(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】半導体レーザ及び半導体レーザの平坦化のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
H01S 5/223 20060101AFI20240214BHJP
H01S 5/028 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01S5/223
H01S5/028
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022177035
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2018561061の分割
【原出願日】2017-05-19
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516132747
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ダウ アリ バダール アラミン
(72)【発明者】
【氏名】バウカー ジェイソン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グリーン マルコム アール
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101969179(CN,A)
【文献】特開2016-034013(JP,A)
【文献】特開平10-093191(JP,A)
【文献】米国特許第07542497(US,B2)
【文献】特開平07-263751(JP,A)
【文献】特開2005-191380(JP,A)
【文献】特開2005-252229(JP,A)
【文献】特表2012-523718(JP,A)
【文献】特開2004-335530(JP,A)
【文献】特開2011-209629(JP,A)
【文献】特開2003-234528(JP,A)
【文献】特表2002-522909(JP,A)
【文献】特表2006-511942(JP,A)
【文献】米国特許第08787419(US,B2)
【文献】米国特許第04813052(US,A)
【文献】米国特許第05291574(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の活性領域と、
前記活性領域上の半導体材料層と、
材料と、を含み、
前記半導体材料層は
、ダブテール導波路を有し、
前記ダブテール導波路は、前記ダブテール導波路の一方側の前記半導体材料層の第1の上面、第1の側面
及び第1の下面と、前記ダブテール導波路の他方側の前記半導体材料層の第2の上面、第2の側面
及び第2の下面との間に位置し、
前記第1の側面は、前記ダブテール導波路の一方側の前記半導体材料層の前記第1の上面と前記第1の下面との間に延び、
前記第2の側面は、前記ダブテール導波路の他方側の前記半導体材料層の前記第2の上面と前記第2の下面との間に延び、
前記ダブテール導波路は、前記第1の下面と接続される第1の導波路側面、前記第2の下面と接続される第2の導波路側面、及び前記第1の導波路側面と前記第2の導波路側面との間
に延びる導波路中央上面を有し、
前記第1の導波路側面と前記第1の下面との間における前記ダブテール導波路の第1の外角が鋭角であり、前記第2の導波路側面と前記第2の下面との間における前記ダブテール導波路の第2の外角が鋭角であり、
前記材料は、
前記ダブテール導波路の一方側の前記導波路中央上面、前記第1の導波路側面、前記第1の下面、前記第1の側面及び前記第1の上面の上にあり、且つ、前記ダブテール導波路の一方側の前記導波路中央上面、前記第1の導波路側面、前記第1の下面、前記第1の側面及び前記
第1の上面の間
に延び、
前記材料は、前記ダブテール導波路の他方側の前記導波路中央上面、前記第2の導波路側面、前記第2の下面、前記第2の側面及び前記第2の上面の上にあり、且つ、前記ダブテール導波路の他方側の前記導波路中央上面、前記第2の導波路側面、前記第2の下面、前記第2の側面及び前記
第2の上面の間
に延び、
前記導波路中央上面の前記材料に開口を備え、前記材料は、前記第1の外角及び前記第2の外角を平坦化し、前記材料は、MgO又はMgF
2のうちの1つの絶縁層を含む、
ことを特徴とする、レーザ構造体。
【請求項2】
前記絶縁層は、50GHzまでの周波数範囲において10より低い誘電率を有することを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項3】
前記絶縁層は、非伝導性であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項4】
前記レーザ構造体は、前記半導体材料層の前記上面上に配置された第1の接点と、前記基板上に配置された第2の接点と、をさらに含み、
前記第1の接点は、電流を前記レーザ構造体に供給することによって、前記レーザ構造体にバイアスをかけるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項5】
