(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ヘッドホン、及びヘッドホン状態の検出方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H04R1/10 101B
H04R1/10 101Z
(21)【出願番号】P 2022089945
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520358678
【氏名又は名称】台灣立訊精密有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】陳信男
(72)【発明者】
【氏名】徐宗葆
(72)【発明者】
【氏名】簡榮斌
(72)【発明者】
【氏名】蔡耀群
(72)【発明者】
【氏名】林宥余
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/129196(WO,A1)
【文献】実開昭57-171582(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第3764656(EP,A1)
【文献】特表2012-516090(JP,A)
【文献】特開平11-328585(JP,A)
【文献】特開2015-22268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10,3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シグナルプロセッサと、第1のサウンド再生ユニットと、第1の受信ユニットを含んだヘッドホンであって、
前記シグナルプロセッサは複数のコード情報を順に出力するよう構成されており、前記複数のコード情報における任意の2個の連続して出力されるコード情報は異なる周波数に対応しており、
前記第1のサウンド再生ユニットは前記複数のコード情報を受信し、前記第1のサウンド再生ユニットは再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生し、
前記シグナルプロセッサは、前記第1の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得し、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断
し、
前記シグナルプロセッサは複数のタイムコードに基づいて各タイムコードに対応する前記複数のコード情報を出力するように構成され、同一の前記タイムコードに対応する前記複数のコード情報はそれぞれ異なる周波数に対応する
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記シグナルプロセッサは、前記複数の第1のオーディオ信号に対応する複数の第1の時間差を獲得するように、前記複数の第1のタイミングポイントから、対応する前記複数の第1のオーディオ信号が再生されるときの複数の第2のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの前記着用状況を判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より小さいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が正常な装着状況であると判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記複数の第1の時間差の任意の一つが第1の予約時間より小さく、及び、前記複数の第1の時間差のうちの最後の第1の時間差が前記複数の第1の時間差のうちの初めの第1の時間差より小さいことに応答して、
前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が着用中であると判断し、前記再生順序に基づくと、前記初めの第1の時間差は前記最後の第1の時間差の前である
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記複数の第1の時間差の任意の一つが第1の予約時間より小さく、前記複数の第1の時間差の最後の第1の時間差が前記複数の第1の時間差における初めの第1の時間差より大きいことに応答して、
前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が耳から離れていると判断し、
前記再生順序に基づくと、前記初めの第1の時間差は前記最後の第1の時間差の前である
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より大きいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記ヘッドホンは更に第2のサウンド再生ユニットと第2の受信ユニットを備え、
前記第2のサウンド再生ユニットは前記シグナルプロセッサが出力した前記複数のコード情報を受信し、
前記第2のサウンド再生ユニットは前記再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第2のオーディオ信号を出力し、
前記シグナルプロセッサが、前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断した後、前記シグナルプロセッサは前記第2の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第2のオーディオ信号を受信したときの複数の第3のタイミングポイントを取得し、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態であるか否か判断する
ことを特徴とする請求項6に記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記シグナルプロセッサは、前記複数の第2のオーディオ信号に対応する複数の第2の時間差を獲得するように、前記複数の第3のタイミングポイントから、対応する前記複数の第2のオーディオ信号が再生されるときの複数の第4のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記複数の第2の時間差が皆第2の所定時間より小さいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンが手持ち状態であると判断する
ことを特徴とする請求項7に記載のヘッドホン。
【請求項9】
ヘッドホンのシグナルプロセッサが実行するヘッドホン状態の検出方法であって、
第1のサウンド再生ユニットに対し
て複数のコード情報を順に出力し、前記第1のサウンド再生ユニットに再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生させ、
前記複数のコード情報における任意の2個の連続して出力されるコード情報は異なる周波数に対応し、
第1の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得し、
