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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】組織取り出しシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20240214BHJP
   A61B 17/34 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B17/34
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084979
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2017553395の分割
【原出願日】2016-04-25
(65)【公開番号】P2022130372
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】62/151,736
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ドー アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】プラヴォン ブーン
(72)【発明者】
【氏名】ワチリ セレヌ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503022(JP,A)
【文献】特表2002-531160(JP,A)
【文献】特表2008-515523(JP,A)
【文献】特表2006-501973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の辺縁を画定する体開口部を通る耐切断性経路を提供するガードであって、前記ガードは、
第1の端部と第2の端部との間で長手方向軸線に沿って延びる中央ルーメンを画定する管の形状を備えた側壁を有し、前記側壁は、耐切断性メッシュ材料で作られ、前記耐切断性メッシュ材料は、前記メッシュ材料の管状の第1の層内に隙間を形成する複数の織編フィラメントを有し、前記側壁は、前記ガードの遠位端部のところに折り目を作るよう折り畳まれ、前記側壁の前記第1の端部と前記第2の端部は、前記ガードの近位端部のところで互いに隣接して位置し、前記折り畳まれた側壁は、前記管状の第1のメッシュ材料層と実質的に同軸である管状の第2のメッシュ材料層を形成する、ガード。
【請求項2】
前記ガードは、少なくとも中央ネック部分を有し、前記メッシュ材料を側方の方向に伸張させて前記フィラメントを互いに対して動かし、前記ガードの長手方向寸法を縮小している間に前記隙間を側方に拡張することにより、当該中央ネック部分は側方に拡張可能である、請求項1に記載のガード。
【請求項3】
前記ガードは変形形態を有し、当該変形形態において、前記遠位端部のところの前記ガードの外側寸法が、常態の非変形形態における前記遠位端部の前記ガードの前記外側寸法に対して減少している、請求項1又は2に記載のガード。
【請求項4】
前記ガードは、少なくとも、側方縮小が可能であるよう構成された遠位部分を有する、請求項1~3のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項5】
前記ガードは、砂時計の形状を有する、請求項1~4のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項6】
前記ガードの前記近位端部のところに形成された近位フランジをさらに含み、前記近位フランジは、前記近位端部に向かって次第に拡径している中央ルーメンによって画成されている、請求項1~5のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項7】
前記ガードの前記遠位端部のところに形成された遠位フランジを更に有し、前記遠位フランジは、前記遠位端部に向かって次第に拡径している中央ルーメンによって構成されている、請求項1~6のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項8】
前記遠位フランジは遠位側に撓められることにより、前記遠位端部および前記ガードの前記遠位フランジの側方の寸法が減少するように、前記ガードの軸方向寸法を長くすることができる、請求項7に記載のガード。
【請求項9】
前記遠位フランジは、前記ガードの前記体開口部への挿入および前記ガードの前記体開口部からの取り出しを容易にするよう前記ガードの前記遠位端部の側方の寸法を減少させるよう遠位側の方向に下方へ折り畳まれるようになっている、請求項7に記載のガード。
【請求項10】
前記ガードの近位端部に周方向リングまたはビードを更に有し、前記側壁の前記第1の端部と前記第2の端部の両方は、前記周方向リングまたはビード内に配置されている、請求項1~9のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項11】
前記ガードの前記遠位端部周りに周方向に隙間を通って製織されたプルワイヤを更に有し、前記プルワイヤは、引かれると、前記遠位端部の側方の寸法を減少させるよう構成されている、請求項1~10のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項12】
前記プルワイヤが解放されると、前記ガードの前記遠位端部は、常態の非変形形態に戻るよう付勢されている、請求項11に記載のガード。
【請求項13】
複数の織編フィラメントが、塑性変形可能なヒートセット材料で形成され、前記耐切断性メッシュ材料は、織編フィラメントを備え、塑性変形可能なヒートセット材料のガラス転移温度でヒートセットされて前記側壁の耐切断性メッシュを形作る、請求項1~12のうちいずれか一に記載のガード。
【請求項14】
前記織編フィラメントのヒートセット材料が、前記側壁が変形され、その後、開放された際に、元の常態の非変形形態に戻るような記憶保持を前記側壁の耐切断性メッシュに与える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ガードの前記近位端部は、分散被覆又は抗菌被覆をさらに含む、請求項1~14のうちいずれか一に記載のガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具に関し、特に、体開口部を通って組織を取り出すシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年4月23日に出願された米国特許仮出願第62/151,736号(発明の名称:Systems and methods for tissue removal)の優先権および権益主張出願である。
【背景技術】
【0003】
小さな切開創部位および/または諸々の体口を含む体開口部を通る組織の外科的除去のためのシステムおよび方法が文献記載されている。必要な場合、体腔内に位置する外科的に標的となる組織に接近するために小さな切開創が患者に作られる。外科的に標的となる組織にはまた、初期切開創なしで体口を通って接近することができる。場合によっては、標的組織に切開創または体口を通って直接接近する。場合によっては、接近器具システムが切開創および/または体口中に、これらを横切って、これらのところにかつ/あるいはこれらの中に配置されるとともに位置決めされて、組織をレトラクトし、切開創または体口を拡大し、再付形するとともに/あるいは隔離する。接近器具システムは、体腔または体口内にまたはこれに隣接して位置する標的組織に接近するための門またはポータルとして働く。標的組織は、公知の外科的技術または外科的処置を採用して隣接するとともに周りの組織から剥離される。いったん自由にされると、標的組織は、小さな切開創または体口を通っていつでも取り出し可能な状態にある。標的組織が大きすぎてこれを全体として除去することができない場合、標的組織のサイズを減少させて小さな切開創を通って標的組織を部分的に取り出す。理想的には、外科医は、標的組織の「芯をくりぬき」または標的組織の「表面を剥がして」これをできるだけ一体の状態に保つ。しかしながら、5割以上の確率で標的組織は、多数の小片になる。
【0004】
標的組織の寸法を減少させることは、細切と呼ばれる。細切手技では、小刀またはナイフを用いて手動でまたは電動式細切器を採用して標的組織を小片の状態に切断し、そして標的組織が小さな切開創を通って取りだし可能であるように標的組織を切断する。標的組織の小片は、小さな切開創を通って患者から取り出される。標的組織をこれが小さな切開創にあった状態で通過するために寸法を減少させているとき、組織の小片が切り落とされて患者の体内に残される場合がある。したがって、細切は、悪性腫瘍または子宮内膜症の場合に禁忌である。癌を細切する場合、癌は、悪性の組織を広げて癌のステージを上げる場合があり、そして患者の死亡率を増加させる場合がある。
【0005】
