(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ポケットを折り畳んで縫うための作業ユニットおよび方法
(51)【国際特許分類】
D05B 21/00 20060101AFI20240214BHJP
D05B 33/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
D05B21/00
D05B33/00
(21)【出願番号】P 2022504068
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2020056840
(87)【国際公開番号】W WO2021014352
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】102019000012684
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519277900
【氏名又は名称】エスアイピー イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ ソチエタ ベネフィット
【氏名又は名称原語表記】SIP-ITALY S.R.L. SOCIETA BENEFIT
【住所又は居所原語表記】Via Maestri del Lavoro 12, 37059 Zevio(VR), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】モランディン,ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】アンブロージ,トーマス
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083299(WO,A1)
【文献】特開平03-141982(JP,A)
【文献】特表2020-518332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジーンズまたは同様のズボンのそれぞれのパネル上にポケットを折り畳んで縫製するための作業ユニット(10)であって、
前記作業ユニット(10)の片側に配置されたローディング平面(11)であって、前記作業ユニットの反対側に配置された縫製面(12)に隣接するローディング平面(11)を備え、前記縫製面(12)に隣接する前記ローディング
平面(11)上に折り畳みアセンブリ(20)およびローディングおよび供給プレート(18)が存在し、前記作業ユニット(10)は、
アウタージグ(19)を備えた縫製グリッパシステムであって、その中央部分がインナージグ(29)が含まれる窓を備える、縫製ヘッド(22)に配置された縫製グリッパシステムを備え、
前記ローディングおよび供給プレート(18)並びにアウタージグ(19)およびインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムは、それらの移動のための手段であって、4つの動作ステーション、すなわち、前記折り畳みアセンブリ(20)に配置された折り畳みステーション(13)、前記ローディングおよび供給プレート(18)が休止して停止する中間ステーション(14)、アウタージグ(19)およびインナージグ(29)を備えた縫製グリッパシステムが、縫製される材料を取るために、前記ローディングおよび供給プレート(18)に向かって移動する交換ステーション(15)、および前記縫製ヘッド(22)に配置された縫製ステーション(16)の間での移動のための手段を備え、
アウタージグ(19)とインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムは、前記作業ユニットの前部に平行な軸(X)に沿ってガイド(27)上で水平移動(左右)を行うことができるキャリッジ(23)上に配置されており、一方の側から、前記交換ステーション(15)の前記ローディングおよび供給プレート(18)に向かって移動し、および、他方で、縫製ステーション(1
6)に配置された前記縫製ヘッド(22)に向かって移動し、
アウタージグ(19)とインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムが前記ガイド(27)に沿って移動する前記キャリッジ(23)は、さらに第1の半部分(24)と第2の半部分(25)に分割されており、
前記第2の半部分(25)は、アクチュエータ(26)によって前記第1の半部分(24)に対してスライド可能であり、前記第1の半部分(24)は、複数のストロークで前記縫製グリッパシステム(19)を水平方向にスライドさせるために、前記軸(X)に平行に水平に配置されている前記ガイド(27)に後方で接続されており、
アウタージグ(19)およびインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムは、垂直軸(Z)に沿った動きおよび前記作業ユニットの前記前部に平行な前記軸(X)に直交する水平軸(Y)に沿った動きの両方を受け、前記軸(X)に沿った複数の水平方向の動き、すなわち、第1は前記ガイド(27)に沿った動きおよび第2は前記アクチュエータ(26)による前記第1の半部分(24)に対して前記キャリッジ(23)の前記第2の半部分(25)のスライドによる動きを受ける、作業ユニット。