前記複数の第1のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断
し、
前記シグナルプロセッサは複数のタイムコードに基づいて各タイムコードに対応する前記複数のコード情報を出力するように構成され、同一の前記タイムコードに対応する前記複数のコード情報はそれぞれ異なる周波数に対応する
ことを特徴とするヘッドホン状態の検出方法。
【請求項10】
前記複数の
第1のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1のタイミングポイントから、前記複数の第1のオーディオ信号に対応する複数の第1の時間差を獲得するように、対応する前記複数の第1のオーディオ信号が再生されるときの複数の第2のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの前記着用状況を判断する、ことを含む
ことを特徴とする請求項
9に記載のヘッドホン状態の検出方法。
【請求項11】
前記シグナルプロセッサが更に前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より小さいことに応答して、前記ヘッドホンの着用状況は正常な着用状態であると判断する、ことを含む
ことを特徴とする請求項
10に記載のヘッドホン状態の検出方法。
【請求項12】
前記シグナルプロセッサが更に前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より大きいことに応答して、前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断する、ことを含む
ことを特徴とする請求項
10に記載のヘッドホン状態の検出方法。
【請求項13】
前記ヘッドホン状態の検出方法は更に、
第2のサウンド再生ユニットに対して前記複数のコード情報を出力し、前記第2のサウンド再生ユニットは前記再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第2のオーディオ信号を順に再生し、
前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断した後、第2の受信ユニットは第1の反射を経た前記複数の第2のオーディオ信号を受信したときの複数の第3のタイミングポイントを取得し、
前記第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態であるか否か判断する
ことを特徴とする請求項
12に記載のヘッドホン状態の検出方法。
【請求項14】
前記複数の第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態か否か判断するステップは、
前記複数の第3のタイミングポイントから、前記複数の第2のオーディオ信号に対応する複数の第2の時間差を獲得するように、対応する前記複数の第2のオーディオ信号が再生されるときの複数の第4のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記複数の第2の時間差が皆第2の所定時間より小さく且つ前記複数の第2の時間差の差異が誤差値より小さいことに応答して、前記ヘッドホンは手持ち状態であると判断する
ことを特徴とする請求項
13に記載のヘッドホン状態の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドホンに関し、特にヘッドホンの着用状況の検出に関連するヘッドホン、及びヘッドホン状態の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドホン製品の騒音源は2種類に分けられる。一つ目のタイプは内部回路や外部信号による電気的なノイズである。このようなノイズについては、メーカー側は回路設計により電気的なノイズを効果的に抑制し、除去することができる。二つのタイプのノイズは、いわゆるオーディオノイズ(環境ノイズ)である。これは、音楽を聴くときにヘッドホンを着用したユーザーの快適さに影響を与える場合がある。このような環境ノイズを改善するために、一般的にアクティブノイズキャンセリング(Active Noise Cancelation, ANC)方式が採用されている。
【0003】
従来のデジタル式のアクティブノイズキャンセリングシステムは、検出用のマイクを介して周囲のノイズをサンプリングし、信号処理を用いて信号を生成し、周囲のノイズをキャンセルさせる方式が採用されている。
【0004】
一般に、アクティブノイズキャンセリングシステムは、ヘッドホンシェルにある検出マイクを利用して耳に届く音を継続的に監視する。検出マイクの出力信号は増幅されて、A/Dコンバーターでデジタル信号に変換される。
【0005】
その後、このデジタル信号は、デジタルノイズキャンセルプロセッサ(Digital Noise Cancelation Processor, DNC Processor)に送信される。音楽ソースからの信号は、A/Dコンバーターによってデジタル信号に変換され、デジタルイコライザーによって処理されて適切な周波数特性が得られる。
【0006】
そして、デジタルノイズキャンセルプロセッサに入ると、デジタルノイズキャンセルプロセッサは、音楽ソースの信号から、周囲のノイズを差し引き(キャンセルするように打ち消し)、除去するノイズを抽出する。
【0007】
そして、抽出された打ち消されるべきノイズに対して位相反転が行われ、処理された信号の結果(要はノイズが打ち消された信号)はドライバーによって音楽信号として再生され、このようにして耳に入る前にノイズが打ち消される。
【0008】
一般に、アクティブノイズキャンセリングシステムを備えたヘッドホンは、動作するためにバッテリー又は他の電源を必要とする。ここで、このシステムを使用する際に頻繁に発生する問題点としては、ユーザーがヘッドホンの電源を切らずに取り外した場合、ホッドホンがバッテリーを消費し続けてしまうことである。この問題を受けて、近年の一部のヘッドホンは、ユーザーがヘッドホンを装着しているかどうかを検出する機能を搭載している。ここで、このような装着の有無を検出できる従来のヘッドホンの設計構造としては、ヘッドホンがユーザーによって装着されているか否かを判断するために、タッチセンサーや磁石等の機械的センサーを用いて判断を行っている。
【0009】
上述のように、一部の既存のヘッドホンには、ユーザーがヘッドホンを装着しているかどうかを検出するセンサーが装備されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の検出センサーはヘッドホンの一部ではなく、外付けの部品となるため、従来の検出センサーの場合にはヘッドホンを含むシステムの全てを構築するのにコスト高となり、更にユーザーに複雑さと煩雑さを与えてしまう場合がある。
【0011】
このような問題に鑑みて、本発明は、従来の問題を改善するためのヘッドホン、及びヘッドホン状態の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるヘッドホン、及びヘッドホン状態の検出方法は以下の構成を備える。
【0013】
シグナルプロセッサと、第1のサウンド再生ユニットと、第1の受信ユニットを含んだヘッドホンであって、
