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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コネクタ、及び、コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240214BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01R13/52 302C
H01R13/52 301H
H01R43/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022025078
(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公開番号】P2023121631
(43)【公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】小園 誠二
(72)【発明者】
【氏名】津島 義高
(72)【発明者】
【氏名】岡本 征也
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111403954(CN,A)
【文献】特開2020-140817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0078189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部を有する収容室を有するハウジングと、回動軸周りに回動することによって前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間にて移動可能なカバーと、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記カバーと前記ハウジングとの間の隙間を封止するパッキンと、前記回動軸を支持する軸受部品と、を備えるコネクタであって、
当該コネクタは、
前記回動軸に交差する面に沿う方向における前記軸受部品の前記ハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品を固定可能な、固定構造を有する、
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記軸受部品を締結固定するボルトを、更に備え、
前記軸受部品は、
前記回動軸が挿し込まれる軸受部と、前記ボルトが挿し込まれるボルト挿入部と、を有し、
前記固定構造は、
前記ボルトの軸部と、前記軸部と前記軸部に向かい合う前記ボルト挿入部の内壁面との間に設けられて前記範囲に対応する広さの隙間と、前記ボルトの締結時に前記軸受部品を押圧して固定する前記ボルトの頭部と、を含む、
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記軸受部品は、
前記軸受部と前記ボルト挿入部との間に配置されて前記軸受部に沿う向きに立設する壁部を、更に有する、
コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
前記壁部は、
前記軸受部に面する側面から突出する突起部を有する、
コネクタ。
【請求項5】
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部を有する収容室を有するハウジングと、回動軸周りに回動することによって前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間にて移動可能なカバーと、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記カバーと前記ハウジングとの間の隙間を封止するパッキンと、前記回動軸を支持する軸受部品と、を備えるコネクタを製造するための、製造方法であって、
前記カバーの前記回動軸を前記軸受部品によって支持する工程と、
前記回動軸に交差する面に沿う方向における前記軸受部品の前記ハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品を固定する工程と、を備える、
コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子を収容可能な収容室を有するハウジングと、収容室の開口部を封止するためのパッキンと、パッキンを保持するとともに収容室の開口部を開閉するように回動可能なカバーと、カバーの回動軸を支持する軸受部品と、を備えるコネクタ、及び、コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電源や各種の電装品間を電気的に接続する電線が、コネクタを介して接続される場合がある。このような接続は、通常、オス型コネクタとメス型コネクタとを用いて行われる。例えば、従来のコネクタの一つは、電気自動車等に搭載されてバッテリ充電を行うための充電インレット装置に用いられ、防塵、端子保護、及び、周囲への感電防止等の目的で、不使用時にはハウジングの開口部をカバーで封止するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。