【請求項2】
1つの作業サイクルと他の作業サイクルとの間の休止時に前記中間ステーション(14)に配置される前記ローディングおよび供給プレート(18)は、垂直アーム(28)に取り付けられており、前記垂直アーム(28)は、ガイドに沿ってスライドし、機械の一端から他端に前記作業ユニットの前部に平行な軸(X)に沿って移動する、請求項1に記載の作業ユニット(10)。
【請求項3】
前記ローディングおよび供給プレート(18)が前記軸(X)に沿って移動でき、各ベース生地を、縫製対象の生地フラップと共に、前記折り畳みステーション(13)から前記交換ステーション(15)まで運び、前記交換ステーション(15)では、アウタージグ(19)およびインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムが、その停止点または原点から、前記生地をピックアップし前記縫製ステーション(16)に運ぶために、前記ローディングおよび供給プレート(18)に向かって一定の距離を移動する、請求項1または2に記載の作業ユニット(10)。
【請求項4】
前記交換ステーション(15)および前記中間ステーション(14)が、前記縫製ステーション(16)と前記折り畳みステーション(13)との間に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業ユニット(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の作業ユニット(10)を操作するための方法であって、以下の作業ステップを含む、すなわち、
M1)前記ローディング
および供給プレート(18)が前記中間ステーション(14)の中央に配置されている間に、オペレータが前記ローディング平面(11)に、すなわち、前記折り畳みアセンブリ(20)の前記ステーション(13)に、縫製される材料のローディングを開始するステップと、
M2)前記ローディング
および供給プレート(18)が前記中間ステーション(14)においてその出発点にまだ配置されている間に、前記折り畳みサイクルが作動するステップと、
M3)前記ローディング
および供給プレート(18)の垂直可動支持体(28)を用いて通過している前記ローディング
および供給プレート(18)が、前記
材料のローディング領域を横切り、前記第2のステップの終わりに前記折り畳みアセンブリ(20)の領域に移動し、ロードされる前記材料をブロックするステップと、
M4)前記ローディング
および供給プレート(18)が前記折り畳みステーション(13)から前記中間ステーション(14)に移動し、この時点で前記折り畳みステーション(13)が前記ローディング
平面(11)を解放して、したがって、前記オペレータはすぐに前記ローディング平面(11)上および前記ステーション(13)の前記折り畳みアセンブリ(20)の折り畳みプレート(17)に、縫製される新しい材料のローディングを開始できるステップと、
M5)前の縫製サイクルの終わりに前記
縫製ヘッド(22)および前記縫製ステーション(16)において停止したアウタージグ(19)およびインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムに材料がなく且つ前記アクチュエータ(26)により前記交換
ステーション(15)に向かって移動し始める場合に、前記ローディング
および供給プレート(18)が前記交換
ステーション(15)に移動するステップであって、このステップでは、前記ローディング
および供給プレート(18)は、アウタージグ(19)とインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッ
パシステムが、前記交換ステーション(15)に向かって移動し前記材料を取る間だけ、前記交換
ステーション(15)で停止したままであるステップと、
M6)インナージグ(29)を備えた前記
縫製グリッパシステムを介して、前記縫製ヘッド(22)が、前記交換ステーション(15)において、前記ローディング
および供給プレート(18)内に前記材料をブロックし、前記ローディング
および供給プレート(18)が上昇して上昇位置のままで前記中間ステーション(14)に向かって自律的に移動し、アウタージグ(19)とインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムが、前記アクチュエータ(26)の作用により前記縫製ヘッド(22)に向かって移動する準備が整い、前記アウタージグ(19)が最初に前記ローディング
平面(11)に対して、次に縫製面(12)に対して接近するステップと、を含み、
アウタージグ(19)とインナージグ(29)を備えた前記縫製グリッパシステムは下げられたままで、前記材料をブロックし、前記交換ステーション(15)から前記縫製ステーション(16)の原点または停止点にさらに移動して前記縫製サイクルの開始を可能にする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジーンズまたは同様のズボンのそれぞれのパネルにポケットを折り畳み、続いて供給して縫製するための処理方法に関する。