子宮摘出術は、細切を含む場合のある外科的処置の一例である。500,000件を超える子宮摘出術が米国において婦人に対して毎年行われている。婦人が子宮摘出術を受けるのが良い通常の理由は、フィブロイド、癌、子宮内膜症または子宮脱が存在している場合である。これら子宮摘出術のうち約200,000件は、腹腔鏡下で行われる。子宮が大きすぎる(300gを超える)ので膣を通って取り出すことができない場合または子宮頸が依然として定位置にある場合、腹部切開創を通りまたは膣を通って取り出すためには検体の寸法を減少させなければならない。筋腫切除術(フィブロイド除去)の実施中、細切手技を用いて大きなフィブロイドを摘出する必要がある場合もある。細切中、標的組織(通常、子宮および場合によっては付属器構造体)を例えば組織把持器により腹壁表面に至らせてブレードを用いてその寸法を減少させ、そして切開創を通って骨盤腔から取り出す。別法では、体口、例えば膣を通って標的組織を取り出す。フィブロイドまたは子宮平滑筋腫は、子宮摘出術のうちで約30~40%の原因となっている。これらは、子宮の良性腫瘍であり、これらフィブロイドまたは子宮平滑筋腫は、重くかつ有痛性の出血を招く場合がある。過去において、これら腫瘍が見逃された癌または平滑筋肉腫である場合があり、10,000人の婦人のうちで約1人が罹患していると考えられていた。より最近のデータの結果は、これら腫瘍のうちで見逃した悪性腫瘍の極めて高いリスクを裏付けており、その範囲は、1:1000~1:400に見積もられる。リスクがこのように高いので、多くの外科医は、開放細切と呼ばれるプロセスにおいて袋を用いないで細切するのではなく、袋の中で細切してあちこちと漂う小片を収容し、そして腫瘍細胞の拡散および播種(シーディング)を防止することによって、自分の技術を変えて検体を包み込んで閉鎖された細切プロセスを実施しようとし始めた。AAGL、ACOG、およびSGOを含む多くのGYN学会は、開放細切の潜在的な危険性を警告する声明を出した。2014年4月17日付けで、FDAは、フィブロイドのためのこれらの手技を受ける婦人にとって子宮摘出術および筋腫切除術の実施のために開放電動式細切法の使用を控える旨の声明を出した。FDAはまた、悪性の可能性の見積もりを350に対して1の割合に増大させた。これらの理由で、組織検体を安全にかつ効果的に縮小するシステムおよび方法が要望されている。本発明は、閉鎖系で実施される手動細切と電動式細切の両方のためのかかる安全なシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一観点によれば、組織の辺縁を保護するために体開口部を通る耐切断性経路を提供するガードが提供される。ガードは、中央ルーメンを画定する管の形状を備えた側壁を有する。中央ルーメンは、近位端部のところの近位開口部と遠位端部のところの遠位開口部との間で長手方向軸線に沿って延びる。側壁は、隙間を形成する複数の織編フィラメントを有する柔軟性の耐切断性メッシュ材料の少なくとも1つの層で作られている。側壁は、近位端部に向かって次第に拡径している中央ルーメンが側壁に近位フランジを形成し、遠位端部に向かって次第に拡径している中央ルーメンが側壁に遠位フランジを形成する常態の非変形形態にあるときに全体として砂時計の形状を有する。近位フランジは、ガードを組織辺縁の近位端部に対して定着させるよう構成され、遠位フランジは、ガードを組織辺縁の遠位端部に対して定着させるよう構成されている。側壁は、体開口部に沿って組織辺縁を周方向に保護する。側壁は、近位フランジと遠位フランジとの間に配置されたネック部分を有する。側壁は、常態の非変形形態から変形可能であり、解放されると、常態の非変形形態に戻るよう付勢されている。
【0007】
本発明の別の観点によれば、組織の辺縁を画定する体開口部を通る耐切断性経路を提供するガードが提供される。ガードは、第1の端部と第2の端部との間で長手方向軸線に沿って延びる中央ルーメンを画定する管の形状を備えた側壁を有する。側壁は、耐切断性メッシュ材料で作られ、耐切断性メッシュ材料は、メッシュ材料の管状の第1の層内に隙間を形成する複数の織編フィラメントを有する。側壁は、ガードの遠位端部のところに折り目を作るよう折り畳まれ、側壁の第1の端部と第2の端部は、ガードの近位端部のところで互いに隣接して位置する。折り畳まれた側壁は、管状の第1のメッシュ材料層と実質的に同軸である管状の第2のメッシュ材料層を形成する。
【0008】
本発明の別の観点によれば、体開口部に沿って組織辺縁を保護するガードが提供される。ガードは、複数の製織ポリマーフィラメントを備えた耐切断性メッシュ材料の管を有する。管は、第1の端部および第2の端部を有するとともに長手方向軸線に沿って中央ルーメンを備える。管は、第1の端部および第2の端部のうちの一方のところに形成された少なくとも1つのフランジを有する常態の非変形形状を備える。少なくとも1つのフランジは、次第に増大する直径を定める長手方向軸線から周方向外方に延びる。管は、近位端部と遠位端部との間に配置されたネック部分を有する。ネック部分は、少なくとも1つのフランジの直径よりも小さな直径を有する。少なくとも1つのフランジは、フランジが常態の非変形形状に対して小さな外側直径を有する縮小形態に遠位側に折り畳めるよう構成されている。
【0009】
本発明の別の観点によれば、組織の辺縁を保護するために体開口部を通る耐切断性経路を提供するガードが提供される。ガードは、中央ルーメンを画定する管の形状を備えた側壁を有する。中央ルーメンは、近位端部のところの近位開口部と遠位端部のところの遠位開口部との間で長手方向軸線に沿って延びる。側壁は、隙間を形成する複数の織編フィラメントを有する柔軟性の耐切断性メッシュ材料の少なくとも1つの層で作られている。側壁は、遠位端部に向かって次第に増大する直径を備えていて、側壁中にラッパ形遠位フランジを備えた遠位部分を有する。遠位フランジは、ガードを組織辺縁の遠位端部に対して定着させるよう構成されている。側壁は、体開口部に沿って組織辺縁を周方向に保護している。側壁は、遠位フランジに対して近位側に配置されたネック部分を有する。遠位フランジ周りに周方向に配置されたプルワイヤを有し、プルワイヤは、縮小形態に引かれると、遠位フランジの外側寸法を減少させ、縮小形態にあるとき、ガードの挿入および取り出しを容易にするよう構成されている。
【0010】
本発明の別の観点によれば、組織ガードを製造する方法が提供される。本方法は、隙間を形成する複数の織編フィラメントを有する柔軟性メッシュ材料の管を提供するステップを含む。管は、形状が実質的に円筒形であり、近位端部のところの近位開口部と遠位端部のところの遠位開口部との間で長手方向軸線に沿って延びる中央ルーメンを有する。少なくとも1つの外方にラッパ形状に広がったフランジを有するマンドレルを用意する。メッシュ管をマンドレルに取り付けてマンドレルが中央ルーメンの内部に配置され、そして管がマンドレルを包囲するようにする。メッシュ管がマンドレルに嵌められている間にメッシュ管を加熱する。フィラメントを加熱時に塑性変形させてメッシュ管がマンドレルから取り外されたときにメッシュ管がマンドレルの形状に実質的に一致するようにする。メッシュ管をマンドレルから取り外す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】外科用メスおよび本発明のメッシュガードの上から見た斜視図である。
図2】本発明のメッシュガードの上から見た斜視図である。
図3】本発明のメッシュガードの上から見た斜視図である。
図4】本発明のメッシュガードの下から見た斜視図である。
図5】本発明のメッシュガードの側面図である。
図6】遠位端部が本発明に従って手で圧縮された状態のメッシュガードの側面図である。
図7】本発明のメッシュガードの側壁のメッシュ編組体の1つの層の部分断面図である。
図8】本発明のメッシュガードの側壁のメッシュ編組体の2つの層の部分断面図である。
図9】本発明のメッシュガードのためのモールドの上から見た斜視図である。
図10】本発明のメッシュガードのための2部品構成型モールドの上から見た斜視図である。
図11】本発明のメッシュガードのモールドの上から見た斜視図である。
図12】本発明のメッシュガードのための2部品構成型モールドの上から見た斜視図である。
図13】本発明に従って長手方向軸線に沿って最も幅の狭い区分のところに互いに異なるルーメン直径を備えた2つのメッシュガードの平面図である。
図14】本発明のメッシュガードの上から見た斜視図である。
図15】本発明に従って射出成形された近位リングを備えたメッシュガードの側面図である。
図16】本発明に従って射出成形された近位リングを備えたメッシュガードの断面側面図である。
図17】本発明に従って射出成形された近位リングを備えたメッシュガードの上から見た斜視図である。
図18】本発明に従って押し出し近位リングを備えたメッシュガードの側面図である。
図19】本発明に従って押し出し近位リングを備えたメッシュガードの断面側面図である。
図20】本発明に従ってオーバーモールド(被覆成形)されたリングを備えているメッシュガードの側面図である。
図21】本発明に従ってオーバーモールドされたリングを備えているメッシュガードの断面側面図である。
図22】本発明に従ってオーバーモールドされたリングを備えているメッシュガードの上から見た斜視図である。
図23】本発明に従ってオーバーモールドされたリングを備えているメッシュガードの平面図である。
図24】本発明に従ってオーバーモールドされたリングを形成するための流し込み成形ディッシュの上から見た斜視図である。
図25】本発明に従って近位ビードリングを備えたメッシュガードの側面図である。
図26】本発明に従ってビードリングを備えたメッシュガードの断面側面図である。
図27】本発明に従ってヒートシールされている近位リングを備えたメッシュガードの側面図である。
図28】本発明に従ってヒートシールされている近位リングを備えたメッシュガードの断面側面図である。
図29】本発明に従って体壁に設けられた開口部内に配置された収容袋およびガードの断面図である。
図30】本発明のガードおよびレトラクタの断面側面図である。
図31】本発明のガードおよびレトラクタの平面図である。
図32】本発明のテザーを備えたガードの下から見た斜視図である。
図33】本発明に従ってテザーを備えたガードの上から見た斜視図である。
図34】本発明に従ってテザーを備えたガードの下から見た斜視図である。
図35】本発明のガードの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、当業者が外科用ツールを製造して使用することができ、そして本明細書において説明した方法を実施することができるよう提供されており、また、以下の説明は、自分の発明を実施する本発明者によって計画された最適実施態様に係る。しかしながら、種々の改造例が当業者には明らかなままであろう。これら改造例は、本発明の範囲に含まれることが想定される。互いに異なる実施形態またはかかる実施形態の観点が種々の図に示されるとともに明細書全体を通じて説明されていると言える。しかしながら、注目されるべきこととして、別々に図示されまたは説明されているが、各実施形態およびその諸々の観点は、別段の指定がなければ、他の実施形態のうちの1つまたは2つ以上およびその諸々の観点と組み合わせることができる。各組み合わせが明示的に記載されていないのは、明細書の読みやすさを担保するに過ぎないからである。
【0013】