このカバーは、ヒンジ状にハウジングに取り付けられており、ハウジングの開口部に密着して開口部を塞ぐ閉位置と、開口部から離間して開口部を開放する開位置との間で、回動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-32901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のコネクタでは、カバーにゴム製のシート材(即ち、パッキン)が貼り付けられており、カバーが閉位置にあるとき、シート材がハウジングの開口部に押し付けられた状態でカバーがハウジングに係合されることで、カバーとハウジングとの間の隙間を封止するようになっている。ここで、ハウジング、カバー及びシート材の製造公差等に起因する形状バラツキの度合いよっては、ハウジングに対するカバーの位置が、上記隙間の封止に最適な(即ち、設計上の理想的な)位置とは異なることになる可能性がある。このような最適な位置に対する位置ズレが生じると、カバーが閉位置にあるときのシート材の潰れ方に偏りが生じる等の理由から、シート材による封止性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、パッキンによってハウジングとカバーとの間の隙間を適正に封止可能なコネクタ、及び、コネクタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る「コネクタ」は、以下を特徴としている。
【0007】
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部を有する収容室を有するハウジングと、回動軸周りに回動することによって前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間にて移動可能なカバーと、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記カバーと前記ハウジングとの間の隙間を封止するパッキンと、前記回動軸を支持する軸受部品と、を備えるコネクタであって、
当該コネクタは、
前記回動軸に交差する面に沿う方向における前記軸受部品の前記ハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品を固定可能な、固定構造を有する、
コネクタであること。
【0008】
更に、前述した目的を達成するために、本発明に係る「コネクタの製造方法」は、以下を特徴としている。
【0009】
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部を有する収容室を有するハウジングと、回動軸周りに回動することによって前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間にて移動可能なカバーと、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記カバーと前記ハウジングとの間の隙間を封止するパッキンと、前記回動軸を支持する軸受部品と、を備えるコネクタを製造するための、製造方法であって、
前記カバーの前記回動軸を前記軸受部品によって支持する工程と、
前記回動軸に交差する面に沿う方向における前記軸受部品の前記ハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品を固定する工程と、を備える、
コネクタの製造方法であること。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタ、及び、コネクタの製造方法によれば、コネクタが、カバーの回動軸を支持する軸受部品を有している。更に、コネクタは、回動軸に交差する面に沿う方向における軸受部品のハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した位置に軸受部品を固定可能な、固定構造を有している。なお、軸受部品の位置の「選択」は、例えば、回動軸に軸受部品が取り付けられ且つ軸受部品を固定する前の状態のカバー(以下、固定前のカバーともいう。)を閉位置に配置したときに、パッキンがカバーに及ぼす反発力が自然に釣り合うことを利用した位置の選択であってもよいし、固定前のカバーの位置を作業者が目視等で確認しながら手作業で調整することによる位置の選択であってもよい。即ち、軸受部品の位置の選択は、軸受部品の「位置合わせ」と言い換えることもできる。
【0011】
上述した固定構造により、コネクタを製造する際、隙間の封止に適した位置(例えば、カバーが閉位置にあるときにパッキンがカバーに及ぼす反発力が釣り合う位置)にカバーやパッキンが位置するように、軸受部品の位置を調整した上で(即ち、位置合わせを行いながら)、軸受部品を固定することができる。その結果、ハウジング、カバー及びパッキンの形状バラツキの大小によらず、ハウジングに対するカバーの位置を隙間の封止に適した位置に定めることができる。したがって、本発明のコネクタは、パッキンによってハウジングとカバーとの間の隙間を適正に封止することができる。同様に、本発明のコネクタの製造方法は、パッキンによってハウジングとカバーとの間の隙間を適正に封止可能なコネクタを製造することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコネクタと相手側コネクタとを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すカバーを後側からみた斜視図である。
