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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】産業機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0813 20220101AFI20240214BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H04L41/0813
H04L12/28 200Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021572721
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2021001483
(87)【国際公開番号】W WO2021149640
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2020008299
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】関本 康司
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-201154(JP,A)
【文献】特開平11-328064(JP,A)
【文献】特開2005-210618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/0813
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能に接続されたクライアントに対して、予め設定された送信対象データが更新される度に更新データを送信する産業機械の制御装置であって、
前記更新データを記憶する更新データ記憶部と、
前記更新データを前記クライアントに対して送信するデータ送信部と、
前記更新データ記憶部に記憶された最新の更新データを監視し、前記最新の更新データが、その後予め設定された第1の時間内に更新されたか否かを監視する更新データ監視部と、
前記更新データ監視部により、前記最新の更新データが前記第1の時間内に更新されていないことを検知した場合、前記クライアントに対して、前記送信対象データについての受信状態を確認する要求を送信する更新データ確認部と、
前記更新データ確認部により前記クライアントから受信した前記送信対象データの受信状態と、前記更新データ記憶部に記憶された最新の更新データと、に基づいて、前記クライアントが前記最新の更新データを受信しているか否かを判定する受信状態判定部と、
前記受信状態判定部により、前記クライアントが前記最新の更新データを受信していないと判定した場合、前記最新の更新データを前記クライアントに対して再送する再送指示部と、を備える制御装置。
【請求項2】
前記更新データ記憶部には、
前記更新データとともに、前記更新データの記憶された時刻及び/又は更新された更新時刻を記憶する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記再送指示部は、前記更新データ記憶部に最新の更新データが再送されたことを示す再送済みフラグを記憶する、請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記クライアントとの間で通信を行うサーバを備え、
前記サーバは、
前記更新データ記憶部と、
前記更新データ監視部と、
前記更新データ確認部と、
前記受信状態判定部と、
前記再送指示部と、
を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記産業機械は工作機械であり、前記制御装置は数値制御装置である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記産業機械は産業用ロボットであり、前記制御装置はロボット制御装置である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は産業機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、産業機械、ロボット等の産業機械を制御する制御装置には、表示器やタブレット等のクライアントとの間で双方向通信を行うサーバを有し、制御装置において予め設定された配信対象となるデータをクライアントに対して配信することが行われている。
また、例えば、一般にサーバ/クライアント間の通信回数を減らすために、サーバ側で更新が発生した場合に、当該更新データをクライアントに対してプッシュすることがサーバ/クライアント間で行われることがある(例えば、特許文献1参照)。このような技術を、制御装置の有するサーバとクライアント間の通信に適用することができる。
【0003】
しかしながら、仮にクライアント側において、例えば通信障害等の理由により、サーバ側からプッシュされた更新データの受信に失敗した場合、その後、制御装置側で新たな更新が発生し、当該更新データがクライアント側にプッシュされるまでの間、クライアント側で保持するデータとサーバ側で保持するデータとの間で乖離する事態が生じる。