前記シグナルプロセッサは複数のコード情報を順に出力するよう構成されており、前記複数のコード情報における任意の2個の連続して出力されるコード情報は異なる周波数に対応しており、
前記第1のサウンド再生ユニットは前記複数のコード情報を受信し、前記第1のサウンド再生ユニットは再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生し、
前記シグナルプロセッサは、前記第1の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得し、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断する。
【0014】
また、前記シグナルプロセッサは、前記複数の第1のオーディオ信号に対応する複数の第1の時間差を獲得するように、前記複数の第1のタイミングポイントから、対応する前記複数の第1のオーディオ信号が再生されるときの複数の第2のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの前記着用状況を判断する。
【0015】
また、前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より小さいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が正常な装着状況であると判断する。
【0016】
更に、前記複数の第1の時間差の任意の一つが第1の予約時間より小さく、及び、前記複数の第1の時間差のうちの最後の第1の時間差が前記複数の第1の時間差のうちの初めの第1の時間差より小さいことに応答して、
前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が着用中であると判断し、前記再生順序に基づくと、前記初めの第1の時間差は前記最後の第1の時間差の前である。
【0017】
また、前記複数の第1の時間差の任意の一つが第1の予約時間より小さく、前記複数の第1の時間差の最後の第1の時間差が前記複数の第1の時間差における初めの第1の時間差より大きいことに応答して、
前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が耳から離れていると判断し、
前記再生順序に基づくと、前記初めの第1の時間差は前記最後の第1の時間差の前である。
【0018】
また、前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より大きいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断する。
【0019】
更に、前記ヘッドホンは更に第2のサウンド再生ユニットと第2の受信ユニットを備え、
前記第2のサウンド再生ユニットは前記シグナルプロセッサが出力した前記複数のコード情報を受信し、
前記第2のサウンド再生ユニットは前記再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第2のオーディオ信号を出力し、
前記シグナルプロセッサが、前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断した後、前記シグナルプロセッサは前記第2の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第2のオーディオ信号を受信したときの複数の第3のタイミングポイントを取得し、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態であるか否か判断する。
【0020】
また、前記シグナルプロセッサは、前記複数の第2のオーディオ信号に対応する複数の第2の時間差を獲得するように、前記複数の第3のタイミングポイントから、対応する前記複数の第2のオーディオ信号が再生されるときの複数の第4のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記複数の第2の時間差が皆第2の所定時間より小さいことに応答して、前記シグナルプロセッサは前記ヘッドホンが手持ち状態であると判断する。
【0021】
また、前記シグナルプロセッサは複数のタイムコードに基づいて各タイムコードに対応する前記複数のコード情報を出力するように構成され、同一の前記タイムコードに対応する前記複数のコード情報はそれぞれ異なる周波数に対応する。
【0022】
また、ヘッドホンのシグナルプロセッサが実行するヘッドホン状態の検出方法であって、
第1のサウンド再生ユニットに対して前記複数のコード情報を順に出力し、前記第1のサウンド再生ユニットに再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生させ、
前記複数のコード情報における任意の2個の連続して出力されるコード情報は異なる周波数に対応し、
第1の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得し、
前記複数の第1のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断する。
【0023】
また、前記複数のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1のタイミングポイントから、前記複数の第1のオーディオ信号に対応する複数の第1の時間差を獲得するように、対応する前記複数の第1のオーディオ信号が再生されるときの複数の第2のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記シグナルプロセッサは前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの前記着用状況を判断する、ことを含む。
【0024】
前記シグナルプロセッサが更に前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より小さいことに応答して、前記ヘッドホンの着用状況は正常な着用状態であると判断する、ことを含む。
【0025】
また、前記シグナルプロセッサが更に前記複数の第1の時間差の変化に基づいて前記ヘッドホンの着用状況を判断するステップは、
前記複数の第1の時間差が皆第1の予約時間より大きいことに応答して、前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断する、ことを含む。
【0026】
また、前記ヘッドホン状態の検出方法は更に、
第2のサウンド再生ユニットに対して前記複数のコード情報を出力し、前記第2のサウンド再生ユニットは前記再生順序に基づいて前記複数のコード情報に対応する複数の第2のオーディオ信号を順に再生し、
前記ヘッドホンの前記着用状況が着用していない状態であると判断した後、第2の受信ユニットは第1の反射を経た前記複数の第2のオーディオ信号を受信したときの複数の第3のタイミングポイントを取得し、
前記第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態であるか否か判断する。