少なくとも1つのファセットをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項6】
前記少なくとも1つのファセットは、前記活性領域上に形成されることを特徴とする、請求項5に記載のレーザ構造体。
【請求項7】
前記絶縁層は、MgOを含むことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項8】
前記絶縁層は、10から1の範囲
の誘電率を有することを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造。
【請求項9】
前記絶縁層は、電子ビーム蒸発によって蒸着されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【請求項10】
前記絶縁層上の金属層であって、前記絶縁層上と導波路中央上面の開口上にほぼ垂直入射で堆積する金属層と、
前記半導体材料層の前記導波路中央上面に電気伝導性のために前記金属層に取り付けられたボンディング・パッドと、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、半導体に関し、より特定的には、半導体レーザ及び半導体レーザの平坦化のためのプロセスに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年5月20日に出願された米国仮特許出願番号第62/339,581号の優先権を主張し、その内容の全体を引用により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザは、典型的に、半導体基板表面上への有機金属化学気相成長(MOCVD)又は分子線ビームエピタキシ(MBE)成長を用いて、ウェハ上に、InP、GaAs、GaN、及び三元又は四元半導体材料などの複数の半導体材料の層をエピタキシャルに堆積させることによって、ウェハ上に実現される。その後、複数の半導体製造ステップがウェハに適用され、ファセット及び金属電気接点を有するデバイス活性領域を含むレーザ光学キャビティを実現する。典型的に、半導体材料をへき開又はエッチングすることによって、ファセットが形成される。電位の印加により、電流がデバイスの活性領域を通って流れることが可能になり、それによりファセットから光子が放出される。
【0003】
半導体レーザダイオードの動作中、デバイスの活性領域内で大量の熱が発生する。一般に、活性領域が低温であるとき、レーザダイオードの性能はより良好である。大部分のレーザダイオードは、活性側を上に(active-side-up)マウントされ、基板がAlNサブマウントのような熱伝導性材料と接触している。代替的に、適切な設計を有するレーザダイオードを、活性側を下に(active-side-down)マウントし、活性領域とサブマウントとの間の熱経路を低減させることもできる。
【0004】
レーザは、光通信システムにおいて大きな役割を果たす。伝送速度の一部は、毎秒25Gbitであるか又はこれを上回り、レーザは、典型的には、50℃より高い温度で動作することが必要とされる。典型的に、活性領域がより高温であると、半導体レーザの高速性能はより悪化する。従って、特に高温で高速動作を達成する際に、活性領域からの熱拡散及び熱除去は、重大な課題のままである。
【0005】
高周波数動作において、レーザ容量が、半導体レーザから得ることができる性能に影響を与え得る。従って、好適なレーザの性能を可能にするために、高周波数におけるレーザと関連した容量の低減が必要である場合がある。
【0006】
埋め込み-ヘテロ構造(BH)手法を、レーザの活性領域から熱を拡散して逃がすために用いることができる。こうした手法は、一般的に、活性領域を通ってエッチングし、MOCVD又はMBEのいずれかを用いてInPのような高熱伝導性薄膜を再成長させ、活性領域からデバイス金属層までの良好な熱流路を生成することを要する。しかしながら、この手法には、幾つかの不利な点がある。最も高性能のレーザ活性領域は、Alを組み込む。Alコンテンツを有する活性領域を通ってエッチングすることにより、活性層の側壁上に酸化アルミニウム(AlO2)が形成される。酸化アルミニウムは、BHレーザの形成に必要とされる再成長の前に除去するのが困難である。酸化アルミニウムの存在は、再成長プロセスの際、デバイス性能を低下させることがあり、後の層の欠陥をもたらし得る。さらに、後の再成長のコストを増加させる。以下の発行物は、こうした課題に対処するための種々の手法を強調する(非特許文献1及び非特許文献2)。
【0007】
上記を鑑みて、高価なBH技術に依存しない高性能のレーザに対する必要性があり得ることを理解することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Takino他、「Improved Regrowth Interface of AlGaInAssurasshuInP-Buried-Heterostructure Lasers by In-Situ Thermal Cleaning」、IEEE Journal of Quantum Electronics、Volume 48、Number 8、971~979ページ、2012年8月