【0002】
より正確には、本発明による方法は、従来技術において前もって知られている技術のいくつかを単一の解決策に統合することを含み、特に、通常の3つのワークステーションに対してさらなるワークステーションを追加することを含む。
【0003】
この新しい作業システムのおかげで、個々のステップの生産時間のバランスを取り、ひいては自動縫製ユニットの効率を高めることが可能になる。
【0004】
本発明は、有利には、工業用縫製システムの分野、特に、ズボンのパネル等に対するポケット等の自動折り畳みおよび縫製に関連する分野に適用される。
【背景技術】
【0005】
ベース生地に対するポケットのプログラムされた縫製、通常はジーンズの事前に形成されたパッチポケットの縫製を実行するために、一般に3つのワークステーションを備えた自動ユニットが使用されることが知られている。
【0006】
a)第1のローディングステーションは、停止位置から折り畳みステーションに移動する特別なローディングプレートを備え、当該ローディングプレートは、ベース生地および折り畳まれたポケットからなる材料が既に準備されている場合に、これをすぐに取ることができ、その後、その一式を折り畳みステーションから縫製ステーションへ移動させる、
b)第2の折り畳みステーションでは、ベース生地がローディング平面の上に配置され、適用されるべきポケットが配置される。第2の折り畳みステーションでは、ポケットの周縁が折り畳まれ、ポケットがベース生地上に配置され、その結果、2層の材料をロードする準備が整う、
c)第3の縫製ステーションでは、折り畳まれたポケットがベース生地に適用/縫製される。既に準備された材料は、縫製ステーションに到達すると、縫製ヘッドに存在するグリッパシステムを介してローディングプレートによって取り出される。グリッパシステムを備えた縫製ヘッドは、全縫製ステップの間、材料をブロックする。材料はローディングプレートから取り出され、ローディングプレートはその停止位置から折り畳みステーションに移動し、次に縫製ステーションに移動する。ここで、グリッパシステムを備えた縫製ヘッドは、縫製の間、材料をブロックする。
【0007】
通常、ベース生地に対するポケットのプログラムされた縫製のための自動ユニットは、2つの主要なタイプに従って製造される。
【0008】
・第1のタイプでは、縫製ヘッドが作業ラインの一端に配置され且つローダーが反対側に配置される一方で、折り畳みアセンブリが作業ラインのこれらの端の中間位置に配置される、したがって、縫製ヘッドおよびローダーに対して中央位置に配置され、ローダーは、ユニットに存在する3つのステーション間を移動する。
【0009】
既知の技術に従って製造された第1のタイプの自動ユニットは、6つの連続した作業ステップを実行することによって使用される。すなわち、
F1.1)折り畳みステーションのオペレータは、縫製対象の材料をローディング平面上および折り畳みアセンブリ内にローディングし始め、一方、ローディングプレートを備えたローダーは、折り畳みステーションの隣の停止点に配置される。
F1.2)ローダーがその停止点に配置されたままで、折り畳みサイクルが作動する。
F1.3)ステップ1.2の終わりにローダーが折り畳みステーションに移動し、そのローディングプレートがロード対象の材料をブロックする。
F1.4)ミシンの縫製エリアが空いているとき、以前にロードされた材料の存在からそのエリアがアンロードされたとき、ローダーは完全に縫製ステーションまで移動する。
F1.5)縫製ヘッドは、その内側のグリッパによってロードされたばかりの材料をブロックし、ローダーはローディングプレートを持ち上げる。
F1.6)ローダーは、ローディングプレートを上げた状態で停止点に戻り始める。縫製ヘッドはそのアウターグリッパを下げ、ローダーがローディングプレート全体を縫製ヘッドから既に取り外した場合にのみ縫製サイクルを開始する。
【0010】
ローダーは、材料ローディングエリアを通過して、その停止点に戻る。
【0011】
この時点でのみ、オペレータは次の作業サイクルを開始でき、縫製されるべき材料をローディング平面上および折り畳みアセンブリ内にローディングする。
【0012】
この第1のタイプの自動アセンブリを使用することにより遭遇する欠点は、全準備/ローディングサイクルが第1から第6のステップを経過する合計秒に対応する全継続時間8.5秒である例を提供することにより、時間の観点から計算され得る。
【0013】
縫製ヘッドが以下の縫製サイクルを有する場合に、すなわち、
A)10秒-ローディングサイクルが既に第3のステップの終わりに達しており(10-(2+4+0.5)秒、したがって、最後の部分を実行できない(第4から第6ステップまで2秒ある)、これは、生産サイクルが10秒から12秒になるので、自動ユニットの全体的な効率を制限する。
B)6秒-ローディングサイクルの継続時間は8.5秒であるため、縫製サイクルはローディングサイクルよりも早く終了し、これは、生産サイクルが6秒の縫製から8.5秒になるので、自動ユニットの全体的な効率を制限する。
【0014】