【0027】
また、前記複数の第3のタイミングポイントに基づいて前記ヘッドホンが手持ち状態か否か判断するステップは、
前記複数の第3のタイミングポイントから、前記複数の第2のオーディオ信号に対応する複数の第2の時間差を獲得するように、対応する前記複数の第2のオーディオ信号が再生されるときの複数の第4のタイミングポイントをそれぞれ差し引くように構成され、
前記複数の第2の時間差が皆第2の所定時間より小さく且つ前記複数の第2の時間差の差異が誤差値より小さいことに応答して、前記ヘッドホンは手持ち状態であると判断する。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明は、ヘッドホン、及びヘッドホン状態の検出方法を提供する。第1のサウンド再生ユニットは、シグナルプロセッサによって送信された複数のコード情報を受信し、そして、コード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号が、再生順序に基づいて再生される。
【0029】
ここで、前記複数の第1のオーディオ信号の中で同じ周波数を有する任意の2つのオーディオ信号は、互いに異なる周波数を有する少なくとも1つの第1の数量のオーディオ信号によって分離されている。
【0030】
シグナルプロセッサは、第1の受信ユニットが第1の反射を経た前記複数の第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得し、シグナルプロセッサは、第1の受信ユニットが第1の反射された(反射を経た)第1のオーディオ信号を受信するときに、複数の第1のタイミングポイントを取得する。
【0031】
次に、シグナルプロセッサは、複数の第1のタイミングポイントに基づいてヘッドホンの装着状態を判断する。
【0032】
このため、本発明のヘッドホン、ヘッドホン状態の検出方法、プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な読記録媒体、及びプログラムが記録された非一時的なコンピュータプログラム製品は、一般的なヘッドホンのスピーカーに加えてアクティブノイズキャンセリングシステムのマイクを第1のサウンド再生ユニット及び第1の受信ユニットとして使用できる。
【0033】
また、アクティブノイズキャンセリングシステムのマイクが、第1のサウンド再生ユニットと第1の受信ユニットとして使用されることにより、追加のコンポーネントが必要なく、ヘッドホンに追加のコストが発生したり複数のコンポーネントを備えたりといった複雑さや煩雑さが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は本発明の実施形態を示したヘッドホンのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態によるヘッドホンの動作フローの概略を示した図である。
【
図3】本発明の実施形態によるヘッドホンの構成とヘッドホンを装着した状態の動作を示した図である。
【
図4】本発明の実施形態によるヘッドホンの構成とヘッドホンを耳から外した状態の動作を示した図である。
【
図5】本発明の実施形態を示したヘッドホンのブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態を示したヘッドホンの動作を示した図である。
【
図7】本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の前述した内容、他の技術的内容、特徴、及び効果について、発明の実施形態を詳細に説明する。
【0036】
また、図面における各構成要素の厚さ、幅又はサイズは、いずれも例示に過ぎず、当業者の理解の容易のために、時には実際より大きく、時には小さく、若しくは略化した方法で示されており、以下の説明における各構成要素のサイズ等は必ずしも実際の物とは一致せず、本発明の範囲を実施形態に示したものに制限することを意図するものではない。
【0037】
したがって、本発明の実施形態で示したサイズ等に基づいて当業者がサイズを変更しても、本発明の作用効果を奏するものであれば、本発明の技術的範囲に属するものとする。また、同一の構成要素については同一の符号を使用し、関連する構成要素の場合には例えば3桁の符号のうち下一桁を異ならせる等して近い番号を使用する。また、以下の実施形態に記載される「接続」という用語には、直接的に接続される場合に加えて間接的に接続される場合も含まれる。
【0038】
図1を参照して本発明のヘッドホンを説明する。ここで、
図1は本発明のヘッドホンの実施形態を示すブロック図である。
図1に示すように、ヘッドホン100はシグナルプロセッサ101と、第1のサウンド再生ユニット102と、第1の受信ユニット103を備える。ここで、第1の受信ユニット103は音声受信ユニットであるが、以下単に第1の受信ユニット103とも言う。
【0039】
通常、第1のサウンド再生ユニット102はヘッドホン100のオーディオ信号を再生する。ヘッドホン100のオーディオ信号は様々なデバイス(図示せず)が音声を再生する際にオーディオ信号再生部(図示せず)によって生成される。これらのデバイスは、たとえば、メディアプレーヤー、PC、ラジオ、携帯電話、CDプレーヤー、又はゲーム機である。
【0040】
例えば、ユーザーは、ヘッドホン100を、ヘッドホンオーディオ信号を受信するために、ユーザーによって選択された曲を再生し得るポータブルメディアプレーヤーに接続する。ここで、受信されるヘッドホンオーディオ信号は、例えば、ポータブルメディアプレーヤーで再生されている曲である。第1のサウンド再生ユニット102は、ヘッドホンオーディオ信号を出力する。第1の受信ユニット103は、第1のサウンド再生ユニット102の出力オーディオ信号と第1のサウンド再生ユニット102の環境のオーディオ信号とをサンプリングする。
【0041】
シグナルプロセッサ101は、外部コマンドを受信し、タイムコード1、2、3・・・Mに基づいて、表(1)に示すように、異なる周波数に設定されたオーディオ周波数をコードとして編集して格納する。ここで、Mは正の整数である。
表1
【0042】
ここで、同じタイムコードに対応する可聴周波数は互いに異なり、任意の2つの連続して出力される可聴周波数は異なる。たとえば、表(1)では、タイムコード1に対応するコード1A、1B ・・・ 1Fは、対応する可聴周波数が互いに異なる。
【0043】
任意の2つの連続して出力されるコード情報は、異なる可聴周波数に対応する。たとえば、連続して出力されるコード1Aとコード1Bに対応する周波数はそれぞれ45kHz、55kHzである。また、連続して出力されるコード1Fとコード2Aに対応する周波数はそれぞれ95kHz、45kHzである。
【0044】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101は、外部コマンドを受信する。また、シグナルプロセッサ101は、タイムコード1、2、3・・・ 10に基づいて、45 kHz、55 kHz、65 kHz、75 kHz、85 kHz、95 kHzの周波数のオーディオ周波数をコード1A、1B・・・10Fとして編集して保存する。
【0045】
