(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240214BHJP
E06B 7/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/06
(21)【出願番号】P 2022210678
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2019134045の分割
【原出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 卓
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-89367(JP,A)
【文献】特開2016-61020(JP,A)
【文献】扉の開きを防止するラッチの種類とドアノブラッチの交換方法,DIY Clip! -暮らしに創る喜びを-,ROYAL HOMECENTER CO.,Ltd.,2024年01月10日,p.1-8,URL:https://diyclip.roymall.jp/tool/1322921
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、前記枠体に配設される障子とを備え、
前記障子は、四周組した建材の内部に面材及び換気ユニットを備え、
前記換気ユニットは、副枠体と、前記副枠体を構成する副下枠を介して前記副枠体の内部に開閉可能に支持された副面材とを備え、
前記副枠体を構成する副上枠には、室内側となる部分及び室外側となる部分にそれぞれ下方に向けて当接ヒレ部が設けられるとともに、それぞれの当接ヒレ部には前記副面材との間をシールするシール部材が設けられ、
前記副上枠と前記副面材との間には
、前記シール部材の相互間となる部分に前記副面材を閉じた状態に維持するラッチ及びラッチ受けが設けられ、
前記副上枠には、前記副面材の前記ラッチに対向する面に熱膨張性部材が配設され、
前記副下枠には、前記副面材に対向する面に熱膨張性部材が配設されていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するもので、詳細には枠や框等の建材の間に副障子を備えた建具の防火対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具には、障子を構成する框の内部に換気用の副障子を備えたものがある。副障子は、副建材の間に副面材が開閉可能に支持されたもので、例えば障子の上部に配設されている。この種の建具では、副障子を開放すれば、障子を閉じた状態においても換気を行うことが可能となり、操作性や防犯性の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今の建具には、高い防火性が要求されることが多い。副障子を備えていない建具の場合には、例えば、障子を構成する框と面材との間に熱膨張性部材を配設することで防火性を高めるようにしている。すなわち、この建具では、障子が高温に晒された場合、熱膨張性部材が膨張することで框と面材との隙間が塞がれることになり、室内外方向に火炎の貫通口が生じる事態が防止されることになる。
【0005】
一方、副障子を備えた建具の防火性を向上させるには、障子の框と面材との間に熱膨張性部材を配設することに加え、副障子の副建材と副面材との間にも副熱膨張性部材を配設することが考えられる。こうした建具では、副障子の副建材と副面材との間に物理的な貫通口が生じる事態を防止することは可能となる。しかしながら、実際の建具にあっては、副障子の非加熱面側において発炎が生じる懸念があり、未だ改善の余地がある。すなわち、副障子を備えた建具では、副建材と障子の框との間に空間が存在し、この空間が框と面材との隙間と連通した状態にある。このため、例えば建具が高温に晒されることで面材から可燃性ガスが生じた場合には、副建材と障子の框との隙間に到達することとなり、さらにこの可燃性ガスが副障子の非加熱面側に噴出すると発炎する事態を招来し得る。
【0006】
なお、上述した問題は、障子の框と副障子との間に限らず、例えば、枠体に面材及び副障子が配設されたFIX窓においても同様に生じ得るものである。