図4図4は、図3に示すカバーを分解してカバーからパッキンを外した状態を示す斜視図である。
図5図5は、カバーが開位置にあるときの、図4に示すパッキンと端子収容室の開口部との位置関係を示す、図1のA-A断面に相当する図である。
図6図6は、カバーが閉位置にあるときの、図5に対応する図である。
図7図7は、コネクタの組み付け手順の第1の段階を説明するための、図2のB部に相当する部分を示す図である。
図8図8は、コネクタの組み付け手順の第2の段階を説明するための、図7に対応する図である。
図9図9は、コネクタの組み付け手順の第3の段階を説明するための、図7に対応する図である。
図10図10は、コネクタの組み付け手順の第4の段階を説明するための、図7に対応する図である。
図11図11は、図9のC-C断面図である。
図12図12は、図9のD-D断面図である。
図13図13は、図10のE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係るコネクタ1について説明する。コネクタ1は、典型的には、電気自動車等に搭載され且つバッテリ充電を行うための充電インレット装置である。コネクタ1は、相手側コネクタ2(図1参照。典型的には、インレットプラグ)と嵌合可能である。コネクタ1と相手側コネクタ2とが嵌合することで、コネクタ1が有するハウジング20(図1等参照)に収容されている端子(図示省略)に接続された一対の電線3(図1参照)と、相手側コネクタ2に収容されている相手側端子(図示省略)に接続された一対の電線4(図1参照)とが、電気的に接続される。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合方向と一致する。なお、これらの方向は、説明の便宜上定義されているものであり、コネクタ1の車両搭載時における車両の前後方向、左右方向及び上下方向に必ずしも対応する必要はない。
【0016】
コネクタ1は、図1及び図2に示すように、アウタケース10と、アウタケース10に収容されるハウジング20と、アウタケース10に回動可能に支持されるカバー30と、アウタケース10に装着されてカバー30を回転駆動するアクチュエータ40と、カバー30に保持されるパッキン50(図4参照)と、アウタケース10に装着されてカバー30を回動可能に支持するホルダ60と、を備える。以下、コネクタ1を構成する各部品について順に説明する。
【0017】
まず、アウタケース10について説明する。アウタケース10は、コネクタ1の外観の大部分を構成する樹脂製の筐体である。アウタケース10は、図1及び図2に示すように、矩形平板状の底板11と、底板11の上方に位置する略矩形平板状の天板12と、底板11及び天板12の左右一対の側縁に固定され且つ前後方向に延びる左右一対の支持壁13と、により構成され、前後方向に貫通する略矩形筒状の形状を有している。
【0018】
一対の支持壁13の左右方向に互いに対向する左右方向内側面には、前後方向略中央位置にて、図2に示すように、後方を向いた一対の固定面(平面)14が形成されている。一対の固定面14は、ハウジング20の後述するハウジング本体21(図2参照)の左右両端部を固定するための部位として機能する(図1参照)。
【0019】
一対の支持壁13の上面の固定面14より前側の位置には、上側且つ左右方向外側の角部にて、図2に示すように、一対の前後方向に延びる凹部15が形成されている。各凹部15は、下側及び左右方向内側に窪み、且つ、上側及び左右方向外側に開口する、窪みである。凹部15は、ホルダ60を収容する部位として機能する。各支持壁13における凹部15の左右方向内側に隣接する隣接部分13a(図2参照)の上面には、隣接部分13aの前後方向中央位置にて、下方に窪み且つ左右方向に貫通する溝17が形成されている。溝17は、凹部15と連通している。左右一対の溝17は、カバー30の後述する回動軸33の両端部が配置される部位として機能する(図1参照)。ここで、図11に示すように、溝17の(前後方向の)幅及び(上下方向の)深さの各々は、回動軸33の外径より大きい。即ち、回動軸33の端部が溝17に配置された状態において、溝17の内壁面と回動軸33の外周面との間には、隙間S1が確保されるように、溝17及び回動軸33が設計されている。このように隙間S1を確保することによる作用については後述する。
【0020】
各支持壁13の隣接部分13aの左右方向外側端面(凹部15の左右方向内側端を画成する左右方向に直交する平面)には、溝17を前後方向に挟む一対の位置にて、一対のボルト孔16(図7参照)が形成されている。各ボルト孔16は、左右方向内側に窪むメネジ孔である。一対のボルト孔16には、ホルダ60を締結固定するための後述する一対のボルト74(図2参照)が捻じ込まれることになる。
【0021】
次いで、ハウジング20について説明する。樹脂製のハウジング20は、図2に示すように、左右方向に長い細長平板状のハウジング本体21を有する。ハウジング本体21には、その左右方向両端部から前後方向に突出する一対の円筒状の端子収容筒部22が、一体に設けられている。端子収容筒部22の内部には、前後方向に貫通する端子収容室23が形成されている(図5及び図6参照)。端子収容室23には、電線3(図1参照)の端部に接続された端子(メス端子、図示省略)が、後方から、挿入され固定される。