図1図4を参照すると、本発明のメッシュガード10が示されている。図1では、鋭利なブレード13を備えた外科用メス11がメッシュガード10の耐切断特性を説明するためにメッシュガード10に当てた状態で示されている。メッシュガード10は、近位端12と遠位端14との間に延びる側壁16を有する。側壁16は、内面18、外面20およびこれら表面相互間の厚みを有する。メッシュガード10は、近位端12と遠位端14との間で長手方向軸線24に沿って延びる中央ルーメン22を有する。中央ルーメン22は、近位端12のところに位置する近位開口部26および遠位端のところに位置する遠位開口部28を備えている。メッシュガード10の外側寸法は、長手方向軸線24に垂直な平面内に位置する。
【0014】
メッシュガード10は、近位端12のところに滑らかな半径方向延長部またはトップフランジ30を形成するよう長手方向軸線24から側方外方に遠ざかって延びる側壁16によって形成されたラッパ形状に広がった、漏斗状の、トランペット状の、またはホーン状の形状を有する。同様に、遠位端14は、半径方向延長部またはボトムフランジ32を形成するよう長手方向軸線24から側方外方に遠ざかって延びる側壁16によって形成されたラッパ形状に広がった、漏斗状の、トランペット状の、またはホーン状の形状を有する。トップフランジ30は、体開口部中に挿入されるときの保護のエプロンとして役立つ。トップフランジ30は更に、下に位置する隣接の組織収容袋またはレトラクタを損傷させないでブレードで信頼性を持って組織を切断することができるようにするために当てるカッティングボード表面としての役目を果たす。トップフランジ30は、体開口部、体口または切開部位の辺縁のところで体を覆うトップフランジ30は、切断表面として直接用いられない場合、トップフランジ30の上方で行われる切断に対する保護バックドロップとしての役目を果たし、それにより、脇へそれたブレードに対する保護手段となる。一形態では、トップフランジ30は、滑らかな湾曲したまたは丸形の周囲を形成するよう半径方向に向かって下方に曲がったトップリップ34を有する。
【0015】
さらに、トップフランジ30およびボトムフランジ32は、人体と関連してメッシュガード10を保持するのを助けるアンカーとしての役目を果たし、その結果、メッシュガード10は、定位置に位置し、これが納められる体開口部、体口または切開創中に滑り込んだりまたはこれから滑り出たりすることがないようになっている。トップフランジ30は、メッシュガード10が体開口部中に遠位泡に動くのを阻止するアンカーとしての役目を果たし、ボトムフランジ32は、メッシュガードが体開口部から近位側に出るのを阻止するアンカーとしての役目を果たす。メッシュガード10は、手または器具でボトムフランジ32を押し潰しまたは絞ってその外側寸法、特に図6に示されているようなボトムフランジ32の外側寸法を図5に示されている公称の休止形態に対して減少させることによって容易に挿入される。メッシュフィラメント相互間の隙間は、フィラメントが互いに近寄って遠位端部の外側寸法を減少させるための空間となる。また、ガードの遠位端部を軸方向に平行に折り畳むことができ、その理由は、メッシュは、遠位端部の外側寸法を更に減少させるほど高い柔軟性を有するからである。
【0016】
体開口部内にいったん配置されると、メッシュガード10は、体内へのかつ/あるいは患者の内外相互間の体壁を横切る保護門またはポータルとして役立つ。遠位端14のところのボトムフランジ32の漏斗状の形はまた、組織が患者の体内からメッシュガード10を通って中央ルーメン22から引き出されていたり患者の体外の近位開口部26から引き抜かれていたりしているときに、組織をメッシュガード10の中央ルーメン22中に導きまたは案内するのを助ける。当然のことながら、組織は、最初に、患者の体内の収容袋内に配置されるのが良く、そしてメッシュガード10は、収容袋内から収容袋外へのポータルとして役立つよう体開口部を横切って収容袋内に配置される。体開口部(例えば、体口または切開創)を通って取り出されるには大きすぎる組織は、周りの組織、袋およびレトラクタが1つまたは2つ以上がメッシュガード10と関連して用いられる場合に保護されるようメッシュガード10が定位置に位置した状態でブレード11を用いた切断によって縮小される。次に、ブレード10によってサイズを減少させた組織の小さな部分を患者から取り出す。近位端12のところのトップフランジ30の漏斗状の形は、任意の周りの組織、収容袋および/またはレトラクタを体開口部の辺縁のところで損傷させないで組織の縮小/細切を実施するよう必要な器械、例えば外科用把持器(またはグラスパ)またはブレードを中央ルーメン22の近位開口部26中に安全に案内するのに役立つ。当然のことながら、体開口部は、患者の体中への開口部であればどのようなものでも表すために用いられており、かかる体開口部は、切開によって作られた開口部、および生まれつきの口、例えば膣または肛門を含む場合があるが、これらには限定されない。メッシュガード10は、患者の体外から患者の体内へのポータルとしての使用に限定される必要はなく、患者の体内全体、例えば腸、結腸、胃および他の臓器のところどころの部分内での使用にも利用できる。本質的には、メッシュガード10は、組織および/または袋およびレトラクタを含む容易に穴あけ可能な収容システムの保護が望ましい場合にはどこでも使用できる。
【0017】
図5を参照すると、メッシュガード10は、ほぼ3つの相互連結区分に分割でき、かかる区分としては、トップフランジ30を含む近位区分38、中央ルーメン22の最も小さな休止内周部または喉部を含む中間区分40、およびボトムフランジ32を含む遠位区分42が挙げられる。中間区分40は長手方向軸線24に沿って近位区分38と遠位区分42との間に配置されている。中間区分40は近位区分38の遠位側に配置され、遠位区分42は、中間区分40の遠位側に配置されている。これら3つ全ての区分38,40,42は、一体に形成され、側壁16は、3つ全ての区分38,40,42にわたって滑らかに移行している。中央ルーメン22は、器械および組織検体の通過のための保護状態の作業チャネルとして役立つ。
【0018】
メッシュガード10は、砂時計状の形を有し、この場合、外面20は、長手方向軸線24に対して湾曲しかつ凹状である。トップリップ34およびボトムリップ36を除く外面は、例えば、中央ルーメン22を形成するよう長手方向軸線から半径方向距離を置いたところで長手方向軸線回りの回転によって転写された単一の変曲点を有する任意の曲線44 によって定められ、かかる曲線としては、放物線、双曲線、円の一部、または楕円の一部(これらには限定されない)が挙げられる。一形態では、転写された曲線の変曲点は、近位端12と遠位端14との間の中間に位置し、それによりメッシュガード10を垂直方向に対称に形成している。他の形態では、メッシュガード10は、垂直方向に対称ではなく、変曲点は、近位端12と遠位端14との間の中点からより近位側にまたはより遠位側に位置するのが良い。例えば、図5では、変曲点は、遠位端14の近くの中点から僅かに遠位側に位置している。内面18は、外面20に厳密に合致し、かかる内面は、長手方向軸線24に対して湾曲しかつ凸状である。メッシュガード10の一形態では、中間区分40のところの側壁16は、実質的に真っ直ぐな部分を有し、この側壁は、湾曲しておらずまたは僅かに湾曲しており、内面18および外面20は、長手方向軸線24に実質的に平行である。図1図6に示されている形態では、側壁16は、遠位端の近くに大胆な曲率を有し、すなわち、遠位端の近くの曲線44の変化率は、近位端12の近くの曲線の変化率よりも大きい。遠位端14のところの大胆な曲線44は、遠位端14のところで必要な強い定着特性を提供する。また、遠位端14のところでの大胆な曲線44は、収容袋の壁を邪魔にならないところに位置した状態に保つのに役立つ。メッシュガード10が収容袋内に配置されると、ボトムフランジ32は、外方に拡張してこれとともにメッシュガードの近くに位置しまたはメッシュガードと接触状態にある収容袋の任意の部分をそらす偏向させる。
【0019】
メッシュガード10の幾何学的形状は、冷却塔に酷似していると言える。この形状は、双曲線体、すなわち規定された高さを備えた所与の軸線回りの回転面に一般化できる。3つの主要な半径またはアールは、すなわち、近位端12のところの半径(RP)、遠位端14のところの半径(RD)および喉部のところの半径(RT)がこの形状を説明するために使用でき、この場合、喉部RTの高さが垂直軸線に沿ってRDの高さとRPの高さとの間に位置する。喉部は、更に、最も小さな休止直径を有する中間区分の領域または互いに異なる双曲線体の曲線が交わる場所として規定できる。側壁16の厚さを考慮に入れて、内側半径および外側半径は、これらの間のメッシュの任意の数の層が得られるよう定められる。さらに、回転面は、滑らかな移行部を形成するよう互いに接合された1本または2本以上の曲線によって規定できる。例えば、近位区分38は、第1の回転曲線によって定められ、中間区分40は、円筒形区分を形成するよう第2の曲線または回転線によって定められ、遠位区分42は、第1の曲線と同一であっても良くまたはこれとは異なっていても良い第3の回転曲線によって定められる。それ故、側壁16の長さに関し、各曲線について1つずつ、すなわち3つの変曲点が存在すると言える。
【0020】
メッシュガード10が応力を受けておらずかつ休止した位置にあるとき、中央ルーメン22は、長手方向軸線24に垂直な平面で見て実質的に円形である。メッシュガード10はまた、細長い楕円形で長円形の中央ルーメン22を有するよう成形できる。中央ルーメン22は、中間区分40のところで最も小さな直径を有する。中間区分40のところでの最も小さな休止直径から、長手方向軸線24に垂直に取られたメッシュガード10の連続的に並んだ近位断面は、近位端12に向かって次第に増大する直径を有する円を定めている。休止形態にある間、長手方向軸線24に垂直に取られたメッシュガード10の連続的に並んだ遠位側の断面は、遠位端14に向かって中間区分40のところの最も小さな休止直径から次第に増大する直径を有する円を定めている。それ故、メッシュガード10は、中間部のところの幅が狭くまたは細く、その近位端12および遠位端14のところの幅が広くまたは太い。メッシュガード10は、その休止形態にあるとき、長手方向軸線24に関して実質的に対称である。