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、副障子を備えたものの防火性を高めることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体と、前記枠体に配設される障子とを備え、前記障子は、四周組した建材の内部に面材及び換気ユニットを備え、前記換気ユニットは、副枠体と、前記副枠体を構成する副下枠を介して前記副枠体の内部に開閉可能に支持された副面材とを備え、前記副枠体を構成する副上枠には、室内側となる部分及び室外側となる部分にそれぞれ下方に向けて当接ヒレ部が設けられるとともに、それぞれの当接ヒレ部には前記副面材との間をシールするシール部材が設けられ、前記副上枠と前記副面材との間には、前記シール部材の相互間となる部分に前記副面材を閉じた状態に維持するラッチ及びラッチ受けが設けられ、前記副上枠には、前記副面材の前記ラッチに対向する面に熱膨張性部材が配設され、前記副下枠には、前記副面材に対向する面に熱膨張性部材が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建具が高温に晒された場合、熱膨張性部材が膨張することで建材と副建材との間の収容部が閉塞されることになる。従って、面材から可燃性ガスが生じた場合にも、この可燃性ガスが副障子に到達することがなく、副障子の非加熱面側で発炎する事態を招来するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た図である。
【
図3】
図1に示した建具を副障子の部分で破断した横断面図である。
【
図4】
図1に示した建具を面材の部分で破断した横断面図である。
【
図5】
図1に示した建具の内障子から副障子を取り外した状態の分解横断面図である。
【
図6】
図1に示した建具に適用する副障子を示すもので、(a)は室内側から見た図、(b)は室外側から見た図である。
【
図7】
図6に示した副障子において副面材が閉塞位置に配置された状態の縦断面図である。
【
図8】
図6に示した副障子において副面材が開放位置に配置された状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1~
図4は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10に対して内外2枚の障子20,30を左右方向に沿ってスライド可能に配設した引き違い窓と称されるものである。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13,14を四周枠組みすることによって矩形状に構成したものである。
【0012】
枠体10の室外側に配設される外障子20は、四周框組みした上框21、下框22及び左右の縦框23,24の内部に矩形状を成す複層ガラス25を配置することによって構成したものである。枠体10の室内側に配設される内障子30は、四周框組みした上框31、下框32及び左右の縦框(建材)33,34の内部に矩形状を成す複層ガラス(面材)35及び外形が矩形状の換気ユニット(副障子)40を上下に隣接した状態で並設することにより構成したものである。外障子20の複層ガラス25及び内障子30の複層ガラス35は、それぞれスペーサ部材Sを介して複数枚(例えば2枚)のガラス板Gを互いに接着することにより構成したものである。
【0013】
これら外障子20及び内障子30は、左右に沿った寸法がほぼ同一で、召し合わせとなる縦框23,33を互いに見込み方向に並設した場合に枠体10を閉じることのできる寸法に形成してある。本実施の形態では、枠体10を閉じた場合に、室内側から見て左側に外障子20が配置され、室内側から見て右側に内障子30が配置される建具を例示している。しかしながら、必ずしもこれに限らず、内障子30及び外障子20が左右逆に配置される引き違い窓であっても構わない。
【0014】
ここで、上述した見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、本実施の形態では便宜上、見付け方向という用語も用いる。見付け方向とは、上枠11や下枠12等のように水平方向に沿って延在する建材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠13,14等のように上下方向に沿って延在する建材の場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0015】
以下、換気ユニット40を備えた内障子30の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。
【0016】
内障子30を構成する上框31、下框32及び左右の縦框(建材)33,34は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。これらの框31,32,33,34には、
図2及び
図5に示すように、それぞれ互いに対向する内周側の見込み面に収容部31a,32a,33a,34aが形成してある。下框32及び左右の縦框33,34の収容部32a,33a,34aは、グレージングチャンネルBが装着された状態で複層ガラス35の縁部を収容するもので、室内側及び室外側から互いに対向するように突出した支持ヒレ部32b,33b,34bの間に構成してある。