【0022】
端子収容筒部22の前端部には、端子収容室23の前端開口である開口部24が形成されている(図2図5及び図6参照)。コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合時、相手側コネクタ2に収容されている相手側端子(オス端子)が、開口部24を介して端子収容室23内に挿入されて、端子収容室23内に位置する端子(メス端子)と接続される。
【0023】
ハウジング本体21には、一対の端子収容筒部22より左右方向内側の位置にて、左右方向に間隔を空けてハウジング本体21から前方に突出する一対の円筒状の突出部25が、一体に設けられている。一対の端子収容筒部22の前端の前後方向位置と、一対の突出部25の前端の前後方向位置とは、一致している。突出部25の内部には、複数の(本例では、各々4つの)端子収容室が形成されており、突出部25の前端部には、それら端子収容室の各々に対応する複数の(本例では、各々4つの)開口部が形成されている。端子収容筒部22の端子収容室23と同様、突出部25の端子収容室の各々には、電線(図示省略)の各々の端部に接続された端子が、後方から、挿入されて固定される。
【0024】
ハウジング本体21には、前方から見て左右方向に長尺な長円状の形状を有する筒状部26が、前方に突出し、且つ、一対の端子収容筒部22及び一対の突出部25(即ち、左右方向に並ぶ4つの円筒状の突出部)を一括して囲むように、一体に設けられている。コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合時、相手側コネクタ2が、筒状部26の前端開口を介して筒状部26の内部空間に挿入される。
【0025】
次いで、カバー30について説明する。カバー30は、パッキン50を保持し(図3及び図4参照)、且つ、ハウジング20の開口部24を覆う閉位置(図6参照)と、開口部24を開放する開位置(図5参照)との間にてパッキン50と共に回動可能に、アウタケース10に支持される部品である。
【0026】
カバー30は、図3及び図4に示すように、フロントカバー30Aと、リアカバー30Bと、を有している。フロントカバー30A及びリアカバー30Bは、(カバー30の閉位置にて)フロントカバー30Aがリアカバー30Bの前側に配置されるように、且つ、互いの間にパッキン50を挟んで保持するように、互いに組み付けられる。
【0027】
フロントカバー30Aは、図4に示すように、左右方向に長い略矩形平板状の樹脂製のカバー本体31を備える。カバー本体31の(カバー30の閉位置にて)上側の縁部には、左右両方向に突出する一対の樹脂製の軸状部32が一体に設けられている(図4参照)。フロントカバー30Aには、左右方向に延びる棒状の金属製の回動軸33が、カバー本体31の前記上側の縁部及び一対の軸状部32を左右方向に連続して貫通するように、且つ、その両端部が露出するように、インサート成形により一体化されている。カバー30の閉位置は、回動軸33からカバー本体31が下方に平行に延びるカバー30の向きに対応し(図6参照)、カバー30の開位置は、回動軸33からカバー本体31が前方に平行に延びるカバー30の向きに対応している(図5参照)。
【0028】
回動軸33の右端部の先端部分には、平板状の係合部33aが形成されている(図2図4及び図13参照)。係合部33aは、アクチュエータ40の駆動軸41の先端部にて係合部33aに対応して設けられた凹状の被係合部41aと、係合することになる(図13参照)。
【0029】
カバー本体31の(カバー30の閉位置にて)後側の端面(図4参照)には、ハウジング20の筒状部26の前端開口に対応して、後方に突出する環状突起34が、後方から見て左右方向に長尺な長円状の形状を有するように、一体に設けられている。カバー30の組み付け時にて、環状突起34は、パッキン50の後述する環状溝52に挿入されることになる(図5及び図6参照)。
【0030】
リアカバー30Bは、図4に示すように、平板状の樹脂製のカバー本体35を備える。カバー本体35は、ハウジング20の筒状部26の前端開口に対応して、後方から見て左右方向に長尺な長円状の形状を有している。カバー本体35の外周面の(カバー30の閉位置にて)後側の端部には、当該外周面の全周に亘って外側に突出する環状フランジ部36が、一体に設けられている(図4図6参照)。環状フランジ部36の(カバー30の閉位置にて)前側の端面には、ハウジング20の筒状部26の前端開口に対応して、前方に突出する環状突起37が、前方から見て左右方向に長尺な長円状の形状を有するように、一体に設けられている。カバー30の組み付け時にて、環状突起37は、パッキン50の後述する環状溝53に挿入されることになる(図5及び図6参照)。
【0031】
カバー本体35の(カバー30の閉位置にて)後側の端面(図4参照)には、ハウジング20の一対の端子収容筒部22及び一対の突出部25(即ち、左右方向に並ぶ4つの円筒状の突出部)に対応して、左右方向に並ぶ4つの円形の凹部38が形成されている。4つの凹部38は、カバー30の閉位置にて、一対の端子収容筒部22及び一対の突出部25(即ち、左右方向に並ぶ4つの円筒状の突出部)のそれぞれの先端部との干渉を回避するための逃げ部として機能する(図6参照)。