本実施形態では、コード1A、1B、・・・1Fに対応する周波数は、必要性と実際の状況(例えば、第1のサウンド再生ユニット102の適用可能な周波数の範囲)に応じて変化し得る。例えば、コード1A、1B、・・・ 1Fに対応する周波数は5kHz、10kHz、15kHz、25kHz、35kHz、45kHzにすることができる。
【0046】
本実施形態において、シグナルプロセッサ101は、予め設定された規則に基づいてコード1A、1B・・・10Fのコード情報を生成して送信する。
【0047】
例えば、シグナルプロセッサ101は、予め設定された規則に基づいてタイムコード1に対応する期間にコード1A、1B 、・・・1Fのコード情報を生成して出力(送信)する。例えば、シグナルプロセッサ101はコード2A、2B、・・・2Fのコード情報を、予め設定された規則に基づいて、タイムコード2に対応する期間に生成して出力する等である。
【0048】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101がコード1A、1B ・・・10Fの送信を完了した後(例えば、コード10Fを送信した後)、シグナルプロセッサ101は、コード1A、1B・・・10Fの送信を新たに再開する。
【0049】
なお、他の実施形態としては、シグナルプロセッサ101がコード1A、1B ・・・10Fの送信を完了した後(例えば、コード10Fを送信した後)、シグナルプロセッサ101は、所定の時間停止してから、コード1A、1B ・・・10Fの送信を新たに再開する。
【0050】
本実施形態では、コード1A~コード1Fの内容は、それぞれ、コード2Aからコード2Fの内容と同じである。例えば、コード1Aとコード2Aは45kHzで同じコード情報であり、コード1Bとコード2Bは55kHzで同じコード情報であり、コード1Fとコード2Fは95kHzで同じコード情報である。
【0051】
これらから類推すると、コード1Aからコード1Fの内容は、それぞれコード10Aからコード10Fの内容と同じである。つまり、異なるタイムコードの同じ周波数のコード情報は同じである。
【0052】
なお、他の実施形態では、コード1Aからコード1Fの内容は、それぞれ、コード2Aからコード2Fの内容とは異ならせても差し支えない。
【0053】
たとえば、コード1Aとコード2Aは両方とも45kHzであるが、コード情報は異なる。コード1Bとコード2Bは両方とも55kHzであるが、コード情報は異なる。コード1Fとコード2Fは両方とも95kHzであるが、コード情報は異なる。
【0054】
これらから類推すると、コード1Aからコード1Fの内容は、それぞれコード10Aからコード10Fの内容と異なる。つまり、異なるタイムコードの同じ周波数のコード情報は異なる。
【0055】
次に、
図2と
図3を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図2は本発明の実施形態によるヘッドホンの動作フローの概略を示した図である。
図3は本発明の実施形態によるヘッドホンの動作の概略を示した図である。
図2、
図3に示すように、シグナルプロセッサ101、第1のサウンド再生ユニット102、第1の受信ユニット103は、ヘッドホンシェル301内に設けられる。
【0056】
なお、
図2と
図3では、シグナルプロセッサ101は左耳用のヘッドホンシェル301内に配置されていることを示しているが、左耳用でも右耳用でも、どちらに配置しても差し支えなく、更に、両方にシグナルプロセッサ101を設けても良い。
【0057】
シグナルプロセッサ101は、上述のコード1A、1B・・・10Fに基づいてコード情報を出力する。コード情報は、D/Aコンバーター201によってアナログ形式の情報に変換されて、第1のサウンド再生ユニット102に送られる。
【0058】
第1のサウンド再生ユニット102は、受信したコード情報に基づいてヘッドホンオーディオ信号に、対応するオーディオ信号を入れる。
【0059】
例えば、シグナルプロセッサ101は、コード2Aに対応するコード情報を第1のサウンド再生ユニット102に出力する。そして、第1のサウンド再生ユニット102は、コード2Aに対応するコード情報を受信した後、45kHzのオーディオ信号をヘッドホンオーディオ信号に入れる。
【0060】
図3、
図4に示すように、オーディオ信号(例えば、前述の45kHzのオーディオ信号)は、経路PLを介して伝播し、物体203に遭遇した(ぶつかった)後、経路PRを経るように反射される。
【0061】
図2に示すように、第1の受信ユニット103が環境のオーディオ信号をサンプリングしたとき、サンプリングされたオーディオ信号はA/Dコンバーター202を介してシグナルプロセッサ101に送信される。
【0062】
シグナルプロセッサ101は、第1の受信ユニット103からの環境のオーディオ信号から、反射後のオーディオ信号を検出すると共に、シグナルプロセッサ101は、第1の受信ユニット103が反射した後のオーディオ信号を受信したときのタイミングポイントを取得する。
【0063】
シグナルプロセッサ101は、第1のサウンド再生ユニット102がオーディオ信号を出力したときのタイミングポイントと、シグナルプロセッサ101が反射した後のオーディオ信号を検出したときのタイミングポイントとを比較することにより、時間差を得ることができる。
【0064】
方程式を利用する:距離=音速×時間差、シグナルプロセッサ101は第1のサウンド再生ユニット102と物体203の間、及び物体203と第1のサウンド再生ユニット103の距離の合計(和)を獲得することができる。
【0065】
第1のサウンド再生ユニット102及び第1の受信ユニット103は、ヘッドホンの固定の位置に配置されているので、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100と物体203との間の距離を取得することができる。
【0066】
例えば、第1のサウンド再生ユニット102と第1の受信ユニット103を適切な位置に設定する。第1のサウンド再生ユニット102と物体203との間の所定の距離は、第1の受信ユニット103と物体203との間の所定の距離に等しい。
【0067】
このとき、第1のサウンド再生ユニット102と物体203の間の距離は音速×時間差/2である。また、ヘッドホン100と物体203は、第1のサウンド再生ユニット102と物体203との間の距離として設定することができる。
【0068】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるヘッドホンの状態検出方法を詳細に説明する。具体的には、ヘッドホン100の各ハードウェアがどのように連携して動作するか説明する。
【0069】
図7は、本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出するための方法のフローチャートである。
【0070】
図1、
図2、
図3、及び
図7を併せて参照しながら説明する。ステップS701において、シグナルプロセッサ101は、1A、1B・・・ 1Fの順序でコード情報を送信し、第1の所定時間間隔で順番に第1のサウンド再生ユニット102にコード情報を送信する。
【0071】