【0017】
複層ガラス35は、左右に沿った寸法が外障子20の複層ガラス25とほぼ同一であり、両側の縁部がそれぞれ縦框33,34の収容部33a,34aに収容された状態にある。複層ガラス35の上下に沿った寸法は、外障子20の複層ガラス25よりも短く構成してある。従って、複層ガラス35は、下縁部が下框32の収容部32aに収容される一方、上縁部と上框31との間に隙間を有した状態にある。なお、
図2中の符号36は、下框32と複層ガラス35の端面との間に介在することによって内障子30に対する複層ガラス35の位置決めを行うセッティングブロックである。
【0018】
縦框33,34の収容部33a,34aには、それぞれの長手に沿った全長にわたる部位に加熱発泡材C1が配設してある。加熱発泡材C1は、熱により膨張する不燃性または難燃性の耐火部材である。この種の加熱発泡材C1としては、例えば熱膨張性を有した黒鉛含有の、いわゆる膨張黒鉛を適用することができる。
【0019】
換気ユニット40は、
図5~
図8に示すように、矩形状を成す副枠体410と、副枠体410の開口を開閉する状態で副枠体410に支持された副面材420とを備えたもので、上框31、左右の縦框33,34及び複層ガラス35の上縁面との間に構成される矩形領域に配設してある。
【0020】
副枠体410は、副上枠411、副下枠412及び左右の副縦枠(副建材)413を四周枠組みすることによって構成したものである。副上枠411、副下枠412及び左右の副縦枠413は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。
【0021】
副上枠411は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する平板状の上枠基部411aを有している。上枠基部411aの下面において室内側となる部分には、下方に向けて延在した内方上当接ヒレ部411bが設けてあり、上枠基部411aの下面において室外側となる縁部には、下方に向けて延在した外方上当接ヒレ部411cが設けてある。外方上当接ヒレ部411cは、内方上当接ヒレ部411bよりも突出寸法が大きく、かつ下端縁部が室内側に向けてほぼ直角に屈曲している。これら内方上当接ヒレ部411b及び外方上当接ヒレ部411cの室内に臨む見付け面には、それぞれシール部材415,416が装着してある。また、上枠基部411aの上面には、2つの嵌合上ヒレ部411d,411e及び上方ビスホール411fが設けてある。嵌合上ヒレ部411d,411eは、上枠基部411aの上面から上方に向けて突出したものである。これら2つの嵌合上ヒレ部411d,411eは、外面の相互間距離が上框31の収容部31aに嵌合することのできる寸法に構成してある。上方ビスホール411fは、左右両端部が開放したもので、2つの嵌合上ヒレ部411d,411eの相互間となる部位に形成してある。
【0022】
副下枠412は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する平板状の下枠基部412aを有している。下枠基部412aの室外側となる縁部及び室内側となる縁部には、それぞれ下方に向けて延在した2つの係合ヒレ部412bが設けてあり、下枠基部412aの上面において見込み方向のほぼ中間となる部位には、内方台状ヒレ部412cが設けてある。2つの係合ヒレ部412bは、下枠基部412aとの間に上框31の収容部31aと同一寸法の副枠収容部412dを構成するもので、下枠基部412aの両側縁部からそれぞれ突出するように設けてある。内方台状ヒレ部412cは、下枠基部412aの上面から上方に向けて突出した後にほぼ直角に屈曲し、室内側に向けてほぼ水平に延在したものである。内方台状ヒレ部412cの屈曲内隅部には、下方ビスホール412eが設けてあり、内方台状ヒレ部412cの延在縁部には、シール部材417が装着してある。下方ビスホール412eは、上方ビスホール411fと同様、左右両端部が開放するように構成されたものである。また、室内側に設けた係合ヒレ部412bの室内に臨む見付け面には、支持台ヒレ部412fが設けてある。支持台ヒレ部412fは、係合ヒレ部412bから室内側に向けてほぼ水平に延在した平板状を成すものである。支持台ヒレ部412fの上面には、後述する副面材420との間に形材ヒンジを構成するヒンジ軸要素412gが設けてある。
【0023】