【0032】
カバー30に保持されるパッキン50は、図4に示すように、ハウジング20の筒状部26の前端開口に対応して、前後方向から見て左右方向に長尺な長円状の形状を有する、ゴム製の環状のシール部材である。パッキン50は、カバー30の閉位置にて、防塵、端子保護、周囲への感電防止等のために、ハウジング20の端子収容筒部22の開口部24及び突出部25の先端面を覆う機能を果たす。
【0033】
パッキン50の外周面には、パッキン50の全周に亘って外側に突出する一対の環状リップ部51が(カバー30の閉位置にて)前後方向に並ぶように、一体に設けられている(図5及び図6参照)。環状リップ部51は、カバー30の閉位置(図6参照)にて、ハウジング20の筒状部26の内壁面に押圧接触することで、カバー30とハウジング20との間の隙間を封止する機能を果たす。パッキン50の(カバー30の閉位置にて)前側の側面には、環状溝52が形成され、パッキン50の(カバー30の閉位置にて)後側の側面には、環状溝53が形成されている。
【0034】
カバー30を組み付けるには、まず、リアカバー30Bにパッキン50を組み付ける。具体的には、パッキン50の環状溝53に環状突起37が挿入されるように、カバー本体35の外周面にパッキン50が装着される。次いで、パッキン50が組み付けられたリアカバー30Bをフロントカバー30Aに組み付ける。具体的には、パッキン50の環状溝52に環状突起34が挿入されるように、パッキン50が組み付けられたカバー本体35を後側からカバー本体31に重ね合わせた状態で、複数のボルト73(図4参照)によって、カバー本体31及びカバー本体35が互いに締結固定される。これにより、カバー30の組み付けが完了する。カバー30の組付完了状態では、図5及び図6に示すように、パッキン50が、(カバー30の閉位置にて)前後方向に対向配置された環状突起34,37によって前後方向に挟まれるように、カバー30に保持されている。これにより、パッキン50がカバー30から分離することが抑制されている。
【0035】
次いで、ホルダ60について説明する。ホルダ60は、図1及び図2に示すように、アウタケース10の一対の凹部15にそれぞれ装着されて、カバー30を回動可能に支持する部品である。樹脂製のホルダ60は、図2図8及び図12に示すように、前後方向に延びる平板状の基板部61を備える。図12に示すように、基板部61には、前後方向中央部にて、軸挿通孔62が左右方向(板厚方向)に貫通するように形成されている。軸挿通孔62には、金属製の円筒状の軸受(ベアリング)64が装着されている。軸受64には、カバー30の回動軸33の先端部が挿通されることになる(図12参照)。
【0036】
基板部61には、軸挿通孔62(軸受64)を前後方向に挟む一対の位置にて、アウタケース10の前後一対のボルト孔16(図7等参照)に対応して、前後一対の貫通孔63が左右方向(板厚方向)に貫通するように形成されている。貫通孔63には、ボルト74の軸部75(図2参照)が挿通されることになる(図12参照)。図12に示すように、貫通孔63には、金属製の円筒状のカラー65が装着されている。ここで、図12に示すように、カラー65の内径は、ボルト74の軸部75の外径より大きい。即ち、ボルト74の軸部75がカラー65に挿通された状態において、カラー65の内壁面と軸部75の外周面との間には、隙間S2が確保されるように、カラー65及び軸部75が設計されている。隙間S2の大きさは、上述した隙間S1(図11参照)の大きさより僅かに小さい。このように隙間S2を確保することによる作用については後述する。なお、図12に示すように、軸受64の内径は、回動軸33の外径と略同一となっている。即ち、回動軸33が軸受64に挿通された状態において、軸受64の内壁面と回動軸33の外周面との間には、隙間が殆ど確保されていない。
【0037】
基板部61には、軸挿通孔62と貫通孔63との間の前後一対の位置から左右方向外側に突出する一対の壁部66と、左右方向外側に突出し且つ一対の壁部66の下端部同士を前後方向に連結する壁部67と、が一体に設けられている(図2図8及び図13参照)。図13に示すように、各壁部66は、左右方向からみて前後方向外側に突出する円弧状の形状を有している。各壁部66の前後方向内側面(一対の壁部66が互いに対向する側の面)には、左右方向に延びる突起部68が、上下方向の2箇所にてそれぞれ形成されている(図8及び図13参照)。このように突起部68を設けたことによる作用については後述する。以上、コネクタ1を構成する各部品について説明した。
【0038】
次いで、コネクタ1の組み付け手順について説明する。先ず、図2に示すように、一対の支持壁13が、底板11の上面の左右一対の側縁に、ボルト(図示省略)によって締結固定される。次いで、一対の電線3(図1及び図2参照)の端部に接続された一対の端子(図示省略)が収容されているハウジング20が、一対の支持壁13の間の位置にて一対の支持壁13に固定される。具体的には、ハウジング本体21の左右方向両端部の前端面が、一対のボルト71(図2参照)によって、一対の支持壁13の固定面14に締結固定される。
【0039】