【文献】Pan他、「Theoretical study of the temperature dependence of 1.3 μm A1GaInAs-InP multiple-quantum-whell lasers」、IEEE Journal of Quantum Electronics、Volume 32、Number 12、2133~2138ページ、1996年12月
【発明の概要】
【0009】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体は、基板と、基板上に配置された活性領域と、活性領域上に配置された導波路とを含む。導波路は、活性領域に対して第1の角度を形成するように接合する第1の表面及び第2の表面を含む。レーザ構造体は、導波路の第1の表面及び第2の表面上に堆積される材料をさらに含むことができる。
【0010】
幾つかの実施形態において、第1の角度は、90度より小さくすることができる。
【0011】
幾つかの実施形態において、導波路は、活性領域に対して第2の角度を形成するように接合する第3の表面及び第4の表面をさらに含むことができる。材料は、第3の表面及び第4の表面上に堆積させることができる。
【0012】
幾つかの実施形態において、第2の角度は、90度より小さくすることができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、材料は、MgO、MgF2、SiO2、又はSi3N4のうちの一つとすることができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、材料は、50GHzまでの周波数範囲において10より低い誘電率を有することができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、材料は、非伝導性であることができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、導波路は、第1の表面と第3の表面との間に配置された第5の表面を含み、レーザ構造体は、第5の表面上に配置された第1の接点と、基板上に配置された第2の接点とをさらに含むことができる。第1の接点は、電流をレーザ構造体に供給することによって、レーザ構造体にバイアスをかけるように構成することができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体は、少なくとも1つのファセットをさらに含むことができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのファセットは、活性領域内に形成することができる。
【0019】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体は、基板と、基板上に配置された活性領域と、活性領域上に配置された導波路とを含むことができる。導波路は、第1のリッジ及び第2のリッジを含むことができる。第1のリッジは第1の空隙を形成することができ、第2のリッジは第2の空隙を形成することができる。レーザ構造体は、第1及び第2の空隙にわたるブリッジとして配置された金属層をさらに含むことができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、第1のリッジは、活性領域に対して90度より小さい第1の角度を形成し、第2のリッジは、活性領域に対して90度より小さい第2の角度を形成することができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、第1の接点は、導波路の表面上に配置することができ、第1の接点は、電流をレーザ構造体に供給することによって、レーザ構造体にバイアスをかけるように構成することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体は、少なくとも1つのファセットをさらに含むことができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのファセットは、活性領域内に形成することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体を製造する方法が、基板上に活性領域を配置するステップと、活性領域上に導波路を配置するステップとを含むことができる。導波路は、第1のリッジ及び第2のリッジを含むことができる。方法は、ポリマーが第1のリッジ及び第2のリッジの下に被覆するように、導波路上にポリマーを堆積させるステップと、ポリマー上に少なくとも1つのレジスト層を堆積させるステップと、少なくとも1つのレジスト層上に金属層を堆積させるステップと、堆積されたポリマー及び堆積された少なくとも1つのレジスト層を除去するステップとをさらに含むことができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、第1のリッジは、活性領域に対して90度より小さい第1の角度を形成することができ、第2のリッジは、活性領域に対して90度より小さい第2の角度を形成することができる。
