量パーセント~約8重量パーセントのニコチンのニコチン含有量を有し得る、濃縮たばこ抽出物を提供する。
【0205】
濃縮たばこ抽出物は、追加のニコチンの添加を必要とせずに、ニコチン組成物を形成するために直接使用され得る。濃縮たばこ抽出物は、追加の非水性溶媒の添加を必要とせずに、ニコチン組成物を形成するために直接使用され得る。濃縮たばこ抽出物は、追加の水の添加を必要とせずに、ニコチン組成物を形成するために直接使用され得る。濃縮たばこ抽出物は、追加の風味剤の添加を必要とせずに、ニコチン組成物を形成するために直接使用され得る。
【0206】
好ましくは、追加の非水性溶媒を、液体たばこ抽出物または濃縮たばこ抽出物に添加して、ニコチン組成物を形成してもよい。
【0207】
ニコチン組成物は、本明細書に前述する随意の好ましい特徴を有し得る。
【0208】
ここで、以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【実施例
【0209】
実施例1
たばこ出発材料は、フルキュアブライトたばこ材料から調製される。たばこ材料は、2.5ミリメートル×2.5ミリメートルの寸法を有するたばこ断片を形成するように切断され、たばこ断片は、圧縮することなく、抽出チャンバーの中に装填される。たばこ出発材料は、抽出チャンバー内で3時間にわたり、摂氏130度の温度に加熱される。加熱中に、窒素の流れが、約40リットル/分の流量で抽出チャンバーを通過する。
【0210】
加熱する工程中にたばこ出発材料から放出された揮発性化合物は、摂氏マイナス10度にて、かつ750rpmの撹拌でプロピレングリコールから形成された液体溶媒への吸収によって収集される。
【0211】
実施例1のニコチン組成物は、摂氏130度の温度で3時間の抽出プロセスから直接得られた液体たばこ抽出物である。ニコチン組成物は、フェノール、4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、(R,S)-N-ニトロソアナタビン、(R,S)-N-ニトロソアナバシン、N-ニトロソノルニコチン、および2-フランメタノールなどの望ましくない化合物に対し、β-ダマセノンおよびβ-イオノンなどの最適化されたレベルの望ましい風味化合物を提供する。ニコチン組成物は、さらに、フラネオールおよび2,3-ジエチル-5-メチルピラジン対ニコチンなどのあるレベルの望ましい風味化合物を提供する。具体的には、ニコチン組成物において、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は0.25を超え、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比は5x10-4を超える。
【0212】
実施例2
本実施例は、本発明による二つのニコチン組成物を提供し、それらは共に、摂氏130度の温度で3時間の抽出プロセス、その後の液体たばこ抽出物の水分レベルを約6パーセントに低減する乾燥工程から得られた濃縮たばこ抽出物である。次いで、濃縮たばこ抽出物を直接使用して、ニコチン組成物を形成する。両方のニコチン組成物において、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は0.25を超え、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比は5 x 10-4を超える。
【0213】
実施例2a
実施例2aは、フルキュアブライトたばこ材料に由来する濃縮たばこ抽出物に関する。実施例2aの液体たばこ抽出物の含有量は以下の通りである。
・ ニコチン:0.53% w/w
・ プロピレングリコール:91.8% w/w
・ 水:6.3% w/w
・ バランス(以下の表1に詳述される風味剤を含む):1.57% w/w
【0214】
実施例2b
実施例2bは、バーレー種たばこ材料に由来する濃縮たばこ抽出物に関する。実施例2bの液体たばこ抽出物の含有量は以下の通りである。
・ ニコチン:1.82% w/w
・ プロピレングリコール:89.6% w/w
・ 水:5.7% w/w
・ バランス(以下の表1に詳述される風味剤を含む):2.88 % w/w
【表1】
【0215】
本発明による実施例2aおよび2bのニコチン組成物は、フェノール、4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、(R,S)-N-ニトロソアナタビン、(R,S)-N-ニトロソアナバシン、N-ニトロソノルニコチン、および2-フランメタノールなどの許容可能に低レベルの望ましくない化合物を含有する。
【0216】
実施例3
本実施例は、本発明による三つのニコチン組成物を提供し、その各々は、摂氏130度の温度で3時間の抽出プロセス、その後の液体たばこ抽出物の水分レベルを約12.5パーセントに低減する乾燥工程から得られた濃縮たばこ抽出物である。次いで、濃縮たばこ抽出物を直接使用して、ニコチン組成物を形成する。これらのニコチン組成物において、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は0.25を超え、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比は5x10-4を超える。
【0217】
実施例3a
実施例3aは、オリエント葉ブライトたばこ材料に由来する濃縮たばこ抽出物に関する。実施例3aの濃縮たばこ抽出物の含有量は以下の通りである。
・ ニコチン:0.4% w/w
・ プロピレングリコール:84% w/w
・ 酢酸:1.0% w/w
・ 水:12.5% w/w
・ バランス(風味剤を含む):2.1% w/w
【0218】
実施例3b
実施例3bは、フルキュアブライトたばこ材料に由来する濃縮たばこ抽出物に関する。実施例3bの濃縮たばこ抽出物の含有量は以下の通りである。
・ ニコチン:1.2% w/w
・ プロピレングリコール:84% w/w
・ 酢酸:1.0% w/w
・ 水:12.5% w/w
・ バランス(風味剤を含む):1.3% w/w