次いで、パッキン50が保持されたカバー30が、アウタケース10に回動可能に支持される。具体的には、まず、図7に示すように、カバー30の回動軸33の両端部が、それらの先端部分が一対の凹部15内に位置するように、一対の支持壁13の溝17に、上方から収容されて支持される(図7の白矢印を参照)。この状態では、上述した隙間S1(図11参照)の存在に起因して、左右方向に直交する方向における回動軸33のアウタケース10(支持壁13)に対する相対位置が、隙間S1の範囲にて任意に調整可能となっている。
【0040】
次いで、図8に示すように、一対のホルダ60が一対の支持壁13の凹部15に装着される。具体的には、各ホルダ60が、凹部15内に位置する回動軸33の端部が軸受64に挿通されるように、且つ、基板部61が凹部15の左右方向内側端面に接触するように、左右方向外側から凹部15に装着される(図8の白矢印を参照)。この状態にて、回動軸33の先端部分(特に、右側の先端部分では、係合部33a)が、ホルダ60の一対の壁部66の間に位置している。
【0041】
次いで、図9に示すように、各ホルダ60が、一対のボルト74を利用して、凹部15に対して仮固定される。具体的には、各ホルダ60について、一対のボルト74の軸部75が、左右方向外側から一対のカラー65及びアウタケース10の一対のボルト孔16にこの順に挿入されて、一対のボルト孔16に弱いトルクで捩じ込められて仮止めされる(図9の太い白矢印を参照)。この状態では、上述した隙間S1(図11参照)及び隙間S2(図12参照)の存在に起因して、左右方向に直交する方向におけるホルダ60のアウタケース10(支持壁13、ハウジング20)に対する相対位置が、隙間S2の範囲にて任意に調整可能となっている。
【0042】
次いで、カバー30に保持されているパッキン50によるカバー30とハウジング20との間の隙間の封止に適した位置に、カバー30の回動軸33が位置するように、ホルダ60のアウタケース10に対する相対位置が調整される。具体的には、カバー30を閉位置に維持した状態(即ち、パッキン50の環状リップ部51が筒状部26の内壁面に押圧接触して、カバー30とハウジング20との間の隙間が封止された状態)において、パッキン50がカバー30に及ぼす反発力が釣り合う位置に、カバー30の回動軸33が位置するように、左右方向に直交する方向におけるホルダ60のアウタケース10に対する相対位置が、隙間S2の範囲内にて調整される(図9の細い白矢印を参照)。この調整は、例えば、パッキン50がカバー30に及ぼす反発力が自然に釣り合うことを利用して行ってもよいし、カバー30の位置を作業者が目視等で確認しながら手作業で行ってもよい。
【0043】
次いで、ホルダ60のアウタケース10に対する相対位置が上記調整された位置に保持された状態で、一対のボルト74が規定トルクでそれぞれ締め付けられる。なお、これらの締結作業を行う際、ホルダ60の一対の壁部66の存在により、誤ってカバー30の回動軸33に工具等が接触することを抑制することができる。これらの締結により、一対のボルト74の頭部76と凹部15の左右方向内側端面との間にホルダ60の基板部61が押圧挟持されることで、ホルダ60のアウタケース10に対する相対位置が上記調整された位置に固定される。これにより、ハウジング20、カバー30及びパッキン50の形状バラツキの大小によらず、カバー30の閉位置(図6参照)におけるハウジング20に対するカバー30の位置を、カバー30とハウジング20との間の隙間の封止に適した位置に固定した状態を維持しながら、カバー30が、閉位置(図6参照)と開位置(図5参照)との間にてパッキン50と共に回動可能な状態となる。
【0044】
次いで、天板12が、複数本のボルト72(図2参照)によって、一対の支持壁13の上面に締結固定される。これにより、前後方向に貫通する略矩形筒状のアウタケース10が完成する(図1参照)。完成したアウタケース10の内部空間には、ハウジング20が収容され、且つ、カバー30が回動可能に収容されている。
【0045】
次いで、図1に示すように、アクチュエータ40がアウタケース10に取り付けられる。アクチュエータ40は、典型的には、駆動軸41(図1参照)を備えた電気モータである。アクチュエータ40は、図1及び図13に示すように、左右方向に延び且つ左方に突出する駆動軸41と、ホルダ60の一対の壁部66に対応して、駆動軸41を前後方向に挟む一対の位置から左方に突出する一対の壁部42と、を有している。
【0046】
アクチュエータ40は、右方から、一対の壁部42が一対の壁部66の内側に位置するように、且つ、駆動軸41の先端部に設けられた凹状の被係合部41aと回動軸33の係合部33aとが係合するように(図13参照)、右側の支持壁13の外側面に取り付けられる。このとき、ホルダ60の一対の壁部66及び壁部66に設けられた突起部68(図13参照)によって、アクチュエータ40(の一対の壁部42)を適正な位置に案内することができる。被係合部41aと係合部33aとの係合によって、回動軸33と駆動軸41とが一体回転するように互いに連結される。これにより、アクチュエータ40を電気的に制御することで、カバー30が、閉位置(図6参照)と開位置(図5参照)との間にて回転駆動可能な状態となる。以上により、コネクタ1の組み付けが完了する。
【0047】