【0026】
幾つかの実施形態において、方法は、導波路の表面上に第1の接点を配置するステップをさらに含むことができる。第1の接点は、電流をレーザ構造体に供給することによって、レーザ構造体にバイアスをかけるように構成することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、方法は、活性領域内に少なくとも1つのファセットを形成するステップをさらに含むことができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのファセットは、エッチングによって形成することができる。
【0029】
電子ビーム蒸着のためのフィクスチャ(fixture)は、レーザ構造体を支持するように構成されたウェハ・プレートと、蒸着温度で熱を放出するように構成された統合されたヒータとを含むことができる。統合されたヒータにより放出される熱は調整可能であり、フィクスチャの角度は調整可能である。
【0030】
幾つかの実施形態において、ウェハ・プレートは、レーザ構造体を蒸発物に対して配向するようにさらに構成することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体の配向により、レーザ構造体の少なくとも1つのリッジが蒸発物にさらされ得る。
【0032】
幾つかの実施形態において、レーザ構造体の配向は、レーザ構造体の少なくとも1つのリッジの角度に基づいて変化し得る。
【0033】
ここで、添付図面に示されるように、特定の実施形態を参照して本開示をより詳細に説明する。本開示は、特定の実施形態を参照して以下に説明されるが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。本明細書での教示を利用できる当業者であれば、付加的な実施、修正及び実施形態、並びに本明細書に記載されるような本開示の範囲内であり、かつ本開示がそれに関連して著しい有用性を有し得る他の使用分野を認識するであろう。
【0034】
本開示のより完全な理解を容易にするために、ここで、同様の番号により同様の要素が参照される添付図面を参照する。これらの図面は、本開示の限定として解釈すべきでなく、単に例証であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の実施形態による、半導体レーザの断面を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、別の半導体レーザの断面を示す。
【
図3】本開示の実施形態による、別の半導体レーザの断面を示す。
【
図4】本開示の実施形態による、別の半導体レーザの断面を示す。
【
図5】本開示の実施形態による、半導体構造体を支持するように構成された調整可能なフィクスチャの上面図を示す。
【
図6A】本開示の実施形態による、調整可能なフィクスチャを示す。
【
図6B】本開示の実施形態による、調整可能なフィクスチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示及び関連する利点が、以下の説明、及び必ずしも縮尺通りで描かれていない添付図面において説明され、強調される。本開示を必要以上に分かりにくくいないように、構造及び処理技術の詳細な説明は省略される。
【0037】
図1は、半導体レーザ100の断面を示す。レーザ100は、少なくとも1つの電気接点を有するダブテール・リッジ導波路レーザ構造体である。レーザ100は、底部層102を含むことができる。底部層102は、金属層とすることができ、層104に隣接する電気接点層を提供することができる。層104は、N型半導体とすることができ、層102と活性領域106との間に配置することができる。例えば、層104は、InP基板とすることができる。活性領域106は、レーザ100からの光子の放出を提供することができる。層108は、活性領域106に隣接して配置することができる。層108は、P型半導体とすることができる。層108は、ダブテール・リッジ導波路(RWG)116を含むことができる。層110は、層108に隣接して配置することができる。層110は、絶縁層とすることができる。例えば、層110は、層108の露出面を覆うように、層108上に堆積されたSiO
2の絶縁層とすることができる。ダブテールRWG116の上部には、層110内の開口部118を形成することができる。層110の上及びダブテールRWG116上の層110内の開口部の上に、上部金属層112を堆積させることができる。従って、上部金属層112は、ダブテールRWG116上の層110内の開口部を介してp側のデバイスをバイアスするための電気接点層を提供することができる。ボンディング・パッド114は、上部金属層112に取り付けることができる。化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)を用いて、
図1に示されるレーザ100のX軸及びY軸により定められるレーザ100の面上にエッチングされたファセットを形成することができる。ファセットは、活性層106内にエッチングすることができる。へき開を用いて、エッチングされたファセットを形成することもできる。