【0219】
実施例3c
実施例3cは、バーレー種たばこ材料に由来する濃縮たばこ抽出物に関する。実施例3cの濃縮たばこ抽出物の含有量は以下の通りである。
・ ニコチン:2.6% w/w
・ プロピレングリコール:84% w/w
・ 酢酸:0.5% w/w
・ 水:12.5% w/w
・ バランス(風味剤を含む):0.4% w/w
【0220】
実施例3のニコチン組成物は、フェノール、4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、(R,S)-N-ニトロソアナタビン、(R,S)-N-ニトロソアナバシン、N-ニトロソノルニコチン、および2-フランメタノールなどの望ましくない化合物に対し、β-ダマセノンおよびβ-イオノンなどの最適化されたレベルの望ましい風味化合物を提供する。ニコチン組成物は、さらに、フラネオールおよび2,3-ジエチル-5-メチルピラジン対ニコチンなどのあるレベルの望ましい風味化合物を提供する。
【0221】
実施例4
実施例1の液体たばこ抽出物を乾燥プロセスで濃縮し、液体たばこ抽出物の水分レベルを約15パーセントに低減した。
結果として得られる濃縮液体たばこ抽出物にグリセリンを添加して、ニコチン組成物を形成し、その結果、ニコチン組成物が、ニコチン組成物の重量に基づいて、20重量パーセントのグリセリンおよび80重量パーセントの液体たばこ抽出物を含有するようにした。
【0222】
実施例5
実施例5は、本発明によるゲルの形態のニコチン組成物に関する。ゲルニコチン組成物は、実施例1の液体たばこ抽出物から形成される。ゲルニコチン組成物の含有量は以下の通りである。
・ 実施例1の液体たばこ抽出物:99.0% w/w
・ 寒天:1.0% w/w
【0223】
実施例6
本発明による三つのたばこ出発材料はそれぞれ、フルキュアブライトたばこ材料(6A)、バーレー種たばこ材料(6B)、およびオリエント葉たばこ材料(6C)から調製される。
【0224】
三つのたばこ材料のうちの各一つは、2.5ミリメートル×2.5ミリメートルの寸法を有するたばこ断片を形成するように切断され、たばこ断片は、圧縮することなく、抽出チャンバーの中に装填される。
【0225】
たばこ出発材料のうちの各一つは、抽出チャンバー内で120分間にわたり、摂氏130度の温度に加熱される。加熱中に、窒素の流れが、2リットル/分の流量で抽出チャンバーを通過する。
【0226】
加熱する工程中に各たばこ出発材料から放出された揮発性化合物は、摂氏0度にてポリプロピレングリコールから形成された液体溶媒への吸収によって収集される。
【0227】
液体たばこ抽出物は、こうした抽出プロセスから直接得られる。次いで、三つのたばこ出発材料のうちの各一つから得られた各液体抽出物は、真空下(50mbar)で、摂氏55度にて、12パーセント±2パーセントの水分含有量に到達するまで濃縮される。
【表2】

【0228】
本発明6A、6B、および6Cによる三つの液体抽出物のすべてにおいて、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は一貫してかつ著しく2.0を上回る。さらに、本発明6A、6B、および6Cによる三つの液体抽出物すべてにおいて、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比は一貫してかつ著しく1×10-3を上回る。さらに、本発明6A、6B、および6Cによる三つの液体抽出物すべてにおいて、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(4-(メチルニトロサミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン+(R,S)-N-ニトロソアナタビン+(R,S)-N-ニトロソアナバシン+N-ニトロソノルニコチン+((2-フランメタノール)/600))の重量比は、一貫してかつ著しく3を上回る。
【0229】
比較例
二つのたばこ出発材料は、フルキュアブライトたばこ材料(CE1、CE2)から調製される。二つのさらなるたばこ出発材料は、バーレー種たばこ材料(CE3、CE4)から調製される。四つの出発たばこ材料のそれぞれは、2.5ミリメートル×2.5ミリメートルの寸法を有するたばこ細片を形成するように切断される。
【0230】
たばこ断片は、各たばこ材料に対する所定のpHに達するよう水中で炭酸カリウムのアルカリ溶液と混合される。出発たばこ材料の一つのこうしたアルカリ処理は、US2016/360780に記載されている。
【0231】
より詳細には、たばこ出発材料CE1およびCE3は、pH8に達するよう水中で炭酸カリウムのアルカリ溶液と混合され、たばこ出発材料CE2およびC4は、pH9.5に達するように水中で炭酸カリウムのアルカリ溶液と混合される。
【0232】
こうしたアルカリ処理の後、各たばこ出発材料のたばこ断片は、圧縮することなく、抽出チャンバーに装填される。各たばこ出発材料は、抽出チャンバー内で120分の間摂氏130度の温度に加熱される。加熱中に、窒素の流れが、約2リットル/分の流量で抽出チャンバーを通過する。
【0233】
加熱する工程中に各たばこ出発材料から放出された揮発性化合物は、摂氏0度にてポリプロピレングリコールから形成された液体溶媒への吸収によって収集される。
【0234】
液体たばこ抽出物は、こうした抽出プロセスから直接得られる。次いで、四つのたばこ出発材料のうちの各一つから得られた各液体抽出物は、真空下(50mbar)で、摂氏55度にて、12パーセント±2パーセントの水分含有量に到達するまで濃縮される。
【表3】

【0235】
比較例CE1、CE2、CE3、およびCE4による四つの液体抽出物すべてにおいて、(β-イオノン+β-ダマセノン)対(フェノール)の重量比は一貫してかつ有意に0.25を下回る。さらに、比較例CE1、CE2、CE3、およびCE4による四つの液体抽出物すべてにおいて、(フラネオール+(2,3-ジエチル-5-メチルピラジン)*100))対(ニコチン)の重量比は一貫してかつ有意に5×10-4を下回る。