例えば、シグナルプロセッサ101はコード1Aを送信した後、第1の所定時間間隔の間待機して、コード1Bを送信する。続いて、再び第1の所定時間間隔の間待機してコード1Cを再度発行する(出力する)。コード情報は、コード1Fが発行されるまでこの順序で発行される。
【0072】
本実施形態では、第1の所定時間間隔は1秒間である。第1のサウンド再生ユニット102は、受信したコード情報に基づいて、対応するオーディオ信号をヘッドホンオーディオ信号に入れ、コード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生する。
【0073】
第2の所定時間間隔の後、シグナルプロセッサ101は、第1の所定時間間隔で2A、2B…2Fの再生順序でコード情報を順次送信し、コード情報を第1のサウンド再生ユニット102に送信する。本実施形態では第2の所定時間間隔は1秒間である。
【0074】
シグナルプロセッサ101は、全てのコードに対応するコード情報が第1のサウンド再生ユニット102に送信されるまで、上記のプロセスを繰り返す。本実施形態では、第2の所定時間間隔は、シグナルプロセッサ101が第1の所定時間間隔でコード1Aから1Fを順次送信するのに必要な時間である。
【0075】
ステップS702では、第1の受信ユニット103は、サンプリングされたオーディオ信号を、A/Dコンバーター202を介してシグナルプロセッサ101に出力する。
【0076】
シグナルプロセッサ101は、第1の受信ユニット103によって環境のオーディオ信号から反射した後のオーディオ信号を検出し、第1の受信ユニット103が反射した後のコード1A~10Fに対応するオーディオ信号を受信すると、複数の第1のタイミングポイントを取得する。
【0077】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101がコード情報(例えば2A)を出力した後、第2の所定時間の後に、シグナルプロセッサ101が、対応する反射した後のオーディオ信号(この例では、45kHzのオーディオ信号)を検出しない場合には、シグナルプロセッサ101は、コード情報が送信された時点に加えて、第2の所定時間を、反射された後のコード2Aに対応するオーディオ信号が受信された第1のタイミングポイントとして使用する。
【0078】
ステップS703において、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第1のタイミングポイントに基づいてヘッドホン100の装着状態を判断する。
【0079】
本実施形態では、対応する異なるタイムコードを使用して、同じ周波数のオーディオ信号が十分に長い時間(例えば、コード1Aと2Aに対応するオーディオ信号)分離されてから、第1のサウンド再生ユニット102によって再生される。したがって、シグナルプロセッサ101は、たとえそれらの周波数が同じであっても、コード1Aと2Aに対応するオーディオ信号を容易に混同しない。
【0080】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100の装着状態が、前記複数の第1のタイミングポイントが同じ時間間隔であることに応答して通常の装着状態であると判断する。
【0081】
図8は、本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
図8を参照すると、本実施形態では、前述のステップS703は、ステップS801とS802を更に含む。
【0082】
ステップS801において、シグナルプロセッサ101は、コード1A、1B ・・・10Fに対応するコード情報を送信するとき、これらのコード情報が送信されるときの複数の第2のタイミングポイントを格納し(記録し)、前述の第1のタイミングポイントを、同じコードに対応する第2のタイミングポイントからそれぞれ差し引いて、複数の第1の時間差を得る。
【0083】
ステップS802では、シグナルプロセッサ101は、第1の時間差の変化に基づいて、ヘッドホン100の装着状態を更に判断する。
【0084】
第1の時間差が全て予め設定された第1の所定時間よりも小さい場合、このような場合は、ヘッドホン100と物体203が所定の距離内に安定して維持されていることを示し、ヘッドホン100は正常な装着状態にあると判断できる。
【0085】
このため、本実施形態では、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第1の時間差が全て予め設定された第1の所定時間よりも小さいことに応答して、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100の装着状態が通常の装着状態であると判断する。
【0086】
本実施形態では、前述の第1の所定時間は90μsである。なお、第1の所定時間は、ヘッドホン100における第1のサウンド再生ユニット102と第1の受信ユニット103の実際の設置位置に基づいて設定され、本発明の範囲は実施形態に記載したものに限定するものではない。
【0087】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101は、第1の時間差が予め設定された第1の所定時間よりも小さく、且つ、前記複数の第1の時間差の間の差異が誤差値よりも小さいことに応答して、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100の装着状態が通常の装着状態であると判断する。ここで、本実施形態では、前述の第1の所定時間は90μsである。
【0088】
次に、
図4と
図9を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図4は本発明の実施形態によるヘッドホンの動作を示す図である。また、
図9は本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。本実施形態におけるコードとその関連パラメータは、表(1)に記録されている通りであり、第1の所定時間間隔は0.1秒間であり、第2の所定時間間隔は0.1秒間である。
【0089】
図4と
図9を同時に参照して説明する。シグナルプロセッサ101がステップS701、S702、及びS801を実行した後、シグナルプロセッサ101は更にステップS901を実行する。
【0090】
ステップS901において、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第1の時間差が全て予め設定された第1の所定時間よりも大きいかどうかを判断し、大きい場合には、ヘッドホン100と物体203は、所定の距離を超える距離で連続的に維持されていることを意味するので、ステップS902において、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100が未使用状態(着用状況としては、着用していない状態である)にあると判断する。
【0091】
ステップS901において、シグナルプロセッサ101が、前記複数の第1の時間差が全て第1の所定時間より大きくないと判断した場合、プロセスとしてはステップS903に移行する。
【0092】