図3Aは、制御装置としての数値制御装置が、工作機械の運転中の送り軸をX100からX500まで移動させていた場合に、当該座標値をクライアント側にプッシュする例を示す図である。
図3Aに示すように、例えば、クライアント側において、座標値X500の受信に失敗した場合、数値制御装置側(サーバ側)では、最新の座標値X500を保持しているにも関わらず、クライアント側は、1つ前の古い座標値X499を保持する現象が発生する。
【0004】
この点、サーバからクライアントに対してデータを送信した場合、クライアントがデータを受信すると、クライアントがデータを受信した旨の応答をサーバに返すことが一般的に行われている。
図3Bは、制御装置としての数値制御装置が、工作機械の運転中の送り軸をX100からX500まで移動させていた場合に、当該座標値をクライアント側にプッシュするとともに、クライアント側は、データを受信する度に、数値制御装置側(サーバ側)に対して当該データを受信したことを応答する例を示す図である。
図3Bに示すように、数値制御装置側(サーバ側)からクライアント側に対してデータを送信(プッシュ)した場合、仮にクライアント側がX500を、例えば通信障害等の理由により受信していないと、所定の時間経過後に、数値制御装置側(サーバ側)からクライアント側に対して、座標値X500を再送する。
【0005】
そうすると、例えば運転中の座標値のように、数値制御装置側(サーバ側)からクライアント側に対してプッシュされるデータが頻繁に更新される場合には、受信した旨の応答分の通信が余計に発生することとなり、本来の目的であるサーバ/クライアント間の通信回数を減らすという目的と相反する事態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-134566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに、数値制御装置側(サーバ側)において、データの更新が非常に頻繁に発生する場合、クライアント側において、いくつかのデータ更新の受信に失敗しても、問題にならないケースもあるため、クライアント側においてデータを受信する度に、数値制御装置側(サーバ側)に毎回応答を返すこと、及び数値制御装置側(サーバ側)において、毎回応答を確認することも冗長となる。
【0008】
そこで、産業機械を制御する制御装置とクライアント側との間で、双方向通信を使いながら、制御装置から更新データをクライアントに送信しつつ、通信回数を減らすとともに、制御装置とクライアント側との間で、データの内容が乖離していないことを保証することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の制御装置の一態様は、通信可能に接続されたクライアントに対して、予め設定された送信対象データが更新される度に更新データを送信する産業機械の制御装置であって、前記更新データを記憶する更新データ記憶部と、前記更新データを前記クライアントに対して送信するデータ送信部と、前記更新データ記憶部に記憶された最新の更新データを監視し、前記最新の更新データが、その後予め設定された第1の時間内に更新されたか否かを監視する更新データ監視部と、前記更新データ監視部により、前記最新の更新データが前記第1の時間内に更新されていないことを検知した場合、前記クライアントに対して、前記送信対象データについての受信状態を確認する要求を送信する更新データ確認部と、前記更新データ確認部により前記クライアントから受信した前記送信対象データの受信状態と、前記更新データ記憶部に記憶された最新の更新データと、に基づいて、前記クライアントが前記最新の更新データを受信しているか否かを判定する受信状態判定部と、前記受信状態判定部により、前記クライアントが前記最新の更新データを受信していないと判定した場合、前記最新の更新データを前記クライアントに対して再送する再送指示部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、産業機械を制御する制御装置とクライアント側との間で、双方向通信を使いながら、制御装置から更新データをクライアントに送信しつつ、通信回数を減らすとともに、制御装置とクライアント側との間で、データの内容が乖離していないことを保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る制御装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図2A】制御装置の制御処理について説明するフローチャートである。
図2B】制御装置の制御処理について説明するフローチャートである。
図3A】数値制御装置が、工作機械の運転中の座標値データが更新される度にクライアントにプッシュする一例を示す図である。
図3B】数値制御装置が、工作機械の運転中の座標値データが更新される度にクライアントにプッシュするとともに、クライアントは、座標値データを受信する度に、数値制御装置に対して受信応答する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態について、図面を用いて説明する。以下の説明においては、産業機械として工作機械を、また制御装置として数値制御装置を例示する。なお、本発明は、工作機械に限定されず、例えば産業用ロボット、サービス用ロボット等にも適用可能である。