【0038】
レーザ100は、高度のトポロジーを提供することができる。しかしながら、レーザ100は、低減したp側金属被覆率及び低減した活性領域106からの熱伝導経路を含み得る。ダブテールRWG116は、他のリッジ幅と比べて狭いリッジ幅を形成することができる。ダブテールRWG116のリッジ幅は、光を閉じ込めるように構成することができるが、p側金属接点のためのより広い面積が接点抵抗を減らすのを可能にするように構成することもできる。
【0039】
ダブテールRWG116は、層108の一部として形成することができる。RWG116は、上面及び2つの側面を有することができる。各側面は、活性領域106に対して層108の別の面とある角度を形成して、RWG116のリッジを形成することができる。各角度は、90°より小さくすることができる。
【0040】
図2は、半導体レーザ200の断面を示す。レーザ200は、これが活性領域106、並びに層102、104、108及び110を同様に含むので、
図1のレーザ100に類似している。レーザ200もまた、ダブテールRWG116及び開口部118を含む。しかしながら、レーザ200は、活性領域からの熱伝導経路を著しく改善するために、容量低減及び平坦化のために層110に隣接して配置されたポリマー202をさらに含む。ポリマー202は、感光性ポリマーとすることができる。レーザ200は付加的に、層204も含む。層204は、層112と類似した金属層とすることができる。半導体レーザ200は、優れた平坦化及び著しい容量低減、並びに著しい熱伝導性の改善を提供することができる。しかしながら、金属化アニール及びはんだ付けのような熱処理後、レーザ200は、閾値電流、レーザ波長、及び/又はサイド・モード抑圧比(side mode suppression ratio)の変化を示すことがある。これらの性能の変化により、ポリマー202の使用が抑制される。
【0041】
図3は、半導体レーザ300の断面を示す。レーザ300は、これが活性領域106、並びに層102、104、及び108を含むという点で、レーザ100及び200に類似している。レーザ300はまた、ダブテールRWG116及び開口部118も含む。しかしながら、レーザ300は、材料302及び金属層304をさらに含む。レーザ300は、開口部118が残るように、層108及びダブテールRWG116上に材料302の堆積のためのリフトオフ・プロセスを用いて平坦化することができる。材料302は、MgO、MgF
2、SiO
2、Si
3N
4、及び/又は、例えば、50GHzまでの周波数範囲、又は10~50GHzの周波数範囲における低い相対誘電率(例えば、10より低い)を有する他の非導電性材料から形成することができる。誘電率は、容量低減のために10未満とすることができ、1により近くてもよい。
【0042】
上述のような平坦化を用いることで、材料302を用いる半導体レーザ活性領域の冷却を提供することができる。材料302をレーザ300の上に蒸着させ、レーザ300上に蒸着された薄膜を形成することができる。蒸着は、半導体、絶縁体、及び/又は金属などの種々の表面への接着をもたらすことができ、ダブテール・リッジのような、こうした表面により形成される種々のトポロジー及び形状への接着をさらにもたらすことができる。蒸着はさらに、ターゲット化した堆積を可能にすることができる。金属304は、上述した層204と類似し得る。
【0043】
MgOは、平坦化のために用いることができる低い相対誘電材料302の説明に役立つ実例として用いることができる。MgOは、蒸着を用いて種々の表面及びトポグラフィに接着し得る。例えば、パターン化されたレーザ300の加熱された基板(例えば、層108のような)へのMgOの電子ビーム蒸着は、堆積が、ターゲット領域において生じるのを可能にする。MgOは、レーザ300の活性領域106からの熱伝導を可能にし得る43W/mKの熱伝導性を有する。
【0044】
さらに、MgOを用いてレーザ300の表面を平坦化し、改善された特性をもつより複雑でない金属化技術を可能にすることもできる。例えば、現在の感光性平坦化ポリマーは、不十分な熱伝導率を有し得る。レーザ300の低い電気抵抗(及び広い接触面積)に対してダブテール・リッジを、並びにレーザ300上のMgOの電子ビーム又は熱蒸着を用いることは、ローバストな低コスト製造プロセスを可能にする。説明される平坦化は、他の半導体デバイスにも適用され得る半導体レーザデバイスの温度を低下させる際に耐久性のある技術を提供することができる。
【0045】
MgOはまた、レーザ波長において低減した吸収を有し得るので、半導体レーザ構造に適した複雑な屈折率を含むこともできる。ここで、屈折率の虚数成分は非常に低く、屈折率の実成分は、レーザ300のための適切な導波を可能にするのに適切であり得る。
【0046】
本開示の平坦化の1つの重要な利点は、これが半導体レーザの活性領域(活性領域106のような)から熱を放散するための経路を改善できるという点である。熱は、抵抗加熱又はジュール加熱により、ダブテールRWG(例えば、RWG116)において生成され、同じく熱は、活性領域においても生成され得る。この熱を、基板(例えば、InPから作成することができる)を通り、誘電体(例えば、MgO)を横方向に通り、又はRWGの上部の金属接点を通って、レーザから奪うことができる。