このタイプの動作バランスは、8.5秒(縫製および準備サイクルに対して同時間)でのみ確認され得る。
【0015】
・第2のタイプでは、折り畳みアセンブリにおいて準備された材料をピックアップするために、縫製ヘッドが、移動可能な材料の、そのグリッパシステムまたはその制御システムを使用するので、縫製ヘッドが片側にあり、折り畳み装置が反対側に配置され、これらの2つの要素の中間には何もない。
【0016】
既知の技術に従って製造された第2のタイプの自動ユニットは、4つの連続した作業ステップを実行することによって使用される。すなわち、
F2.1)オペレータは、縫製ヘッドのグリッパがその停止点に配置されている間に、縫製されるべき材料をローディング平面上および折り畳みアセンブリ内にローディングし始める。
F2.2)縫製ヘッドのグリッパが縫製ヘッドの領域に配置されている間に、折り畳みサイクルは作動する。
F2.3)ミシンが前の縫製サイクルを終了したとき、またはその縫製領域に材料がない場合にのみ、縫製ヘッドのグリッパは、第2のステップの終わりに折り畳みアセンブリの領域に移動して、ロードされる材料をブロックする。
F2.4)縫製ヘッドのグリッパが縫製ヘッドの領域に移動し、ミシンが縫製を開始する。
【0017】
この時点でのみ、オペレータは、第4のステップの終わりにローディング平面上および折り畳みアセンブリ内に縫製材料のローディングを開始できる。
【0018】
この第2のタイプの自動ユニットを使用するときに遭遇する欠点はまた、例えば、縫製サイクルが以下であると仮定して、時間の観点から計算され得る。
a)10秒-ローディングサイクルは既に第2のステップの終わりに達しているが、最後の部分(第3と第4のステップ)を続行するために、縫製サイクルが終了するまで待機する必要がある。このケースでは、(10-(2+4))=4秒待機する。この時点で、縫製サイクルの開始可能前に、1秒である第3のステップ、別の1秒の第4のステップが実行され、したがって、2+4+4+1+1=12秒である。これは、総生産サイクルが10秒の縫製から12秒になるので、自動ユニットの全体的な効率を制限する。
b)6秒-ローディングサイクルは既に第2のステップの終わりに達しているが、最後の部分(第3と第4のステップ)を続行するために、縫製サイクルが終了するまで待機する必要がある。
c)このケースでは、(6-(2+4))=0秒の待機である。この時点で、縫製サイクルの開始可能前に、1秒の第3のステップ、別の1秒の第4のステップが実行され、したがって、2+4+0+1+1=8秒である。
【0019】
これは、総生産サイクルが6秒の縫製から8秒になるので、自動ユニットの全体的な効率を制限する。
【0020】
この第2のケースでは、最初の2つの準備ステップの縫製サイクルが短くても、第3のおよび第4のステップのために少なくともさらに2秒が常に追加され、最終的に総生産時間において効率が低下するので、このタイプの動作のバランスを見つけることは不可能である。
【0021】
ベース生地に対してポケットを縫うための従来の自動ユニットの総生産時間を要約すると、2つの準備ステップと縫製ステップに分けられる。
【0022】
これらの2つのステップ(準備とローディング)は連続しており、1つは次のステップの実行の開始を妨げ、すなわち、この方法で動作モードは、プラントの全体的な生産性の損失に対して、作業時間を最適化することを許容しない。
【0023】
WO2018/202898A1は、ポケットにアイロンをかけて一枚の生地に対して縫製するためのシステムを開示しており、当該システムは、縫製されるべきポケットを支持するのに適したプレート、プレートによって支持されたポケットにアイロンをかけるためのアイロン台、ポケットを縫製ステーションに運ぶのに適したローダー、およびプレートをアイロン台へ、そしてアイロン台からポケットがプレートからローダーへ移送される移送ステーションへ動かすためにプレートに接続された移動装置を備える。
【0024】
WO2019/105070A1は、ポケットに異なる色の複数のステッチを縫うことができるマルチヘッドポケット設定機械を開示している。マルチヘッドポケット設定機械は、フレームと、フレームに前後方向に間隔を置いて配置された2つ以上のヘッドとを備える。各ヘッドは、それぞれ、ポケットにステッチを縫うための針を備え、2つ以上のヘッドの間に設けられ且つ生地材料を前側ヘッドから後側ヘッドに移動させるために使用される第1の供給装置をさらに備え、第1の供給装置は、フレームに対して前後方向にスライド可能な第1の供給プレートを備え、フレームは生地材料を支えるための作業面を有し、第1の供給プレート(30)は作業面の上に配置されており、マルチヘッドポケット設定機械には供給状態があり、供給状態にあるとき、第1の供給プレートは、第1の供給プレートと作業面との間で生地材料を運んで移動させるために最も低い位置にある。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、作業ステップを最適化することができ、したがって、上で強調した欠点を取り除くことができる状況を作り出す処理方法であって、生地フラップを折り畳んで縫製するための、特にジーンズまたは同様のズボンのそれぞれのパネル上にポケットを折り畳んで縫製するための処理方法を提供することを意図する。