コネクタ1と相手側コネクタ2との非嵌合時、カバー30が閉位置(図6参照)に維持される。これにより、カバー30が開口部24を覆うと共に、パッキン50の環状リップ部51がカバー30とハウジング20との間の隙間を封止することで、防塵、端子保護、周囲への感電防止等が達成される。一方、コネクタ1と相手側コネクタ2との嵌合時、カバー30が開位置(図5参照)に維持される。これにより、一対の開口部24が開放されて、相手側コネクタ2に収容されている一対の相手側端子(オス端子)が、開口部24を介して端子収容室23内に挿入可能な状態となる。
【0048】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るコネクタ1、及び、コネクタ1の製造方法によれば、コネクタ1が、カバー30の回動軸33を支持するホルダ60を有している。更に、コネクタ1は、回動軸33に交差する面に沿う方向におけるホルダ60のハウジング20に対する相対的な位置を所定の範囲内(隙間S2の範囲内)から選択するとともに、選択した位置にホルダ60を固定可能な、固定構造を有している。よって、コネクタ1を製造する際、カバー30とハウジング20との間の隙間の封止に適した位置(例えば、カバー30が閉位置にあるときにパッキン50がカバー30に及ぼす反発力が釣り合う位置)にカバー30やパッキン50が位置するように、ホルダ60の位置を調整した上で(即ち、位置合わせを行いながら)、ホルダ60を固定することができる。その結果、ハウジング20、カバー30及びパッキン50の形状バラツキの大小によらず、ハウジング20に対するカバー30の位置をカバー30とハウジング20との間の隙間の封止に適した位置に定めることができる。したがって、本実施形態に係るコネクタ1は、パッキン50によってハウジング20とカバー30との間の隙間を適正に封止可能である。
【0049】
更に、ホルダ60が、回動軸33が挿し込まれる軸受64と、ボルト74が挿し込まれるカラー65と、を有している。ボルト74の軸部75と、軸部75に向かい合うカラー65の内壁面と、の間には、隙間S2(図12参照)があり、締結時にボルト74の頭部76でホルダ60を押圧することで、ホルダ60が固定される。これにより、上述した固定構造が実現されている。
【0050】
更に、ホルダ60が、軸受64とカラー65との間に配置されて軸受64に沿う向きに立設する壁部66、を有する。これにより、カラー65にボルト74を挿し込んで締結する作業を行う際、誤ってカバー30の回動軸33に工具等が接触することを抑制することができる。
【0051】
更に、壁部66が、軸受64に面する側面から突出する突起部68を有する。これにより、カバー30の回動軸33を回転駆動するアクチュエータ40を回動軸33に取り付ける際、壁部66及び突起部68によってアクチュエータ40を適正な位置に案内することができる。
【0052】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0053】
上記実施形態では、ホルダ60が、軸受64とカラー65との間に配置されて軸受64に沿う向きに立設する壁部66、を有する。これに対し、ホルダ60が、このような壁部を有していなくてもよい。
【0054】
更に、上記実施形態では、ホルダ60の壁部66は、軸受64に面する側面から突出する突起部68を有している。これに対し、ホルダ60の壁部66が、このような突起部を有していなくてもよい。
【0055】
更に、上記実施形態では、ホルダ60が有する貫通孔63に取り付けられた筒状のカラー65(即ち、貫通した孔)に、ボルト74の軸部75が挿し込まれるようになっている。これに対し、このような孔に替えて、ホルダ60の基板部61に左右方向に貫通した溝やスリット等を設け、この溝やスリット等にボルト74の軸部75を挿し込んでもよい。
【0056】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ1、及び、コネクタ1の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0057】
[1]
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部(24)を有する収容室(23)を有するハウジング(20)と、回動軸(33)周りに回動することによって前記開口部(24)を覆う閉位置と前記開口部(24)を開放する開位置との間にて移動可能なカバー(30)と、前記カバー(30)が前記閉位置にあるときに前記カバー(30)と前記ハウジング(20)との間の隙間を封止するパッキン(50)と、前記回動軸(33)を支持する軸受部品(60)と、を備えるコネクタ(1)であって、
当該コネクタ(1)は、
前記回動軸(33)に交差する面に沿う方向における前記軸受部品(60)の前記ハウジング(20)に対する相対的な位置を所定の範囲(S2)内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品(60)を固定可能な、固定構造を有する、
コネクタ(1)。
【0058】