【0047】
図1は、金属層112が、RWG116の両側に巻き付けられるように堆積された構造体を示す。側壁は、通常、金属堆積源に面することはないので、金属の堆積は、プラネタリ又はロッキング・フィクスチャにおいてさえ、RWG116のリッジ側壁上の金属層112の薄い層をもたらし得る。金属層112の薄い層は、RWG116の上部から
図1のボンディング・パッド114への制限された熱経路を提示し得る。
図3は、RWG116の両側へのリッジ領域が誘電体(例えば、材料302)で充填されている構造体を示す。これは構造体を平坦化し、金属304をほぼ垂直入射で堆積することを可能にする。金属304は、ボンディング・パッド領域に達するように熱エネルギーのための良好な経路を提供することができる厚い平坦な層として堆積され得る。構造体を平坦化するために、エア・ブリッジも使用され、エア・ブリッジは、
図4と関連して説明される。
【0048】
図4は、半導体レーザ400の断面を示す。半導体レーザ400は、これが活性領域106、並びに層102、104、及び108を含むという点で、レーザ300に類似している。レーザ400はまた、ダブテールRWG116、開口部118、層110、及び金属304も含む。しかしながら、レーザ400は、空隙402も含む。金属304は、空隙402にわたる金属のエア・ブリッジとして働き、ボンディング・パッドをレーザ400の上部に接続するように構成される。レーザ400は、空隙402を形成するように、ダブテールRWG116の両側からポリマー(例えば、ポリマー202から形成された)を除去することによって形成される。例えば、ポリマーは、金属304が構造体上に堆積された後、溶剤を用いて除去することができる。以下のように、ポリマーの一部又は全てを除去することができる。
【0049】
レジストの第2の層を構造体の上に平坦化し、これがダブテールRWG116の両側を充填するようにパターン形成することができる。次に、レジストの第1の層は、例えば、これが現像液中では溶解しないが、アセトン及び他のレジスト剥離剤中では依然として溶解できるように硬化させることができる。次に、レジストの第2の層を第1の層の上にパターン形成し、リフトオフ構造体を形成することができる。構造体上への金属304の金属蒸着後、レジストの層を除去し、ポリマーを除去し、層110と金属304との間に空隙402を残すことができる。この設計は、不安定なレーザ操作を減らし、熱伝導のためのより厚い平坦化された金属膜を提供することができる。
【0050】
図5は、調整可能なフィクスチャ502の上面図を示す。半導体レーザは、ウェハ・プレートを介してフィクスチャ502に取り付けることができ、蒸着を行って、レーザを半導体レーザ300に変える。レーザがフィクスチャ502に取り付けられると、フィクスチャ502は、レーザのダブテールRWG116の右側及び左側、並びにダブテールRWG116の下側への材料302(例えば、MgOなど)の電子ビーム蒸着を行うことができるように位置決めされ得る。
図5に示されるように、フィクスチャ502は、ダブテールRWG116の右側リッジへの蒸着のために用いることができ、時間T1におけるこうした蒸着をもたらすことができる。フィクスチャ502は、再位置決めすることができ、それにより、レーザが再位置決めされ、時間T2におけるレーザのダブテールRWG116の左側リッジへの蒸着のために用いられる。これにより、レーザ300を形成することができる。
【0051】
フィクスチャ502は、改善された蒸着薄膜特性のための蒸着温度を調整することができる統合されたヒータを含むことができる。フィクスチャ502により提供される設定の柔軟さにより、広範囲の角度の付けられたダブテール構造体の収容が可能になる。
図6A及び
図6Bは、フィクスチャ502の異なる構成を示す。
図6Aは、ヒータ602を有するフィクスチャ502を示す。フィクスチャ502は、ウェハ604を支持し、そこへの蒸発物流606によって、材料302などの材料の蒸着のために、ウェハ604を適所に保持する。ウェハ604は、いずれの種類の半導体デバイスとしてもよい。上述のように、材料302の蒸発物流606がウェハ604に指向されたとき、蒸着温度を調整するために、ヒータ602を使用することができる。蒸発物流606をウェハ604の異なる領域に適用できるように、フィクスチャ502を異なる角度に調整することができる。さらに、蒸発物流606がウェハ604に適用される速度は調整可能であり得る。
【0052】
図6Bは、レーザ608を支持するように構成されたフィクスチャ502を示す。ヒータ602は、
図6Bには示されないが、フィクスチャ502内に統合することができる。代替的に、ヒータ602は、