【0021】
メッシュガード10は、メッシュで作られている。一形態では、近位端12から遠位端14までのメッシュガード10の側壁16全体は、メッシュ材料で作られている。一形態では、側壁16は、図7に示されているようにメッシュ材料の単一の第1の層46で作られている。別の形態では、側壁16は、図8に示されているようにメッシュ材料の第2の層48を覆うメッシュ材料の第1の層46で作られている。図7は、例示のメッシュ材料層46である。メッシュは、束ねられたまたは束ねられていないインターロック状態のフィラメント52の織編または寄り合わされた編組体または網状構造であり、それにより小さな実質的に一様な窓/隙間50を備えた開放テキスチャ構造体が作られる。側壁16の周方向表面は、多数の多角形セルを備えた編組体を形成する互いに編組された多くの相互にオフセットした状態のフィラメント状要素で構成されている。編組体は、フィラメント状要素の2つの交差系が織り混ぜられて一方の系の各フィラメント状要素が他方の系の各フィラメント状要素の上と下に交互に案内されるよう構成されるのが良い。編組体のかかるパターンは、平織りと呼ばれている。
【0022】
依然として図6および図7を参照すると、4本のモノフィラメント52a,52b,52c,52dが単一のストランドまたはバンド54の状態に束ねられている。各バンド54は、角度をなして1つまたは2つ以上の他のバンド54の上下に製織される。例えば、図7では、第1の方向に角度をなした複数の互いに平行なバンド54aが第1の方向に対して角度をなした複数の互いに平行なバンド54bと織編されている。各バンド54a,54bは、4本のフィラメント52a,52b,52c,52dを含む。メッシュ層46は、各バンド54aが2つの連続して隣り合うバンド54bの下を通りまたはこれらと交差し、その後、次の2つの連続して位置するバンド54bの上方を通りまたはこれらと交差するよう製織されている。各バンドは、1つまたは2つ以上の隣接のバンドの下を通り、その後次の1つまたは2つ以上のバンドの上を通る。このウィーブは、これらバンド相互間に複数の四辺形の実質的に長斜方形の窓50を形成し、バンド交差部55が頂端のところに位置している。単位尺度長さ内の交差部55の数は、ウィーブの密度を定める。交差部55が多いと、ウィーブの目が詰まり、窓50のサイズが小さくなる。メッシュ材料の第2の層48は、少なくとも、図8に示されているような高い保護作用を提供するよう窓50の幾つかまたは全てとオーバーラップするとともに部分的に閉じている。また、側壁の長さ全体は、二重壁を構成する。他の形態では、側壁の一部だけが二重壁メッシュであり、他方の部分は、高い柔軟性を提供するよう単一壁メッシュである。ウィーブの配列および密度のために、メッシュ材料は、バンド54が互いの上でこれに沿って互いに摺動することができるので、側方軸線56に沿って伸張することができ、それにより窓50のサイズが大きくなる。側方に伸張されたときにメッシュが広がることにより、メッシュ層46の長さ62は短くなる。メッシュ材料もまた、メッシュの長手方向軸線58に沿って伸張することができる。長手方向に伸張されたときにメッシュが長くなることにより、メッシュ層46の幅60が減少する。側方の方向48における第1の層46に関する伸張量は、長手方向50における第1の層46の伸張可能量よりも多い。各窓50は、側方軸線56に沿って測定した長さおよび長手方向軸線58に沿って測定された窓長さ66を有する。双方の方向56にメッシュが伸張することは、一部には、側方の方向56に沿う窓50の幅64の合計によって制限され、長手方向58におけるメッシュの伸張は、窓50の長さ66の合計によって制限される。窓50の長さ66が窓50の幅64よりも長いので、メッシュは、側方の方向56により伸張することになる。それ故、図示のメッシュに関し、主要な伸張方向は、メッシュの側方軸線56に沿う方向である。メッシュ材料の第2の層48は、第1の層46と同一密度のものであり、重ね合わされると、同一の方向に差し向けられる。第2の層48は、第1の層46と同一である。ウィーブ密度は、ブレード、例えばメスが侵入するのを阻止するに足るほど密度が高くかつメッシュが依然として柔軟性であって伸張可能であるのに十分低い。側方の方向におけるメッシュガードの伸張は、多くの場合、長手方向軸線に沿うメッシュガードの長さの減少が伴い、というのは、窓の長手方向寸法が伸張作用によって減少するからである。
【0023】
メッシュガード10は、メッシュ側壁がメッシュガード10の長手方向軸線24に垂直である主要な伸張方向を有するよう構成されている。この構成例では、メッシュガード10の中央ルーメン22は、自由に伸張して開いて周囲周りに一様に、順応的に、または不規則に拡大することができる。または、切開創または体開口部が小さい場合、中央ルーメン22を小さな直径の状態に側方にサイズを減少させることができる。側方に拡張することにより、有利には、大きな検体が中央ルーメン22を通ることができ、他方依然として周りの組織に対する保護が提供される。伸張力を解除した後、側壁16は、その休止形態に向かって付勢されているのでプリングバックすることになる。任意の緯度方向伸長力がメッシュガード10に作用すると、メッシュガードは、そのセル状ウィーブ構造により弛緩して弾性的にその元の幅の状態になる。それ故、中央ルーメン22は、自己調整型である。例えば、膣管内にあるとき、メッシュガード10は、互いに異なる女性の解剖学的構造に対応する。中央ルーメンは、患者の膣の幅がどれほど狭くまたは広くてもこれに合わせて調整可能である。中央ルーメンはまた、子宮摘出術において摘出されるようになった様々なサイズの子宮に対応するよう上述したように伸張したり直径が増大したりすることができる。例えば、腹部切開創内に配置された場合、メッシュガード10は、様々な切開創サイズに適合してこれに対応することができる。それ故、メッシュ側壁16は、長手方向軸線24に垂直な半径方向に容易に拡張したり伸張したりすることができるとともに喉部直径を減少させるか長手方向に折り目を作ることによるかまたは垂直方向に皺を作ることによるかのいずれかによって喉部を塞ぐよう圧縮可能である。このようにすることができるので、側壁は、解剖学的構造に合致することができるとともに、側壁を例えば挿入目的でかつ/あるいは種々の体開口部長さに対応する目的でユーザによって選択的に変形させることができる。例えば、図6は、メッシュガードが体開口部を通って挿入可能に遠位端部14のところがユーザによって変形されている状態を示している。また、図6に示されている形態は、膣中に挿入されたメッシュガードの例示の挿入形態の例示でもあり、この形態では、メッシュガードは、長い体開口部、例えば長い膣に適合しており、ボトムフランジ32は、依然として、図5に示されているメッシュガードの長さおよび幅に対して定着特性を提供している。図6に示されている仮想上の挿入形態では、メッシュガード10は、図5に示されているその休止非変形形態よりも長い。それ故、メッシュガード10を有利には、長さおよび幅に関して増大させることができるとともに長さおよび幅をその休止形態よりも小さい状態に減少させることができる。解放されると、メッシュガード10は、ひょいと動いて図5のその休止非変形形態に戻る。
【0024】
各フィラメント52は、円形である断面形状を有するが、長円形、細長い形状、および長方形を含む(これらには限定されない)他の形状は、本発明の範囲に含まれる。各フィラメント52は、形状が円筒形であり、その直径は、約0.01~0.02インチ(0.25~0.51mm)である。メッシュは、任意の生体適合性ポリマー、例えば樹脂、ポリエステルおよびナイロンで作られている。メッシュは、任意の生体適合性金属、例えばニチノールで形成されても良い。一形態では、フィラメント52は、ポリエチレンテレフタレートで作られる。
【0025】
メッシュガード10は、メッシュ材料のスリーブまたは管を提供することによって製造されている。例えば、ニュージャージー州スパルタ所在のテクフレックス(Techflex)社製のFLEXO(登録商標)オリジナル・ブレーデッド・スリーブが用いられる。管状スリーブは、開口近位端部および開口遠位端部を有する。このスリーブは、10ミルポリエチレンテレフタレート(PET)モノフィラメントヤーンから編組されている。この材料は、広い動作温度範囲を有し、化学的劣化に対して耐性、UV光および研磨に対して耐性がある。この材料は、ヒートセット可能であり、熱成形可能であり、可撓性であり、低いまたはゼロの吸湿性を有し、生体適合性であり、しかも高い耐研磨性を有する。スリーブは、約1.75インチ(4.45cm)から2.75インチ(6.99cm)までの範囲にある公称休止サイズ直径サイズを有する。しかしながら、メッシュガードの使用分野に応じて、これよりも大きいまたはこれよりも小さい公称直径のスリーブを洗濯することができる。また、加熱によってメッシュガードを成形する製造プロセスの結果として、メッシュガードは、その長さに沿って変化するとともにこのガードを作る素となるスリーブの選択された公称直径よりも大きいまたは小さい公称休止直径を有することになる。2インチ(5.08cm)の公称直径スリーブが選択された場合、このスリーブは、側方の方向56において約1.5インチ(3.81cm)の最小拡張寸法と約3.5インチ(8.89cm)の最大拡張寸法との間の拡張範囲を有する。休止公称拡張寸法は、約2.0インチ(5.08cm)である。2インチ公称サイズ直径についてより目の詰んだウィーブを選択することができる。目の詰まったまたは高密度ウィーブに関し、拡張範囲は、約1.75インチ(4.45cm)の最小拡張寸法と3.125インチ(7.938cm)の最大拡張寸法との間にある。休止公称拡張寸法は、約2.0インチ(5.08cm)である。各窓またはセルは、長手方向軸線、側方軸線またはこれに垂直な方向に沿って測定してほぼ2ミリメートル以下の休止内側寸法を有する。別の形態では、窓/セルの休止内側寸法は、長手方向軸線、側方軸線またはこれに垂直な方向に沿って測定してほぼ1ミリメートル以下である。所望の柔軟性または拡張特性に応じて、所望の密度のウィーブを選択することができる。
【0026】