左右の副縦枠413は、互いに対称の構成を有したものである。本実施の形態では、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状の縦枠基部413aに内方縦当接ヒレ部413b及び外方縦当接ヒレ部413cを設けることによって副縦枠413が構成してある。内方縦当接ヒレ部413bは、縦枠基部413aの互いに対向する内側面において室内側となる部分から内方に向けて延在したものである。外方縦当接ヒレ部413cは、縦枠基部413aの互いに対向する内側面において室外側となる縁部から内方に向けて延在したもので、内方縦当接ヒレ部413bよりも突出寸法が大きく構成してある。これら内方縦当接ヒレ部413b及び外方縦当接ヒレ部413cには、それぞれの室内に臨む見付け面にシール部材418,419が装着してある。また、縦枠基部413aの外側面には、2つの嵌合縦ヒレ部413d,413eが設けてある。嵌合縦ヒレ部413d,413eは、縦枠基部413aの外側面から外方に向けて突出したものである。これら2つの嵌合縦ヒレ部413d,413eは、外面の相互間距離が縦框33,34の収容部33a,34aに嵌合することのできる寸法に構成してある。
【0024】
これらの副縦枠413は、副上枠411の上方ビスホール411f及び副下枠412の下方ビスホール412eに対応する部位にそれぞれネジ挿通孔(図示せず)を有しており、これらのネジ挿通孔を介して上方ビスホール411f及び下方ビスホール412eにネジ430を螺合することにより、これら副上枠411及び副下枠412とともに副枠体410を構成している。副枠体410を構成した状態においては、副下枠412の内方台状ヒレ部412cに設けたシール部材417と、副上枠411の内方上当接ヒレ部411bに設けたシール部材415と、副縦枠413の内方縦当接ヒレ部413bに設けたシール部材418とが、互いに同一の鉛直面上に配置される。また、外方縦当接ヒレ部413cに設けたシール部材419と、副上枠411の外方上当接ヒレ部411cに設けたシール部材416とが、互いに同一の鉛直面上に配置される。
【0025】
上述の構成を有する副枠体410は、
図2及び
図3に示すように、副上枠411に設けた嵌合上ヒレ部411d,411eを上框31の収容部31aに嵌合させるとともに、副縦枠413に設けた嵌合縦ヒレ部413d,413eをそれぞれ縦框33,34の収容部33a,34aに嵌合させることによって内障子30の上方部に取り付けられる。この状態においては、複層ガラス35の上縁部が副下枠412の係合ヒレ部412bによって構成される副枠収容部412dに収容された状態にあり、換気ユニット40によって上框31と複層ガラス35との間の隙間が塞がれることになる。図には明示していないが、副下枠412において下枠基部412aの両側から突出する係合ヒレ部412bは、それぞれ縦框33,34に設けた切欠を介して収容部33a,34aに挿入されており、縦框33,34に対する副枠体410の上下に沿った相対移動を阻止するように機能している。従って、内障子30の複層ガラス35は、副枠体410の副下枠412、枠体10の下框32及び左右の縦框33,34によって四周が支持された状態となる。
【0026】
図5~
図8に示すように、副面材420は、面材基部421の両側端部にそれぞれ側板プレート422を取り付けることによって構成したものである。
面材基部421は、矩形の平板状を成す面板部421aと、面板部421aの室外に臨む面に設けた角筒部421bとが一体に成形されたものである。
【0027】
面板部421aは、副上枠411、副下枠412及び左右の副縦枠413によって構成される矩形の開口部に配置することのできる大きさに構成したものである。より具体的に説明すると、面板部421aの上下は、副上枠411の内方上当接ヒレ部411bに設けたシール部材415と、副下枠412の内方台状ヒレ部412cに設けたシール部材417とを同時に覆うことのできる寸法に設定してある。面板部421aの左右は、副縦枠413における外方縦当接ヒレ部413cの相互間距離よりも小さい寸法に形成してある。この面板部421aの下縁部には、ヒンジ受け要素421cが設けてある。ヒンジ受け要素421cは、上述した副下枠412のヒンジ軸要素412gとの間に形材ヒンジを構成するものである。すなわち、ヒンジ受け要素421cは、副下枠412のヒンジ軸要素412gに係合することにより、副下枠412に対して面板部421aを回転可能に支持するものである。本実施の形態では、水平方向に沿って左右に延在するヒンジ軸を中心として面板部421aが回転可能となるように形材ヒンジが構成してある。これにより、面板部421aは、
図7に示すように、鉛直方向に沿った閉塞位置と、
図8に示すように、上縁部が室内側に突出した開放位置とに移動することが可能となる。面板部421aが閉塞位置に配置された場合には、内方上当接ヒレ部411bのシール部材415と、内方台状ヒレ部412cのシール部材417とが、それぞれ面板部421aの室外に臨む表面に押圧された状態となる。一方、面板部421aが開放位置に配置された場合には、面板部421aから内方上当接ヒレ部411bのシール部材415及び内方台状ヒレ部412cのシール部材417が離隔した状態となる。