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る制御システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、制御システム1は、制御装置としての数値制御装置10、クライアント20、及び産業機械としての工作機械30を有する。
【0013】
数値制御装置10、クライアント20、及び工作機械30は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。また、数値制御装置10、クライアント20、及び工作機械30は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の図示しないネットワークを介して相互に接続されていてもよい。数値制御装置10と、クライアント20は、相互に通信を行うための通信部を備えている。
【0014】
クライアント20は、例えば、表示器を備える携帯端末、タブレット、及びPC等である。クライアント20は、クライアント20に含まれるキーボードやタッチパネル等の入力装置(図示しない)を介して、ユーザからの処理要求等の入力を受け付け、受け付けた入力を後述する数値制御装置10に送信する。また、クライアント20は、数値制御装置10からの出力を受信し、受信した出力をクライアント20に含まれる液晶ディスプレイ等の出力装置(図示しない)に表示する。
【0015】
工作機械30は、当業者にとって公知の工作機械であり、例えば図1に示すように、I/O装置301、モータ制御部302、及びモータ303を備え、制御装置としての数値制御装置10の動作指令に基づいて動作する。
【0016】
<数値制御装置10>
数値制御装置10は、当業者にとって公知の数値制御装置であり、クライアント20からの処理要求や、CAD/CAM装置等の外部装置(図示しない)から取得した加工プログラムに基づいて動作指令を生成し、生成した動作指令を工作機械30に送信する。これにより、数値制御装置10は、工作機械30の動作を制御する。なお、工作機械30がロボット等の場合、数値制御装置10は、ロボット制御装置等でもよい。
【0017】
図1に示すように、数値制御装置10は、サーバ110及び制御部120を有する。さらに、制御部120は、数値制御処理を実行するための既存の構成であるI/O制御部121及び数値制御部122を有する。
【0018】
<サーバ110>
サーバ110は、例えばWebサーバであり、クライアント20との間でネットワーク50を介して双方向通信を行う。サーバ110は、クライアント20に対して予め設定された送信対象データが制御部120により更新される度に、当該更新データをクライアント20に送信する。
サーバ110は、更新データ記憶部1100と、データ送信部1101と、更新データ監視部1102と、更新データ確認部1103と、データ受信部1104と、受信状態判定部1105と、再送指示部1106と、を有する。
【0019】
更新データ記憶部1100は、例えば、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の任意の記憶装置である。制御部120により、クライアント20に対して予め設定された送信対象データが更新される度に、当該更新データが記憶される。なお、更新データは、タイムスタンプとともに更新データ記憶部1100に記憶される。ここで、タイムスタンプは、例えば、当該更新データが更新データ記憶部1100に記憶された時刻でもよい。また、当該更新データが制御部120により更新された時刻でもよい。
更新データがタイムスタンプとともに記憶されることで、後述するように、更新データ監視部1102は、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データを監視し、最新の更新データがその後予め設定された第1の時間内に更新されたか否かを監視することができる。
また、更新データは、当該更新データの管理番号とともに更新データ記憶部1100に記憶するようにしてもよい。ここで、管理番号は、例えば更新データとともに、クライアント20に送信してもよい。そうすることで、後述するように、受信状態判定部1105は、クライアント20が最新の更新データを受信しているか否かを、管理番号に基づいて判定することができる。
【0020】
データ送信部1101は、予め設定された送信対象データが更新される度に、当該更新データをクライアント20に対して送信する。また、データ送信部1101は、後述する更新データ確認部1103からの指示に基づき、送信対象データについての受信状態を確認する要求を、クライアント20に対して送信する。
【0021】
更新データ監視部1102は、予め設定された送信対象データが更新される度に、当該更新データがその後予め設定された第1の時間内に、新たな更新データにより更新されたか否かを監視する。
具体的には、例えば更新データ監視部1102は、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データを監視し、最新の更新データがその後第1の時間内に新たな更新データにより更新されたか否かを監視する。