【0026】
この目的は、4つのワークステーションを備えた自動縫製ユニットを使用することによって達成される。
【0027】
本発明は、生産時間を最適化するために、キネマティックチェーンの側面にあるパネルに対するポケットの折り畳みおよび縫製ステップを維持しつつ、特に、従来の作業ステップが変更され特に中間の材料交換ステーションが含まれる単一の自動ユニットに統合することを目的とする。
【0028】
本発明による方法は、折り畳みステーションに対してローディングステーションの位置を逆にすることを提供し、その結果、ローディングプレートは中間ステーションに配置され、続いて、材料を中間ステーションから縫製ヘッドの近くに配置された材料交換ステーションに移動させる。
【0029】
この時点で、本発明によれば、縫製ヘッドは折り畳みアセンブリの反対側にあることが提供される。ローディングプレートおよび縫製ヘッドのグリッパシステムは、作業前部に対して長手方向に移動し得る。
【0030】
グリッパシステムのグリッパは、材料交換ステーションに向かって移動し、同移動はまた、中間ステーションのローディングプレートによって実行される。中間の材料交換ステーションのおかげで、材料は通常のサイクルに比べてより速く交換され、これはローディング時間を短縮し、全体的な作業時間を合理化するのに役立つ。
【0031】
前述のように、この新しい解決策の主な利点は、総生産時間が4つの独立したステップに分割されるという事実にある。すなわち、折り畳みアセンブリに材料をローディングして準備する第1のステップ、縫製アセンブリが解放されるのを待つ中間ステーションに材料を移動させる第2のステップ、中間ステーションから交換ステーションおよび縫製ヘッドのグリッパシステムに材料を同時に移動させて交換ステーションに到達する第3のステップ、および交換ステーションから縫製ステーションに材料を移動させる第4のステップである。
【0032】
これらの4つの動作は連続して互いに並行して実行され、したがって、互いに完全に相殺され、動作の効率および簡素化が向上するという利点がある。
【0033】
これは、(折り畳みアセンブリへの材料のローディング、ベース生地のポケットフラップの折り畳みを行う)第1のステップを、(折り畳みステーションから中間ステーションへ材料を移動させる)第2のステップ、および最後の2つのステップから区別する処理方法によって実現される。(中間ステーションから材料交換ステーションへ材料を移動させる)第3のステップは、ローディングプレートがより短く、したがってより速い動作を実行することを可能にし、ここで、このステーションに移動した縫製ヘッドのグリッパシステムに会う。
【0034】
第4のステップは、縫製ヘッドのグリッパを用いて、材料交換ステーションから縫製ヘッドに材料を移動させることを含み、その特徴は、主請求項に記載されている。
【0035】
本解決策の従属請求項は、本発明の有利な実施形態を概説している。
【0036】
以下に見られるように、本発明の好ましい実施形態によれば、当該方法を使用すると、以前の製造時間が9秒の縫製時間を超える以前の方法と比較して、新しい技術を使用した現在の製造時間は大幅に短縮され、実際のゲインは約25%である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されている図の助けを借りて、非限定的な例として提供される本発明の実施形態の以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
【
図1】全体として本発明による生地フラップの4つのステーションの折り畳みおよび縫製ユニットの正面斜視図を示す。
【
図3】縫製ヘッドに存在し、その支持部に固定されたグリッパシステムの概略平面図である。
【
図4-6】機械の前部に平行な軸に沿った3つの異なる動作ステップ中の縫製アセンブリの一部を形成するグリッパシステムの図を示す。
【
図7-16】
図7-7’から16-16’の対は、漸進的に連続して実行される動作ステップの図を指し、図の各々の対は、機械の前部正面図および同機械の対応する平面図によって形成される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の図、特に最初に
図1および2を参照すると、番号10は概して、生地フラップを折り畳んで縫うための作業ユニット、特にジーンズまたは同様のズボンのそれぞれのパネルにポケットを折り畳んで縫うための作業ユニットを指す。
【0039】
図1および2に示される実施形態によれば、作業ユニット10は、機械の一方の側に配置されたローディング平面11であって、機械の反対側に配置された縫製平面12に隣接して配置されたローディング平面11を備え、4つの動作ステーション、すなわち、動作順に、折り畳みステーション13、中間ステーション14、生地交換ステーション15、および縫製ステーション16を備える。
【0040】
さらに、作業ユニット10は、生地保持/供給の2つの形態を備え、これらは、依然として動作順で、ローディングおよび供給プレート18、アウタージグ19を備える縫製グリッパシステムである。
【0041】