所望のメッシュスリーブを選択した後、メッシュガードの所望の長さを確かめ、そしてメッシュスリーブを例えばはさみ、ホットナイフ、はんだごて、またはホットワイヤを用いて切断する。スリーブの長さは、最終のメッシュガードの所望の長さの2倍よりもほぼ僅かに長い。メッシュスリーブの一端部は、スリーブのルーメン内に折り返されまたはたくし込まれて巻きながらまたは丸めながら下げられ、その結果、メッシュスリーブは、それ自体にオーバーラップして二重壁構造を形成するようになっている。変形例として、メッシュスリーブの一端部をスリーブのルーメン中に内方ではなく外方に折り返す。いずれにしても、スリーブを内方または外方にたくし込んだ場合、スリーブを丸めながら下げる。その結果、図2図3および図5で理解できる折り目68がガード10の一端部のところに形成された二重層管が得られる。他端部は、ほぼ並置状態にあるスリーブの2つの自由端部を有することになる。スリーブの自由端部は、編組体がほどけてフィラメントが広がって分かれるとほつれ始める。接着剤、例えばLOCTITE シーラントをメッシュスリーブの端部に塗布してフィラメント52のほつれを阻止するのが良い。また、ホットナイフを用いてほつれを減少させるのが良い。ガードの近位端部のところのフィラメント端部のそれ以上の包封および封止について以下において詳細に説明する。折り目68は、これが使用中、組織を擦りむく場合のある露出フィラメント52がない状態で良好な巻きリップを形成しているときにガード10の遠位端部14のところに設けられる。
【0027】
次に図9図12を参照すると、ガード10を形成するマンドレル70が示されている。マンドレル70は、取り外し可能に互いに連結された第1の部分72と第2の部分74を有する。第1の部分72は、第1のラッパ形フランジ76を有し、第2の部分74は、第2のラッパ形フランジ78を有する。マンドレル70は、第1のフランジ76と第2のフランジ78を相互に連結するネック部分を有する。マンドレル70の第1の部分72は、マンドレル70へのメッシュスリーブの取り付けを容易にするために第1の部分を図10および図12に示されているようにマンドレル70の第2の部分74からねじ戻して外すことによって連結解除される。メッシュスリーブがマンドレル70上の定位置に位置した後に2つの部分72,74を再び連結する。マンドレル70およびメッシュスリーブを約1時間、約160℃の温度状態にあるオーブン内に配置する。これよりも高い温度が用いられる場合にオーブン内で必要な時間は短く、これよりも低い温度が用いられる場合にはオーブン内の時間が長いことが必要である。熱硬化性ポリマーが一般的に用いられ、これをこのポリマーのガラス転移温度まで加熱する。熱は、フィラメント52を塑性変形させることになり、その結果、メッシュスリーブは、マンドレル70の周りに合致し、それによりマンドレル70の形状をとるとともにこれに対してヒートセット状態になる。フィラメントは、メッシュが室温に戻ったときにマンドレルの形状に一致した新たな形状を保つことになる。メッシュ材料のこのヒートセット可能性または形状記憶保持により、メッシュ材料は、砂時計形の形状をなすことができ、この形状は、変形されている時、解放されるとその保持された形状にスプリングバックする。1つまたは2つ以上のヒートガン/ランプをオーブン内へのマンドレルおよびメッシュスリーブの配置に代えてまたはこれに加えてマンドレル70上のメッシュスリーブに差し向けるのがよい。いったん冷やされると、メッシュスリーブは、マンドレル部分72,74を分解することによってマンドレル70から取り出される。図9および図10は、図11および図12に示されたマンドレル70の幅の広いまたは太いネック部分に対して幅の狭いまたは細いネック部分80を有するマンドレル70を示している。中央ルーメン22のサイズの結果的に生じる差が図13に示されており、この場合、左側のメッシュガード10aは、例えば図9および図10に示された細いネック部分80を有するマンドレル70を備え、右側のメッシュガード10bは、例えば図11および図12に示された太いネック部分80を有するマンドレル70を備えている。小さなマンドレルを用いると、小さいメッシュガード10、例えば図14に示されたメッシュガードを作ることができる。図14のメッシュガード10は、例えば腹部切開創を横切って配置されるのに適している。腹部ガードに関し、ガード10は、幅が約1.5~7.0センチメートルである切開部位に対応するよう寸法決めされるとともに形作れている。膣ガードの場合、ガード10は、約0.75~3.5インチ(1.91~8.89cm)の直径に対応するよう寸法決めされるとともに形作られる。ガードは、その休止形態では長さが約2.5~3.0インチ(6.35~7.62cm)である。
【0028】
メッシュガード10が冷えてマンドレル70から取り出された後、メッシュガード10は、オプションとしての分散液塗布のために準備する。メッシュガード10をイソプロピルアルコールでクリーニングして分散液がメッシュにくっつくようにする。近位端部12およびトップフランジ30をシリコーンおよび/またはウレタンの分散液中に浸漬させる。変形例として、近位端部12およびトップフランジ30を流し込みディッシュ内に配置し、分散液を流し込みディッシュ中に注ぎ込む。分散液塗料は、ガードの真跡部分のフィラメント52および窓50に入り、これらを満たし、覆い、そして被覆する。ガードを2回以上浸漬させると所望の塗膜を作ることができる。ガード10を完全に乾燥させる。メッシュガード10を更にまたは変形例として抗菌性塗料で被覆するのが良い。分散液塗料は、ガードの浸漬部分を剛性にし、強固にし、かつ切断に対する耐性が高くなるようにする。ガード10の近位端部の浸漬は、耐切断性目的で補強フランジを提供する上で望ましい。または、ガードの近位端部は、ガードの近位端部が体開口部の外部に位置する用途において体開口部中への挿入を可能にするよう絞られまたはサイズの減少を行う必要なく、それによりガードの近位端部を分散液に適したものにする。
【0029】
次に図15図17を参照すると、射出成形リング82を備えたメッシュガード10が示されている。リング82は、近位端部12のところでトップフランジ30に取り付けられている。リング82は、近位端部を周方向に包囲してフィラメント52の自由端部を覆ってこれを収容するとともに解けたフィラメント端部のほつれを阻止し、そして露出したフィラメントを覆って周りの研磨を阻止するように寸法決めされるとともに構成されている。リング82は、ポリマー材料で作られ、剛性であってもよく可撓性であっても良い。リング82は、滑らかな外面およびリング82の内面において形成されたチャネル84を有する。リング82は、射出成形によって成形されている。接着剤またはシーラントがリング82のチャネル84内に入れられている。自由フィラメント端部、ほつれたまたは解けたフィラメント52を含むメッシュガード10の近位端部12は、リング82のチャネル84内にたくし込まれている。接着剤が硬化すると、リング82は、メッシュガード10に取り付けられたままになる。リング82は、フィラメント52の自由端部を捕捉するとともに収容するだけでなく、リング82は、近位端部のところに追加の剛性および保護作用を提供し、というのは、もしそのようにしなければ、ガード全体が柔軟性メッシュで作られることになるからである。
【0030】
次に図18および図19を参照すると、メッシュガード10の近位端部に連結されたリング82の別の形態が示されている。この形態では、リング82は、押し出し成形リング82である。リング82は、近位端部12のところでトップフランジ30に取り付けられている。リング82は、メッシュスリーブのフィラメント52の自由端部を覆ってこれを収容するとともに解けたフィラメント端部のほつれを阻止するよう近位端部12を周方向に包囲するよう寸法決めされるとともに構成されている。リング82は、ポリマー材料で作られており、剛性であってもよく可撓性であっても良い。リング82は、滑らかな外面およびリング82の内面において形成されたチャネル84を有する。リング82は、押し出し成形によって成形されている。接着剤またはシーラントがリング82のチャネル84内に入れられている。自由フィラメント端部、ほつれたまたは解けたフィラメント52を含むメッシュガード10の近位端部12は、リング82のチャネル84内にたくし込まれている。接着剤が硬化すると、リング82は、メッシュガード10に取り付けられたままになる。リング82は、フィラメント52の自由端部を捕捉するとともに収容するだけでなく、リング82は、近位端部12のところに追加の剛性および保護作用を提供している。
【0031】
次に図20図24を参照すると、メッシュガード10の近位端部12に連結されたリング82の別の形態が示されている。この形態では、リング82は、近位端部12上にオーバーモールド(被覆成形)されている。リング82は、近位端部12のところでトップフランジ30に成形されている。リング82は、メッシュスリーブのフィラメント52の自由端部を覆ってこれを収容するとともに解けたフィラメント端部のほつれを阻止するよう近位端部12を周方向に包囲している。リング82は、シリコーン、例えば室温加硫シリコーンまたは他のポリマー材料で作られ、このリングは、剛性であっても良く可撓性であっても良い。モールド、例えば図23に示されている流し込みディッシュ84が作られる。流し込みディッシュ84は、メッシュガード10の近位端部12を受け入れるよう寸法決めされるとともに構成された環状リザーバ88を有する。流し込み材料がリザーバ88中に注ぎ込まれ、メッシュガード10の近位端部12は、リザーバ88中に挿入される。流し込み材料は、硬化し、メッシュガード10は、流し込みディッシュ86から注意深く取り出される。リング82は、フィラメント52の自由端部を捕捉するとともに収容するだけでなく、リング82は、近位端部12のところに追加の剛性および保護作用を提供している。結果的に得られる被覆成形されたリング82付きのメッシュガード10が図22および図23に示されている。
【0032】