上記[1]の構成のコネクタによれば、カバーの回動軸を支持する軸受部品を有している。更に、コネクタは、回動軸に交差する面に沿う方向における軸受部品のハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した位置に軸受部品を固定可能な、固定構造を有している。よって、コネクタを製造する際、隙間の封止に適した位置(例えば、カバーが閉位置にあるときにパッキンがカバーに及ぼす反発力が釣り合う位置)にカバーやパッキンが位置するように、軸受部品の位置を調整した上で(即ち、位置合わせを行いながら)、軸受部品を固定することができる。その結果、ハウジング、カバー及びパッキンの形状バラツキの大小によらず、ハウジングに対するカバーの位置を隙間の封止に適した位置に定めることができる。したがって、本構成のコネクタは、パッキンによってハウジングとカバーとの間の隙間を適正に封止可能である。
【0059】
[2]
上記[1]に記載のコネクタ(1)であって、
前記軸受部品(60)を締結固定するボルト(74)を、更に備え、
前記軸受部品(60)は、
前記回動軸(33)が挿し込まれる軸受部(64)と、前記ボルト(74)が挿し込まれるボルト挿入部(65)と、を有し、
前記固定構造は、
前記ボルト(74)の軸部(75)と、前記軸部(75)と前記軸部(75)に向かい合う前記ボルト挿入部(65)の内壁面との間に設けられて前記範囲に対応する広さの隙間(S2)と、前記ボルト(74)の締結時に前記軸受部品(60)を押圧して固定する前記ボルト(74)の頭部(76)と、を含む、
コネクタ(1)。
【0060】
上記[2]のコネクタによれば、軸受部品が、回動軸が挿し込まれる軸受部と、ボルトが挿し込まれるボルト挿入部と、を有している。ボルトの軸部と、軸部に向かい合うボルト挿入部の内壁面と、の間には、上述した軸受部品の位置合わせの範囲に対応する広さの隙間があり、締結時にボルトの頭部で軸受部品を押圧することで、軸受部品が固定される。これにより、上述した固定構造を実現できる。
【0061】
[3]
上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記軸受部品(60)は、
前記軸受部(64)と前記ボルト挿入部(65)との間に配置されて前記軸受部(64)に沿う向きに立設する壁部(66)、を更に有する、
コネクタ(1)。
【0062】
上記[3]のコネクタによれば、軸受部品が、軸受部とボルト挿入部との間に配置されて軸受部に沿う向きに立設する壁部、を有する。これにより、ボルト挿入部にボルトを挿し込んで締結する作業を行う際、誤ってカバーの回動軸に工具等が接触することを抑制することができる。
【0063】
[4]
上記[3]に記載のコネクタ(1)において、
前記壁部(66)は、
前記軸受部(64)に面する側面から突出する突起部(68)を有する、
コネクタ(1)。
【0064】
上記[4]のコネクタによれば、壁部が、軸受部に面する側面から突出する突起部を有する。これにより、例えば、カバーの回動軸を回転駆動するアクチュエータ(例えば、モータ等)を回動軸に取り付ける際、壁部及び突起部によってアクチュエータを適正な位置に案内することができる。
【0065】
[5]
端子を収容可能であり且つ相手側端子を受け入れ可能に開口した開口部(24)を有する収容室(23)を有するハウジング(20)と、回動軸(33)周りに回動することによって前記開口部(24)を覆う閉位置と前記開口部(24)を開放する開位置との間にて移動可能なカバー(30)と、前記カバー(30)が前記閉位置にあるときに前記カバー(30)と前記ハウジング(20)との間の隙間を封止するパッキン(50)と、前記回動軸(33)を支持する軸受部品(60)と、を備えるコネクタ(1)を製造するための、製造方法であって、
前記カバー(30)の前記回動軸(33)を前記軸受部品(60)によって支持する工程と、
前記回動軸(33)に交差する面に沿う方向における前記軸受部品(60)の前記ハウジング(20)に対する相対的な位置を所定の範囲(S2)内から選択するとともに、選択した前記位置に前記軸受部品(60)を固定する工程と、を備える、
コネクタの製造方法。
【0066】
上記[5]の構成のコネクタの製造方法によれば、カバーの回動軸を支持する軸受部品を有している。更に、コネクタは、回動軸に交差する面に沿う方向における軸受部品のハウジングに対する相対的な位置を所定の範囲内から選択するとともに、選択した位置に軸受部品を固定可能な、固定構造を有している。よって、コネクタを製造する際、隙間の封止に適した位置(例えば、カバーが閉位置にあるときにパッキンがカバーに及ぼす反発力が釣り合う位置)にカバーの回動軸が位置するように、軸受部品の位置を調整した上で(即ち、位置合わせを行いながら)、軸受部品を固定することができる。その結果、ハウジング、カバー及びパッキンの形状バラツキの大小によらず、ハウジングに対するカバーの位置を隙間の封止に適した位置に定めることができる。したがって、本構成のコネクタの製造方法では、パッキンによってハウジングとカバーとの間の隙間を適正に封止可能なコネクタを得ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ
20 ハウジング
23 端子収容室(収容室)
24 開口部
30 カバー
33 回動軸
50 パッキン
60 ホルダ(軸受部品)
64 軸受(軸受部)
65 カラー(ボルト挿入部)
66 壁部
68 突起部
74 ボルト
75 軸部
76 頭部
S2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13