折り畳みアセンブリ20は折り畳みステーション13に存在し、縫製アセンブリ22は縫製ステーション16に存在し、グリッパアセンブリはアウター縫製ジグ19を備え、その中央部分にインナージグ29が含まれる窓が得られる。
【0042】
次に、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムは、キャリッジ23上に配置されており、キャリッジ23は、機械の前部に平行な軸Xに沿って水平移動(右左)、作業フロントに平行な軸Xに対して横切る軸上にある軸Yに沿って水平移動(前後)、および縫製平面に直交する軸Zに沿って垂直移動(上下)を行うことができる。
【0043】
また、
図3に示すように、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムが移動するキャリッジ23は、二つの半部分24と25に分割されており、特に半部分25は、アクチュエータ26を用いて半部分24に対してスライド可能であり、半部分24は、複数のストロークによるアウタージグ19を含む縫製グリッパシステムの水平方向のスライドのために、軸Xに平行に水平に配置されたガイド27に後方で接続される。
【0044】
したがって、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムは、軸Yおよび軸Zの両方に沿った動きを受けるのに加えて、軸Xに沿った2つの水平方向の動き、つまり、第1はガイド27に沿った動き(
図5)および第2はアクチュエータ26によってキャリッジ23の半部分25が半部分24に対してスライドすることによる動き(
図6)を受ける。
【0045】
1つの作業サイクルと他の作業サイクルとの間の休止中に中間ステーション14に配置されるローディングおよび供給プレート18は、それ自体知られているように不図示の上部ガイドに沿ってスライドして、作業フロントに平行な軸Xに沿って機械の一端からもう一端まで移動を実行することができる垂直アーム28に取り付けられる。
【0046】
より正確には、ローディングおよび供給プレート18は、軸Xに沿って移動して、各ベース生地を、縫われるべきその生地フラップと共に、折り畳みステーション13から交換ステーション15に運ぶことができ、交換ステーション15では、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムは、インナージグ29が含まれる窓が得られる中央部分において、ローディングおよび供給プレート18に向かって一定の距離を移動して、生地をピックアップし、それを縫製領域に運ぶ。
【0047】
本発明の特徴によれば、材料交換ステーション15および中間ステーション14は、縫製ステーション16と折り畳みステーション13との間に配置されている。
【0048】
このシステムは、次の動作ステップに従って作業することを可能にする。
【0049】
M1)オペレータは、ローディングプレート18が中間ステーション14の中央に配置されている間に、縫製される材料をローディング平面11、すなわち、折り畳みアセンブリ20のステーション13にローディングし始める(
図7-7’)。
【0050】
M2)折り畳みサイクルは、ローディングプレート18が中間ステーション14の出発点にまだ配置されている間に作動する(
図7-7’)。
【0051】
M3)ローディングプレート18は、第2のステップの終わりに折り畳みアセンブリ20の領域に移動し、ロードされる材料をブロックする(
図8-8’)。
【0052】
M4)ローディングプレート18は、折り畳みステーション13から中間ステーション14に移動し、この時点で、折り畳みステーション13は、ローディング平面11を解放し、したがって、オペレータは、ステーション13の折り畳みアセンブリ20の折り畳みプレート17およびローディング平面11に、縫製されるべき新しい材料のローディングをすでに開始することができる(
図9-9’)。
【0053】
M5)ローディングプレート18は、前の縫製サイクルの終わりに、ミシン22および縫製ステーション16に配置されたアウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムに材料がないときに、交換領域15に移動する。その後、ローディングプレート18は、材料交換領域15に停止したままであり、インナージグ29が含まれる窓が得られる中央部分において、材料を取るために、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムが、アクチュエータ26の作用によって、交換ステーション15に向かって移動するのを待つ(
図10-10’)。
【0054】
M6)インナー縫製ジグ29を備えたグリッパシステムを介して、縫製ヘッド22は、材料交換ステーション15においてローディングジグ18内に材料をブロックし、ローディングプレート18は上昇し中間ステーション14に向かって自律的に移動する一方、上昇したアウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムと共にあり、下降したインナージグ29は縫製ヘッド22に向かって移動する準備ができており、アウター縫製ジグ19は最初にローディング面11に対して、次に縫製面12に対して可能な限り早く接近する(