ステップS903において、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第1の時間差がすべて第1の所定時間よりも小さいか否か判断し、もし小さいと判断した場合、ヘッドホン100と物体203が所定の距離以下の距離を維持し続けることを意味し、つまり両者は接近していることを表す。
【0093】
このため、ステップS904では、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン100の装着状態が、前記複数の第1の時間差との差異が誤差値より小さい(すなわち、ヘッドホン100と物体203は予め設定された距離に安定して保持されている)ことに応答して、通常の装着状態であると判断する。
【0094】
ステップS903において、シグナルプロセッサ101が、前記複数の第1の時間差が全て第1の所定時間より小さくないと判断した場合には、これはヘッドホン100と物体203との間の距離が変化していることを意味する。このため、ステップS905において、ヘッドホン100と物体203との間の距離の変化の状態が更に判断される。
【0095】
再生順序に対応する場合、前記複数の第1の時間差において、初めの第1の時間差と順序が最後の第1の時間差に時間差が存在し、最後の第1の時間差が初めの第1の時間差より大きい場合には、ヘッドホン100が物体203から離れて移動していることを意味し、シグナルプロセッサ101は、ステップS906で、ヘッドホンの前記装着状態が耳から離れていると判断する。
【0096】
逆に、初めの第1の時間差と順序が後ろの最後の第1の時間差の間で時間差が存在せず、最後の第1の時間差が初めの第1の時間差より大きくなる場合には、これはヘッドホン100が物体203に接近していることを示し、このため、シグナルプロセッサ101は、ステップS907でヘッドホン100の装着状態としては、装着していると判断する。
【0097】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101が、前記複数の第1の時間差が全て第1の所定時間より小さくないと判断した後、ヘッドホン100と物体203との間の距離の変化状況を更に判断する。
【0098】
再生順序に対応する場合、前記複数の第1の時間差において、初めの第1の時間差と順序が最後の第1の時間差の間で時間差が存在し、最後の第1の時間差が初めの第1の時間差より小さい場合には、ヘッドホン100が物体203に近づくように移動していることを意味し、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホンの前記装着状況が装着中であると判断する。
【0099】
これに対し、初めの第1の時間差と順序が後ろの最後の第1の時間差との間で時間差が存在せず、最後の第1の時間差が初めの第1の時間差より小さい場合には、ヘッドホン100は物体203から離れていることを表すので、シグナルプロセッサ101は前記ヘッドホンの装着状況が耳の中であると判断する。
【0100】
次に、
図5と
図6を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図5は本発明の実施形態を示したヘッドホンのブロック図である。また、本発明の実施形態を示したヘッドホンの動作を示した図である。
図5に示すように、ヘッドホン500は第2のサウンド再生ユニット501と第2の受信ユニット502を更に含む。
【0101】
第2のサウンド再生ユニット501はヘッドホン500の既存スピーカーである。第2の受信ユニット502はヘッドホンの既存のアクティブノイズキャンセルシステムのフィードフォワードマイクロフォンである。第2のサウンド再生ユニット501は、ヘッドホンシェル310’内に配置されている。
【0102】
本実施形態では、第1のサウンド再生ユニット102と第1の受信ユニット103がヘッドホン500の一方の側に配置される。また、第2のサウンド再生ユニット501と第2の受信ユニット502は、前記ヘッドホン500の第1のサウンド再生ユニット102及び第1の受信ユニット103とは反対側に配置される。
【0103】
例えば、第1のサウンド再生ユニット102と第1の受信ユニット103は、右耳に対応するヘッドホンシェル301内に配置され、第2のサウンド再生ユニット501と第2の受信ユニット502は、左耳に対応するヘッドホンシェル301’に配置される。
【0104】
一般に、第2のサウンド再生ユニット501は、第1のサウンド再生ユニット102と同じものであり、ヘッドホンオーディオ信号を再生する。ここで、ヘッドホンオーディオ信号は様々なデバイスの音声を再生する音源によって生成することができる。第2の受信ユニット502は、第1のサウンド再生ユニット102の反対側に配置され、第2の受信ユニット502は、環境のオーディオ信号をサンプリングする。
【0105】
シグナルプロセッサ101は、前述のコード1A、1B・・・10Fに基づいてコード情報を送信し、コード情報を第2の受信ユニット501に出力する(送信する)。第2のサウンド再生ユニット501は、受信したコード情報に基づいて対応するオーディオ信号をヘッドホンオーディオ信号に入れる。
【0106】
例えば、シグナルプロセッサ101は、コード2Aに対応するコード情報を第2のサウンド再生ユニット501に送信する。第2のサウンド再生ユニット501はコード2Aに対応するコード情報を受信した後、45kHzのオーディオ信号をヘッドホンオーディオ信号に入れる。
【0107】
以下、
図5、
図6及び
図10を併せて参照しながら本発明の実施形態を説明する。ここで、
図10は本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
【0108】
ステップS902において、シグナルプロセッサ101は、ヘッドホン500が未使用状態にあると判断する。このとき、ヘッドホン500の状況を
図6に示す。第2のサウンド再生ユニット501から送信されたオーディオ信号(例えば、前述の45kHzのオーディオ信号)は、経路PL’を伝搬する。
【0109】
ヘッドホン500は装着されていないので、第2のサウンド再生ユニット501によって送信されたオーディオ信号は、ここでは人間の右手である物体601に遭遇した(ぶつかった)後、経路PR’を経るように反射される。
【0110】
第2の受信ユニット502は、環境のオーディオ信号をサンプリングするとき、サンプリングされたオーディオ信号をシグナルプロセッサ101に送信する。
【0111】
シグナルプロセッサ101は、第2のサウンド再生ユニット502によって環境のオーディオ信号から反射後のオーディオ信号を検出し、第2のサウンド再生ユニット502が反射後のオーディオ信号を受信するタイミングポイントを取得する。
【0112】
ステップS1001において、シグナルプロセッサ101は、第1の所定時間間隔で、1A、1B・・・1Fの再生順序でコード情報を送信し、第2のサウンド再生ユニット501にコード情報を送信する。ここで、本実施形態では第1の所定時間間隔は0.1秒間である。
【0113】