次に図25および図26を参照すると、ガード10の近位端部12のところでほつれたフィラメント52を覆うステップがシーラントまたはコーキング材のビード90を配置するステップを含むという別の形態が示されている。シーラントのビード90は、メッシュのほつれた縁部に沿って配置され、過剰なシーラントが注意深く取り除かれる。ほつれた縁部が完全に隠されるようにするよう注意が払われる。シーラントは、硬化して剛性または可撓性ビード90を形成する。ビード90は、フィラメント82の自由端部を捕捉するとともに収容するだけでなく、ビード90は、近位端部12のところに追加の剛性および保護作用を提供している。
【0033】
次に図27および図28を参照すると、ガード10の近位端部12のところでほつれたフィラメント52を覆うステップがヒートシールを含むという別の形態が示されている。この形態では、ほつれた縁部を隠すのに余分な材料を必要としない。フィラメント52の過剰の遠位端部は、ホットツール、例えばはんだごて、ホットワイヤ、またはホットナイフを用いてトリムされる。熱がメッシュの端部を溶融するとともに互いに封止してフィラメントのそれ以上のほつれを阻止する。このプロセスの結果として、ホットシールされたフィラメント52の小さなバンド92が得られる。ヒートシールされたバンド92は、フィラメント82の自由端部を封止するとともに収容するだけでなく、バンド92は、近位端部12のところに追加の剛性および保護作用を提供している。図15図23がリング82を記載するとともに図25図28がガード10の近位端部12のところでビード90を記載しているが、本発明は、これらには限定されず、リング82をガード10の近位端部12および/または遠位端部14のところに形成しても良く、そしてビード90をガード10の近位端部12および/または遠位端部14のところに形成することができる。
【0034】
次に図30および図31を参照すると、レトラクタ100およびガード10を含むシステムが示されている。レトラクタ100は、柔軟性側壁106によって相互に連結された第1のリング102と第2のリング104を有する。管状側壁106は、レトラクタ100の長手方向軸線に沿って延びる中央開口部108を画定している。第2のリング104は、弾性でありかつ圧縮性である。第2のリング104を圧縮して切開創または体口中に挿入することができ、ここで、第2のリングは、固定状態を生じさせるよう拡張する。例えば、腹部の切開創を通って挿入されると、第2のリング104は、この切開創を通るよう圧縮され、そして拡張して腹腔内の腹壁に当たる。例えば膣管中に挿入されると、第2のリング104は、圧縮され、次に拡張して膣に対する固定状態を生じさせる。第1のリング102は、腹壁の上方にまたは患者の体外で近位側に位置する。膣管中に挿入されると、レトラクタ100の第1のリング102は、患者の体外で膣の入り口の上方に位置する。第1のリング102は、これを丸めて下げて腹壁の開口部または他の切開創をレトラクトするとともに拡大することができまたは第2のリング104が患者の体内で拡張状態に定着された状態のままで膣管または他の口をレトラクトするとともに拡大することができる。第1および第2のリング102,104は、ほぼ同じ直径を有する。別の形態では、第2のリング104に対する大径の第1のリング102により、作業してこれに当てて組織を切断するための広いスペースが得られる。側壁106は、ポリマーポリウレタンラミネートまたは一形態では、側壁106の切断に抵抗する織布を含むこれに類似した柔軟性材料で作られるのが良い。第1のリング102は、側壁106を第1のリング102回りに巻いてリング102,104相互の側壁106の長さを短くするようそれ自体丸められ/回されまたはひっくり返されるよう構成されている。この作用により、レトラクタ100の第2のリング104が第1のリング102および側壁106の近くに引き寄せられてリング102,104相互間でぴんと張った関係になって2つのリング102,104相互間に位置した組織をレトラクトする。使用に当たり、例えば、レトラクタ100を体腔または体口中へのガード10の挿入に先だって挿入する。レトラクタ100の第2のリング104を体口/切開創中への容易な挿入が可能になるように圧縮し、次に拡張させて患者の体内に開放形態となるようにする。体外に位置するレトラクタ100の第1のリング102をそれ自体丸めてレトラクタ100の側壁106を第1のリング102に巻き付ける。この作用により、組織が辺縁のところでレトラクトされて外科医が操作するための広い開放作業チャネルが作られる。次に、ガード10をレトラクタ100の中央ルーメン中に挿入する。ガード10の遠位端部14を下方に押し下げてその幅を減少させて挿入中、コンパクトな形態にし、次に、これが拡張して定位置に自己定着するようにする。ガード10の近位端部12を図30および図31に示されているようにレトラクタ100の第1のリング102内に配置する。ガード10の近位端部12の直径は、図30および図31に示されているような弛緩状態ではレトラクタ100の第1のリング102の内径のほぼ以下である。次に、外科的処置、例えば細切を作業チャネルがガード10によって保護された状態で実施するのが良い。ガード10は、有利には、周りの組織ならびにレトラクタ100を外科的処置中に用いられる鋭利なブレードから保護して健全性を維持するのを助けるとともに外科医に細切を安全かつ迅速に実施する仕組みを提供しながら手術部位の不注意な汚染を阻止する。
【0035】
次に図32図34を参照すると、引き紐テザー111を含むガード10の別の形態が示されている。テザー111は、ガード10の遠位端部14の周りに製織されたポリエステルフィラメントまたは他の紐もしくはプルワイヤである。テザー111は、これが引かれたときに引き紐方式でメッシュ側壁16に対して動くことができ、それによりガード10の遠位端部14を掴んでその横幅を減少させて図32および図33に示されている拡張形態に対して図34に示されている縮小形態にすることができるよう遠位端部14に連結されている。一形態では、テザー111を図32で明確に見えるようにメッシュ側壁16の窓50の内外に製織する。テザー111は、一端がタグ113に連結されている。タグ113を引くと、遠位端部14の幅は、ガード10の挿入および取り出しを容易にする縮小形態になる。タグ113を解放すると、ヒートセットされた遠位端部14は、その通常の幅に戻って図32および図33に示されている拡張または弛緩形態になる傾向がある。患者の体内に挿入されているとき、テザー111が中央ルーメン22の外部に位置した状態を保つよう注意が払われる。レトラクタ100およびガードが一緒に用いられるシステムでは、テザー111は、レトラクタ側壁106とガード10の側壁16との間にかつガード10の長手方向軸線に沿って配置され、その結果、タグ113は、患者の体外に位置するようになる。ガード10の取り出しの際、ヒートセット拡張形態に戻るよう付勢される遠位端部14のスプリングバック特徴は、器具の取り出しを阻害する場合があり、それどころか患者からの取り出しの際に体液をはねかける場合がある。テザー111は、有利には、これらの取り出しの際の問題を軽減する。外科的処置中、タグ113は、体外に位置したままである。ガード10を患者から取り出す時間になると、最初に、テザー111を引くとともにガード10が患者から抜去されている間保持する。ガード10をいったん取り出すと、テザー111を注意深く解放して遠位端部14をその拡張形態に戻すのが良い。テザー111は、有利には、ガード10の挿入および取り出しを助ける。
【0036】
次に図35を参照すると、本発明のガード10の側面図が示されている。ガード10は、長手方向軸線から外方に遠ざかって延びるトップフランジ30とボトムフランジ32を有する。長手方向軸線は、平面に垂直である。トップフランジ30は、角度117をなしてこの平面に対して周方向に傾けられている。角度117は、長手方向軸線に垂直な平面に対して約45°である。角度117が45°よりも大きいと、その結果として、一般に、トップフランジ30は、その保持機能を失い、このトップフランジは、体口中に滑り落ちて一般に長い作業チャネルを作る傾向がある。角度117が45°よりも小さいと、その結果として、視覚化および収容かつ保護状態の細切のための空間が狭められる。ボトムフランジ32は、角度119をなして長手方向軸線に垂直な平面に対して周方向に傾けられている。角度119は、長手方向軸線に垂直な平面に対して約0°~45°である。角度119に関するこの範囲は、体内のボトムフランジ32の最大保持状態の実現が可能であり、それによりガード10は、体外に近位側に容易には引かれることが阻止される。45°よりも極めて大きい角度119は、ボトムフランジ32と体内の領域との間の表面接触領域を減少させ、それにより保持機能を減少させる。負の角度119の結果として、ボトムフランジ32は、その保持機能を失い、ガード10が体外に滑り出る。別の形態では、ガード10は、遠位端部14のところにインフレート可能な固定具、例えばガード10の遠位端部14の周りに周方向に配置されるとともに近位端部12に向かって延びるインフレーション経路を有するインフレート可能なバルーンを備えている。
【0037】