図11-11’、12-12’、13-13’、14-14’、15-15’)。
【0055】
M7)アウタージグ19とインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムは下げられたままであり、アウタージグ19を備えた縫製グリッパシステムがその縫製または停止プログラムの原点に戻るとき、材料をブロックしながら材料交換ステーション15から縫製ステーション16に移動し、その後、縫製が始まる(
図16-16’)。
【0056】
本発明によれば、記載された動作方法および行われた変更により、システムの効率を最大化する、前述の2つの動作の間の最良の組み合わせが得られた。
【0057】
第1の既知の解決策に対して、ローディングプレート18の位置は、キャリッジおよび移動ベルトを備えたその機構が機械の前部である垂直アームに平行な軸Xに沿って移動できる位置に移動され、縫製ヘッド22のキャリッジ23に存在するグリッパシステムおよび折り畳みアセンブリ20に特に干渉することなく、ローディングプレート18を持ち上げることができる。
【0058】
さらに、自動ユニットの展開において、中央エリアに2つの中間停止部と材料交換ステーションのための十分なスペースがあると推定されている。
【0059】
第2の既知の解決策に対して、アウタージグ19およびインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムによる材料の把持点が変更されており、これは、ミシン22に配置された縫製または停止プログラムの原点から開始し(
図4)、縫製プログラムの通常の停止点または原点を超えて移動し、キャリッジ23に2つの半部分24および25に分割された機械システムを形成し(
図5)、半部分25は、アクチュエータ26によって部分24に対してスライドし、これにより、アウタージグ19およびインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムは、折り畳みアセンブリ20の離れたステーション13ではなく、材料交換ステーション15内のより近い領域で材料をピックアップする(
図6)。
【0060】
この新しい解決策の主な利点は、総生産時間が3つの一連の動きに分割されることである。
【0061】
-材料を折り畳んでそれを中間ステーション14に移動させる。
【0062】
-アウタージグ19およびインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムがすでに材料交換ステーション15に向かって移動している間に、ローディングプレート18の減少したストロークで、中間ステーション14から縫製ヘッド22の近くに配置された交換領域15に材料を移動させる。
【0063】
-縫製ヘッド22に存在するアウタージグ19およびインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムを用いてローディングプレート18から材料を取り、同時に中間ステーション14に向かって移動するローディングプレート18を早期に解放する、または、必要に応じて、ステーション13および折り畳みアセンブリ20に向かってすでに動きを開始することができる。縫製ヘッドに存在するアウタージグ19とインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムを縫製プログラムの原点まで動かし、縫製自体を即座に開始する。
【0064】
既知の手法に属する第1および第2の解決策に関して、次の理由により、より良いバランスが得られ、効率が最適化される。
・折り畳みアセンブリ20を備えたステーション13は、ローディングプレート18からはるかに迅速に解放され、したがって、オペレータは、折り畳まれた材料を準備する一のステップと他のステップとの間の待機時間を短縮することによって、効率を高めることができる。
・ローディングプレート18は中間ステーション14に移動することができるので、準備サイクルは、縫製サイクルの継続時間によっていかなる形でも影響を受けない。
・縫製ヘッドは、中央の材料交換領域において材料を受け取る準備ができているので、ローダーの供給ストロークを減少させる。
・材料を交換するとき、アウタージグ19およびインナージグ29を備える縫製グリッパシステムとローディングプレート18との同期した動きは、システムを反対方向に動かすことによって効率を向上させ、ダウンタイムを減少させることを可能にする。
・アウタージグ19とインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムを縫製ヘッドの原点まで動かし、縫製サイクルを即座に開始する。
・ローディングプレート18を備えたローダーは、少ない動きで動作し、材料交換領域15までしか動作せず、ユニット内に存在する4つのステーションのうちの3つだけで動作し、縫製ヘッドに到達しない。
【0065】
以下の2つの例は、従来技術に属する第1の解決策と新しい動作方法論とを比較して説明されており、両方の場合において縫製サイクルは9秒である。
【0066】