第2のサウンド再生ユニット501は、受信したコード情報に基づいて対応するオーディオ信号をヘッドホンオーディオ信号に入れ、前記複数のコード情報に対応する複数の第2のオーディオ信号を再生する。第2の所定の時間間隔の後、シグナルプロセッサ101は、2A、2B・・・2Fの再生順序で第1の所定時間間隔でコード情報を送信し、このコード情報は第2のサウンド再生ユニット501に出力される(送信される)。
【0114】
本実施形態では、第2の所定の時間間隔は0.1秒間である。シグナルプロセッサ101は、全てのコードに対応するコード情報が皆第2のサウンド再生ユニット501に送信されるまで、上記のプロセスを繰り返す。
【0115】
ステップS1002において、第2の受信ユニット502はサンプリングされたオーディオ信号をシグナルプロセッサ101に送信する。
【0116】
シグナルプロセッサ101は、第2の受信ユニット502が環境に対するオーディオ信号から反射した後のオーディオ信号を検出し、シグナルプロセッサ101は、第2の受信ユニット502が第1の反射を経た前記複数の第2のオーディオ信号を受信したときの複数の第3のタイミングポイントを取得する。
【0117】
ステップS1003において、シグナルプロセッサ101は更に前記複数の第3のタイミングポイントに基づいて、ヘッドホン500が手持ち状態にあるかどうかを判断する。
【0118】
本実施形態では、シグナルプロセッサ101が前記複数の第3のタイミングポイントの等しい時間間隔に応答して、ヘッドホン500が手持ち状態にあると判断する。
【0119】
図11は、本発明の実施形態によるヘッドホンの状態を検出する方法のフローチャートである。
図11に示すように、本実施形態では、前述のステップS1003は、ステップS1101とS1102を更に含む。
【0120】
ステップS1101において、シグナルプロセッサ101は、コード1A、1B・・・10Fに対応するコード情報を送信するとき、これらのコード情報が送信された複数の第4のタイミングポイントを記録し、次に、前述の第3のタイミングポイントを、同じコードに対応する第4のタイミングポイントからそれぞれ減算して、複数の第2の時間差を得る。
【0121】
ステップS1102において、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第2の時間差に基づいて、ヘッドホン500が手持ち状態であるかどうかを更に判断する。
【0122】
前記複数の第1の時間差が全て予め設定された第2の所定時間よりも小さく、且つ前記複数の第2の時間差が互いに略一致する場合には、ヘッドホン500と物体601が予め設定された距離に安定して保たれていることを示しており、ヘッドホン500が手持ち状態であると判断できる。
【0123】
したがって、シグナルプロセッサ101は、前記複数の第2の時間差がいずれも予め設定された第2の所定時間よりも小さく、且つ前記複数の第2の時間差との差異が誤差値よりも小さいことに応答して、ヘッドホン500が手持ち状態にあると判断する。
【0124】
本実施形態では、前述の第2の所定時間は900μsである。なお、第2の所定時間は、ヘッドホン500における第2のサウンド再生ユニット501と第2の受信ユニット502の実際の設置位置に基づいて設定され、本実施形態に記載したものに本発明の範囲は限定されない。
【0125】
本明細書では、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」は、不揮発性、非一時的媒体な媒体に用いられ、リードオンリーメモリ(Read Only Memory;ROM)、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、ハードディスク、CD(Compact Disk;CD)、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disc;DVD)、ペンドライブ、ネットワークを介してアクセス可能なデータベース又は本発明が属する技術分野の当業者に知られている他の任意の記憶媒体である。
【0126】
これら及び他の様々な形態の「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」は、シグナルプロセッサ101に信号を送るために1つ又は複数の命令のうちの1つ又は複数のシーケンスを伝達することに関与する。
【0127】
媒体に具体化された(記録された)そのような命令は、「コンピュータコード」又は「コンピュータプログラム製品」と呼ばれる。「コンピュータコード」又は「コンピュータプログラム製品」は、ネットワークを介して送信することができ、又は、非一時的な「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」に記録することができるファイルであっても良い。
【0128】
これらの命令は、実行されるとき、シグナルプロセッサ101が本発明の実施形態において説明したようなステップまたは機能を実行し得る。
【0129】
上記に基づいて、本発明の実施形態は、ヘッドホン、ヘッドホンの状態の検出方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び非一時的なコンピュータプログラム製品を提供し、第1のサウンド再生ユニットはシグナルプロセッサから出力された複数のコード情報を受信し、再生順序に基づいて、これらのコード情報に対応する複数の第1のオーディオ信号を再生する。
【0130】
ここで、これら第1のオーディオ信号の中で同じ周波数を有する任意の2つのオーディオ信号の間は、互いに異なる周波数を有する少なくとも1つの第1の数量のオーディオ信号によって分離されている。シグナルプロセッサは、第1の受信ユニットが第1の反射を経た第1のオーディオ信号を受信したときの複数の第1のタイミングポイントを取得する。
【0131】
次に、本発明によれば、シグナルプロセッサは、前記複数の第1のタイミングポイントに基づいてヘッドホンの着用状況を判断する。 このため、本発明の実施形態によるヘッドホン、ヘッドホン状態の検出方法、プログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、及び非一時的コンピュータプログラム製品は、一般的なヘッドホンのスピーカーとアクティブノイズキャンセリングシステムのマイクを第1のサウンド再生ユニットと第1の受信ユニットとして使用でき、追加のコンポーネントは必要なく、ヘッドホンのコストと複雑さが増加しない。
【0132】
更に、本発明の実施形態では、対応する異なるタイムコードを使用して、同じ周波数のオーディオ信号が、十分に長い時間間隔を経た後に第1のサウンド再生ユニットによって再生される。したがって、シグナルプロセッサは、たとえ周波数が同じであっても、オーディオ信号の混乱を避けることができる。
【符号の説明】
【0133】
100、500 ヘッドホン
101 シグナルプロセッサ
102 第1のサウンド再生ユニット
103 第1の受信ユニット
201 D/Aコンバーター
202 A/Dコンバーター
203、601 物体
301、301’ ヘッドホンシェル
501 第2のサウンド再生ユニット
502 第2の受信ユニット
PR、PL、PR’、PL’ 経路
S701~S703、S801~S802、S901~S907 ステップ
S1001~S1003、S1101~S1102 ステップ