メッシュガード10は、経膣的にまたは腹部に嵌まるよう形成された単一のメッシュ片で構成される。この器具は、組織細切を必要とする手技中に外科医を助けるようになっている。組織細切を必要とする手技中、外科医は、標的組織以外の辺縁組織および臓器を偶発的に切断するとともに細切手技と関連して用いられる収容袋および/またはレトラクタを損傷させる恐れがある。ガード10は、必要な保護を提供するとともに有利にはメスおよび鋭利な器具に対して作業チャネルである中央ルーメン22周りの360°の保護を提供する。膣についての使用のため、例えば子宮摘出術中、子宮を剥離する。レトラクタを経膣的に挿入して体口に対してしっかりと定着させる。クランプを用いてメッシュガード10のボトムフランジ32を掴む。ボトムフランジ32を掴む際、ラッパ形遠位端部14を例えば図6に示すその外側寸法に関して減少させる。遠位端部が縮小したメッシュガード10を膣中に挿入する。ボトムフランジ32を解放する。遠位端部14の解放時、メッシュガード10は、その通常の休止形態に向かってスプリングバックする傾向がある。このようにする際、ボトムフランジ32は、側方に拡張してメッシュガード10の遠位端部14およびボトムフランジ32が患者の体内に位置し、ガード10の中間区分40が膣を横切り、しかもトップフランジ30が患者の体外に位置した状態で体開口部の上方に位置するとともに膣の外部で見える状態でメッシュガード10を解剖学的構造に対して定着させる。外科医は、ガード10を調節したりこれを引っ張ったりしまたはボトムフランジ32を調節することによってガード10が適正に定着されているかどうかをチェックするのが良い。膣式子宮摘出術を続行する。剥離した子宮を把持器で掴み、そしてガード10の中央ルーメン22中に引き入れ、ついには、組織の少なくとも一部分が膣の外側から見えるようにする。次に、外科医は、メスを用いて剥離状態の子宮に切り込んでその小さな部分をガード10に通して引き出すことができるようにする。外科医は、この切断プロセスを繰り返し、ついには、子宮全体を取り出しまたは取り出しに十分なサイズに減少させる。ガード10は、有利には、切断プロセスのための保護作用を提供し、手術を迅速かつ容易に行う信頼性を外科医に与える。収容袋もまた、組織ガード10とともに用いるのが良い。収容袋を患者の体内に展開し、剥離状態の子宮をこの袋内に入れる。子宮が大きすぎてこれを取り出すことができない場合には取り出しのためにこれを細切しなければならない。体口のところに位置している場合、袋の口を膣管に通し、そしてレトラクタに通して表面まで引き寄せる。本発明のメッシュガード10を袋の口中に挿入して体口に対して定着させる。変形例として、袋を最初に配置し、次にレトラクタを配置しても良い。かかる場合、ガード10をレトラクタの作業チャネル中に配置して袋とレトラクタの両方を保護する。
【0038】
メッシュガード10を腹部でも用いることができる。切開創を腹壁に作って例えば子宮を剥離する子宮摘出術中、腹腔に接近する。レトラクタを切開創中に挿入して切開創に対してしっかりと定着させる。クランプを用いてメッシュガード10のボトムフランジ32を把持する。ボトムフランジ32を把持する際、ラッパ形遠位端部14を例えば図6に示されているその外側寸法に関して減少させる。外側端部が縮小したメッシュガード10を腹腔中に挿入する。ボトムフランジ32を解放する。遠位端部14の解放時、メッシュガード10は、その通常の休止形態に向かってスプリングバックする傾向がある。このようにする際、ボトムフランジ32は、側方に拡張してメッシュガード10の遠位端部14およびボトムフランジ32が患者の体内に位置し、ガード10の中間区分40が切開部位を横切り、しかもトップフランジ30が患者の体外に位置した状態で腹壁の上方に位置した状態でメッシュガード10を解剖学的構造に対して定着させる。外科医は、ガード10を調節したりこれを引っ張ったりしまたはボトムフランジ32を必要に応じて調節することによってガード10が適正に定着されているかどうかをチェックするのが良い。膣式子宮摘出術を続行する。剥離した子宮を把持器で掴み、そしてガード10の中央ルーメン22中へ引き入れ、ついには、組織の少なくとも一部分が患者の外側から見えるようにする。次に、外科医は、メスを用いて剥離状態の子宮に切り込んでその小さな部分をガード10に通して引き出すことができるようにする。外科医は、この切断プロセスを繰り返し、ついには、子宮全体を取り出しまたは取り出しに十分なサイズに減少させる。ガード10は、有利には、切断プロセスのための保護作用を提供し、手術を迅速かつ容易に行う信頼性を外科医に与える。収容袋もまた、組織ガード10とともに用いるのが良い。収容袋を患者の体内に展開し、剥離状態の子宮をこの袋内に入れる。子宮が大きすぎてこれを取り出すことができない場合には取り出しのためにこれを細切しなければならない。体口のところに位置している場合、袋の口を膣管に通し、そしてレトラクタに通して表面まで引き寄せる。本発明のメッシュガード10を袋の口中に挿入して体口に対して定着させる。変形例として、袋を最初に配置し、次にレトラクタを袋の口内に配置する。かかる場合、ガード10をレトラクタの作業チャネル中に配置して袋とレトラクタの両方を保護する。ガードを子宮摘出術における使用について説明したが、このガードを他の医療手技のためにも使用することができ、かかる医療手技としては、標的組織の摘出を含む手技があげられるが、これには限定されない。
【0039】
ボトムフランジ32は、ガード10を体内に定着させる保持フランジとして機能する。ボトムフランジはまた、患者の膣管がどれほど長いかまたは短いかまたは患者の腹壁がどれほど厚いかを調整することができる。フランジの形状および材料により、メッシュは、ずれたり伸張したりすることができ、そして有利にはチャネル長さを増大させるとともにこれが納められる解剖学的構造に適合することができる。また、二重メッシュ層は、鋭利な器具が切り開くのを阻止するための厚い表面を提供する。メッシュガードを鋭利な物体に対する切断面または保護が必要な場合に外科的処置中の任意の時点で用いることができる。レトラクタを備えたガードを用いることは、手技を実施する際にオプションである。ガードはまた、ポリマー材料で選択的に被覆されるのが良く、このことは、ガードの一部だけ、例えばトップフランジがポリマー溶液で被覆され、ボトムフランジが非被覆状態のままであることを意味し、その目的は、患者の解剖学的構造になじむ際に遠位端部14のところの柔軟性を提供する。当然のことながら、ガードは、互いに異なる体開口部内に嵌まるようサイズが適当にかつ比例的にスケール変更できる。
【0040】
次に図29を参照すると、本発明の例示の閉鎖細切手技が示されている。小さな切開創を腹壁110の場所で患者に作り、腹壁110を横切って設けられた開口部114から体腔112に接近する。図29の開口部114はまた、膣管を表しているといえ、腹壁110は、組織辺縁を表している。腹腔鏡下術および器械、例えばトロカール、腹腔鏡、把持器およびメスを用いて、単一部位開口部を作り、標的組織を調べ、そして標的組織を周りの組織構造から剥離することができる。追加の切開創または接近部位を用いて器械およびスコープを挿入して手技を容易にすることができる。標的組織116、例えば子宮摘出術の際の子宮の少なくとも一部を完全に剥離した後、検体回収袋118を腹壁110の開口部114に通して挿入し、そして体腔112内に配置する。袋118を、腹壁110を横切ってまたは膣内に配置されているトロカールまたはカニューレに通して運搬することができる。袋118を広げて体腔112内で配向させる。標的組織116を袋118に設けられている開口部120に通して袋118内に入れる。種々の形式の袋118を採用することができる。袋118は、内容物が腹壁110を横切る二次切開部位を通って体腔112内に配置されたスコープにより袋118の外側から観察可能であるよう透明であるのが良い。袋118の内容物を袋118の外部から照明するのが良い。標的組織116の存在場所もまた、細切の進捗状況ならびに開口部114に対する標的組織116の位置および近接性を確認するよう透明な袋118越しに観察可能である。また、袋118は、袋118の状態を確かめるよう二次部位挿入を介して観察され、それにより、この袋がもつれたりねじれたりしていないことおよび検体がこれと一緒に袋118を引く(引いた場合には、その結果として、袋は、偶発的にブレードに接触して切断される場合がある)ことなしに開口部の方へ動かされていることを確認する。不透明な袋118もまた採用できる。袋118の材料もまた重要である。一般的に言って、プラスチックで作られると、袋は、引きおよび引っ張りに耐えるのに十分強く、十分な伸張特性を有し、比較的薄く、しかもしかも穴開けおよび裂けに対して柔軟性がありかつ弾性である。袋を折りたたんでサイズを減少させ、その結果、袋を直径が少なくとも約5mmの小さな切開創/トロカールに通して挿入することができる。また、開かれると、袋は、大きな組織片を受け入れるのに足るほど大きく、開口部114を貫通して腹壁110の表面まで延び、そして図29に示されているように器械、スコープ、細切器124およびメス126のための袋内の十分に大きな作業空間を作る。袋118は、開口部を締めて閉じたり袋118を開いたりするよう構成されたテザーまたは引き紐122を有する。袋118は、ガス注入圧力に耐えて漏れを起こすことがない。
【0041】
標的組織116を袋118内に入れた後、テザー122を手でまたは腹腔鏡的把持器を用いて把持し、袋118の少なくとも一部分を腹壁開口部114中に引き込む。テザー122を引くことにより袋開口部120が閉じる。当初の切開創を約15~40mmまで増大させるのが良く、その後袋118を開口部114中に引き込む。標的組織116が大きすぎて開口部114を通って嵌まり込むことができない場合、標的組織116は、腹壁110の下で体腔112内に位置することになる。袋118の開口部120を含む袋118の残部を腹壁開口部114中に引き入れ、この残部は、開口部114を貫通して患者の外部までかつ図29に示されているように腹壁110の上面に沿って延びるようになる。袋118を丸めながら下げるとともにこれを引っ張って腹壁110の表面を横切ってぴんと張った状態にするのが良く、それによりその位置を維持して開口部114のところの幾分かの組織レトラクションをもたらすのが良い。
【0042】