更新データ監視部1102は、更新データがタイムスタンプとともに記憶されることで、タイムスタンプと、内部時計(図示せず)の現在時刻と、を比較することで、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データがその後第1の時間内に新たな更新データにより更新されたか否かを監視するようにしてもよい。
また、更新データ監視部1102は、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データを予め設定された一定周期毎に監視し、予め設定された周期回数以内に更新されたか否かを監視するようにしてもよい。この場合、(周期×周期回数)が前述した第1の時間に相当する。
【0022】
更新データ確認部1103は、更新データ監視部1102により、最新の更新データがその後第1の時間内に更新されていないことを検知した場合、送信対象データについての受信状態を確認する要求を、クライアント20に対してデータ送信部1101を介して送信する。
なお、更新データ確認部1103は、最新の更新データがその後第1の時間内に更新されていないことを検知した場合であっても、後述する再送済みフラグ(図示せず)がオンの場合、クライアント20における送信対象データについての受信状態をクライアントに対して確認しないようにしてもよい。ここで、再送済みフラグがオンの状態とは、最新の更新データが既にクライアント20に対して再送済みであることを示す。
【0023】
データ受信部1104は、クライアント20からサーバ110に対して送信されたデータを受信する。例えば、データ受信部1104は、送信対象データについての受信状態を確認する要求に対するクライアント20の応答(すなわち、クライアント20における送信対象データの受信状態)を受信する。なお、データ受信部1104は、この他クライアント20から送信される任意のデータを受信するようにしてもよい。
【0024】
受信状態判定部1105は、クライアント20から受信したクライアント20における送信対象データの受信状態と、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データと、に基づいて、クライアント20が最新の更新データを受信しているか否かを判定する。
具体的には、クライアント20は、送信対象データの受信状態として、最新に受信した更新データを送信してもよい。そうすることで、受信状態判定部1105は、更新データ確認部1103によりクライアント20から受信した更新データと、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データと、を比較することで、クライアント20が最新の更新データを受信しているか否かを判定することができる。
また、前述したように、クライアント20は、最新に受信した更新データに換えて当該更新データの管理番号を送信するようにしてもよい。そうすることで、受信状態判定部1105は、更新データ確認部1103によりクライアント20から受信した最新の更新データの管理番号と、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データに係る管理番号と、を比較することで、クライアント20が最新の更新データを受信しているか否かを判定することができる。
なお、受信状態判定部1105は、クライアント20が最新の更新データを受信していると判定した場合、前述した再送済みフラグ(図示せず)をオンとするようにしてもよい。そうすることで、前述したように、更新データ確認部1103は、最新の更新データがその後第1の時間内に更新されていないことを検知した場合であっても、当該更新データに関して、再送済みフラグがオンの場合、送信対象データについての受信状態をクライアントに対して確認しないようにすることができる。
【0025】
再送指示部1106は、受信状態判定部1105により、クライアント20が最新の更新データを受信していないと判定した場合、最新の更新データをクライアント20に対して再送するように制御する。
具体的には、再送指示部1106は、データ送信部1101を介して最新の更新データをクライアント20に対して送信する。また、再送指示部1106は、更新データ記憶部1100に最新の更新データが再送されたことを示す再送済みフラグをオンにする。再送済みフラグをオンとすることにより、前述したように、更新データ確認部1103は、最新の更新データがその後第1の時間内に更新されていないことを検知した場合であっても、クライアント20に対して、送信対象データについての受信状態を確認しないようにすることができる。
【0026】
以上のように、数値制御装置10とクライアント20との間で、双方向通信を使いながら、数値制御装置10から更新データをクライアント20に送信しつつ、通信回数を減らすとともに、数値制御装置10とクライアント20の間で、データの内容が乖離していないことを保証することができる。
【0027】
<サーバ110の更新データに係る配信処理>
次に、本実施形態に係る数値制御装置10のサーバ110に係る動作(クライアントの最新データ状態を保証するための処理)について説明する。
図2A及び図2Bは、数値制御装置10のサーバ110に係る動作(クライアントの最新データ状態を保証するための処理)について説明するフローチャートである。
【0028】