図6Aに示されるような外部ユニットとすることができる。レーザ608は、材料302がその上に蒸着される点を除いて、レーザ300と同じ素子を含む。蒸発物流606によって、材料302をレーザ608の上に蒸着させて、レーザ300を形成することができる。例えば、レーザ608及びダブテールRWG116が蒸発物流606に向けて配向されるように、フィクスチャ502の角度を付けることができる。従って、蒸発物流606は、レーザ608の上及びRWG116の表面上に蒸着させることができる。上述のように、材料302は、MgOとすることができる。従って、MgOは、蒸発物流606を介してレーザ608の上に堆積させることができる。
図6Bに示されるように、フィクスチャ502は、45°の角度で位置決めすることができる。しかしながら、フィクスチャ502は、これが0°から360°までの範囲の角度を形成するように調整することができる。また、例えば、ヒータ602は、周囲温度から300℃まで変化し得る。例えば、蒸着中の温度は、105℃とすることができる。蒸着中の基板温度の変化は、レーザ608上の蒸着膜の密度、及びレーザ608の光学/熱特性に影響を与えることがある。従って、フィクスチャ502は、低い基板温度での電子ビーム蒸着による蒸着、並びに蒸着角度及びウェハ温度の制御を提供し、これにより、レーザ608のようなデバイスの平坦化が提供される。
【0053】
フィクスチャ502を用いて、電子ビーム蒸着又はスパッタリング技術のような両立性があり低コストの技術を用いる、ダブテールRWGリッジ側壁上への高熱伝導性材料の成長を実施することができる。従って、調整可能な半導体デバイスを製造することができる。
【0054】
材料302を用いる平坦化を実施することができ、ここで、材料302は、MgO、MgF2、SiO2、Si3N4、及び/又は他の誘電体とすることができる。SiO2と比べて、MgO及びMgF2を用いて、熱伝導性をわずかに改善することができる。こうした平坦化された構造は、著しい容量減少及び活性領域からの改善された熱伝導経路を示し得る。ポリマーの場合とは異なり、メタライゼーション・アニール及びはんだ付けのような著しい熱処理の後、デバイス特性は安定したままであり得る。また、ダブテール・リッジの機械的強度を改善することもできる。
【0055】
本開示は、本明細書で説明される特定の実施形態に範囲が制限されるものではない。事実上、当業者には、上記の説明及び添付図面から、本明細書で説明されるものに加えて、本開示の他の種々の実施形態及び本開示に対する修正が明らかであろう。従って、そうした他の実施形態及び修正は、本開示の範囲内に入るように意図される。さらに、本開示は、少なくとも1つの特定の目的のために少なくとも1つの特定の環境における少なくとも特定の実施の文脈で本明細書で説明されているが、当業者であれば、その有用性はこれに限定されないこと、及び本開示は、如何なる数の目的のための如何なる数の環境においても有利に実施できることを認識するであろう。
本発明のその他の実施態様を以下に記載する。
〔実施態様1〕
基板と、
前記基板上に配置された活性領域と、
前記活性領域上に配置され、第1の上面及び2つの第1の側面を含む導波路であって、前記第1の上面は前記2つの第1の側面のうちの一つに接合し、導波路において鋭角を形成する、導波路と、
前記導波路の前記2つの第1の側面上に堆積された第1の材料と、
を含むことを特徴とする、レーザ構造体。
〔実施態様2〕
前記第1の上面は、前記2つの第1の側面の両方に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成することを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様3〕
前記導波路は、前記活性領域上の第2の材料の第1の部分で形成され、
前記第2の材料の第2の部分は、それぞれ前記導波路の前記2つの第1の側面に隣接する2つの第2の上面を含み、
前記2つの第2の上面のうちの一つは、前記2つの第1の側面のそれぞれのうちの一つに接合し、前記導波路において鋭角を形成し、
前記第1の材料は、前記2つの第2の上面上に堆積されることを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様4〕
前記第2の上面の両方は、前記2つの第1の側面の両方に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成することを特徴とする、実施態様3に記載のレーザ構造体。
〔実施態様5〕
前記第1の材料は、MgO、MgF
2
、SiO
2
、又はSi
3
N
4
のうちの一つであることを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様6〕
前記第1の材料は、50GHzまでの周波数範囲において10より低い誘電率を有することを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様7〕
前記第1の材料は、非伝導性であることを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様8〕
前記第2の材料の第3の部分は、第3の上面及び第2の側面を含み、
前記第3の上面は前記第2の側面に接合し、
前記第2の側面は前記2つの第2の上面のうちの一つに接合し、
前記レーザ構造体は、
前記第3の上面上に配置された第1の接点と、
前記基板上に配置された第2の接点と、