本発明のガード10を袋118の開口部120に通して挿入する。ガード10をいったん配置すると、外科医は、検体116を掴んでこれをできるだけ遠くまで中央ルーメン22中で引き上げる。外科医は、次に、メス126を用いた検体116の細切を開始して検体116を切断してそのサイズを減少させる。理想的には、外科医は、検体116の「芯をくり抜き」または「表面を剥がして」検体をできるだけ多く一体に保つ。しかしながら、5割を超える確率で検体116は、多数の小片の状態になる。切開創を通る状態での細切を行っている間、外科医は、腹腔112内の気腹状態を維持することができ、その結果、細切の進捗状況を体腔112中への二次部位のところで配置された側方ポートを通って腹腔鏡下で観察することができる。いったん検体116を切開創中に通して残りの部分を引き出すのに十分細切し、破砕し、縮小させると、ガード10を取り出し、袋118および細切中に生じた小片を含むその内容物を患者から引き出す。袋118は、残りの小片が腹腔112内に残るのを阻止し、それにより閉鎖系を保ち、これに対し、伝統的な細切法では、外科医は、戻って骨盤の腔の中の散らばった小片を苦心して探して集めて新たな腫瘍部位を潜在的に播種するのを阻止しなければならない。外科医は、腹腔鏡下で患者を最終的に見るのを選択し、次に創部を閉じることができる。腹部除去および細切について説明したが、上述の手技は、子宮頸を摘出した場合にも膣口を経ることによっても実施することができる。同一のプロセスに続き、袋118を導入し、検体116を腹腔鏡下で袋118内に入れる。腹壁開口部114を通ってテザー122を引くのではなく、膣を通ってこれを引く。外科医は、袋118を巻き下げまたはこれをぴんと張った状態に引いてその位置を維持するとともに幾分かのレトラクションをもたらすのが良い。外科医は、ガード10を膣経由で配置して袋118の健全性を保護して組織辺縁を保護するとともに閉鎖系を維持し、検体116を掴んでこれを取り出し、そして細切して検体116のサイズを減少させる。検体の細切は、ガード10の配置場所でかつ/あるいはガード10の表面に当てた状態で実施し、それにより周囲の組織及び袋を偶発的な切開から保護する。外科医は、気腹状態を維持するとともに細切の進捗状況を腹腔鏡下で観察することができる。いったん検体116を膣中に通して残りの部分を引き出すのに十分細切し、破砕し、縮小させると、ガード10を取り出し、袋118および細切中に生じた小片を含むその内容物を患者から引き出す。袋118は、残りの小片が腹腔内に残されるのを阻止し、それにより有害な物質、例えば癌細胞が腹腔内に播種されるのを阻止し、閉鎖系を維持し、これに対し、伝統的な細切法では、外科医は、立ち返って骨盤腔中に散らばった小片を苦心して探して集めるとともに骨盤腔中に小片があるかないかを調べなければならない。外科医は、患者を腹腔鏡下で最終的に見るのを選択することができ、そして膣カフおよび腹部切開創を閉じる。
【0043】
中央ルーメンを備えたレトラクタを切開創のところで袋118の口の中に入れ、そして組織を袋118と一緒にレトラクトし、それにより開口部を広げる。次に組織を袋が定位置にある状態で細切する。上述したメッシュガード10を用意し、そして袋118およびレトラクタと関連して用いる。ガード10をレトラクタの中央ルーメン内に配置する。レトラクタがガード10と袋118との間に配置された状態でガード10をレトラクタの中央ルーメン内に配置する。当然のことながら、レトラクタなしでガードを用いることができる。レトラクタを用いない場合、ガードを切開創/膣管の存在場所で袋118の口120内に配置する。ガードを袋118が患者の体内に配置された後、収容袋118の口120内に挿入し、そして切開創/膣管を通って引く。メッシュガードは、プラスチック袋118および隣接の組織の辺縁が、標的組織を細切するために外科医によって用いられるブレードによって偶発的に切断されないよう保護する。メッシュガード10はまた、切断板(まな板)としても役立つ場合があり、外科医は、必要ならば標的組織を切断板に当てた状態で切断することができる。
【0044】
レトラクタが袋118内で用いられる場合、レトラクタは、有利には、組織をレトラクトするだけでなく、袋の一部をレトラクトし、それにより袋を細切ブレードから離したままにし、それにより袋を切れ目および穿孔から保護する。代表的なレトラクタは、トップリングおよびボトムリングを有し、トップリングとボトムリングとの間には可撓性側壁が連結されている。ボトムリングを切開創に通して挿入し、このボトムリングは、患者の体内に位置し、これに対し、レトラクタのトップリングは、患者の上方に位置する。トップリングを袋のようにそれ自体巻き/ひっくり返してレトラクタの下側リングを引いて近づけるとともに側壁をリング相互間のぴんと張った関係に至らせる。レトラクタの下側リングは、有利には、患者の体内の袋118の部分をレトラクトしてブレードによる穴あけおよび引裂きに起因して生じる潜在的な損傷が生じないようにする。
【0045】
組織を外科医の望むやり方で細切する。一般的に言って、標的組織の大部分が患者の体内に位置したままの状態で、標的組織の僅かな部分を患者の体外に引き出す.外科医は、ブレードを手にとって標的組織の残部からの突出した組織を切断することなく、突出した組織の周囲周りに約180°または360°の円周方向切れ目を入れる。大きめの小片が患者の体内に位置した状態で突出した組織を無傷の状態に保つことにより、外科医は、袋内の組織を見失うことなく組織を引き続き掴むことができる。外科医は、掴んだ組織を患者から少しずつ引き出し、任意サイズの周期的な円周方向切れ目を入れて組織の多くが引き出されるようにし、ついには、標的組織片全体が取り出されるようにする。その結果は、多数の小片ではなく、取り出された標的組織の細長い単一の片が生じる。一体として取り出されるのでない場合、標的組織を数個の小片の状態でかつより制御された仕方で取り出す。袋118を細切相互間で更にレトラクトするのが良く、それにより検体を表面の近くに至らせる。袋118内に残っている組織が切開創に嵌まった状態で容易に通過するのに十分いったん小さくなると、袋118を完全に抜去する。
【0046】
本明細書において説明した組織ガードは、代表的には、収容袋と共に用いられる。袋を体開口部に通して体内に配置する。体開口部は、患者の任意の入口路を意味しており、かかる体開口部は、切開創部位および生まれつきの体口を含む場合があるが、これらには限定されない。標的検体は、一般的には大きすぎて体開口部を通って安全に取り出すことができないので、例えばブレードを用いて切断することによって操作する必要があり、その目的は、標的検体を体開口部に通して取り出すことにある。体開口部は、一般に、標的検体サイズよりも小さい。標的検体を袋の中に入れ、そして袋の口を患者の体外まで引く。ガードを袋の口の中に配置し、そして体開口部を横切って定着させ、標的検体をガードのルーメン中に引き込む。ガードのルーメン内にある間、標的検体は、保護細切ゾーン内にあり、この保護細切ゾーン内において、外科医は、ブレードを用いて標的検体に達して標的検体を取り出し可能に切断する。ガードは、迷走するブレードに対して保護を行い、また、直接的な切断面となり、組織を縮小のためにこの切断面に当てて配置するのが良い。ガードの長さ全体は、体開口部の辺縁のところで袋および組織を保護する細切ゾーンの長さを定める。加うるに、レトラクタを用いるのが良い。レトラクタは、袋と一体に形成されても良く、あるいは別個のスタンドアロン型器具であっても良い。本明細書において説明した代表的なレトラクタは、2リング形レトラクタであり、可撓性側壁材料が2つのリング相互間に配置されている。レトラクタの側壁は、体開口部の辺縁のところで組織をレトラクトするよう第1のリングに巻き付け可能であるよう構成されている。レトラクタを用いる場合、レトラクタを辺縁組織と袋との間にまたは袋とガードとの間で袋の中に配置するのが良い。上述の説明は、手動細切法で用いられるガード、袋およびレトラクタの種々の使用法に関わる。電動式細切方式の場合、ガードを袋の中に挿入し、そして細切を実施する。電動式細切に関する別の形態では、安定キャップを袋の近位リングまたはガードの近位端部に連結し、電動式細切を実施する。安定キャップは、ブレードの垂直位置を定めるのに役立ち、それによりブレードがガード内でまたはガードの遠位端部を安全に越えた短い距離のところで所定の細切ゾーンを越えて延びないようにする。電動式細切に関する別の形態では、レトラクタを用い、この場合、レトラクタを辺縁組織と袋との間または上述したように袋とガードとの間に配置し、電動式細切を実施する。先の形態では、安定キャップをこれがレトラクタの近位リング、袋の近位リング、またはガードの近位端部に連結されるよう用いるのが良く、そして細切を実施する。例えば子宮摘出術のような手技を実施する場合、上述の形態に加えて、以下の方式のうちの任意の1つを上述の形態のうちの任意のものと関連して用いるのが良い。一形態では、袋を膣に通して体内に配置し、標的検体(例えば、子宮)を袋が体腔内に位置している間に袋の中に入れ、次に袋の口を腹部切開創に通して引き、ガードを袋の口中に挿入し、細切、取り出し、および袋抜去が腹部開口部のところで行われる。別の形態では、袋を膣に通して体内に配置し、標的検体(例えば、子宮)を袋が体腔内に位置している間に袋の中に入れ、次に袋の口を膣管に通して引き戻し、ガードを袋の口中に挿入し、細切、取り出し、および袋抜去が膣のところで行われる。さらに別の形態では、袋を腹部切開創に通して体内に配置し、標的検体(例えば、子宮)を袋が体腔内に位置している間に袋の中に入れ、次に袋の口を膣管に通して引き、ガードを袋の口中に挿入し、細切、取り出し、および袋抜去が膣のところで行われる。別の形態では、袋を腹部切開創に通して体内に配置し、標的検体(例えば、子宮)を袋が体腔内に位置している間に袋の中に入れ、次に袋の口を腹部切開創に通して引き戻し、ガードを袋の口中に挿入し、細切、取り出し、および袋抜去が膣のところで行われる。子宮または他の標的検体の細切に関する別の方式では、袋を省いても良い。かかる場合、切開創を腹壁に作り、ガードを腹部の切開創を横切って配置し、子宮または標的検体を剥離してガードの中央ルーメンに通して引き、細切および取り出しは、腹部切開創のところで行われる。変形例として、標的検体(例えば、子宮)に膣から接近し、ガードを膣管内に配置し、標的検体を剥離してガードの中央ルーメンに通して引き、細切および取り出しが膣のところで行われる。袋を用いない腹部接近の別の形態として、この手技を膣に通して挿入された腹腔鏡により観察することができる。袋を用いないまたは袋を用いる膣接近の別の形態として、この手技を腹部に設けた切開創に通して挿入された腹腔鏡により観察することができる。
【0047】
2015年4月23日に出願された国際出願PCT/US2015/27274号(発明の名称:Systems and methods for tissue removal)を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0048】
理解されるように、本明細書において開示した実施形態に対して種々の改造を行うことができる。したがって、上述の説明は、本発明を限定するものと解されてはならず、好ましい実施形態の単なる例示として解されるべきである。当業者であれば、本発明の範囲および精神に属する他の改造を想定するであろう。
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