【0028】
なお、
図8中の符号440は、副枠体410の副縦枠413と副面材420との間に設けたリンク機構である。このリンク機構440は、副枠体410に設けたスライダ441をストッパ部材442に当接させることにより、副枠体410に対する副面材420の開放角度を制限するものである。また、
図7中の符号450は、副面材420が閉塞位置に配置された場合に副枠体410に係合することにより、副面材420を閉塞位置に維持させるラッチである。すなわち、閉塞位置に配置された副面材420を開放位置に移動させるには、ラッチ450の解除操作が必要となる。なお、開放位置に配置された副面材420を閉塞位置に移動させた場合には、自動的にラッチ450が係合した状態となる。
【0029】
角筒部421bは、
図5~
図8に示すように、面板部421aが閉塞位置に配置された際に外周下面が副下枠412の内方台状ヒレ部412cに対向し、かつ室外側の上隅部が副上枠411の外方上当接ヒレ部411cに設けたシール部材416に当接するように構成してある。図からも明らかなように、角筒部421bには、上下となる部位にそれぞれビスホール421dが設けてある。ビスホール421dは、左右両端部が開放したものである。上方のビスホール421dは角筒部421bの内周下面に設けてあり、下方のビスホール421dは角筒部421bの外周下面に設けてある。
【0030】
面材基部421の両側端部に取り付けられる側板プレート422は、互いに対称の構成を有したものである。本実施の形態では、角筒部421bの開口を覆う大きさの平板状を成す側板基部422aと、側板基部422aの室内側に位置する縁部から外方に向けてほぼ直角に屈曲した面板延長部422bとを有して側板プレート422が構成してある。
【0031】
側板基部422aは、角筒部421bのビスホール421dに対応する部位にそれぞれネジ挿通孔(図示せず)を有している。側板プレート422は、側板基部422aのネジ挿通孔を介してビスホール421dにネジ431を螺合することによって面材基部421の両側端部に取り付けてある。面板延長部422bは、面板部421aの両側において面板部421aの延長上に配置されるもので、副縦枠413の内方縦当接ヒレ部413bに設けたシール部材418に同時に当接することのできる寸法に形成してある。
【0032】
図からも明らかなように、副枠体410と副面材420との間の四周には、加熱発泡材(副熱膨張性部材)C2が設けてある。加熱発泡材C2は、縦框33,34に設けた加熱発泡材C1と同じ種類のものである。本実施の形態では、
図5、
図7に示すように、副上枠411の上枠基部411aにおいて副面材420に対向する下面、副下枠412の内方台状入れ部において副面材420に対向する上面にそれぞれ加熱発泡材C2が配設してあるとともに、側板プレート422の面板延長部422bにおいて室外に臨む表面にそれぞれ加熱発泡材C2が配設してある。副上枠411の上枠基部411aには、副面材420に対向する下面に、上述したラッチ450のラッチ受け451が配設してある。このため、上枠基部411aの下面には、ラッチ受け451で分断されるようにその両側に加熱発泡材C2が配設してあるとともに、ラッチ受け451の表面に加熱発泡材C2が配設してある。また、側板プレート422の面板延長部422bに配設した加熱発泡材C2は、副面材420を開放位置に移動させた場合に手で触れることが可能である。このため、面板延長部422bの加熱発泡材C2は、押さえ部材460によって面板延長部422bからの剥離が制限してある。押さえ部材460は、平板状を成す取付板部460aと、取付板部460aの一端縁部からほぼ直角方向に屈曲した押さえ板部460bとを一体に成形したもので、押さえ板部460bが加熱発泡材C2の表面に当接した状態で取付板部460aを介して側板基部422aの外表面に取り付けてある。本実施の形態では、特に、側板プレート422を面材基部421に取り付けるネジ431を利用して押さえ部材460を側板基部422aに取り付けるようにしている。
【0033】
さらに、この換気ユニット40では、副縦枠413の縦枠基部413aにおいて縦框33,34の収容部33a,34aに対向する部位に加熱発泡材(熱膨張性部材)C3が配設してあるとともに、副下枠412の下枠基部412aにおいて副枠収容部412dに臨む下面にも加熱発泡材C3が配設してある。これらの加熱発泡材C3も、縦框33,34に設けた加熱発泡材C1と同じ種類のものである。上述したように、縦框33,34の収容部33a,34aには、その全長にわたる部位に加熱発泡材C1が配設してある。このため、副縦枠413と縦框33,34との間には、縦框33,34に設けた加熱発泡材C1と、副縦枠413に設けた加熱発泡材C3とが配設されることになる。