をさらに含み、
前記第1の接点は、電流を前記レーザ構造体に供給することによって、前記レーザ構造体にバイアスをかけるように構成されることを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様9〕
少なくとも1つのファセットをさらに含むことを特徴とする、実施態様1に記載のレーザ構造体。
〔実施態様10〕
前記少なくとも1つのファセットは、前記活性領域上に形成されることを特徴とする、実施態様9に記載のレーザ構造体。
〔実施態様11〕
基板と、
前記基板上に配置された活性領域と、
前記活性領域上に配置され、第1の上面及び2つの第1の側面を含む導波路であって、前記第1の上面は前記2つの第1の側面に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成する、導波路と、
前記2つの第1の側面に隣接して形成される空隙と、
前記空隙にわたるブリッジとして配置された金属層と、
を含むことを特徴とする、レーザ構造体。
〔実施態様12〕
前記導波路は、前記活性領域上の材料の第1の部分で形成され、
前記材料の第2の部分は、それぞれ前記導波路の前記2つの第1の側面に隣接する2つの第2の上面を含み、
前記第2の上面の両方とも前記2つの第1の側面の両方に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成することを特徴とする、実施態様11に記載のレーザ構造体。
〔実施態様13〕
前記金属層上に配置された第1の接点をさらに含み、
前記第1の接点は、電流を前記レーザ構造体に供給することによって、前記レーザ構造体にバイアスをかけるように構成されることを特徴とする、実施態様11に記載のレーザ構造体。
〔実施態様14〕
少なくとも1つのファセットをさらに含むことを特徴とする、実施態様11に記載のレーザ構造体。
〔実施態様15〕
前記少なくとも1つのファセットは、前記活性領域上に形成されることを特徴とする、実施態様14に記載のレーザ構造体。
〔実施態様16〕
レーザ構造体を製造する方法であって、
基板上に活性領域を配置するステップと、
前記活性領域上に、第1の上面及び2つの第1の側面を含む導波路を配置するステップであって、前記第1の上面は前記2つの第1の側面に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成する、ステップと、
少なくとも前記2つの第1の側面上にポリマーを堆積させるステップと、
前記ポリマー上に少なくとも1つのレジスト層を堆積させるステップと、
前記少なくとも1つのレジスト層上に金属層を堆積させるステップと、
前記堆積されたポリマー及び前記堆積された少なくとも1つのレジスト層を除去するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
〔実施態様17〕
前記導波路は、前記活性領域上の材料の第1の部分で形成され、
前記材料の第2の部分は、それぞれ前記導波路の前記2つの第1の側面に隣接する2つの第2の上面を含み、
前記第2の上面の両方とも前記2つの第1の側面の両方に接合し、前記導波路において2つの鋭角を形成することを特徴とする、実施態様16に記載の方法。
〔実施態様18〕
前記金属層上に第1の接点を配置するステップをさらに含み、
前記第1の接点は、電流を前記レーザ構造体に供給することによって、前記レーザ構造体にバイアスをかけるように構成されることを特徴とする、実施態様16に記載の方法。
〔実施態様19〕
前記活性領域上に少なくとも1つのファセットを形成するステップをさらに含むことを特徴とする、実施態様16に記載の方法。
〔実施態様20〕
前記少なくとも1つのファセットは、エッチングによって形成されることを特徴とする、実施態様19に記載の方法。
〔実施態様21〕
電子ビーム蒸着のためのフィクスチャであって、
レーザ構造体を支持するように構成されたウェハ・プレートと、
蒸着温度で熱を放出するように構成された統合されたヒータと、
を含み、
前記統合されたヒータにより放出される熱は調整可能であり、前記フィクスチャの角度は調整可能であることを特徴とする、フィクスチャ。
〔実施態様22〕
前記ウェハ・プレートは、前記レーザ構造体を蒸発物に対して配向するようにさらに構成されることを特徴とする、実施態様21に記載のフィクスチャ。
〔実施態様23〕
前記レーザ構造体の前記配向により、前記レーザ構造体の少なくとも1つのリッジが前記蒸発物にさらされることを特徴とする、実施態様21に記載のフィクスチャ。
〔実施態様24〕
前記少なくとも1つのレーザ構造体の前記配向は、前記レーザ構造体の少なくとも1つのリッジの角度に基づいて変化することを特徴とする、実施態様21に記載のフィクスチャ。
【符号の説明】
【0056】
100、200、300、400、608:半導体レーザ
102、104、106、108、110、204:層
106:活性領域
112、304:金属層
114:ボンディング・パッド
116:ダブテール・リッジ導波路(RWG)
118:開口部
202:ポリマー
302:材料
402:空隙
502:フィクスチャ
602:ヒータ
604:ウェハ
606:蒸発物流