図2A及び図2Bの処理フローは、数値制御装置10において、予め設定された送信対象データが更新されたデータをクライアント20に対してプッシュ送信しているときのサーバ110に係る動作(クライアントの最新データ状態を保証するための処理)の処理フローである。したがって、この処理フローの前に更新データのプッシュ送信処理を開始する処理があり、また処理フローの後にプッシュ送信処理を終了させる処理がある。
【0029】
図2Aを参照すると、ステップS11において、予め設定された送信対象データが更新されたか否かを判定する。更新された場合(YESの場合)、ステップS12に移る。更新されていない場合(NOの場合)、ステップS13に移る。
【0030】
ステップS12において、再送済みフラグをリセットし、更新データを更新データ記憶部1100に記憶するとともに、クライアント20に対してプッシュ送信する。その後、ステップS11に移る。
【0031】
ステップS13において、更新データ監視部1102は、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データが更新されてから、第1の時間経過したか否かを判定する。第1の時間経過している場合(YESの場合)、ステップS14に移る。第1の時間経過していない場合(NOの場合)、ステップS11に移る。
【0032】
ステップS14において、更新データ確認部1103は、再送済みフラグがオンか否かを判定する。再送済みフラグがオンの場合(YESの場合)、ステップS11に移る。データ送信部1101を介して、新たな更新データをクライアント20に対して送信する。その後、ステップS11に移る。
【0033】
ステップS14において、更新データ確認部1103は、当該更新データの再送済みフラグがオンか否かを判定する。当該更新データの再送済みフラグがオンの場合(Yesの場合)、ステップS11に移る。当該更新データの再送済みフラグがオフの場合(Noの場合)、ステップS15に移る。
【0034】
ステップS15において、更新データ確認部1103は、クライアントにおける送信対象データについての受信状態を確認する要求を、クライアント20に対してデータ送信部1101を介して送信する。
【0035】
ステップS16において、更新データ確認部1103は、クライアント20から当該クライアントにおける送信対象データについての受信状態を受信することができたか否かを判定する。受信状態を受信することができた場合(Yesの場合)、ステップS17に移る。タイムアウト等により受信することができなかった場合(Noの場合)、ステップS11に移る。
【0036】
図2Bを参照すると、ステップS17において、受信状態判定部1105は、クライアント20における送信対象データの受信状態と、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データと、に基づいて、クライアント20の受信状態が最新か否かを判定する。最新の場合(Yesの場合)、ステップS18に移る。最新の状態でない場合(Noの場合)、ステップS19に移る。
【0037】
ステップS18において、受信状態判定部1105は、再送済みフラグをオンにする。その後、ステップS11に移る。
【0038】
ステップS19において、再送指示部1106は、最新の更新データをクライアント20に対してデータ送信部1101を介して送信するとともに、再送済みフラグをオンにする。その後、ステップS11に移る。
【0039】
以上により、一実施形態の制御装置としての数値制御装置10は、数値制御装置10(サーバ110)とクライアント20との間で、データの内容が乖離していないことを保証することができる。
以上、処理フローの一例を説明したが、上述の処理フローに限定されるものではない。 例えば、ステップS11において、予め設定された一定周期毎に予め設定された送信対象データが更新されたか否かを判定するようにしてもよい。
また、ステップS16において、クライアント20における送信対象データの受信状態を、タイムアウト等によりクライアント20から受信することができなかった場合(Noの場合)、ステップS15に戻って、クライアントにおける送信対象データについての受信状態を確認する要求を再送するようにしてもよい。なお、クライアントにおける送信対象データについての受信状態を確認する要求の再送を所定の回数繰り返してもクライアント20から受信することができなかった場合、エラー通知をするとともに、ステップS11に移るようにしてもよい。
また、ステップS19において、最新の更新データをクライアント20に対してデータ送信部1101を介して送信する場合、クライアント20が当該更新データを受信した旨の応答を受信することで、再送済みフラグをオンにするようにしてもよい。
【0040】
以上、一実施形態について説明したが、数値制御装置10及びサーバ110は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0041】
<変形例1>
上述の実施形態では、制御装置として数値制御装置10を例示し、産業機械として工作機械30を例示したが、これに限定されない。例えば、産業機械がロボットの場合、制御装置としてのロボット制御装置(図示しない)は、サーバを備え、クライアント20に対して予め設定される送信対象データが更新される度に、クライアント20に対して更新データを送信するようにしてもよい。送信対象データとして、例えば、「ロボット各部の座標値」、「ロボット各部のモータ情報」等を設定してもよい。