従来技術に属する第1の解決策では、ローディングサイクルの第1の部分は、第1のステップから第3のステップの終わりまで到着するが(2+4+0.5=6.5秒を想定)、第2の部分を実行することはできない(第4のステップから第6のステップまで)。なぜなら、ミシンはまだ作業しているからであり、折り畳み装置13の領域が占有されている間、オペレータは、縫製サイクルが終了して材料をローディングプレーンに配置できるようになるまで待機し、ローダーの待機時間は9秒-6.5秒=2.5秒である。
【0067】
この時点で、ローディングサイクルの第2のステップが始まり(縫製サイクルの開始を伴う第4のステップから第6のステップまで)、ローダーを停止位置に置くためにさらに2秒かかり、オペレータが新しいローディングサイクル9+2=11秒を実行することを可能にする。したがって、生産サイクルは9秒の縫製から合計9+2.5+2=13.5秒になる。
【0068】
代わりに、本発明による生産サイクルを使用すると、ローディングサイクルの第1の部分は、第1のステップから第4のステップの終わりまで到着し(2+4+0.5+0.5=7秒)、その後、前のローディングサイクルが終了していなくても、オペレータはすでに新しいローディングサイクルの実行を開始できる。
【0069】
ローディングは、ミシンが9秒に設定された前の縫製サイクルを終えるのを待つ、したがって、9-7=2秒である。
【0070】
この時点で、ローディングプレート18と、アウタージグ19およびインナージグ29を備えた縫製グリッパシステムを備えた縫製ヘッドとが同時に材料交換点に移動し、ローディングサイクルの第2の部分が始まり、縫製サイクルの開始を伴う第5のステップから第7のステップの終わりまで進み、これは、ローディングプレート18を再び解放するのにわずか1.0秒であり、その後、ローディングプレート18は、事前にその中間位置に戻ることができる。
【0071】
7+2+1.0=10.0秒の時間を追加して、新しいロードサイクルを実行するためのローディングの準備をする。
【0072】
縫製を含む動作サイクルの残りの部分に必要な時間をチェックすると、結果は1.0秒(第5のステップから第7のステップ)+9秒の縫製=合計10.0秒になる。
【0073】
このケースでは、2つのステップの間にバランスがある。すなわち、
-第1の部分のローディングステップ(2+4+0.5+0.5)7秒+待機時間(10.0-7)=10.0秒である。
【0074】
-第2の部分のローディングステップ(0.5+0.5)秒+縫製9秒=10.0秒である。
【0075】
したがって、生産サイクルは9秒の縫製から合計9+1.0=10.0秒になる。
【0076】
このケースでは、9秒の縫製時間を持つ以前の生産時間の以前の方法論と比較して、新しい技術を使用した現在の生産時間が大幅に短縮され、実際のゲインは25%、つまり、13.5秒と比較して、10.0秒であることは明らかである。
【0077】
さらに、縫製時間が非常に短い場合でも効率が向上し、新しい動作方法における2つのステップのバランスを取るための時間制限は縫製の5.5秒である。
【0078】
従来技術に属する第1の解決策と本発明による新しい方法とを、5.5秒の縫製時間に対して、さらに比較すると、結果は以下の通りである。
【0079】
従来技術に属する第1の解決策は、約6.5秒の第1の固定準備ステップを提供し、待ち時間がないので、ローディングプレート18は、さらに2秒の第2のローディングステップを直ちに実行することができ、したがって合計は8.5秒になる。
【0080】
本発明による新しい方法論を使用すると、第1の準備ステップは約7秒に固定され、第2の準備ステップは5.5の縫製+(0.5+0.5+0.5)=7秒である。
【0081】
このケースでは、5.5秒の縫製時間を持つ以前の生産時間の以前の方法論と比較して、新しい技術を使用した現在の生産時間が大幅に短縮され、この場合も実際のゲインはまた約20%であり、つまり、8.5秒に対して7.0秒であることは明らかである。
【0082】
最後に、本発明による新技術のおかげで、以下の毎時生産を達成することができる。すなわち、
-シングルヘッドの既知の技術では、(3600/13.5)=266×80%の効率=213/2=1時間あたり106のズボン、
-本発明による新しい技術のシングルヘッドでは、(3600/10.5)=342x80%の効率=274/2=1時間あたり137のズボン、
-ダブルヘッドの既知の技術では、(3600/8.5)=423×80%の効率=338/2=1時間あたり169のズボン、
-本発明による新しい技術のダブルヘッドでは、(3600/7)=514×80%の効率=411/2=1時間あたり205のズボン、である。
【0083】
見られるように、本発明による構成要素の配置は、従来の基準に対してはるかに高い生産収率で、作業時間および実際の動作結果を最適化することを可能にする。
【0084】
本発明は、その優先的な実施形態を参照して説明された。しかしながら、本発明は、その範囲内にあり且つ技術的に同等である多数の変形を許容することは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】WO2018/202898A1
【文献】WO2019/105070A1