【0034】
なお、この建具では、
図2に示すように、上框31の収容部31aにも加熱発泡材C4が配設してあり、また、
図5に示すように、召し合わせの位置となる縦框33の中空部33cにも補強材Dとともに加熱発泡材C5が配設してある。
【0035】
上記のように構成した内障子30では、副面材420の面板部421aを閉塞位置に配置した場合、内方上当接ヒレ部411bのシール部材415、内方台状ヒレ部412cのシール部材417、内方縦当接ヒレ部413bのシール部材418が、それぞれ面板部421aに当接した状態となる。従って、面板部421aが閉塞位置に配置された場合には、副枠体410を介した通気が遮断され、換気ユニット40を介して換気が行われることがない。
【0036】
一方、面板部421aを開放位置に配置した場合には、内方上当接ヒレ部411bのシール部材415、内方台状ヒレ部412cのシール部材417、内方縦当接ヒレ部413bのシール部材418が、面板部421aから離隔し、かつ副枠体410が開放された状態となる。これにより、障子20,30によって枠体10を閉じた状態においても、ラッチ450を解除して副面材420の面板部421aを開放位置に移動させれば、換気ユニット40を介して室内の換気を行うことが可能となる。
【0037】
しかも、上述の建具によれば、副枠体410と副面材420との間の四周に加熱発泡材C2が設けてある。従って、火災発生時等において建具が高温に晒された場合には、加熱発泡材C2が膨張することによって副枠体410と副面材420との間の四周が塞がれることになる。これにより、建具が高温に晒された場合にも換気ユニット40に室内外を貫通する貫通口が形成されるおそれがない。
【0038】
さらに、建具が高温に晒された状態では、縦框33,34の収容部33a,34aに設けた加熱発泡材C1及び副縦枠413の縦枠基部413aに設けた加熱発泡材C3が膨張することにより、縦框33,34の収容部33a,34aにおいて副縦枠413に対向する部分が確実に閉塞されることになる。
【0039】
従って、複層ガラス35が高温に晒されることで、例えばスペーサ部材Sから可燃性ガスが発生し、しかも縦框33,34の収容部33a,34aと複層ガラス35との間の隙間が完全に塞がれていなかったとしても、複層ガラス35から発生した可燃性ガスが縦框33,34と副縦枠413との間に到達することがない。加えて、上述の建具では、副下枠412の下枠基部412aにも加熱発泡材C3が配設してあるため、高温に晒された場合、副枠収容部412dも閉塞されることになり、複層ガラス35からの可燃性ガスが縦框33,34と副縦枠413との間に到達すること確実に防止することができる。これにより、換気ユニット40から可燃性ガスが噴出することがなく、加熱面と反対側の非加熱面において発炎が生じる事態が招来されるおそれもない。
【0040】
なお、上述した実施の形態では、建具として引き違い窓を例示しているが、開き窓等のように障子が枠体の面外方向に開閉するものであっても良いし、FIX窓のように障子や面材が建材に固定されているものであっても同様に適用することが可能である。また、副障子として副枠体に対して副面材が開閉可能に配設された換気ユニットを例示しているが、必ずしもこれに限定されず、2つの建材の間に配置されるものであれば、その他のものでも構わない。この場合、必ずしも上下方向に沿った建材の間に配設されるものに限らず、左右方向に沿った建材の間に配置されるものであっても良い。また、副面材420は、面材基部421の両側端部にそれぞれ側板プレート422を取り付けることによって構成したものを例示しているが、必ずしもこれに限定されず、例えば複層ガラスやその他のものでも構わない。さらに、面材として複層ガラス35を例示しているが、必ずしもこれに限定されず、例えば透光性を有していないパネルを面材として適用したものであっても構わない。
【0041】
また、上述した実施の形態では、縦框33,34の収容部33a,34aにおいて長手に沿った全長にわたる部位に加熱発泡材C1を配設するようにしているため、防火性の点でより好ましいが、本発明は必ずしもこれに限定されず、建材の収容部において副建材に対向する部位にのみ熱膨張性部材が配設されていれば十分である。この場合、上述した実施の形態では熱膨張性部材を副建材に設けるようにしているため、副障子を備える内障子と、副障子を備えていない内障子とで建材を共通化することが可能となる。しかしながら、熱膨張性部材は、建材に取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
30 内障子、33,34 縦框、33a,34a 収容部、35 複層ガラス、40 換気ユニット、410 副枠体、413 副縦枠、420 副面材、460 押さえ部材、C2 加熱発泡材、C3 加熱発泡材