【0042】
なお、一実施形態に係る数値制御装置10に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ハードウェアによって実現されるとは、例えば、電子回路によって実現されることを意味する。また、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0043】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0044】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0045】
以上を換言すると、本開示の制御装置、及び制御方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)本開示の制御装置としての数値制御装置10は、通信可能に接続されたクライアント20に対して、予め設定された送信対象データが更新される度に更新データを送信する産業機械としての工作機械30の制御装置であって、更新データを記憶する更新データ記憶部1100と、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データを監視し、最新の更新データがその後予め設定された第1の時間内に更新されたか否かを監視する更新データ監視部1102と、更新データ監視部1102により、最新の更新データが第1の時間内に更新されていないことを検知した場合、クライアント20に対して、送信対象データについての受信状態を確認する要求を送信する更新データ確認部1103と、更新データ確認部1103によりクライアント20から受信した送信対象データの受信状態と、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データと、に基づいて、クライアント20が最新の更新データを受信しているか否かを判定する受信状態判定部1105と、受信状態判定部1105により、クライアント20が最新の更新データを受信していないと判定した場合、最新の更新データをクライアント20に対して再送する再送指示部1106と、を備える。
この制御装置としての数値制御装置10によれば、数値制御装置10とクライアント20との間で、双方向通信を使いながら、数値制御装置10から更新データをクライアント20に送信しつつ、通信回数を減らすとともに、数値制御装置10とクライアント20の間で、データの内容が乖離していないことを保証することができる。
【0046】
(2) (1)に記載の制御装置としての数値制御装置10において、更新データ記憶部1100には、更新データとともに、更新データの記憶された時刻及び/又は更新された更新時刻を記憶するようにしてもよい。
そうすることで、更新データ記憶部1100に更新データとともに記憶された時刻と、内部時計(図示せず)の現在時刻と、を比較することで、更新データ記憶部1100に記憶された最新の更新データがその後予め設定された第1の時間内に更新されたか否かを容易に監視することができる。
【0047】
(3) (1)又は(2)に記載の制御装置としての数値制御装置10において、再送指示部1106は、更新データ記憶部1100に最新の更新データを再送したことを示す再送済みフラグを記憶するようにしてもよい。
そうすることで、更新データ確認部1103は、最新の更新データがその後予め設定された第1の時間内に更新されていないことを検知した場合であっても、当該更新データに関して、再送済みフラグがオンの場合、送信対象データについての受信状態をクライアントに対して確認しないようにすることができる。
【0048】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の制御装置としての数値制御装置10は、クライアント20との間で通信を行うサーバ110を備え、サーバ110が、更新データ記憶部1100と、前記更新データ監視部1102と、前記更新データ確認部1103と、前記受信状態判定部1105と、前記再送指示部1106と、を含むようにしてもよい。
そうすることで、(1)に記載の効果を奏することができる。
【0049】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の制御装置において、産業機械は産業用ロボットであり、制御装置はロボット制御装置であってもよい。
そうすることで、制御装置がロボット制御装置であって、産業機械が産業用ロボットの場合において、(1)から(4)に記載の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 制御システム
10 数値制御装置
110 サーバ
1100 更新データ記憶部
1101 データ送信部
1102 更新データ監視部
1103 更新データ確認部
1104 データ受信部
1105 受信状態判定部
1106 再送指示部
120 制御部
121 I/O制御部
122 数値制御部
20 クライアント
30 工作機械
301 I/O装置
302 モータ制御部
303 モータ
50 ネットワーク
図1
図2A
図2B
図3A
図3B